説明

レーザー監視システム

【課題】入港する船舶を検査するためのレーザー監視システムによる方法及びシステムの提供。
【解決手段】レーザー監視システムは、概して水位線150以下に配置された筐体と筐体内に配置されたレーザー及び検出器機構110を含む。この機構はレーザー源とセンサーを含む。レーザー源は、検査対象となっている船舶100に向けてレーザービーム220を発射するように構成されている。センサーはレーザービームの反射光を受信するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して監視システムに関し、より詳しくは船舶の検査に使用される方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の通関地に入ってくる船舶、航空機、及び陸上車両などの輸送手段の数量は年間数千万台を超える。例えば、主要港の1つでは、数百隻の作業船、帆船、娯楽船が監視されないまま航行している。国境を越えて、違法な物品の隠匿及び/又は密輸に船舶が使用されることも起こりうる。さらに、例えば、少なくとも名の知られた船舶であっても、違法な物品の輸送に使用するため、水位線の下に配置された少なくとも1つの「寄生」デバイスを含むことがある。
【0003】
入港する船舶を検査するよく知られた方法の1つにソナー検査がある。ソナーを使用することにより、船舶は迅速に検査されるが、目立たない寄生デバイスを識別するだけの十分な解像度を提供することはできない。さらに、ソナーは、ソナー掃引の実行中に発生する残響などの環境効果によって影響されることがある。そのため、寄生デバイスを目視検査するため、一般的には潜水夫チームが利用されている。しかしながら、港内の船舶下の水が濁っていて、予測できない海流が存在すること、また、サメ、バラクーダ、及び/又はウナギなどの野生生物が生息していることもありうる。したがって、潜水夫による船舶の目視検査は危険であり、単調であり、及び/又は多大な時間を要することがありうる。
【0004】
船舶の数が膨大であること及び/又は潜水夫の数が限られていることから、少なくとも名の通った港では、入港する船舶の一部を選択して検査を行っている。例えば、船舶は以前に警告が出ている国に停泊していたという理由で検査の対象になることがある。そのため、港によっては、セキュリティ監視は散発的になること及び/又は不完全になることがある。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様では、船舶の検査に対して1つの方法が提示されている。この方法は、概して水位線の位置以下にレーザー及び検出器機構を配置するステップを含む。レーザー及び検出器機構はレーザー源及びセンサーを含む。レーザーはレーザー源から検査対象となっている船舶に向けて発射される。レーザービームの反射光はセンサーで受信される。ある種の態様では、この方法はレーザービームを複数のサブビームに分割するステップと、複数のサブビームを検査対象となっている船舶に発射するステップを含みうる。別の態様では、この方法はまた、船舶とレーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定する手順を含みうる。別の態様では、この方法は、少なくとも水の濁度に基づいてレーザー源に関連する電力出力を調整するステップを含みうる。別の態様では、この方法は、少なくとも水の濁度に基づいてセンサー及び光学デバイスの位置に関連する感度のうちの少なくとも1つを調整するステップを含みうる。別の態様では、この方法は、受信した反射レーザービームに関連する信号を生成するステップ、及びその信号をデジタル画像に変換するステップを含みうる。別の態様では、この方法は、筐体を介して液体を導くステップを含んでいてもよく、さらに筐体の少なくとも外部表面の周囲に液体を導くステップを含みうる。
【0006】
別の態様では、レーザー及び検出器機構が船舶の検査に使用するため提供される。この機構はレーザー源とセンサーを含む。レーザー源は、検査対象となっている船舶に向けてレーザービームを発射するように構成されている。レーザー源は概して水位線以下に配置される。センサーはレーザービームの反射光を受信するように構成されている。センサーは概して水位線以下に配置される。レーザー及び検出器機構の別の態様では、レーザー源は、該レーザー源から発射されるレーザービームを分割するように構成された光学レンズをさらに含みうる。レーザー及び検出器機構の別の態様では、レーザー源は、船舶と該レーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定し、且つ少なくとも水の濁度に基づいて前記レーザー源に関連する電力出力を調整するように構成された濁度測定機構をさらに含みうる。レーザー及び検出器機構の別の態様では、レーザー源は、船舶と該レーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定し、且つ前記センサーに関連する感度と、少なくとも水の濁度に基づく光学デバイスの位置とのうちの少なくとも1つを調整するように構成された濁度測定機構をさらに含みうる。レーザー及び検出器機構の別の態様では、レーザー源は前記センサーからの信号を受信し、その信号をデジタル画像に変換するようにプログラムされた計算デバイスをさらに含みうる。
【0007】
さらに別の態様では、船舶の検査に使用するためシステムが提供される。そのシステムは、筐体、筐体内に配置されるレーザー源、及び筐体内に配置されるセンサーを含む。筐体は概して水位線以下に配置される。レーザー源は、検査対象となっている船舶に向けてレーザービームを発射するように構成されている。センサーは、検査対象となっている船舶に向けて発射されたレーザービームの反射光を受信するように構成されたセンサーである。別の態様では、このシステムは前記筐体に結合されたブイであって、概して水位線の位置に配置されたブイをさらに含みうる。別の態様では、このシステムは前記筐体を介して液体を導くように方向づけられた液体移動機構をさらに含みうる。別の態様では、このシステムは前記筐体の少なくとも外部表面の周囲に液体を導くように方向づけられた液体移動機構をさらに含みうる。このシステムの別の態様では、レーザー源は該レーザー源から発射されるレーザービームを分割するように構成された光学レンズをさらに含みうる。別の態様では、このシステムは、船舶と前記レーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定し、且つ少なくとも水の濁度に基づいて前記レーザー源に関連する電力出力を調整するように構成された濁度測定機構をさらに含みうる。別の態様では、このシステムは、船舶と前記レーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定し、且つ前記センサーに関連する感度と少なくとも水の濁度に基づく光学デバイスの位置とのうちの少なくとも1つを調整するように構成された濁度測定機構をさらに含みうる。別の態様では、このシステムは、前記センサーから信号を受信し、その信号をデジタル画像に変換するようにプログラムされた計算デバイスをさらに含みうる。
【0008】
本明細書で説明した特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態で独立に実現することが可能であるか、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解されうる、さらに別の実施形態で組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はレーザー及び検出器機構(LDM)によって検査されうる例示的な船舶の模式図である。
【図2】図2は海底を検査するためLDMを使用しうる別の例示的な船舶の模式図である。
【図3】図3は図1に示されたLDMの斜視図である。
【図4】図4は図1に示されたLDMの模式図である。
【図5】図5は図1に示されたLDMと共に使用しうるレーザー源の模式図である。
【図6】図6は図1に示されたLDMと共に使用しうる例示的な計算デバイスのブロック図である。
【図7】図7は図1に示したLDMを用いる船舶の検査で使用しうる例示的な方法を示すフロー図である。
【0010】
各種の実施形態の具体的な特徴が、ある図面には示され、他の図面には示されないことがあるが、このような図解は便宜上のためにすぎない。図面の任意の特徴は、他の任意の図面の機能との組み合わせによって、参照及び/又は特許請求されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載された主題は概して監視システムに関し、又より詳しくは船舶の検査に使用する方法及びシステムに関する。1つの実施形態では、概して水位線以下に配置された筐体、及び筐体内に配置されたレーザー及び検出器機構を含む高度な港湾レーザー監視システムが提供されている。このような実施形態では、レーザー及び検出器機構はレーザー源及びセンサーを含む。レーザー源は検査対象となっている船舶に向けてレーザービームを発射し、センサーはこのレーザービームの反射光を受信する。このレーザー検査システムにより、大量の船舶について、曳航されている「寄生」デバイスを含む「寄生」デバイスの検査を実施することができる。
【0012】
以下の説明は船舶について言及しているが、本明細書に記載されている主題が、物品の輸送に使用される任意の輸送手段に適用可能であることを理解されたい。したがって、以下の説明全体を通して「船舶」に対する任意の言及は、本明細書に記載されている主題を教示する潜在的な応用の1つを説明することを意図しているにすぎない。
【0013】
本明細書で使用するとき、「水位線」という用語は水の高さがあるレベル達して記される線を意味することがある。例えば、水位線は、船舶に対して水かさが増してくるときの船体の位置を示すことがある。さらに、本明細書で使用しているように、「寄生」デバイスという用語は船舶の船体の外表面に結合している物体を指すことがある。例えば、寄生デバイスは、禁制品を隠蔽及び/又は密輸するため、水位線の下で船体の外表面に結合していることがある。その他の例には、曳航されているデバイスが含まれることがある。
【0014】
本明細書で使用しているように、「1つの」という語から始まって単数形で記載されている要素又はステップは、複数の要素又はステップを除外することが明示的に記載されていない限り、複数の要素又はステップを除外しないと理解すべきである。さらに、本発明の「1つの実施形態」又は「例示的実施形態」への言及は、記載されている機能をも取り込む付加的な実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図していない。
【0015】
図1は、例示的なレーザー及び検出器機構(LDM)110を用いて検査されうる例示的な船舶の模式図である。図3は例示的なLDM110の斜視図であり、図4はLDM110の略図である。より具体的には、例示的な実施形態では、船舶100は船体120を含む。例示的な実施形態では、船体120は概して水位線150の上方に延びる第一部分140と、概して水位線150の下方に延びる第二部分160とを含む。
【0016】
例示的な実施形態では、LDM110は概して水位線150の下方にある筐体170内部に配置される。同様に、例示的な実施形態では、筐体170(図3に示す)は、例えば、限定しないが、アルミニウム、ステンレススチール、チタニウム及び/又はシリコンなどの非腐食性材料及び/又は耐腐食性材料から製造される。例えば、例示的な実施形態では、筐体170は水路底面180に配置される。1つの実施形態では、船体120及び/又は他の物体との衝突からLDM110を容易に保護できるよう、筐体170は支柱及び/又は護岸に配置される。さらに、水位線150の位置又はこれより上方でLDM110の配置を特定しやすくするため、ブイ190は概して水位線150の位置及び筐体170より上方に配置される。追加的に、又は代替的に、図2に示したように、LDM110は概して水位線150の位置に配置してもよい。このような実施形態では、例えば、水路、水中パイプライン、堤防の基部、及び又は海底を検査するため、別の船舶100で筐体170を選択的に移動することもできる。同様に、水位線150のより下方から上方に、及び/又は水位線150から下方に、LDM110の方向を選択的に決定することもできる。
【0017】
筐体170によって、好ましくない水がLDM110が接触するのを容易に防ぐことができる。例示的な実施形態では、筐体170は実質的に防水になっている。さらに、図4に示したように、好ましくない水が筐体170に入らないよう筐体内を陽圧に保持するため、空気フラスコ200が筐体170の内部に配置されている。例えば、1つの実施形態では、空気フラスコは筐体170内部の気圧を調整する気圧計に結合されている。代替的には、筐体170は本明細書に記載されているように筐体170を機能させることができるよう、他の適切な機構を含んでいてもよい。
【0018】
例示的な実施形態では、筐体170は、筐体170を水路底面180から選択的に移動することができるよう結合機構210を含む。例えば、例示的な実施形態では、結合機構210は、金属製の環又は鉤を受け入れるように大きさが決められた吊り上げリングになる。同様に、筐体170は、水位線150の上方で実施される保守及び/又は修理のため、支柱及び/又は護岸から取り外すことができる。代替的には、結合機構210は本明細書に記載されているように結合機構210を機能させることができるよう、他の適切な機構を含んでいてもよい。
【0019】
例示的な実施形態では、LDM110は、少なくとも1本のレーザービーム220を船舶100に向けて、より具体的には船体の第二の部分160に向けて発信又は発射するように方向づけられている。より具体的には、図4に示すように、LDM110は、エンクロージャウインドウ240を介して船舶100に向けてレーザービームを発射するレーザー源230、及びレーザービーム220の反射光(図示せず)を受信するセンサー250を含む。例示的実施形態では、レーザー源230及びセンサー250は共通の筐体内に配置されている。代替的には、レーザー源230はセンサー250から離れて配置されていてもよい。例示的な実施形態では、LDM110は、選択的に所望の角度にLDM110を向けることを可能にするレール260の上に配置される。より具体的には、LDM110の方向を選択的に上方及び/又は下方に向けることができるように、LDM110はレール260に沿って移動するトラニオン270を含む。
【0020】
1つの実施形態では、レーザー源230は、約308〜1350ナノメートル(nm)の間の周波数を有するレーザーを発射する。より具体的には、このレーザーは約512〜1024ナノメートル(nm)の間の周波数を有する。このような実施形態では、レーザーは肉眼で見ることができる。代替的には、レーザー源230は、本明細書に記載したようにLDM110を機能させることを可能にする、好適な周波数を有するレーザーを発射することができる。
【0021】
例示的な実施形態では、筐体170は、筐体170を介して及び/又は筐体170の外表面の周囲に液体を導くように方向づけられた少なくとも1つの液体移動機構を含む。例えば、例示的な実施形態では、第一の液体移動機構282はLDM110の冷却を促進する熱交換器となっている。より具体的には、例示的な実施形態では、第一の液体移動機構282は筐体170を通って延びるライン284を介して液体を導く。さらに、例示的な実施形態では、第二の液体移動機構286は、エンクロージャウインドウ240上に概して堆積物及び/又は海藻の成長がない状態の維持を促進するポンプ及び/又はウォータージェットとなっている。例示的な実施形態では、第二の液体移動機構286は、筐体170の外表面の全域に、又はより具体的にエンクロージャウインドウ240の全域に液体を導く。
【0022】
例示的な実施形態では、制御ボックス290は、以下でより詳細に説明するように、筐体170の内部に配置される。例示的な実施形態では、制御ボックス290はLDM110及び/又はリモート計算デバイス(図示せず)と通信可能に接続され、相互間での通信信号の送信を可能にする。
【0023】
図5はレーザー源230の略図である。例示的な実施形態では、レーザー源230は、レンズ320、プリズム330、及び/又はディフューザー340など、少なくとも1つの光学レンズを通して第一のレーザービーム310を放出又は発射するレーザーポンプ300を含む。例示的な実施形態では、レンズのアレイ320が第一のレーザービーム310を発信及び/又は屈折して第二のレーザービーム350を生成するように配置されている。例示的な実施形態では、プリズム330のアレイが第二のレーザービーム350を発信、屈折、反射及び/又は分割して第三のレーザービーム360を生成するように配置されている。さらに、例示的な実施形態では、ディフューザー340が第三のレーザービーム360を発信、拡散、及び/又は散乱して複数のサブビーム370にするように配置されている。すなわち、光学デバイス(例えば、レンズ320、プリズム330、及び/又はディフューザー340)のうちの少なくとも1つの位置及び/又は方向が、関連するモーター又はギヤ減速機構を介して調整及び/又は回転されて、所望の範囲及び/又は検出されたLDM110に隣接する水の状態に基づいてレーザービームの周波数及び/又は波長の調整を促進する。
【0024】
例示的な実施形態では、プリズム制御モーター380及びプリズム制御ボックス390は、第三のレーザービーム360を選択的に調整することが可能になるようにプリズム330のアレイに結合されている。例えば、1つの実施形態では、プリズム330は、エンクロージャウインドウ240上の少なくとも堆積物及び/又は海藻の成長の量、LDM110と船舶100との間の水の濁度、現地の気象条件、及び/又は船体の第二の部分160の表面に基づいて、所望の波長及び/又は偏光を有するレーザービームを発信及び/又は発射するように調整することができる。水の濁度は、好適な濁度測定機構(図示せず)を使用して測定することができる。追加的に、又は代替的に、レーザー源230に関連する電力出力、又はより具体的に、レーザー源230及び/又はセンサー250に関連する感度は、選択的に調整可能である。LDM110が本明細書に記載されているように機能することを可能にする任意の好適な因子は、任意の好適な機構を調整するものとみなすことができる。
【0025】
例示的な実施形態では、制御ボックス290は、LDM110の操作、空気フラスコ200、及び/又は液体移動機構280を制御するようにプログラムされている計算デバイス400を含む。さらに、例示的な実施形態では、制御ボックス290は、又はより具体的に、計算デバイス400は、LDM110、又はより具体的にセンサー250から信号(図示せず)を受信し、その信号を船舶100のデジタル画像(図示せず)に変換する。
【0026】
図6は計算デバイス400のブロック図である。例示的な実施形態では、計算デバイス400は、メモリデバイス410及びプログラムされた命令を実行するためメモリデバイス410と結合されたプロセッサ420を含む。プロセッサ420は一又は複数のプロセス装置(例えば、マルチコア構成で)を含むことができる。1つの実施形態では、実行可能な命令及び/又は構造健全性データはメモリデバイス410に保存されている。例えば、例示的な実施形態では、メモリデバイス410は、LDM110、空気フラスコ200、及び/又は液体移動機構280の操作の制御に使用する、及び/又は信号からデジタル画像への変換に使用するソフトウェアを保存する。計算デバイス400は、メモリデバイス410及び/又はプロセッサ420をプラグラムすることによって、本明細書に記載されている一又は複数の操作を実行するようにプログラム可能である。例えば、プロセッサ420は、操作を一又は複数の実行可能な命令としてエンコードし、メモリデバイス410で実行可能な命令を提供することによってプログラム可能である。
【0027】
プロセッサ420は、汎用中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、及び/又は、本明細書に記載した機能を実行可能な任意の他の回路又はプロセッサを含んでいてもよいが、これらに限定されるわけではない。本明細書に記載されている方法は、限定するものではないが、記憶装置及び/又はメモリデバイスを含む、コンピュータで読込可能な媒体内に具現化される、実行可能な命令としてエンコードすることができる。このような命令は、プロセッサで実行された場合、本明細書に記載された方法の少なくとも一部をプロセッサに行わせることができる。上述の例は典型例にすぎず、したがって、プロセッサという用語の定義及び/又は意味を何らかの方法で制限することを意図していない。
【0028】
メモリデバイス410は、本明細書に記載されているように、実行可能な命令及び/又は他のデータなどの情報が保存され検索されることを可能にする一又は複数のデバイスである。メモリデバイス410は、限定しないが、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、半導体ディスク、及び/又はハードディスクなど、一又は複数のコンピュータで読込可能な媒体を含みうる。メモリデバイス410は、限定しないが、実行可能な命令、構造健全性データ、及び/又は本明細書に記載されている方法及びシステムによる使用に好適な他の形式のデータを保存するように構成されうる。
【0029】
例示的な実施形態では、計算デバイス400は、プロセッサ420に結合されているプレゼンテーションインターフェース430を含む。プレゼンテーションインターフェース430は、限定しないが、設定データ、管理データ、及び/又はユーザー(図示せず)に対する任意の他の形式のデータなどの情報を出力及び/又は表示する。例えば、プレゼンテーションインターフェース430は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、及び/又は「電子インク」ディスプレイなどのディスプレイデバイス(図示せず)に結合されたディスプレイアダプタ(図示せず)を含みうる。
【0030】
例示的な実施形態では、計算デバイス400は、ユーザーからの入力を受信する入力インターフェース440を含む。例えば、入力インターフェース440は、LDM110の操作、空気フラスコ200、及び/又は液体移動機構280の操作を制御するための命令、及び/又は本明細書に記載されている方法及びシステムによる使用に好適な他の形式のデータを受信するように構成しうる。例示的な実施形態では、入力インターフェース440はプロセッサ420に結合されており、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラスペン、タッチセンサーパネル(例えば、タッチパッド又はタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、及び/又は音声入力インターフェースを含みうる。タッチスクリーンなどの単一コンポーネントは、プレゼンテーションインターフェース430の表示デバイス及び入力インターフェース440の双方として機能しうる。
【0031】
例示的な実施形態では、計算デバイス400は、メモリデバイス410及び/又はプロセッサ420に結合されている通信インターフェース450を含む。通信インターフェース450は、LDM110、空気フラスコ200、液体移動機構280、及び/又は他の計算デバイス400などのリモートデバイスと通信するように結合されている。例えば、通信インターフェース450は、限定しないが、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、及び/又は移動体通信アダプタを含みうる。
【0032】
図7は、LDM110を使用して、船舶100の検査に使用しうる例示的な方法500を示すフロー図である。操作中、例示的な実施形態では、LDM110は船舶100へ向けてレーザービーム220を発信又は発射510する。例示的な実施形態では、LDM110に関連する電力出力、又はより具体的に、レーザー源230は少なくとも水の濁度に基づいて調整される。追加的に、又は代替的に、第一レーザービーム310、第二レーザービーム350、第三レーザービーム360、及び/又はサブビーム370が船体120に向けて発射510されるように、レーザービーム220は、レンズ320、プリズム330、及び/又はディフューザー340を介して発射されてもよい。
【0033】
例示的な実施形態では、船体120の第二部分160で寄生デバイスの検査が行えるよう、レーザービーム220は船体120の縦の長さ方向に沿って発射される。例えば、例示的な実施形態では、レーザー源230は、船舶100がLDM110の近くを通過するにつれて、船体120上にレーザービーム220を発射する。より具体的には、例示的な実施形態で、船舶100がレーザービームの視野を通過するにつれて、船舶100に対してレーザービーム220がほぼ固定されるように、LDM110はほぼ固定されている。追加的に、又は代替的に、船舶100がLDM110に対してほぼ固定されているため、レーザービーム220が船体120上に発射されるように、LDM110は垂直軸の回りに作動可能及び/又は回転可能であってもよい。
【0034】
例示的な実施形態では、船体120はセンサー250に向けてレーザービーム220の少なくとも一部を反射520する。例示的な実施形態では、センサー250は信号、より具体的には、レーザービーム220の反射光を検出又は受信530する。より具体的には、例示的な実施形態で、センサー250は、船体120の第二部分160からレーザービーム220の反射光を受信530する。例示的な実施形態では、センサー250に関連する感度は少なくとも水の濁度に基づいて調整される。追加的に、又は代替的に、船体120の第二部分160から少なくともレーザービーム220の反射光の一部をフィルタ処理するため、スクリーン及び/又はブロック機構(図示せず)が使用されてもよい。
【0035】
例示的な実施形態では、受信した反射光に関連する信号が生成540され、その信号は船舶100の検査に使用されるデジタル画像に変換される。例示的な実施形態では、信号及び/又はデジタル画像は計算デバイス400に送信され、計算デバイス400は船体120に寄生デバイスが結合しているかを特定する。同様に、例示的な実施形態では、計算デバイス400は、少なくともレーザービーム220の反射光に基づいて、船舶100の検査を促進する。1つの実施形態では、計算デバイス400は、寄生デバイスが船体120に結合しているかをより完全に確認するために目視検査が必要かどうかを判定することができる。このような実施形態では、計算デバイス400は、少なくとも1名の潜水夫に目視検査の実施の指示に使われる判定の指標を提供する。
【0036】
例示的な実施形態では、計算デバイス400は、シグネチャ(すなわち、船舶100の特定に使用しうる物理的特徴)を船舶100の所定のシグネチャ及び/又はあらかじめ特定されたシグネチャに対して、特定及び/又は比較するようにプログラムされている。少なくともいくつかの実施形態では、シグネチャは、その後の検査で使用できるよう、メモリデバイス410内で自動的に更新及び/又は保存することができる。
【0037】
上述のシステム及び方法により、船舶の検査を行い、例えば物品の密輸に使用されていないかを判断することができる。より具体的には、本明細書に記載されている実施形態により、水面下の物体の信頼度の高い及び/又は正確な画像を、概して高解像度の品質で作成することができる。同様に、本明細書に記載されている実施形態により、目視検査を選択すべきかどうかを決定するため、船舶の自動スクリーニングを促進する。本明細書に記載されている実施形態により、船舶の検査に使用される人的資源及び/又は他の資源を、戦略的及び/又は効率的に配置することができる。したがって、本明細書に記載されている実施形態は、船舶の検査に関連する安全性の向上及び/又はコストの削減を促進する。
【0038】
例示的なシステム及び方法は本明細書に記載されている具体的な実施形態に限定されることはなく、むしろ、各システムのコンポーネント及び/又は各方法のステップは、本明細書に記載されている他のコンポーネント及び/又は方法のステップから分離されて独立に使用可能である。各コンポーネント及び各方法のステップは、他のコンポーネント及び/又は方法のステップと組み合わせて使用することもできる。
【0039】
本明細書では、最良のモードを含め、様々な実施形態を開示する実施例を使用しているため、当業者は任意の機器やシステムの作成ならびに使用、及び組込まれた任意の方法の実施を含む実施形態を実行することができる。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義されており、当業者であれば想起される他の実施例も含みうる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字言語から逸脱しない構造要素を有する場合、あるいは、それらが特許請求の範囲の文字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含んでいる場合は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0040】
100 船舶
110 レーザー及び検出器機構
120 船体
140 第一部分
150 水位線
160 第二部分
170 筐体
180 水路底面
190 ブイ
200 空気フラスコ
210 結合機構
220 レーザービーム
230 レーザー源
240 エンクロージャウインドウ
250 センサー
260 レール
270 トラニオン
280 液体移動機構
282 第一の液体移動機構
284 ライン
286 第二の液体移動機構
290 制御ボックス
310 第一レーザービーム
320 レンズ
330 プリズム
340 ディフューザー
350 第二レーザービーム
360 第三レーザービーム
370 サブビーム
380 プリズム制御モーター
390 プリズム制御ボックス
400 計算デバイス
410 メモリデバイス
420 プロセッサ
430 プレゼンテーションインターフェース
440 入力インターフェース
450 通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶を検査する方法であって、
レーザー源230とセンサー250を含むレーザー及び検出器機構を、概して水位線150の位置及びそれ以下の位置のうちの少なくとも1箇所に配置するステップと、
前記レーザー源230から検査対象の前記船舶100に向かってレーザービーム220を発射するステップと、
前記発射されたレーザービームの反射光を前記センサー250で受信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
レーザーを遠方へ発射するステップが、
前記レーザービームを複数のサブビームに分割するステップと
検査対象の前記船舶に向かって前記複数のサブビームを発射するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記船舶と前記レーザー及び検出器機構のうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定するステップと;少なくとも前記水の濁度に基づく前記レーザー源に関連する電力出力調整、又は前記センサーに関連する感度のうちの少なくとも1つ及び少なくとも前記水の濁度に基づく光学デバイスの位置の調整、のうちの少なくとも1つを実施するステップと
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信したレーザービームの反射光に関連する信号を生成するステップと、
前記信号をデジタル画像に変換するステップと
をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
船舶の検査に使用されるシステムであって、
概して水位線の位置及びそれ以下の位置のうちの少なくとも1箇所に配置される筐体170、
前記筐体170内に配置されたレーザー源230であって、検査対象の前記船舶100に向かってレーザービーム220を発射するように構成された前記レーザー源、並びに
前記筐体170内に配置されたセンサー250であって、検査対象の前記船舶100に向かって発射された前記レーザービームの反射光を受信するように構成されたセンサー
を含むシステム。
【請求項6】
前記レーザー源が、該レーザー源から発射されたレーザービームを分割するように構成されている光学レンズを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
船舶と前記レーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定し、且つ少なくとも前記水の濁度に基づいて前記レーザー源に関連する電力出力を調整するように構成された濁度測定機構をさらに含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
船舶と前記レーザー及び検出器機構とのうちの少なくとも1つに隣接する水の濁度を測定し、且つ前記センサーに関連する感度と少なくとも前記水の濁度に基づく光学デバイスの位置とのうちの少なくとも1つを調整するように構成された濁度測定機構をさらに含む、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサーから信号を受信し、該信号をデジタル画像に変換するようにプログラムされた計算機構をさらに含む、請求項5乃至8のいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−47665(P2013−47665A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−127724(P2012−127724)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】