説明

レーザー誘起ブレークダウン分光分析装置

【課題】正確な分析を可能とするレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置を提供する。
【解決手段】レーザー発振器から出射されたレーザー光を分割する第1ビームスプリッターと、前記第1ビームスプリッターで分割された一方のレーザー光をモニターしレーザー光量信号を出力するレーザー光モニターと、前記第1ビームスプリッターで分割された他方のレーザー光が照射されることにより前記反応用セルで発生したプラズマ光を分割する第2ビームスプリッターと、前記第2ビームスプリッターで分割された一方のプラズマ光のうちバックグラウンド光の発光強度を検出しバックグラウンド光量信号を出力する第1センサーと、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号と前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号とに基づいてレーザー光量を一定範囲になるように制御する制御回路と、を備えたことを特徴とするレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レーザー誘起ブレークダウン分光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー誘起ブレークダウン分光分析法を用いた分析装置(以下、単にLIBS装置と称する場合がある)では、例えば、測定対象物質が充填された反応用セルにレーザー光を照射し、発生したプラズマ光から蛍光とバックグラウンド光を計測装置で捉える。測定対象物質に固有のシグナル光の発光強度は、蛍光の発光強度及びバックグラウンド光の発光強度に基づいて算出される。このようなシグナル光の発光強度に基づいて測定対象物質の濃度を求めることが可能となる。
【0003】
このようなLIBS装置を長期間使用していると、レーザー発振器から出射されるレーザー光の光量が徐々に低下する場合がある。また、反応用セルがプラズマにより汚染されて、反応用セルでのバックグラウンド光及び蛍光の透過率が低下する場合もある。このような現象が発生すると、正確な分析を行うことができなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−326205号公報
【特許文献2】特許第3377699号公報
【特許文献3】特許第3918054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、正確な分析を可能とするレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
測定対象物質を充填した反応用セルにジャイアントパルスYAGレーザー光を照射して、エアーブレークダウンを発生させ、その測定対象物質に固有のシグナル光を検出するレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置において、レーザー発振器と、前記レーザー発振器から出射されたレーザー光を分割する第1ビームスプリッターと、前記第1ビームスプリッターで分割された一方のレーザー光をモニターしレーザー光量信号を出力するレーザー光モニターと、前記第1ビームスプリッターで分割された他方のレーザー光が照射されることにより前記反応用セルで発生したプラズマ光を分割する第2ビームスプリッターと、前記第2ビームスプリッターで分割された一方のプラズマ光のうちバックグラウンド光の発光強度を検出しバックグラウンド光量信号を出力する第1センサーと、前記第2ビームスプリッターで分割された他方のプラズマ光のうち蛍光の発光強度を検出し蛍光量信号を出力する第2センサーと、前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号と前記第2センサーから出力された蛍光量信号とに基づいてシグナル光を算出するとともに、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号と前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号とに基づいてレーザー光量を一定範囲になるように制御する制御回路と、を備えたことを特徴とするレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態におけるレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本実施形態におけるLIBS装置に適用可能なバリアブルアッテネータの他の構成を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本実施形態のLIBS装置による分析方法の一例を説明するための図である。
【図4】図4は、本実施形態のLIBS装置に適用可能な制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
図1は、本実施形態におけるレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置の構成を概略的に示す図である。
【0010】
すなわち、レーザー誘起ブレークダウン分光分析法を用いた分析装置であるLIBS装置1は、測定対象物質を充填した反応用セルにジャイアントパルスYAGレーザー光を照射して、エアーブレークダウンを発生させ、その測定対象物質に固有のシグナル光を検出するものであり、測定対象物質に含まれる元素の特定あるいは元素の分析に用いられる。
【0011】
このLIBS装置1は、レーザー発振器10、第1ビームスプリッターBS1、レーザー光モニター11、第2ビームスプリッターBS2、第1センサーS1、第2センサーS2、制御回路20などを備えている。
【0012】
レーザー発振器10は、ピークパワーが数MWとなるジャイアントパルス発振方式のYAGレーザー装置である。第1ビームスプリッターBS1は、レーザー発振器10から出射されたレーザー光を分割するものであり、分割した一方のレーザー光をレーザー光モニター11に導き、他方のレーザー光を反応用セルRCに導く。反応用セルRCは、例えば、石英製である。
【0013】
なお、図示した例では、レーザー発振器10と第1ビームスプリッターBS1との間には、レーザー光量を調整するバリアブルアッテネータ30が配置されている。ここに示したバリアブルアッテネータ30は、制御回路20による制御に基づいて駆動される回転式ステップモータM1と、この回転式ステップモータM1によって回転駆動される回転ホルダーH1と、この回転ホルダーH1に入れられた濃度可変型NDフィルターFLと、を備えた構成である。
【0014】
レーザー光モニター11は、第1ビームスプリッターBS1で分割された一方のレーザー光をモニターするものであって、受光したレーザー光の光量に対応したレーザー光量信号を制御回路20に出力する。
【0015】
第1ビームスプリッターBS1で分割された他方のレーザー光は、第1ビームスプリッターBS1と反応用セルRCとの間に配置された第1集光レンズL1により集光され、反応用セルRCに導かれる。反応用セルRCには、例えば気体の測定対象物質が充填されている。このような反応用セルRCでは、レーザー光が照射されることにより、測定対象物質に含まれる元素に固有のプラズマ光が発生する。反応用セルRCで発生したプラズマ光は、第2レンズL2によって第2ビームスプリッターBS2に導かれる。
【0016】
第2ビームスプリッターBS2は、反応用セルRCで発生したプラズマ光を分割するものであり、一方のプラズマ光を第1センサーS1に導き、他方のプラズマ光を第2センサーS2に導く。
【0017】
第2ビームスプリッターBS2と第1センサーS1との間には、第1透過フィルターF1及び第3集光レンズL3が配置されている。第1フィルターF1は、プラズマ光のうちバックグラウンド光を透過する干渉フィルターである。第1フィルターF1を透過したバックグラウンド光は、第3集光レンズL3によって集光され、第1センサーS1に導かれる。
【0018】
第1センサーS1は、第2ビームスプリッターBS2で分割された一方のプラズマ光のうちバックグラウンド光の発光強度を検出するものであって、受光したバックグラウンド光の光量に対応したバックグラウンド光量信号を制御回路20に出力する。
【0019】
第2ビームスプリッターBS2と第2センサーS2との間には、第2透過フィルターF2及び第4集光レンズL4が配置されている。第2フィルターF2は、プラズマ光のうち蛍光を透過する干渉フィルターである。第2フィルターF2を透過した蛍光は、第4集光レンズL4によって集光され、第2センサーS2に導かれる。
【0020】
第2センサーS2は、第2ビームスプリッターBS2で分割された他方のプラズマ光のうち蛍光の発光強度を検出するものであって、受光した蛍光の光量に対応した蛍光量信号を制御回路20に出力する。
【0021】
制御回路20は、レーザー光モニター11から出力されたレーザー光量信号、第1センサーS1から出力されたバックグラウンド光量信号、及び、第2センサーS2から出力された蛍光量信号を受信する。このような制御回路20は、レーザー光量信号とバックグラウンド光量信号とに基づいてレーザー光量を一定範囲になるように制御する。この制御については、後に詳述する。
【0022】
また、このような制御回路20は、バックグラウンド光量信号と蛍光量信号とに基づいてシグナル光の光量を算出する。第2センサーS2によって検出される蛍光は、測定対象物質に固有の正味の蛍光(シグナル光)にバックグラウンド光が重畳したものである。このため、測定対象物質に固有のシグナル光の発光強度は、蛍光の発光強度からバックグラウンド光の発光強度を差し引いた分に相当する。このため、制御回路20は、蛍光量信号からバックグラウンド光量信号を差し引いた値を、シグナル光の光量に対応したシグナル光量信号として算出する。
【0023】
さらに、制御回路20は、レーザー発振器10のレーザー電源Pを制御するとともに、バリアブルアッテネータ30の回転式ステップモータM1を駆動するモータ駆動装置D1を制御する。
【0024】
図2は、本実施形態におけるLIBS装置1に適用可能なバリアブルアッテネータ30の他の構成を概略的に示す図である。
【0025】
ここに示したバリアブルアッテネータ30は、制御回路20による制御に基づいて駆動される回転式ステップモータM2と、この回転式ステップモータM2によって回転駆動される回転ホルダーH2と、この回転ホルダーH2に入れられたλ/2板PPと、λ/2板PPの後段に配置したポラライザーPLと、を備えた構成である。
【0026】
このような構成のバリアブルアッテネータ30は、直線偏光であるレーザー光の偏光面を変化させることによってレーザー光量を調整する。図1に示したバリアブルアッテネータ30は、NDフィルターFLによる吸収もしくは反射によってレーザー光量を調整するものであり、高エネルギーのレーザー光が照射された際に損傷を受けるおそれがある一方で、図2に示したバリアブルアッテネータ30は、偏光面を変化させる構成であるため、レーザー光による損傷を抑制することが可能となる。
【0027】
次に、プラズマ発光の分光分析による測定対象物質に含まれる元素の特定について説明する。
【0028】
図3は、本実施形態のLIBS装置1による分析方法の一例を説明するための図である。
【0029】
図中の(a)では、1ショット分のレーザー光を照射した際に発生するプラズマ発光の発光強度の一例を概略的に示している。
【0030】
図示したように、レーザー光を照射した直後から約1μsecの間に初期のプラズマ発光が観測されるが、本実施形態のLIBS装置1では、初期のプラズマ発光の後に発生する蛍光とバックグラウンド光を用いて分析を行う。このような蛍光はプラズマ再結合時の元素固有の電子の遷移エネルギーで発生するものであり、また、バックグラウンド光は熱によるプラズマの運動(振動)エネルギーで発生するものである。
【0031】
レーザー光を照射した直後から約1μsecが経過した後には、蛍光とバックグラウンド光が混ざったプラズマ発光が観測される。このため、観測されたプラズマ発光は、第2ビームスプリッターBS2で分割し、第1フィルターF1を介してバックグラウンド光を分離する一方で、第2フィルターF2を介して蛍光を分離する。このように分離されたバックグラウンド光及び蛍光は、それぞれ第1センサーS1及び第2センサーS2によって検出される。
【0032】
図中の(b)では、各ショットでのゲート時間内での蛍光及びバックグラウンド光の積算値の一例を概略的に示している。
【0033】
制御回路20では、第1センサーS1から出力されたバックグラウンド光量信号に基づき、最初の1μsecの初期プラズマ発光を除いた1ショット毎のゲート時間内でのバックグラウンド光の光量の積算値を計算する。
【0034】
同様に、制御回路20では、第2センサーS2から出力された蛍光量信号に基づき、最初の1μsecの初期プラズマ発光を除いた1ショット毎のゲート時間内での蛍光の光量の積算値を計算する。
【0035】
さらに、制御回路20では、蛍光の光量の積算値からバックグラウンド光(BG)の光量の積算値を差し引いたシグナル光(SIG)の光量の積算値を算出する。
【0036】
図中の(c)では、蛍光、バックグラウンド光、及び、シグナル光のそれぞれの積算値の平均値の一例を概略的に示している。
【0037】
制御回路20では、蛍光、バックグラウンド光、及び、シグナル光のそれぞれの積算値について、Nショット分を積算してこれらを平均化処理することで、蛍光、バックグラウンド光、及び、シグナル光のNショット分の平均値を導出する。そして、制御回路20は、予め作成したシグナル光強度対濃度の検量線を用いて、測定対象物質に含まれる特定の元素の濃度を求める。すなわち、誘導結合プラズマ原子分光分析法(ICP法)などにより予め測定した濃度が既知である数種の濃度が異なるサンプルをLIBS法にて分析して、検量線を作成しておき、この検量線をもとに濃度が未知の測定対象物質を分析し濃度の定量化を行う。
【0038】
上記のような構成のLIBS装置1を長期間使用していると、レーザー発振器10から出射されるレーザー光の光量が徐々に低下することがある。その場合、反応用セルRCにて発生するプラズマ強度が変わってしまうため、正確な分析が出来なくなることがある。このため、本実施形態では、レーザー光を第1ビームスプリッターBS1で分割し、その一方のレーザー光をレーザー光モニター11に導光し、レーザー光モニター11からのレーザー光量信号を制御回路20に出力し、制御回路20により制御されたモータ駆動装置D1を介して回転式ステップモータM1を駆動してNDフィルターFLを回転させる、あるいは、回転式ステップモータM2を駆動してλ/2PPを回転させることで、透過するレーザー光量を変更して常にレーザー光量が一定範囲になるように制御を行っている。
【0039】
一方で、LIBS装置1を長期間使用していると、反応用セルRCがプラズマにより汚染されてバックグラウンド光や蛍光の透過率が低下する場合があり、正確な分析が出来なくなることがある。
【0040】
そこで、本実施形態では、制御装置20は、レーザー光量信号とバックグラウンド信号とに基づいて以下に説明するような制御を行う。
【0041】
図4は、本実施形態のLIBS装置1に適用可能な制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
まず、制御回路20は、図3の(b)で示したようなバックグラウンド光の積算値あるいは図3の(c)で示したようなバックグラウンド光の平均値を参照し、バックグラウンド光量信号が閾値範囲を下回ったか否かを判断する(ST1)。ここでの閾値範囲とは、レーザー発振器10が正常動作しているときに出射されたレーザー光により測定対象物質から発生するプラズマ発光に含まれるバックグラウンド光の光量を予め測定することによって設定された値であり、制御回路20に保持されている。
【0043】
バックグラウンド光量信号が閾値範囲を下回るケースとしては、レーザー発振器10から出射されるレーザー光の光量が低下している場合と、反応用セルRCが汚染されている場合と、少なくとも2通りが考えられる。
【0044】
制御回路20は、バックグラウンド光量信号が閾値範囲を下回ったと判断した場合には(ST1,YES)、レーザー光モニター11から出力されたレーザー光量信号に基づきレーザー発振器10から出射されたレーザー光の光量が低下しているか否かを判断する(ST2)。制御回路20は、レーザー発振器10が正常動作しているときに出射されたレーザー光をレーザー光モニター11で検出した際に出力されるレーザー光量基準信号を保持しており、このレーザー光量基準信号との比較を行うことで、レーザー光の光量が低下しているか否かを判断する。
【0045】
制御回路20は、レーザー光の光量が低下していると判断した場合には(ST2,YES)、レーザー光量が一定範囲になるようにバリアブルアッテネータ30を制御(つまり、バリアブルアッテネータ30を透過するレーザー光の透過率をアップさせる)してレーザー光量を調整する(ST3)。
【0046】
一方、制御回路20は、レーザー光の光量が低下していないと判断した場合には(ST2,NO)、反応用セルRCが汚染されていると判断し、反応用セルRCの交換を促すアラームを発生し、反応用セルRCの交換を促す(ST4)。
【0047】
制御回路20は、バックグラウンド光量信号が閾値範囲を下回っていないと判断した場合には(ST1,NO)、バックグラウンド光量信号が閾値範囲を上回ったか否かを判断する(ST5)。なお、制御回路20は、バックグラウンド光量信号が閾値範囲を上回っていないと判断した場合には(ST5,NO)、LIBS装置が正常に動作しているものと判断する。
【0048】
バックグラウンド光量信号が閾値範囲を上回るケースとしては、レーザー発振器10がフラッシュランプ励起式のYAGレーザー装置である場合にランプ交換の直後にレーザー出力が徐々に強くなっていく現象が起こった場合と、反応用セルRCに塵などが混入した場合と、少なくとも2通りが考えられる。
【0049】
制御回路20は、バックグラウンド光量信号が閾値範囲を上回ったと判断した場合には(ST5,YES)、レーザー光モニター11から出力されたレーザー光量信号に基づきレーザー発振器10から出射されたレーザー光の光量が増加しているか否かを判断する(ST6)。
【0050】
制御回路20は、レーザー光の光量が増加していると判断した場合には(ST6,YES)、レーザー光量が一定範囲になるようにバリアブルアッテネータ30を制御(つまり、バリアブルアッテネータ30を透過するレーザー光の透過率をダウンさせる)してレーザー光量を調整する(ST7)。
【0051】
一方、制御回路20は、レーザー光の光量が増加していないと判断した場合には(ST6,NO)、反応用セルRCに塵が混入したと判断し、反応用セルRCでの異常を報知するアラームを発生する(ST8)。
【0052】
このように、反応用セルRCで発生したプラズマ発光を正確に検出することが可能となり、特に、測定対象物に含まれる元素に固有のシグナル光を正確に検出することが可能となる。したがって、検出対象である元素の濃度を正確に測定することが可能となる。
【0053】
つまり、反応用セルRCでのプラズマ発光の光量変化が、検出対象元素の濃度変化に起因するものであるか、反応用セルRCに照射されるレーザー光の光量変化に起因するものであるか、あるいは、反応用セルRCでの不具合に起因するものであるかを容易に判別ことが可能となる。このため、反応用セルRCに空気やガスなどを通気させて分析する場合などに塵の管理なども可能となり、分析の信頼性向上にも寄与できる。このように、LIBS法での長時間の安定した分析が可能となる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、正確な分析を可能とするレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置を提供することができる。
【0055】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…LIBS装置
10…レーザー発振器
11…レーザー光モニター
20…制御回路
30…バリアブルアッテネータ
F1…第1フィルター F2…第2フィルター
S1…第1センサー S2…第2センサー
RC…反応用セル
BS1…第1ビームスプリッター BS2…第2ビームスプリッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物質を充填した反応用セルにジャイアントパルスYAGレーザー光を照射して、エアーブレークダウンを発生させ、その測定対象物質に固有のシグナル光を検出するレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置において、
レーザー発振器と、
前記レーザー発振器から出射されたレーザー光を分割する第1ビームスプリッターと、
前記第1ビームスプリッターで分割された一方のレーザー光をモニターしレーザー光量信号を出力するレーザー光モニターと、
前記第1ビームスプリッターで分割された他方のレーザー光が照射されることにより前記反応用セルで発生したプラズマ光を分割する第2ビームスプリッターと、
前記第2ビームスプリッターで分割された一方のプラズマ光のうちバックグラウンド光の発光強度を検出しバックグラウンド光量信号を出力する第1センサーと、
前記第2ビームスプリッターで分割された他方のプラズマ光のうち蛍光の発光強度を検出し蛍光量信号を出力する第2センサーと、
前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号と前記第2センサーから出力された蛍光量信号とに基づいてシグナル光を算出するとともに、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号と前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号とに基づいてレーザー光量を一定範囲になるように制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とするレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項2】
さらに、前記レーザー発振器と前記第1ビームスプリッターとの間に、レーザー光量を調整するバリアブルアッテネータを備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項3】
前記バリアブルアッテネータは、前記制御回路による制御に基づいて回転式ステップモータで駆動される回転ホルダーに入れた濃度可変型NDフィルターを備えた構成、あるいは、前記制御回路による制御に基づいて回転式ステップモータで駆動される回転ホルダーに入れたλ/2板及びその後段に配置したポラライザーを備えた構成であることを特徴とする請求項2に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項4】
さらに、前記第2ビームスプリッターと前記第1センサーとの間に配置されプラズマ光のうちバックグラウンド光を透過する第1透過フィルターと、前記第2ビームスプリッターと前記第2センサーとの間に配置されプラズマ光のうち蛍光を透過する第2透過フィルターと、を備え、
前記第1透過フィルター及び前記第2透過フィルターは、干渉フィルターであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号が閾値範囲を下回った場合には、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号に基づき前記レーザー発振器から出射されたレーザー光の光量が低下しているか否かを判断し、前記レーザー光の光量が低下していると判断した場合にレーザー光量が一定範囲になるように前記バリアブルアッテネータによりレーザー光量を調整することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号が閾値範囲を下回った場合には、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号に基づき前記レーザー発振器から出射されたレーザー光の光量が低下しているか否かを判断し、前記レーザー光の光量が低下していないと判断した場合に前記反応用セルの交換を促すアラームを発生することを特徴とする請求項5に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号が閾値範囲を上回った場合には、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号に基づき前記レーザー発振器から出射されたレーザー光の光量が増加しているか否かを判断し、前記レーザー光の光量が増加していると判断した場合にレーザー光量が一定範囲になるように前記バリアブルアッテネータによりレーザー光量を調整することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1センサーから出力されたバックグラウンド光量信号が閾値範囲を上回った場合には、前記レーザー光モニターから出力されたレーザー光量信号に基づき前記レーザー発振器から出射されたレーザー光の光量が増加しているか否かを判断し、前記レーザー光の光量が増加していないと判断した場合に前記反応用セルでの異常を報知することを特徴とする請求項7に記載のレーザー誘起ブレークダウン分光分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−36779(P2013−36779A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171180(P2011−171180)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】