説明

レーザ光照射装置

【課題】レーザ光を伝達する光導体が、その途中で破損等すると、その破損箇所からレーザ光が洩れ、周辺の人や機器に損傷を与えるような事故を防止する。
【解決手段】レーザ光発生素子10からのレーザ光は、光導体11,ハンドピース12等を通り、光導体13の先端から、被照射部位20に対して非接触にて照射される。光導体13の先端から反射されてくるレーザ光を、反射レーザ光検出手段15にて検出し、該反射レーザ光が所定値以下のとき、レーザ光発生素子10をオフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光照射装置、より詳細には、レーザ光源からのレーザ光を光導体を通して伝達し、該光導体の端面から被治療部位に該レーザ光を照射するレーザ光照射装置において、該レーザ光照射装置が正常であるか否かを監視し、異常であれば、レーザ光源をオフにして、レーザ光照射装置の故障による事故、特に、光導体の破損に起因する事故を防止するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
歯科治療においては、レーザ光を用いた治療が種々提案されており、例えば、齲蝕の予防、歯の漂白、歯髄の診断,処理、根管内の殺菌,消毒,乾燥,処置、歯槽膿漏や口腔炎の鎮痛,消炎、等に広く利用されている。
【0003】
図2は、本発明が適用されるレーザプローブを有する歯科用レーザ光照射装置の一例を説明するための全体概略構成図で、図中、1はレーザ光発生装置、2はレーザ光伝送用光導体ケーブル、3はハンドピースで、周知のように、レーザ光発生装置1内で発生されたレーザ光は光導体ケーブル2を通してハンドピース3に伝達され、該ハンドピース3の先端から延長して突出している光導体4の先端部から放出され、前述のように、種々の歯科治療に用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のごときレーザ光照射装置においては、レーザ光源で発生されたレーザ光は、光導体ケーブル2を、ハンドピース3等を通して、光導体4の先端部から放出され、歯科治療に必要な種々の用途に用いられるが、レーザ光を伝達する光導体2又は4が、その途中で破損等すると、その破損箇所からレーザ光が洩れて危険である。
【0005】
本発明は、上述のごときレーザ光照射装置において、レーザ光伝送用光導体が破損し、そこからレーザ光が洩れ、周辺の人や機器に損傷を与えるような事故を防止することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザ光が導入される光導体とを有し、該光導体の先端から、被照射部位に対して非接触にてレーザ光を照射して歯科治療を行うレーザ光照射装置において、前記光導体の先端から反射されてくるレーザ光を検出する反射レーザ光検出手段を有し、該反射レーザ光が所定値以下のとき、前記レーザ光源をオフすることを特徴としたものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記光導体へ導入されるレーザ光を検出する入力レーザ光検出手段を有し、該入力レーザ光検出手段の出力と前記反射レーザ光検出手段の出力との比が所定値以下のとき、前記レーザ光源をオフすることを特徴としたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記光導体へ導入されるレーザ光を検出する入力レーザ光検出手段を有し、該入力レーザ光検出手段の出力と前記反射レーザ光検出手段の出力との差が所定値以上のとき、前記レーザ光源をオフすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、レーザ光照射装置におけるレーザ光伝送用光導体が破損等し、レーザ光が該レーザ光伝送用光導体から洩れたとしても、その洩れを、光導体先端からの反射レーザ光の減少から判断し、レーザ光源をオフにするようにしたので、レーザ光伝送用光導体の破損に起因する事故を防ぐことができ、より安全なレーザ光照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明によるレーザ光照射装置の一実施例を説明するための要部概略構成図で、図中、10はレーザ光発光素子、11は該レーザ光発光素子10によって発生されたレーザ光が導入され、該導入されたレーザ光が伝送される光導体、12は該光導体11の先端部に設けられたハンドピース、13は該ハンドピース12から延長して突出した光導体で、レーザ光源10で発生されたレーザ光は、光導体11内を通って、ハンドピース12の先端から突出した光導体13(該光導体13は光導体11と一体的でもよく、ハンドピース12内において、光導体11と切り離され、該光導体11とは別体のものでよい)の先端から、例えば、被照射体である歯牙20に向けて放射され、その使用目的に応じて使用される。なお、図1において、1〜4はそれぞれ図2に対応し、1はレーザ光発生装置部、2はレーザ光伝送用光導体ケーブル部、3はハンドピース部、4はハンドピース部3の先端から延長している光導体部を示す。
【0011】
本発明は、上述のごときレーザ光照射装置において、光導体11或いは13が破損等して、レーザ光が洩れたような場合、該洩れたレーザ光によって周囲が加熱され、周辺機器が破損したり、人体に危害を加えたりする等の危険を防止するようにしたものである。
【0012】
図1において、14は半透鏡体で、レーザ光発生素子10からのレーザ光は該半透鏡体14を通して光導体11内に導入され、該光導体11を通して光導体13に導かれ、該光導体13の先端部から放射されるが、その際、その一部が光導体13の先端面13aで反射されて光導体11内を戻ってくる。本発明は、この戻ってきたレーザ光を半透鏡体14で反射し、光センサ15で検出する。光導体13の先端から放射されたレーザ光は、空気中を通って(非接触で)、被治療部位(例えば、歯牙)20に照射され、該被治療部位の治療を行う。この場合、光導体11又は13が破損等していると、その破損箇所からレーザ光が洩れ、光導体13に伝達されるレーザ光が減少し、従って、光導体13の端面13aで反射されるレーザ光も減少する。そのため、光導体13を通して返ってくるレーザ光も減少し、光センサ15の受光量も減少する。従って、レーザ光照射中、この光センサ15の出力を監視し、この光センサ15の出力が所定値以下に低下した時に、レーザ光源10をオフにすると、前述のごとき、レーザ光の漏洩による危険を防止することができる。
【0013】
図1において、16は光導体11に導入されるレーザ光を検出するための光センサで、光導体11に導入される前のレーザ光の一部を半透鏡体14に反射して光センサ16によって検出し、この光センサ16によって検出した入力レーザ光と光センサ15によって検出した反射レーザ光の比又は差を演算し、この比が所定値以下に低下した時、又は、差が所定値より大きくなった時に、レーザ光源をオフにするようにしてもよい。このようにすると、レーザ光源の出力が低いものを使用したような場合にも対応することができ、利用範囲を拡大することができる。
【0014】
上述のように、本発明によると、レーザ光照射装置の光導体先端から反射されて戻ってくるレーザ光を検出することにより、レーザ光伝送用光導体が正常であるか否かを判断し、異常と判断された時にレーザ光源をオフにするようにしたので、光導体の破損等に起因する事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるレーザ装置の一実施例を説明するための要部概略構成図である。
【図2】本発明が適用されるレーザプローブを有する歯科用レーザ装置の一例を説明するための全体概略構成図である。
【符号の説明】
【0016】
1…レーザ光発生装置、2…レーザ光伝送ケーブル、3…レーザ光照射用ハンドピース、4…レーザ光放射用光導体、10…レーザ光発生素子、11…光導体、12…ハンドピース、13…レーザ光照射用光導体、14…半透鏡体、15,16…光センサ、20…被治療体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザ光が導入される光導体とを有し、該光導体の先端から、被照射部位に対して非接触にてレーザ光を照射して歯科治療を行うレーザ光照射装置において、前記光導体の先端から反射されてくるレーザ光を検出する反射レーザ光検出手段を有し、該反射レーザ光が所定値以下のとき、前記レーザ光源をオフすることを特徴とするレーザ光照射装置。
【請求項2】
前記光導体へ導入されるレーザ光を検出する入力レーザ光検出手段を有し、該入力レーザ光検出手段の出力と前記反射レーザ光検出手段の出力との比が所定値以下のとき、前記レーザ光源をオフすることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項3】
前記光導体へ導入されるレーザ光を検出する入力レーザ光検出手段を有し、該入力レーザ光検出手段の出力と前記反射レーザ光検出手段の出力との差が所定値以上のとき、前記レーザ光源をオフすることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−159601(P2007−159601A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355636(P2005−355636)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000150671)株式会社長田中央研究所 (194)
【Fターム(参考)】