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レーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材
説明

レーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材

【課題】 優れたレーザ切断性および一次防錆性を兼備し、かつ視認性、特に白色塗料で書いた文字の視認性に優れた塗装鋼材を提供する。
【解決手段】 鋼材の表面に、乾燥塗膜として、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末およびカーボンブラックからなる着色顔料、或いは黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料の1種以上とカーボンブラックからなる着色顔料を含有し、前記乾燥塗膜表面のマンセル値の明度が7.0以下である塗膜を有する塗装鋼材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたレーザ切断性および一次防錆性を兼備し、かつ視認性、特に白色塗料で書いた文字の視認性に優れた塗装鋼材に関する。
【背景技術】
【0002】
造船、橋梁、建機などのファブリケーターでは、寸法精度が高く(±0.5mm)、部材への熱影響が少なく、さらには無人化レベルの自動化が比較的容易である等の利点から、厚鋼板の切断方法としてレーザ切断の採用が増加している。しかし、レーザ切断には、プラズマ切断と比較すると切断速度が遅い、ガス切断に比べて切断可能板厚が限定されるといった問題点があった。
【0003】
さらには、ファブリケーターで行われる一次防錆処理としてのプライマーにより、レーザ切断速度と切断できる板厚の上限が低下するという問題がある。このメカニズムについては明確になっておらず、各々のファブリケーターで経験的に得られた手法をもとに対処しているのが現状である。その一つに、ファブリケーターで先行焼と称する前処理があり、切断部の塗膜への低出力レーザの事前照射を実施している。この前処理によりレーザ切断性が向上するが、実切断線に沿って2度のレーザ照射を必要とするため、工程的にも、投入エネルギー的にもロスが大きい。このため、経済的な損失も大きい。したがって、上記先行焼のような2度のレーザ照射を行うことなく、レーザ切断性を向上させる前処理に対する要望は高く、現在までに多くの提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、塗膜(プライマー層)に含まれるZnがレーザ切断性に悪影響を及ぼすことに鑑み、防錆剤として添加されている塗膜中のZn量を制限することで、レーザ切断性の向上を図る技術が提案されている。しかしながら、Znは防錆に効果的な元素であり、Zn量を制限することにより塗膜の防錆性は低下するが、特許文献1には、塗膜中のZn量を制限することによる防錆性の低下を補う方法については記載されていない。
【0005】
一方、塗膜の防錆性を向上させる技術に関し、特許文献2には、耐熱・防食塗料としてZn:65〜85wt%、Al:3〜15wt%の混合粉末による高耐食性塗料を用いることにより、塗膜の防食性(防錆性)・耐熱性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、特許文献2で提案された技術では、レーザ切断性について全く考慮されていない。そして、その実施例が示すように、特許文献2で提案された技術では、塗装する際の膜厚を、高耐食性を確保するために75μmという厚い膜厚に設定している。よって、膜厚が多くなることに付随して塗膜に含まれる(Zn+Al)量が多くなるため、レーザ切断性は低いと考えられる。
【0006】
また、特許文献3には、Zn−Al−Mgの合金粉末による高耐食性塗料を用いることにより、塗装金属板の耐食性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、特許文献3で提案された技術では、ZnとAlとMgとを合金粉末化するため、単体のZn粉末、Al粉末を使用する場合と比較して塗料製造コストが上昇する。また、特許文献3で提案された技術においても、レーザ切断性について全く考慮されていない。そして、その実施例が示すように、特許文献3で提案された技術では、塗装する際の膜厚を、高耐食性を確保するために60μmという厚い膜厚に設定している。よって、特許文献2で提案された技術と同様に、塗膜に含まれる(Zn+Al)量が多くなるため、レーザ切断性は低いと考えられる。
【0007】
以上のように、特許文献1で提案された技術では、塗膜中のZn量の低下に伴う防錆性の低下については何ら対策されておらず、Zn量を制限することで防錆性が著しく低下するおそれがある。また、特許文献2および特許文献3で提案された技術では、レーザ切断性については考慮されておらず、かつ塗膜の厚さから推定できる塗膜に含まれる(Zn+Al)量は多量で、レーザ切断性が劣ると考えられる。
【0008】
これらの技術に対し、特許文献4には、プライマーに、亜鉛粉末およびアルミニウム粉末に加えてチタニア粉末を含有させる技術が提案されている。そして、特許文献4で提案された技術によると、プライマーに含まれるチタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末の含有量を適正化することにより、塗装鋼材のレーザ切断性および一次防錆性が向上するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−226846号公報
【特許文献2】特開昭59−221361号公報
【特許文献3】特開2001−164194号公報
【特許文献4】特許第4449938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献4で提案された技術では、白色のチタニア粉末を含むことからプライマー表面が白色化してしまう。そのため、特許文献4で提案された技術では、レーザ切断性および一次防錆性に優れた塗装鋼材が得られるものの、実際の製造工程では、開発鋼材の表面が白色化し、鋼材の履歴を明らかにするために一般的に使用されている白色塗料による製造記号などの文字が判別しにくいという問題があった。また、特許文献4には、着色顔料を添加しても良いとの記述はあるものの、具体的に添加する着色顔料の特徴やその添加量の記載はない。そのため、選択する着色顔料の種類によってはレーザ切断性が低下するという問題が起こった。
【0011】
実際に鋼材を製造または加工する現場では、鋼材の種類や履歴を判別するために白色塗料で鋼材表面に文字や記号を印字されることが一般的に行われており、前記文字や記号の視認性は製造および製作現場で重要な機能の1つである。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、レーザで切断した場合にレーザ切断性が高く、かつ防錆性にも優れ、かつ視認性、特に白色塗料で書いた文字の視認性に優れた塗膜を有する塗装鋼材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく、本発明者らは、特許文献4で提案された技術において、視認性、特に塗装鋼材の表面に記載する鋼材の製造番号等を示す文字の視認性に影響を及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、鋼材の表面に形成される塗膜表面の視認性を高めるために必要な指標として、マンセル値の明度を採用することに想到した。そして、特許文献4で提案された技術、すなわちチタニア粉末、亜鉛粉末およびアルミニウム粉末を含有する塗膜に、更に塗膜表面のマンセル値の明度を7.0以下とする着色顔料を含有させることにより、視認性が飛躍的に向上することを知見した。
【0013】
また、マンセル値を小さくするためには、塗膜に黒色系顔料を添加すればよいが、通常、塗料の黒色系顔料として知られている黒鉛などを使用した場合には、レーザ切断性が著しく低下してしまうことが判った。さらに、種々の黒色系顔料を検討した結果、カーボンブラックであればレーザ切断性を阻害することなく乾燥塗膜表面のマンセル値を7.0以下にできる事を知見した。カーボンブラックは、他の黒色系顔料よりも着色力が強く、塗膜中の含有比率が低い状態であっても着色効果を発現する。したがって、着色顔料としてカーボンブラックを用いる場合には、塗膜に少量の着色顔料を添加することで塗膜表面のマンセル値を7.0以下にすることができ、しかもその添加量が少ないため、塗装鋼材のレーザ切断性を阻害することなく所望のマンセル値とすることができる。また、黒色酸化鉄顔料や黒色焼成顔料は、塗装鋼材のレーザ切断性に及ぼす影響が小さいため、カーボンブラックに加えて更に黒色酸化鉄顔料や黒色焼成顔料を含有する着色顔料であっても、塗装鋼材のレーザ切断性を阻害することなく塗膜表面のマンセル値を7.0以下とすることができる事を知見した。これらの事項は、通常の塗料および塗膜(またはプライマー)では全く問題になる事ではなく、上記のような(特許文献4で提案されたような)レーザ切断性を向上させるために用いられる塗膜(プライマー)固有の問題である。
【0014】
さらに、塗膜中の着色顔料の含有量を適正化することにより、鋼材のレーザ切断性や1次防錆性を損なわず、白色顔料との視認性(白色塗料で書いた文字の視認性)を向上させることが可能であることを知見した。また、塗膜成分中の添加成分量(チタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末の合計量)に対する着色成分(着色顔料)の量を規定する所望の式を満足することにより、着色顔料の含有量の適正範囲が得られることを知見した。
【0015】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1] 鋼材の表面に、乾燥塗膜として、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末およびカーボンブラックからなる着色顔料を含有し、前記チタニア粉末の含有量が4.5g/m2以上26g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が5g/m2以上30g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.1g/m2以上10g/m2以下であり、前記チタニア粉末の含有量をAg/m2、前記亜鉛粉末の含有量をBg/m2、前記アルミニウム粉末の含有量をCg/m2とし、前記カーボンブラックの含有量をXg/m2とした場合、下記(1)式で表されるY1の値が0.020以上0.200以下であり、かつ、前記乾燥塗膜表面のマンセル値の明度が7.0以下である塗膜を有することを特徴とするレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。

Y1=5X/(A+B+C) ・・・ (1)
【0016】
[2] [1]において、前記チタニア粉末の含有量が8.0g/m2以上18g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が13g/m2以上27g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.5g/m2以上1.5g/m2以下、前記カーボンブラックの含有量が0.2g/m2以上1.0g/m2以下であり、前記(1)式で表されるY1の値が0.030以上0.200以下であることを特徴とするレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。
【0017】
[3] 鋼材の表面に、乾燥塗膜として、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末および黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上とカーボンブラックからなる着色顔料を含有し、前記チタニア粉末の含有量が4.5g/m2以上26g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が5g/m2以上30g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.1g/m2以上10g/m2以下であり、前記チタニア粉末の含有量をAg/m2、前記亜鉛粉末の含有量をBg/m2、前記アルミニウム粉末の含有量をCg/m2とし、前記カーボンブラックの含有量をXg/m2、前記黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料の合計含有量をWg/m2とした場合、下記(2)式で表されるY2の値が0.020以上0.200以下であり、かつ、前記乾燥塗膜表面のマンセル値の明度が7.0以下である塗膜を有することを特徴とするレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。

Y2=(5X+W)/(A+B+C) ・・・ (2)
【0018】
[4] [3]において、前記チタニア粉末の含有量が8.0g/m2以上18g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が13g/m2以上27g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.5g/m2以上1.5g/m2以下、前記カーボンブラックの含有量が0.01 g/m2以上1.0g/m2以下、前記黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上の含有量が合計で0.5g/m2以上5.0g/m2以下であり、前記(2)式で表されるY2の値が0.030以上0.200以下であることを特徴とするレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乾燥塗膜がレーザ吸収性の高いチタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末を含有し、かつ乾燥塗膜表面のマンセル値の明度を7.0以下とする着色顔料としてカーボンブラック、或いはカーボンブラックに加えて黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上からなる着色顔料を含有し、これらを適正量含有することにより、優れたレーザ切断性と防錆性とを兼備し、視認性、特に白色塗料で書いた文字の視認性にも優れた塗装鋼材を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の塗装鋼材は、鋼材の表面に、乾燥塗膜として、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末およびカーボンブラックからなる着色顔料を含有し、前記チタニア粉末の含有量が4.5g/m2以上26g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が5g/m2以上30g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.1g/m2以上10g/m2以下であり、前記チタニア粉末の含有量をAg/m2、前記亜鉛粉末の含有量をBg/m2、前記アルミニウム粉末の含有量をCg/m2とし、前記カーボンブラックの含有量をXg/m2とした場合、下記(1)式で表されるY1の値が0.020以上0.200以下であり、かつ、前記乾燥塗膜表面のマンセル値の明度が7.0以下である塗膜を有することを特徴とする。

Y1=5X/(A+B+C) ・・・ (1)
【0021】
ここで、「マンセル値の明度」とは、JIS Z 8721(1993)に定められた色の表示方法における色の明るさの度合いを示す指標である。黒〜灰色〜白の系列を表し、理想的な黒をゼロ、理想的な白を10とし、その間を明度知覚の差がほぼ等しくなるように分割して数字として表したものである。
【0022】
一般に、ショットブラストした鋼材の表面に一次防錆処理としてジンク(Zn)リッチプライマーもしくはジンクプライマーが塗布された鋼材をレーザ切断した場合には、切断速度の低下が生じることが知られている。この際のレーザ切断速度低下のメカニズムは必ずしも明確になっているわけではないが、上記の一次防錆処理として行われる塗膜形成(プライマー塗装)により、(1)塗膜(一次防錆処理剤)によるレーザ吸収率の低下、(2)レーザ切断時の加熱による塗膜(一次防錆処理剤)中のバインダー樹脂や亜鉛粉末の分解や蒸発によるレーザ光の散乱・吸収、(3)発生したガスによるアシストガス(酸素)の分圧の低下等がレーザ切断速度低下の要因であると推定されている。
【0023】
そこで、本発明では、塗装鋼材の塗膜中にレーザ吸収性の高いチタニア(TiO2)粉末を添加してレーザの吸収率を高めることにより上記した(1)の問題を解決し、レーザ切断性を向上させる。
レーザ切断のプロセス初期においては、レーザ光を切断部に集光することにより、その光エネルギーが吸収されて、切断部の温度が局所的に上昇し溶融する。このとき、レーザ吸収性が高いチタニア粉末が含まれる塗膜で切断部を覆うと、光エネルギーが効率的に塗膜に吸収されるので、レーザ切断効率を上昇させることができる。
【0024】
チタニア粉末は、レーザ吸収性および切断溝内から溶融スラグを効率的に排出する効果が極めて高い。そのため、チタニア粉末の添加により、レーザ切断時に発生する溶融スラグの粘性が低下し、切断溝内から溶融スラグが効率的に排出されることにより、切断面の美麗さの向上や切断部裏面に付着するドロスの発生を抑止させることもできる。
また、チタニア粉末は、容易に入手することができるうえ、比較的安価であるため、チタニア粉末を用いる本発明は、安定生産とコスト面でも有利である。
【0025】
このような効果を有効に発揮させるために、本発明では、塗装鋼材の塗膜(乾燥塗膜)に含まれるチタニア粉末の含有量を4.5 g/m2以上26g/m2以下の範囲とする。チタニア粉末の含有量が4.5g/m2未満では、レーザ切断性の向上効果が小さい。一方、チタニア粉末の含有量が26g/m2を超えると、均一な塗膜の形成が阻害され、防錆性向上を妨げるおそれがある。よって、チタニア粉末の含有量は、4.5 g/m2以上26g/m2以下とする。好ましくは、8.0g/m2以上18g/m2以下である。
【0026】
また、上記チタニア粉末としては、市販のチタニア粉末がいずれも使用可能であるが、塗装鋼材の生産性の観点からコーティングチタンを用いることができる。コーティングチタンとは、チタニア粉末の表面に僅かにシリカ、アルミナやジルコニアなどを付着させたチタニア粉末であり、塗料中での顔料の分散性を向上させるため、塗料の凝集などの問題が改善されるとともに塗装工程での作業性が改善される。すなわち、本発明において、チタニア粉末としてコーティングチタンを用いると、塗料調製時にダマになり難くなり、容易に均質な塗料を得ることができるため、生産性が向上する。また、チタニア粉末としてコーティングチタンを用いると、塗料中のチタニア粉末の分散性が高まるため、より均質な塗装膜となり、塗装鋼材のレーザ切断性の向上効果も期待できる。
【0027】
亜鉛(Zn)粉末は、一次防錆性の向上に極めて効果的な成分である一方、上記した問題(2)および(3)の原因となる成分でもある。ここで、上記した問題(2)および(3)を解消する目的で、塗膜に含まれる亜鉛粉末の添加量を少なくすると、一次防錆性が低下し、新たな問題を招来する。そこで、本発明では、塗膜の亜鉛粉末含有量を抑制するとともに、一次防錆性の向上効果を有するアルミニウム(Al)粉末を添加する。
【0028】
アルミニウム粉末が塗膜に含まれていても、レーザ切断時にこれらが分解・蒸発してレーザ切断性に悪影響を及ぼすことは少ない。そのため、塗膜に亜鉛粉末とともにアルミニウム粉末を添加することにより、上記した(2)および(3)の問題を引き起こさずに一次防錆性を確保する。
【0029】
レーザ切断性と防錆性を確保する観点からは、塗膜(乾燥塗膜)に含まれる亜鉛粉末の含有量を5 g/m2以上30g/m2以下とすることが好ましい。亜鉛粉末の含有量が5g/m2未満では、アルミニウム粉末を添加しても塗装鋼材の防錆性が不十分となるおそれがある。一方、亜鉛粉末の含有量が30g/m2を超えると、チタニア粉末を添加してもレーザ切断性が不十分となるおそれがある。したがって、亜鉛粉末の含有量は、5 g/m2以上30g/m2以下とする。好ましくは13g/m2以上27g/m2以下である。
【0030】
また、アルミニウム粉末は、亜鉛粉末の添加量を低減することに起因した防錆性の低下を抑制する目的で添加されるが、塗膜(乾燥塗膜)に含まれるアルミニウム粉末の含有量が0.1g/m2未満ではその効果が十分に発現しないおそれがある。一方、アルミニウム粉末の含有量が10g/m2を超えると、均一な塗膜の形成が阻害され、かえって防錆性を低下させるおそれがある。このため、アルミニウム粉末の含有量は0.1 g/m2以上10g/m2以下とする。好ましくは0.5g/m2以上1.5g/m2以下である。
【0031】
以上により、本発明では、レーザ切断性が高く、かつ防錆性にも優れた塗装鋼材が得られる。しかしながら、このままではチタニア粉末の添加に起因して塗膜表面(乾燥塗膜表面)が白色化するため、鋼材の履歴を明らかにするために一般的に使用されている白色塗料を用いた製造記号の文字が判別し難い。ここで、上記のようにして得られた白色化した塗膜を有する塗装鋼材表面の明度を測定したところ、マンセル値の明度で7.5程度であることが確認された。
【0032】
そこで、本発明者らは、白色塗料でかかれた文字を目視によって容易に判別できるための鋼材表面のマンセル値について検討したところ、7.0以下にする必要があることを知見した。以上の理由により、本発明では、鋼材に形成される塗膜を、チタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末に加えて更に、塗膜表面のマンセル値の明度を7.0以下とする着色顔料を含有する塗膜とする。
【0033】
このように、マンセル値の明度を7.0以下にすれば、一般的に用いられているジンク(Zn)リッチプライマーもしくはジンクプライマーによる塗膜と同等の灰色系統の色調を有する塗膜表面(塗装鋼材表面)とすることができ、延いては塗装鋼材表面に白色塗料を用いた製造記号の文字等を付した場合においても、容易に文字を判別することができる。なお、視認性の観点からは、上記マンセル値の明度を6.5以下とすることが好ましい。但し、上記マンセル値の明度が5.0未満になると、塗膜を構成する成分のうち白色であるチタニア粉末の含有量を低減することを余儀なくされ、チタニア粉末の含有量の低減化に伴いレーザ切断性が劣化することが懸念される。したがって、上記マンセル値の明度は5.0以上7.0以下とすることが好ましい。また、5.5以上6.5以下とすることがより好ましい。
【0034】
本発明において乾燥塗膜表面のマンセル値の明度を7.0以下、好ましくは5.0以上7.0以下とするために用いられる黒色系着色顔料は、上記したように特定の種類のみに限られる。本発明者らの知見によると、通常、塗料に黒色系顔料として添加される黒鉛や黒色有機顔料など、主成分として炭素を含有する着色顔料を用いると、塗装鋼材のレーザ切断性が低下する傾向にある。これは、主成分として炭素が含有する着色顔料が塗膜に含まれると、レーザ切断時の酸化反応でCOガス/CO2ガスが発生し、切断部分の酸素分圧を低下させて切断能力が低下するためであると推測される。したがって、黒鉛や黒色有機顔料などは、本発明で用いる着色顔料には適さない。
【0035】
しかしながら、主成分として炭素を含有する着色顔料であっても、塗膜中に含まれる含有量が微量であれば、塗装鋼材のレーザ切断性の劣化を抑制することができる。そこで、本発明では、着色力の強いカーボンブラックを着色顔料として用いることとする。着色顔料としてカーボンブラックを用いる場合には、塗膜に微量の着色顔料を添加することで、乾燥塗膜表面のマンセル値を低下させることができ、且つ、塗膜中の添加量が微量ゆえ、塗装鋼材のレーザ切断性は良好な状態に維持される。
【0036】
以上のように、本発明では、鋼材に形成される塗膜を、チタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末に加えて更に、乾燥塗膜表面のマンセル値の明度を7.0以下とする特定の着色顔料を含有する塗膜とすることにより、レーザ切断性、防錆性に優れるとともに、視認性、特に白色塗料で書いた文字の視認性にも優れた塗装鋼材を得ることができる。
【0037】
また、着色顔料の添加量は、塗膜(乾燥塗膜)に含まれるチタニア粉末をAg/m2、亜鉛粉末をBg/m2、アルミニウム粉末をCg/m2とし、カーボンブラック(着色顔料)をXg/m2とした場合、(1)式:Y1=5X/(A+B+C)で表されるY1の値が0.020以上0.200以下となるようにする。Y1の値、すなわち、塗膜(乾燥塗膜)中に含有される白色系の物質であるチタニア粉末、亜鉛粉末、アルミナ粉末の合計含有量とカーボンブラック(着色顔料)の含有量の比が0.020以上であると、マンセル値の明度が7.0以下となり、視認性が向上する。好ましくは0.030以上である。
【0038】
一方、上記Y1の値が0.200を超えると、レーザ切断性が低下する場合がある。なお、この原因は定かではないが、塗装鋼材表面でレーザ吸収性が高いチタニアの存在比率が低下するためと推定される。また、上記Y1の値が0.200を超えると、耐食性(防錆性)が劣化する場合もある。したがって、上記Y1の値を0.200以下とする。好ましくは0.100以下である。
【0039】
また、カーボンブラック(着色顔料)を0.2g/m2以上添加すると鋼板に白色塗料で文字等を記した際の視認性がより一層向上し、一方、1.0g/m2を超えて添加すると耐食性やレ−ザ切断性に悪影響を与える場合があるため、塗膜(乾燥塗膜)に含まれるカーボンブラック(着色顔料)の含有量を0.2g/m2以上1.0g/m2以下とし、前記(1)式で表されるY1の値を0.030以上0.200以下とすることが好ましい。
なお、上記のようにカーボンブラックは塗膜中の含有比率が低い状態で着色効果を有するが、その含有量が少なすぎると若干のムラが生じる場合がある。このようなムラを抑制して乾燥塗膜表面の色調を安定させるうえでは、上記マンセル値の明度を6.7以下とすることが好ましい。
【0040】
以上、着色顔料としてカーボンブラックを用いる場合について述べてきたが、本発明では、カーボンブラックに加えて更に黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上を含む着色顔料を用いることもできる。先述のとおり、主成分として炭素を含有する着色顔料を用いると、レーザ切断時の酸化反応でCOガス/CO2ガスが発生することに起因して塗装鋼材のレーザ切断性が劣化するが、黒色酸化鉄顔料や黒色焼成顔料は炭素を主成分としないため塗装鋼材のレーザ切断性に与える影響は少ない。
【0041】
黒色酸化鉄顔料や黒色焼成顔料は複合酸化物顔料と呼ばれることもあり、例えば、Fe3O4系、Fe-Cr系、Fe-Cr-Ni-Mn系、Co-Fe-Cr系やCu-Cr-Mn系など多数知られているが、本発明ではそれらに限られず、炭素および有機物がほとんど含まれていない無機成分主体のものであれば使用することができる。
【0042】
カーボンブラックに加えて更に黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上を含む着色顔料を用いる場合には、上記(1)式に代えて(2)式:Y2=(5X+W)/(A+B+C)で表されるY2の値が0.020以上0.200以下となるようにする。ここで、(2)式において、Aは塗膜中のチタニア粉末含有量(g/m2)、Bは塗膜中の亜鉛粉末含有量(g/m2)、Cは塗膜中のアルミニウム粉末含有量(g/m2)、Xは塗膜中のカーボンブラック含有量(g/m2)であり、Wは黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上の含有量(g/m2)である。すなわちWは、着色顔料としてカーボンブラックと黒色酸化鉄顔料を用いる場合は黒色酸化鉄顔料の含有量、着色顔料としてカーボンブラックと黒色焼成顔料を用いる場合は黒色焼成顔料の含有量、着色顔料としてカーボンブラックと黒色酸化鉄顔料と黒色焼成顔料を用いる場合は黒色酸化鉄顔料と黒色焼成顔料の合計含有量を意味する。
【0043】
Y2の値、すなわち、塗膜(乾燥塗膜)中に含有される白色系の物質であるチタニア粉末、亜鉛粉末、アルミナ粉末の合計含有量と着色顔料の含有量の比が0.020以上であると、マンセル値の明度が7.0以下となり、視認性が向上する。好ましくは0.030以上である。一方、上記Y2の値が0.200を超えると、レーザ切断性が低下する場合や、耐食性評価において着色顔料である黒色酸化鉄による赤錆発生が目視で観察される場合がある。なお、これらの原因は定かではないが、塗装鋼材表面でレーザ吸収性が高いチタニアの存在比率が低下するためと推定される。また、上記Y2の値が0.200を超えると、耐食性(防錆性)が劣化する場合もある。したがって、上記Y2の値を0.200以下とする。好ましくは0.170以下である。
【0044】
また、カーボンブラックの含有量(X)を0.01g/m2以上とし、黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上の含有量(W)を0.5g/m2以上とすると、鋼板に白色塗料で文字等を記した際の視認性がより一層向上し、一方、カーボンブラックの含有量(X)が1.0g/m2超になると、耐食性やレ−ザ切断性に悪影響を与える場合があり、また黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上の含有量(W)が5.0g/m2超になると視認性の向上効果はさほど向上しないにもかかわらず原料コストが大きくなるなどの不利な点があるため、塗膜(乾燥塗膜)に含まれるカーボンブラックの含有量(X)を1.0g/m2以下とし、黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上の含有量(W)を5.0g/m2以下とし、前記(2)式で表されるY2の値を0.03以上0.200以下とすることが好ましい。
【0045】
また、レーザ切断における切断部分では、吹き込まれた酸素による酸化反応で切断されるが、この酸化反応は鋼材表面に形成された塗膜中の成分に左右される。レーザ切断時の酸化反応に悪影響を及ぼす成分としては、レーザ切断時にガス化するもの、例えば亜鉛やCO/CO2ガスの発生源となるカーボンを主成分とした黒鉛、黒色有機顔料、多量含有のカーボンブラックなどが挙げられる。これらの成分が塗膜中に含まれていると、レーザ切断時に該成分がガス化することで酸素分圧の低下をもたらし、レーザ切断性が低下するものと推測される。また、これらの成分はガス化してレーザ切断時の酸化反応に悪影響を及ぼすことより、酸素ガスとの体積分率がレーザ切断性に影響すると想定される。
【0046】
そこで、上記の如くガス化する成分について、各成分のガス状態での体積すなわちモル換算して相対的に比較し、その悪影響の度合いを考察した。一方、塗膜成分のうち、チタニアはレーザ吸収性を向上し切断性向上をするため、レーザ切断性に良好に働く因子として考え、実験結果を元にこれらの成分のレーザ切断性への影響を示す以下の指標Zを得た。
【0047】
Z=0.25×B/65.37+4×(X+W')/12−1.5×A/80
A:乾燥塗膜中に含まれるチタニア粉末の含有量(g/m2
B:乾燥塗膜中に含まれる亜鉛粉末の含有量(g/m2
X:乾燥塗膜中に含まれるカーボンブラックの含有量(g/m2
W':乾燥塗膜中に含まれるカーボンブラック以外の有機系黒色顔料
(すなわち、炭素を主成分とする黒色顔料であってカーボンブラック以外のもの)の含有量(g/m2
また、後述する実施例が示すとおり、レーザ切断性と上記Zの値には相関がみられ、上記Zの値が0.1以下の場合にレーザ切断性が良好となり、上記Zの値が0以下になると更に良好なレーザ切断性が得られることが明らかになった。
【0048】
なお、本発明では、カーボンブラックからなる着色顔料、或いは黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上とカーボンブラックからなる着色顔料を用いるが、これらの着色顔料にはカーボンブラック、黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のほか、本発明の効果を妨げない範囲で他の成分(例えば、ベンガラ等)を含んでもよい。
また、特に好適な例としては、塗膜が、アルキルシリケート系の樹脂をバインダーとしたものである。
このようにして、レーザ切断性の低下抑制効果が極めて高く、かつ一次防錆性も極めて良好に保つことができ、さらに、白色塗料で書いた文字の視認性も向上できる
【0049】
以上のように、レーザ吸収性が高いチタニア粉末を含む本発明の塗膜は、亜鉛粉末の塗膜や亜鉛粉末にアルミニウム粉末が添加された従来の塗膜とは、レーザ切断のプロセスにおいてレーザ光の光エネルギーを効率的に吸収し、溶融スラグの排出を容易にするという機能が付加されている点において、本質的に異なる塗膜である。そして、本発明の塗膜は、着色顔料添加においても如何なる種類の着色顔料でも良いというものではなく、白色顔料との視認性を確保するためにマンセル値の明度を7.0以下とする着色顔料であり、強い着色力を有するカーボンブラック、或いはカーボンブラックに加えて更に炭素を主成分としない黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料の一種以上からなる着色顔料であることを特徴としており、従来の技術とは異なり、かつ従来の技術からでは推測できなかった塗膜であるといえる。
【0050】
チタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末としては、アトマイズ法や機械的粉砕法などによって加工されたものを用いることができ、平均粒径が15μm以下に制御されたものが望ましい。これら粉末は、必要に応じて、塗料中での分散性を高めるためのAl、Zr、ポリオールなどによる表面処理をしてもよい。これら粉末とバインダー樹脂以外の塗料添加剤としては、分散剤、湿潤剤、消泡剤、沈殿防止剤、増粘剤などを必要に応じて適宜添加してもよい。
また、本発明の塗装鋼材の下地の鋼材は、特に限定されるものではないが、板厚25mm程度までの鋼板に一般的に用いられる。
【0051】
上述のような塗装鋼材に用いられる塗料の調合方法およびこの塗料の鋼材への塗装方法の例を以下に説明する。
まず、JIS K 5552に定める塗料液中に、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末を投入し、さらに、所定の着色顔料を投入して、シェーカーマシンなどにより十分に混合・撹拝し、塗料を調合する。次に、調合した塗料を、例えばエアスプレー式塗装装置により、鋼板に、乾燥後の塗膜中のチタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末および着色顔料の各々の含有量が所望の含有量となるようにスプレーの吐出量とスプレー速度を調整してスプレーすることにより、塗装鋼材が得られる。
【0052】
なお、鋼板への塗装に際しては、実際に塗装する環境、例えば室温に応じてシンナーにより塗料の粘度を調整して使用することが考えられる。シンナーにより塗料の粘度を調整する場合にも、乾燥後の塗膜中のチタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末および着色顔料の各々の含有量が所望の含有量になるように塗料組成を調整し、所望の塗膜を形成することができる。
【実施例】
【0053】
JIS K 5552(2002)ジンクリッチプライマーに相当する市販のジンクリッチプライマー(アルキルシリケート系のバインダー樹脂とシンナーからなる塗料液とZn粉末とからなる)を使用し、アルキルシリケート系のバインダー樹脂とシンナーからなる塗料液にチタニア粉末、亜鉛粉末、アルミニウム粉末を添加して混合し、さらに着色顔料を添加、分散して塗膜用塗料を調合して、鋼材表面にスプレー塗装した。上記塗膜用塗料を調合するに際しては、塗膜形成後、乾燥塗膜中のチタニア粉末含有量、亜鉛粉末含有量、アルミニウム粉末含有量および着色顔料含有量が表1に示す値となるように調合した。
【0054】
下地の鋼材としては、溶接構造用圧延鋼材のSM490A級であり、200mm×100mm×厚さ12mmの寸法を有し、表面にショットブラスト処理を施したものを用いた。
【0055】
このようにして得られた塗装鋼材について、以下の手法にしたがいレーザ切断性、防錆性、視認性の評価を行った。
<レーザ切断性>
得られた各種の塗装鋼材について、レーザ切断により切断性試験を行った。レーザ切断は、三菱電機株式会社製炭酸ガスレーザ装置を用いて、出力2.1kWでアシストガスとして酸素を0.1MPaにて噴射し、レーザ切断速度1100mm/minで切断したときのレーザ切断面性状を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
◎:最も良好な切断面であり、ドロスの発生が皆無または極微量で、切断面が
整っている状態。
○:ほぼ良好な切断面であり、一部でドロスが発生したが、切断面が整っている
状態。
△:切断線の総延長の50%以上にドロスが発生したが、完全に切断できていた
状態。
×:切断線のほぼ全面にドロスが発生し、一部が切断不能であった状態。
なお、ドロスとは、切断時にレーザ照射面と反対側の表面の切断線に沿って発生するガスを内包した溶融金属が冷えて固化した付着物のことである。
【0056】
<防錆性>
防錆性は、JIS K 5552(2002)ジンクリッチプライマーに準拠して塩水噴霧試験で評価した。得られた各種の塗装鋼材について、JIS K 5552(2002)に定める塩水噴霧試験により赤錆が発生するまでの日数を測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:赤錆が発生するまでの日数が30日以上(優秀)。
○:赤錆が発生するまでの日数18日以上30日未満(良好)。
×:赤錆が発生するまでの日数18日未満(不良)。
【0057】
<視認性>
得られた各種の塗装鋼材に、8cm×10cmの大きさで「8」および「3」という文字を白色塗料で書き、その面の照度が300ルクスになるようにして、視力1.2の人間が10m離れた場所、6m離れた場所および2m離れた場所から観察し、文字の読み易さを評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:10m離れた場所から文字が区別して読める場合。
○:10m離れた場所から文字を区別して読むことが困難であるが、6m離れた場所
から文字を区別して読める場合。
×:2m離れた場所まで近寄らないと文字を区別して読めない場合。
【0058】
また、上記レーザ切断性評価、防錆性評価、視認性評価の3つの特性評価が何れも「◎」であるものを総合評価「◎」とし、上記3つの特性評価が「◎」または「○」であるものを総合評価「○」とし、上記3つの特性評価のうち1つでも「×」または「△」であるものを総合評価「×」とした。
これらの評価結果を、表2に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
本発明例である塗装鋼材No.1〜9、18〜21は、本発明に従って鋼板表面に塗膜を形成したものであるが、これらは白色塗料で書いた文字の視認性にも優れ、レーザ切断面性状は◎か○であり、塩水噴霧赤錆発生日数は14日以上であった。
【0062】
これに対して、比較例である塗装鋼材No.10〜17、22、23は本発明の範囲から外れるものであり、視認性、レーザ切断性、もしくは耐食性のいずれかが、不十分なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のレーザ切断性と一次防錆性に優れ、かつ白色塗料で書いた文字の視認性に優れた塗装鋼材は、造船、橋梁、建築等に使用される鋼板に広く適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材の表面に、乾燥塗膜として、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末およびカーボンブラックからなる着色顔料を含有し、前記チタニア粉末の含有量が4.5g/m2以上26g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が5g/m2以上30g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.1g/m2以上10g/m2以下であり、前記チタニア粉末の含有量をAg/m2、前記亜鉛粉末の含有量をBg/m2、前記アルミニウム粉末の含有量をCg/m2とし、前記カーボンブラックの含有量をXg/m2とした場合、下記(1)式で表されるY1の値が0.020以上0.200以下であり、かつ、前記乾燥塗膜表面のマンセル値の明度が7.0以下である塗膜を有することを特徴とするレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。

Y1=5X/(A+B+C) ・・・ (1)
【請求項2】
前記チタニア粉末の含有量が8.0g/m2以上18g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が13g/m2以上27g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.5g/m2以上1.5g/m2以下、前記カーボンブラックの含有量が0.2g/m2以上1.0g/m2以下であり、前記(1)式で表されるY1の値が0.030以上0.200以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。
【請求項3】
鋼材の表面に、乾燥塗膜として、チタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末および黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上とカーボンブラックからなる着色顔料を含有し、前記チタニア粉末の含有量が4.5g/m2以上26g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が5g/m2以上30g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.1g/m2以上10g/m2以下であり、前記チタニア粉末の含有量をAg/m2、前記亜鉛粉末の含有量をBg/m2、前記アルミニウム粉末の含有量をCg/m2とし、前記カーボンブラックの含有量をXg/m2、前記黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料の合計含有量をWg/m2とした場合、下記(2)式で表されるY2の値が0.020以上0.200以下であり、かつ、前記乾燥塗膜表面のマンセル値の明度が7.0以下である塗膜を有することを特徴とするレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。

Y2=(5X+W)/(A+B+C) ・・・ (2)
【請求項4】
前記チタニア粉末の含有量が8.0g/m2以上18g/m2以下、前記亜鉛粉末の含有量が13g/m2以上27g/m2以下、前記アルミニウム粉末の含有量が0.5g/m2以上1.5g/m2以下、前記カーボンブラックの含有量が0.01g/m2以上1.0g/m2以下、前記黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料のうちのいずれか1種以上の含有量が合計で0.5g/m2以上5.0g/m2以下であり、前記(2)式で表されるY2の値が0.030以上0.200以下であることを特徴とする請求項3に記載のレーザ切断性、一次防錆性および視認性に優れた塗装鋼材。

【公開番号】特開2013−72054(P2013−72054A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213831(P2011−213831)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】