説明

レーザ加工ヘッド

【課題】コリメーションレンズ装置、曲率可変ミラーを備えた構成であって、コンパクト化を図ることのできるレーザ加工ヘッドを提供する。
【解決手段】光ファイバー7の出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ装置19と、上記平行光線化されたレーザ光のビーム径を調節するための曲率可変ミラー45と、この曲率可変ミラー45によって反射されたレーザ光を集光レンズ方向へ屈曲するための第1ベンドミラー51Aとを備えたレーザ加工ヘッドであって、前記コリメーションレンズ装置19、このコリメーションレンズ装置19で平行光線化されたレーザ光を前記曲率可変ミラー45へ反射する第2ベンドミラー47A及び前記曲率可変ミラー45を同一平面内に配置して備え、前記コリメーションレンズ装置19と前記曲率可変ミラー45とを近接して備えると共に、前記第2ベンドミラー47Aを、前記コリメーションレンズ装置19、前記屈曲可変ミラー45よりも前記第1ベンドミラー51Aに近接して配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工を行うレーザ加工ヘッドに係り、さらに詳細には、光ファイバーを接続したレーザ加工ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーを接続したレーザ加工ヘッドは、光ファイバーから出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ装置を備え、このコリメーションレンズ装置によって平行光線化された後のレーザ光を、集光レンズによって集光してワークの加工位置へ照射する構成が一般的である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−85481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバーを接続した従来のレーザ加工ヘッドは、前記特許文献1に記載されているように、光ファイバー、この光ファイバーの出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ装置及び集光レンズは上下方向の直線の光軸上に配置してある。したがって、前記コリメーションレンズ装置におけるコリメーションレンズを光軸方向に移動調節することにより、平行光線化したレーザ光の径を調節することができるものの、コリメーションレンズを大きく移動する構成にすると、構造的に大きくなり、かつ重量大となるので、加工ヘッドを高速で移動することが難しくなるという問題がある。また、ビーム径を調節する際の応答速度が比較的遅いという問題がある。
【0005】
そこで、前記コリメーションレンズ装置と集光レンズとの間の光路中に、曲率可変ミラーを配置して、この曲率可変ミラーにおける反射面の曲率を調節して、前記集光レンズへ入射されるレーザ光のビーム径を調節する構成とすることも考えられる。しかし、前記曲率可変ミラーは、当該曲率可変ミラーに対するレーザ光の入射角及び反射角を小さくしなければならないという制約がある。したがって、前述した特許文献1に記載のごとき構成のレーザ加工ヘッドに曲率可変ミラーを適用しようとすると、レーザ加工ヘッドの上下方向の寸法が大きくなることや、コリメーションレンズ装置から集光レンズに至る光路が立体的になり大型化になり易い等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、光ファイバーの出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ装置と、上記平行光線化されたレーザ光のビーム径を調節するための曲率可変ミラーと、この曲率可変ミラーによって反射されたレーザ光を集光レンズ方向へ屈曲するための第1ベンドミラーとを備えたレーザ加工ヘッドであって、前記コリメーションレンズ装置、このコリメーションレンズ装置で平行光線化されたレーザ光を前記曲率可変ミラーへ反射する第2ベンドミラー及び前記曲率可変ミラーを同一平面内に配置して備え、前記コリメーションレンズ装置と前記曲率可変ミラーとを近接して備えると共に、前記第2ベンドミラーを、前記コリメーションレンズ装置、前記屈曲可変ミラーよりも前記第1ベンドミラーに近接して配置してあることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、前記コリメーションレンズ装置においてコリメーションレンズを保持したレンズホルダに、レーザ加工ヘッド内に供給されたパージエアーを流通するための気体通路を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、レーザ加工ヘッド内へ常にパージエアーを供給するパージエアー供給手段を備えると共に、前記レーザ加工ヘッド内の圧力を大気圧以上に保持しつつ常にパージエアーの排出を行うパージエアー排出手段を前記レーザ加工ヘッドに備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、前記光ファイバーは、当該光ファイバーの断線を電気的に検出するための導線を備えた構成であり、かつ前記レーザ加工ヘッドに、レーザ加工位置からの反射光の有無を検出して光学的に光ファイバーの断線を検出するための光学センサを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光ファイバーの出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ装置、曲率可変ミラー、この曲率可変ミラーによって反射されたレーザ光を集光レンズ方向へ屈曲するための第1ベンドミラーを同一平面内に配置してあるので、全体的構成のコンパクト化を図ることができる。また、コリメーションレンズ装置と曲率可変ミラーとを近接して備え、コリメーションレンズ装置からのレーザ光を曲率可変ミラーへ反射する第2ベンドミラーも前記同一平面内に配置してあり、かつ第1ベンドミラーに近接して配置してあることにより、さらにコンパクト化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザ加工ヘッド及びその使用形態を概念的、概略的に示した平面説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレーザ加工ヘッドの斜視説明図である。
【図3】上記レーザ加工ヘッドの平断面説明図である。
【図4】コリメーションレンズ装置の断面説明図である。
【図5】コリメーションレンズを保持したレンズホルダの断面説明図である。
【図6】光ファイバーの構成を概念的、概略的に示した説明図である。
【図7】光ファイバーの断線を判別する構成を概念的に示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、平面図として概念的、概略的に示すように、本発明の実施形態に係るレーザ加工ヘッド1は、レーザ加工される板状のワーク(図示省略)を支持するワークテーブル3に対して前後方向であるY軸方向へ移動位置決め自在な門形のキャリッジベース5に、左右方向であるX軸方向へ移動位置決め自在に支持されている。そして、前記レーザ加工ヘッド1には光ファイバー7が接続してある。
【0013】
前記レーザ加工ヘッド1は、前記キャリッジベース5にX軸方向へ移動自在に備えられたスライドベース8(図2参照)上に装着されたレーザ加工ヘッドハウジング9を備えている。上記レーザ加工ヘッドハウジング9は、当該レーザ加工ヘッドのほぼ四角形状の中央部9CからY軸方向前方向(図3において左方向)へ突出した前方向突出部11を備えると共にY軸方向後方向(図3において右方向)へ突出した後方向突出部13を備えている。さらに、前記レーザ加工ヘッドハウジング9は、前記後方向突出部13に近接した状態でもってX軸方向の左右方向へ突出した左右方向突出部15を備えている。
【0014】
そして、前記左右方向突出部15のY軸方向の後面には、前記光ファイバー7の出射端側に取付けた端部取付部材17をボルトなどのごとき取付具を介して取り外し可能に接続したコリメーションレンズ装置19が前記後方向突出部13に隣接して装着してある。より詳細には、前記コリメーションレンズ装置19は、前記左右方向突出部15のY軸方向の後面にボルト等の取付具を介して着脱可能に取付けたコリメーションハウジング21を備えており、このコリメーションハウジング21には、前記端部取付部材17を取付けた筒状の出射端側支持部材23が一体的に備えられている。
【0015】
そして、前記コリメーションハウジング21内には、図4に詳細に示すように、移動パイプ部材25が軸方向へ位置調節可能に備えられている。より詳細には、前記コリメーションハウジング21は先端側ハウジング27Aと基端側ハウジング27Bとの間に、リング状のウォームホイール29を回転自在に内装したギアハウジング27Cを備えた構成であって、前記移動パイプ部材25の先端側は、前記先端側ハウジング27Aの先端部にボルト等のごとき取付具を介して取付けたリングホルダ31に摺動自在に支持されている。そして、前記移動パイプ部材25の先端側外周面と前記リングホルダ31との間にはシール部材が介在してある。
【0016】
前記移動パイプ25の基端部側は前記基端側ハウジング27B内に摺動自在に嵌入してあり、この基端側外周面と前記基端側ハウジング27Bの内周面との間にはシール部材が介在してある。前記移動パイプ部材25を軸方向に移動するために、前記移動パイプ部材25の外周面に形成した雄ねじ部25Sには、リング状の前記ウォームホイール29の内周面に形成した雌ねじ部29Sが相対的に移動自在に螺合してある。
【0017】
そして、前記ウォームホイール29には、前記ギアハウジング27Cに装着したモータM1によって回転されるウォームギア33(図3参照)が噛合してある。前記ウォームホイール29の回転時に、前記移動パイプ部材25の回転を阻止するために、前記移動パイプ部材25の外周面には長手方向のキー溝25Kが形成してあり、このキー溝25Kには、前記先端側ハウジング27Aに取付けたキー35が相対的に移動可能に係合してある。
【0018】
したがって、前記モータM1を正逆回転駆動すると、前記ウォームギア33を介して前記ウォームホイール29が正回転、逆回転されることになる。よって、前記移動パイプ部材25は、当該移動パイプ部材25の軸方向(図4において左右方向)へ移動することができ、軸方向への移動位置を調節することができるものである。
【0019】
前記移動パイプ部材25の基端部(図4において右端部)には、前記光ファイバー7の出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ37を備えたレンズホルダ39が着脱交換可能に備えられている。
【0020】
より詳細には、前記レンズホルダ39は、図5に詳細に示すように、前記移動パイプ部材25の基端部側内周面に形成した雌ねじ部に着脱可能に螺合する雄ねじ部41Sを備えた環状のホルダ本体41Aと、前記コリメーションレンズ37を前記ホルダ本体41A内に固定保持するための環状のサブホルダ本体41Bとを備えている。このサブホルダ本体41Bは、ボルト等のごとき固定具によって取り外し可能に固定してある。そして、前記ホルダ本体41Aには、前記移動パイプ25内を流れてきたパージエアーを通すための気体通路41Cが周方向の複数箇所に備えられている。
【0021】
そして、前記気体通路41Cを通過したパージエアー(冷却流体)を外部へ排出するために、図4に示すように、前記出射端側支持部材23又は前記基端側ハウジング27Bの適宜位置にはパージエアー排出手段43が備えられている。上記パージエアー排出手段43は排気孔に形成してあり、この排気孔にはフィルタを内装した排気管43A(図2参照)が取付けてある。なお、前記レーザ加工ヘッドハウジング9内は、パージエアー供給手段(図示省略)から供給されるパージエアーによって大気圧よりも高圧に保持されており、前記排気管43Aからはパージエアーが常に排気されているものである。
【0022】
前記構成により、パージエアー供給手段(図示省略)から前記移動パイプ部材25内へ供給されたパージエアーは、レンズホルダ39における気体通路41C内を流れてパージエアー排出手段43から外部へ常に排気されることになる。したがって、パージエアーによってレンズホルダ39が冷却されると共にコリメーションレンズ37の冷却を効果的に行うことができるものである。なお、前記構成においては、気体通路41Cを穴に形成した場合について例示してあるが、気体通路41Cは溝に形成することも可能である。また、気体通路41Cの穴を、コリメーションレンズ37に近接した位置に開口し、コリメーションレンズ37に接触してコリメーションレンズ37を直接的に冷却した後のパージエアーを排気する構成とすることも可能である。
【0023】
再び図3を参照するに、前記後方向突出部13には、曲率可変ミラー45が装着してある。この曲率可変ミラー45は、凹面状の反射面を備えた反射鏡の背面に備えた圧力室内の圧力を調節することによって、前記反射面の曲率を変更することができる構成である。なお、この種の曲率可変ミラー45は公知の構成であるから、曲率可変ミラー45の構成についての詳細な説明は省略する。
【0024】
前記レーザ加工ヘッドハウジング9内において、前記コリメーションレンズ装置19の指向方向に対向した位置、すなわち前記左右方向突出部15の前壁には、当該コリメーションレンズ装置19によって平行光線化されたレーザ光を反射するベンドミラー47Aを備えたミラーユニット47が傾斜して着脱可能に装着されている。また、前記レーザ加工ヘッドハウジング9の中央部9Cには、前記ベンドミラー47Aから反射されたレーザ光を、前記曲率可変ミラー45に対して小さな入射角で入射するためのベンドミラー49Aを備えたミラーユニット49が備えられている。そして、前記レーザ加工ヘッドハウジング9における前記前方向突出部11の端部には、前記曲率可変ミラー45において反射されたレーザ光を垂直下方向へ反射するベンドミラー51Aを備えたミラーユニット51が備えられている。
【0025】
前記コリメーションレンズ装置19、ベンドミラー47A,49A,51A及び曲率可変ミラー45は同一平面内に配置して備えられている。そして、前記コリメーションレンズ装置19と曲率可変ミラー45は互に近接して配置してあり、前記ベンドミラー47A,49Aは、前記コリメーションレンズ装置19、曲率可変ミラー45と前記ベンドミラー51Aとの中間位置に配置してある。
【0026】
すなわち、前記レーザ加工ヘッドハウジング9は、上下方向(Z軸方向)の寸法が抑制されて低重心に構成され、かつ前記コリメーションレンズ装置19を曲率可変ミラー45とを近接することによってX軸方向の寸法が抑制されている。また、前記コリメーションレンズ装置19と曲率可変ミラー45とをX軸方向に近接して配置し、かつベンドミラー47A,49Aを、ベンドミラー51Aと前記コリメーションレンズ装置19と曲率可変ミラー45との間に配置することによってY軸方向の寸法が抑制されている。すなわち、前記レーザ加工ヘッド9の全体的構成のコンパクト化が図られている。
【0027】
また前記構成より明らかなように、光ファイバー7は、レーザ加工ヘッドハウジング9における前方向突出部11の反対側から(図3において右側から)水平に接続してあるので、前記レーザ加工ヘッドハウジング9内においてのレーザ光の光路を水平な光路に構成することができる。また、前記前方突出部11の周囲を開放空間とすることができ、この前方向突出部11の下側に備えられる加工ヘッドユニット55(図2参照)の保守点検等を容易に行うことができることになる。また、Y軸方向(前後方向)の重量バランスを図ることも可能になるものであり、全体的構成の安定化を図ることができるものである。
【0028】
前記各ミラーユニット47,49,51には、それぞれに備えたベンドミラー47A,49A,51Aを冷却するための冷却水を常に供給するための冷却水供給手段(図示省略)を接続したジョイント53がそれぞれ備えられている。したがって、各ミラーユニット47,49,51にそれぞれ備えられた各ベンドミラー47A,49A,51Aは、供給される冷却水によって常に冷却されているものである。
【0029】
そして、前記レーザ加工ヘッドハウジング9内は、常に供給される前記パージエアーによって、大気圧よりも高圧に保持されているものである。なお、前記レーザ加工ヘッドハウジング9には前記排気管43Aと同様の排気管9Aが備えられており、この排気管9Aからパージエアーを外部へ排気しつつもレーザ加工ヘッドハウジング9内の圧力を大気圧よりも高圧に保持しているものである。
【0030】
前記レーザ加工ヘッドハウジング9における前記前方向突出部11の下部には、前記ミラーユニット51に備えた前記ベンドミラー51によって垂直下方向へ屈曲されたレーザ光を集光する集光レンズ(図示省略)を備えた前記加工ヘッドユニット55が上下動手段(図示省略)によって上下動自在に備えられている。この加工ヘッドユニット55には、当該加工ヘッドユニット55内に備えた集光レンズを上下動するモータM2が備えられている。
【0031】
前記加工ヘッドユニット55が上下動されるとき、前記レーザ加工ヘッドハウジング9の容積と加工ヘッドユニット55内の容積との総和の容積が減少したり増加することになる。前記加工ヘッドユニット55が上昇することによって前記総和の容積が減少するときには、前記排気管9A,43Aからパージエアーの排気が行われる。そして、前記加工ヘッドユニット55が下降することによって前記総和の容積が増加するときには、前記レーザ加工ヘッドハウジング9内の圧力が大気圧以下となることのないように、前記パージエアー供給手段から充分にパージエアーの供給を行う構成である。
【0032】
したがって、前記総和の容積変化に対応するための余分なカウンタージャバラや風船などのごときエアー貯留手段の構成が不要であり、全体的構成の簡素化、軽量化を図ることができ、レーザ加工ヘッド1をより高速での移動位置決めが可能となり、生産性の向上を図ることができるものである。
【0033】
前記レーザ加工ヘッド1において、前記レーザ加工ヘッドハウジング9の前記前方向突出部11には、図1に概念的に示すように、レーザ加工位置又は集光レンズなどからの反射光の有無を光学的に検出する光学センサ57が備えられており、前記光ファイバー7には、当該光ファイバー7の断線を電気的に検出するための導線が備えられている。
【0034】
すなわち、光ファイバー7は、図6に示すように、光ファイバ素線7Aを被覆したプラスチック被覆7B内又はその外部に複数の導線59を備えた構成であって、上記導線59の端部は、光ファイバー7の両端部にそれぞれ取付けた導電性の光ファイバレシーバ61に接点63を介して接続してある。そして、前記導線59の適宜位置には、電源(図示省略)及び導線59の断線を電気的に検出する断線センサ65が備えられている。
【0035】
したがって、両端部の光ファイバレシーバ61が導線59を介して電気的に接続してある場合は、前記断線センサ65はON状態にあり、電気的接続が遮断されたときには、断線を生じたものとして、ON状態からOFF状態に変化するものである。よって、前記断線センサ65を監視することによって光ファイバー7の断線を検出することができるものである。
【0036】
また、前記断線センサ65の断線信号すなわちOFF信号と、レーザ発振器67のON信号と前記光学センサ57の反射光なしの信号すなわちOFF信号とに基いて、レーザ発振器67はON状態にあるものの、加工位置からの反射光がなく光学センサ57がOFF状態にあることによって、光ファイバー7が断線状態にあることを判別し、また前記断線センサ65がOFF状態にあることによって光ファイバー7が断線状態にあることを判別する断線判別手段69が備えられている。
【0037】
したがって、レーザ発振器67が停止状態にあるときに、光ファイバー7に断線を生じた場合には、前記断線センサ65によって断線を検出することができる。そして、前記断線センサ65が断線を検出していないにも拘わらず、レーザ発振器67のON信号と光学センサ57とのOFF信号との組合せによって、光ファイバー7の断線を検出することができる。この場合、レーザ発振器67がON状態にあるにも拘わらず、レーザ加工位置からの反射光がないこととして断線を検出するものであるから、例えば光ファイバー7に対する入射端でのレーザ光の漏洩量が大きく、この漏洩したレーザ光が発熱して、入射端に損傷を生じたり、光ファイバーの曲げ損失による漏れたエネルギーによって局部的に発熱して断線することなどを検出することができるものである。
【0038】
すなわち、光ファイバー7の断線を電気的及び光学的に検出する構成であるから、光ファイバー7の断線をより確実に検出することができ、安全性の向上を図ることができるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 レーザ加工ヘッド
7 光ファイバー
9 レーザ加工ヘッドハウジング
9A 排気管
11 前方向突出部
13 後方向突出部
15 左右方向突出部
17 端部取付部材
19 コリメーションレンズ装置
21 コリメーションハウジング
23 出射端側支持部材
25 移動パイプ部材
27A 先端側ハウジング
27B 基端側ハウジング
27C ギアハウジング
37 コリメーションレンズ
39 レンズホルダ
41A ホルダ本体
41C 気体通路
43 パージエアー排出手段
43A 排出管
45 曲率可変ミラー
47,49,51 ミラーユニット
47A,49A,51A ベンドミラー
55 加工ヘッドユニット
57 光学センサ
59 導線
65 断線センサ
67 レーザ発振器
69 断線判別手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーの出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメーションレンズ装置と、上記平行光線化されたレーザ光のビーム径を調節するための曲率可変ミラーと、この曲率可変ミラーによって反射されたレーザ光を集光レンズ方向へ屈曲するための第1ベンドミラーとを備えたレーザ加工ヘッドであって、前記コリメーションレンズ装置、このコリメーションレンズ装置で平行光線化されたレーザ光を前記曲率可変ミラーへ反射する第2ベンドミラー及び前記曲率可変ミラーを同一平面内に配置して備え、前記コリメーションレンズ装置と前記曲率可変ミラーとを近接して備えると共に、前記第2ベンドミラーを、前記コリメーションレンズ装置、前記屈曲可変ミラーよりも前記第1ベンドミラーに近接して配置してあることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、前記コリメーションレンズ装置においてコリメーションレンズを保持したレンズホルダに、レーザ加工ヘッド内に供給されたパージエアーを流通するための気体通路を備えていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、レーザ加工ヘッド内へ常にパージエアーを供給するパージエアー供給手段を備えると共に、前記レーザ加工ヘッド内の圧力を大気圧以上に保持しつつ常にパージエアーの排出を行うパージエアー排出手段を前記レーザ加工ヘッドに備えていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、前記光ファイバーは、当該光ファイバーの断線を電気的に検出するための導線を備えた構成であり、かつ前記レーザ加工ヘッドに、レーザ加工位置からの反射光の有無を検出して光学的に光ファイバーの断線を検出するための光学センサを備えていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24772(P2012−24772A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162643(P2010−162643)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】