説明

レーザ味方識別システム

【課題】本発明の課題は、複雑な交戦状況下において隊員が目視にて瞬時に味方部隊を識別することができ、味方部隊に対する誤射を未然に防止するためのレーザ味方識別システムを提供することにある。
【解決手段】本発明は、銃12に装着され、レーザパルス列によるコード情報を含むIFFレーザビームが発射されるIFFレーザ送信装置13と、IFFレーザ送信装置13からのIFFレーザビームが受光され、レーザパルス列によるコード情報を解読して発光器を所定時間発光する味方識別器18とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隊員が行う小火器類(拳銃、小銃、機関銃、重機関銃)の射撃において、味方隊員に装着する味方識別器に対してIFF(味方識別)レーザビームを照射することにより瞬時に味方を判別するためのレーザ味方識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小火器類による交戦を行う場合は、味方部隊と敵部隊を識別する技術的な手段がなく、無線系による自隊の位置確認が一般的であった。野戦と異なり、市街地戦闘のように隊員の配置が時間とともに刻々と変化する場合、味方の位置を把握することがより困難であり、交戦状態において味方部隊を瞬時に識別することが極めて困難であるがために、味方隊員を誤って攻撃する危険性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−148672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、小火器類に装着したIFFレーザ送信装置から発射されるIFFレーザビームを味方識別器に照射し、味方識別器が所定の時間味方であることを現示するLED発光を行うことにより、複雑な交戦状況下において隊員が目視にて瞬時に味方部隊を識別することができ、味方部隊に対する誤射を未然に防止するためのレーザ味方識別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のレーザ味方識別システムは、銃に装着され、レーザパルス列によるコード情報を含むIFFレーザビームが発射されるIFFレーザ送信装置と、前記IFFレーザ送信装置からのIFFレーザビームが受光され、レーザパルス列によるコード情報を解読して発光器を所定時間発光する味方識別器とを具備することを特徴とするものである。
【0006】
また本発明は、前記レーザ味方識別システムにおいて、IFFレーザ送信装置として、外部設定器からIFFコードが受信され、パルス列の電気信号を制御回路に出力する受信回路と、レーザコードのモード制御信号を制御回路に出力するモードスイッチと、レーザ照射のオン/オフを制御する信号を制御回路に出力するリモートスイッチと、前記受信回路からのパルス列の電気信号及び前記モードスイッチからのモード制御信号及び前記リモートスイッチからのオン/オフ制御信号が入力され、IFFコードを含むレーザパルス列をレーザ駆動回路に出力する制御回路と、前記制御回路からのレーザパルス列が入力され、レーザ駆動信号を生成して光学系に出力するレーザ駆動回路と、前記レーザ駆動回路からレーザ駆動信号が入力され、所定の広がりを有するIFFレーザビームが射出される光学系とを具備するIFFレーザ送信装置を用いることを特徴とするものである。
【0007】
また本発明は、前記レーザ味方識別システムにおいて、味方識別器として、IFFレーザ送信装置からのIFFレーザビームが受光されパルスコード列の電気信号に変換して制御回路に出力する受光器と、発光器の点灯モードを設定する点灯モード設定信号を制御回路に出力するモードスイッチと、前記モードスイッチからの点灯モード設定信号が入力されて点灯モードに関する各種設定が行われると共に、前記受光器からのパルスコード列の電気信号が入力され、前記パルスコード列が予め登録されたIFFコードと一致したとき発光器の点灯制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路からの点灯制御信号が入力されて点灯動作する可視または非可視のLEDよりなる発光器とを具備する味方識別器を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレーザ味方識別システムは、昼夜を問わずレーザ照射により味方識別を行うことができるだけでなく、味方識別器の点灯制御をリモート操作により行うことが可能となるため、各隊員の点灯モードの操作の負担を減らすことが可能となる。
【0009】
また、類似の製品にあるように、単純な点灯機能(点滅または点灯)では、常時、識別器が発光することにより、敵からの発見が容易であったが、本発明によれば、レーザビームが照射されたタイミングにより所定時間のみ点灯させることが可能となるため、敵からの発見を最小限に留める効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザ味方識別システムを示す系統図である。
【図2】本発明の実施形態に係るIFFレーザ送信装置から射出されるIFFレーザビームのレーザコード列を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る味方識別器を示す構成説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るIFFレーザ送信装置を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0012】
図1はレーザ味方識別システムであり、11は隊員A、12は実銃または模擬銃、13はIFFレーザ送信装置、14は隊員B、15はヘルメット部、16は胴体部、17は腕部、18,19,20は味方識別器である。
【0013】
図1に示すように、11の隊員Aが所持する実銃または模擬銃12にはIFFレーザ送信装置13が装着されている。一方、14の隊員Bのヘルメット部15、胴体部16及び腕部17にはそれぞれ対応して味方識別器18,19,20が装着されている。尚、味方識別器は各隊員のヘルメット部、胴体部、または腕部の任意の箇所に必要数装着される。
【0014】
すなわち、11の隊員Aが所持する実銃または模擬銃12に装着されたIFFレーザ送信装置13から、識別対象となる目標人員(14の隊員B)に対してレーザパルス列によるコード情報を含むIFFレーザビームが発射される。IFFレーザビームは、味方識別器18,19,または20の受光部分に確実に照射される様、一定のビームの広がりを有する。
【0015】
14の隊員Bの味方識別器18,19,または20は味方部隊の11の隊員Aから照射されるIFFレーザビームを受光すると、味方識別器18,19,または20にてレーザパルス列によるコード情報を解読し、瞬時に可視又は非可視のLEDよりなる発光器を所定時間発光する。これにより、IFFレーザ送信装置13からIFFレーザビームを照射した11の隊員Aは味方か否かを判別する。
【0016】
図3は味方識別器18,19,または20であり、31は受光器、32は制御回路、33はモードスイッチ、34は発光器、35はバッテリーである。
【0017】
図3に示すように、受光器31には予め外部設定器により味方を意味する識別コードであるIFFコードの光信号が入力され、受光器31はIFFコードの光信号をパルス列の電気信号に変換して制御回路32に出力し、制御回路32において、入力されたパルス列の電気信号を解読したIFFコード情報を内部の記憶回路に保存する。
【0018】
また、受光器31はIFFレーザ送信装置13からのIFFレーザビームが受光されパルスコード列の電気信号に変換して制御回路32に出力する。
【0019】
モードスイッチ33は発光器34の点灯モードを設定する点灯モード設定信号を制御回路32に出力し、制御回路32に対して点灯モードに関する各種設定(局操、リモートの切換の他、局操の場合、可視、暗視点灯の切換、点灯、点滅の切換等)を行う。
【0020】
制御回路32には受光器31からのパルスコード列の電気信号が入力され、前記パルスコード列が予め登録されたIFFコードと比較され、情報が一致したとき発光器34に点灯制御信号を出力する。
【0021】
発光器34は可視または非可視のLEDより構成され、制御回路32からの点灯制御信号が入力されると点灯モードにより点灯動作する。バッテリー35は、味方識別器18,19,または20に必要な電源を供給する。
【0022】
図4はIFFレーザ送信装置13であり、41は受信回路、42は制御回路、43はモードスイッチ、44はリモートスイッチ、45はレーザ駆動回路、46は光学系、47はバッテリーである。
【0023】
図4に示すように、外部設定器により、味方を意味する識別コードであるIFFコードが無線又は光により受信回路41に対して入力される。受信回路41は、光信号を電気信号に変換し、パルス列の電気信号として制御回路42に出力する。制御回路42において、入力されたパルス列の電気信号を解読し、IFFコード情報を内部の記憶回路に保存する。
【0024】
モードスイッチ43は、レーザコードを制御するために設けられたものであり、味方識別器18,19,または20の点灯モードを制御するための各種モード(可視、非可視点灯の切換、点灯、点滅の切換等)を選択できるレーザコードのモード制御信号を制御回路42に出力する。
【0025】
リモートスイッチ44は11の隊員Aが操作することにより、制御回路42にレーザ照射のオン/オフを制御する信号が入力され、オンになった時点で、制御回路42はIFFコードを含むレーザパルス列をレーザ駆動回路45に出力する。
【0026】
レーザ駆動回路45は、制御回路42から入力されるIFFコードを含むレーザパルス列をレーザ駆動信号に変換し、光学系46に出力する。光学系46は、レーザ駆動回路45からのレーザ駆動信号をもとに所定のビーム広がりを有するIFFレーザビームを形成し、外部に放射する。バッテリー47は、IFFレーザ送信装置13に必要な電源を供給する。
【0027】
図2はIFFレーザ送信装置13から出力されるIFFレーザビームのレーザパルス列を示す説明図である。
【0028】
同期コードは、Mビットで構成され味方識別器18,19,または20がレーザパルスを受信する際の同期信号に利用する。
【0029】
制御コードは、Nビットで構成され味方識別器18,19,または20の点灯制御に使用するものであり、可視、非可視の切換の他、点灯、点滅の切換等を設定する。
【0030】
IFFコードは、Lビットで構成され味方識別コードを設定する。
【0031】
同期コードからIFFコードまでのコード列については、IFFレーザ送信装置13のリモートスイッチ44が押下(レーザ照射オン)されている間、繰り返し送信される。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0033】
11…隊員A、12…実銃または模擬銃、13…IFFレーザ送信装置、14…隊員B、15…ヘルメット部、16…胴体部、17…腕部、18,19,20…味方識別器、31…受光器、32…制御回路、33…モードスイッチ、34…発光器、35…バッテリー、41…受信回路、42…制御回路、43…モードスイッチ、44…リモートスイッチ、45…レーザ駆動回路、46…光学系、47…バッテリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃に装着され、レーザパルス列によるコード情報を含むIFFレーザビームが発射されるIFFレーザ送信装置と、
前記IFFレーザ送信装置からのIFFレーザビームが受光され、レーザパルス列によるコード情報を解読して発光器を所定時間発光する味方識別器と
を具備することを特徴とするレーザ味方識別システム。
【請求項2】
IFFレーザ送信装置として、
外部設定器からIFFコードが受信され、パルス列の電気信号を制御回路に出力する受信回路と、
レーザコードのモード制御信号を制御回路に出力するモードスイッチと、
レーザ照射のオン/オフを制御する信号を制御回路に出力するリモートスイッチと、
前記受信回路からのパルス列の電気信号及び前記モードスイッチからのモード制御信号及び前記リモートスイッチからのオン/オフ制御信号が入力され、IFFコードを含むレーザパルス列をレーザ駆動回路に出力する制御回路と、
前記制御回路からのレーザパルス列が入力され、レーザ駆動信号を生成して光学系に出力するレーザ駆動回路と、
前記レーザ駆動回路からレーザ駆動信号が入力され、所定の広がりを有するIFFレーザビームが射出される光学系と
を具備するIFFレーザ送信装置を用いることを特徴とする請求項1に記載のレーザ味方識別システム。
【請求項3】
味方識別器として、
IFFレーザ送信装置からのIFFレーザビームが受光されパルスコード列の電気信号に変換して制御回路に出力する受光器と、
発光器の点灯モードを設定する点灯モード設定信号を制御回路に出力するモードスイッチと、
前記モードスイッチからの点灯モード設定信号が入力されて点灯モードに関する各種設定が行われると共に、前記受光器からのパルスコード列の電気信号が入力され、前記パルスコード列が予め登録されたIFFコードと一致したとき発光器の点灯制御信号を出力する制御回路と、
前記制御回路からの点灯制御信号が入力されて点灯動作する可視または非可視のLEDよりなる発光器と
を具備する味方識別器を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ味方識別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−185767(P2010−185767A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29856(P2009−29856)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000221155)東芝電波プロダクツ株式会社 (62)
【Fターム(参考)】