説明

レーザ治療装置用プローブ

【課題】深部の筋肉の疾患に対しても治療効果が高いレーザ治療装置用プローブを、安価に提供する。
【解決手段】レーザダイオード2と、レーザダイオードから出力されたレーザ光5を集光する集光レンズ4と、集光レンズを通過したレーザ光を照射するための照射口6と、照射口の両端に配置された電気刺激用の一対の電極12a、12bと、一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段9とを備え、レーザ光を照射中に、一対の電極により低周波の電気刺激を与えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザより出射されるレーザ光を生体に照射して、疼痛緩解等に用いるための医療用のレーザ治療装置用のプローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ治療装置は、数10mW〜1W程度の低出力レーザ光を生体に照射することにより、筋肉関節等の慢性疼痛の緩解を図るため装置であり、実際の臨床においても多く用いられている。(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
以下に、従来のレーザ治療装置用プローブについて、図5を参照して説明する。図5は従来例におけるレーザ治療装置用プローブの構成を示す断面図である。
【0004】
プローブのケース20内部に、レーザダイオード21a、21bが収納されている。レーザダイオード21a、21bから出力されるレーザ光は、集光レンズ22a、22bにより集光され、ケース20の先端に形成された照射口24から出射されて、生体に照射される。照射口24の周囲には、円周形のタッチセンサ(図示せず)が取り付けられており、皮膚に接触していることを検出する。タッチセンサにより皮膚に接触していることが検出されているときにのみ、レーザ光を照射するように構成されている。
【特許文献1】特開平5−161718号公報
【特許文献2】特開平5−345039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のレーザ治療装置は、皮膚表面からレーザ光を照射する関係上、体表面近傍の疾患部位にはレーザ光が十分到達し治療効果が高いが、深部の疾患部位にはレーザ光の到達度合いが低く、例えば重度の肩こりなどでは治療効果が低くなるという課題を有していた。また、深部の疾患部位にレーザ光を到達させようとすると、高出力のレーザ素子を使用するか、あるいは複数個のレーザ素子を使用する必要があり、コスト的に問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来の課題を解決し、深部の筋肉の疾患に対しても治療効果が高いレーザ治療装置用プローブを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレーザ治療装置用プローブは、レーザダイオードと、前記レーザダイオードから出力されたレーザ光を集光する集光レンズと、前記集光レンズを通過したレーザ光を照射するための照射口と、前記照射口の両端に配置された電気刺激用の一対の電極と、前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、レーザ光を照射中に、前記一対の電極により低周波の電気刺激を与えることが可能であること特徴とする。
【0008】
この構成により、レーザだけでは治療効果が期待できない深部疾患の場合でも、一対の電極から低周波の電気刺激を与えることによって、レーザ光との相乗効果を発揮するため、治療効果を大幅に向上させることができる。また、筋肉が刺激を受けるため、患者が治療効果を実感できるという効果も得られる。
【0009】
上記構成において、前記照射口は長方形であり、長方形の長手方向両端に、前記電気刺激用の電極が各々配置された構成とすることができる。
【0010】
また、レーザ光をパルス的に照射するとともに、前記レーザ光と同期させて前記電気刺激用の一対の電極間に低周波の電気刺激用の電圧を印加することが可能な構成とすることが好ましい。このように、低周波の電気刺激をレーザ光と同期させることにより、レーザ光との相乗効果が向上し、治療効果の向上に有効である。
【0011】
また、前記一対の電極間に電流が流れないときは、レーザ光の照射を禁止する手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレーザ治療装置用プローブによれば、深部疾患に対して、一対の電極から電気刺激を患部に与えることにより治療効果を向上させることができる。しかもそのための構成は、一対の電極と電圧印加手段を設けるだけであるため、プローブのコスト増大は僅かである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施の形態におけるレーザ治療装置用プローブについて、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態におけるレーザ治療装置用プローブを示し、図1(a)は縦断面図である。図1(b)は図1(a)におけるA矢視図である。図1(a)における先端部のB−B断面を、拡大して図2に示す。
【0015】
図1において、レーザダイオード2は、レーザダイオード取付用基板11に取り付けられ、レーザ治療装置用プローブのケース1に設けられた基台3により支持されている。レーザダイオード2から出力されたレーザ光は、集光レンズ4で集光する。レーザダイオード2から照射されるレーザ光5は、照射口6から体表面に照射される。
【0016】
図1(b)に示されるように、照射口6は概ね長方形を呈しており、レーザ光漏れ防止カバー7で前後を覆われている。レーザ光漏れ防止カバー7は、黒色ゴム等の柔軟性のある材質で形成され、その長手方向の両端に、電気刺激用の一対の電極12a、12bが取り付けられている。ケース1は、レーザ治療装置本体(図示せず)と接続ケーブル8により接続されており、電源や制御信号などの供給を受ける。ケース1内に、駆動制御基板9が取り付けられ、レーザ治療装置本体から供給される電源や制御信号などに基づき、レーザダイオード2を駆動するとともに、レーザ光を照射するときに電極12a、12b間に流す低周波の電流を制御する。レーザダイオード2と駆動制御基板9は、レーザダイオード接続コード10により接続されている。
【0017】
このレーザ治療装置用プローブを使用する際には、図2に示すように、一対の電極12a、12bを人体の皮膚13に接触させた状態を保持する。
【0018】
図3に、このレーザ治療装置用プローブの動作のタイミングチャートを示す。図3(a)のように、レーザ光を連続的に照射するときは、電気刺激用の電極12a、12b間には、図3(b)に示すように、レーザを照射中に低周波の電気刺激を出力するように構成する。
【0019】
なお、安全のため、電極12a、12b間に電流が流れないときは、照射口6が皮膚に接触していないとみなして、照射を禁止するように構成することが望ましい。
【0020】
(第2の実施の形態)
図4を参照して、第2の実施の形態におけるレーザ治療装置用プローブについて説明する。レーザ治療装置用プローブの構造は、図1及び2に示したものと同様である。図4は、本実施の形態のレーザ治療装置用プローブの動作のタイミングチャートを示す。
【0021】
図4(a)に示すように、本実施の形態では、レーザ光をパルス状に照射することができる。このときは、図4(b)に示すように、レーザ光と同期させて、電気刺激用の電極12a、12b間に低周波の電気刺激を出力する。
【0022】
以上のように、第1および第2の実施の形態のレーザ治療装置用プローブによれば、レーザ光だけでは治療効果が期待できない深部疾患の場合でも、電極から低周波の電気刺激を与えることによって、レーザ光との相乗効果を発揮するため、治療効果を大幅に向上させることができる。また、筋肉が刺激を受けるため、患者が治療効果を実感できる効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のレーザ治療装置プローブは、レーザ光と、電極からの電気刺激による筋肉への刺激を併用するものであり、深部疾患のレーザ治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態におけるレーザ治療装置用プローブの構成を示す断面図、(b)は(a)のA矢視図
【図2】図1のレーザ治療装置用プローブにおける先端部のB−B断面図
【図3】第1の実施の形態におけるレーザ治療装置用プローブの動作のタイミングチャート
【図4】第2の実施の形態におけるレーザ治療装置用プローブの動作のタイミングチャート
【図5】従来例のレーザ治療装置用プローブの構成を示す断面図
【符号の説明】
【0025】
1、20 ケース
2、21a、21b レーザダイオード
3 基台
4、22a、22b 集光レンズ
5、23a、23b レーザ光
6、24 照射口
7 レーザ光漏れ防止用カバー
8 接続ケーブル
9 駆動制御基板
10 レーザダイオード接続コード
11 レーザダイオード取付用基板
12a、12b 電極
13 人体の皮膚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザダイオードと、前記レーザダイオードから出力されたレーザ光を集光する集光レンズと、前記集光レンズを通過したレーザ光を照射するための照射口と、前記照射口の両端に配置された電気刺激用の一対の電極と、前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、レーザ光を照射中に、前記一対の電極により低周波の電気刺激を与えることが可能であること特徴とするレーザ治療装置用プローブ。
【請求項2】
前記照射口は長方形であり、長方形の長手方向両端に、前記電気刺激用の電極が各々配置された請求項1記載のレーザ治療装置用プローブ。
【請求項3】
レーザ光をパルス的に照射するとともに、前記レーザ光と同期させて前記電気刺激用の一対の電極間に低周波の電気刺激用の電圧を印加することが可能な請求項1または2記載のレーザ治療装置用プローブ。
【請求項4】
前記一対の電極間に電流が流れないときは、レーザ光の照射を禁止する手段を備えた請求項1または2記載のレーザ治療装置用プローブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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