説明

レーザ源を利用した低ノイズの光ファイバセンサ

光ファイバセンサは、光ファイバコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む。源からの光は、コイルに沿って第1の方向に伝搬する第1の信号、およびコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する第2の信号としてコイルに伝送される。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、第1の信号および第2の信号は、コイルを通って伝搬した後で組合され、第3の信号を生成する。レーザ源は周波数変調されるか、またはコイルの長さよりも長いコヒーレンス長を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2007年11月15日に出願された米国仮出願第60/988,404号の優先権の利益を主張する。当該仮出願はその全体がここに引用により援用される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本願は一般に光ファイバセンサに関し、より特定的には光ファイバジャイロスコープに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
光ファイバジャイロスコープ(FOG)の初期の実験的実証は、光源用にレーザを用いて得られた。たとえば、R.A.バーグ(Bergh)、H.C.ルフェーブル(Lefevre)、およびH.J.ショー(Shaw)、「全単一モード光ファイバジャイロスコープ」(All-single-mode fiberoptic gyroscope)、オプティクス・レターズ(Optics Letters)、第6巻第4号、198〜200頁(1981)を参照されたい。FOGに関する、ショットノイズが制限された感度が期待された(たとえば、H.C.ルフェーブル、「光ファイバジャイロスコープ」(The Fiber-Optic Gyroscope)、アーテックハウス社(Artech House Inc.)、ノーウッド(Norwood)、MA(1993)を参照されたい)が、その感度は光ファイバにおける後方散乱によって劇的に劣化したことが、実際に観察された(たとえば、C.C.カトラー(Cutler)、S.A.ニュートン(Newton)、およびH.J.ショー、「散乱による回転感知の制限」(Limitation of rotation sensing by scattering)、オプティクス・レターズ、第5巻第11号、488〜490頁(1980)を参照されたい)。レーザを超放射源(SFS)に置き換えること(たとえば、K.ボーム(Bohm)、P.マーテン(Marten)、K.ペーターマン(Petermann)、E.ワイデル(Weidel)、およびR.ウーリッチ(Ulrich)、「超放射ダイオードを用いた低ドリフトファイバジャイロ」(Low-drift fibre gyro using a superluminescent diode)、エレクトロニクス・レターズ(Electronics Letters)、第17巻第10号、352〜353頁(1981)を参照されたい)は、この後方散乱により誘導されたノイズの劇的な減少を、カー効果、偏光変動、およびファラデー効果による他のノイズ源の減少とともに、もたらした。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
いくつかの実施例では、光ファイバセンサは、光ファイバコイルと、コイルに光学的に結合された周波数変調されたレーザ源とを含む。源からの光は、コイルに沿って第1の方向に伝搬する第1の信号、およびコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する第2の信号としてコイルに伝送される。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、第1の信号および第2の信号は、コイルを通って伝搬した後で組合され、第3の信号を生成する。
【0005】
いくつかの実施例では、ある方法が光ファイバセンサを動作させる。この方法は、光ファイバコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む光ファイバセンサを設けるステップを含む。このステップはさらに、源からの光を第1の信号および第2の信号としてコイルに伝送するステップを含む。第1の信号はコイルに沿って第1の方向に伝搬し、第2の信号はコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反している。この方法はさらに、第1の信号および第2の信号を組合せて、第3の信号を生成するステップを含む。この方法はさらに、第1の信号および第2の信号が周波数変調されるようにレーザ源の周波数を変調するステップを含む。
【0006】
いくつかの実施例では、光ファイバセンサは、ある長さを有する光ファイバのコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む。レーザ源はコイルファイバの長さよりも長いコヒーレンス長を有する。源からの光は、コイルに沿って第1の方向に伝搬する第1の信号、およびコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する第2の信号としてコイルに伝送される。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、第1の信号および第2の信号は、コイルを通って伝搬した後で組合され、第3の信号を生成する。
【0007】
いくつかの実施例では、ある方法が光ファイバセンサを動作させる。この方法は、ある長さを有する光ファイバのコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む光ファイバセンサを設けるステップを含む。レーザ源はコイルファイバの長さよりも長いコヒーレンス長を有する。この方法はさらに、源からの光を第1の信号および第2の信号としてコイルに伝送するステップを含む。第1の信号はコイルに沿って第1の方向に伝搬し、第2の信号はコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反している。この方法はさらに、第1の信号および第2の信号を組合せて、第3の信号を生成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的な光ファイバセンサ10を概略的に示す図である。
【図2】ここに記載されたいくつかの実施例に従ったサニャック光ファイバセンサの光ファイバコイルにおける単一散乱体Sを概略的に示す図である。
【図3A】ここに記載されたいくつかの実施例に従ったレーザ源の線形掃引周波数のプロットである。
【図3B】ここに記載されたいくつかの実施例に従った後方散乱信号およびメイン信号のシフトされた周波数のプロットである。
【図4】ここに記載されたいくつかの実施例に従った、散乱体位置での後方散乱ノイズのビート周波数の依存性のプロットである。
【図5A】ここに記載されたいくつかの実施例に従ったレーザ源の光学線幅のプロットである。
【図5B】ここに記載されたいくつかの実施例に従ったビート信号の電気的線幅のプロットである。
【図5C】レーザ源のあるレベルのコヒーレンスについての、適正周波数f0およびビート周波数ΔνBを示す図である。
【図5D】レーザ源のあるレベルのコヒーレンスについての、適正周波数f0およびビート周波数ΔνBを示す図である。
【図5E】レーザ源のあるレベルのコヒーレンスについての、適正周波数f0およびビート周波数ΔνBを示す図である。
【図6A】ここに記載されたいくつかの実施例に従った、周期的な鋸歯状の周波数変調波形形状のプロットである。
【図6B】ここに記載されたいくつかの実施例に従った、周期的な周波数変調についての戻り光周波数およびビート周波数のプロットである。
【図7】鋸歯状の波形および正弦波形の確率の密度のプロットである。
【図8A】ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的なセンサを概略的に示す図である。
【図8B】ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的なセンサを概略的に示す図である。
【図9】SFS、レーザ、および周波数変調レーザという3つの異なる光源についての、SMF−28ファイバを有する図8Aのセンサに関する回転信号のプロットである。
【図10】SMF28ファイバが停止状態にある図8Aのセンサについて観察されたRFスペクトルのプロットである。
【図11】空芯FOGが停止状態にある図8Aのセンサについて観察されたRFスペクトルのプロットである。
【図12A】停止状態の空芯FOGについての、検出器信号の時間特性およびスペクトル特性を示す図である。
【図12B】停止状態の空芯FOGについての、検出器信号の時間特性およびスペクトル特性を示す図である。
【図13】標準的なファイバコイルについての、検出帯域幅の平方根に対するノイズの依存性を示す図である。
【図14】ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的なセンサを概略的に示す図である。
【図15】ここに記載されたいくつかの実施例に従った、光ファイバセンサを動作させる例示的な方法のフロー図である。
【図16】コイル長よりも大きい源コヒーレンス長を利用した、いくつかの実施例の理論的数値モデルの結果を示す図である。
【図17】ここに記載されたいくつかの実施例に従った、光ファイバセンサを動作させる例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
超放射源(SFS)などの広帯域源は、カー効果およびファラデー効果に関連する有害効果、偏光に関する非相反性、および、コヒーレント後方散乱から生じるノイズを減少させるために、光ファイバジャイロスコープ(FOG)などの光ファイバセンサ用によく使用されている。光源としてのSFSの使用がFOGの感度の注目すべき向上をもたらしたものの、感度は依然として、2つの主な欠点によって制限されている。特定の過剰ノイズ減少手法が使用されない限り、広帯域源の使用に関するノイズの1つの付加的な源は、検出器での広帯域源の異なるスペクトル成分間のビートによる過剰ノイズである。たとえば、R.P.メラー(Moeller)およびW.K.バーンズ(Burns)、「ノイズ減算を用いた1.06μm全ファイバジャイロスコープ」(1.06-μm all-fiber gyroscope with noise subtraction)、オプティクス・レターズ、第16巻第23号、1902〜1904頁(1991)、およびここにその全体が引用により援用される米国特許第5,530,545号を参照されたい。FOG用の光源としてのSFSの別の欠点は、SFSの広帯域出力の平均波長を安定化する際の困難である。これらの欠点は、FOGが、唯一の慣性航法機器としての航空機において使用されることを妨げる一因となっている。
【0010】
図1は、ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的な光ファイバセンサ10を概略的に示す。センサ10は、光ファイバコイル20と、コイル20に光学的に結合された少なくとも1つの光学結合器30とを含む。センサ10はさらに、少なくとも1つの光学結合器30に光学的に結合された周波数変調されたレーザ源40を含む。レーザ源40からの光は、少なくとも1つの光学結合器30によって、コイル20に沿って第1の方向54に伝搬する第1の信号52、およびコイル20に沿って第1の方向54とは反対の第2の方向58に伝搬する第2の信号56として、コイル20に伝送される。第1の信号52および第2の信号56の光学経路は互いに実質的に相反しており、第1の信号52および第2の信号56は、少なくとも1つの光学結合器30によって組合され、第3の信号60を生成する。
【0011】
いくつかの実施例では、光ファイバセンサ10は、図1に概略的に示すようなサニャックベースの光ファイバセンサである。いくつかの実施例のセンサ10は、コイル20の回転に敏感なFOGである(たとえば、コイル20に加わる(たとえば1時間当たりの度数単位での)回転の速度が変化するにつれて、第3の信号60によって運ばれるパワーが変化する)。いくつかの他の実施例では、センサ10は、音響摂動、熱的摂動、および磁場摂動を含むもののこれらに限定されない1つ以上の他の摂動に敏感であるよう構成される。いくつかの実施例のセンサ10は、それにより、回転運動、音場、熱過渡、および磁場のうちの1つ以上の検出を提供する。いくつかの実施例のセンサ10は、方位磁石として、ジャイロコンパスとして、および運動センサとしての目的を含むもののそれらに限定されない1つ以上の目的のために使用されるよう構成される。当業者であれば、以下の説明の大半はFOGに関して提示されるものの、他の光ファイバセンサもここに記載されたいくつかの実施例に対応していることを認識するであろう。
【0012】
いくつかの実施例のコイル20は、複数の実質的に同心のループを含む。いくつかの実施例では、コイル20は、従来の光ファイバ(たとえば、NY、コーニング(Corning)のコーニング社(Corning, Inc.)から入手可能なSMF−28(登録商標)光ファイバといった単一モードファイバ)を含む。いくつかの他の実施例では、コイル20は空芯光ファイバ(デンマーク、ビアケレズ(Birkerod)のクリスタルファイバ(Crystal Fibre)A/Sから入手可能なHC−1550−02光ファイバといった中空光バンドギャップファイバ)を含む。いくつかの実施例では、空芯光ファイバは、従来の光ファイバと比べて、カー効果、ファラデー効果、およびシュープ(熱)効果のうちの1つ以上の減少を有利に提供する。たとえば、各々、その全体がここに引用により援用される、米国特許出願公開番号第2008/0030741 A1号、および、H.K.キム(Kim)、V.ダンギ(Dangui)、M.ディゴネット(Digonnet)、およびG.キノ(Kino)、「空芯光バンドギャップファイバを用いた光ファイバジャイロスコープ」(Fiber-optic gyroscope using an air-core photonic-bandgap fiber)、SPIE議事録、第5855巻第1号、198〜201頁(2005)を参照されたい。しかしながら、既存の空芯光ファイバの後方散乱係数は、実際には、従来の中実光ファイバの後方散乱係数よりも(最大で約1桁分)高く、それにより、レーザ駆動の空芯光ファイバセンサ(たとえばFOG)の感度を著しく制限する。しかしながら、直進する技術改良により、空芯光ファイバは、現在の空芯ファイバで主流であるものよりもはるかに低い、劇的に減少した後方散乱レベルを有することができる。たとえば、空芯光ファイバの後方散乱を減少させるための一方法は、たとえば多くの現在の空芯光ファイバで行なわれているような7本ではなく、19本のチューブをファイバプリフォームから取除いて芯を形成することにより、ファイバ芯の直径を増加させることである。第2の方法は、ファイバをより幅が広いバンドギャップを有するよう設計することを含む。これは、たとえば、ファイバの空気充填比を増加させることによって達成可能である。後方散乱のレベルを減少させるための第3のアプローチは、ファイバを引く速度を増加させることであり、それは本質的に、溶融帯の温度、プリフォームのチューブに印加されるガスの圧力、ガラスの粘度および/または組成といった他の作製およびプリフォームパラメータの調節を必要とする。空芯光ファイバにおける後方散乱を減少させるこれらの方法、ならびに(場合によっては)それらの物理的原因および数学的正当化は、その全体がここに引用により援用される、ビナヤック ダンギ(Vinayak Dangui)の博士号論文「レーザ駆動空芯光バンドギャップ光ファイバジャイロスコープ」(Laser-Driven Air-Core Photonic-Bandgap Fiber Optic Gyroscope)、スタンフォード大学(Stanford University)電気工学部(Electrical Engineering Department)、2007年10月の特に第5.3.7項に見られる。他の光ファイバも、ここに記載されたさまざまな実施例に対応する。
【0013】
いくつかの実施例では、図1に概略的に示すように、少なくとも1つの光学結合器30は、第1のポート72、第2のポート74、および第3のポート76を含む第1の光学結合器70を含む。たとえば、第1の光学結合器70は、図1に概略的に示すような3dBの光学結合器を含み得る。いくつかの実施例の第1の光学結合器70は追加のポートを含む。いくつかの実施例では、図1に概略的に示すように、第2のポート74はコイル20の第1の端22に光学的に結合され、第3のポート76はコイル20の第2の端24に光学的に結合されている。レーザ源40により生成され、第1のポート72が受けた光は、第1の信号52と第2の信号56とに分割される。第1の信号52は、第2のポート74によってコイル20の第1の端22に伝送されて、コイル20に沿って第1の方向(たとえば時計回り)に伝搬し、コイル20の第2の端24および第3のポート76によって第1のポート72に伝送される。第2の信号56は、第3のポート76によってコイル20の第2の端24に伝送されて、コイル20に沿って第2の方向58(たとえば反時計回り)に伝搬し、コイル20の第1の端22および第2のポート74によって第1のポート72に伝送される。このように、第1の信号52および第2の信号56はコイル20を通って逆伝搬し、第1の光学結合器70によって再度組合される。
【0014】
そのような構成では、第1の信号52および第2の信号56の光学経路は、互いに対して実質的に相反する。ここで使用されるような「相反する」という用語は、実質的に同じ光学光路長を有し、摂動(たとえば熱的変動)に対して実質的に等しい反応を有する光学経路を含むものの、それらに限定されない、その最も広範な妥当な解釈を含む。たとえば、点Aでの第1の状態(「状態」とは偏光状態、位相を含むが、振幅を含まない)から点Bでの第2の状態に進む光については、点Bで光の方向を反転させた際に(点Bで第2の状態で始まる)光が第1の状態で点Aに再度戻る場合、光の伝搬は相反する。ここに記載されたいくつかの実施例については、2つの信号52、56が同じ光学経路に沿って進むため、それらの伝搬は、第1の信号がコイル20全体を一方向に回って進む際に第1の信号52によって累積された位相が、第2の信号56がコイル20全体を逆方向に回って進む際に第2の信号56によって累積された位相と等しくなるよう、基本的にまたは実質的に相反する。この相反性は、ファラデー効果(磁場への露出から生じる)およびサニャック効果(回転への露出から生じる)といった自然の数少ない非相反効果がない場合、および、感知コイル20の一部または全部に非対称的に加えられる非対称的な時間依存性効果(たとえば、圧力変動または温度変動といった動的摂動など)がない場合に、絶対的であろう。しかしながら、この相反性は、非相反効果がすべてちょうどゼロ、つまり、特に、2つの信号52、56がコイル20に沿ったあらゆる点で同じ偏光状態(SOP)でなければならない(しかしながら、各信号のSOPは、コイル20に沿ったあらゆる点で同じである必要はない)である場合を除き、絶対的ではない。この文脈において、「実質的に相反する」という用語は、これらの残存する非相反効果を相殺することが決して完全ではないことを認めている。実質的に相反する光学経路を含むシステムの例は、コモンパス干渉計およびコモンモード干渉計を含むが、それらに限定されない。非相反光学経路の例は、不平衡干渉計を開示している、J.ツェン(Zheng)、「全ファイバ単一モードファイバによる周波数変調連続波サニャックジャイロスコープ」(All-fiber single-mode fiber frequency-modulated continuous-wave Sagnac gyroscope)、オプティクス・レターズ、第30巻、17〜19頁(2005)に載っている。
【0015】
いくつかの実施例では、図1に概略的に示すように、少なくとも1つの光学結合器30は、第1のポート82、第2のポート84、および第3のポート86を含む第2の光学結合器80をさらに含む。いくつかの実施例の第2の光学結合器80は追加のポートを含む。たとえば、第2の光学結合器80は、図1に概略的に示すような光サーキュレータを含み得る。いくつかの実施例では、第1のポート82は、レーザ源40によって生成された光を受け(たとえば、第1のポート82はレーザ源40に光学的に結合され)、第2のポート84は第1の光学結合器70の第1のポート72に光学的に結合され、第3のポート86は検出システム90に光学的に結合されている。第1のポート82がレーザ源40から受けた光は、第2のポート84を通って、第1の光学結合器70の第1のポート72に伝送される。第2のポート84が第1の光学結合器70の第1のポート72から受けた光(たとえば第3の信号60)は、第3のポート86を通って検出システム90に伝送される。少なくとも1つの光学結合器30の他の構成も、ここに記載されたいくつかの実施例に対応する。たとえば、少なくとも1つの光学結合器30は追加のまたはより少ない光学素子を含むことができ、第2の光学結合器80は3dBの光学結合器を含むことができる。以下により十分に説明されるように、いくつかの実施例では、センサ10は、偏光相反性を達成するために有利に使用可能な偏光器を含むことができる。
【0016】
コイル20が回転していない場合、コイル20および第1の結合器70によって形成されたコモンパス干渉計を通って伝搬した後で第1のポート72に戻ってきた第1の信号52および第2の信号56は、同相で再度組合される。(図1のコイル20上の小さい交差で示された)コイル20の中心点以外のあらゆる場所でコイル20に動的摂動が加えられると、逆伝搬する第1の信号52および第2の信号56は位相差を経験する。2つの信号52、56が少なくとも1つの光学結合器30によってポート72で再度組合されると、この位相差はポート72での第3の信号60の振幅差をもたらし、それは検出器システム90によって検出される。この振幅差は、摂動についての情報を含む。コイル20の回転はまた、その振幅が回転速度に比例する位相シフトを誘導する。センサ10に摂動が与えられない場合(たとえばFOGが回転なしの場合)、理想的なFOGから戻ってきた信号は、変調周波数(dcを含む)の数倍ものスペクトル成分を含むが、f0の信号は全く戻ってこない。しかしながら、後方散乱ノイズを含む摂動は、f0の成分を誘導する。このため、いくつかの実施例において対象となる信号はf0で変調される。
【0017】
いくつかの実施例では、レーザ源40は、約1.48μm〜約1.6μmの範囲の平均波長を有する。いくつかの実施例のレーザ源40の平均波長は、約1ppmまたはより良好な範囲内に対して安定である。SFSと比べた、いくつかの実施例の平均波長のより大きな安定性は、FOGに関するより大きなスケール因子安定性を有利に提供する。いくつかの実施例では、レーザ源40は、コヒーレント長がコイル20の長さと等しいかそれより短くなるように狭い帯域幅を有するレーザを含む。いくつかの実施例では、レーザ源40の帯域幅は、レーザ源40のスペクトル成分間のビートによる過剰ノイズがセンサ10に実質的に存在しない(たとえば過剰ノイズは、検出された信号のショットノイズを下回る)ように、十分に狭くなっている。ここに記載されたいくつかの実施例に対応するレーザの例は、外部共振器半導体ダイオードレーザ、および分散帰還型ファイバレーザを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、分散帰還型ファイバレーザは、外部共振器半導体ダイオードレーザよりもコンパクトで頑強であるため、より好適である。いくつかの実施例では、レーザ周波数は、選択された周波数fmで何らかのパターン(たとえば正弦波状、鋸歯状など)で変調される。
【0018】
媒体の局所屈折率の不均一性と光との相互作用によるコヒーレント後方散乱は、光ファイバジャイロスコープ、音響センサなどのさまざまなサニャック干渉計ベースのセンサにおいて主なノイズ源であることが知られている。そのような局所不均一性に光が遭遇すると、それはさまざまな方向に散乱される。ファイバの受入れ円錐内にある逆方向の散乱光の部分は、逆伝搬モードに結合する。コイルを出ると、この光は主要波の各々と干渉して、エラー信号を生成する。散乱光および主要光の光学経路はもはや相反しておらず、そのため、温度過渡または磁場変動によるファイバ伝搬定数の局所変動、および源の位相変動によって、後方散乱によるエラー信号が、発生する干渉がコヒーレントなときに変動するようになる。このエラー信号における二乗平均平方根(RMS)変動は、FOGなどのサニャックループベースのセンサの最小感度を制限する。FOGの場合、この種のノイズはしばしば、
【0019】
【数1】

【0020】
の単位で与えられるFOGランダムウォークによって特徴付けられる。
いくつかの実施例では、周波数変調されたレーザ源40は、過剰ノイズの減少(ひいてはFOGについての、たとえば回転に対する感度の向上)を有利に提供し、いくつかの実施例では、後方散乱されたノイズの減少を提供する。図2は、ここに記載されたいくつかの実施例に従った、サニャック光ファイバセンサ10の光ファイバコイル20における位置zにある単一散乱体Sを概略的に示す。図2に概略的に示すコイル20は、以下により十分に説明されるような位相変調器130を含む。いくつかの実施例では、位相変調器130は、H.C.ルフェーブル、「光ファイバジャイロスコープ」、アーテックハウス社、ノーウッド、MA(1993)に記載されているように、干渉計に直角位相でバイアスをかける。図2のセンサ10は、たとえば3dBのファイバ結合器といった光学結合器によってそれ自体の上で閉鎖されたコイル20を含む標準的なサニャックループを含む光ファイバジャイロスコープの一例である。いくつかの実施例では、位相変調器130による位相変調の期間は、コイル20の飛行時間の2倍であり、この位相変調の周波数は、センサ100の適正周波数f0と呼ばれる。いくつかの実施例では、位相変調器130の変調周波数は、コイル20の適正周波数f0と等しい。周波数のこの選択は、上に引用したH.C.ルフェーブルにより記載されているように、回転に対するFOGの感度を最大にすることを含む数々の有利な利点を有する。この位相変調の別の有益な効果は、コイルが回転すると、この回転によってコイルの出力において生じる干渉信号が周波数f0を中心とする、ということである。
【0021】
後方散乱ノイズは、検出器における、第1の信号52と、散乱体(たとえば位置zにある散乱体S)からの第2の信号56の後方散乱によって生成された概してより弱い信号との相互作用から生じる。少量の後方散乱光が少なくとも1つの光学結合器30に戻り、そこでそれは第1の信号52と干渉して、第1の信号52上にノイズを生成する(第1の信号52における光子の位相と、散乱体からの反射の位相および振幅との双方のランダム特性に起因する)。この方向において、第1の信号52および後方散乱信号は双方とも、それらが相互作用する時点までに位相変調器130をすでに通過しているため、それらの干渉から生じるスプリアス信号が周波数f0で発生する。FOG出力信号上の、回転に誘導された信号もf0で発生する(上に引用したH.C.ルフェーブルを参照)ため、このスプリアス信号はFOGの回転信号と区別できず、したがって、それはエラーの源を構成する。反対方向では、図2の例示的なセンサ10における主な違いは、第2の信号56と、散乱体からの第1の信号52の後方散乱による後方散乱信号とが相互作用する時点までに、第2の信号56のみが位相変調器130をすでに通過している点である。この理由は2つの要素からなる。第1に、後方散乱信号は、第1の信号52が位置zにある散乱体から後方散乱することから生成されたものであり、それが、第1の信号52がまだ位相変調器130を通過しておらず、このためまだ変調されていない時点で起こるためである。第2に、この特定の後方散乱信号は反時計回りに進むため、それも決して位相変調器130を通過しない。その結果、この特定の構成では、第2の信号56はf0のコヒーレント後方散乱ノイズを全く運ばない。
【0022】
メイン信号と後方散乱信号とのこの干渉プロセスはコヒーレントであるため、コイルの中心点を中心とするコイル20の区分に沿って、かつ源40のコヒーレント長とほぼ等しいコイル20の長さに沿って位置する散乱体のみが、コヒーレント後方散乱に寄与する。コイル20の残りの部分に沿って位置する散乱体は、メイン信号と時間的にコヒーレントではない後方散乱信号を生成し、それにより、位相ノイズではなく強度ノイズを生成する。このノイズはコヒーレント後方散乱ノイズよりもかなり弱い。コヒーレント長が短い(典型的には数十ミクロン)広帯域源を利用したサニャック干渉計では、コヒーレント後方散乱ノイズはしたがって非常に弱い。以前に指摘したように、そのような源が使用される場合、源の主なノイズは典型的には、後方散乱ノイズではなく、過剰ノイズである。一方、広帯域源の代わりに狭帯域幅レーザ源を利用することは、コヒーレント後方散乱ノイズを生成する光ファイバコイル20のより大きな部分に起因する、劇的に増大したノイズをもたらし得る。なぜなら、レーザ源のコヒーレント長(典型的には1cmまたはそれよりも長く、通常もっと長く、最大数千kmである)は、広帯域源のコヒーレント長よりもかなり長いためである。レーザ源のコヒーレント長は、典型的には、光ファイバコイル20の長さの数分の1(たとえば、数百メートル以上であり得るコイル20の長さの0.1%)以上であり得る。したがって、光ファイバコイル20に沿った散乱体はすべて、コヒーレント後方散乱ノイズに寄与する。
【0023】
いくつかの実施例では、この後方散乱ノイズは、レーザ源40の周波数を掃引または変調し、検出された信号をフィルタリングすることによって、有利に減少される。レーザ源40の線形掃引周波数νI(t)が図3Aに示されており、
【0024】
【数2】

【0025】
として表わすことができる。ここで、Sは周波数掃引の速度(Hz/s)であり、tは時間(秒)である。図2から明らかなように、メイン信号は、後方散乱信号と同時にはコイル20から戻ってこない。これら2つの間の遅延Δtは散乱体の位置に依存しており、
【0026】
【数3】

【0027】
として表わすことができる。ここで、zはコイル20における散乱体の位置であり、Lはコイル20の長さであり、nはコイル20の屈折率であり、cは光の速度である。したがって、所与の時点で、後方散乱信号およびメイン信号は、図3Bに示すように異なる光周波数を有する。したがって、それらが干渉する際、それらは検出器システム90で、大抵の散乱体について、もはやf0ではない周波数を有するビート信号を生成する。具体的には、図2でコイル20を時計回り(cw)に進んだ信号、およびそれが干渉する(反時計回りの信号の後方散乱から生じる)後方散乱信号は双方とも、それらが干渉する際に位相変調器130を通過してきており、そのため、それらのビート音の周波数はf0+ΔνBであり、ここでΔνB
【0028】
【数4】

【0029】
として表わすことができる。これに対し、反対方向では、コイル20の出力において、コイル20を反時計回り(ccw)に進んだ信号は位相変調器130を通過してきているが、それと干渉する(cw信号の後方散乱から生じる)後方散乱信号は通過していない。したがって、それらが干渉する際、それらのビート音の周波数はΔνBであり、すなわち、それはf0の近傍ではなくdcの近傍にある。このため、このビート音はf0周囲のコヒーレント後方散乱ノイズに寄与しない。ビート信号の周波数は、散乱体の位置を示す。戻ってきたスペクトルのフーリエ変換は、コイル20の中心に対する、コイル20に沿った散乱体の空間特性化を与える。コイル20の中心に対して位置が対称的である2つの散乱体は、識別できない。
【0030】
このため、いくつかの実施例では、構成とレーザ周波数の周波数変調または掃引との組合せの結果、有害な後方散乱ノイズはf0+ΔνBのビート周波数で変調され、一方、対象となる信号は周波数f0である。言い換えれば、レーザ源40の周波数を掃引することにより、後方散乱ノイズにおけるエネルギは、メイン信号の周波数とは異なる周波数にシフトされ、このため分光フィルタリングによる後方散乱ノイズの抑制を可能にする。検出器システム90での信号のこのフィルタリングは、光学検出器92の出力において、f0を中心とし、かつビート周波数シフトΔνBよりも小さいカットオフ帯域幅BWdetを有するバンドパスまたはローパスフィルタ94によって行なわれる。このフィルタはノイズビート音を伝送せず、それにより、検出システム90で信号に対する後方散乱ノイズの寄与を有利に減少させる。このフィルタ94は、たとえばロックイン増幅器、または同等の電子フィルタを含み得る。この種のフィルタは、f0の回転誘導信号を検出し、それを他のノイズ源からフィルタリングするために、既存のFOGにおいて既に使用されており、そのため当業者であれば、ここの開示に鑑みて適切なフィルタ94をどのようにして選ぶかについて知っているであろう。動的摂動(たとえば音響波)を感知するために光ファイバセンサ10が使用されるいくつかの実施例では、カットオフ帯域幅BWdetは、摂動の周波数よりも高くなるように選択される。カットオフ帯域幅は、たとえば、数分の1Hz〜1kHz、またはそれを上回る範囲であり得る。
【0031】
図4に示すように、所与のカットオフ帯域幅BWdetについて、有害な散乱体のみがコイル20の中心の周囲の均等なコヒーレント長Lc内に位置しており、ここでLc
【0032】
【数5】

【0033】
として表わすことができる。この有効長をコイル20の典型的な長さよりもかなり短くすることは、簡単である。たとえば、1Hzの帯域幅および20nm/sの掃引速度(それは達成が単純明解である)については、Lcはたった80μmであり、源の実際のコヒーレント長とは無関係である。これは、たとえば、源40のコヒーレント長が、数百メートルさらには数キロメートルにもなり得るコイル20の長さと等しい場合でも、真実である。コヒーレント後方散乱については、周波数変調されたレーザ源40はしたがって、その実際のコヒーレント長が数桁分より長い場合であっても、典型的なSFSのコヒーレント長(たとえば数十ミクロン)に匹敵するコヒーレント長を有するようである。
【0034】
この分析は、いくつかの実施例により提供された後方散乱ノイズの減少が、レーザ源40が掃引される光学帯域幅に依存せず、周波数掃引の速度であるSにのみ依存していることを示している。したがって、いくつかの実施例では、小さい光学帯域幅にわたってレーザ源40の周波数の高速変調を利用することにより、所与の速度Sを達成することが有利である。これらの利点のうちの1つは、広帯域源の光学帯域幅と同じぐらい広い光学帯域幅にわたってレーザ周波数を掃引する必要がないことである。他の実施例では、大きい光学帯域幅にわたってレーザ源40の周波数の低速変調を利用することにより、所与の速度Sを達成することが有利である。これは、たとえばレーザ力学によって課されるように、大きい帯域幅にわたって低速でレーザを調整することがより容易な場合に有利である。たとえば、分散帰還型ファイバレーザは遅い緩和周波数(たとえば数百kHz)を呈するため、そのようなレーザを利用するいくつかの実施例では、大きい帯域幅にわたってゆっくりと周波数を掃引することが好ましい場合がある。
【0035】
以前に指摘したように、コヒーレント後方散乱ノイズがどれだけ多く減少されるかにおいて重要な計量値は、周波数掃引速度Sである。Sは、回転誘導信号周波数f0と、レーザ源40に加えられた周波数変調の結果、f0の両側にシフトされたノイズピークとの間の周波数シフトを定める。いくつかの実施例では、使用のために選択するSの値に関し、センサ10の局所的に最適な2つの動作モードがある。f0での後方散乱ノイズをできるだけ減少させるために、ノイズピークはf0からできるだけ遠くにシフトされ得る。いくつかの実施例では、ノイズピークは第1の動作モードにおいて、周波数掃引速度Sをできるだけ大きくなるよう選択することによってシフトされ、f0よりもはるかに大きいΔνBをもたらす。いくつかのレーザでは、この第1の動作モードは、たとえばレーザ帯域幅が小さすぎる場合、またはレーザ力学が遅すぎる場合に実施が難しい場合があり、大きい掃引速度Sの達成を困難に、または不可能にすらする。いくつかの実施例では、センサ10は、f0の奇数調波(たとえばf0、3f0、5f0など)の回転誘導信号を用いて動作され得る。
【0036】
これらの実用的な理由から、またはいくつかの他の理由から、いくつかの実施例では、別の動作モードが使用可能である。上述のように周波数変調が0から増加するにつれて、f0におけるノイズピークは、f0の両側に位置する、すなわちf0±ΔνBにおける2つのピークに分割される。しかしながら、dcおよびf0の全調波(2f0、3f0など)に位置するあらゆるノイズピークにおいて、同じ分割が起こる。このため、元々f0にあったノイズピークはf0の有用な回転誘導信号から遠ざかるように周波数シフトされるが、元々dcにあったノイズピークはf0に向かって周波数シフトされる。この第2の動作モードにおける最適な変調周波数は、ビート周波数ΔνB=f0/2(S=c2/(4n22)に対応)を提供することである。この第2の動作モードは局所的に最適である。なぜなら、この周波数シフトΔνB=f0/2で、dcにあったノイズピークおよびf0にあったノイズピークは双方とも、f0/2、すなわちdcと信号周波数ΔνBとの中間に周波数シフトされるためである。変調周波数をさらに増加させること(すなわちf0/2を上回ること)は、f0にあった元のノイズピークをf0からさらに遠ざかるように動かし、それはf0におけるノイズを減少させるが、それはまた、dcにあった元のノイズピークをf0により近づくように動かし、それはノイズを増加させる。dcでのノイズピークの振幅は、それがf0にある場合よりも大きいため、最終結果は、f0での後方散乱ノイズの増加となるであろう。したがって、この第2の動作モードにおける最適速度は、S=c2/(4n22)である。たとえば、長さが200mのファイバコイルおよび1.45の屈折率については、掃引速度の条件は、1.55μmの信号波長についてS=268GHz/s、または約2.1nm/sである。この周波数掃引速度を提供するために使用可能なレーザ源40の例は、外部共振器半導体ダイオードレーザ(たとえば最大100nm/sまで)を含むが、それに限定されない。
【0037】
第1の動作モードについては、ビート周波数がf0を上回って十分に増加するにつれて、元々dc、f0、およびf0のすべての高調波に位置していたノイズピークはシフトし、f0での信号ピークと重複するのに十分な周波数に広がる。次に、2つの効果がf0でのノイズレベルに寄与する。第1に、より多くのノイズピークがf0でのノイズに寄与し、それはf0でのノイズレベルを増加させる。第2に、元々f0およびdcにあったノイズピークのエネルギが広がり、f0での振幅を損失し、それはf0でのノイズレベルを減少させる。より高い調波でのノイズピークは、調波の次数が増加するにつれて減少する振幅を有するため、第1の寄与は第2の寄与よりも弱く、したがって、周波数シフトを非常に高い値に増加させる正味の影響は、f0でのノイズを減少させることである。
【0038】
図5Aおよび図5Bは、レーザ源40の光学線幅とビート信号の電気的線幅との比較を示す。図5Aに示すように、レーザ源40は、光周波数νIと光学線幅δνIとを有する。異なる光周波数で動作する相関関係のない2つのレーザ間のビート信号のスペクトル線幅は、それらのレーザの線幅の和である。しかしながら、レーザ信号同士が相関する場合、ビート信号線幅はゼロになりがちである。図2に示す光ファイバセンサ10の状況では、2つのうなる光信号は、これらの信号間の遅延がレーザ源40のコヒーレント時間よりも短い場合に相関する。したがって、レーザコヒーレント長がコイル20よりも長いいくつかの実施例では、後方散乱信号およびメイン信号は相関しており、ビート信号は、図5Bに実線で示すように、レーザ源40の光学線幅δνIよりも著しく小さい電気的線幅を提示する。図5Bの点線は、ビート信号同士が相関せず、2δνIの線幅をもたらす最悪の場合の筋書きを示している。
【0039】
図5C〜図5Eは、レーザ源40のさまざまなレベルのコヒーレンスについての、適正周波数f0およびビート周波数ΔνBを示す。高度にコヒーレントなレーザ源40(図5Cに示すように、Lc>>L)については、戻ってきた信号とコヒーレントな後方散乱信号との間のビート信号は非常に狭く、フィルタリングが高度のノイズ抑制を生み出し得る。(図5Dおよび図5Eに示すように)コヒーレント長が低下すると、ビート信号は幅が広がり、それらはf0でますます重複し、ノイズ抑制は効果が弱くなる。
【0040】
ビート信号の線幅がビート周波数ΔνBよりも小さいいくつかの実施例では、後方散乱ノイズは、ローパスフィルタ(たとえば、カットオフ帯域幅BWdetを有するフィルタ)またはバンドパスフィルタを用いて、フィルタリングで除去され得る。したがって、いくつかの実施例では、レーザ源40は、ビート信号の線幅が減少するように、コイル20よりも大きいコヒーレント長を有しており、結果として生じる信号における後方散乱ノイズは、分光フィルタリングによってより効果的に減少され得る。たとえば、長さが200mのファイバコイルについては、光学線幅δνIがc/Lよりもはるかに小さいという条件は、δνI<<1.5MHzを有することによって満たされる。そのような光学線幅は、(典型的には数百kHzの線幅を有する)外部共振器半導体ダイオードレーザ、または(典型的には数十kHzの線幅を有する)単一モードファイバレーザによって提供され得る。
【0041】
レーザ源40の周波数を無限に増加させることはできないので、いくつかの実施例では、周期的変調が適用される(たとえば、図6Aに示すような鋸歯状の周波数変調波形形状)。いくつかの実施例におけるこの周波数変調の周波数fsweepは、検出システム90のフィルタ帯域幅BWdetよりもはるかに高くなるよう有利に選択される。図6Bに示すように、周期的周波数変調については、メイン信号と後方散乱信号との間のビート周波数ΔνBは、周波数変調の巻付け部(具体的には、図6Bの上のグラフで後方散乱曲線とメイン曲線とが交差するあらゆる点)の周囲でゼロになりがちである。なぜなら、戻ってきたメイン信号と戻ってきた後方散乱信号とが実質的に等しい周波数を有するのは、これらの交差点の近傍であるためである。したがって、これらの点の近傍におけるビート周波数の減少は、後方散乱ノイズの一部を検出帯域幅内へと効果的に動かし、このためこれらの点での残存後方散乱ノイズを増加させる。このフィルタリングされていないノイズの大きさは、いくつかの実施例では、レーザ源40が掃引される光学帯域幅を増加させ、これによりビート周波数の時間依存性のデューティサイクルを増加させるか、または単位時間当たりの交差点の数を同等に減少させることにより、減少され得る。帯域幅が高くなるにつれて、単位時間当たりの巻付け部(または交差点)の数は少なくなり、ひいてはノイズ減少が大きくなる。
【0042】
そのようないくつかの実施例に対応するレーザ源40の例は、(たとえば100nm掃引可能な)外部共振器半導体ダイオードレーザ、および(たとえば圧電性セラミックを用いて高速で、ファイバを延ばすことにより10nm以上、ファイバの圧縮により90nm以上掃引可能な)分散帰還型ファイバレーザを含むが、それらに限定されない。たとえば、レーザ源40の周波数変調は、いくつかの種類がある狭線幅(たとえば単一周波数)半導体レーザダイオードを用いることにより、およびレーザダイオード駆動電流を変調することにより、提供され得る。これは、駆動電流に印加される周波数で、レーザ周波数の若干の変調を生成することが周知である。この周波数は掃引速度を制御し、一方、電流変調の振幅はレーザ周波数変調の振幅を制御する。
【0043】
他の周波数変調波形形状(たとえば正弦波状)も、ここに記載されたいくつかの実施例に対応する。いくつかの実施例では、周波数変調波形形状は、(たとえば鋸歯状のように)確率の平坦な密度を有するよう選択される。図7は、鋸歯波形および正弦波波形の確率の密度を比較している。正弦波状の周波数変調波形形状は、その確率の密度が正弦波形の極値近傍で最大であるため、後方散乱ノイズの大きさを劇的に増加させる。
【0044】
図8Aは、ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的なセンサ100を概略的に示す。図8Aのセンサ100は、コイル20を含む標準的なサニャックループを含む光ファイバジャイロスコープの別の例である。図8のセンサ100は、最小構成のFOGであり得る(たとえば、H.C.ルフェーブル、「光ファイバジャイロスコープ」、アーテックハウス社、ノーウッド、MA(1993)を参照)。レーザ源40からの光は光サーキュレータ80に伝送され、偏光器110を通り、光学結合器70に入り、それは偏光制御器120、光ファイバコイル20、および電気光学(EO)位相変調器130によってそれ自体の上で閉鎖されている。位相変調器130は、センサ100に直角位相でバイアスをかけるために使用可能であり、これによりセンサ100の感度を高める。いくつかの実施例では、偏光器110および位相変調器130は、数々のベンダーおよび製造業者(たとえば、カリフォルニア州ミルピタス(Milpitas)のJDSユニフェーズ社(JDS Uniphase Corp.))から商業的に入手可能な、ファイバベースまたはファイバピグテイルの部品である。
【0045】
図8Bは、ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的なセンサ102を概略的に示す。図8Bのセンサ102は、コイル20を含む標準的なサニャックループを含む光ファイバジャイロスコープの別の例である。センサ102は、偏光器110から下流に(たとえばコイル20内、偏光器110と第1の光学結合器70との間、および/または第1の光学結合器70内)に、偏光保持(PM)ファイバを含む。いくつかのそのような実施例では、偏光器110から下流の光学経路全体がPMファイバである。いくつかの実施例では、センサ102は全体にわたって(すなわち源40から下流で)PMファイバを有している。PMファイバを、偏光器110から下流の光学経路全体に沿って、またはセンサ102全体にわたって利用することにより、いくつかの実施例では、センサ100の偏光制御器120の使用が不要になる。そのようないくつかの実施例は、(手動により(実際のFOGでは実行不可)、またはコストおよび複雑性を追加する複雑な帰還システムを用いて)偏光制御器120を調節する必要性を有利に回避する。いくつかの実施例の位相変調器130は関数発生器140によって駆動されており、それはロックイン増幅器150に結合され、ロックイン増幅器150は信号をコンピュータシステム160に出力する。いくつかの実施例におけるセンサ100の適正周波数でのロックイン検出は、信号対ノイズ比を有利に改良できる。この位相変調を用いると、対象となる戻ってきた信号は、位相変調の周波数(すなわち適正周波数f0)を中心とする。
【0046】
図2に示す例示的な構成に関して上述したものと同様に、図8に概略的に示すセンサ100については、逆伝搬する信号同士のうちの1つのみによる後方散乱光が位相変調器130を通って伝搬する。たとえば、偏光制御器120を通り、次にコイル20の残りを通り、次に位相変調器130を通って伝搬する第1の信号52については、コイル20内で生成された後方散乱光は、偏光制御器120に向かって、かつ位相変調器130から遠ざかるように伝搬し、それから第1の光学結合器70に到達する。逆に、位相変調器130を通り、次にコイル20を通り、次に偏光制御器120を通って伝搬する第2の信号56については、コイル20内で生成された後方散乱光は、位相変調器130を通って伝搬してから第1の光学結合器70に到達する。位相変調器130を通って伝搬していない後方散乱光は、このため位相変調されず、したがって、検出周波数での後方散乱ノイズに寄与しない。そのような構成は、双方の後方散乱信号が変調されて双方がノイズに寄与する他の構成(たとえば、J.ツェン、「全ファイバ単一モードファイバによる周波数変調連続波サニャックジャイロスコープ」、オプティクス・レターズ、第30巻、17〜19頁(2005)、および、J.ツェン、「差動複屈折ファイバによる周波数変調連続波サニャックジャイロスコープ」、IEEEフォトニクス・テクノロジー・レターズ(Photonics Technology Letters)、第17巻、1498〜1500頁(2005))とは異なっている。
【0047】
加えて、図8Aおよび図8Bに概略的に示すセンサ100、102、および図1に概略的に示すセンサ10については、逆伝搬する信号同士が双方とも周波数変調され、組合されて、第3の信号60を生成する。他の構成(たとえば、B.カルショー(Culshaw)ら、「周波数変調ヘテロダイン光ファイバサニャック干渉計」(Frequency Modulated Heterodyne Optical Fiber Sagnac Interferometer)、IEEE会報、マイクロ波理論および技術部会(Microwave Theory and Technique)、MTT−30、536〜539頁(1982))は、コイル20の2つの逆伝搬信号の周波数を変調せず、これらの信号を組合さない。
【0048】
2つの異なるFOGを用いた図8Aの例示的なセンサ100について、実験結果を以下に提供する。FOGは各々、直径8cmのスプールに巻かれた長さ200mの標準光ファイバ(コーニング社からのSMF−28ファイバ)、および直径8cmのスプールに巻かれた長さ235mの空芯光バンドギャップファイバ(クリスタルファイバからのHC−1550−02ファイバ)という異なる光ファイバを利用している。(基本ノイズデータを収集するための)標準エルビウム添加超放射ファイバ源、および線幅が200kHzの外部共振器波長可変レーザという2つの異なる光源を用いることにより、FOGの性能を研究した。レーザの周波数は周波数変調(FM)を用いて掃引可能であった。この場合、レーザの駆動電流は変調され、それは非常に小さい波長変調帯域幅(1pmと試算)を生成した。また、これに代えて、レーザ周波数は周波数掃引(FS)を用いて掃引可能であり、その場合、レーザ周波数は、光学格子からなる半導体レーザの外部共振器を調整することによって掃引された。このアプローチは、(最大100nmの)広い光学変調帯域幅を提供した。
【0049】
図9は、SFS、レーザ、および周波数変調レーザという3つの異なる光源について、ロックイン増幅器150の出力において観察された、SMF−28ファイバコイルを用いたセンサ100についての回転信号を示す。EO位相変調器130は、関数発生器140からの400kHzの正弦波によって駆動され、検出器92に戻ってきた光学パワーは−20dBmであり、ロックイン増幅器150の等価積分時間は1.28s(BWdetが0.78Hz)であった。図9のデータは、センサ100を停止させた状態で、等価積分時間のほぼ10倍に等しい期間にわたって取得された。図9に示すように、SFSを用いた場合のノイズはレーザのノイズよりもはるかに小さく、それぞれ1シグマで3°/hおよび33°/hであった。このFOGをレーザを用いて調べた場合に観察されたノイズの増加は後方散乱によるものであり、一方、SFSを用いた場合に観察されたノイズは過剰ノイズによって支配されている。
【0050】
周波数変調レーザについては、鋸歯変調をレーザ駆動電流に8kHzで1mAのピーク間振幅で適用することにより、レーザ周波数が変調された。周波数変調の振幅は1pmであると試算され、周波数掃引速度Sは4.4nm/sであると試算された。周波数変調レーザは、後方散乱ノイズを、非周波数変調レーザの33°/hと比べると約4倍の改良となる7.6°/hに著しく減少させた。上で説明したように、この改良の理由は、後方散乱ノイズが適正周波数f0からシフトされ、ロックイン増幅器によってフィルタリングで除去され、f0でのノイズが低下したためである。このシフトは周波数掃引速度Sに比例しており、周波数シフトは、1kHzでの変調については40kHzに等しく、4kHzでは約140kHzに等しい。これらの実験結果はしたがって、周波数掃引レーザによる後方散乱ノイズの減少を支持する。いくつかの実施例では、対象となる周波数f0における図9で使用されたレーザの振幅ノイズは、このセンサ100の性能を制限する。いくつかの他の実施例では、より低いノイズを有するレーザは、SFSと同様の、またはより良好な性能を提供する。なぜなら、広帯域源と比べ、レーザは、制限された過剰ノイズを提示するためである。加えて、図9は、非常に小さい(1pm)光学帯域幅にわたるレーザの周波数変調が、センサ100において後方散乱ノイズを劇的に減少させるのに十分であることを示している。
【0051】
図10は、SMF−28ファイバが停止した状態のセンサ100について検出器92の出力において観察されたRFスペクトルを示す。このスペクトルは、図5Bに従って予期されるスペクトルと質的に十分一致している。FOG源40としてSFSが使用される場合、f0で観察された後方散乱ノイズ成分は非常に小さい。SFSをレーザ源と置き換えた場合、f0で強い後方散乱ノイズが観察される。レーザの周波数を変調することにより、図9は、後方散乱ノイズが位相変調周波数f0から遠ざかるように、かつその両側にシフトされることを示している。後方散乱ノイズのこの周波数シフトは、f0のあらゆる倍数(ゼロを含む)の周囲で観察された。レーザ周波数変調は、SFSを用いて動作された同じFOGの低いノイズレベルに達するには不十分であるものの、後方散乱ノイズを明らかに減少させる(図10参照)。上述のように、この周波数シフトは周波数掃引速度に比例することが観察された。図10はまた、いくつかの実施例では後方散乱の減少が制限されていることを示す。後方散乱ノイズピークを位相変調周波数よりもさらにシフトさせることはできず(すなわち、ΔνBはf0よりも小さくなければならない)、または、dcから正の周波数に向けてシフトされたノイズが、対象となる周波数f0で観察されるであろう。これに対し、いくつかの他の実施例では、以下でさらに説明するように、後方散乱ノイズは、ΔνB>>f0となるように非常に高速でレーザの周波数を掃引することにより、高周波数へとさらにシフトされる。たとえば、半導体レーザの外部共振器の格子の回転を用いて、100nm/sもの高い周波数速度を得ることができる。
【0052】
ビート信号は50kHzの線幅を有することが観察された。前述のように、この線幅は、レーザの光学線幅の2倍よりも小さい。したがって、ビート波は部分的に相関するようであり、それはレーザの1.5kmのコヒーレント長と十分に一致している。
【0053】
同様の傾向が、空芯光ファイバコイル20を利用したセンサ100についても観察された。EO位相変調器130は632kHzの正弦波で駆動され、検出器92に戻ってきた光学パワーは−24dBmであり、ロックイン増幅器150の等価積分時間は1.28s(BWdetが0.78Hz)であった。図11は、検出器92の出力において観察されたRFスペクトルを示す。図10のSMF−28ファイバコイル20についてのRFスペクトルと比較した主な違いは、標準ファイバと比べて空芯光ファイバの後方散乱係数が増大しているため、後方散乱ノイズが20dB(電気的)増大した(10倍)ことである。レーザ周波数変調は、標準ファイバコイルを用いた場合と同様に後方散乱ノイズを減少させるが、SFSの低ノイズ性能に達するほどではない。レーザ周波数が3.2kHzで、かつ周波数速度が
【0054】
【数6】

【0055】
(または232GHz/s)となるような速度で変調されると、ノイズは264°/hであることが観察され、それはSFSを用いた場合に観察された7.7°/hというノイズのほぼ30倍である。ノイズの大きさは、ロックイン増幅器150の等価積分時間の10倍の時間にわたって、1シグマで測定された。この速度Sは、〜80kHzのノイズピークにおいて周波数シフトを誘導した(図11参照)。このノイズシフトは、上述の第2の動作モードに従った最適周波数f0/2ほど高くはないものの、このFOGを検査した条件、およびそれが生成したノイズの減少は、第2の動作モードの図示を提供する。この実施例は、この第2の動作モードにおける空芯FOGでの後方散乱ノイズの著しい減少を実証する。
【0056】
上述のように、第1の動作モードは、第2の動作モードよりもはるかに速い速度で周波数を変調することを含む。空芯のまたは従来の光ファイバコイル20についての後方散乱ノイズは次に、非常に高速(たとえば100nm/sもの速さ)でレーザの周波数を掃引することにより、はるかにより高い周波数(ΔνB>>f0)にシフトされる。これは実際には、たとえば半導体レーザの外部共振器の格子を回転させることによって達成可能である。この場合、上述のように、f0の全調波の近傍にあるすべてのノイズピークにおけるエネルギは、非常に広い周波数範囲にわたって広がり、対象となる周波数f0とほとんど重複しない。この点を証明することを目的とした実験では、検出された光学パワーは−20dBmであり、ロックイン等価積分時間は38sであり、レーザ周波数は30nmにわたり、100nm/sの速度で鋸歯形状で掃引された。レーザは、エルビウム添加ファイバ増幅器を用いて増幅された。周波数掃引源によって駆動された空芯FOGの観察されたノイズは16°/h(100sにわたって1シグマで測定)であったが、それは、SFSを用いて観察されたノイズ(5.2°/h)のほんの3倍である。このノイズは光学帯域幅とは無関係であり、10nmまたは60nmにわたってレーザ周波数を掃引することは、ノイズの大きさを顕著には変化させなかった。加えて、この性能は、FOGのレーザと入力/出力偏光器との間のファイバの長さが偏光を維持しなかったという事実によって生じた5dBもの高い光学パワー変動にもかかわらず、得られた。
【0057】
図12Aおよび図12Bは、停止状態の空芯FOGについての検出器信号のいくつかの時間特性およびスペクトル特性を提示する。FOGがSFSによって駆動されている場合、検出された信号は、図12Aの上のグラフに示すように、2f0の予期された成分である。SFSがレーザに置換された場合、この成分は、図12Aの真ん中のグラフに示すように、後方散乱ノイズによって隠される。周波数掃引レーザを用いると、2f0の予期された成分は、(図12Aの下のグラフに示される)後方散乱ビートノイズによる過変調を有して観察される。
【0058】
【数7】

【0059】
から、および散乱体の平均位置がz=0(またはL、なぜなら、0およびLは、散乱体がノイズに最も寄与する2つの場所であるため)と仮定すると、予期されたビート周波数は9.7MHzであり、それは、図12Bに示すような、RFスペクトル分析器を用いて観察された9MHzという最大値と非常に良好に一致する。
【0060】
図13は、コイル20においてSMF−28ファイバを用いたFOGについての、検出帯域幅の平方根に対するノイズの測定された依存性を提示する。上述のように、いくつかの実施例におけるロックイン増幅器150の積分時間は、周波数掃引の期間と比べて大きくなるよう有利に選択される。図13は、ロックイン増幅器150の検出帯域幅とレーザ源40の掃引速度との比率の重要性を示している。ランダムウォーク体制では、レーザ駆動のおよびSFS駆動のFOGについての予期された線形依存性が観察された。加えて、周波数掃引レーザを用いた場合のノイズは、大きい帯域幅についてはレーザ駆動のFOGと同じぐらい高いことが観察され、より小さい検出帯域幅については広帯域源のノイズに近づくことが観察された。
【0061】
ここに説明するように、周波数掃引された狭帯域レーザ(たとえば分散帰還型ファイバレーザ)は、光ファイバセンサ(たとえばFOG)において有利に使用可能である。いくつかの実施例では、レーザ駆動のFOGに比べて、後方散乱ノイズは減少され得る(たとえば4分の1)。コイル20における点反射はコヒーレント後方散乱ノイズを引起す場合があり、それはレーザを周波数変調することによって減少可能であり、そのため後方散乱ノイズは、FOGにおける反射源を除去することにより(たとえば、すべてのファイバ間接続部でファイバコネクタを融着接続部に置き換えることにより)、さらに(たとえば10分の1)減少可能である。レーザ源40を周波数変調することはまた、メイン(または一次)信号のうちの一方または双方と、サニャックループに沿った点界面で発生する反射との干渉から生じるコヒーレントノイズを減少させ得る。そのような反射は、ファイバ間接続部でのスプリアス反射、コイル20に位置する構成要素(たとえば位相変調器)内の内部界面でのフレネル反射、または、たとえばチップがLiNbO3チップである場合、ファイバとEO変調器チップとの間の光学接続部でのフレネル反射を含むが、それらに限定されない。
【0062】
標準光ファイバを用いる場合、周波数掃引された狭帯域レーザによって駆動されるFOGのノイズ性能は、広帯域源を用いた場合とほぼ同じぐらい良好である。いくつかの実施例における周波数掃引された狭帯域レーザの使用は、レーザを用いて駆動されるすべてのFOGについて、感度の向上(たとえばノイズの減少)および安定性の向上(たとえば平均波長の安定性)を有利に提供する。空芯ファイバのさらなる使用は、熱安定性の向上、カー効果に誘導された位相ドリフトの減少、および磁場に対する感度の減少といった追加の利点を提供する。いくつかの実施例の後方散乱ノイズの減少は、主として周波数掃引速度に依存しており、ほんの1pmにわたってレーザ周波数を掃引することは、後方散乱ノイズの実質的な減少を達成するのに十分であった。ここに記載されたいくつかの実施例は、広帯域源に比べてレーザ源の平均波長のより容易な制御を可能にし、このため、FOGスケール因子についてのより良好な長期安定性を提供する。
【0063】
図14は、ここに記載されたいくつかの実施例に従った例示的なセンサ170を概略的に示す。図14のセンサ170は、コイル20を含む標準サニャックループを含む光ファイバジャイロスコープの別の例である。図14のセンサ170は、標準的な方法に従ってFOG構成要素をすべてチップ(LiNbO3)上に作製し、商業用のFOGを作製した集積光学チップである。いくつかのそのような実施例では、第1の光学結合器70(たとえばY接合部)、第2の光学結合器80(たとえばY接合部)、偏光器110、および位相変調器130を含むもののそれらに限定されない、センサ180の主要構成要素は、同一の集積光学チップ上に、たとえばLiNbO3上に、標準技術を用いてすべて作製され、それは、小型性、機械的安定性、ならびに大規模製造の容易性およびコスト削減というよく認識されたいくつかの利点を提示する。いくつかの実施例では、コイル20は偏光保持ファイバを含む。いくつかの他の実施例では、偏光制御器をコイル20に沿った1つの点に位置付けることができ、コイル20の複屈折性を制御し、偏光の信号出力状態が偏光器の伝送軸に対して整列されることを確実にして、それにより偏光相反性を提供する。いくつかの実施例では、コイル20は空芯ファイバを含む。
【0064】
いくつかの実施例では、ここに記載されたこの周波数変調は、基本FOG構成の多くの他の実現化例で、また、FOGが動作する態様または構成要素を作製するために使用される特定の技術にかかわらず、使用可能である。たとえば、FOGが開ループで動作するか閉ループで動作するか、ループを閉鎖するために使用される方式とは無関係に、またあらゆる目的のためにFOGにおいて全体として実施された変調方式または他の信号処理方式とは無関係に、周波数変調が使用可能である。
【0065】
図15は、ここに記載されたいくつかの実施例に従った、光ファイバセンサを動作させる例示的な方法200のフロー図である。方法200は、動作ブロック210で、光ファイバコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む光ファイバセンサを設けるステップとを含む。方法200はさらに、動作ブロック220で、源からの光を第1の信号および第2の信号としてコイルに伝送するステップを含む。第1の信号はコイルに沿って第1の方向に伝搬し、第2の信号はコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反している。方法200はさらに、動作ブロック230で、第1の信号および第2の信号を組合せて、第3の信号を生成するステップを含む。方法200はさらに、動作ブロック240で、第1の信号および第2の信号が周波数変調されるようにレーザ源の周波数を変調するステップと含む。いくつかの実施例では、第3の信号は後方散乱ノイズ部分と残りの部分とを含み、レーザ源の周波数を変調するステップは、残りの部分の周波数とは異なるビート周波数になるよう、後方散乱ノイズ部分をシフトする。
【0066】
後方散乱によるエラー信号を変動させる起こり得る効果のうち、主な寄与は源におけるランダム位相変動である。ファイバにおける温度過渡といった他の寄与は、はるかにより長い特性時間定数を有しており、一般に、ランダムウォークノイズというよりも、時間が経つにつれてFOG信号出力のドリフトをもたらす(たとえば、K.クレケンス(Krakens)およびK.ブロテカー(Blotekjaer)、「サニャック干渉計におけるレーザ位相ノイズの効果」(Effect of Laser Phase Noise in Sagnac Interferometers)、ジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー(Journal of Lightwave Technology)、第11巻第4号、1993年4月を参照されたい)。上述のように、コヒーレント後方散乱ノイズの効果を減少させる主なアプローチは、これまでは、広帯域源を用いてFOGを調べることであった。広帯域源を使用する場合、コヒーレント後方散乱ノイズは減少した。なぜなら、その源のコヒーレント長Lcはその場合、コイルの長さに比べて非常に短いためである。その結果、コイル中間点を中心とするファイバのほぼ1つのコヒーレント長内に位置する散乱体によって散乱された光のみが、コヒーレント後方散乱ノイズに寄与する。この領域外に位置する散乱体によって散乱された光は、源のコヒーレント時間よりも長く、かつインコヒーレントに干渉する一次波に対し、遅延を有しており、このためそれはエラー信号の著しい変動には寄与しない。したがって、散乱によるエラーを減少させるために、1つのアプローチは、源のコヒーレント長を減少させることにより、または同等、広帯域光源を使用することにより、コヒーレント後方散乱に寄与するファイバの領域をますます小さくすることである。広帯域源については、この領域は通常、長さがたった数ミクロン、または数十ミクロンである。
【0067】
ここに記載されたいくつかの実施例に従った、コヒーレント後方散乱および反射(たとえば点反射)によるエラー信号のRMS変動を減少させる別のアプローチは、高度にコヒーレントな源、すなわち、コイル長よりも長いコヒーレント長を有する源を使用することである。上記の説明から、源のコヒーレント長を増加させることは、コヒーレント後方散乱ノイズに寄与するファイバの長さを増加させることであり、それはしたがって一般に、より大きな後方散乱ノイズ、ひいてはより大きなFOGランダムウォークにつながる。しかしながら、後方散乱ノイズは、源のコヒーレント長がコイル長さと等しくなる点までしか増加しない。この増加はもちろん、より多くの散乱体がコヒーレント散乱ノイズに寄与するという事実に起因する。しかしながら、源のコヒーレント長がコイルの長さを超えて増加した場合、2つの効果が起こる。第1に、コヒーレント後方散乱ノイズに寄与するファイバの長さは、もはや増加しない。なぜなら、コイルファイバ全体に沿った散乱体はすべて、コヒーレント後方散乱ノイズに既に寄与しているためである。第2に、源のコヒーレント長を増加させることは、源によって放出された光子のますます小さいランダム位相変動につながる。これらの変動は、エラー信号の変動を最終的にもたらすものであるため、後方散乱ノイズの変動は減少し、ランダムウォークも同様である。したがって、後方散乱信号にコヒーレントに寄与する領域がここで固定され、源のランダム位相変動が、コヒーレント長を増加させることによってより小さくなり得るため、エラー信号のRMS変動も減少する。これは、コヒーレント後方散乱によるFOGランダムウォークの減少、および付随する最小検出可能回転速度の改良につながる。いくつかのそのような実施例は、図1、図2、図8A、図8B、および図14の構成を含むがそれらに限定されないさまざまなセンサ構成を用いて使用可能である。
【0068】
図16は、上述の原理を検証するために使用される理論的な数値モデルの結果を示す。このモデルは、さまざまなコヒーレント長について、ファイバループに局所不均一性がある源のランダム位相変動間の相互作用を数値的にシミュレートするために使用された。図16は、SMF−28ファイバと同等の統計特性を有する255メートルのファイバからなるある特定のコイルについてのこのシミュレーションの結果を示しており、散乱体のたった1つのランダム分布についてノイズに対する効果を調査した。この数値モデルはまた、起こり得るすべての散乱体分布にわたる位相ノイズ(および対応するランダムウォーク)を平均化することができ、それらについてこのモデルは、同じ曲線であるものの形状および縦軸絶対スケールが若干異なる曲線を生み出す(簡潔にするため図示せず)。垂直の点線は、コイル長に等しいコヒーレント長(Lc=L)を示す。図16に示すように、コヒーレント長が短い源については、FOGランダムウォークは比較的小さい。コヒーレント長が増加するにつれて、ランダムウォークも当初は増加する。しかしながら、コヒーレント長が一旦コイルの長さを上回ると、コヒーレント後方散乱によるランダムウォークは上述のように減少する。
【0069】
このモデルの妥当性を、周波数変調レーザによって駆動される光ファイバジャイロスコープの実験的実証を用いて、かつシミュレーションに使用されたものと一致するパラメータを用いて確認した。実験構成は、SMF−28ファイバの240メートルのコイルを有する図8Aに示すような最小構成FOGに結合された、200kHzの半値全幅線幅(または約1.5kmのコヒーレント長)を有する外部共振器レーザを利用した。FOGは、ファイバピグテイル電気光学位相変調器130を用いて適正なコイル周波数でバイアスをかけられた。戻ってきた信号はP−I−Nフォトダイオードを用いて測定され、1kHzの帯域幅を有するロックイン増幅器を用いて復調された。この実験構成は、
【0070】
【数8】

【0071】
のFOGランダムウォークを呈した。数値モデルは、
【0072】
【数9】

【0073】
の平均ランダムウォークを予測し、すべての起こり得る散乱体分布にわたって計算して、1つの特定のファイバを用いた我々の実験結果との非常に近接した一致を示し、シミュレーションの妥当性を確認した。
【0074】
図16は、原則的に、いくつかの実施例における源のコヒーレント長が、後方散乱ノイズをできるだけ減少させるためにできるだけ長くなるよう選択され得ることを示している。たとえば、コヒーレント長を約150キロメートルに増加させることは、コヒーレント後方散乱ノイズをそのピーク値から15分の1に減少させることをもたらす。この減少は対数−対数のスケール上でほぼ線形であり、そのため正味のノイズ減少は、このファイバの特定の例においても、コヒーレント長が200倍増加する毎に10分の1となるよう特徴付けられ得る。しかしながら、いくつかの実施例では、後方散乱ノイズを、ノイズ、たとえばショットノイズの次の主な源の直下まで減少することが十分であり得る。
【0075】
図16のこれらの結果を生み出すために使用された数値モデルは、光源のコヒーレンス度が極めて高くなった場合に光源に存在するかもしれない他の位相ノイズ源を考慮に入れていなかった。そのようなノイズ源は、自然放出ノイズ、相対強度ノイズ(RIN)、および過剰ノイズを含む。これらのノイズ源が存在する場合、図16の曲線はLc>L領域においてもはや無限には低下しない。その代わり、ある臨界コヒーレント長よりも上で、曲線は減少を止め、おそらく漸近値で横ばいとなる。この漸近レベルは、Lc>Lおよびこの特定源を用いた場合に可能なコヒーレント後方散乱ノイズ減少の最大値に対応する。所与の源を用いて達成可能なノイズ減少の量は、上述の実験結果に関連して上述したように、光ファイバジャイロスコープを用いて容易に測定可能である。
【0076】
ランダムウォークは当初、コヒーレント長の増加とともに増加するため、以前に存在した多くのノイズ減少方式は、源のコヒーレント長を減少することに焦点を置いていた。これまでの研究は、コヒーレント長がループの長さよりもはるかに長く、上述の性能を予測していなかった場合の体制を考慮していなかった。安定した中心波長およびごくわずかな過剰ノイズといった上述の狭帯域源の利点のため、高度にコヒーレントな源(すなわち、コイル長を上回るコヒーレント長を有する源)を用いるFOGを利用したいくつかの実施例は、より伝統的な方法に対して著しい利点を提供する。
【0077】
いくつかの実施例では、コイルの長さに対するコヒーレント長の比は1よりも大きく、1.1よりも大きく、1.5よりも大きく、2よりも大きく、5よりも大きく、10よりも大きく、100よりも大きく、または1000よりも大きい。いくつかの実施例では、光ファイバセンサは、周波数変調と、コイルの長さよりも長いコヒーレント長とを双方とも利用する。いくつかの他の実施例では、光ファイバセンサは、周波数変調、またはコイルの長さよりも長いコヒーレント長を利用する。
【0078】
図17は、ここに記載されたいくつかの実施例に従った、光ファイバセンサを動作させる例示的な方法300のフロー図である。方法300は、動作ブロック310において、
ある長さを有する光ファイバのコイルと、コイルファイバに光学的に結合されたレーザ源とを含む光ファイバセンサを設けるステップを含む。レーザ源は、コイルファイバの長さよりも大きいコヒーレンス長を有するよう選択される。方法300はさらに、動作ブロック320において、源からの光を第1の信号および第2の信号としてコイルに伝送するステップを含む。第1の信号はコイルに沿って第1の方向に伝搬し、第2の信号はコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する。第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反している。方法300はさらに、動作ブロック330において、第1の信号および第2の信号を組合せて、第3の信号を生成するステップを含む。
【0079】
さまざまな実施例が上に説明されてきた。この発明はこれらの特定の実施例を参照して説明されたが、これらの説明は発明の例示であるよう意図されており、限定的であるとは意図されていない。さまざまな変更および用途が、添付された特許請求の範囲に定義されたようなこの発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者の脳裏に浮かぶであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバコイルと、
コイルに光学的に結合された周波数変調されたレーザ源とを含み、源からの光は、コイルに沿って第1の方向に伝搬する第1の信号、およびコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する第2の信号としてコイルに伝送され、第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、第1の信号および第2の信号は、コイルを通って伝搬した後で組合され、第3の信号を生成する、光ファイバセンサ。
【請求項2】
センサはサニャックベースの光ファイバジャイロスコープであり、第3の信号はコイルの回転を示す、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
コイルとレーザ源との間で、コイルおよびレーザ源に光学的に結合された少なくとも1つの光学結合器をさらに含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
少なくとも1つの光学結合器は、第1のポート、第2のポート、および第3のポートを含む第1の光学結合器を含み、第1のポートはレーザ源によって生成された光を受け、第2のポートはコイルの第1の端に光学的に結合され、第3のポートはコイルの第2の端に光学的に結合されている、請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
第1の信号は、第2のポートによってコイルの第1の端に伝送されて、コイルに沿って第1の方向に伝搬し、コイルの第2の端および第3のポートによって第1のポートに伝送され、第2の信号は、第3のポートによってコイルの第2の端に伝送されて、コイルに沿って第2の方向に伝搬し、コイルの第1の端および第2のポートによって第1のポートに伝送される、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
第1の光学結合器は3dBの光学結合器を含む、請求項4に記載のセンサ。
【請求項7】
少なくとも1つの光学結合器は、第1のポート、第2のポート、および第3のポートを含む第2の光学結合器をさらに含み、第1のポートはレーザ源によって生成された光を受け、第2のポートは第1の光学結合器の第1のポートに光学的に結合され、第3のポートは検出システムに光学的に結合されている、請求項4に記載のセンサ。
【請求項8】
第2の光学結合器の第1のポートが受けたレーザ源からの光は、第2の光学結合器の第2のポートを通って第1の光学結合器の第1のポートに伝送され、第2の光学結合器の第2のポートが第1の光学結合器の第1のポートから受けた第3の信号は、第2の光学結合器の第3のポートを通って検出システムに伝送される、請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
第2の光学結合器は光サーキュレータを含む、請求項7に記載のセンサ。
【請求項10】
少なくとも1つの光学結合器と光ファイバコイルとの間で、少なくとも1つの光学結合器および光ファイバコイルに光学的に結合されている偏光制御器をさらに含む、請求項3に記載のセンサ。
【請求項11】
少なくとも1つの光学結合器と光ファイバコイルとの間で、少なくとも1つの光学結合器および光ファイバコイルに光学的に結合されている位相変調器をさらに含む、請求項3に記載のセンサ。
【請求項12】
関数発生器と検出システムとをさらに含み、検出システムは、
第3の信号を受けるよう構成された検出器と、
検出器からの出力を受けるよう構成されたロックイン増幅器とを含み、
位相変調器は関数発生器によって駆動され、ロックイン増幅器は関数発生器に結合されている、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
光ファイバコイルは空芯光バンドギャップファイバを含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項14】
レーザ源は、外部共振器半導体ダイオードレーザ、または分散帰還型ファイバレーザを含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
レーザ源の周波数変調は、周期的な鋸歯波形形状を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
第3の信号を受けるよう構成された検出システムをさらに含み、検出システムはフィルタ帯域幅を含み、第3の信号は後方散乱ノイズ部分と残りの部分とを含み、フィルタ帯域幅は後方散乱ノイズ部分をフィルタリングで除去するよう選択される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項17】
センサは、コイルを含む標準サニャックループを含む光ファイバジャイロスコープである、請求項1に記載のセンサ。
【請求項18】
光ファイバセンサを動作させる方法であって、前記方法は、
光ファイバコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む光ファイバセンサを設けるステップと、
源からの光を第1の信号および第2の信号としてコイルに伝送するステップとを含み、第1の信号はコイルに沿って第1の方向に伝搬し、第2の信号はコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬し、第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、前記方法はさらに、
第1の信号および第2の信号を組合せて、第3の信号を生成するステップと、
第1の信号および第2の信号が周波数変調されるようにレーザ源の周波数を変調するステップとを含む、方法。
【請求項19】
第3の信号は後方散乱ノイズ部分と残りの部分とを含み、レーザ源の周波数を変調するステップは、残りの部分の周波数とは異なるビート周波数になるよう、後方散乱ノイズ部分をシフトする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ある長さを有する光ファイバのコイルと、
コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含み、レーザ源はコイルファイバの長さよりも長いコヒーレンス長を有しており、源からの光は、コイルに沿って第1の方向に伝搬する第1の信号、およびコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する第2の信号としてコイルに伝送され、第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、第1の信号および第2の信号は、コイルを通って伝搬した後で組合され、第3の信号を生成する、光ファイバセンサ。
【請求項21】
センサは、コイルを含む標準サニャックループを含む光ファイバジャイロスコープである、請求項20に記載のセンサ。
【請求項22】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が1よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項23】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が1.1よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項24】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が1.5よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項25】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が2よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項26】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が5よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項27】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が10よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項28】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が100よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項29】
コイルファイバの長さに対するコヒーレント長の比が1000よりも大きい、請求項20に記載のセンサ。
【請求項30】
光ファイバセンサを動作させる方法であって、前記方法は、
ある長さを有する光ファイバのコイルと、コイルに光学的に結合されたレーザ源とを含む光ファイバセンサを設けるステップを含み、レーザ源はコイルファイバの長さよりも長いコヒーレンス長を有しており、前記方法はさらに、
源からの光を第1の信号および第2の信号としてコイルに伝送するステップを含み、第1の信号はコイルに沿って第1の方向に伝搬し、第2の信号はコイルに沿って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬し、第1の信号および第2の信号の光学経路は互いに実質的に相反しており、前記方法はさらに、
第1の信号および第2の信号を組合せて、第3の信号を生成するステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図4】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−503623(P2011−503623A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534251(P2010−534251)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083699
【国際公開番号】WO2009/065086
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(503115205)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティ (69)
【Fターム(参考)】