説明

レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置

【課題】 溶接の可否、溶接の良否を溶接工程中で確実に検出できるレーザ溶接技術を提供する。
【解決手段】 本発明になるレーザ光照射によるレーザ溶接方法は、次の工程を含むことを特徴とするものである。
a)導電性の被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせてセットする工程
b)前記工程でセットした被溶接物間の電気抵抗を測定し、予め定められた第1の設定値との差を求め、差が正の値のときは再度セットし直す工程
c)前記工程で差が0または負の値のときはレーザ光を照射してレーザ溶接を行う工程
d)前記工程中、前記被溶接物間の電気抵抗を測定し、予め定められた第2の設定値との差を求め、差が0または負の値になるまでレーザ光を照射する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに重ね合わせた板状部材または突き合わせた板状部材にレーザビームを照射することにより、前記板状部材同士を溶接するレーザ溶接技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、2枚以上の板状部材を互いに重ね合わせた状態または突き合わせた状態で、所定の溶接部位に沿ってレーザビームを照射することにより前記板状部材同士を一体的に溶接するレーザ溶接処理が、各種の製造工程で広く行われている。
【0003】
この種のレーザ溶接処理では、良好な溶接品質を維持するために、溶接状態を確認することが望まれており、次のような技術が知られている(例えば、特許文献1、2など)。
【0004】
特許文献1で開示される技術は、CCDカメラ5によって溶接部を撮影するものであり、撮影した映像に基づいて画像処理手段6によって被溶接物Wの溶融プール長さLを求め、制御手段7からレーザ発振器2および加工テーブル4に指令信号を送り、レーザ出力および溶接速度を調整することによって、被溶接物Wの板厚tに対する溶融プール長さLの比L/tが1〜3の範囲となるように制御することで溶接品質を維持する。
【0005】
一方、特許文献2で開示される技術は、電気的に接続する接続対象である2つの接続用端子部10、11をYAGレーザ装置12により溶接する部位の近傍に、レーザ溶接部14のレーザ照射側に、プラズマ発生量を紫外領域で検出する紫外線センサ17と、レーザ溶接部14の温度を検出する赤外線センサ18とが設けるものであり、溶接と同時にその成否を間接的に評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−210781号公報
【特許文献2】特開2001−191186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のように特許文献1で開示される技術は、レーザ光が照射される板状部材表面の溶接(溶融)状態だけを検出するものであり、特許文献2で開示される技術は、溶接部位のプラズマ発生量と温度を検出するものである。このため、溶接状態を直接確認しながらレーザ光照射の時間、量を制御していないので、実際にレーザ光が下側の板状部材まで貫通しているか否かの判断ができず、溶接部の溶接品質、例えば、溶接強度を保証することができないという問点があった。
【0008】
また、溶接状態は重ね合わせられた板状部材または突き合わされた板状部材の溶接部位の密着性の良否に大きく影響されるが、この密着性の良否を確認せずにレーザ光を照射しているので、この点からも同じように溶接部の溶接品質、例えば、溶接強度を保証することができないという問点があった。
【0009】
また、溶接状態を確認する手段も比較的大掛かりなものになり、レーザ溶接装置が高コストなものになるという問題点もあった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、直接溶接状態を確実に検出することができ、互いに重ね合わせた板状部材または突き合わせた板状部材のレーザ溶接処理を簡単かつ高品質に遂行することが可能なレーザ溶接方法を提供することを第1の目的とし、このような溶接方法に直接使用する低コストのレーザ溶接装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は、溶接する重ね合わせまたは突き合わせた導電性の板状部材間に電流を流したときの電気抵抗値とこの板状部材間の密着性および溶接強度との間の相関性に着目して、この発明をするに至った。
【0012】
本発明になるレーザ光照射によるレーザ溶接方法は、次の工程を含むことを特徴とするものである。
a)被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせてセットする工程
b)前記工程でセットした被溶接物間の電気抵抗を測定し、予め定められた第1の設定値との差を求め、差が正の値のときは再度セットし直す工程
c)前記工程で差が0または負の値のときはレーザ光を照射してレーザ溶接を行う工程
d)前記工程中、前記被溶接物間の電気抵抗を測定し、予め定められた第2の設定値との差を求め、差が0または負の値になるまでレーザ光を照射する工程
【0013】
また、本発明になるレーザ光照射手段を備えるレーザ溶接装置は、次の構成を含むことを特徴とするものである。
a)被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせてセットするセット手段
b)前記セット手段でセットされた被溶接物間の電気抵抗を測定する電気抵抗測定手段
c)前記レーザ光照射手段からのレーザ光照射開始前に、前記電気抵抗測定手段からの抵抗値と予め定められた第1の設定値との差が0または負の値になるように前記セット手段を駆動し、前記レーザ光照射手段からのレーザ光照射開始後は前記電気抵抗測定手段からの抵抗値と予め定められた第2の設定値との差が0または負の値になるまで前記レーザ照射手段を駆動する制御手段
【発明の効果】
【0014】
本発明になるレーザ溶接方法によれば、レーザ溶接開始前には溶接が正常に実行されるように溶接対象物の密着性が確保され、レーザ溶接中は溶接の進捗状況が確認できるのでレーザ溶接作業工程でも品質管理が可能となる。したがって、信頼性の高いレーザ溶接方法を提供することができる。
【0015】
また、本発明になるレーザ溶接装置によれば、レーザ溶接開始前には溶接が正常に実行されるように溶接対象物の密着性が確保され、レーザ溶接中は溶接の進捗状況が確認できるのでレーザ溶接作業工程でも品質管理が可能となる。したがって、信頼性の高いレーザ溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明になるレーザ溶接装置の要部構成図である。
【図2】レーザ光照射部分の拡大図である。
【図3】本発明になるレーザ溶接方法の概略フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明になるレーザ溶接装置の要部構成図、図2はこの要部構成図の中のレーザ光照射部分の拡大図、図3は本発明になるレーザ溶接方法の概略フローチャート図である。
【0018】
なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0019】
図1において、レーザ溶接装置100は溶接対象物である導電性の第1板状部材61と第2板状部材63を搬送して加工テーブル71の所定の位置に位置合わせして載置する搬送部1、加工テーブル71の所定の位置に載置した第1板状部材61と第2板状部材63にレーザ光33を照射して溶接する部分を中心にその周辺を押圧部材21で加工テーブル71に押圧する押圧制御部2、第1板状部材61と第2板状部材63とを溶接するレーザ光33を照射するレーザ発振部3、第1板状部材61と第2板状部材63との間の電気抵抗を計測するための低電圧の定電圧を印加する定電圧電源部4、搬送部1、押圧制御部2、レーザ発振部3および定電圧電源部4を関連する部分からの情報に基づきこれらの制御部等を個別に制御するとともにレーザ溶接装置100全体を制御する制御部5からなる。
【0020】
搬送制御部1は第1板状部材61と第2板状部材63を集積部(図示せず)からそれぞれ1枚ずつ把持部材11、13で把持して取り出し、加工テーブル71の所定の位置に載置する搬送機構(図示せず)を制御部5からの制御に基づいて制御する。この搬送機構は公知の搬送機構を利用することができる。この搬送機構には位置合わせのために加工テーブル71上を撮影できるカメラを備え、このカメラから得られた画像を用いて第1、第2板状部材61、63の位置合わせを行うようにしてもよいし、ティーチング機能を備えて加工テーブル71の所定の位置に第1、第2板状部材61、63を搬送するようにしてもよい。なお、図1において、搬送制御部1は「1/2」と「2/2」の2つに分離されているが制御対象との関係で分かり易くしているだけで実際には分離されていない(以下、「1/2」、「2/2」の表記において同じ)。
【0021】
押圧制御部2は制御部5からの制御のもとに押圧部材21を備える押圧機構(図示せず)を制御して押圧部材21で加工テーブル71上の所定の位置に位置合わせして載置された第1、第2板状部材61、63に所定の圧力を加えてレーザ溶接部位81と含む第1、第2板状部材61、63の重ね合わせ部を密着する。このとき、この所定の圧力は前記押圧機構内に設けられたロードセル等からなる荷重検出部(図示せず)で検出され、押圧制御部2を介して制御部5にフィードバックされる。なお、この押圧機構は公知の押圧機構を利用することができる。
【0022】
レーザ発振部3は制御部5からの制御によりレーザ(図示せず)に駆動電流を流してこのレーザを発振させ、集光光学系31を介して加工テーブル71上の所定の位置に位置合わせして載置された第1、第2板状部材61、63の溶接部位81にレーザ光33を照射する。このレーザ発振部3と集光光学系31は公知の技術を用いることができ、集光光学系31は前記押圧機構と一体で構成するのがよい。
【0023】
定電圧電源部4は制御部5からの制御により低電圧(数10〜数100mV)の定電圧を供給端子41、43を介して第1、第2板状部材61、63の溶接部位81を挟んで第1、第2板状部材61、63の間に供給する。この定電圧電源4には供給する電流を計測する機能が備えられており、電源を供給している間は常に電流を計測しており、この電流と電圧とは制御部5に送られている。なお、供給端子41、43は公知の昇降機構(図示せず)に設けて、この昇降機構により供給端子41、43を第1、第2板状部材61、63に適当な押圧力で押圧できるようにしておくのがよい。
【0024】
制御部5は前述のように搬送制御部1、押圧制御部2、レーザ発振部3および定電圧電源部4を制御する。このとき、定電圧電源部4からの第1、第2板状部材61、63間に供給される電圧と電流の情報から電気抵抗値を算出して、この結果によりレーザ溶接開始前は第1、第2板状部材61、63のレーザ溶接の可否を、レーザ溶接中はレーザ溶接の良否を判断する。
【0025】
すなわち、レーザ溶接開始前は、この電気抵抗値が予め設定されている第1設定値より大きいときは、溶接部位81の密着性が低くレーザ溶接が可能ではないと判断して押圧制御部2からの押圧力を増やして密着性を高めるようにする。一方、これでも密着性が低いときには、一旦押圧制御部2を制御して前記押圧機構を駆動して押圧部材21を溶接部位81から離して搬送制御部1を制御して前記搬送機構を駆動して再度第1、第2板状部材61、63の位置合わせをやり直し、その上で再度押圧制御部2を制御して前記押圧機構を駆動して押圧部材21で溶接部位81を押圧する。
【0026】
一方、レーザ発振部3を制御して前記レーザを駆動してレーザ光33を溶接部位81に照射することでレーザ溶接を開始した後は、この電気抵抗値が予め設定されている第2設定値より大きいときは、溶接部位81の溶接ナゲットの形成が充分ではなく、適当な溶接強度が得られていないと判断して前記レーザの駆動を継続してレーザ光33の照射を継続する。一方、前記電気抵抗値が前記第2設定値より小さくなったときには、溶接部位81には十分な溶接ナゲットが形成され、適当な溶接強度が得られていると判断して前記レーザの駆動を停止してレーザ光33の照射を停止する。
【0027】
加工テーブル71には第1板状部材61と第2板状部材63とを重ね合わせたときに生じる段差をなくすように適当な高さと広さを備えた凸部71aと定電圧電源部4からの定電圧を供給する供給端子41、43が第1、第2板状部材61、63に押圧できるように適当な大きさの孔部71bとが形成されている。
【0028】
次に、図3を用いてこのようなレーザ溶接装置100を用いた溶接動作について説明する。溶接動作に先立って、前記第1、第2設定値や前記レーザの駆動電流等を設定しておく。
【0029】
最初に、搬送制御部1からの制御により導電性の第1、第2板状部材61、63をそれぞれの集積部(図示せず)から搬送して加工テーブル71の所定の位置に位置合わせして載置する(図3のS301)。このとき、上側に載置される板状部材は凸部71aが設けられている方になるようにする。溶接部位81にもなる第1、第2板状部材61、63の重ね合わせ部の密着性をよくするためである。
【0030】
次に、押圧制御部2からの制御により第1、第2板状部材61、63の溶接部位81を中心にその周辺部を予め設定された押圧力を加えて加工テーブル71に押圧する(図3のS302)。このとき、第1、第2板状部材に印加される荷重が押圧制御部2にフィードバックされ、前記予め設定された押圧力になるように制御される。
【0031】
次に、供給端子41、43をそれぞれ第1、第2板状部材61、63に押し付け、定電圧電源部4から供給端子41、43に低電圧の一定電圧(数10〜数100mV)を印加する(図3のS303)。このようにして、第1、第2板状部材61、63に溶接部位81を介して電流を流し、この電流を計測する(図3のS304)。
【0032】
次に、制御部5では、この電流と電圧とを受けて、電気抵抗値を算出する(図3のS305)制御部5では、この電気抵抗値と予め設定されている第1設定値と比較して、この電気抵抗が第1設定値以下でないときには(図3のS306のNo)、前記押圧制御部2からの押圧力を増やす。また、この押圧力の増加だけでは第1設定値以下にならない場合は一旦押圧力を解除して、搬送制御部1を制御して第1、第2板状部材61、63の加工テーブル71上の所定の位置への載置をやり直した上で再度押圧制御部2を制御して押圧を行う(図3のS307)。そして、前述の電流計測、電気抵抗値の算出、電気抵抗値と第1設定値との比較を電気抵抗値が第1設定値以下になるまで繰り返す(図3のS304〜S307)。なお、この繰り返し回数は予め上限を定めておき、この上限の回数まで繰り返しても前記電気抵抗値が前記第1設定値以下にならないときは「溶接不可」と判定して溶接工程を終了するようにしておくのがよい。
【0033】
一方、前記電気抵抗値が前記第1設定値以下の場合は(図3のS306のYes)、レーザ発振部3を制御して前記レーザに駆動電流を流し、集光光学系31を介してレーザ光33を溶接部位81に照射する(図3のS308)。
【0034】
このレーザ光33を照射してレーザ溶接を行っている間も前述のように供給端子41、43から低電圧の一定の電圧が溶接部位81を介して第1、第2板状部材61、63間に供給されている。また、この間も供給端子41、43に流れる電流は計測されている(図3のS309)。
【0035】
次に、前述のように、制御部5では、この電流と電圧とを受けて、電気抵抗を算出する(図3のS310)。制御部5では、この電気抵抗値と予め設定されている第2設定値と比較して、この電気抵抗が第2設定値以下でないときには(図3のS311のNo)、レーザ発振部の制御により、前記レーザを駆動し続けてレーザを発振させ、集光光学系31を介して溶接部位81に照射を続ける。
【0036】
一方、前記電気抵抗値が前記第2設定値以下の場合は(図3のS311のYes)、所定のナゲットが形成され、適当な溶接強度が得られたことになるので、レーザ発振部3を制御して前記レーザへの駆動電流を流すのを止めて溶接部位81へのレーザ光33の照射を停止する(図3のS312)。こうして第1、第2板状部材61、63が溶接部位81で溶接される。なお、予めレーザ光33照射時間の上限を定めておき、この上限時間までレーザ光33を照射しても前記電気抵抗値が前記第2設定値以下にならないときは「溶接異常」と判定して溶接工程を終了するようにしておくのがよい。
【0037】
次に、定電圧電源部4からの定電圧の供給を停止する(図3のS313)。そして、押圧制御部2からの制御により第1、第2板状部材61、63への押圧を解除する(図3のS314)。その後、搬送制御部1の制御により、溶接された第1、第2板状部材61、63を加工テーブル71から搬出する(図3のS315)。
このようにして、第1、第2板状部材のレーザ溶接が終了する。
【0038】
[他の実施形態]
前述の実施形態は被溶接物である導電性の板状部材61、63を重ね合わせて、この重ね合わせ部でレーザ溶接を行っていたが、板状部材61、63を突き合わせて、この突き合わせ部でレーザ溶接を行うこともできる。
【0039】
この突き合わせ部でのレーザ溶接は重ね合わせ部でレーザ溶接するか突き合わせ部でレーザ溶接するかの相違で実質的な相違はない。
つまり、前述の説明の内重ね合わせ部を突き合わせ部と読み替える程度の差異しかないので詳細は省略する。なお、突き合わせただけに過ぎない部分での溶接ではその強度に不安がある場合には、突き合わせ部を挟んで適当な幅の板状部材を当て板として用い、この板状部材も含めて溶接して強度を増大させることができる。
【0040】
前述のレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置は1例であって、発明の要旨を変更しない形で種々変更が可能である。例えば、レーザ光照射の停止を電気抵抗値が予め設定されている第2設定値以下になったときに行うことに替えて、実験等により求められた予め溶接対象物に応じて充分な溶接強度が得られるレーザ光照射継続時間を定めておき、この時間経過後にはレーザ光照射を停止してもよいし、この時間と電気抵抗値と第2設定値との関係とを共に満たす場合にレーザ光の照射を停止してもよい。
また、レーザ溶接装置においては1つの制御部ですべてを制御するようにしているが、搬送系、押圧系、レーザ発振系、定電圧電源系をそれぞれ1つの装置として分離して形成し、これらを全体として制御する制御系を1つの装置として形成してレーザ溶接システムとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 搬送制御部
2 押圧制御部
3 レーザ発振部
4 定電圧電源部
5 制御部
11 把持部材
21 押圧部材
31 集光光学系
33 レーザ光
41、43 供給端子
61 第1板状部材
63 第2板状部材
71 加工テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせて、この重ね合わせ部または突き合わせ部にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接方法であって、次の工程を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
a)前記導電性の被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせてセットする工程
b)前記工程でセットした被溶接物間の電気抵抗値を測定し、予め定められた第1設定値との差を求め、差が正の値のときは再度セットし直す工程
c)前記工程で差が0または負の値のときはレーザ光を照射してレーザ溶接を行う工程
d)前記工程中、前記被溶接物間の電気抵抗を測定し、予め定められた第2設定値との差を求め、差が0または負の値になるまでレーザ光を照射する工程
【請求項2】
次の工程も含むことを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
前記工程b)のセットし直し工程の回数の上限回数を予め定めておき、この上限回数に到達したときには溶接不可と判定する工程
【請求項3】
次の工程も含むことを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接方法。
前記工程d)のレーザ光照射継続時間の上限時間を予め定めておき、この上限時間に到達しても前記工程d)の差が0または負の値にならないときは溶接異常と判定する工程
【請求項4】
前記導電性の被溶接物は板状部材であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のレーザ溶接方法。
【請求項5】
導電性の被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせて、この重ね合わせ部または突き合わせ部にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接装置であって、次の手段を含むことを特徴とするレーザ溶接装置。
a)導電性の被溶接物を重ね合わせまたは突き合わせてセットするセット手段
b)前記セット手段でセットされた被溶接物間の電気抵抗を測定する電気抵抗測定手段
c)前記レーザ光照射手段からのレーザ光照射開始前に、前記電気抵抗測定手段からの抵抗値と予め定められた第1設定値との差が0または負の値になるように前記セット手段を駆動し、前記レーザ光照射手段からのレーザ光照射開始後は前記電気抵抗測定手段からの抵抗値と予め定められた第2設定値との差が0または負の値になるまで前記レーザ照射手段を駆動する制御手段
【請求項6】
次の判定手段も含むことを特徴とする請求項5記載のレーザ溶接装置。
前記制御手段で抵抗値と第1設定値との差が0または負の値にならないときには溶接不可と判定する判定手段
【請求項7】
次の判定手段も含むことを特徴とする請求項5記載のレーザ溶接装置。
前記制御手段で抵抗値と第2設定値との差が0または負の値にならないときには溶接異常と判定する判定手段
【請求項8】
前記導電性の被溶接物は板状部材であることを特徴とする請求項5ないし7いずれかにに記載のレーザ溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−206153(P2012−206153A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75387(P2011−75387)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000227836)日本アビオニクス株式会社 (197)
【Fターム(参考)】