説明

レーザ溶接電源のレーザ出力校正方法および校正装置

【課題】電源装置ごとに光パワーメータを設ける必要を無くし、光パワーの検出タイミングを一定に揃えることにより検出精度を高める。
【解決手段】レーザ接合電源10に予め記憶したP−I特性に基づいて、レーザビームを出力する一方、レーザビームを受光する光パワーメータ40の出力をシリアルポート44を介してレーザビーム射出開始後の所定タイミングで光パワーメータ40のレーザ出力測定値を読み込み、このレーザ出力測定値が誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流を設定し前記P−I特性を校正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、溶接箇所に照射して接合するために用いるレーザビームのレーザ出力を、光パワーメータを用いて校正するレーザ接合電源のレーザ出力校正方法と、この方法の実施に直接使用する校正装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザビームを溶接箇所に照射して、溶接を行うレーザ溶接が公知である。例えばレーザビームによって樹脂やハンダを溶融して溶接するものがある。この場合に、レーザビームの出力(レーザ出力、光パワー)を精度良く管理することが綺麗で信頼性が高い溶接を行うために必要である。
【0003】
しかし長期間の使用により光源となるレーザ(レーザ発振器ともいう)の劣化が進み、従ってレーザ出力(光パワー)が低下することがある。この場合には溶接温度の低下により溶接の信頼性が低下するという問題が生じる。
【0004】
そこで従来より、レーザビーム(レーザ光)の一部を分岐してフォトダイオードなどの光/電気変換素子に導くことによりレーザ出力を検出し、この検出値が一定になるように駆動電流をフィードバック制御することが提案されている(パワーフィードバック制御方式、特許文献1、特許文献2)。
【0005】
また光パワーメータを用いて、一定期間ごとにレーザビームの出力(光パワー)を検出し、この検出出力が設定値となるようにレーザの駆動電流を補正し、このようにして設定した駆動電流をフィードバック制御することも提案されている(定電流制御方式)。しかしこの方法では、作業者がレーザビームを光パワーメータに導いてその時の光パワーを光パワーメータの表示を目視により読み出して検出し、この結果を電源装置に手作業で入力する必要があるため、検出タイミングが不揃いになる。このため、校正作業が不正確になりやすく、作業能率も悪いという問題がある。そこでこの補正作業を自動で行う方法が提案されている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−95608
【特許文献2】特開平5−169284
【特許文献3】特願2008−63612
【特許文献4】特願2008−115269
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に示されたパワーフィードバック制御方式によれば、レーザビームの一部をハーフミラーなどで分光し、フォトダイオードなどの光−電気変換素子で変換する必要があるため、それらの微妙な調整が必要となり、電源装置が複雑で部品点数が増えて高価になるという問題がある。
【0008】
また手作業による定電流制御方式によれば、レーザビームの光パワーを検出するタイミングが決まっていないため検出精度が不揃いになり、測定結果に誤差が生じやすいという問題もあった。すなわち経時劣化したレーザ発振器では、出力パワーが不安定であることが多いからである。特許文献3、4に示された自動化した定電流制御方式によれば、電源装置1台ごとに専用の光パワーメータが必要であるばかりでなく、レーザビームの射出方向を溶接対象箇所と光パワーメータとに切り替える必要がある。このためやはり装置が複雑で大型化し、部品点数が増えて高価になるという問題がある。
【0009】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、電源装置ごとに光パワーメータを設ける必要が無く、同じ光パワーメータを異なる電源装置に使用しても光パワーの検出タイミングを一定に揃えることにより検出精度を高めることができ、光パワーメータは汎用のものを使用でき、さらに電源装置の構造を単純化して部品点数の増加を抑制し、小型化と低価格化を実現することができるレーザ溶接電源のレーザ出力校正方法を提供することを第1の目的とする。
【0010】
またこの方法の実施に直接使用するレーザ溶接電源のレーザ出力校正方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば第1の目的は、レーザビームを照射して接合するためのレーザ出力を光パワーメータを用いて校正するレーザ接合電源のレーザ出力校正方法であって、前記レーザ接合電源に予め記憶したレーザ出力と駆動電流のP−I特性に基づいて、レーザビームを出力する一方、レーザビームを受光する前記光パワーメータの出力をシリアルポートを介してレーザビーム射出開始後の所定タイミングで光パワーメータのレーザ出力測定値を読み込み、このレーザ出力測定値が誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流を設定し前記P−I特性を校正することを特徴とするレーザ接合電源のレーザ出力校正方法、により達成される。
【0012】
また第2の目的は、レーザビームを照射して接合するためのレーザ出力を光パワーメータを用いて校正するレーザ接合電源のレーザ出力校正装置であって、レーザ出力とその誤差許容範囲と照射時間とを設定する設定部と、レーザ出力とその駆動電流との対応を示すP−I特性の記憶部と、前記設定部で設定されたレーザ出力を出力する駆動電流を前記P−I特性を用いて求める駆動電流設定部と、この駆動電流を出力するレーザ駆動部と、駆動電流によって駆動されるレーザ発振器と、前記光パワーメータが検出したレーザビームのパワー検出出力をシリアルポートを介して受信しレーザビームのパワーを求めるレーザパワー判定部と、レーザ出力により前記P−I特性を校正する校正部と、レーザ出力の誤差を前記設定部に設定された誤差許容範囲と比較し範囲内ならOKを、範囲外ならNGを出力する比較部と、これらを制御するCPUおよび表示部とを備え、前記CPUはレーザビーム射出開始後の所定タイミングで光パワーメータのレーザ出力測定値を読み込み、先記校正部はこのレーザ出力測定値が前記誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流を設定して前記P−I特性記憶部に記憶するP−I特性を校正することを特徴とするレーザ接合電源のレーザ出力校正装置、により達成される。
【発明の効果】
【0013】
この発明の校正方法によれば、光パワーメータはシリアルポートによって電源装置に切り離し可能に接続されるので、電源装置から指令する一定の測定タイミングで光パワーの測定を行い、この結果をリアルタイムに電源装置に送ることができる。このため、検出精度を高めることができる。この時、光パワーメータは電源装置ごとに別々に設ける必要が無く、汎用のものを使用することができレーザビームを分光したり射出方向を切り替えたりする機構を電源装置に設ける必要が無いから、電源装置の構造を単純化して部品点数の増加を抑制し、その小型化と低価格化を実現することが可能である。
【0014】
またこの発明の校正装置によれば、この校正方法の実施に直接使用するレーザ溶接電源装置のレーザ出力校正装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例であるレーザ溶接電源の校正作業を示す斜視図
【図2】同じく電源の構成を示す図
【図3】同じく表示部の表示例を示す図
【図4】同じくP−I特性を示す図
【図5】同じく測定タイミングを示す図
【図6】同じくパワーアジャストモードの動作流れ図
【図7】同じくパワーチェックモードの動作流れ図
【発明を実施するための形態】
【0016】
レーザとしては、半導体レーザが適する(請求項2)。これは小型で取り扱いが容易であり安価であるからである。シリアルポートは、データをシリアル(直列)で伝送する方式のものでありRS232Cがシリアル伝送用インターフェースとして用いることができる(請求項3)。光パワーメータでレーザ出力測定値を読み込むタイミングは、予め設定したレーザビーム射出時間内の終端を含まない終端付近(すなわち終端より僅かに前の時点、以下この時点を終端付近ともいう。)に設定するのがよい(請求項4)。例えば、射出時間幅の90%の時間経過時点を読み込みタイミングとするのがよい(請求項5)。このように読み込みタイミングを射出時間幅の終端付近にすれば、レーザの出力が安定し、また射出終了時点の不安定状態の影響を受けないからである。
【0017】
レーザ溶接電源は、複数の設定タイミングt(t1、t2、‥‥)で駆動電流I(I1、I2、‥‥)に対するレーザ出力測定値P(P1、P2‥‥)を読み込み、これら複数の測定点(A、B、‥‥)を通る「電流ーパワー特性」(I−P特性)を求め、この特性曲線(または直線)上でレーザ出力測定値Pが設定した誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流Iを設定することができる(請求項6)。測定点を2つとしてこれらの2点を通る直線をP−I特性とし、この直線上でレーザ駆動電流Iを設定しても良い(請求項7)。この場合は測定点が少ないので校正に要する時間を短縮できる.なおこの場合、この特性はレーザの劣化があっても通常広い電流範囲でほぼ直線になるので、校正の精度は十分高く確保できる。
【0018】
レーザ接合電源は、レーザ出力測定値Pが誤差許容範囲に入っているか否かのチェックを行うチェックモード(CHECKモード)と、駆動電流Iの校正を行うアジャストモード(ADJUSTモード)の切り替えを可能とし、アジャストモードとチェックモードとの切り替え時に予め設定した休止時間を空けて切り替えるようにするのがよい(請求項8)。このように休止時間を設けないと、モードの切り替え時にレーザが連続(あるいはほぼ連続)作動することになり、後のモードでの光パワーが長時間作動により変化し、校正の精度が低下する恐れが有るからである。この休止時間は10分間以上とするのが望ましい。なお両モードを設けるのは,アジャストモードで校正した後、校正の結果が適正か否かをチェックモードで確認するためである。また溶接作業に先立って、レーザ出力の確認をするのにこのチェックモードが使えるからである。
【0019】
請求項9の校正装置において、さらにレーザ出力測定値Pが誤差許容範囲に入っているか否かのチェックを行うチェックモードと、駆動電流Iの校正を行うアジャストモードの切り替えを行うためのモード切替手段を備えることにより、アジャストモードで校正した結果をチェックモードで容易に確認することができ便利である(請求項10)。またCPUは、前記モード切替手段の切り替え時に所定の休止時間を空けて切り替えるようにすれば、レーザの連続作動による精度の低下を防ぐことができる(請求項11)。
【実施例1】
【0020】
図1において、符号10はレーザ接合電源であり、ジョグダイヤル(回転型セレクタ)12や種々のキースイッチ14などにより設定される条件でレーザビームを発生し、このレーザビームが光ファイバ16によって射出ヘッド18に導かれる。射出ヘッド18には、レーザビームを所定のビーム径に収束するレンズが収容されている。なおこの電源10の前面には、デジタルモニタ画面となる表示部20、電源スイッチ22、レーザ/オンキー24、緊急停止スイッチ26が設けられている。レーザ/オンキー24は、2回続けて押すことによって、レーザの作動をオンにしてレーザビームの射出を開始させる。誤操作を防止するためである。
【0021】
電源10は図2に示すように構成される。電源10は、コンピュータであるCPU28、このCPU28のソフトウェアで構成される所定の機能を有しブロックで表示された各機能部30(30a〜30g)、CPU22により設定された駆動電流Iを出力するレーザ駆動部32、この駆動電流Iで駆動される半導体レーザ34、などを備える。レーザ34が出力するレーザビームは、光ファイバ16を介して、前記射出ヘッド18に導かれ、溶接作業時には溶接箇所に向かって射出される。
【0022】
機能部30は、レーザ34が出力する光パワーPと射出時間(出力時間)TとパワーPの誤差許容範囲ΔPなどを設定するための設定部30a、P−I特性記憶部30b、設定されたパワーPを出力するために必要な駆動電流をP−I特性記憶部30bのデータを用いて設定する駆動電流設定部32c、後記する光パワーメータ40の出力(測定値)からレーザパワー(光パワー)pを求めるレーザパワー判定部30d、このレーザパワー判定部30dで求めたレーザパワーpを前記設定部30aで設定したパワーと比較する比較部30e、レーザパワー判定部30dの出力pを用いてP−I特性を校正する校正部30f、モード切替部30gなどを有する。
【0023】
前記比較部30eは、後記するチェックモード(CHECKモード)で、レーザパワー判定部30dが求めたレーザパワーが設定値の誤差許容範囲内であればOKの信号を表示し、範囲外であればNGの信号を出力する。また後記アジャストモード(ADJUSTモード)では、校正部30fが作動してP−I特性を校正するものである。モード切替部30gは、アジャストモードで校正をした結果をチェックモードで確認したり、溶接作業の直前などの適時にレーザ出力を確認するためにチェックモードに切り替えるためのものであって、CPU22のソフトウエアで構成される。
【0024】
図1において、40は光パワーメータであり、射出ヘッド18から射出されたレーザビームを受光して、レーザビームの光パワーPに応じた出力(検出値、測定値)の信号pを出力する。この光パワーメータは、受光部40aに入射された総熱量をみてパワーを検出するものである。このためビーム径の変化による出力変動は問題とならない。この光パワーメータ40には、電源10から電源線42(図1)によって電力が供給される。またこの光パワーメータ40はRS232C通信機能付きのものであり、シリアルポート(シリアルインターフェース)であるSR232Cインターフェース44を介して電源10に接続されている。
【0025】
(アジャストモード)
次にアジャストモードの動作を図3(A)〜図6を用いて説明する。まず、電源10の電源スイッチ22をオンにし、所定の操作により表示部20に図3(A)に示す画面を表示させる。アジャストモードを選択するためには、ジョグダイヤル12を回して「ADJUST」を選択し、ジョグダイヤル12を押してCPU22に読み込ませればよい(図3(A)の[1]、図6のステップS100)。
【0026】
次に、パワーの目標値(TARGET)P1、P2と、出力時間(射出時間、ヒート時間、TIME)T1、T2とを、それぞれ設定する(図3(A)の[2]、[3]、図6のステップS102、104)。目標値と出力時間に対しては、1回目(1st)と2回目(2nd)の2段階の測定に対してそれぞれ設定する。なお2段階に分けて目標値、出力時間を設定するのは、図4に示すP−I特性上の2点A′、B′を測定してこの特性を直線として校正するためである。なお1回目と2回目は連続して行ってもよいが、その間に適切な休止時間を設けてもよい。実際の溶接作業における出力制御の仕様に合わせておいてもよい。
【0027】
目標値の設定範囲は例えば、0〜30W(ワット)であり、初期設定として1stは10.0Wが、2ndでは20.0Wが予め設定されているので、通常はこの設定値のままで使用する。出力時間は0〜99sec(秒)の範囲で設定可能である。この時間についても1st、2ndに対してそれぞれ設定できるが、通常は初期設定である20secのままで使用する。
【0028】
アジャストモードでは、メッセージエリア(図3(A)に「ADJUST」と示された[5]の領域)に示すように、出力を確認するチェックモードの選択と、アジャストモードの作動開始(スタート、START)の選択とが可能であり、この選択は前記したジョグダイヤル12で行う(図6のステップS106)。ここでスタートを選択すれば、アジャストモードの動作を行わせることができる。この測定結果(測定値、RESULT)が、1stの結果と、2ndの結果とに分けて表示される(図3(A)の[6]、[7]、図6のステップS108)。
【0029】
次にアジャストモードで行う校正作業の内容について、図4、5を用いて説明する。この校正作業は図2に示した校正部30fで行う。この実施例ではレーザビームの出力時間T1、T2の終端付近であって終端よりも10%前の時点t1、t2を測定タイミングとする。この実施例では出力時間T1、T2が20secであるから、それぞれの最初から18sec経過時点を測定タイミングt1、t2としている。
【0030】
CPU22は、予め記憶されているP−I特性に基づいて目標値10W、20Wのレーザビームを出力するための駆動電流I1、I2を求める。P−I特性は、レーザ34の劣化がない状態であれば、例えば図4に実線で示す特性になるものとする。すなわち駆動電流が20A(アンペア)でパワーは10W、40Aで20Wになるものとする。この時の2つの測定点A、Bを通る直線を、y=ax+b、とする。この直線のデータはP−I特性記憶部30bに記憶されている。
【0031】
レーザ34が経時劣化している場合には、同じ目標値10W、20Wを出力するためには、駆動電流Iを僅かに大きくすることが必要になる。この発明ではこの時の校正後の特性を図4に一点鎖線で示す特性として、y=a′x+b′、を求める。そしてこの結果である校正データを前記P−I特性記憶部30bに記憶し、以後はこれを用いて駆動電流Iを設定するものである。
【0032】
すなわち図5に示すように、20A(=I1)で駆動した時のパワーPは経時劣化によりパワーp1に減少ているので、光パワーメータ40を用いて測定することにより測定点A′を求める。同様に40A(=I2)で駆動した時のパワーPはパワーp2に減少しているから、この時のパワーを同様に測定して測定点B′を求める。これらの測定点A′、B′を通る直線を求めれば、これが前記y=a′x+b′である。このようにして定数a′、b′を求める。
【0033】
すなわち電源10の前面に設けた[SET]のキースイッチ14を押すことにより(ステップS110)、このP−I特性の校正データが作成され(ステップS112)、P−I特性記憶部30bに入力れる。以後はこの構成された特性によって駆動電流Iを求めるのは前記したとおりである。
【0034】
(チェックモード)
次にチェックモードを説明する。このモードは、アジャストモードで校正されたレーザビームのパワーが適正か否か、すなわち誤差許容範囲内にあるか否かを判定するものである。まずこのチェックモードを選択するためには、図3(B)の表示画面のメッセージ表示エリア(図3(B)の「CHECK RANGE」の下の[5]で示すエリア)でチェック(CHECK)をジョグダイヤル12により選択する(図7のステップS120)。
【0035】
次に、目標値Pと出力時間Tと誤差許容範囲ΔPの設定を行う(図7のステップS122、S124、S126)。目標値Pと出力時間Tがアジャストモードの時と変わらなければそのままにする。誤差許容範囲(出力確認判定範囲、CHECK RANGE)ΔPは、このチェック(CHECK)モードの時に目標値と測定値の差が許容可能な範囲内か否かを判定するために用いられる。すなわち、チェックモードにおいて、この差がこの範囲内であれば「OK」、範囲外であれば「NG」を表示部20に(例えば、図3(B)の「CHECK RANGE」の下の[5]で示すメッセージエリアに)表示する。この誤差許容範囲ΔPは、0.0W〜9.9Wの範囲で設定される。通常は初期設定である±1.0Wのままで使用する。
【0036】
そして、図3(B)の「START」にカーソルを合わせてジョグダイヤル12を押す。するとチェックモードが起動し(ステップS128)、レーザ/オンキー24を押すことを求める表示が出るから、この指示に従ってレーザ/オンキー24を2回押してレーザビームを出力させる(ステップS130)。レーザ出力が終わると「1st RESULT」、「2nd RESULT」の欄にパワーメータ40の測定値が表示される(ステップS132)。
【0037】
この表示を確認してから「SET」のキースイッチ14を押せば、この値が確定される(ステップS134)。すると、チェック完了の表示が出て、目標値と測定値の差が差許容範囲内であれば「RESULT」の欄に「OK」が表示され、誤差許容範囲外であればメッセージエリアに「NG」が表示される(ステップS136)。そしてジョグダイヤル12を押せば初期表示に戻る(ステップS138)。
【符号の説明】
【0038】
10 レーザ溶接電源
12 ジョグダイヤル
16 光ファイバ
18 射出ヘッド
20 表示部
22 CPU
30(30a〜30g) 機能部
30a 設定部
30b P−I特性記憶部
30c 駆動電流設定部
30d レーザパワー判定部
30e 比較部
30f 校正部
30g モード切替部
32 レーザ駆動部
34 半導体レーザ(レーザダイオード、LD)
40 光パワーメータ
44 RS232Cインターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを照射して接合するためのレーザ出力を光パワーメータを用いて校正するレーザ接合電源のレーザ出力校正方法であって、
前記レーザ接合電源に予め記憶したレーザ出力と駆動電流のP−I特性に基づいて、レーザビームを出力する一方、
レーザビームを受光する前記光パワーメータの出力をシリアルポートを介してレーザビーム射出開始後の所定タイミングで光パワーメータのレーザ出力測定値を読み込み、このレーザ出力測定値が誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流を設定し前記P−I特性を校正することを特徴とするレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項2】
レーザは半導体レーザである請求項1のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項3】
シリアルポートはRS232Cインターフェースである請求項1のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項4】
光パワーメータのレーザ出力測定値を読み込むタイミングを、予め設定したレーザビーム射出時間内の終端付近に設定した請求項1のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項5】
光パワーメータのレーザ出力測定値を読み込むタイミングを、レーザビーム射出開始後の設定時間内でこの設定時間の90%経過時点に設定した請求項4のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項6】
レーザ接合電源は、複数の設定タイミングtで駆動電流Iに対するレーザ出力測定値Pを読み込み、これら複数の測定点を通るI−P特性上でレーザ出力測定値Pが誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流Iを設定する請求項1のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項7】
レーザ接合電源は、I−P特性上の2つの測定点を通る直線上でレーザ駆動電流Iを設定する請求項6のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項8】
レーザ接合電源は、レーザ出力測定値Pが誤差許容範囲に入っているか否かのチェックを行うチェックモードと、駆動電流Iの校正を行うアジャストモードの切り替えが可能であり、アジャストモードとチェックモードとの切り替え時に予め設定した休止時間を空けて切り替える請求項1のレーザ接合電源のレーザ出力校正方法。
【請求項9】
レーザビームを照射して接合するためのレーザ出力を光パワーメータを用いて校正するレーザ接合電源のレーザ出力校正装置であって、
レーザ出力とその誤差許容範囲と照射時間とを設定する設定部と、
レーザ出力とその駆動電流との対応を示すP−I特性の記憶部と、
前記設定部で設定されたレーザ出力を出力する駆動電流を前記P−I特性を用いて求める駆動電流設定部と、
この駆動電流を出力するレーザ駆動部と、
駆動電流によって駆動されるレーザ発振器と、
前記光パワーメータが検出したレーザビームのパワー検出出力をシリアルポートを介して受信しレーザビームのパワーを求めるレーザパワー判定部と、
レーザ出力により前記P−I特性を校正する校正部と、
レーザ出力の誤差を前記設定部に設定された誤差許容範囲と比較し範囲内ならOKを、範囲外ならNGを出力する比較部と、
これらを制御するCPUおよび表示部とを備え、前記CPUはレーザビーム射出開始後の所定タイミングで光パワーメータのレーザ出力測定値を読み込み、前記校正部はこのレーザ出力測定値が前記誤差許容範囲に入るようにレーザ駆動電流を設定して前記P−I特性記憶部に記憶するP−I特性を校正することを特徴とするレーザ接合電源のレーザ出力校正装置。
【請求項10】
請求項9においてさらに、
レーザ出力測定値Pが誤差許容範囲に入っているか否かのチェックを行うチェックモードと、駆動電流Iの校正を行うアジャストモードの切り替えを行うためのモード切替部と、を備えるレーザ溶接電源のレーザ出力校正装置。
【請求項11】
CPUは、前記モード切替部の切り替え時に所定の休止時間を空けて切り替える請求項9のレーザ溶接電源のレーザ出力校正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−16689(P2013−16689A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149114(P2011−149114)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000227836)日本アビオニクス株式会社 (197)
【Fターム(参考)】