説明

レーザ痩身装置

【課題】装置が大型化せず安価に構成でき、人体の静止状態も強制されず、レーザ光が人体に直接的かつ効率良く照射されるレーザ痩身装置を提供する。
【解決手段】柔軟性を有し人体の一部に沿い弾性的に湾曲変形可能な本体6、本体内に前記湾曲変形可能な方向に沿い埋設され、前記本体の湾曲変形を許容するよう湾曲変形可能な柔軟なシート状基板20、基板内に所定間隔で前記本体及び基板の湾曲変形を許容するよう複数配設され、該配設位置に対応して前記本体に形成された複数の開口11から又は該本体自体の透光性を有する部位から外方へレーザ発光可能なレーザダイオード10、該複数のレーザダイオード10が所定出力のレーザ光を発光するよう該複数のレーザ光に電力を供給する配線を含む。前記本体を必要に応じて人体の一部に密着又はごく近接するように湾曲変形させた状態で、複数の前記レーザダイオードからレーザ光を出力して人体の一部に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を身体に当てて脂肪を減少させるレーザ痩身装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、レーザ光を身体に当て皮下脂肪を低減するレーザ式脂肪分解システムが知られている。このシステムは、レーザ光源からのレーザ光を光ファイバーによって回転式の多面体ミラーに導き、そのレーザ光を回転する多面体ミラーで広角的に反射させて、人体の一部の部位(例えば腹部)に向かって照射し、それにより例えば下腹部の脂肪を低減して痩身効果を出そうとするものである。
【特許文献1】特開2002−272860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来のレーザ式脂肪分解システムは、レーザ光を身体の腹部等に面状に照射するために、光ファイバーからの点状のレーザ光を、回転する多面体ミラーで広角的に反射して腹部等に当てるものであることから、レーザ光源、光ファイバー、多面体ミラー、それの回転装置、多面体ミラー及び回転装置を支持するカバー等、多くの構成要素が必要で、装置が高価で大型化することを避け得ない。また利用者の腹部等を跨ぐようにカバーが設置され、利用者はカバーに設置された多面体ミラーとの位置関係をずらさないように人体を静止させ、その静止状態を相当の時間強いられる欠点がある。
【0004】
本発明の課題は、装置が大型化せず安価に構成でき、また人体の静止状態も強制されず、しかもレーザ光が人体に直接的かつ効率良く照射され得るレーザ痩身装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
本発明は、柔軟性を有し、人体の一部に沿って弾性的に湾曲変形可能な本体と、
その本体内に前記湾曲変形可能な方向に沿って埋設され、前記本体の湾曲変形を許容するように湾曲変形可能な柔軟なシート状の基板と、
その基板内に所定の間隔で前記本体及び基板の湾曲変形を許容するように複数配設され、かつそれらの配設位置に対応して前記本体に形成された複数の開口から又は該本体自体の透光性を有する部位から外方へレーザ発光可能とされたレーザダイオードと、
それら複数のレーザダイオードが所定出力のレーザ光を発光するように、該複数のレーザ光に電力を供給する配線とを含み、
前記本体を必要に応じて人体の一部に密着又はごく近接するように湾曲変形させた状態で、複数の前記レーザダイオードからレーザ光を出力して人体の一部に照射することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、柔軟性を有し、人体の一部に沿って弾性的に湾曲変形可能な本体と、
その本体内に前記湾曲変形可能な方向に沿って所定の間隔で複数埋設され、かつそれら複数の隣り合うもの同士が柔軟性のある連結配線で連結されて、前記本体の湾曲変形を許容する複数の基板と、
それらの各基板上に前記本体の湾曲変形を許容するようにそれぞれ配設され、かつそれらの配設位置に対応して前記本体に形成された複数の開口から又は該本体自体の透光性を有する部位から外方へレーザ発光可能とされたレーザダイオードと、
それら複数のレーザダイオードが所定出力のレーザ光を発光するように、該複数のレーザ光に電力を供給する配線とを含み、
前記本体を必要に応じて人体の一部に密着又はごく近接するように湾曲変形させた状態で、複数の前記レーザダイオードからレーザ光を出力して人体の一部に照射することを特徴とする。
【0007】
以上のように構成することにより、従来のような大掛かりな装置、多数の構成部材を必要とせずに、レーザ光を人体の所定部位に照射することができ、その結果、コンパクトでシンプルなレーザ痩身装置を提供することができる。またレーザ光がレーザダイオードで発生して直接的に人体に照射されるから照射効率も高い。しかも、複数のレーザダイオードが柔軟性を有する本体に、基板を介して埋設されているため、本体を人体の所定部位(例えば腹部)に沿って湾曲変形させ、複数のレーザダイオードのすべてをその所定部位にごく近接させて、ほぼ等距離からレーザ照射することが容易となる。この湾曲効果により上記本体の人体に対する投影面積において、本体が平面的な剛体である場合と異なり、レーザ光の照射パターンが人体に対しより均一なものとなり、レーザ光による脂肪減少作用が均等かつより効率的に生じやすくなる。
【0008】
また本発明は、前記レーザダイオードから発光されるレーザ光の強さや発光時間などの照射条件を設定する設定部と、
その設定部で設定された照射条件に従い前記レーザ光の照射パターンを制御する制御部とを含み、これにより人体の皮下脂肪の蓄積の程度や、求められる痩身効果等に応じて好適な照射パターンを設定し、その条件に適合するようにレーザ光の出力を制御することが可能となる。
【0009】
また本発明は、前記本体が長手ブロック状をなし、その長手方向に前記基板を介して前記レーザダイオードの単体又はレーザダイオードの1組が所定の間隔で配置されるとともに、少なくとも前記本体の長手方向に沿ってその本体が弾性的に湾曲変形可能とされる。
【0010】
これにより、例えば人体の腹部に本体を当ててレーザ照射をする場合、長手状の本体を腹部の胴回り方向に合わせて、その長手方向に沿って湾曲させ、胴部又はその一部に巻き付けるようにしてレーザ光を照射できる。したがって、剛体から成る短尺の本体(レーザ照射ヘッド)を、一定時間ごとに人体に対し位置をずらせてレーザ照射する場合に比べて、1回又はより少ない回数で広範囲にレーザ照射が可能となり、全体としての照射時間が短くなり照射効率が向上する。また、複数の剛体の短尺本体を同時に人体に当ててレーザ照射する場合に比べて、1個又はより少ない個数の本体でレーザ照射ができ、照射行為をより楽に行うことが可能となる。
【0011】
さらに本発明は、前記設定部及び制御部がケーシングに収容され、そのケーシングには前記設定部における入力手段を構成する操作パネルと、その入力手段により入力された前記照射条件を表示する表示部とが形成され、またそのケーシングから前記配線としてのケーブルが前記本体側に延びてその本体に導かれ、その配線が前記本体内の複数の前記レーザダイオードに基板を介して接続されることにより、前記本体の湾曲変形が許容される。
この際、前記操作パネルと前記表示部とが、両者を兼用するタッチパネルで構成されるようにできる。
【0012】
このようにすれば、操作パネルにより所望の照射条件を入力し、表示部でそれを確認することにより、人体に対する実際のレーザ照射のパターンが予期しないものになるといった過誤が生じにくくなる。また画面上でのタッチパネル方式を採用すれば、操作がしやすく装置のコンパクト化も実現する。
【0013】
また本発明では、前記複数のレーザダイオードの単体又は1組が、それぞれ個々の金属製の放熱板に周囲を取り囲まれるように近接配置され、それにより前記レーザダイオードの駆動で生じた熱がそのレーザダイオードから前記放熱板を介して外部へ逃がされる。
【0014】
この場合、前記本体内に、前記金属製の放熱板が所定の隙間を隔てて複数配置され、それら放熱板のそれぞれに対応して前記レーザダイオードの単体又は1組が前記基板を介して対応するように近接配置され、それら放熱板の隣り合うもの同士の隙間により、前記本体の湾曲変形を許容しつつ、各レーザダイオードで発生する熱が前記放熱板から外部に放熱されるようにすることができる。
【0015】
また、そこで個々の前記放熱板に形成された装着孔又は装着凹部に前記レーザダイオードの単体又は1組が挿入されるようにすることができる。
【0016】
上記のように放熱板に近接してレーザダイオードが配列されること、例えばレーザダイオードが放熱板に取り囲まれるように、好適には放熱板に形成された装着孔又は装着凹部に配置されることにより、レーザダイオードの駆動(発光)により発生する熱がその放熱板に伝わり、各放熱板を介して外部に逃がされることから、レーザダイオードの過熱が回避される。その結果、レーザダイオードの適正な作動が担保されるとともに、耐久性が向上してその寿命が伸び、また熱に伴う安全面の向上にもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明のレーザ痩身装置1の全体を概略的に示すもので、制御ボックス2と、それに配線としてのケーブル3,4により接続されたそれぞれ本体としてのレーザ照射ヘッド、具体的にはケーブル4に接続された長尺レーザヘッド5及びケーブル3から並列に2分岐した分岐ケーブルに接続された中尺レーザヘッド6,6とを備えている。長尺レーザヘッド5はその長手方向に所定の間隔で複数N個のレーザダイオード(以下、レーザLEDという)を備え、中尺レーザヘッド6はその長手方向の寸法が長尺レーザヘッド5の例えば半分であり、その長手方向に所定の間隔で複数N/2個のレーザLEDを備え、それぞれのレーザヘッド5及び6は、いずれも長手方向に沿って弾性的に湾曲変形可能とされる柔軟性を有している。なお、制御ボックス2にはケーブル7及びそこから並列に分岐した分岐ケーブルを介して複数の短尺レーザヘッド8が接続され、各短尺レーザヘッド8は例えば1個のレーザLEDをそれぞれ有するものである。
【0019】
長尺レーザヘッド5と中尺レーザヘッド6の基本構成は同じであり、具備するレーザLEDの配列数が異なるだけであるので、以下では主に中尺レーザヘッド6(以下、単にレーザヘッドとも言う)を例にとり、その構造を説明する。
【0020】
図2ないし図3において、本体としてのレーザヘッド6は、長手の矩形ブロック状のケース12を備え、このケース12は、例えば軟質で柔軟性を有するシリコンあるいはウレタン(軟質ゴム又は軟質樹脂)で構成され、そのケース12内部には、長手板(シート)状の基板20を介して長手方向に等間隔で複数のレーザLED10が埋設され、各レーザLED10は、そのケース12における各レーザLED10に対応する位置に形成された複数の開口11から外部に露出している。レーザLED10は電圧が印加されることにより単一波長のレーザ光を出力する公知のダイオードであり、その波長は例えば500nm〜700nm、なかでも630nm前後のものが好適に用いられる。
【0021】
長手板状の基板20は、少なくとも自身の長手方向に湾曲変形可能な、電気的絶縁性を有する素材からなり、この長手板状の基板20の長手方向に所定間隔で上記レーザLED10が配設されている。基板20のレーザLED10が実装される表面又はその反対側の裏面には、各レーザLED10に電流を供給する配線が、例えば周知のプリント配線として形成され、それらの配線に各レーザLED10の2極又は3極の端子線が、ハンダ付その他適宜の方法で接続される。
【0022】
レーザLED10はケース12内の基板20上に1個ずつ(又は複数個1組で(例えば2個とか3個とか4個とかが1組で))等間隔に埋設されているが、各レーザLED10は、金属製(例えばアルミニウム製等)の放熱板13にそれぞれ取り囲まれるように配設され、特に各放熱板13に形成された装着孔14(又は装着凹部等)挿入されている。これによりレーザLED10への電圧印加によるレーザ発光の際に発生する熱が、それぞれ放熱板13を介して外部に放熱されるようになっている。各放熱板13は基板20のレーザLED10が実装される表面に接着等の固着手段により固着されてもよいし、固着されないで、後述のケース12の組立て時に2つのケース体16,17により狭持されて位置決めされてもよい。
【0023】
ここで、レーザLED10のためのいわゆる配線基板が前記基板20(図7も参照)であり、すべてのレーザLED10が基板20上に一挙に実装されるとともに、基板20のプリント配線等により、前述のように各レーザLED10に対して駆動のための配線が接続される。また各放熱板13は金属製の剛体であるが、それら放熱板13の隣り合うもの同士は密着することなく、間には隙間dが設定されている。そして、レーザヘッド6は、ケース12がシリコン等の軟質部材で形成されること、基板20が柔軟性を有すること、及び放熱板13の隣接隙間dが確保されていることにより、図4に示すようにレーザヘッド6の長手方向に沿って湾曲変形可能とされている。
【0024】
図4に示すように、レーザヘッド6のケース12は、この例で第1ケース体16と第2ケース体17との2分割構造とされ、これらはいずれも上記シリコンゴム又は樹脂等の柔軟材料で形成されている。図5(縦断面図)、図6(横断面図)に示すように、第1ケース体16には、上記複数の放熱板13の配置間隔、言い換えれば複数のレーザLED10の配設間隔に対応して一定間隔で前記開口11が複数個形成されている。一方、第2ケース体17はこの例で、単純な平面的な矩形板状をなし、基板20の位置決めのために、その基板20を嵌め込む基板装着凹部22が内面に形成され、かつ第1ケース体16の正面形態に合致する外縁を備える。それら第1及び第2ケース体16,17の互いに対向する端面が接着その他の手段により接合・一体化されて、一つの前記ケース12とされる。
【0025】
図2、図5等は、ケース12内に等間隔かつ隣接する隙間dを有するように、複数の放熱板13が配設された状態を示している。各放熱板13に形成された装着孔14にはそれぞれレーザLED10が挿入されるとともに、図15に模式的に示すように、ケーブル3から2分岐した一方のプラス側主配線24と、他方のマイナス側主配線25とがそれぞれ取り回される。さらに、プラス側分岐配線26とマイナス側分岐配線27とにより各レーザLED10が電気的に並列に接続される。この模式的に示した配線が、基板20上のプリント配線と各レーザLED10の端子線との接続(例えばハンダ付等)により形成される。
【0026】
図5、図6等に戻って、第1ケース体16及び第2ケース体17の一体化(接合)に先立ち、レーザLED10、基板20、放熱板13及び必要な配線が組み込まれた状態で、第1ケース体16と第2ケース体17とが接着等により接合されることによって、内部にレーザLED10、基板20、放熱板13及び必要な配線24〜27が封入された一体的な前記ケース12となる。
【0027】
図8〜図12は別の実施例を示しており、この例では、1枚の長板状の前記基板20に置換した形態で、互いに分割され、かつ所定の隙間dをもって1列に配列された複数の基板21の群が設けられている。そして、これらの各基板21に対して、それぞれ1個又は1組のレーザLED10が装着されている。第1及び第2ケース体16,17が合体されたケース12は、前述のとおりシリコンその他の柔軟性を有する樹脂等の材料で形成され、その内部に埋設された基板21の群は、それらの隣り合う各隙間により、ケース12の長手方向の弾性的な湾曲変形を許容するようになっている。ここで、各基板21は柔軟性を有してもよいし、有していなくてもよい。つまり、上述の湾曲変形を許容するのは、各基板21自身の物性ではなく、ケース12がその長手方向に湾曲変形するとき、複数の基板21の群がその湾曲変形に沿った曲面上の位置に変位可能であることによる。従って、各基板21自体は例えば通常の固い(湾曲変形を予定しない)材質のもので差支えない。
【0028】
図11に示すように、第2ケース体17には各基板21を等間隔に配置するための基板装着凹部22が複数形成され、各基板21は各凹部22に嵌って位置決めされる。そして、各基板21にまたがって複数のレーザLED10を接続する柔軟(フレキシブル)な連結配線23が設けられ、各連結配線23には「たるみ」が確保されている。図12に示すように、複数の基板21の群が湾曲状に位置を変える(変位する)とき、連結配線23の柔軟性と「たるみ」により、湾曲状の変位が許容ないし容易となるようにされている。連結配線23に対応する部分には空間を形成することができる。各基板21には前述の放熱板13が接着等により一体化され、又はケース体16,17に狭持されることにより、基板21と放熱板13とが接し又はごく近接配置される。図中では、基板21と放熱板13とが同一幅とされているが、放熱板13の方が幅広でも基板21の方が幅広でもよい。上述の連結配線23は、前述の基板20におけるプリント配線の一部を置換するもので、各基板21に形成されたプリント配線28等と連結配線23とが電気的に接続される。なお、図12に示すように、基板21には所定の電子素子、例えばレーザLED10への電流値を規定する抵抗32等を配することができる。
【0029】
そして、図13に示すように、レーザLED10が所定間隔で複数個配列された中尺レーザヘッド6が、この例では2本用意され、また図14に示すように、これの2倍の長さを有する点以外は同じ構造の前記長尺レーザヘッド5が1本用意される。
【0030】
以上の2つの実施例のいずれにしても、図16に示すように、プラス側主配線24とマイナス側主配線25とをつなぐ回路上に、すべてのレーザLED10への電力の供給(電圧の印加)を許容するON状態と、すべてのレーザLED10に対する電力の供給を遮断するOFF状態とに切替え可能なスイッチ29と、同じくその回路上に、例えばそのスイッチ29と直列に、同スイッチ29がOFF状態で消灯、同スイッチ29がON状態で、かつすべてのレーザLED10に電力が供給される場合にそれに合わせて点灯するパイロットランプ30等の表示部を設けることができる。このようなスイッチ29は、例えば図17に示すようなスライドスイッチ29として構成することができる。
【0031】
そして、こうしたスイッチ29が設けられることにより、前記制御ボックス2に設けられたメインスイッチ又はタッチパネルからのレーザ照射指令がなされた場合でも、そのスイッチ29が図17に示すようにOFFにされていれば、そのレーザヘッド6等のレーザLED10が発光することが阻止され、レーザヘッド6等の使用者が不注意でレーザLED10のレーザ光を目に当てるといった不都合が回避される。
【0032】
図18は、図1に示した短尺レーザヘッド8を示すものであり、このレーザヘッド8は、上述した中尺レーザヘッド6のレーザLED10を1個に、また放熱板13も1個にした単一照射構造のもので、人体の所定部位に対してピンポイント的に当てるのに適している。このレーザヘッド8はケース31を備え、そのケース31内に中尺レーザヘッド6と同様な放熱板13、レーザLED10、基板20(又は21)及び配線部が封入されている。ケース体31は、図示はしないが、第1ケース体と第2ケース体が合体したものである。
【0033】
このような短尺レーザヘッド8のケース31が、柔軟性を有するシリコンゴム又は樹脂等の湾曲可能な素材から構成される場合は、レーザヘッド8を必要に応じて湾曲させることもでき、他方、レーザヘッド8のケース31が硬質プラスチック等の柔軟性を有しない素材から成る場合は、湾曲可能にはならない。もっとも、短尺レーザヘッド8の場合は人体の所定部位に局部的に当てるのが普通であるから、柔軟性ひいては湾曲可能とする必要性は本来的にはないか低いと言える。よって、短尺レーザヘッド8の材質は問われないことになる。なお、この短尺レーザヘッド8にも、図16、図17に示したようなスイッチ29及びパイロットランプ30を付けることも可能であり、そうすればレーザ発光させたくないときは、スイッチ29をOFFにしておくことができる。
【0034】
図19は、図1に示した制御ボックス2が備える電子機器又は要素のブロック図である。制御ボックス2はパワーサプライ(電源回路)45、制御部の中核をなすCPU46、必要なプログラムを格納したROM47、前述した例えば3種類のレーザヘッド5,6,8のレーザLED10に駆動電力(電圧)を供給するチャージボード(レーザ駆動回路)48、設定入力された条件データ等を一時記憶するRAM49、レーザ発光の設定条件等を決定する画面を表示するモニタ50、そのモニタ50の画面を利用してレーザ発光等の設定条件を入力する手段としてのタッチパネル51等を備え、チャージボード48には複数のチャンネル部52が接続され、この例ではチャンネルC1〜C4の合計4チャンネル(レーザヘッドのための4つの接続コネクタ)が具備されている。図20に示すように、それらのチャンネルのうちC1には、例えば2個の中尺レーザヘッド6,6に導かれるケーブル3が、C2には1個の長尺レーザヘッド5に導かれるケーブル4が、さらC3には例えば6個の短尺レーザヘッド8に導かれるケーブル7が接続され、またC4は予備のチャンネルとされる。なお、チャージボード48には、レーザLED10への電流値(複数の場合は全電流値)がしきい値を超えた場合に、その通電を一斉に遮断する通電遮断回路が設けられ、例えばレーザLED10が発熱等により通電量(電流値)が上昇した場合、レーザ光の出力も大きくなるが、人体への安全性確保のため、そうした際にレーザLED10に対する通電を遮断することができる。
【0035】
そして、図19に示すモニタ50及びタッチパネル51を利用して、レーザヘッド5,6,8のレーザLED10から発光されるレーザ光の照射パターンを適宜設定することができる。例えばレーザ光照射のスタートから終了までの1回当りの照射継続時間を例えば5分、10分、20分等にするとか、レーザ光の発光が間欠的にON・OFFを繰り返す場合は、そのON・OFFの周期を長くしたり短くしたりするとか、ON時間とOFF時間との比(例えばON時間/1周期:デューティー比)を大きくしたり小さくしたりするとか、レーザLED10への電圧の高低を選択してレーザ光出力を調整するとか、必要に応じてそのような設定・選択入力をタッチパネル51により行えば、その設定・選択データがRAM49に一時記憶される。CPU46はそのデータを読み出すとともに、ROM47のプログラムを起動して、設定・選択された条件に従い、レーザヘッド5,6,8の任意のもののレーザLED10から、所定の照射パターンで人体の所定部位にレーザ光を照射する。
【0036】
次に、上記レーザヘッド5,6,8等を用いた使用形態の幾つかの例を図21〜図31に基づいて説明する。
【0037】
図21、図22、図23は、人体の腹部に、長尺レーザヘッド5を腹部胴回りに沿って湾曲させつつ巻き付けるように当てて(例えばレーザ照射を受ける利用者が、両手で長尺レーザヘッド5を湾曲させた状態に保持する等)、一定時間そのレーザヘッド5の複数のレーザLED10から発光されるレーザ光を、腹部Bの周方向の相当広い範囲(例えば腹部半周等)において照射する。このレーザ光の照射により、腹部の皮下脂肪が減少して痩身効果が得られることが確認されている。その理由は断定はできないが、レーザ光により皮下脂肪がいわば液化するような現象が生じて、その流動性が高まった脂肪がリンパ線等を通じて体内に排出されるからではないかと推測されている。特に、この長尺レーザヘッド5が湾曲して腹部に接するか、ごく近接し、複数のレーザLED10が腹部にほぼ均等に接近した状態で、1度に広範囲にレーザ照射が行われることから、その照射効率や照射の均等性が向上する。
【0038】
なお、図24は、1個の長尺レーザヘッド5に代えて2個の中尺レーザヘッド6を腹部に沿って湾曲させつつ、2個突き合わせるようにして腹部を取り巻きその状態でレーザ照射をする場合を示したものである。
【0039】
また、図25〜図27は、例えば腹部を取り巻くように湾曲させた長尺レーザヘッド5等を、その外側から装着される保持ベルト56により湾曲状態に保持する例を示している。保持ベルト56は、図26に示すように、好適には伸縮性があるベルト伸縮部57と、所定長さ範囲の圧着ファスナー保持部58と、そこに固着されたベルト長さ調整のための圧着ファスナー本体部59と、その圧着ファスナー本体部59の長手方向の所定部位に、必要なベルト長が得られるように圧着させられる圧着ファスナー着脱部60とを備え、腹部を外側から締め付ける保持ベルト56が、ベルト自身と腹部表面との間に、図25に示す湾曲した長尺レーザヘッド5(又は図27に示す湾曲した2個の中尺レーザヘッド6)を挟んだ状態で位置固定に保持する。この保持ベルト56を使用すれば、湾曲させたレーザヘッド5や6を、使用者が手で保持しなくてよいから、容易にレーザ照射が行える。なお、保持ベルト56は伸縮性がないものでもよい。
【0040】
図28は、人体の両足の大腿部に中尺レーザヘッド6をそれぞれ当て(大腿部の長手方向に沿って中尺レーザヘッド6を当てる場合、そのレーザヘッド6を湾曲させる必要はほとんどない)、各レーザヘッド6の上から上述の保持ベルト56を大腿部に巻き付けて、各レーザヘッド6を保持しつつレーザ照射を行う。また、両側の股間(リンパ線が集まっている部位)に対し、短尺レーザヘッド8をそれぞれ当て、局部的にレーザ照射を行う。この場合、各短尺レーザヘッド8は例えば紙パンツ61の内側で同パンツ61により保持することができる。
【0041】
このように、股間等のリンパ線が集まった部位のレーザ照射を付加することにより、上述のように液化・流動化した脂肪をリンパ線から吸収して体外に排出する効果が高められる。
【0042】
なお、短尺レーザヘッド8で局部的にレーザ照射する部位の例としては、例えば図29に示される上述の股間、図30に示される両側の鎖骨の上部等のリンパ線近傍部、図31に示される顔の下部分(頬の下部分)等が挙げられる。図31の例は、顎の線を出すために顎近傍部の脂肪を削減しようとする例である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のレーザ痩身装置の一例を示す全体概略図。
【図2】本発明のレーザ痩身装置の本体の一例である中尺レーザヘッドの長さを一部省略した正面図。
【図3】図2の平面図。
【図4】図3から湾曲させた状態を示す一部切欠断面図。
【図5】図3の中尺レーザヘッドの縦断面拡大図。
【図6】図3の中尺レーザヘッドの横断面拡大図。
【図7】図5から基板とレーザLEDを取り出して示す図。
【図8】別の実施例である分割タイプの基板を用いた、図2に対応する正面図。
【図9】図8の平面図。
【図10】図9から湾曲させた状態を示す一部切欠断面図。
【図11】図9の中尺レーザヘッドの縦断面拡大図。
【図12】図11から基板とレーザLEDを取り出して示す図。
【図13】2個の中尺レーザヘッドの正面図。
【図14】1個の長尺レーザヘッドの正面図。
【図15】中尺レーザヘッド内のレーザLEDへの配線パターンを模式的に示す図。
【図16】図15に示す配線パターン(回路中)にスイッチとパイロットランプを付加した例を示す図。
【図17】図16のスイッチとパイロットランプとを実体的に、かつON・OFFの切替え状態を示す部分斜視図。
【図18】図1に示す短尺レーザヘッドの斜視図。
【図19】図1に示す制御ボックスのブロック図。
【図20】図19の複数のチャンネルに対するレーザヘッドの接続パターンの一例を模式的に示す図。
【図21】本発明のレーザ痩身装置の人体への使用方法の一例を示す側面図。
【図22】図21に対応する簡略な斜視図。
【図23】図21に対応する簡略な平面図。
【図24】図23の1個の長尺レーザヘッドを2個の中尺レーザヘッドに変更した例を示す簡略な平面図。
【図25】保持ベルトにより長尺レーザヘッドを湾曲状態に保持する例を示す斜視図。
【図26】図25の保持ベルトを取り出して示す平面図。
【図27】図25の1個の長尺レーザヘッドを2個の中尺レーザヘッドで置き換えた例を示す斜視図。
【図28】中尺レーザヘッドと短尺レーザヘッドとを組み合わせた照射例を示す簡略図。
【図29】短尺レーザヘッドの使用部位の第1例を示す簡略図。
【図30】短尺レーザヘッドの使用部位の第2例を示す簡略図。
【図31】短尺レーザヘッドの使用部位の第3例を示す簡略図。
【符号の説明】
【0044】
1 レーザ痩身装置
2 制御ボックス
3,4,7 ケーブル
5 長尺レーザヘッド(本体)
6 中尺レーザヘッド(本体)
8 短尺レーザヘッド
10 レーザLED
11 開口
12 ケース
13 放熱板
14 装着孔
16 第1ケース体
17 第2ケース体
20,21 基板
23 連結配線
24 プラス側主配線
25 マイナス側主配線
26 プラス側分岐配線
27 マイナス側分岐配線
56 保持ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有し、人体の一部に沿って弾性的に湾曲変形可能な本体と、
その本体内に前記湾曲変形可能な方向に沿って埋設され、前記本体の湾曲変形を許容するように湾曲変形可能な柔軟なシート状の基板と、
その基板内に所定の間隔で前記本体及び基板の湾曲変形を許容するように複数配設され、かつそれらの配設位置に対応して前記本体に形成された複数の開口から又は該本体自体の透光性を有する部位から外方へレーザ発光可能とされたレーザダイオードと、
それら複数のレーザダイオードが所定出力のレーザ光を発光するように、該複数のレーザ光に電力を供給する配線とを含み、
前記本体を必要に応じて人体の一部に密着又はごく近接するように湾曲変形させた状態で、複数の前記レーザダイオードからレーザ光を出力して人体の一部に照射することを特徴とするレーザ痩身装置。
【請求項2】
柔軟性を有し、人体の一部に沿って弾性的に湾曲変形可能な本体と、
その本体内に前記湾曲変形可能な方向に沿って所定の間隔で複数埋設され、かつそれら複数の隣り合うもの同士が柔軟性のある連結配線で連結されて、前記本体の湾曲変形を許容する複数の基板と、
それらの各基板上に前記本体の湾曲変形を許容するようにそれぞれ配設され、かつそれらの配設位置に対応して前記本体に形成された複数の開口から又は該本体自体の透光性を有する部位から外方へレーザ発光可能とされたレーザダイオードと、
それら複数のレーザダイオードが所定出力のレーザ光を発光するように、該複数のレーザ光に電力を供給する配線とを含み、
前記本体を必要に応じて人体の一部に密着又はごく近接するように湾曲変形させた状態で、複数の前記レーザダイオードからレーザ光を出力して人体の一部に照射することを特徴とするレーザ痩身装置。
【請求項3】
前記レーザダイオードから発光されるレーザ光の強さや発光時間などの照射条件を設定する設定部と、
その設定部で設定された照射条件に従い前記レーザ光の照射パターンを制御する制御部とを含む請求項1又は2に記載のレーザ痩身装置。
【請求項4】
前記本体は長手ブロック状をなし、その長手方向に前記基板を介して前記レーザダイオードの単体又はレーザダイオードの1組が所定の間隔で配置されるとともに、少なくとも前記本体の長手方向に沿ってその本体が弾性的に湾曲変形可能とされた請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレーザ痩身装置。
【請求項5】
前記設定部及び制御部がケーシングに収容され、そのケーシングには前記設定部における入力手段を構成する操作パネルと、その入力手段により入力された前記照射条件を表示する表示部とが形成され、またそのケーシングから前記配線としてのケーブルが前記本体側に延びてその本体に導かれ、そのケーブルによる配線が前記本体内の複数の前記レーザダイオードに前記基板を介して接続されることにより、前記本体の湾曲変形が許容される請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレーザ痩身装置。
【請求項6】
前記操作パネルと前記表示部とが、両者を兼用するタッチパネルで構成された請求項5に記載のレーザ痩身装置。
【請求項7】
前記複数のレーザダイオードの単体又は1組は、それぞれ個々の金属製の放熱板に周囲を取り囲まれるように近接配置され、それにより前記レーザダイオードの駆動で生じた熱がそのレーザダイオードから前記放熱板を介して外部へ逃がされるようになっている請求項1ないし6のいずれか1項に記載のレーザ痩身装置。
【請求項8】
前記本体内に、前記金属製の放熱板が所定の隙間を隔てて複数配置され、それら放熱板のそれぞれに対応して前記レーザダイオードの単体又は1組が前記基板を介して近接配置され、それら放熱板の隣り合うもの同士の隙間により、前記本体の湾曲変形を許容しつつ、各レーザダイオードで発生する熱が前記放熱板から外部に放熱される請求項7に記載のレーザ痩身装置。
【請求項9】
個々の前記放熱板に形成された装着孔又は装着凹部に前記レーザダイオードの単体又は1組が挿入されている請求項7又は8に記載のレーザ痩身装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2009−95463(P2009−95463A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269456(P2007−269456)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【特許番号】特許第4086254号(P4086254)
【特許公報発行日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(304032550)株式会社トマトInc (5)
【Fターム(参考)】