レーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカ
【課題】ペルチェ素子に適正な面圧を与えることができ且つ光学結晶体の確実なる位置固定を行う。
【解決手段】光学結晶体2を載置した固定板3は、台座5に対してスペーサ6を貫通する第3のネジ12によって間隔を隔てて位置固定される。台座5には、台座5を上下に貫通するネジ山付きの開口102が形成され、この開口102に押し上げ部材104が螺着されている。押し上げ部材104は、これと直交する横方向から接近する固定ネジによって、その高さ位置がロックされる。押し上げ部材104と固定板3との間に熱電素子であるペルチェ素子7が配設される。押し上げ部材104に所定のトルクの回転力を加えることでペルチェ素子7が固定板3に圧接される。
【解決手段】光学結晶体2を載置した固定板3は、台座5に対してスペーサ6を貫通する第3のネジ12によって間隔を隔てて位置固定される。台座5には、台座5を上下に貫通するネジ山付きの開口102が形成され、この開口102に押し上げ部材104が螺着されている。押し上げ部材104は、これと直交する横方向から接近する固定ネジによって、その高さ位置がロックされる。押し上げ部材104と固定板3との間に熱電素子であるペルチェ素子7が配設される。押し上げ部材104に所定のトルクの回転力を加えることでペルチェ素子7が固定板3に圧接される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ応用機器に用いられるレーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカに関し、より詳しくは光学結晶体を所定温度に調整するためにペルチェ素子を備えたレーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光は、ワークの表面への印字、光造型、ワークの溶接、切断、穴あけ等の加工に応用され、また、画像形成にも応用されている。このようなレーザ応用機器にあっては、固体レーザ結晶や非線形光学材料等の光学結晶体を利用した光増幅や波長変換が行われる。
【0003】
この光学結晶体は、その特性が温度に対して敏感である(特定温度で波長変換効率が最大になる)ことから光学結晶体を所定の温度に維持する温度管理が重要であり、この目的のためにヒートシンクに加えて、熱電素子であるペルチェ素子が用いられている(特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1は、光学結晶体を包囲するヒートシンクに関する様々な構成の他に、所定厚の塗膜で構成した熱伝導材料を介してヒートシンクに隣接して配置したペルチェ素子を開示している。
【0005】
特許文献2は、熱電素子であるペルチェ素子がその面耐圧の制約があることを指摘し、ヒートシンクとペルチェ素子との間に介装する熱伝導材料として弾性の熱伝導材料又は熱伝導性グリスを採用した画像形成機器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−363129号公報
【特許文献2】特開2006−332447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2が提案する弾性の熱伝導材料や熱伝導性グリスを採用することは、この熱伝導材料の弾性や熱伝導性グリスの流動性によって熱電素子のペルチェ素子に加わる面圧を緩和することができるという利点がある。しかし、弾性の熱伝導材料や熱伝導性グリスは熱によってガスが発生することから、このガスが周辺の光学部材(典型的にはレンズや光学結晶自体)の表面に付着して初期性能を維持するのが難しくなるという問題を誘発する。
【0008】
他方、特許文献1に開示の熱伝導性塗膜を採用したときには、特許文献2が指摘するように、ペルチェ素子に加わる面圧つまりヒートシンクとの間の接触圧を所定の面圧に調整するのが難しいという問題を有するもののガス発生の問題が殆ど生じないという利点がある。
【0009】
図20は、熱伝導材料として非弾性体であるインジウム熱インターフェースシートを採用した従来のレーザ発振モジュールを示す。この図20のレーザ発振モジュール1は、光学結晶体2と、光学結晶体2を載置するための固定板3と、固定板3に載置した光学結晶体2を位置固定するための位置決めブロック4とを有する。また、固定板3の下方に台座5を有し、この台座5と、その上方に位置する固定板3との間の間隔はスペーサ6によって規定される。そして、台座5と固定板3との間にペルチェ素子7が介装され、ペルチェ素子7と台座5及び固定板3との間に、所定の厚さ寸法を備えたインジウム熱インターフェースシート(Inシート)8が介装されている。固定板3は、単に光学結晶体2を位置固定する機能だけでなくヒートシンクとして機能する部材である。他方、位置決めブロック4も好ましくは伝熱性に優れた材料で構成されるのが良く、この場合には、位置決めブロック4もヒートシンクとして機能することになる。
【0010】
引き続き図20を参照して、レーザ発振モジュール1は、他の部材との位置決めの基準となる発振器ブロック9に対して台座5が複数の第1のネジ10によって強固に固定される。発振器ブロック9は例えばレーザマーカのケース(レーザマーカのケース内において、他の構成部品がマウントされている同一面上のアルミ板)で構成される。光学結晶体2の光学的位置(レーザ光との相対的な位置)を位置決めするのに、発振器ブロック9に対する固定板3及び位置決めブロック4の位置固定が重要になる。このことから、複数の第2のネジ11で位置決めブロック4が強固に位置固定された固定板3を、複数の第3のネジ12を使って台座に強固に位置固定し、そして、この第3のネジ12が通過するスペーサ6によって固定板3と台座5との間の間隔D1を規定する構成が採用されている。
【0011】
ペルチェ素子7と固定板3及び台座5との間の熱移動を円滑にするためには、ペルチェ素子7と固定板3及び台座5との熱結合を確かなものにする必要がある。このことから固定板3と台座5との間の間隔D1つまりスペーサ6の高さ寸法の精度及び非弾性体のInシート8を含むペルチェ素子7の厚さ寸法の精度を厳重に管理することが必要となる。例えば、間隔D1が相対的に小さ過ぎるとペルチェ素子7を圧壊してしまう虞があり、逆に、間隔D1が相対的に大き過ぎるとペルチェ素子7の能力が低下してしまう。このことは特許文献1に開示の熱伝導性塗膜を採用したときも同じことが言える。
【0012】
しかしながら、Inシート8や熱伝導性塗膜を含むペルチェ素子7の厚さ寸法やスペーサ6の高さ寸法を厳重に管理すると共に組立精度を厳重に管理することは実際上困難を伴う(組立難易度が高くなる)。このことから、ペルチェ素子7による温度管理能力が若干小さくなるものの組立時のペルチェ素子7の圧壊を阻止するために、Inシート8を含むペルチェ素子7に加わる面圧が若干弱めになるように設計するという手法が採用されている。
【0013】
本発明の目的は、ペルチェ素子に適正な面圧を与えることができ且つ光学結晶体の確実なる位置固定を行うことのできるレーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本件発明者は、光学結晶体の熱を放熱するためのヒートシンクと台座とを締結する機能と、ペルチェ素子に面圧を付与する機能とを分ける(独立させる)ことに着目して本願発明を案出するに至ったものである。
【0015】
具体的には、上記の技術的課題は、本発明によれば、
光学結晶体の熱を放熱するためのヒートシンクと、
前記ヒートシンクに隣接して位置し、通電制御により前記ヒートシンクを加熱又は冷却して前記光学結晶の温度を制御するための熱電素子と、
前記熱電素子の周囲に配置され、前記ヒートシンクを前記台座に締結するための締結部材と、
前記熱電素子を前記ヒートシンクに圧接させるために前記熱電素子を前記ヒートシンクに向けて所定の力で押圧するための押圧部材とを有し、
該押圧部材が、前記締結部材から独立していることを特徴とするレーザ発振モジュールを提供することにより達成される。
【0016】
熱電素子(典型例としてペルチェ素子)に面圧つまり熱電素子とヒートシンクに圧接させるための力を熱電素子に付与する機能を押圧手段に委ねることにより、熱電素子の圧壊を気にすることなく、締結部材を使ってヒートシンクを台座に確実に位置固定することができると共に、押圧部材により熱電素子とヒートシンクとを適正な力で圧接させることができる。これにより、熱電素子の温度制御能力を十分に活用することができる。
【0017】
本発明のレーザ発振モジュールは、レーザ光を使ったレーザ応用機器に広く適用できるのは勿論であるが、典型的にはレーザマーカに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施例のレーザ発振モジュールの概略図である。
【図2】第1実施例のレーザ発振モジュールに組み込まれているペルチェ素子の構成図である。
【図3】第1実施X15例のレーザ発振モジュールの具体例の斜視図である。
【図4】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例の正面図である。
【図5】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の斜視図である。
【図8】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の平面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】第2実施例のレーザ発振モジュールの概略図である。
【図11】第2実施例のレーザ発振モジュールの概略の断面図である。
【図12】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例の斜視図である。
【図13】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例の正面図である。
【図14】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例の平面図である。
【図15】図14のX15−X15線に沿った断面図である。
【図16】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の斜視図である。
【図17】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の平面図である。
【図18】図17のX18−X18に沿った断面図である。
【図19】実施例のレーザ発振モジュールを組み込んだレーザマーカの全体構成図である。
【図20】従来のレーザ発振モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0020】
第1実施例(図1〜図9):
図1〜図6は第1実施例のレーザ発振モジュール100を示す。この第1実施例のレーザ発振モジュール100の説明において図20を参照して前述した従来例と同じ要素には同一の参照符号を付すこととする。
【0021】
概念図である図1を参照して、第1実施例のレーザ発振モジュール100は、その構成要素として、光学結晶体2、固定板3、位置決めブロック4、台座5、スペーサ6、熱電素子であるペルチェ素子7、熱伝導材料8を含む。
【0022】
光学結晶体2は、励起された誘導光を放出する固体レーザ結晶や波長変換を行う非線形光学材料を含む。固体レーザ結晶として、ロッド状のNd:YVO4、希土類をドープしたYAG、LiSrF、LiCaF、YLF、NAB、KNP、LNP、NYAB、NPP、GGG等を挙げることができる。また、波長変換を行う材料として、例えば、KTP(KTiPO4)、有機非線形光学材料、無機非線形光学材料等を利用することができる。具体的に例示すれば、KN(KNbO3)、KAP(KAsPO4)、BBO、LBO、バルク型の分極素子(LiNbO3(Periodically Polled Lithium Niobate: PPLN)、LiTaO3等)を利用できる。また、Ho、Er、Tm、Sm、Nd等の希土類をドープしたフッ化物ファイバを用いたアップコンバージョンによる励起光源用半導体を用いることができる。これらの光学結晶体2は、一般的に長手方向の両端面が研磨、コーティングされており、この両端面を光学的に利用し、側面を冷却面として利用することが多い。
【0023】
ペルチェ素子7の具体的な構造を図2を参照して説明すると、ペルチェ素子7は、P型半導体とN型半導体とを交互に連結して構造を有し、リード線13を通じて直流電流を供給することにより一方側の面が吸熱面となり、他方側の面が発熱面となる。そして、リード線13を通じた直流電流の極性を反転させることにより吸熱面と発熱面が反転することから高精度の温度制御が可能である。つまり、熱電素子であるペルチェ素子7は、通電制御によりヒートシンクを加熱又は冷却可能な素子である。ペルチェ素子7の2つの面14、15はセラミック製のプレートで構成されている。
【0024】
ペルチェ素子7の2つの面14、15と、固定板3、台座5との間に夫々介装される熱伝導材料8は、非弾性材料から選択すればよく、典型的にはインジウム熱インターフェースシート(Inシート)であるが、ペルチェ素子7の2つの面14、15に塗布した熱伝導性塗膜であってもよい。
【0025】
光学結晶体2が載置される固定板3はヒートシンクの役割を担うことから、この固定板3の材料として熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料が適しており、ここではアルミニウムが採用されている。このことは、台座5についても同様であり、ここでは台座5はアルミニウムで構成されている。また、位置決めブロック4についても、好ましくは熱伝導性に優れた材料(典型的にはアルミニウム)を採用するのが好ましい。
【0026】
図1に戻って、固定板3が平板で構成され、また、位置決めブロック4に光学結晶体2を収容する凹所4aを形成した例が図1に図示してあるが、これは単なる一例に過ぎない。例えば、位置決めブロック4を平板で構成して、光学結晶体2を位置決めブロック4と固定板3とでサンドイッチ状に挟み込む構成を採用してもよい。また、位置決めブロック4に凹所4aを形成する代わりに固定板3に凹所を形成してもよいし、固定板3と位置決めブロック4の双方に凹所を形成してもよい。この実施例では、位置決めブロック4に光学結晶体2を位置決めし且つ固定する機能が与えられている。この具体的な例は、前述した特許文献1(特開2004−363129号公報)に詳細に記載されていることから、この特許文献1の開示内容をここに援用する。
【0027】
ここで、光学結晶体2を位置決めブロック4で包囲し、この位置決めブロック4を固定板3に固定することにより、光学結晶体2の温度調整のばらつきを抑制することができる。より具体的に説明すると、一般に、光学結晶体2には厚みのばらつきがあるため、光学結晶体2を直接固定板3に接触させた場合、光学結晶体2の温度調整にばらつきが生じる虞がある。換言すれば、固定板3の加工精度に対して光学結晶体2の加工精度は低いため、光学結晶体2を固定板3に均一に接触させることが困難な場合がある。そこで、第1実施例では、位置決めブロック4を利用する。一般に、位置決めブロック4の加工精度は光学結晶体2の加工精度よりも高い。そのため、光学結晶体2を位置決めブロック4に精度良く位置決めし、そして、その位置決めブロック4を固定板3に固定し、ペルチェ素子7によって固定板3を加熱又は冷却することによって、光学結晶体2の温度調整のばらつきを抑制することができる。このように、位置決めブロック4は、光学結晶体2の形状に起因する光学結晶体2の温度調整のばらつきを抑制する機能を有する。
【0028】
図1において、第1実施例のレーザ発振モジュール100にあっては、固定板3と台座5との結合は、光学結晶体2の周囲に配置した複数本の第3のネジ12によって行われる。第3のネジ12は、固定板3と台座5とを、間隔を隔てて締結するための締結部材の一例として機能する。第1実施例のレーザ発振モジュール100では、光学結晶体2で互いに交差する複数の対角線、この実施例では2本の対角線上に位置する一対の締結部材が設けられている(図3に示すように、第1実施例では、光学結晶体2の周囲に位置する複数本の第3のネジ12が、光学結晶体2で交差する、一の対角線上に位置する2本のネジ12aと、他の対角線上に位置する2本のネジ12bで構成され、一の対角線上に位置する2本で1組からなる第3のネジ12aが一の締結部材となり、他の対角線上に位置する2本で1組からなる第3のネジ12bが他の締結部材となる)。これら光学結晶体2で互いに交差する2本の対角線上に夫々位置する一対の締結部材12a、12bの各々は、光学結晶体2の中心から等間隔に位置しており、この一対の締結部材12a、12bによって固定板3を台座5に強固に締結することで、発振器ブロック9に対し、固定板3,位置決めブロック4および光学結晶体2の相対的な位置決めを精度良く行う。このように、第3のネジ12の機能は固定板3と台座5とを強固に連結することに限定されている。すなわち、第3のネジ12の役割を限定して固定板3と台座5との連結に特化したことから、固定板3と台座5とを締結する力を任意に設定することができる。
【0029】
熱電素子としての上述したペルチェ素子7は、上述した一対の締結部材12a、12bの間に配置されている。換言すれば、一対の締結部材12a、12bの間であって、且つ、固定板3と押し上げ部材104の間、すなわち固定板3のうち光学結晶体2が固定された側とは反対側に形成される空間に、ペルチェ素子7が配設されている。
【0030】
なお、第1実施例では2本1組からなる第3のネジ12a、12bをそれぞれ一の締結部材としているが、例えば、3本以上で1組からなる第3のネジ(図示せず)を一の締結部材としてもよいし、図3に示す2個の第3のネジ12aの中央付近に配置された1個の第3のネジ(図示せず)を一の締結部材としてもよいことは言うまでもない。
【0031】
また、図1に示すとおり、固定板3は、台座5に対してスペーサ6によって間隔を隔てて位置固定されている。スペーサ6は熱伝導率の低い硬い材料で構成されている。これにより、スペーサ6を通じた固定板3と台座5との間の熱の戻りを低減することができる。このように、スペーサ6は、固定板3と台座5との間の熱の戻りを低減する機能を有している。また、スペーサ6は、固定板3と台座5とが所定の間隔以上に狭くならないようにするための支持部材であり且つ間隔規制部材として機能する。具体的に説明すると、スペーサ6が存在することによって、固定板3と台座5とがスペーサ6の高さ以上の距離に近づかない。これにより、作業者は、第3のネジ12を限界まできつく締めることによって、固定板3を台座5に強固に固定することができ、ひいては光学結晶体2を精度良く位置決めすることができる。勿論、第3のネジ12は固定板3と台座5とを締結する手段に限定されており、この第3のネジ12による締結力がペルチェ素子7の面圧に影響を及ぼすものではないことから、第3のネジ12をきつく締めてもペルチェ素子7の圧壊を生じることがない。したがって、第3のネジ12をきつく締め付けることで、この第3のネジ12の緩みを防止できる。
【0032】
なお、第1実施例では、省スペース化の観点から、第3のネジ12が内部を貫通するスペーサ6が採用されている。すなわち、各スペーサ6は、貫通穴を備えた筒形状を有し、固定板3と台座5との間において、第3のネジがスペーサ6を貫通して位置するが、本発明はこのような態様に限られない。例えば、第3のネジ12とは別の位置に独立して間隔規制手段としてのスペーサ6を配置してもよい。また、第1実施例では上述した理由によりスペーサ6を設けることとしたが、スペーサ6を有しないレーザ発振モジュールを考えることもできる。この際、熱の戻りを低減するため、固定板3と台座5の間に熱伝導率の低い部材や塗膜などを設けてもよい。
【0033】
第1実施例のレーザ発振モジュール100は、台座5に上下に貫通した断面円形の開口102が形成され、この開口102の円周壁には第1のネジ山が形成されている。この開口102には押上げ部材104が配設され、この押し上げ部材104の周面には第2のねじ山が形成されており、押し上げ部材104は開口102に螺着されている。図1において、押し上げ部材104と開口102とがネジ山で噛み合っている部分を参照符号106で示してある。この押し上げ部材104に回転トルクを与えることにより、この押し上げ部材104によってペルチェ素子7を押し上げてペルチェ素子7を固定板3に圧接させることができる。そして、この回転トルクを所定の値に設定することで、固定板3に対するペルチェ素子7の面圧を所定の値にすることができる。
【0034】
つまり、押し上げ部材104に所定の回転トルクを与えると、押し上げ部材104は第3のネジ12の進行方向(締め付け方向)とは反対方向(第3のネジ12が緩む方向)に移動し、ペルチェ素子7の下面、すなわちペルチェ素子7のうち固定板3によって押圧される上面とは反対側の下面を押圧する。一方で、押し上げ部材104に逆の回転トルクを与えると、押し上げ部材104は第3のネジ12の進行方向(第3のネジ12の締めつけ方向)に移動し、ペルチェ素子7の下面の押圧力が弱まり、一定距離移動すると押し上げ部材104から離間する。要するに、押し上げ部材104は、第3のネジ12の移動方向(台座5の上下方向)と略平行に可動する可動部材である。換言すれば、押し上げ部材104は、上述した一対の締結部材12a、12bにより固定板3を台座5に固定する方向と略平行に移動可能な可動部材として機能する。さらに言い換えると、押し上げ部材104は、固定板3を台座5に締結する方向と略平行に移動して、ペルチェ素子7のうち固定板3と反対側の面を押し上げてペルチェ素子7を固定板7(ヒートシンク)に圧接させるための可動部材として機能する。そして、上述したように押し上げ部材104に付与する回転トルクの値を調整することにより、固定板3と押し上げ部材104によりペルチェ素子7を挟み込む力を調整でき、ペルチェ素子7の面圧を任意の値に設定できる。
【0035】
このように、第1実施例のレーザ発振モジュール100においては、台座5は、この押し上げ部材104を移動可能に保持している。つまり、台座5には、固定板3を台座5に締結する方向と略平行に上下に貫通した開口102が形成されており、押し上げ部材104は、この開口102の内部を移動するようになっている。この際、上述したように、押し上げ部材104と開口102とは噛み合っており(螺合しており)、押し上げ部材104を回転させることによって、開口102の内部を移動させることができるようになっている。
【0036】
また、押し上げ部材104を所望の高さ位置に移動させた後、その所望の高さ位置に押し上げ部材104を固定(ロック)することが可能である。具体的には、図3〜図6に示すように、台座5の側面には回り止め用のネジ等を挿入するための突起部30が設けられており、外部からこの突起部30内にネジ等(図示せず)を挿入し、ネジ等の先端を押し上げ部材104に当接させることによって、押し上げ部材104が自由に回転するのを阻止することができる(つまり、所望の位置にロックすることができる)。このように、第1実施例のレーザ発振モジュール100では、押し上げ部材104の回転を規制する(ロックする)ことが可能なロック手段が設けられている。これにより、押し上げ部材104を回転させて高さ位置を調整した後、押し上げ部材104の高さ位置が変化してペルチェ素子7の面圧が変化してしまうのを防止できる。
【0037】
以上説明したように、第1実施例のレーザ発振モジュール100によれば、固定板3と台座5とを強固に連結して光学結晶体2の位置固定を確実なものにすることができると共に、ペルチェ素子7の温度制御能力を十分に発揮させることができる。別の観点から述べると、第1実施例のレーザ発振モジュール100は、光学結晶体2が載置される第1の面3aを有する固定板3と、この固定板3の第1の面3aと対向する第2の面3b側に設けられたペルチェ素子7と、固定板3を位置決めするための台座5と、ペルチェ素子7を挟むようにして固定板3を台座5に締結するための一対の締結部材12a,12bと、ペルチェ素子7を介して固定板3の第2の面3bを押圧するために、ペルチェ素子7に対して圧力を付与する押し上げ部材104と、を備えている。つまりペルチェ素子7は、固定板3と押し上げ部材104とによって挟持された状態で固定され、押し上げ部材104の高さ位置によってペルチェ素子7の面圧が調整される。このように、上記の締結部材12a、12bとは別部材である押し上げ部材104によって、ペルチェ素子7を固定板3の第2の面3bに押圧する構成を採用したので、固定板3と台座5とを強固に連結して光学結晶体2の位置固定を確実なものにすることができると共に、ペルチェ素子7の温度制御能力を十分に発揮させることができる。押し上げ部材104の材料は、例えばアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料が適しており、ここではアルミニウムが採用されており、押し上げ部材104は台座5と一体となってヒートシンクの機能を発揮する。
【0038】
図3〜図6は第1実施例のレーザ発振モジュール100の具体例を示し、図7〜図9はレーザ発振モジュール100に含まれる台座5を示す。台座5にはペルチェ素子7を受け入れる凹所108が形成され、この凹所108によってペルチェ素子7の仮位置決めが行われる。図3、図4の参照符号110はレーザ光が通過する光通過開口を示す。
【0039】
図6、図9を参照して、押し上げ部材104の下端面にはドライバを受け入れる溝112が形成され、トルク制御が可能なドライバ(図示せず)を使って押し上げ部材104に所定の回転トルクを付与することによりペルチェ素子7に加わる面圧の設定が行われる。
【0040】
押し上げ部材104に関して、図示の具体例では、押し上げ部材104の上端面が直接的にペルチェ素子7と当接してペルチェ素子7を押圧する押圧面を構成しているが、ペルチェ素子7と当接する先端部分を回転テーブルで構成し、この回転テーブルによってペルチェ素子7に対する押圧面を構成するとこの回転テーブルを押し上げ部材104に対して相対回転するようにしてもよい。この場合にあっても、回転テーブルはアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料で構成し、また、回転テーブルと押し上げ部材104との間の摺接面に例えば熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。より好ましくは、アウトガスが出ない熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。
【0041】
第2実施例(図10〜図18):
図10、図11は第2実施例のレーザ発振モジュール200の概念図である。この第2実施例のレーザ発振モジュール200の説明において上述した第1実施例のレーザ発振モジュール100と同じ要素には同一の参照符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0042】
図10、図11を参照して、第2実施例のレーザ発振モジュール200は、楔部材202と、この楔部材202を付勢するバネ204とでペルチェ素子7に面圧を付与する構成が採用されている。
【0043】
図12〜図15は第2実施例のレーザ発振モジュール200の具体例を示し、図16〜図18はレーザ発振モジュール200に含まれる台座5を示す。
【0044】
台座5の凹所108(図16)には、矩形の楔部材202が横方向にスライド可能に配設されている。楔部材202の上面202a(図18)は水平面で構成され、下面202bは傾斜面で構成されている。この楔部材202の傾斜した下面202bに対応して、台座5の凹所108の底面108aは傾斜面で構成されており、楔部材202が横方向に移動することにより上面202aがその水平状態を維持しつつ上面202aの高さレベルが変化するようになっている。
【0045】
図18を参照して、楔部材202が左方動することにより楔部材202の上面202aが上方に変位してペルチェ素子7を押圧するが、このペルチェ素子7を押圧する押圧面を構成する上面202aが上方に変位する楔部材202の移動方向に向けて付勢力が発揮するようにバネ204が配設されている。この図18に図示の例で説明すれば、バネ204は楔部材202を左方向に付勢するように横方向に向けて配置され、バネ204の左端が楔部材202に当接され、右端がアーム部材206に係止されている。平面視コ字状のアーム部材206は台座5の側面にネジ208を使って締結されている(図12、図16)。
【0046】
楔部材202の材料は、例えばアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料が適しており、ここではアルミニウムが採用されており、楔部材202は台座5と一体となってヒートシンクの機能を発揮する。
【0047】
バネ付勢された楔部材202の上面202aはその上に位置するペルチェ素子7を上方に向けて押圧してペルチェ素子7に面圧を付与するものであるが、ペルチェ素子7の適正な面圧はバネ204の適当な付勢力を設定することにより調整することができる。要するに、楔部材202は、バネ204の付勢力によって、一対の締結部により固定板3を台座5に固定する方向と略直交する方向(図18でいえば左方向)に移動するとともに、底面108aの傾斜面によって、実質的に、一対の締結部により固定板3を台座5に固定する方向と略平行(図18でいえば上方向)に移動する。したがって、この楔部材202にあっても、第1実施例で説明した可動部材、すなわち一対の締結部材12a、12bにより固定板3を台座5に固定する方向と略平行に移動可能な可動部材の一例として機能する。バネ付勢された楔部材202によってペルチェ素子7を押し上げてペルチェ素子7を固定板3に圧接させることができる。変形例として、楔部材202無しに、上下方向に圧縮したバネの付勢力によってペルチェ素子7を押し上げるようにしてもよい。すなわち、上下方向に圧縮したバネによってペルチェ素子7を直接的に上方に付勢するようにしてもよい。この場合、バネの上端とペルチェ素子7との間に上下方向に変位可能なプレートを介在させるのが好ましい。
【0048】
したがって、第2実施例のレーザ発振モジュール200にあっても、固定板3と台座5とを強固に連結して光学結晶体2の位置固定を確実なものにすることができると共に、ペルチェ素子7の温度制御能力を十分に発揮させることができる。
【0049】
楔部材202に関して、図示の具体例では、楔部材202が直接的にペルチェ素子7と当接する構成となっているが、ペルチェ素子7と当接する上面202a(図18)を上下の面が水平面で構成されたスライドテーブル(図示せず)で構成し、ペルチェ素子7を押圧する押圧面を構成するスライドテーブルが楔部材202の横方向への変位に伴って横方向に水平移動できるようにしてもよい。この場合にあっても、スライドテーブルはアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料で構成し、また、スライドテーブルと楔部材202との間の摺接面に例えば熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。より好ましくは、アウトガスが出ない熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。
【0050】
なお、上述した可動部材の例示として、第1実施例では回転しながら移動する押し上げ部材104、第2実施例では回転を伴わず傾斜面をスライドしながら移動する楔部材202を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、第1実施例の変形例として、押し上げ部材104が回転することなく摺動し、所定距離だけ移動した後に係合突起と係合穴によってロックされる(係止される)ものを考えることも可能である。要するに、台座5に保持され、固定板3を台座5に固定する方向と略平行に実質的に移動可能であればよい。
【0051】
上述した第1、第2実施例のレーザ発振モジュール100、200は後に説明するレーザ応用機器のケースに収容される。このケースを、図1、図10などにおいて参照符号9で図示してあり、この参照符号9は、従来例で説明した発振器ブロックと等価であると理解されたい。
【0052】
レーザマーカ(図19):
第1、第2実施例のレーザ発振モジュール100、200は、ワークの表面への印字、光造型、ワークの溶接、切断、穴あけ等のレーザ加工機器や特許文献2に開示の画像形成のための機器、その他、レーザ光源として他のレーザ応用分野、例えばDVDやBlue−ray等の光ディスクの高密度記録再生用光源や通信用の光源、印刷機器、照明用光源、ディスプレイなどの表示装置用の光源、医療機器等に好適に適用することができる。
【0053】
図19は上述したレーザ発振モジュール100又は200を組み込んだレーザマーカの全体構成の概要図である。図19に図示のレーザマーカ300は、レーザ制御部302とレーザ出力部304と入力部306とを備える。入力部306はレーザ制御部302に接続され、レーザマーカ300を操作するための必要な設定を入力してレーザ制御部302に送信する。レーザ制御部302は、制御手段308とメモリ310とレーザ励起部312と電源314とを備え、入力部306から入力された設定内容をメモリ310に記録する。制御手段308は必要時にメモリ310から設定内容を読み込み、印字内容に応じた印字信号に基づいてレーザ励起部312を動作させてレーザ出力部304の光学結晶体2を励起する。さらに制御手段308は、設定された印字を行うよう光学結晶体2で発振されたレーザ光をワークW上で走査させるため、レーザ出力部304の走査部320を動作させる走査信号をスキャナ駆動部322に出力する。電源314は、定電圧電源としてレーザ励起部312へ所定電圧を供給する。
【0054】
レーザ出力部304に前述したレーザ発振モジュール100又は200が組み込まれている。レーザ出力部304には、光学結晶体2が放出する誘導放出光の光路に沿って所定の距離を隔てて対向配置された出力ミラー340及びベンドミラー342と、これらの間に配されたアパーチャ、Qスイッチ等を備える。光学結晶体2が放出する誘導放出光は多重反射により増幅され、Qスイッチの動作により短周期にて通断しつつアパーチャによりモード選別して、出力ミラー340を経てレーザ光を出力する。
【0055】
ここで、光学結晶体2は、上述した固定板3に固定され、固定板3は、複数の締結部材、好ましくは一対の締結部材12a、12bによって台座5に連結され、台座5は、発振器ブロック9に固定され、発振器ブロック9は、レーザマーカ300のレーザ出力部304(いわゆるヘッド部)の内部の所定箇所に固定される。上述したように、レーザ励起部312から出射したレーザ光は、光学結晶体2が放出する誘導放出光によって増幅され、出力ミラー340を経て発振器ブロック9から出射される。
【0056】
走査部320は、レーザ光を反射させて所望の方向に出力し、ワークWの表面でレーザ光を走査して印字する。走査部320は、X軸スキャナ350、Y軸スキャナ352と、これらをそれぞれ回動させるガルバノモータ354、356とを備えている。ガルバノモータ354、356は、夫々、スキャナ駆動部322によって駆動される。スキャナ駆動部322は、制御手段308から供給される走査信号に基づいてガルバノモータ354、356を駆動させることによりX軸スキャナ350、352の全反射ミラーを回動させて、光学結晶体2から発振されたレーザ光を偏向・走査する。偏向・走査されたレーザ光は、略偏向方向に設けられたfθレンズ360を介してワークWの表面に照射されてワークWのマーキングを行う。つまり、発振器ブロック9から出射されたレーザ光は、X軸スキャナ350、Y軸スキャナ352によって走査され、ワークWのマーキングを行うようになっている。したがって、光学結晶体2の位置ずれは、ワークWのマーキング位置のずれに繋がり、印字精度の低下を招いてしまう。そこで、上述したように、光学結晶体2が固定された固定板3を台座5に強固に固定することで、発振器ブロック9(レーザ出力部304)に対する光学結晶体2の相対的な位置決めを精度良く行ない、印字精度の低下を防いでいる。なお、図19を参照して説明したレーザマーカ300の基本構成は既に従来から知られた構成である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ワークの表面への印字、光造型、ワークの溶接、切断、穴あけ等のレーザ加工機器や特許文献2に開示の画像形成のための機器、その他、レーザ光源として他のレーザ応用分野、例えばDVDやBlue−ray等の光ディスクの高密度記録再生用光源や通信用の光源、印刷機器、照明用光源、ディスプレイなどの表示装置用の光源、医療機器等に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
2 光学結晶体
3 固定板
4 位置決めブロック
5 台座
6 スペーサ
7 ペルチェ素子(熱電素子)
8 インジウム熱インターフェースシート
9 発振器ブロック(ケース)
10 第1のネジ(モジュール×発振器ブロック)
11 第2のネジ(固定板×位置決めブロック)
12 第3のネジ(固定板×台座)
30 押し上げ部材の高さ位置を固定する固定ネジを受け入れる突出部(ロック手段)
100 第1実施例のレーザ発振モジュール
102 開口(ネジ山付き)
104 押し上げ部材
112 ドライバ受け入れ溝(押し上げ部材)
200 第2実施例のレーザ発振モジュール
202 楔部材
202a 楔部材の上面
202b 楔部材の傾斜した下面
204 楔部材を横方向に付勢するためのバネ
300 実施例のレーザ発振モジュールを組み込んだレーザマーカ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ応用機器に用いられるレーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカに関し、より詳しくは光学結晶体を所定温度に調整するためにペルチェ素子を備えたレーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光は、ワークの表面への印字、光造型、ワークの溶接、切断、穴あけ等の加工に応用され、また、画像形成にも応用されている。このようなレーザ応用機器にあっては、固体レーザ結晶や非線形光学材料等の光学結晶体を利用した光増幅や波長変換が行われる。
【0003】
この光学結晶体は、その特性が温度に対して敏感である(特定温度で波長変換効率が最大になる)ことから光学結晶体を所定の温度に維持する温度管理が重要であり、この目的のためにヒートシンクに加えて、熱電素子であるペルチェ素子が用いられている(特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1は、光学結晶体を包囲するヒートシンクに関する様々な構成の他に、所定厚の塗膜で構成した熱伝導材料を介してヒートシンクに隣接して配置したペルチェ素子を開示している。
【0005】
特許文献2は、熱電素子であるペルチェ素子がその面耐圧の制約があることを指摘し、ヒートシンクとペルチェ素子との間に介装する熱伝導材料として弾性の熱伝導材料又は熱伝導性グリスを採用した画像形成機器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−363129号公報
【特許文献2】特開2006−332447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2が提案する弾性の熱伝導材料や熱伝導性グリスを採用することは、この熱伝導材料の弾性や熱伝導性グリスの流動性によって熱電素子のペルチェ素子に加わる面圧を緩和することができるという利点がある。しかし、弾性の熱伝導材料や熱伝導性グリスは熱によってガスが発生することから、このガスが周辺の光学部材(典型的にはレンズや光学結晶自体)の表面に付着して初期性能を維持するのが難しくなるという問題を誘発する。
【0008】
他方、特許文献1に開示の熱伝導性塗膜を採用したときには、特許文献2が指摘するように、ペルチェ素子に加わる面圧つまりヒートシンクとの間の接触圧を所定の面圧に調整するのが難しいという問題を有するもののガス発生の問題が殆ど生じないという利点がある。
【0009】
図20は、熱伝導材料として非弾性体であるインジウム熱インターフェースシートを採用した従来のレーザ発振モジュールを示す。この図20のレーザ発振モジュール1は、光学結晶体2と、光学結晶体2を載置するための固定板3と、固定板3に載置した光学結晶体2を位置固定するための位置決めブロック4とを有する。また、固定板3の下方に台座5を有し、この台座5と、その上方に位置する固定板3との間の間隔はスペーサ6によって規定される。そして、台座5と固定板3との間にペルチェ素子7が介装され、ペルチェ素子7と台座5及び固定板3との間に、所定の厚さ寸法を備えたインジウム熱インターフェースシート(Inシート)8が介装されている。固定板3は、単に光学結晶体2を位置固定する機能だけでなくヒートシンクとして機能する部材である。他方、位置決めブロック4も好ましくは伝熱性に優れた材料で構成されるのが良く、この場合には、位置決めブロック4もヒートシンクとして機能することになる。
【0010】
引き続き図20を参照して、レーザ発振モジュール1は、他の部材との位置決めの基準となる発振器ブロック9に対して台座5が複数の第1のネジ10によって強固に固定される。発振器ブロック9は例えばレーザマーカのケース(レーザマーカのケース内において、他の構成部品がマウントされている同一面上のアルミ板)で構成される。光学結晶体2の光学的位置(レーザ光との相対的な位置)を位置決めするのに、発振器ブロック9に対する固定板3及び位置決めブロック4の位置固定が重要になる。このことから、複数の第2のネジ11で位置決めブロック4が強固に位置固定された固定板3を、複数の第3のネジ12を使って台座に強固に位置固定し、そして、この第3のネジ12が通過するスペーサ6によって固定板3と台座5との間の間隔D1を規定する構成が採用されている。
【0011】
ペルチェ素子7と固定板3及び台座5との間の熱移動を円滑にするためには、ペルチェ素子7と固定板3及び台座5との熱結合を確かなものにする必要がある。このことから固定板3と台座5との間の間隔D1つまりスペーサ6の高さ寸法の精度及び非弾性体のInシート8を含むペルチェ素子7の厚さ寸法の精度を厳重に管理することが必要となる。例えば、間隔D1が相対的に小さ過ぎるとペルチェ素子7を圧壊してしまう虞があり、逆に、間隔D1が相対的に大き過ぎるとペルチェ素子7の能力が低下してしまう。このことは特許文献1に開示の熱伝導性塗膜を採用したときも同じことが言える。
【0012】
しかしながら、Inシート8や熱伝導性塗膜を含むペルチェ素子7の厚さ寸法やスペーサ6の高さ寸法を厳重に管理すると共に組立精度を厳重に管理することは実際上困難を伴う(組立難易度が高くなる)。このことから、ペルチェ素子7による温度管理能力が若干小さくなるものの組立時のペルチェ素子7の圧壊を阻止するために、Inシート8を含むペルチェ素子7に加わる面圧が若干弱めになるように設計するという手法が採用されている。
【0013】
本発明の目的は、ペルチェ素子に適正な面圧を与えることができ且つ光学結晶体の確実なる位置固定を行うことのできるレーザ発振モジュール及びこれを組み込んだレーザマーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本件発明者は、光学結晶体の熱を放熱するためのヒートシンクと台座とを締結する機能と、ペルチェ素子に面圧を付与する機能とを分ける(独立させる)ことに着目して本願発明を案出するに至ったものである。
【0015】
具体的には、上記の技術的課題は、本発明によれば、
光学結晶体の熱を放熱するためのヒートシンクと、
前記ヒートシンクに隣接して位置し、通電制御により前記ヒートシンクを加熱又は冷却して前記光学結晶の温度を制御するための熱電素子と、
前記熱電素子の周囲に配置され、前記ヒートシンクを前記台座に締結するための締結部材と、
前記熱電素子を前記ヒートシンクに圧接させるために前記熱電素子を前記ヒートシンクに向けて所定の力で押圧するための押圧部材とを有し、
該押圧部材が、前記締結部材から独立していることを特徴とするレーザ発振モジュールを提供することにより達成される。
【0016】
熱電素子(典型例としてペルチェ素子)に面圧つまり熱電素子とヒートシンクに圧接させるための力を熱電素子に付与する機能を押圧手段に委ねることにより、熱電素子の圧壊を気にすることなく、締結部材を使ってヒートシンクを台座に確実に位置固定することができると共に、押圧部材により熱電素子とヒートシンクとを適正な力で圧接させることができる。これにより、熱電素子の温度制御能力を十分に活用することができる。
【0017】
本発明のレーザ発振モジュールは、レーザ光を使ったレーザ応用機器に広く適用できるのは勿論であるが、典型的にはレーザマーカに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施例のレーザ発振モジュールの概略図である。
【図2】第1実施例のレーザ発振モジュールに組み込まれているペルチェ素子の構成図である。
【図3】第1実施X15例のレーザ発振モジュールの具体例の斜視図である。
【図4】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例の正面図である。
【図5】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の斜視図である。
【図8】第1実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の平面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】第2実施例のレーザ発振モジュールの概略図である。
【図11】第2実施例のレーザ発振モジュールの概略の断面図である。
【図12】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例の斜視図である。
【図13】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例の正面図である。
【図14】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例の平面図である。
【図15】図14のX15−X15線に沿った断面図である。
【図16】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の斜視図である。
【図17】第2実施例のレーザ発振モジュールの具体例に含まれる台座の平面図である。
【図18】図17のX18−X18に沿った断面図である。
【図19】実施例のレーザ発振モジュールを組み込んだレーザマーカの全体構成図である。
【図20】従来のレーザ発振モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0020】
第1実施例(図1〜図9):
図1〜図6は第1実施例のレーザ発振モジュール100を示す。この第1実施例のレーザ発振モジュール100の説明において図20を参照して前述した従来例と同じ要素には同一の参照符号を付すこととする。
【0021】
概念図である図1を参照して、第1実施例のレーザ発振モジュール100は、その構成要素として、光学結晶体2、固定板3、位置決めブロック4、台座5、スペーサ6、熱電素子であるペルチェ素子7、熱伝導材料8を含む。
【0022】
光学結晶体2は、励起された誘導光を放出する固体レーザ結晶や波長変換を行う非線形光学材料を含む。固体レーザ結晶として、ロッド状のNd:YVO4、希土類をドープしたYAG、LiSrF、LiCaF、YLF、NAB、KNP、LNP、NYAB、NPP、GGG等を挙げることができる。また、波長変換を行う材料として、例えば、KTP(KTiPO4)、有機非線形光学材料、無機非線形光学材料等を利用することができる。具体的に例示すれば、KN(KNbO3)、KAP(KAsPO4)、BBO、LBO、バルク型の分極素子(LiNbO3(Periodically Polled Lithium Niobate: PPLN)、LiTaO3等)を利用できる。また、Ho、Er、Tm、Sm、Nd等の希土類をドープしたフッ化物ファイバを用いたアップコンバージョンによる励起光源用半導体を用いることができる。これらの光学結晶体2は、一般的に長手方向の両端面が研磨、コーティングされており、この両端面を光学的に利用し、側面を冷却面として利用することが多い。
【0023】
ペルチェ素子7の具体的な構造を図2を参照して説明すると、ペルチェ素子7は、P型半導体とN型半導体とを交互に連結して構造を有し、リード線13を通じて直流電流を供給することにより一方側の面が吸熱面となり、他方側の面が発熱面となる。そして、リード線13を通じた直流電流の極性を反転させることにより吸熱面と発熱面が反転することから高精度の温度制御が可能である。つまり、熱電素子であるペルチェ素子7は、通電制御によりヒートシンクを加熱又は冷却可能な素子である。ペルチェ素子7の2つの面14、15はセラミック製のプレートで構成されている。
【0024】
ペルチェ素子7の2つの面14、15と、固定板3、台座5との間に夫々介装される熱伝導材料8は、非弾性材料から選択すればよく、典型的にはインジウム熱インターフェースシート(Inシート)であるが、ペルチェ素子7の2つの面14、15に塗布した熱伝導性塗膜であってもよい。
【0025】
光学結晶体2が載置される固定板3はヒートシンクの役割を担うことから、この固定板3の材料として熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料が適しており、ここではアルミニウムが採用されている。このことは、台座5についても同様であり、ここでは台座5はアルミニウムで構成されている。また、位置決めブロック4についても、好ましくは熱伝導性に優れた材料(典型的にはアルミニウム)を採用するのが好ましい。
【0026】
図1に戻って、固定板3が平板で構成され、また、位置決めブロック4に光学結晶体2を収容する凹所4aを形成した例が図1に図示してあるが、これは単なる一例に過ぎない。例えば、位置決めブロック4を平板で構成して、光学結晶体2を位置決めブロック4と固定板3とでサンドイッチ状に挟み込む構成を採用してもよい。また、位置決めブロック4に凹所4aを形成する代わりに固定板3に凹所を形成してもよいし、固定板3と位置決めブロック4の双方に凹所を形成してもよい。この実施例では、位置決めブロック4に光学結晶体2を位置決めし且つ固定する機能が与えられている。この具体的な例は、前述した特許文献1(特開2004−363129号公報)に詳細に記載されていることから、この特許文献1の開示内容をここに援用する。
【0027】
ここで、光学結晶体2を位置決めブロック4で包囲し、この位置決めブロック4を固定板3に固定することにより、光学結晶体2の温度調整のばらつきを抑制することができる。より具体的に説明すると、一般に、光学結晶体2には厚みのばらつきがあるため、光学結晶体2を直接固定板3に接触させた場合、光学結晶体2の温度調整にばらつきが生じる虞がある。換言すれば、固定板3の加工精度に対して光学結晶体2の加工精度は低いため、光学結晶体2を固定板3に均一に接触させることが困難な場合がある。そこで、第1実施例では、位置決めブロック4を利用する。一般に、位置決めブロック4の加工精度は光学結晶体2の加工精度よりも高い。そのため、光学結晶体2を位置決めブロック4に精度良く位置決めし、そして、その位置決めブロック4を固定板3に固定し、ペルチェ素子7によって固定板3を加熱又は冷却することによって、光学結晶体2の温度調整のばらつきを抑制することができる。このように、位置決めブロック4は、光学結晶体2の形状に起因する光学結晶体2の温度調整のばらつきを抑制する機能を有する。
【0028】
図1において、第1実施例のレーザ発振モジュール100にあっては、固定板3と台座5との結合は、光学結晶体2の周囲に配置した複数本の第3のネジ12によって行われる。第3のネジ12は、固定板3と台座5とを、間隔を隔てて締結するための締結部材の一例として機能する。第1実施例のレーザ発振モジュール100では、光学結晶体2で互いに交差する複数の対角線、この実施例では2本の対角線上に位置する一対の締結部材が設けられている(図3に示すように、第1実施例では、光学結晶体2の周囲に位置する複数本の第3のネジ12が、光学結晶体2で交差する、一の対角線上に位置する2本のネジ12aと、他の対角線上に位置する2本のネジ12bで構成され、一の対角線上に位置する2本で1組からなる第3のネジ12aが一の締結部材となり、他の対角線上に位置する2本で1組からなる第3のネジ12bが他の締結部材となる)。これら光学結晶体2で互いに交差する2本の対角線上に夫々位置する一対の締結部材12a、12bの各々は、光学結晶体2の中心から等間隔に位置しており、この一対の締結部材12a、12bによって固定板3を台座5に強固に締結することで、発振器ブロック9に対し、固定板3,位置決めブロック4および光学結晶体2の相対的な位置決めを精度良く行う。このように、第3のネジ12の機能は固定板3と台座5とを強固に連結することに限定されている。すなわち、第3のネジ12の役割を限定して固定板3と台座5との連結に特化したことから、固定板3と台座5とを締結する力を任意に設定することができる。
【0029】
熱電素子としての上述したペルチェ素子7は、上述した一対の締結部材12a、12bの間に配置されている。換言すれば、一対の締結部材12a、12bの間であって、且つ、固定板3と押し上げ部材104の間、すなわち固定板3のうち光学結晶体2が固定された側とは反対側に形成される空間に、ペルチェ素子7が配設されている。
【0030】
なお、第1実施例では2本1組からなる第3のネジ12a、12bをそれぞれ一の締結部材としているが、例えば、3本以上で1組からなる第3のネジ(図示せず)を一の締結部材としてもよいし、図3に示す2個の第3のネジ12aの中央付近に配置された1個の第3のネジ(図示せず)を一の締結部材としてもよいことは言うまでもない。
【0031】
また、図1に示すとおり、固定板3は、台座5に対してスペーサ6によって間隔を隔てて位置固定されている。スペーサ6は熱伝導率の低い硬い材料で構成されている。これにより、スペーサ6を通じた固定板3と台座5との間の熱の戻りを低減することができる。このように、スペーサ6は、固定板3と台座5との間の熱の戻りを低減する機能を有している。また、スペーサ6は、固定板3と台座5とが所定の間隔以上に狭くならないようにするための支持部材であり且つ間隔規制部材として機能する。具体的に説明すると、スペーサ6が存在することによって、固定板3と台座5とがスペーサ6の高さ以上の距離に近づかない。これにより、作業者は、第3のネジ12を限界まできつく締めることによって、固定板3を台座5に強固に固定することができ、ひいては光学結晶体2を精度良く位置決めすることができる。勿論、第3のネジ12は固定板3と台座5とを締結する手段に限定されており、この第3のネジ12による締結力がペルチェ素子7の面圧に影響を及ぼすものではないことから、第3のネジ12をきつく締めてもペルチェ素子7の圧壊を生じることがない。したがって、第3のネジ12をきつく締め付けることで、この第3のネジ12の緩みを防止できる。
【0032】
なお、第1実施例では、省スペース化の観点から、第3のネジ12が内部を貫通するスペーサ6が採用されている。すなわち、各スペーサ6は、貫通穴を備えた筒形状を有し、固定板3と台座5との間において、第3のネジがスペーサ6を貫通して位置するが、本発明はこのような態様に限られない。例えば、第3のネジ12とは別の位置に独立して間隔規制手段としてのスペーサ6を配置してもよい。また、第1実施例では上述した理由によりスペーサ6を設けることとしたが、スペーサ6を有しないレーザ発振モジュールを考えることもできる。この際、熱の戻りを低減するため、固定板3と台座5の間に熱伝導率の低い部材や塗膜などを設けてもよい。
【0033】
第1実施例のレーザ発振モジュール100は、台座5に上下に貫通した断面円形の開口102が形成され、この開口102の円周壁には第1のネジ山が形成されている。この開口102には押上げ部材104が配設され、この押し上げ部材104の周面には第2のねじ山が形成されており、押し上げ部材104は開口102に螺着されている。図1において、押し上げ部材104と開口102とがネジ山で噛み合っている部分を参照符号106で示してある。この押し上げ部材104に回転トルクを与えることにより、この押し上げ部材104によってペルチェ素子7を押し上げてペルチェ素子7を固定板3に圧接させることができる。そして、この回転トルクを所定の値に設定することで、固定板3に対するペルチェ素子7の面圧を所定の値にすることができる。
【0034】
つまり、押し上げ部材104に所定の回転トルクを与えると、押し上げ部材104は第3のネジ12の進行方向(締め付け方向)とは反対方向(第3のネジ12が緩む方向)に移動し、ペルチェ素子7の下面、すなわちペルチェ素子7のうち固定板3によって押圧される上面とは反対側の下面を押圧する。一方で、押し上げ部材104に逆の回転トルクを与えると、押し上げ部材104は第3のネジ12の進行方向(第3のネジ12の締めつけ方向)に移動し、ペルチェ素子7の下面の押圧力が弱まり、一定距離移動すると押し上げ部材104から離間する。要するに、押し上げ部材104は、第3のネジ12の移動方向(台座5の上下方向)と略平行に可動する可動部材である。換言すれば、押し上げ部材104は、上述した一対の締結部材12a、12bにより固定板3を台座5に固定する方向と略平行に移動可能な可動部材として機能する。さらに言い換えると、押し上げ部材104は、固定板3を台座5に締結する方向と略平行に移動して、ペルチェ素子7のうち固定板3と反対側の面を押し上げてペルチェ素子7を固定板7(ヒートシンク)に圧接させるための可動部材として機能する。そして、上述したように押し上げ部材104に付与する回転トルクの値を調整することにより、固定板3と押し上げ部材104によりペルチェ素子7を挟み込む力を調整でき、ペルチェ素子7の面圧を任意の値に設定できる。
【0035】
このように、第1実施例のレーザ発振モジュール100においては、台座5は、この押し上げ部材104を移動可能に保持している。つまり、台座5には、固定板3を台座5に締結する方向と略平行に上下に貫通した開口102が形成されており、押し上げ部材104は、この開口102の内部を移動するようになっている。この際、上述したように、押し上げ部材104と開口102とは噛み合っており(螺合しており)、押し上げ部材104を回転させることによって、開口102の内部を移動させることができるようになっている。
【0036】
また、押し上げ部材104を所望の高さ位置に移動させた後、その所望の高さ位置に押し上げ部材104を固定(ロック)することが可能である。具体的には、図3〜図6に示すように、台座5の側面には回り止め用のネジ等を挿入するための突起部30が設けられており、外部からこの突起部30内にネジ等(図示せず)を挿入し、ネジ等の先端を押し上げ部材104に当接させることによって、押し上げ部材104が自由に回転するのを阻止することができる(つまり、所望の位置にロックすることができる)。このように、第1実施例のレーザ発振モジュール100では、押し上げ部材104の回転を規制する(ロックする)ことが可能なロック手段が設けられている。これにより、押し上げ部材104を回転させて高さ位置を調整した後、押し上げ部材104の高さ位置が変化してペルチェ素子7の面圧が変化してしまうのを防止できる。
【0037】
以上説明したように、第1実施例のレーザ発振モジュール100によれば、固定板3と台座5とを強固に連結して光学結晶体2の位置固定を確実なものにすることができると共に、ペルチェ素子7の温度制御能力を十分に発揮させることができる。別の観点から述べると、第1実施例のレーザ発振モジュール100は、光学結晶体2が載置される第1の面3aを有する固定板3と、この固定板3の第1の面3aと対向する第2の面3b側に設けられたペルチェ素子7と、固定板3を位置決めするための台座5と、ペルチェ素子7を挟むようにして固定板3を台座5に締結するための一対の締結部材12a,12bと、ペルチェ素子7を介して固定板3の第2の面3bを押圧するために、ペルチェ素子7に対して圧力を付与する押し上げ部材104と、を備えている。つまりペルチェ素子7は、固定板3と押し上げ部材104とによって挟持された状態で固定され、押し上げ部材104の高さ位置によってペルチェ素子7の面圧が調整される。このように、上記の締結部材12a、12bとは別部材である押し上げ部材104によって、ペルチェ素子7を固定板3の第2の面3bに押圧する構成を採用したので、固定板3と台座5とを強固に連結して光学結晶体2の位置固定を確実なものにすることができると共に、ペルチェ素子7の温度制御能力を十分に発揮させることができる。押し上げ部材104の材料は、例えばアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料が適しており、ここではアルミニウムが採用されており、押し上げ部材104は台座5と一体となってヒートシンクの機能を発揮する。
【0038】
図3〜図6は第1実施例のレーザ発振モジュール100の具体例を示し、図7〜図9はレーザ発振モジュール100に含まれる台座5を示す。台座5にはペルチェ素子7を受け入れる凹所108が形成され、この凹所108によってペルチェ素子7の仮位置決めが行われる。図3、図4の参照符号110はレーザ光が通過する光通過開口を示す。
【0039】
図6、図9を参照して、押し上げ部材104の下端面にはドライバを受け入れる溝112が形成され、トルク制御が可能なドライバ(図示せず)を使って押し上げ部材104に所定の回転トルクを付与することによりペルチェ素子7に加わる面圧の設定が行われる。
【0040】
押し上げ部材104に関して、図示の具体例では、押し上げ部材104の上端面が直接的にペルチェ素子7と当接してペルチェ素子7を押圧する押圧面を構成しているが、ペルチェ素子7と当接する先端部分を回転テーブルで構成し、この回転テーブルによってペルチェ素子7に対する押圧面を構成するとこの回転テーブルを押し上げ部材104に対して相対回転するようにしてもよい。この場合にあっても、回転テーブルはアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料で構成し、また、回転テーブルと押し上げ部材104との間の摺接面に例えば熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。より好ましくは、アウトガスが出ない熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。
【0041】
第2実施例(図10〜図18):
図10、図11は第2実施例のレーザ発振モジュール200の概念図である。この第2実施例のレーザ発振モジュール200の説明において上述した第1実施例のレーザ発振モジュール100と同じ要素には同一の参照符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0042】
図10、図11を参照して、第2実施例のレーザ発振モジュール200は、楔部材202と、この楔部材202を付勢するバネ204とでペルチェ素子7に面圧を付与する構成が採用されている。
【0043】
図12〜図15は第2実施例のレーザ発振モジュール200の具体例を示し、図16〜図18はレーザ発振モジュール200に含まれる台座5を示す。
【0044】
台座5の凹所108(図16)には、矩形の楔部材202が横方向にスライド可能に配設されている。楔部材202の上面202a(図18)は水平面で構成され、下面202bは傾斜面で構成されている。この楔部材202の傾斜した下面202bに対応して、台座5の凹所108の底面108aは傾斜面で構成されており、楔部材202が横方向に移動することにより上面202aがその水平状態を維持しつつ上面202aの高さレベルが変化するようになっている。
【0045】
図18を参照して、楔部材202が左方動することにより楔部材202の上面202aが上方に変位してペルチェ素子7を押圧するが、このペルチェ素子7を押圧する押圧面を構成する上面202aが上方に変位する楔部材202の移動方向に向けて付勢力が発揮するようにバネ204が配設されている。この図18に図示の例で説明すれば、バネ204は楔部材202を左方向に付勢するように横方向に向けて配置され、バネ204の左端が楔部材202に当接され、右端がアーム部材206に係止されている。平面視コ字状のアーム部材206は台座5の側面にネジ208を使って締結されている(図12、図16)。
【0046】
楔部材202の材料は、例えばアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料が適しており、ここではアルミニウムが採用されており、楔部材202は台座5と一体となってヒートシンクの機能を発揮する。
【0047】
バネ付勢された楔部材202の上面202aはその上に位置するペルチェ素子7を上方に向けて押圧してペルチェ素子7に面圧を付与するものであるが、ペルチェ素子7の適正な面圧はバネ204の適当な付勢力を設定することにより調整することができる。要するに、楔部材202は、バネ204の付勢力によって、一対の締結部により固定板3を台座5に固定する方向と略直交する方向(図18でいえば左方向)に移動するとともに、底面108aの傾斜面によって、実質的に、一対の締結部により固定板3を台座5に固定する方向と略平行(図18でいえば上方向)に移動する。したがって、この楔部材202にあっても、第1実施例で説明した可動部材、すなわち一対の締結部材12a、12bにより固定板3を台座5に固定する方向と略平行に移動可能な可動部材の一例として機能する。バネ付勢された楔部材202によってペルチェ素子7を押し上げてペルチェ素子7を固定板3に圧接させることができる。変形例として、楔部材202無しに、上下方向に圧縮したバネの付勢力によってペルチェ素子7を押し上げるようにしてもよい。すなわち、上下方向に圧縮したバネによってペルチェ素子7を直接的に上方に付勢するようにしてもよい。この場合、バネの上端とペルチェ素子7との間に上下方向に変位可能なプレートを介在させるのが好ましい。
【0048】
したがって、第2実施例のレーザ発振モジュール200にあっても、固定板3と台座5とを強固に連結して光学結晶体2の位置固定を確実なものにすることができると共に、ペルチェ素子7の温度制御能力を十分に発揮させることができる。
【0049】
楔部材202に関して、図示の具体例では、楔部材202が直接的にペルチェ素子7と当接する構成となっているが、ペルチェ素子7と当接する上面202a(図18)を上下の面が水平面で構成されたスライドテーブル(図示せず)で構成し、ペルチェ素子7を押圧する押圧面を構成するスライドテーブルが楔部材202の横方向への変位に伴って横方向に水平移動できるようにしてもよい。この場合にあっても、スライドテーブルはアルミニウム、銅、真鍮などの金属材料で構成し、また、スライドテーブルと楔部材202との間の摺接面に例えば熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。より好ましくは、アウトガスが出ない熱伝導性グリスを塗布するのが好ましい。
【0050】
なお、上述した可動部材の例示として、第1実施例では回転しながら移動する押し上げ部材104、第2実施例では回転を伴わず傾斜面をスライドしながら移動する楔部材202を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、第1実施例の変形例として、押し上げ部材104が回転することなく摺動し、所定距離だけ移動した後に係合突起と係合穴によってロックされる(係止される)ものを考えることも可能である。要するに、台座5に保持され、固定板3を台座5に固定する方向と略平行に実質的に移動可能であればよい。
【0051】
上述した第1、第2実施例のレーザ発振モジュール100、200は後に説明するレーザ応用機器のケースに収容される。このケースを、図1、図10などにおいて参照符号9で図示してあり、この参照符号9は、従来例で説明した発振器ブロックと等価であると理解されたい。
【0052】
レーザマーカ(図19):
第1、第2実施例のレーザ発振モジュール100、200は、ワークの表面への印字、光造型、ワークの溶接、切断、穴あけ等のレーザ加工機器や特許文献2に開示の画像形成のための機器、その他、レーザ光源として他のレーザ応用分野、例えばDVDやBlue−ray等の光ディスクの高密度記録再生用光源や通信用の光源、印刷機器、照明用光源、ディスプレイなどの表示装置用の光源、医療機器等に好適に適用することができる。
【0053】
図19は上述したレーザ発振モジュール100又は200を組み込んだレーザマーカの全体構成の概要図である。図19に図示のレーザマーカ300は、レーザ制御部302とレーザ出力部304と入力部306とを備える。入力部306はレーザ制御部302に接続され、レーザマーカ300を操作するための必要な設定を入力してレーザ制御部302に送信する。レーザ制御部302は、制御手段308とメモリ310とレーザ励起部312と電源314とを備え、入力部306から入力された設定内容をメモリ310に記録する。制御手段308は必要時にメモリ310から設定内容を読み込み、印字内容に応じた印字信号に基づいてレーザ励起部312を動作させてレーザ出力部304の光学結晶体2を励起する。さらに制御手段308は、設定された印字を行うよう光学結晶体2で発振されたレーザ光をワークW上で走査させるため、レーザ出力部304の走査部320を動作させる走査信号をスキャナ駆動部322に出力する。電源314は、定電圧電源としてレーザ励起部312へ所定電圧を供給する。
【0054】
レーザ出力部304に前述したレーザ発振モジュール100又は200が組み込まれている。レーザ出力部304には、光学結晶体2が放出する誘導放出光の光路に沿って所定の距離を隔てて対向配置された出力ミラー340及びベンドミラー342と、これらの間に配されたアパーチャ、Qスイッチ等を備える。光学結晶体2が放出する誘導放出光は多重反射により増幅され、Qスイッチの動作により短周期にて通断しつつアパーチャによりモード選別して、出力ミラー340を経てレーザ光を出力する。
【0055】
ここで、光学結晶体2は、上述した固定板3に固定され、固定板3は、複数の締結部材、好ましくは一対の締結部材12a、12bによって台座5に連結され、台座5は、発振器ブロック9に固定され、発振器ブロック9は、レーザマーカ300のレーザ出力部304(いわゆるヘッド部)の内部の所定箇所に固定される。上述したように、レーザ励起部312から出射したレーザ光は、光学結晶体2が放出する誘導放出光によって増幅され、出力ミラー340を経て発振器ブロック9から出射される。
【0056】
走査部320は、レーザ光を反射させて所望の方向に出力し、ワークWの表面でレーザ光を走査して印字する。走査部320は、X軸スキャナ350、Y軸スキャナ352と、これらをそれぞれ回動させるガルバノモータ354、356とを備えている。ガルバノモータ354、356は、夫々、スキャナ駆動部322によって駆動される。スキャナ駆動部322は、制御手段308から供給される走査信号に基づいてガルバノモータ354、356を駆動させることによりX軸スキャナ350、352の全反射ミラーを回動させて、光学結晶体2から発振されたレーザ光を偏向・走査する。偏向・走査されたレーザ光は、略偏向方向に設けられたfθレンズ360を介してワークWの表面に照射されてワークWのマーキングを行う。つまり、発振器ブロック9から出射されたレーザ光は、X軸スキャナ350、Y軸スキャナ352によって走査され、ワークWのマーキングを行うようになっている。したがって、光学結晶体2の位置ずれは、ワークWのマーキング位置のずれに繋がり、印字精度の低下を招いてしまう。そこで、上述したように、光学結晶体2が固定された固定板3を台座5に強固に固定することで、発振器ブロック9(レーザ出力部304)に対する光学結晶体2の相対的な位置決めを精度良く行ない、印字精度の低下を防いでいる。なお、図19を参照して説明したレーザマーカ300の基本構成は既に従来から知られた構成である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ワークの表面への印字、光造型、ワークの溶接、切断、穴あけ等のレーザ加工機器や特許文献2に開示の画像形成のための機器、その他、レーザ光源として他のレーザ応用分野、例えばDVDやBlue−ray等の光ディスクの高密度記録再生用光源や通信用の光源、印刷機器、照明用光源、ディスプレイなどの表示装置用の光源、医療機器等に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
2 光学結晶体
3 固定板
4 位置決めブロック
5 台座
6 スペーサ
7 ペルチェ素子(熱電素子)
8 インジウム熱インターフェースシート
9 発振器ブロック(ケース)
10 第1のネジ(モジュール×発振器ブロック)
11 第2のネジ(固定板×位置決めブロック)
12 第3のネジ(固定板×台座)
30 押し上げ部材の高さ位置を固定する固定ネジを受け入れる突出部(ロック手段)
100 第1実施例のレーザ発振モジュール
102 開口(ネジ山付き)
104 押し上げ部材
112 ドライバ受け入れ溝(押し上げ部材)
200 第2実施例のレーザ発振モジュール
202 楔部材
202a 楔部材の上面
202b 楔部材の傾斜した下面
204 楔部材を横方向に付勢するためのバネ
300 実施例のレーザ発振モジュールを組み込んだレーザマーカ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学結晶体の熱を放熱するためのヒートシンクと、
前記ヒートシンクに隣接して位置し、通電制御により前記ヒートシンクを加熱又は冷却して前記光学結晶の温度を制御するための熱電素子と、
前記熱電素子の周囲に配置され、前記ヒートシンクを前記台座に締結するための締結部材と、
前記熱電素子を前記ヒートシンクに圧接させるために前記熱電素子を前記ヒートシンクに向けて所定の力で押圧するための押圧部材とを有し、
該押圧部材が、前記締結部材から独立していることを特徴とするレーザ発振モジュール。
【請求項2】
前記締結部材が、前記熱電素子で互いに交差する複数の対角線上に配置された複数の締結部材で構成されている、請求項1に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項3】
前記押圧部材が、前記台座に形成され且つ前記台座を貫通するネジ山付きの開口に螺合した押し上げ部材によって構成され、
該押し上げ部材を位置固定するためのロック手段を更に有する、請求項1又は2に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項4】
前記押圧部材が、
前記台座に形成された傾斜面に沿って横方向にスライド可能な楔部材と、
該楔部材を横方向に付勢する付勢手段とで構成され、
前記楔部材の上面が水平面で構成されている、請求項1又は2に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項5】
光学結晶体が内部に位置決めされた位置決めブロックを有し、
前記位置決めブロックは、前記ヒートシンクの前記熱電素子と当接する面とは反対側の面に載置される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項6】
前記ヒートシンクと前記台座との間に、前記ヒートシンクと前記台座とを所定間隔だけ離間させるためのスペーサが設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項7】
前記スペーサは筒状の形状を有し、
前記締結部材が前記スペーサを貫通して配置されている、請求項6に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項8】
前記熱電素子と前記ヒートシンクとの間に非弾性の熱伝導材料であるインジウム熱インターフェースシートが介装されている、請求項1〜7に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項のレーザ発振モジュールを有し、
該レーザ発振モジュールの前記光学結晶体で発振されたレーザ光をX軸方向及びY軸方向に走査させることでワークの表面に印字するレーザマーカ。
【請求項1】
光学結晶体の熱を放熱するためのヒートシンクと、
前記ヒートシンクに隣接して位置し、通電制御により前記ヒートシンクを加熱又は冷却して前記光学結晶の温度を制御するための熱電素子と、
前記熱電素子の周囲に配置され、前記ヒートシンクを前記台座に締結するための締結部材と、
前記熱電素子を前記ヒートシンクに圧接させるために前記熱電素子を前記ヒートシンクに向けて所定の力で押圧するための押圧部材とを有し、
該押圧部材が、前記締結部材から独立していることを特徴とするレーザ発振モジュール。
【請求項2】
前記締結部材が、前記熱電素子で互いに交差する複数の対角線上に配置された複数の締結部材で構成されている、請求項1に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項3】
前記押圧部材が、前記台座に形成され且つ前記台座を貫通するネジ山付きの開口に螺合した押し上げ部材によって構成され、
該押し上げ部材を位置固定するためのロック手段を更に有する、請求項1又は2に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項4】
前記押圧部材が、
前記台座に形成された傾斜面に沿って横方向にスライド可能な楔部材と、
該楔部材を横方向に付勢する付勢手段とで構成され、
前記楔部材の上面が水平面で構成されている、請求項1又は2に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項5】
光学結晶体が内部に位置決めされた位置決めブロックを有し、
前記位置決めブロックは、前記ヒートシンクの前記熱電素子と当接する面とは反対側の面に載置される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項6】
前記ヒートシンクと前記台座との間に、前記ヒートシンクと前記台座とを所定間隔だけ離間させるためのスペーサが設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項7】
前記スペーサは筒状の形状を有し、
前記締結部材が前記スペーサを貫通して配置されている、請求項6に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項8】
前記熱電素子と前記ヒートシンクとの間に非弾性の熱伝導材料であるインジウム熱インターフェースシートが介装されている、請求項1〜7に記載のレーザ発振モジュール。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項のレーザ発振モジュールを有し、
該レーザ発振モジュールの前記光学結晶体で発振されたレーザ光をX軸方向及びY軸方向に走査させることでワークの表面に印字するレーザマーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−55254(P2013−55254A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193158(P2011−193158)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
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