説明

レーザ穿刺装置およびレーザ穿刺方法

【課題】レーザ穿刺の瞬間を意識させず、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作り、穿刺時の痛みが少ないレーザ穿刺装置およびレーザ穿刺方法を提供する。
【解決手段】本発明は、レーザ光を皮膚に照射し、穿刺を行なうレーザ穿刺装置であって、周期音を発生させた後に穿刺を行なう。ここで周期音とは、ポンプやエンジン音など単調に繰り返される音や、メトロノーム音など繰返しのテンポがある範囲の音を意味する。(a)は、ポンプやエンジン音など単調に繰り返される音の強さを示す。単調に繰り返される音は、その中心周波数が20〜100Hzである低周波音であり、更に望ましくは40〜70Hzである。(b)は、メトロノーム音など繰返しのテンポがある範囲の音の強さを示す。繰返しのテンポは、メトロノームの目盛りで表現するならば60〜208の範囲であり、更に望ましくは120〜180である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の皮膚をレーザ光により穿刺するレーザ穿刺装置およびレーザ穿刺方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ光により皮膚を穿刺(レーザ穿刺)する際、使用者の痛みを軽減させる技術が検討されている。図7は、従来のレーザ穿刺装置の操作フローチャートを示す。従来のレーザ穿刺装置では、装置のスタートボタンを押すと、ステップS1でスイッチが半押しであるか否かを判断する。音を発生させたい場合(Yesの場合)はスイッチを半押しにしステップS2に進み、スピーカから音楽等の音が発生する。次にステップS3では、穿刺スイッチを押すことでステップS4に進み穿刺が行われる。次いで、一定時間経過後にステップS5に進みスピーカから流れる音を停止する。
【0003】
一方、ステップS1でスイッチを半押ししない場合には、ステップS6に進んで穿刺スイッチを押す。これにより、ステップS7ではスピーカからの音が流れず穿刺が行われる(例えば特許文献1参照)。このように従来のレーザ穿刺装置では、レーザ穿刺装置にスピーカを設け、音楽や、穿刺時の動作音をキャンセルする音を発生するようにしていた。これにより、穿刺時の痛みを軽減していた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−131088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いつも同じ音楽等を聞いているとその音楽等に慣れてしまい、使用者の意識を音楽等に集中できなくなり、穿刺時の痛みを軽減することができない。
【0006】
また、穿刺スイッチを押してからレーザ穿刺が行われるタイミングがいつも同じであるため、使用者が無意識にレーザ穿刺のタイミングを意識してしまい、穿刺時の痛みを軽減することができない。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、レーザ穿刺の瞬間を意識させず、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作り、穿刺時の痛みが少ないレーザ穿刺装置およびレーザ穿刺方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレーザ穿刺装置は、皮膚にレーザ光を照射することにより穿刺を行なうレーザ穿刺装置であって、周期音を発生させる周期音発生手段を備え、周期音発生中に穿刺を行なうものである。
【0009】
上記構成によれば、周期音を発生させることで使用者の意識をそらし、穿刺の瞬間を意識させないことで、痛みを感じる閾値レベルが低い状態を作り、この状態でレーザ穿刺を行なうため、穿刺時の痛みを低減することができる。
【0010】
また、本発明に係るレーザ穿刺装置は、前記周期音が、中心周波数が20〜100Hzの単調に繰り返される音であるものである。
【0011】
上記構成によれば、単調に繰り返される音に使用者の意識を向けさせ、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作って穿刺するので、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0012】
また、本発明に係るレーザ穿刺装置は、前記単調に繰り返される音が、ポンプの動作音、およびエンジン音を含むものである。
【0013】
上記構成によれば、ポンプの動作音およびエンジン音などの単調に繰り返される音に使用者の意識を向けさせ、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作って穿刺するので、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0014】
また、本発明に係るレーザ穿刺装置は、前記周期音が、1分間に60〜208拍の繰返しのテンポを有する音である。
【0015】
上記構成によれば、繰返しのテンポがある音に使用者の意識を向けさせ、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作って穿刺するので、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0016】
また、本発明に係るレーザ穿刺装置は、前記繰返しのテンポを有する音が、メトロノーム音、機械スイッチのON/OFF音、およびキーボードをたたく音を含むものである。
【0017】
上記構成によれば、メトロノーム音、機械スイッチのON/OFF音、およびキーボードをたたく音などの繰返しのテンポがある音に使用者の意識を向けさせ、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作って穿刺するので、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0018】
また、本発明に係るレーザ穿刺装置は、前記周期音発生手段が、音質または周期が異なる複数種類の周期音を発生させ、穿刺ごとに、発生させる周期音の種類をランダムに変更するものである。
【0019】
上記構成によれば、音質または周期が異なる複数種類の周期音がランダムに変更されるので、使用者が周囲音に慣れることがなく、穿刺から意識をそらせるので、レーザ穿刺装置を使い続けた場合であっても、穿刺時の痛みを軽減する効果を維持できる。
【0020】
また、本発明に係るレーザ穿刺装置は、前記周期音の発生から穿刺までの時間が、穿刺ごとにランダムに変更されるものである。
【0021】
上記構成によれば、周期音の発生から穿刺までの時間がランダムに変更されるので、使用者がレーザ穿刺のタイミングを予測することができず、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0022】
また、本発明に係るレーザ穿刺方法は、皮膚にレーザ光を照射することにより穿刺を行なうレーザ穿刺方法であって、音質または周期が異なる複数種類の周期音から、所定の周期音をランダムに選択して発生させるステップと、所定の周期音の発生からランダム時間の経過後に穿刺を行なうステップとを有する。
【0023】
上記構成によれば、音質または周期が異なる複数種類の周期音がランダムに変更されるので、使用者が周囲音に慣れることがなく、また、周期音の発生から穿刺までの時間がランダムに変更されるので、使用者がレーザ穿刺のタイミングを予測することができず、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、周期音を発生させることで使用者の意識をそらし、穿刺の瞬間を意識させないことで、痛みを感じる閾値レベルが低い状態を作り、この状態でレーザ穿刺を行なうため、穿刺時の痛みを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、本発明に至るまでの検討内容について説明する。発明者は、採血時の痛みについて検討した結果、採血のための人の皮膚への穿刺はその手段が直接的な針であれ、間接的なレーザ光であれ、生体との相互作用がある以上、作用に対する反作用の反応が生体に与えられ、また痛みの感覚機構が、痛みを検知する真皮の表皮側の自由神経終末への刺激による神経反応であり、痛みの感覚は神経反応量が痛み検知しきい値以上で感じることを見出した。
【0026】
すなわち、痛みの少ない穿刺を実現するには、神経反応量が痛み検知しきい値以下になるようにするか、痛み検知しきい値を十分高くする手段が考えられる。神経反応量を小さくするためには、自由神経終末がない場所に、他の自由神経終末に掛からないように穿刺を行えばいいのであるが、一般的な採血場所である指先は自由神経終末の密度が高く、これを避けることは容易ではない。
【0027】
ところで、痛み検知しきい値は、外部からある程度制御可能であることが判明した。すなわち、痛み検知しきい値を下げる働きは、人の刺激への意識によって変化することを見出した。意識は、穿刺のタイミング以外に意識を集中させることで下げることが出来る。
【0028】
具体的には、ポンプの動作音やエンジン音などの周期音を聞かせながらレーザ穿刺装置を使用させると、穿刺のタイミング以外の周期音に使用者の意識が集中し、レーザ穿刺時の刺激による痛みへの感覚が低下することを発見した。
【0029】
なお、周期音は何種類か用意し都度ランダムに変更すると良い。また、周期音の発生からレーザ穿刺までのタイミングを都度ランダムに変更すると良い。これは、いつも同じ周期音を聞いているとその音に慣れてしまい、使用者の意識を周期音に集中できなくなるためであり、レーザ穿刺までのタイミングについてもいつも同じであると使用者が無意識にレーザ穿刺のタイミングを意識してしまうからである。
【0030】
図1は、本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1の概略図である。レーザ穿刺装置1は、本体2と動作電源を含むレーザ発振器9、集光レンズ12、穿刺キャップ7、制御基板11、電池10、動作スイッチ5、設定ボタン4、ディスプレー3、およびスピーカ17から構成され、電池10と制御基板11およびレーザ発振器9、制御基板11とレーザ発振器9、設定ボタン4、ディスプレー3、動作スイッチ5およびスピーカ17は電気的および信号的に接続されている。スピーカー17は、後述するように、内部で生成された制御信号に基づいて周期音を発生させる。
【0031】
図2は、本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1の動作フローチャートである。フローチャートに従って動作を説明する。まず使用者が動作スイッチ5を押すと(ステップS11)、レーザ穿刺装置1が始動を始める。次に、使用者はレーザ穿刺条件などの条件を設定ボタン4で設定する(ステップS12)。
【0032】
設定後、使用者は穿刺箇所である指を穿刺キャップ7に押し付ける。この際、穿刺キャップ7を交換することもあり得る(ステップS13)。次に、使用者が動作スイッチ5をもう一回押すと(ステップS14)、周期音がスピーカ17から鳴り始める(ステップS17)と共に、レーザ発振器9の動作電源がスタンバイ状態となる(ステップS15)。
【0033】
次に、あるタイミングでレーザ発振器9はレーザパルス光を発振し、発振されたレーザ光は集光レンズ12で集光され、中空の穿刺キャップ7内でそのビーム径を細くしながら、使用者の指の皮膚に集光されレーザ光が皮膚に吸収され、皮膚が加熱・蒸発することで穿刺を行なう(ステップS16)。
【0034】
穿刺により皮膚の表皮と真皮のごく表面が蒸発し、真皮の例えば真皮乳頭内の毛細血管が損傷し血液が滲み出し、穿刺された孔を通って血液が皮膚の表面に染み出す。レーザ穿刺後ある一定時間の後、周期音は消える(ステップS18)。
【0035】
本実施形態のレーザ穿刺装置1によれば、使用者は周期音に意識が集中するのでレーザ穿刺のタイミングを待ち構えることが出来ず、痛みの感覚のしきい値が低い状態でレーザ穿刺を行い、痛みを軽減することが出来る。
【0036】
また、周期音は数種類あり、かつ周期音の発生(ステップS17)からレーザ穿刺(ステップS16)のタイミングが都度ランダムに変更されるので、この周期音やタイミングに慣れることなく意識をレーザ穿刺以外に集中させることが出来る。
【0037】
図3は、本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1で使用する周期音の具体例を示す図である。ここで周期音とは、ポンプやエンジン音など単調に繰り返される音や、メトロノーム音など繰返しのテンポがある範囲の音を意味する。
【0038】
図3(a)は、ポンプやエンジン音など単調に繰り返される音の強さを示す図である。単調に繰り返される音は、その中心周波数が20〜100Hzである低周波音であり、更に望ましくは40〜70Hzである。これにより、使用者に不快感を与えることなくその意識を音に向かわせることが可能となる。
【0039】
図3(b)は、メトロノーム音など繰返しのテンポがある範囲の音の強さを示す図である。繰返しのテンポがある音には、他に機械スイッチのON/OFF音や、キーボードをたたく音などがある。繰返しのテンポは、メトロノームの目盛り(1分間に何拍かを示す)で表現するならば60〜208の範囲であり、更に望ましくは120〜180である。これにより、使用者にイライラ感を与えることなくその意識をテンポに向かわせることが可能となる。
【0040】
図4は、本実施形態のレーザ穿刺装置1の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、レーザ穿刺装置1には、穿刺手段であるレーザ発振器9と、ディスプレー3と、動作スイッチ5と、設定ボタン4と、CPU21と、CPU21に周囲音処理を行わせるためのプログラム19および周期音情報20を格納するメモリ18と、周期音を発生するための周期音処理部22と、音源であるスピーカ17とが設けられている。
【0041】
メモリ18には周期音情報20として、ポンプやエンジン音など単調に繰り返される音、メトロノーム音など繰返しのテンポがある音等の複数の周期音情報が格納されている。CPU21は、メモリ18に格納されたプログラム19に従って、設定ボタン4からレーザ穿刺条件などが設定された後に動作スイッチ5が押されると、ランダム関数に従って発生させたランダム値に対応する所定の周期音情報20をメモリ18から読み出し、周期音処理部22に転送して、スピーカ17から所定の周期音を発生させる。
【0042】
その後、CPU21は、ランダム関数に従って発生させたランダム時間の経過後、レーザ発振器9からレーザパルス光を皮膚に照射させ穿刺を行なう。このように、本実施形態のレーザ穿刺装置1では、穿刺時にランダムな周期音が発生し、かつ周期音の発生からレーザ穿刺のタイミングがランダムに変更されるので、使用者の意識を穿刺からそらせ、またレーザ穿刺のタイミングを待ち構えることを困難にして、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0043】
図5は、本発明の実施形態のレーザ穿刺装置1における穿刺キャップ7の概略図である。穿刺キャップ7は、中空体13をベースとした形状であり、種々のプラスチック材料が利用可能であり、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PPB)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂などである。望ましくは、プラスチック表面のゼータ電位が低い材料が良い。
【0044】
本体側の開口には集光レンズ保護フィルム6が装着されている。この集光レンズ保護フィルム6は、レーザ穿刺時に皮膚から蒸発した組織片が集光レンズ12に付着して集光レンズ12を汚染するのを防ぐ役割がある。集光レンズ保護フィルム6の基材には、ナイロン、ポリエステル、ポリイミド、フッ素系、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン等が利用可能である。
【0045】
人の皮膚(指など)が当たる部分である開口にも穿刺フィルム8が設けられており、基材には、ナイロン、ポリエステル、ポリイミド、フッ素系、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン等が利用可能である。
【0046】
次に、動作について説明する。まず使用者が動作スイッチ5を押すとレーザ穿刺装置1が始動を始める。次に使用者は、レーザ穿刺装置1の動作条件を設定ボタン4を使用して入力する。入力後、使用者は穿刺キャップ7を本体2に挿入し、穿刺箇所である指を穿刺キャップ7に押し付ける。
【0047】
準備完了後、ディスプレー3にスタンバイが表示され、使用者が動作スイッチ5をもう一回押すと、周期音がスピーカ17から鳴り始めるとともに、レーザ発振器9はレーザパルス光を発振し、発振されたレーザ光は集光レンズ12で集光され、中空の穿刺キャップ7内でそのビーム径を細くしながら、使用者の指の皮膚に集光されレーザ光が皮膚に吸収され、皮膚が加熱・蒸発することで穿刺を行う。穿刺により皮膚の表皮と真皮のごく表面が蒸発し、真皮の例えば真皮乳頭内の毛細血管が損傷し血液が滲み出し、穿刺された孔を通って血液が皮膚の表面に染み出す。
【0048】
このとき、集光レンズ保護フィルム6には孔は開かず、他方、皮膚が押し当てられた方の穿刺フィルム8はレーザ光を吸収して孔が開き、この孔を通じて先のレーザ穿刺が行われる。レーザ穿刺時に皮膚の蒸発によって発生したプルームは穿刺フィルム8の孔を通して中空体13の内部に拡散する。
【0049】
プルーム内には、皮膚の組織を構成するタンパク質の構成要素であるアミノ酸が分解した揮発性物質が漂っており、レーザ穿孔時の主たる対象である角質層はタンパク質ケラチンの繊維状組織からなり、比較的多く含まれるアミノ酸シスチンの硫黄部分の結合であるシスチン結合により繊維間が結合している。これらアミノ酸が蒸発時に分解することで揮発性の硫黄化合物や窒素化合物が発生し、特に硫黄化合物を人は異臭と感じる。
【0050】
そこで、穿刺キャップ7の内部はプルームの異臭成分に対する消臭機能を持たせてある。主な硫黄化合物としては、硫化水素やメチルメルカプタンがあげられる。硫化水素は化学吸着剤によって脱臭が可能であり、マンガン、銅、コバルトの複合酸化物を用いることができる。なお、マンガン、銅、亜鉛、コバルトのいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物あるいはその混合物とすることにより、同様に硫化水素に対する強力な化学吸着作用を有する吸着剤とすることができる。
【0051】
化学吸着剤は、硫化水素を最終的に硫酸塩の形や硫黄単体として化学吸着するものである。また、同じ硫黄系臭気であるメチルメルカプタンを、より閾値の高い二硫化ジメチルに転化する媒作用も有する。この作用のため、脱臭されたのと同等の効果を感じうることができる。
【0052】
さらに、物理吸着剤を担持させておくことにより、二硫化ジメチルを物理吸着作用により除去できるため硫黄化合物を全般的に除去することが可能となる。物理吸着剤として、シリカ分の多い疎水性ゼオライトを用いることができ、その他ゼオライト、セピオライト、シリカ、アルミナ等を用いても同様な効果が得られる。
【0053】
これら化学吸着剤と物理吸着剤を、集光レンズ保護フィルム6、穿刺フィルム8または穿刺キャップ7の基材に添加する。あるいは、集光レンズ保護フィルム6、穿刺フィルム8または穿刺キャップ7の内部に塗布することも可能である。
【0054】
また、穿刺フィルム8は使用者の指と接触するので抗菌性を持たせると好適である。抗菌性は、基材への塗布や練り込みで実施できる。抗菌剤としては、Ag、Cu、Zn、Ni、Coやその合金、TiO2、ZnO、WO3等があげられる。なお、抗菌性は穿刺フィルム8に限らず、穿刺キャップ7の中空体13または集光レンズ保護フィルム6の外表面に施すことも有益である。
【0055】
図6(a)は、本発明の実施形態のレーザ穿刺装置1における他の穿刺キャップ14の概略図である。この穿刺キャップ14は、皮膚が押し当てられる側の開口径が突起15により制御されている。突起15により、最適な皮膚の押し当てを実現する径とその深さに設定されており、確実な採血を可能にしている。
【0056】
図6(b)は、レーザ穿孔時のレーザ穿孔箇所の拡大図である。使用者は、穿刺キャップ14を皮膚16のレーザ穿孔予定箇所に当てる。この時、突起15が穿刺フィルム8より1〜3ミリメートルほど突出しており、この突起15が皮膚16を押すようになる。これにより、レーザ穿孔予定箇所の周囲を刺激することになる。このため、レーザ穿孔時に使用者が感じる刺激を緩和することが可能となる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のレーザ穿刺装置1によれば、周期的なダミー音を生成しこれに使用者の意識をそらし、穿刺タイミングを意識させないことで、痛みを感じる閾値レベルが低い状態でレーザ穿刺を行なうことができる。
【0058】
また、穿刺時にランダムな周期音が発生し、かつ周期音の発生からレーザ穿刺のタイミングがランダムに変更されるので、使用者の意識を穿刺からそらし、またレーザ穿刺のタイミングを待ち構えることを困難にして、穿刺時の痛みを軽減することができる。
【0059】
また、本実施形態のレーザ穿刺装置1によれば、穿刺フィルム8、中空体13および集光レンズ保護フィルム6で閉空間を形成でき、レーザ光で穿刺フィルム8に孔を開けこの孔越しに皮膚にレーザ穿刺することで、発生したプルームをこの閉空間に閉じ込めることができる。
【0060】
さらに、穿刺フィルム8、中空体13および集光レンズ保護フィルム6に設けられた消臭機能により異臭を無臭化でき、抗菌機能も設けられているので感染の恐れがない。さらに、この穿刺キャップ7,14は交換可能なので、使用毎に交換することで感染を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、レーザ穿刺の瞬間を意識させず、使用者の痛みへの検知レベルが低い状態を作り、穿刺時の痛みを低減させることができるレーザ穿刺装置およびレーザ穿刺方法として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1の概略図
【図2】本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1の動作フローチャート
【図3】本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1で使用する周期音の具体例を示す図
【図4】本発明の実施形態にかかるレーザ穿刺装置1のブロック図
【図5】本発明の実施形態のレーザ穿刺装置1における穿刺キャップ7の概略図
【図6】本発明の実施形態のレーザ穿刺装置1における他の穿刺キャップ14の概略図
【図7】従来のレーザ穿刺装置の操作フローチャートを示す図
【符号の説明】
【0063】
1 レーザ穿刺装置
2 本体
3 ディスプレー
4 設定ボタン
5 動作スイッチ
6 集光レンズ保護フィルム
7,14 穿刺キャップ
8 穿刺フィルム
9 レーザ発振器
10 電池
11 制御基板
12 集光レンズ
13 中空体
15 突起
16 皮膚
17 スピーカ
18 メモリ
19 プログラム
20 周期音情報
21 CPU
22 周期音処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚にレーザ光を照射することにより穿刺を行なうレーザ穿刺装置であって、
周期音を発生させる周期音発生手段を備え、
周期音発生中に穿刺を行なうものであるレーザ穿刺装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザ穿刺装置であって、
前記周期音は、中心周波数が20〜100Hzの単調に繰り返される音であるものであるレーザ穿刺装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザ穿刺装置であって、
前記単調に繰り返される音は、ポンプの動作音、およびエンジン音を含むものであるレーザ穿刺装置。
【請求項4】
請求項1記載のレーザ穿刺装置であって、
前記周期音は、1分間に60〜208拍の繰返しのテンポを有する音であるレーザ穿刺装置。
【請求項5】
請求項4記載のレーザ穿刺装置であって、
前記繰返しのテンポを有する音は、メトロノーム音、機械スイッチのON/OFF音、およびキーボードをたたく音を含むものであるレーザ穿刺装置。
【請求項6】
請求項1記載のレーザ穿刺装置であって、
前記周期音発生手段は、音質または周期が異なる複数種類の周期音を発生させ、穿刺ごとに、発生させる周期音の種類をランダムに変更するものであるレーザ穿刺装置。
【請求項7】
請求項1記載のレーザ穿刺装置であって、
前記周期音の発生から穿刺までの時間が、穿刺ごとにランダムに変更されるものであるレーザ穿刺装置。
【請求項8】
皮膚にレーザ光を照射することにより穿刺を行なうレーザ穿刺方法であって、
音質または周期が異なる複数種類の周期音から、所定の周期音をランダムに選択して発生させるステップと、
所定の周期音の発生からランダム時間の経過後に穿刺を行なうステップとを有するレーザ穿刺方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−194348(P2008−194348A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34576(P2007−34576)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】