説明

レーザ血流計用プローブ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚組織内の毛細血管を流れる血液の流量を無侵襲で測定するレーザ血流計のためのプローブに関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚組織内の毛細血管を流れる血液の流量、すなわち、血流は皮膚の状態を表わす客観的な指標の1つとして重要である。血流を直接的に測定する装置の1つとして、レーザ血流計がある(例えば、鹿嶋ほか、レーザ血流計の特性、日本レーザ医学会誌、, No.1,3−7(1988)参照)。これは、皮膚組織内で散乱される光が組織内を流れる赤血球によりドップラーシフトを受けて周波数変調される現象を利用するもので、送光ファイバを介して皮膚面にレーザ光を照射し、皮膚組織内で散乱された光の一部を送光ファイバの近傍に配置した受光ファイバで受光し、フォトダイオードで電気信号に変換して解析することによって血流値を算出する。
【0003】このレーザ血流計のプローブは皮膚に接触する面に送光ファイバ及び受光ファイバが開口する構造を有している。そして、プローブを皮膚に接触させたときの接触圧力が強過ぎると毛細血管が圧迫されて血流値が変化するので、できるだけ接触面積が広くとられ、例えば両面テープ等を使用して皮膚に固定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】レーザ血流計では、送光ファイバと受光ファイバとの間隔を変えると強度分布の状態が変化するため、測定深度を変化させることができることが知られている(前掲の文献参照)。ところが、従来のレーザ血流計用プローブを用いて、特定の部位について、測定深度を変化させて血流を測定するためには、送光ファイバの開口部と受光ファイバの開口部との距離の異なるプローブを複数個用意し、それらを交換しながら測定しなければならない。そうすると、プローブを皮膚に装・脱着するごとに表在組織が変化したり、毛細血管に刺激が加わって、正確な血流の測定ができないという問題があった。
【0005】したがって本発明の目的は、皮膚に装着したままで送光ファイバと受光ファイバとの距離を変えて測定することのできるレーザ血流計用プローブを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なくとも3本の光ファイバと、測定対象に接触するための接触面を有し、該光ファイバの開口部が該接触面内で2つの開口部間の距離が互いに異なって開口するように、該光ファイバを固定する固定部材とを具備することを特徴とするレーザ血流計用プローブが提供される。
【0007】
【作用】例えば光ファイバの数が3であればその中から2つを取り出す組み合わせの数は3通りである。したがって、これら3通りの組み合わせにおける光ファイバの開口部間の距離が互いに異なるようにすれば、これらの中から2本の光ファイバを選び、一方が送光ファイバ、他方が受光ファイバとなるようにレーザ血流計と接続することにより、プローブを着脱することなく3通りの距離、すなわち3通りの測定深度で血流を測定することができる。光ファイバの数が4であれば6通りの測定深度について血流の測定が可能である。
【0008】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係るレーザ血流計用プローブを表わす図であり、(1)欄はその側面図、(2)欄はその平面図である。このレーザ血流計用プローブでは、4本の光ファイバ10,12,14及び16が樹脂18により固められ、皮膚と接触する面20において開口している。接触面20における光ファイバ間の距離は、(2)欄に示すように、光ファイバ10と12の間が0.3mm、10と14の間が0.9mm、10と16の間が1.4mm、12と14の間が0.7mm、12と16の間が1.2mm、14と16の間が0.5mmである。
【0009】したがって、例えば送光ファイバと受光ファイバとの距離0.9mmで血流を測定したいときは、光ファイバ10及び14のうち一方をレーザ血流計の送光側に接続し、他方を受光側に接続すれば良い。距離1.2mmで測定したいときは、光ファイバ12及び16のうち一方をレーザ血流計の送光側に接続し、他方を受光側に接続する。このようにレーザ血流計側で光ファイバの接続を変更するだけで送光ファイバと受光ファイバとの距離が変更され、プローブを皮膚から着脱する必要はない。
【0010】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、プローブを皮膚から着脱することなく、送光ファイバと受光ファイバとの距離を変えて血流の測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るレーザ血流計用プローブを表わす図である。
【符号の説明】
10,12,14,16…光ファイバ
18…樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】 送光用としても受光用としても使用可能少なくとも3本の光ファイバと、測定対象に接触するための接触面を有し、該光ファイバの開口部が該接触面内で2つの開口部間の距離が互いに異なって開口するように、該光ファイバを固定する固定部材とを具備することを特徴とするレーザ血流計用プローブ。
【請求項2】 少なくとも3本の光ファイバと、測定対象に接触するための接触面を有し、該光ファイバの開口部が該接触面内で2つの開口部間の距離が互いに異なって開口するように、該光ファイバを2次元的な拡がりを有する配置で固定する固定部材とを具備することを特徴とするレーザ血流計用プローブ。

【請求項3】 前記光ファイバは送光用としても受光用
としても使用可能である請求項2記載のレーザ血流計用プローブ。
【請求項4】 少なくとも4本の光ファイバを具備する
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ血流計用プローブ。

【図1】
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【特許番号】特許第3290524号(P3290524)
【登録日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【発行日】平成14年6月10日(2002.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−299946
【出願日】平成5年11月30日(1993.11.30)
【公開番号】特開平7−151778
【公開日】平成7年6月16日(1995.6.16)
【審査請求日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−21035(JP,A)