レーザ装置
【課題】ベッドサイド等で装置を移動させる際に電源コードが邪魔にならない床置き式のレーザ装置を提供する。
【解決手段】本体に搭載した電池2と、少なくとも前記電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器11と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くレーザ光導波管とを備えた医療用レーザ装置であって、前記電池は本体底部に取り付けた電池収納部に収納したレーザ装置。
【解決手段】本体に搭載した電池2と、少なくとも前記電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器11と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くレーザ光導波管とを備えた医療用レーザ装置であって、前記電池は本体底部に取り付けた電池収納部に収納したレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源の電力供給源として電池を備えたレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医科や歯科分野において、患部組織の切開、蒸散、止血、凝固を目的とした数W〜数10Wクラスのレーザ手術装置が広く用いられているようになっている。
【0003】
従来の医療用レーザ装置について図面を用いて説明する。図3は、従来の医療用レーザ装置の概略構成を示す斜視図である。点線は医療用レーザ装置の内蔵物を示す。
【0004】
図3に示すように、従来の医療用レーザ装置は、商用電源より電力を入力する電源部101、レーザ発振器102、制御部103、操作・表示部104、レーザ光導光部105、本体ボディ106、ベース部107およびキャスタ108を設けている。
【0005】
電源部101は交流100Vの商用電源を直流に変換し、装置内部各ブロックへ給電する。操作・表示部104は、使用者がレーザ光出力や照射パターン等の照射条件や照射開始/停止を入力指示するためのインターフェースである。操作部104から入力された情報は、制御部103へ出力される。操作・制御部104の一部はフットペダル(図示せず)からなり、使用者が照射条件を設定し、照射待機状態にした後このフットペダルを踏むことでレーザ照射指令が発出される。
【0006】
制御部103は、使用者が操作・表示部104を用いて設定した照射条件でレーザ光照射されるよう、レーザ発信器102へ信号送出する。また制御部103は、操作・表示部104から入力され受け付けた情報を操作・表示部104に表示させる。操作・表示部104は本体装置上部のフロントパネルに備えられ、設定された照射条件や現在の照射状態をLED等で示す。
【0007】
レーザ発振器102は、例えばRF発振型の金属製封じ切り10W出力炭酸ガスレーザ管(レーザ波長10.6μm)であり、制御部103から送出されたパルス信号のデューティに応じてレーザ出力が調整される。レーザ光導光部105は、レーザ発振器102から出射されたレーザ光を術野まで効率よく導く光ファイバープローブである。
【0008】
これらを収納・搭載した筐体106はベース部107上に構成され、ベース部107に設けられたキャスタ108により、本装置全体が床面上を移動できるように構成されている。
【0009】
上述の図3に示したように、従来の医療用レーザ装置においては、電力の供給は、壁面等に設けられた商用電源コンセントに電源コードを接続して行われている。
【0010】
疼痛を緩和させる目的の微弱出力半導体レーザを用いた低消費電力型レーザ治療器では、電池を電源として搭載することも提案されていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら一方、患部組織の切開、蒸散、止血、凝固を目的とし数W以上のレーザ光出力を必要とするレーザ手術装置では、これまで全て商用電源を電力供給源としてきた。特にレーザの媒質として炭酸ガスを用いた炭酸ガスレーザ手術装置の場合、発振管を構成する共振器長が長いので、床置き式の縦長筐体となり、台座部の底面に取り付けられたキャスタで移動するといったデザインとなることが多い。これを、患者診療台ないし診療チェアーが数台並んでいる開業医院や歯科医院の場合、1人の医師が複数の患者治療を時分割にかけもちで行う。このような状況下でこの種の医療用レーザ装置を用いる場合、医師は個々の患者診療台ないし診察チェアーの近傍まで装置をその都度引きずり回した後に装置電源を再投入し、患者治療に供してきた。このような使用実態と、近年の大容量の2次電池(例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池)の実用化をふまえ、従来は商用電源を電力供給源としてきた床置き式のレーザ装置を電池で駆動することが実用的に可能となってきた。
【特許文献1】特開昭58−89243号公報(第2頁左上欄、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら床置き式のレーザ装置の場合、装置の安定性確保のため、十分な転倒角を実現する必要がある。従来のレーザ装置の場合、レーザ発振器や電源関連部材が比較的質量の重い構成部品であり、これらはなるべく低い位置に設置されることが望ましい。ここで、レーザ光導光部の操作性を重視すると、これは比較的上部に設置される。これに合わせてレーザ発振器は筐体内の比較的上方に設置されることが多い。また、スペースの限られた診療室内での設置占有面積を小さくするため、装置形状はできるだけ細くすることが望ましい。これらの項目はいずれも、転倒角が小さくなるように作用するため、筐体形状や重量物の配置を十分に検討する必要がある。この構成に電池を加える場合、電池も比較的質量の重い部材であるため、その設置位置や形状については十分に配慮する必要がある。
【0012】
本発明は前記課題を解決するもので、安定性を向上させる医療用レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために本発明の医療用レーザ装置は本体に搭載した電池と、少なくとも前記電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くレーザ光導光手段とを備えた医療用レーザ装置であって、前記電池は本体底部または本体底部近傍に取り付けたことにより、安定性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
以上の特徴により、本発明にかかる医療用レーザ装置は重心の位置が本体の下部にあることが可能となり、安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の電池を搭載した医療用レーザ装置の概略構成を示す斜視図である。点線は医療用レーザ装置の内蔵物を示す。
【0017】
筐体31に搭載した電池2と、前記電池から供給される電力によりレーザ発振する炭酸ガスレーザ発振器11と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御機能を備えた制御基板36と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くプローブ12と、前記電池を収納する電池収納部41と、本体を床置きする際に前記本体を支えるキャスタ34と、本体全体の電力を供給したり電池の充電を管理するする電源制御部21からなる。また電池収納部41は、さらに詳しくは電池収納部蓋42および電池ケース43から成っている。
【0018】
図1に記載の医療用レーザ装置の動作を以下に説明する。
【0019】
本レーザ装置1は、従来の医療用レーザ装置同様、一般の商用電源(AC100V)で動作するのに加え、内蔵の電池2だけでも動作できるようになっている。本体が電源ケーブル(図示せず)で商用電源に接続されている場合、電源制御部21が制御基板36やレーザ管11などに必要な電力を供給して、レーザ装置全体が動作する。また、このとき必要であれば、電源制御部21から電池2に充電電流が供給・充電される。また、商用電源が供給されていない場合は、電池2から電源制御部21に電力が供給され、レーザ装置全体を動作させる。このように構成されたレーザ装置において、電池2は、本体装置底部のキャスタ34により形成された空間に設けられた電池収納部41内に設置されている。
【0020】
ここで、本レーザ装置全体の質量は約30kgのうち電池2の質量は約4.5kgであり、約15%の割合を占める。よって、この電池2の設置場所はレーザ装置全体の重心の位置に大きな影響を及ぼす。特に床置き式の医療用レーザ装置の場合、先の従来例で述べたとおり、他の主な重量物のうちレーザ発振器11はレーザ装置の中の比較的上部に設置されるため、全体の重心が比較的高い位置になり、電池2の設置箇所がレーザ装置全体の重心位置に及ぼす影響は非常に大きい。
【0021】
そこで本実施例では、電池2を本体内の底部もしくはその近傍に設置することで、レーザ装置全体の重心位置をより下方に下げることができ、転倒角が向上した。ここで、本体底部近傍とは、少なくとも電源制御部21の重心よりも下方であり、できれば電源制御部21よりも下方であることが望ましい。なお、電源制御部21の中央より下部に接触するように電池2があってもよい。
【0022】
さらに、図1で説明したように、本体底部近傍は本体支え部に本体を略水平方向に移動可能にする複数のキャスタを備え、電池収納部は前記キャスタ間の空間に設置されている。このことにより、医療用レーザ装置の重心がさらに低くなり、安定性がより向上する。
【0023】
(実施の形態2)
図2では電池収納部41と底面と電池の配置について図示した。本実施の形態と直接関係のある底部を実線で、その周囲は点線で示した。
【0024】
電池収納部41の蓋42を取り外すと、中に電池ケース43がある。電池2はこの電池ケース43の中に予め収納されている。この図に示すとおり、キャスタ34によって形成される床面と電池収納部41の底面との間に前記電池収納部内の電池取り出しのために手が入る空間が確保できる。このことにより、電池の扱いが容易になり、電池の取り外し性能が向上した。さらに本図に示すとおり、電池収納部に収納した電池は横方向にスライドして取り出せる構造することにより、上記効果がさらに期待できる。
【0025】
(実施の形態3)
なお、上記のような構成とすることにより、以下の効果も得られる。
【0026】
電池が故障した際に漏れ出る電解液は、特にアルミと反応しガス等を発生しやすい。主な発熱源となるレーザ管11や電源制御部21には放熱性を良くするためアルミが使用されているが、電池をこれらアルミ使用部材よりも下方に設置することで、万一の電池故障時にも思わぬガス発生を招くリスクを低減できる。特に最底部、とりわけ底面よりも下に設置することで、このリスクはきわめて低くなる。
【0027】
また、電池2をそのまま電池収納部41に入れるのではなく、一度電池を鋼板製の電池ケース43に入れ、この電池ケース43ごと電池収納部41から出し入れをする。これにより、まず第1に電池2の外装の傷・破れを防止できる。第2に、電池交換時に電池に加わる衝撃を緩和することができる。第3に、外形寸法がばらつく電池2を外形寸法の決まった電池ケース43へ収納・固定することで、電池収納部41内での電池の遊びを低減することができる。第4に、電池ケースを鋼板など電池電解液と反応性の無い金属で形成することで、電池の温度ムラを改善することができる。これは、レーザ高出力の安定化にも繋がる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、転倒角が向上するため、操作者における利便性が向上されたレーザ装置として、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置の概略構成を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態2にかかる電池収納部を示す斜視図
【図3】従来の医療用レーザ装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 本体装置
2 電池
11 レーザ光源
12 プローブ
31 本体ボディ
32 操作パネル部
33 台座部
34 キャスタ
35 フットペダル
36 制御基板
37 レーザ管
21 電源制御部
41 電池収納部
42 電池収納部蓋
43 電池ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源の電力供給源として電池を備えたレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医科や歯科分野において、患部組織の切開、蒸散、止血、凝固を目的とした数W〜数10Wクラスのレーザ手術装置が広く用いられているようになっている。
【0003】
従来の医療用レーザ装置について図面を用いて説明する。図3は、従来の医療用レーザ装置の概略構成を示す斜視図である。点線は医療用レーザ装置の内蔵物を示す。
【0004】
図3に示すように、従来の医療用レーザ装置は、商用電源より電力を入力する電源部101、レーザ発振器102、制御部103、操作・表示部104、レーザ光導光部105、本体ボディ106、ベース部107およびキャスタ108を設けている。
【0005】
電源部101は交流100Vの商用電源を直流に変換し、装置内部各ブロックへ給電する。操作・表示部104は、使用者がレーザ光出力や照射パターン等の照射条件や照射開始/停止を入力指示するためのインターフェースである。操作部104から入力された情報は、制御部103へ出力される。操作・制御部104の一部はフットペダル(図示せず)からなり、使用者が照射条件を設定し、照射待機状態にした後このフットペダルを踏むことでレーザ照射指令が発出される。
【0006】
制御部103は、使用者が操作・表示部104を用いて設定した照射条件でレーザ光照射されるよう、レーザ発信器102へ信号送出する。また制御部103は、操作・表示部104から入力され受け付けた情報を操作・表示部104に表示させる。操作・表示部104は本体装置上部のフロントパネルに備えられ、設定された照射条件や現在の照射状態をLED等で示す。
【0007】
レーザ発振器102は、例えばRF発振型の金属製封じ切り10W出力炭酸ガスレーザ管(レーザ波長10.6μm)であり、制御部103から送出されたパルス信号のデューティに応じてレーザ出力が調整される。レーザ光導光部105は、レーザ発振器102から出射されたレーザ光を術野まで効率よく導く光ファイバープローブである。
【0008】
これらを収納・搭載した筐体106はベース部107上に構成され、ベース部107に設けられたキャスタ108により、本装置全体が床面上を移動できるように構成されている。
【0009】
上述の図3に示したように、従来の医療用レーザ装置においては、電力の供給は、壁面等に設けられた商用電源コンセントに電源コードを接続して行われている。
【0010】
疼痛を緩和させる目的の微弱出力半導体レーザを用いた低消費電力型レーザ治療器では、電池を電源として搭載することも提案されていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら一方、患部組織の切開、蒸散、止血、凝固を目的とし数W以上のレーザ光出力を必要とするレーザ手術装置では、これまで全て商用電源を電力供給源としてきた。特にレーザの媒質として炭酸ガスを用いた炭酸ガスレーザ手術装置の場合、発振管を構成する共振器長が長いので、床置き式の縦長筐体となり、台座部の底面に取り付けられたキャスタで移動するといったデザインとなることが多い。これを、患者診療台ないし診療チェアーが数台並んでいる開業医院や歯科医院の場合、1人の医師が複数の患者治療を時分割にかけもちで行う。このような状況下でこの種の医療用レーザ装置を用いる場合、医師は個々の患者診療台ないし診察チェアーの近傍まで装置をその都度引きずり回した後に装置電源を再投入し、患者治療に供してきた。このような使用実態と、近年の大容量の2次電池(例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池)の実用化をふまえ、従来は商用電源を電力供給源としてきた床置き式のレーザ装置を電池で駆動することが実用的に可能となってきた。
【特許文献1】特開昭58−89243号公報(第2頁左上欄、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら床置き式のレーザ装置の場合、装置の安定性確保のため、十分な転倒角を実現する必要がある。従来のレーザ装置の場合、レーザ発振器や電源関連部材が比較的質量の重い構成部品であり、これらはなるべく低い位置に設置されることが望ましい。ここで、レーザ光導光部の操作性を重視すると、これは比較的上部に設置される。これに合わせてレーザ発振器は筐体内の比較的上方に設置されることが多い。また、スペースの限られた診療室内での設置占有面積を小さくするため、装置形状はできるだけ細くすることが望ましい。これらの項目はいずれも、転倒角が小さくなるように作用するため、筐体形状や重量物の配置を十分に検討する必要がある。この構成に電池を加える場合、電池も比較的質量の重い部材であるため、その設置位置や形状については十分に配慮する必要がある。
【0012】
本発明は前記課題を解決するもので、安定性を向上させる医療用レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために本発明の医療用レーザ装置は本体に搭載した電池と、少なくとも前記電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くレーザ光導光手段とを備えた医療用レーザ装置であって、前記電池は本体底部または本体底部近傍に取り付けたことにより、安定性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
以上の特徴により、本発明にかかる医療用レーザ装置は重心の位置が本体の下部にあることが可能となり、安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の電池を搭載した医療用レーザ装置の概略構成を示す斜視図である。点線は医療用レーザ装置の内蔵物を示す。
【0017】
筐体31に搭載した電池2と、前記電池から供給される電力によりレーザ発振する炭酸ガスレーザ発振器11と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御機能を備えた制御基板36と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くプローブ12と、前記電池を収納する電池収納部41と、本体を床置きする際に前記本体を支えるキャスタ34と、本体全体の電力を供給したり電池の充電を管理するする電源制御部21からなる。また電池収納部41は、さらに詳しくは電池収納部蓋42および電池ケース43から成っている。
【0018】
図1に記載の医療用レーザ装置の動作を以下に説明する。
【0019】
本レーザ装置1は、従来の医療用レーザ装置同様、一般の商用電源(AC100V)で動作するのに加え、内蔵の電池2だけでも動作できるようになっている。本体が電源ケーブル(図示せず)で商用電源に接続されている場合、電源制御部21が制御基板36やレーザ管11などに必要な電力を供給して、レーザ装置全体が動作する。また、このとき必要であれば、電源制御部21から電池2に充電電流が供給・充電される。また、商用電源が供給されていない場合は、電池2から電源制御部21に電力が供給され、レーザ装置全体を動作させる。このように構成されたレーザ装置において、電池2は、本体装置底部のキャスタ34により形成された空間に設けられた電池収納部41内に設置されている。
【0020】
ここで、本レーザ装置全体の質量は約30kgのうち電池2の質量は約4.5kgであり、約15%の割合を占める。よって、この電池2の設置場所はレーザ装置全体の重心の位置に大きな影響を及ぼす。特に床置き式の医療用レーザ装置の場合、先の従来例で述べたとおり、他の主な重量物のうちレーザ発振器11はレーザ装置の中の比較的上部に設置されるため、全体の重心が比較的高い位置になり、電池2の設置箇所がレーザ装置全体の重心位置に及ぼす影響は非常に大きい。
【0021】
そこで本実施例では、電池2を本体内の底部もしくはその近傍に設置することで、レーザ装置全体の重心位置をより下方に下げることができ、転倒角が向上した。ここで、本体底部近傍とは、少なくとも電源制御部21の重心よりも下方であり、できれば電源制御部21よりも下方であることが望ましい。なお、電源制御部21の中央より下部に接触するように電池2があってもよい。
【0022】
さらに、図1で説明したように、本体底部近傍は本体支え部に本体を略水平方向に移動可能にする複数のキャスタを備え、電池収納部は前記キャスタ間の空間に設置されている。このことにより、医療用レーザ装置の重心がさらに低くなり、安定性がより向上する。
【0023】
(実施の形態2)
図2では電池収納部41と底面と電池の配置について図示した。本実施の形態と直接関係のある底部を実線で、その周囲は点線で示した。
【0024】
電池収納部41の蓋42を取り外すと、中に電池ケース43がある。電池2はこの電池ケース43の中に予め収納されている。この図に示すとおり、キャスタ34によって形成される床面と電池収納部41の底面との間に前記電池収納部内の電池取り出しのために手が入る空間が確保できる。このことにより、電池の扱いが容易になり、電池の取り外し性能が向上した。さらに本図に示すとおり、電池収納部に収納した電池は横方向にスライドして取り出せる構造することにより、上記効果がさらに期待できる。
【0025】
(実施の形態3)
なお、上記のような構成とすることにより、以下の効果も得られる。
【0026】
電池が故障した際に漏れ出る電解液は、特にアルミと反応しガス等を発生しやすい。主な発熱源となるレーザ管11や電源制御部21には放熱性を良くするためアルミが使用されているが、電池をこれらアルミ使用部材よりも下方に設置することで、万一の電池故障時にも思わぬガス発生を招くリスクを低減できる。特に最底部、とりわけ底面よりも下に設置することで、このリスクはきわめて低くなる。
【0027】
また、電池2をそのまま電池収納部41に入れるのではなく、一度電池を鋼板製の電池ケース43に入れ、この電池ケース43ごと電池収納部41から出し入れをする。これにより、まず第1に電池2の外装の傷・破れを防止できる。第2に、電池交換時に電池に加わる衝撃を緩和することができる。第3に、外形寸法がばらつく電池2を外形寸法の決まった電池ケース43へ収納・固定することで、電池収納部41内での電池の遊びを低減することができる。第4に、電池ケースを鋼板など電池電解液と反応性の無い金属で形成することで、電池の温度ムラを改善することができる。これは、レーザ高出力の安定化にも繋がる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、転倒角が向上するため、操作者における利便性が向上されたレーザ装置として、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置の概略構成を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態2にかかる電池収納部を示す斜視図
【図3】従来の医療用レーザ装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 本体装置
2 電池
11 レーザ光源
12 プローブ
31 本体ボディ
32 操作パネル部
33 台座部
34 キャスタ
35 フットペダル
36 制御基板
37 レーザ管
21 電源制御部
41 電池収納部
42 電池収納部蓋
43 電池ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に搭載した電池と、少なくとも前記電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くレーザ光導光手段とを備えた医療用レーザ装置であって、前記電池は本体底部または本体底部近傍に設置された電池収納部に収納されているレーザ装置。
【請求項2】
本体を床置きする際に前記本体を支える本体支え部を備え、電池は前記本体支え部によって形成される床面と前記本体底部との空間に前記本体底部に設置された電池収納部に収納した請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
本体底部近傍は本体支え部に本体を略水平方向に移動可能にする複数のキャスタを備え、電池収納部は前記キャスタ間の空間に設置されていることを特徴とする請求項2記載のレーザ装置。
【請求項4】
本体支え部によって形成される床面と電池収納部の底面との間に前記電池収納部内の電池取り出しのために手が入る空間を設けた請求項2または3記載のレーザ装置。
【請求項5】
電池収納部に収納した電池はスライドして取り出せる構造とした請求項1から4のいずれかに記載のレーザ装置。
【請求項1】
本体に搭載した電池と、少なくとも前記電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザ光の出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって制御されて出力するレーザ光を患者患部に入射するよう導くレーザ光導光手段とを備えた医療用レーザ装置であって、前記電池は本体底部または本体底部近傍に設置された電池収納部に収納されているレーザ装置。
【請求項2】
本体を床置きする際に前記本体を支える本体支え部を備え、電池は前記本体支え部によって形成される床面と前記本体底部との空間に前記本体底部に設置された電池収納部に収納した請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
本体底部近傍は本体支え部に本体を略水平方向に移動可能にする複数のキャスタを備え、電池収納部は前記キャスタ間の空間に設置されていることを特徴とする請求項2記載のレーザ装置。
【請求項4】
本体支え部によって形成される床面と電池収納部の底面との間に前記電池収納部内の電池取り出しのために手が入る空間を設けた請求項2または3記載のレーザ装置。
【請求項5】
電池収納部に収納した電池はスライドして取り出せる構造とした請求項1から4のいずれかに記載のレーザ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−105157(P2007−105157A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297528(P2005−297528)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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