説明

レーザ装置

【課題】 レーザ素子の端面への導電部材の這い上がりが抑制され、且つ、放熱性に優れたレーザ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板10と、該基板10上に設けられた導電部材11と、該導電部材11上に設けられた光導波路領域20aを有するレーザ素子20と、を備えるレーザ装置100である。導電部材11は、導電部材11の端部に設けられ、且つ、レーザ素子20よりも幅が狭い幅狭部11aと、幅狭部11aよりも幅が広い幅広部11bと、を有し、幅狭部11a及び幅広部11bは、光導波路領域20aの直下に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にレーザ素子が配置されたレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ装置として、導電部材が形成された基板上にレーザ素子が固定されたものが用いられている。導電部材は、ろう材等のレーザ素子を接着可能な部材であり、導電部材を介してレーザ素子が基板にダイボンドされる。しかし、レーザ素子をダイボンドする際に、導電部材がレーザ素子の端面に這い上がることによって、リークが発生したり出射光が遮られたりするという問題があった。
【0003】
そこで、図10に示すように、破線で示したレーザチップ51が、それよりも小さい面積のろう材53を介してサブマウント52にダイボンドされた半導体レーザ装置が提案されている(例えば特許文献1)。これによって、ろう材53がレーザチップ51の外周よりはみ出し這い上がることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−284098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている半導体レーザ装置のように導電部材をレーザ素子よりも小さくすると、導電部材とレーザ素子との接着面積が小さく、十分な放熱性を得ることができない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、導電部材のレーザ素子の端面への這い上がりが抑制され、且つ、放熱性に優れたレーザ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るレーザ装置は、基板と、基板上に設けられた導電部材と、導電部材上に設けられた光導波路領域を有するレーザ素子と、を備えるレーザ装置である。導電部材は、導電部材の端部に設けられ、且つ、レーザ素子よりも幅が狭い幅狭部と、幅狭部よりも幅が広い幅広部と、を有し、幅狭部及び幅広部は、光導波路領域の直下に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、幅狭部と幅広部とを有する導電部材を備えることで、導電部材のレーザ素子の端面への這い上がりを抑制でき、且つ、放熱性に優れたレーザ装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ装置の構造を説明するための概略平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係るレーザ装置の導電部材の構造を説明するための概略平面図である。
【図3】図3は、図1のA−A線における概略断面図である。
【図4】図4は、導電部材の一例を示す一部拡大図である。
【図5】図5は、導電部材の一例を示す一部拡大図である。
【図6】図6は、導電部材の一例を示す一部拡大図である。
【図7】図7は、導電部材の一例を示す一部拡大図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係るレーザ装置の構造を説明するための概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3に係るレーザ装置の構造を説明するための概略平面図である。
【図10】図10は、従来のレーザ装置の構造を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本件発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのレーザ装置を例示するものであって、本発明はレーザ装置を以下のものに特定しない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0011】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るレーザ装置100を上側から見た概略平面図であり、図2は、レーザ装置100の導電部材11の形状を示すためのものである。図1に示すように、レーザ装置100は、基板10と、その上に設けられた導電部材11と、その上に設けられたレーザ素子20と、を有する。レーザ素子20は、光導波路領域20aが導電部材11上に位置するように設けられている。なお、説明の便宜上、図1では光導波路領域20aを破線で示している。
【0012】
図2に示すように、基板10の表面には金属層10aが設けられており、その上に設けられた導電部材11は、レーザ素子20よりも幅が狭い幅狭部11aと、幅狭部11aよりも幅が広い幅広部11bと、を有する。幅狭部11aと幅広部11bは、光導波路領域20aの直下に設けられている。本明細書において、幅狭部11a及び幅広部11bの幅とは、光導波路領域20aの延伸方向に垂直をなす方向の幅を意味する。なお、図2では、理解を容易にするためレーザ素子20及び光導波路領域20aを破線で示している。
【0013】
導電部材11の一端側が幅狭部11aであることで、レーザ素子20の端面側における導電部材11の量を軽減でき、レーザ素子20の端面への導電部材11の這い上がりを軽減することができる。さらには、幅狭部11aのみでなく幅広部11bも有することで、導電部材11の面積を大きくでき、放熱性を向上させることができる。このように、幅狭部11aと幅広部11bとを有する導電部材11を設けることで、レーザ素子20端面への導電部材11の這い上がりが抑制でき、且つ、放熱性に優れたレーザ装置100とすることができる。
【0014】
以下、各部材について詳述する。
【0015】
(基板10)
基板10は、レーザ素子20を固定するサブマウントとして用いられる。その材料としては、セラミックス、金属又は半導体等の熱伝導性の高い部材(例えば、AlN、CuW、ダイヤモンド、SiC)が挙げられる。基板10の表面には金属層10aを設けてもよい。金属層10aの表面には、例えば金属ワイヤがボンディングされ、外部電源と接続される。導電部材11は接着用の部材であるため軟らかく、ワイヤボンディングに適さない。このため、特に基板10が絶縁性である場合には、金属層10aを設け、この金属層10aにワイヤボンディングすることが好ましい。金属層10aを設ける場合、導電部材11は多層構造とし、接着層(例えばAu合金層)の下に接着層の材料の拡散を防止可能な材料を含有させた拡散防止層(例えばPt含有層)を設けることが好ましい。これによって、接着層の金属層10aへの拡散を防止することができ、また、接着層の形成領域外への流出を防止することができる。基板10が金属である場合にも同様に、このような拡散防止層を設けることが好ましい。
【0016】
(導電部材11)
導電部材11は、基板10の上面に設けられ、レーザ素子20と接合される。導電部材11は、幅狭部11aと幅広部11bとを有する。その材料としては、レーザ素子20の電極24と接着可能である導電性の部材を選択できる。例えば、Ni層、Au層、Pt層、Au層の順に積層された電極24に対して、導電部材11の最表面をAuを含む合金層(例えばAu−Sn合金)とし、この導電部材11上に電極24を載置し加熱することで、電極24のAu層と導電部材11のAu合金層とを合金化し、接合することができる。なお、電極24のうち合金化されない層(上述の例ではNi層〜Pt層)は、接合後も接合前と同様の形状で残存する。導電部材11は、Au合金層の下に、基板10との密着性が良好な材料等を含む下地層を設けることが好ましい。
【0017】
導電部材11の膜厚は、例えば2μm〜5μm程度とすることができる。一例として、電極24の膜厚が約1μmであり半導体層22の膜厚が約2〜3μmである場合に、金属層10a上に、Pt層とAu−Sn合金層とをこの順序で積層し、約3μmのAu−Sn合金層を含む導電部材11を形成する。このような導電部材11は、レーザ素子20の接着後、レーザ素子20直下における厚みが接着前の半分程度となる。レーザ素子20の共振器長方向における導電部材11の長さは、少なくともレーザ素子20と同じ長さとすることが好ましい。さらに好ましくは、レーザ素子20よりも長くする。また、幅狭部11aや幅広部11bは、導電部材11そのものをこの形状で形成したものであることが好ましい。例えば、導電部材11の端部の一部を絶縁膜で被覆し、見かけ上は幅の狭い部分を形成したとしても、レーザ素子20接着時の加熱によって絶縁膜下の導電部材11が絶縁膜の外へと流出するため、レーザ素子20端面への這い上がり抑制効果は小さい。
【0018】
(幅狭部11a)
幅狭部11aは、図2に示すように、導電部材11の光導波路領域20a延伸方向における端部に配置され、レーザ素子20の端面に最も近い位置に配置される。ここで、各部材の幅(光導波路領域20aの延伸方向と直交する方向における幅)および長さ(光導波路領域20aの延伸方向に沿った長さ)について、図2および図3を用いて説明する。図3は、図1のA−A線における概略断面図であり、つまり、幅狭部11aを横断する位置で切断した概略断面図である。幅狭部11aの幅Wはレーザ素子20の幅Wよりも狭い。さらには、幅狭部11aの幅Wはレーザ素子20の電極24の幅Wよりも狭いことが好ましく、より好ましくは、幅狭部11aの幅Wを電極24の幅Wの2分の1以下、さらに好ましくは3分の1以下とする。これによって、導電部材11の這い上がりをさらに抑制することができる。特にレーザ素子20をフェースダウン実装する場合に、このような範囲とすることが好ましい。また、レーザ素子20を安定した状態で接合するためには、図2に示すように幅狭部11aの長さLを幅広部11bの長さLよりも短くすることが好ましい。また、幅狭部11aの長さLは、20μm以上が好ましく、50μm以上がさらに好ましい。さらに幅狭部11aをレーザ素子実装する際の認識パターンとして利用する場合には、その長さLを100μm以下とすることが好ましい。
【0019】
図2に示すように、幅狭部11aは、基板10の一端に接して設けられることが好ましい。これによって、導電部材11を基板10の一端まで形成することができ、レーザ素子20と導電部材11との接続面積を増大でき、放熱性を向上させることができる。特に、レーザ素子20の端面が基板10の一端とほぼ一致するか、もしくはそれよりも突出して配置される場合に、放熱性向上の効果が大きい。なお、導電部材11として用いられる金属は、ブレード等によって切断されてウエハ状態から個々の基板10に個片化される際に切断方向やブレードの回転方向に沿ってバリが発生する。しかし、幅狭部11であれば、バリが発生しても導電部材11の元々の量が少ないので、導電部材11のレーザ素子20の端面への這い上がりを抑制することができる。
【0020】
幅狭部11aは、幅広部11bへ向かって拡がる領域を有してもよい。幅狭部11aは、幅広部11bへ向かって階段状またはテーパー状に拡がった形状とすることもできる。このような形状とすることで、後述するレーザ素子20を接合する際の導電部材11の幅狭部11aから幅広部11bへの移動が容易になるので、導電部材11のレーザ素子20端面への這い上がりをより抑制することができる。
【0021】
具体例を図4〜図7に示す。図4〜図7は、幅狭部11aと幅広部11bの一部を拡大した概略平面図である。なお、図4〜図7における一点鎖線は、幅狭部11aと幅広部11bとの境界を説明するための仮想線である。図4は、幅狭部11aが幅広部11bへ向かって階段状に拡がった形状である。図5は、幅狭部11aが幅広部11bへ向かってテーパー状に拡がった形状である。図6は、幅狭部11aの幅広部11b側の一部が、幅広部11bへ向かってテーパー状に拡がった形状である。図7は、幅狭部11aが幅広部11bへ向かってテーパー状に拡がった形状であり、さらに幅狭部11aから連続する幅広部11bの一部も同様にテーパー状に拡がった形状である。このように、幅広部11bの幅狭部11a側の一部をテーパー状や階段状とすることもできる。図7において、レーザ素子20(破線で示す)よりも幅の狭い部分が幅狭部11aであり、レーザ素子20よりも幅の広い部分が幅広部11bである。また、導電部材11は、幅狭部11aが設けられた導電部材11端部において、幅狭部11aを挟むように幅広部11bから延びた突出部や島状部などを有してもよい。これらは幅狭部11aから離間して設けられる。好ましくは、導電部材11の端部には幅狭部11aのみを配置する。
【0022】
(幅広部11b)
図2に示すように、幅広部11bの幅Wは幅狭部11aの幅Wよりも大きい。これによって、放熱性を向上させることができる。幅広部11bは、幅狭部11aから連続して設けられることが好ましい。幅狭部11aと連続する幅広部11bを設けることで、放熱性だけでなく、レーザ素子20を実装する際に、余分な導電部材11を幅狭部11aから幅広部11bへ移動させることができる。つまり、ダイボンド時の表面張力によって形成領域に留まっている導電部材11は、表面張力を超えればレーザ素子20の側面へ這い上がるが、幅広部11bがあれば、幅狭部11aにおいて余分となった導電部材11はレーザ素子20側面への這い上がりよりも幅広部11bへの移動を優先する。これによって、導電部材11を基板10の端部に接して配置した際の、導電部材11のレーザ素子20の側面、特に光出射端面や光反射端面への這い上がりを抑制することができるので、基板10の端部においても光導波路領域20aの直下に導電部材11を配置することができ、放熱性を向上させることができる。
【0023】
また、幅広部11bの幅Wをレーザ素子20の電極24の幅Wよりも広くすることで、レーザ素子20を安定した状態で接合することができる。さらに好ましくは、幅広部11bの幅Wを電極24の幅Wの1.5倍以上とし、より好ましくは2倍以上とする。さらには、幅広部11bの幅Wをレーザ素子20の幅Wよりも広くすることで、余分な導電部材11をレーザ素子20の外側の幅広部11bに押し出すことができるので、レーザ素子20側面への這い上がりをさらに抑制することができる。押し出された導電部材11は、レーザ素子20の外側の幅広部11bにおいて表面張力による盛り上がり部を形成するので、レーザ素子20の側面へ這い上がり難い。
【0024】
また、図1に示すように、基板10において、レーザ素子20の光反射端面側の導電部材11が幅広部11bで構成されている場合は、導電部材11のレーザ素子20側面への這い上がり抑制のため、基板10の他端と幅広部11bとを離間して配置することが好ましい。幅広部11bは、レーザ素子20の光反射端面20cと一致する位置か、それよりも基板10の他端側に近い位置まで設けられていることが好ましい。これによって、レーザ素子20と導電部材11とが接する面積を大きくすることができるので放熱性を向上させることができる。
【0025】
(レーザ素子20)
レーザ素子20は、光導波路領域20aを有する。光導波路領域20aにおいては、素子内部で生じた光が光出射端面20b及び光反射端面20cの一対の端面間で往来し共振する。例えば、光出射端面20b及び光反射端面20cに所定の反射率のミラーを形成し、光反射端面20c側のミラーの反射率を光出射端面20b側のミラーよりも高くすることにより、光出射端面20b側からレーザ発振が可能なように構成されている。光出射端面側の高反射膜としては、例えばZrO等の高屈折率膜とSiO等の低屈折率膜とを交互に積層した誘電体多層膜を用いることができる。光出射端面側にはさらに、誘電体多層膜の表面に保護膜としてSiO等の低屈折率膜をλ/2n(λは発振波長、nは保護膜の屈折率)の膜厚で形成することもできる。
【0026】
図3は、図1のA−A線における概略断面図である。図3に示すように、レーザ素子20は基板10にフェースダウン実装されていることが好ましい。図3に示すレーザ素子20は、上から順に、素子基板21と、発光層を含む半導体層22とを備える。半導体層22には、光導波路領域20aを形成するリッジ23が形成されており、リッジ23の表面には、電極24が設けられている。電極24を幅狭部11a(導電部材11)に接合することで、レーザ素子20がフェースダウン実装されている。
【0027】
このようにフェースダウン実装されることで、発熱源となる半導体層22側が導電部材11に接合され、放熱性をさらに向上させることができる。このように半導体層22側を導電部材11に接合する場合、発光層28と導電部材11との距離が小さくなるため、導電部材11がレーザ素子20の端面に這い上がると発光層28が被覆されやすいが、本実施形態のレーザ装置100では幅狭部11aを設けているため、導電部材11の這い上がりを抑制することができる。
【0028】
また、光導波路領域20aは、公知の構造が採用でき、例えばリッジ構造や電流狭窄構造によって形成できる。レーザ素子20の一例を図3に示す。図3のレーザ素子20は、上から順に、素子基板21と、発光層を含む半導体層22とを備え、半導体層22には光導波路領域20aを形成するリッジ23が形成され、リッジ23の表面には電極24が設けられている。リッジ23は、例えば平面視においてストライプ状のリッジである。素子基板21の表面には、電極24と対になって正負電極を構成する第1電極25が設けられている。
【0029】
半導体層22としては、素子基板21側から順に、第1導電型半導体層27、発光層28、第2導電型半導体層29が積層されている。半導体層22の材料としては、公知の材料を用いることができる。例えばGaN系化合物半導体を用い、n型GaN基板の表面にn型GaN系化合半導体層、発光層、p型GaN系化合物半導体層を順に積層する。半導体層22の表面や側面は絶縁膜26で被覆されていてもよい。これによって、導電部材11がやや這い上がったとしても、短絡を防止することができる。
【0030】
フェースダウン実装する場合は特に、図1に示すように、レーザ素子20の光出射側の先端を基板10よりも突き出させることが好ましい。これは、レーザ素子20の光出射端面20bより放射されるビームが基板10で反射され、ビーム形状に影響を及ぼすことを防止するためである。また、本実施形態では、幅狭部11aを設けることで基板10の端部に接して導電部材11を形成することを可能とし、その上に光導波路領域20aを配置しているため、レーザ素子20の先端を突出させた場合でも導電部材11と光導波路領域20aとの接する面積を十分に確保でき、放熱性を向上させることができる。また、これによって、図10に示す従来のレーザ装置のように基板10の端部にまで導電部材11を設けない場合と比較して、レーザ素子の突出量がばらついたとしても比較的高い放熱性を確保できるため、突出量のばらつきに対する許容範囲を大きくでき、歩留まりを向上させることができる。なお、光反射端面20c側は、このような基板10での反射によるビーム形状への影響を考慮する必要がないため、図1に示すように基板10の内側に配置してもよい。
【0031】
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2に係るレーザ装置200の概略平面図である。図8では、上述の図2と同様に、レーザ素子20及び光導波路領域20aを破線で示す。レーザ装置200は、幅狭部31aを光反射端面20c側に配置した点で実施の形態1と異なる。また、図8に示すレーザ装置200では金属層10aは省略するが、実施の形態1と同様に設けることができる。
【0032】
このように、幅狭部31aは光反射端面20c側に配置することもできる。これによって、良好な放熱性を維持しながら、光反射端面20cへの導電部材11の這い上がりを抑制することができる。特に、光反射端面20cに導電部材11が這い上がることによりモニター光が遮られる場合があるが、レーザ装置200であれば係る問題を軽減することができる。また、幅狭部31aを有することで、導電部材31を基板10の端部に接して設けることができるため、基板10の光導波路領域20a延伸方向における長さを短縮でき、省スペース化することができる。また、これによって基板10の材料コストを低減することができる。特に、SiC等の高価な材料を用いる場合には、コスト低減効果が大きい。好ましくは、図8に示すように、基板10の端部が光反射端面20cと一致するように設定する。ただし厳密に一致させる必要はなく、レーザ素子20の実装精度のバラツキによって多少のズレがあってもよい。例えば、5〜15μm程度のズレがあってもよい。
【0033】
<実施の形態3>
図9は、実施の形態3に係るレーザ装置300の概略平面図である。図9では、上述の図2と同様に、レーザ素子20及び光導波路領域20aを破線で示す。レーザ装置300は、幅狭部41aを光出射端面20b側及び光反射端面20c側に配置した点で実施の形態1と異なる。また、図9に示すレーザ装置300では金属層10aは省略するが、実施の形態1と同様に設けることができる。
【0034】
このように、幅狭部41aは光出射端面20b側と光反射端面20c側の両方に配置することもできる。これによって、放熱性を低下させることなく、光出射端面20bと光反射端面20cそれぞれへの導電性部材の這い上がりを抑制することができる。また、光出射端面20b側と光反射端面20c側の両方において導電部材11を基板10の端部に接して設け、光導波路領域20a延伸方向における基板10の長さを導電部材11の長さと一致させることができるので、良好な放熱性を維持しながら、基板10をさらに小面積化することができ、基板10の材料コストをさらに低減することができる。基板10の端部とレーザ素子20の位置関係については、上述の実施の形態2と同様である。
【0035】
なお、実施の形態2及び実施の形態3において、幅狭部31a,41aの位置以外は、実施の形態1と同様のものを採用することができる。例えば、幅狭部31a,41a及び幅広部31b,41bの形状として、図4〜7の形状を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のレーザ装置は、光ディスク用途、光通信システム、印刷機、露光用途、測定等に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100,200,300 レーザ装置
10 基板
10a 金属層
11,31,41 導電部材
11a,31a,41a 幅狭部
11b,31b,41b 幅広部
20 レーザ素子
20a 光導波路領域、20b 光出射端面、20c 光反射端面
21 素子基板
22 半導体層
27 第1導電型半導体層、28 発光層、29 第2導電型半導体層
23 リッジ
24 電極(第2電極)
25 第1電極
26 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に設けられた導電部材と、該導電部材上に設けられた光導波路領域を有するレーザ素子と、を備えるレーザ装置であって、
前記導電部材は、前記導電部材の端部に設けられ、且つ、前記レーザ素子よりも幅が狭い幅狭部と、前記幅狭部よりも幅が広い幅広部と、を有し、
前記幅狭部及び前記幅広部は、前記光導波路領域の直下に設けられていることを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
前記幅広部は、前記幅狭部から連続して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記幅狭部は、前記基板の一端に接していることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記レーザ素子は、前記基板にフェースダウン実装されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記幅広部は、前記レーザ素子よりも幅が広いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記レーザ素子は、前記導電部材と接続される電極を有し、
前記幅狭部は、前記電極よりも幅が狭いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記幅狭部は、前記レーザ素子の光出射端面側に設けられており、
前記レーザ素子は、その光出射端面側が前記基板から突出していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記幅狭部は、前記レーザ素子の光出射端面側及び光反射端面側の両方に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記幅狭部は、前記幅広部へ向かって拡がる領域を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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