説明

レーザ超音波検査システム内の検出レーザ用前置増幅器

パルス検出レーザが提供される。このパルス検出レーザは単一周波数発振器と、連続前置増幅器と、パルス状増幅器とを含んでいる。単一周波数発振器は、種レーザビームを発生し、また連続前置増幅器に光学的に接続されている。連続前置増幅器は中間パワーのレーザビームを生成するために種レーザを増幅する。連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス状増幅器は中間パワーのレーザビームを受光し、パルス検出レーザビームを生成するために中間パワーのレーザビームを増幅する。このパルス検出レーザの1つの役割は超音波変位を照明することである。レーザからの光は散乱され、収集され、また部品の表面における超音波の戻りエコーによって引き起こされた超音波変位を復調するための干渉計を使用して解析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年12月22日に出願され、「ARTICULATED ROBOT FOR LASER ULTRASONIC INSPECTION」と題されたThomas E.Drakeへの米国特許仮出願第60/871680号明細書に対する優先権を主張し、全ての目的についてその全体を参照により組み込む。
【0002】
本出願は、1998年6月30日に出願された米国特許仮出願第60/091240号明細書の全体を全ての目的について参照により組み込む。
【0003】
本出願は、1998年6月30日に出願され、「METHOD AND APPARATUS FOR DETECTING ULTRASONIC SURFACE DISPLACEMENTS USING POST−COLLECTION OPTICAL AMPLIFICATION」と題されたThomas E.Drakeへの米国特許仮出願第60/091229号明細書の全体を全ての目的について参照により組み込む。
【0004】
本出願は、2004年1月7日に出願され、「REMOTE LASER BEAM DELIVERY SYSTEM AND METHOD FOR USE WITH A ROBOTIC POSITIONING SYSTEM FOR ULTRASONIC TESTING PURPOSES」と題されたThomas E.Drakeへの米国特許出願第10/753208号明細書の全体を全ての目的について参照により組み込む。
【0005】
本出願は、2004年2月12日に出願され、「METHOD AND APPARATUS FOR ULTRASONIC LASER TESTING」と題されたThomas E.Drakeへの米国特許出願第10/634342号明細書の全体を参照により組み込む。
【0006】
本発明は、一般に、材料の非破壊評価の装置及び方法に関し、より詳細には、材料の非破壊評価を行うために使用される超音波レーザ検査システム内の検出レーザに関する。
【背景技術】
【0007】
近年、先進的な複合構造物の使用が航空、自動車、及び、多くの他の民生品産業において猛烈な成長を経験している。複合材料は、性能において大きな向上を提供している一方、製造工程において、及び、完成された製品内でこの材料が実用に供された後の双方で、厳格な品質管理手順を必要とする。特に、非破壊評価(NDE)法は複合材料の構造上の完全性を評価しなければならない。この評価は混入物、層間剥離、及び、空隙を検出するものである。従来のNDE法は、緩慢、労働集約的、且つ、費用のかかるものである。その結果、試験手順は複合構造物に伴う製造コストを不利益に増加させている。
【0008】
複合構造物の構造上の完全性を評価するための様々な方法及び装置が提案されている。一解決策はワーク内に超音波表面変位(ultrasonic surface diaplacement)を発生するための超音波発生源を使用しており、この変位は、続いて、測定及び解析される。しばしば、超音波の外部発生源は目標に差し向けられたパルス状発生レーザビームである。独立した検出レーザからのレーザ光は、ワークの表面によって散乱される。検出レーザ光は超音波変位によって位相変調される。時間の関数としての位相の変調は周波数変調にも対応しており、いずれのタイプの変調もここに示された処理を説明するために使用可能であることに注意されたい。続いて、収集光学系が散乱レーザのエネルギを収集する。収集光学系は、干渉計又は他のデバイスに接続されている。干渉計は超音波変位の情報提供内容を復調し、結果として得られる信号の解析を介して複合構造物の構造上の完全性についてのデータが取得可能となる。レーザ超音波は、製造工程中の部品の検査に対して非常に有効であることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、レーザ超音波のために使用される装置は注文設計され、現在では検査速度に関した制限要因となっている。以前のソリッドステート型検出レーザは、低パワー主発振器レーザを増幅するために閃光ランプ励起ロッド構造又はダイオード励起スラブ構成のいずれかを使用していた。これらの構成は一般に主発振器パワー増幅器(MOPA)レーザと呼ばれる。
【0010】
現在、検査の速度はレーザのパルス数によって制限されている。閃光ランプ励起レーザ(閃光ランプ・ポンピング・レーザ)は100Hzでのみ動作可能であり、ランプは、典型的に、数千万回のみ発光を続ける。したがって、このレーザは動作させるのに緩慢且つ高価である。ダイオード励起スラブ(ダイオード・ポンピング・スラブ)はこれよりかなり高速である(400Hzが現在の限界であり、1Khzも可能なことがある)が、これはスラブをパルス・ポンピングするために非常に高価な注文製造のダイオード・アレイを使用し、熱変形を誘発し得る大量の熱を発生する。ダイオード・アレイの寿命は向上しつつあり、一部は100億回発光を続けるが、このアレイは、高いコスト、信頼性、及び、熱変形の全てのために歴史的に問題となっていた。結晶スラブの高パワー・パルス・ダイオード励起は、レーザビームの波形の品質を最終的に制限する熱変形をスラブに導入する。波面の変形はレーザの有用なパワーを制限し得るものであり、目標へのビームの効率的な光ファイバ伝達を妨害し得るものである。アレイ内の各ダイオード・バーは40Wから100Wのピーク・パワーを有してよく、それらのバーはレーザ・スラブの側面を効率的にポンピングするために互いに物理的に緊密になっていなければならない。アレイ内のダイオード・バーの総数は50から100個としてよい(アレイはスラブの各側面をポンピングし、したがって、場合によっては200個のダイオード・バーを使用することができる)。熱の除去は、ダイオード・アレイとスラブの双方にとって設計上の重大な問題となっている。
【0011】
本発明の実施例は、上記に識別されたニーズ、及び、同様に他のニーズに実質的に対処するシステム及び方法に関する。本発明の実施例は、以下の説明及び特許請求の範囲にさらに説明される。本発明の実施例の長所及び特徴は、以下の説明、添付の図面、及び、特許請求の範囲から明らかとなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例は超音波の光学的検出のための改良されたレーザに関する。パルス検出レーザは本発明の実施例によって提供される。このパルス検出レーザは単一周波数発振器と、連続前置増幅器と、パルス増幅器とを含む。単一周波数発振器は、種レーザビームを発生し、連続前置増幅器に光学的に接続されている。連続前置増幅器は、種レーザを増幅して中程度のパワーのレーザビームを生成する。連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス増幅器が、中程度のパワーのレーザビームを受光し、この中程度のパワーのレーザビームを増幅してパルス検出レーザビームを生成する。このパルス検出レーザの1つの役割は、超音波変位を照明することである。レーザからの光は散乱され、収集され、且つ、部品の表面における超音波の戻りエコーによって引き起こされた超音波変位を復調するための干渉計を使用して解析される。
【0013】
他の実施例において、検出レーザビームを発生するための方法が提供されている。この方法は、主発振器を使用して種レーザビームを発生する工程を含んでいる。続いて、種レーザビームは、パルス状検出レーザビームを生成するために連続前置増幅器及びダイオード励起パルスレーザ増幅器を使用して増幅可能である。
【0014】
他の実施例は、離れた目標上の超音波表面変位を検出するために動作可能な超音波表面検査システムを提供する。このシステムは、超音波発生システムと、上述したものなどの検出レーザと、収集光学系と、プロセッサとを含んでいる。この超音波発生システムは、離れた目標において超音波表面変位を生成する。これは機械的に、又はレーザ超音波発生システムを使用して行うことが可能である。ダイオード励起検出レーザは、離れた目標における超音波表面変位を実質的に照明する検出レーザビームを発生する。収集光学系は、離れた目標によって反射又は散乱のいずれかがなされたダイオード励起検出ファイバレーザからの位相変調された光を収集する。プロセッサは、離れた目標における超音波表面変位を表すデータを含む出力信号を生成するために、この位相変調された光を光学的に処理することが可能である。続いて、プロセッサは、離れた目標の構造上の完全性を評価するために、この出力信号を処理することが可能である。
【0015】
さらに他の実施例において、本発明は、離れた目標の構造上の完全性を評価するために、その離れた目標の表面上の超音波表面変位を測定するための大面積複合物検査システムを提供している。この大面積複合物検査システムは超音波発生システムと、パルス状検出レーザと、収集光学系と、光学プロセッサと、信号プロセッサとを含むことが可能である。この超音波発生システムは、離れた目標において超音波変位を生成する。続いて、検出レーザは、検出レーザビームで超音波表面変位を照明する。走査組立体が、検出レーザの照明スポットと離れた目標との間の相対運動を発生する。これは、ビームの方向を変えることによって検出レーザビームを走査する工程、検出レーザビームを動かす工程、又は離れた目標を動かす工程のいずれの組合せによっても達成可能である。収集光学系は、離れた目標における超音波表面変位によって反射又は散乱された検出レーザビームからの位相変調された光を収集する。続いて、光学プロセッサは、出力信号を生成するために、収集光学系によって収集されたこの位相変調された光を処理する。続いて、信号プロセッサは、超音波表面変位を表すデータを取得するために光学プロセッサの出力信号を処理する。続いて、このデータは離れた目標の完全性を評価するために使用可能である。例えば、複合材料の内部構造である。
【0016】
本発明及び本発明の長所のより完全な理解のために、次に、同様の参照番号が同様の構成要素を示す添付の図面とともに以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例によるレーザ超音波変位を発生及び検出するための発生レーザビーム及び検出レーザビームの使用を示す図である。
【図2】レーザ超音波システムの基本構成要素を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例によるパルス状検出レーザビームを生成するための連続前置増幅器を使用したパルス検出レーザを示す図である。
【図4】本発明の実施例によるパルス状検出レーザビームを生成するための持続ファイバレーザ前置増幅器を使用したファイバパルス検出レーザを示す図である。
【図5】本発明の実施例によるパルス状検出レーザビームを生成するための連続前置増幅器を使用したパルス検出レーザを示す図である。
【図6】本発明の実施例によるパルス状検出レーザビームを生成するための持続スラブ・レーザ前置増幅器を使用したパルス検出レーザを示す図である。
【図7】本発明の実施例によるレーザ超音波変位を検出するために使用可能であるパルス状検出レーザビームを生成するための持続ファイバレーザ前置増幅器及び並列ダイオード励起増幅器を使用したパルス検出レーザを示す図である。
【図8】本発明の実施例によるレーザ超音波変位を検出するために使用可能であるパルス状検出レーザビームを生成するための持続ファイバレーザ前置増幅器及び並列ダイオード励起増幅器を使用した全ファイバパルス検出レーザを示す図である。
【図9】本発明の1つ又は複数の実施例による論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施例が図面に示され、同様の番号は様々な図面の同様の、及び相当する部分を指すために使用されている。
【0019】
本発明の実施例はレーザ超音波システム内での使用のための検出レーザを提供する。パルス検出レーザは本発明の実施例によって提供される。パルス検出レーザは単一周波数発振器と、連続前置増幅器と、パルス状増幅器とを含んでいる。単一周波数発振器は種レーザビームを発生し、連続前置増幅器に光学的に接続されている。連続前置増幅器は種レーザを増幅して中程度のパワーのレーザビームを生成する。連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス状増幅器は中程度のパワーのレーザビームを受光し、中程度のパワーのレーザビームを増幅してパルス検出レーザビームを生成する。このパルス検出レーザの1つの役割は超音波変位を照明することである。レーザからの光は散乱され、収集され、また部品の表面における超音波の戻りエコーによって引き起こされた超音波変位を復調するために干渉計を使用して解析される。
【0020】
このパルス検出レーザは多くの方法で構築可能である。一手法は、主発振器として単一周波数非平面リング発振器(NPRO)を、続いて、2個以上のレーザ増幅器による後続する増幅を使用するものである。
【0021】
以前のソリッドステート型検出レーザは、低パワー主発振器レーザを増幅するために閃光ランプ励起ロッド構造又はダイオード励起スラブ構成のいずれかを使用していた。これらの構成は一般に主発振器パワー増幅器(MOPA)レーザと呼ばれる。閃光ランプ励起レーザは約100Hzで動作可能であり、ダイオード励起スラブ設計では400Hzで容易に動作するが、1kHzにまで拡大可能である。代表的なパルス・プロファイルは、50usから100usの間に1,000Wのピーク・パワーに到達するものである。このレーザのパルス数は、LaserUTシステムの検査スループットを制限する要因の1つとなっている。
【0022】
超音波変位の干渉検出は、安定した周波数の検出レーザビームを必要とする。必要な周波数安定性は、比較的低いパワーのレーザ(すなわち、数mWから1W)を使用して達成可能である。しかし、レーザ超音波検査は、代表的に、約500から1,000ワットのピーク・パワーを必要とする。このピーク・パワーは低パワー単一周波数レーザを増幅することによって達成される。高いピーク・パワーは、短時間(例えば、数マイクロ秒(μs))にわたり必要なピーク・パワーを生成するパルス状増幅器を使用することによって達成される。パルス状検出レーザを生成するための低パワー単一周波数レーザの増幅はかなり大きなレーザゲイン、及び増幅器媒体を数回通過することを必要とする。大きなレーザゲイン及び増幅器媒体を介した反復通過は、レーザビームを変形させ得る。パルス状励起パワーのレベル及び増幅媒体中の通過回数は、本発明の実施例では、安定した低パワー単一周波数レーザを中程度のパワーレベルのレーザビームに増幅するための連続前置増幅器を適用することによって低減されている。この中程度のパワーレベルのレーザビームは5から10ワットのオーダのものとしてよい。
【0023】
本発明の実施例は、より高速な検査速度、システムの向上した信頼性、より低い動作コストを目的とし、且つ移動及び携帯用システムを可能にする。現在、検査速度はレーザのパルス数によって制限されている。閃光ランプ励起レーザは、100Hzでのみ動作可能であり、ランプは、典型的に、数千万回のみ発光を続ける。したがって、このレーザは動作させるのに緩慢且つ高価である。ダイオード励起スラブは、これよりかなり高速である(400Hzが現在の限界であり、1KHzも可能なことがある)が、これはスラブをパルス励起するために非常に高価な注文製造のダイオード・アレイを使用している。ダイオード・アレイの寿命は向上しており、一部は100億回発光を続けるが、このアレイは、高いコスト及び信頼性の双方のために歴史的に問題となっていた。前置増幅器内での連続ダイオードの使用は、この増幅器内で必要とされる励起ダイオードの数を低減する。そのため、結晶スラブの高パワーパルス状ダイオード励起によって導入された熱変形などの変形(これはレーザビームの波形の品質を最終的に制限する)が低減可能となる。波面の変形はレーザの有用なパワーを制限し得るものであり、目標へのビームの効率的な光ファイバ伝達を妨害し得るものである。
【0024】
ダイオード・アレイ内の各ダイオード・バーは40Wから100Wのピーク・パワーを有してよく、それらのバーはレーザ・スラブの側面を効率的に励起するために互いに物理的に緊密になっていなければならない。アレイ内のダイオード・バーの総数は50から100個としてよい(アレイはスラブの各側面を励起し、したがって、場合によっては200個のダイオード・バーを使用することができる)。熱の除去及び熱変形は、ダイオード・アレイとスラブの双方にとって設計上の重大な問題となっている。
【0025】
前置増幅器内で種レーザを増幅するための小型連続波(CW)ダイオードの使用は、いくつかの長所を有する。第一に、連続ダイオードの使用は励起ダイオードの数の低減を可能にする。連続ダイオードはさほど高価ではなく、且つ信頼性がより高い。加えて、励起ダイオードに伴うゲインの要件がより少ないため、増幅後の最終的なレーザビームは、向上した伝播特性を有している。増幅器内の励起ダイオードからの熱の除去の要件も低減される。
【0026】
レーザステージ(すなわち、単一周波数発振器と、連続前置増幅器と、パルス状増幅器)が、少なくとも部分的にファイバレーザとして実施された場合、ファイバレーザ/増幅器の熱管理は、従来のバルク結晶ゲイン媒体におけるものよりも容易に扱われる。ファイバの体積に対する(熱が抽出される)表面積の比は、スラブ増幅器の表面対体積の比よりも桁違いに大きい。ファイバレーザは、波面の変形が非常に小さい(M^2<1.2)シングル・モード(TEM00)で動作可能である。CWモード又は変調(パルス)モードのいずれかで動作可能なファイバレーザの場合、速度の限界はレーザの速度ではなく、超音波の伝播時間及び走査能力となる。有効走査速度は10kHz以上が可能である。
【0027】
図1は本発明の実施例による検出レーザの使用を示す図である。レーザ超音波変位を発生及び検出する2つの入射レーザビームが物体の表面に向けられる。レーザビーム102が超音波を発生する一方、検出レーザビーム104は、試験対象の複合材料などであるがこれに限定されない離れた目標106における超音波を検出する。示されるように、これらのレーザは離れた目標106に同軸で照射されてよい。発生レーザビーム102は目標106内に熱弾性膨張112を引き起こし、これは超音波108の形成をもたらす。異なった実施例において、発生レーザビームは目標106内に融解を引き起こす。超音波108は目標106内を伝播し、検出レーザビーム104を変調して、目標106の表面によって散乱及び/又は反射された位相変調光110を生成する。散乱光は、離れた目標106の内部構造の情報を得るために収集され、且つ処理される。本明細書において位相変調に触れる際は、位相変調が周波数変調にも対応することを理解されたい。その理由は、位相変調の時間微分が周波数変調に対応していることにある。本明細書の状況においては用語「変調」が時間の関数としての変化を意味するため、いかなる位相変調も周波数変調にも対応する。
【0028】
図2は超音波レーザ試験を行うための基本的構成要素を備えたブロック図である。発生レーザ210は、光学組立体214が目標216に差し向けるレーザビーム212を生成する。示されるように、光学組立体214は、走査又は試験平面218に沿ってレーザビーム212及び224を移動させるスキャナ又は他の同様の機構を含んでいる。走査又は試験平面218は、目標216の移動によって、又は目標216の移動と組立体214を介したレーザビーム212及び224の移動との組合せによって作成可能でもある。光学組立体214は目視カメラ、深さカメラ、レンジ検出器、狭帯域カメラ、又は当業者に知られている他の同様の光学センサを含むことが可能である。これらの光学センサのそれぞれは、検査の実施前に較正が必要であってもよい。この較正は、様々なセンサによって収集された情報をまとめるためのシステムの能力を検証する。発生レーザ210は目標216内に超音波108を生成する。
【0029】
超音波108は、発生レーザビームを吸収する材料としての複合材料の熱弾性膨張112の結果である。複合材料などだがこれに限らない離れた目標216は、融解又は破壊されずに発生レーザビーム212を直ちに吸収する。より高いパワーの発生レーザは、これが融解をもたらし得ることから、SNRの問題を克服するためには必ずしも好適ではない。他の実施例において、試験される材料によっては、検出された信号のSNRを高めるために多少の融解は許容可能としてよい。発生レーザビーム212は超音波表面変形を誘発するための適切なパルス持続時間を有する。例えば、横方向励起大気(TEA)COレーザは、100ナノ秒のパルスにわたり10.6ミクロンの波長のビームを生成可能である。レーザのパワーは目標に、例えば0.25ジュールのパルスを伝達させるために十分でなければならず、これにより400Hzのパルス反復数で動作する100ワットのレーザが必要である場合がある。本発明の一実施例において、発生レーザビーム212は目標の表面に吸収されて熱を生成し、これによって、大きな融解なしに熱弾性膨張を引き起こす。本発明の異なった実施例において、発生レーザビーム212は吸収され、超音波発生の主要な機構となる融解を引き起こすために十分な熱を目標の表面に生成する。
【0030】
パルス・モード又は持続波モードで動作中の照明又は検出レーザ220は超音波変位を誘発しない。例えば、Nd:YAGレーザは使用可能である。このレーザのパワーは、例えば100ミリジュールで100マイクロ秒のパルスを伝達させるために十分でなければならず、これにより1キロワットのレーザが必要である場合がある。検出レーザ220は検出レーザビーム222を発生する。検出レーザ220は、本発明の実施例によって提供される通りのパルス検出レーザであってよい。このパルス検出レーザの様々な実施例を、図3及び以下を参照して検討する。検出レーザ220は、検出レーザビーム224から雑音を除去するためのフィルタリング機構224を含み、又はこれに光学的に接続されている。光学組立体214は、検出レーザビーム224を散乱及び/又は反射する複合材料216の表面に検出レーザビーム224を差し向ける。結果として得られる位相変調された光は、収集光学系226によって収集される。ここに示されるように、散乱及び/又は反射された検出レーザ光は、光学組立体214を介して戻る。任意の光学プロセッサ228及び干渉計230は、複合材料216の表面における超音波変位を表す情報を含む信号を生成するために、位相変調された光を処理する。データ処理及び制御システム232は、レーザ超音波システムの構成要素の動作を調整する。
【0031】
データ処理及び制御システム232は単一の処理デバイス又は複数の処理デバイスとしてよい。このような処理デバイスはマイクロプロセッサ、マイクロ・コントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央演算ユニット、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブル・ロジック・デバイス、ステート・マシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はメモリに保存された動作指示に基づき信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作するいずれかのデバイスであってよい。このようなメモリ・デバイスは読み出し専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティック・メモリ、ダイナミック・メモリ、フラッシュ・メモリ、キャッシュ・メモリ、及び/又はデジタル情報を保存するいずれかのデバイスであってよい。以下に示す通りの工程及び/又は機能の少なくともいくつかに対応する動作指示をこのメモリは保存し、データ処理及び制御システム232が実行する。
【0032】
図3は、本発明の実施例による図2の検出レーザ220として使用可能であるパルス検出レーザ300を示す図である。パルス検出レーザ300は単一周波数発振器302と、連続前置増幅器304と、パルス状増幅器306とを含んでいる。単一周波数発振器302は種レーザビーム308を発生し、連続前置増幅器304に光学的に接続されている。例示の目的のために、種レーザビーム308のパワーは約2mWから1Wであってよい。連続前置増幅器304は種レーザビーム308を増幅して中程度のパワーのレーザビーム310を生成する。本実施例において、及び以下の実施例において、連続前置増幅器304は単一の増幅ステージ又は2つ以上の増幅ステージから構成されてよい。連続前置増幅器304に光学的に接続されたパルス状増幅器306は中程度のパワーのレーザビーム310を受光し、パルス検出レーザビーム312を生成するために中程度のパワーのレーザビーム310を増幅する。本実施例において、及び以下の実施例において、パルス状増幅器306は、レーザ超音波システムの捕捉率を調整し、それ故、目標によって吸収される検出レーザの総パワーを制限するために出力が変調されている持続増幅器とすることが可能である。いくつかの場合、持続前置増幅器304の出力パワー又はその一部が変化可能である。このパワーの変化は、目標が検出レーザビームを強く反射した際に検出用電子回路を保護するために必要とすることが可能である。これらの場合は非常に限定されており、そのため前置増幅器304は連続的(CW)と考えられる。例示の目的のために、種レーザビーム308のパワーは約2mWから1Wであってよい。中程度のパワーのレーザビーム310のパワーは持続波で約10から100Wであってよい。パルス検出レーザビーム312のパワーはパルス状で約500から1,000Wであってよい。
【0033】
図3に示された検出レーザ300の実施例は、光ファイバ314を使用して連続的に動作するダイオード励起ファイバ連続前置増幅器306に光ファイバで接続可能である主発振器302を使用可能である。同様に、前置増幅器306によって生成された増幅済みレーザビーム310は、同様に光ファイバを介してパルス状増幅器306に伝達可能である。パルス検出レーザビーム312は光ファイバ316を使用して、検査する材料に照射される。主発振器302は、発生された種検出レーザビーム308が光ファイバ314を介して前置増幅器304に供給されることを可能にする、光ファイバ接続された出力を有するダイオード励起非平面リング発振器(NPRO)であってよい。他の手法は、主発振器302としてのファイバレーザを使用した全ファイバ単一周波数レーザ、並びに前置増幅器304及び同様に増幅器306としてのダイオード励起ファイバ増幅器などの1つ又は複数のファイバレーザを構築してもよい。
【0034】
本実施例において、前置増幅器304は、中程度のパワーのレーザビーム310が光ファイバを介して増幅器306に供給されることを可能にする光ファイバ接続された出力を有するダイオード励起ファイバ連続前置増幅器であってよい。この前置増幅器はダイオード又はランプ励起ロッド又はスラブとすることも可能である。例示の目的のために、レーザ材料は、いくつかを挙げるとNd:YAG、Yb:YAG、Nd:YVO4であってよい。この材料は単一パス又は多重パス増幅器として構成されてよい。増幅器306は、光ファイバを介したパルス検出レーザビームを可能にする光ファイバ接続された出力を有するダイオード励起ファイバパルス状増幅器であってよい。
【0035】
図4は、本発明の実施例によるファイバレーザだけを使用する検出レーザ400の第2の実施例を示す図である。この場合、主発振器302は2個以上のダイオード励起ファイバ増幅器304及び306に接続されている。前述のように、主発振器302は光ファイバ314への光ファイバ接続された出力を有している。主発振器302は、光ファイバ接続された出力を有するダイオード励起単一周波数ファイバレーザであってよい。主発振器302は種レーザ308を発生し、このレーザ308は光ファイバ314を介してダイオード励起前置増幅器304に送られる。実施例の目的のために、主発振器302によって生成されたレーザビーム302は2から25mWのレーザであってよい。ダイオード励起連続前置増幅器304は中程度のパワーのレーザビーム310のパワーを10から100Wに増加可能である。増幅器306は検出レーザのパワーをパルス状で500から1,000Wにさらに高めるために使用されてよい。続いて、ファイバ励起増幅器306の出力は、光ファイバ316を使用して試験される材料に送られる。
【0036】
図5は、本発明の実施例による検出レーザとして使用可能なパルス検出レーザ500を示す図である。パルス検出レーザ500は単一周波数発振器302と、連続前置増幅器304と、パルス状増幅器306とを含んでいる。この実施例は図3を参照して説明された実施例と同様に動作する。この実施例において、図5の増幅器306は、増幅器306が、パルス検出レーザビームが光ファイバを介して伝達されることを可能にする光ファイバ接続された出力を有するソリッドステートパルス状増幅器であってよいという点で、図3で説明されたものと異なっている。
【0037】
図6は、本発明の実施例による検出レーザとして使用可能なパルス検出レーザ600を示す図である。パルス検出レーザ600は、単一周波数発振器302と、連続前置増幅器304と、パルス状増幅器306とを含んでいる。この実施例は図3を参照して説明された実施例と同様に動作する。この実施例において、図6の前置増幅器304及び増幅器306は、前置増幅器304がダイオード励起ソリッド持続増幅器であってよく、且つ増幅器306がダイオード励起ソリッド・パルス状増幅器であってよいという点で、図3で説明されたものと異なっている。各構成要素は、示されるような自由空間又は光ファイバを介して光学的に接続可能である。パルス状検出レーザビーム312は光ファイバ316を介して伝達可能である。
【0038】
単一の増幅器によって生成された単一周波数放射のパワーのレベルは、誘導ブリュアン散乱(SBS)と呼ばれる物理的現象によって制限可能である。SBSが発生すると、増幅器は鏡のように作用し、主発振器に向けて放射を反射し、主発振器を恐らくは損傷し、且つ出力パワーを激しく制限する。一般に、光ファイバ及び増幅器ファイバはシングル・モード・ファイバであり、代表的な直径が50ミクロン未満である。SBSが発生するためのパワー閾値は、ファイバの直径の2乗に比例する。ファイバ増幅器の必要とされるファイバ直径に対するSBSのパワー閾値を超えるパワーレベルの単一周波数放射を生成するために、数個の並列ファイバ増幅器が使用可能であり、それぞれの増幅器はそれ自身のSBS閾値を下回るパワーレベルを生成する。全ての増幅器の出力ファイバは、並列増幅器の合成パワーを上回るSBS閾値を有するさらに大きなマルチモード・ファイバに融着接続によって、又は他の技術によって結合される。図7及び図8は、本発明の2つの実施例として、この手法を提示している。
【0039】
図7は、本発明の実施例による検出レーザとして使用可能であるパルス状検出レーザ700の他の実施例を示す図である。パルス検出レーザ700は、単一周波数発振器302と、連続前置増幅器304と、パルス状増幅器306とを含んでいる。この実施例は図3を参照して説明された実施例と同様に動作する。この実施例において、図7の増幅器306A、306B、及び306Cは図3で説明された増幅器306とは異なっている。出力光ファイバ316は大コア直径ファイバであり、代表的に50ミクロンより大きな直径を備え、第2ステージ増幅器は多数の並列ダイオード励起増幅器306A、306B、及び306Cを有している。これらの並列ダイオード励起増幅器の出力は単一の光ファイバ内で結合可能である。主発振器302は種レーザビーム308を生成し、このビーム308は光ファイバ接続された出力318を介して光ファイバ314に供給される。この実施例の一実施例において、主発振器302のパワー出力は、約25ミリワットのパワーを有するレーザビーム308を生成することを必要としてよい。例示の目的のために、前置増幅器304はこのレーザビームのパワーを約5から10ワットに増加可能である。続いて、3個の並列ダイオード励起ファイバ増幅器306A、306B、及び306Cのそれぞれは、前置増幅器304の出力に接続されている。それぞれのダイオード励起ファイバ増幅器は、それ自身のSBS閾値を下回るパワーを生成する。この3個の並列ダイオード励起ファイバ増幅器306A、306B、及び306Cは、出力レーザビーム312のパワーを劇的に増加可能である。この実施例で示されるように、ダイオード励起ファイバ増幅器のこの構成を使用した際、マルチモード出力は1,000ワットより高くなってよい。
【0040】
図8は、本発明の実施例による検出レーザのさらに他の実施例を示す図である。この実施例において、主発振器302は、NPROに対するものとしてのダイオード励起単一周波数ファイバレーザで置き換えられている。
【0041】
主発振器及びファイバ増幅器に伴うファイバレーザは(1)約1,000nmの波長の放射を生成するように動作可能なイッテルビウム注入ファイバ、又は(2)約1,550nmの波長の放射を生成するように動作可能なエルビウム注入又は共注入のファイバであってよい。このファイバレーザは側面被覆励起(側部クラッド励起)を使用可能であり、励起ダイオードは励起ファイバを介して能動ファイバに接続される。励起ファイバは、能動ファイバの側面被覆又は内部被覆を介して能動ファイバに接続している。これらの励起ダイオードは単一のエミッタ、一群の単一エミッタ、ダイオード・バー、及び/又は一群のダイオード・バーを含むことが可能である。
【0042】
レーザ・ファイバを励起するために多くの小型持続波(CW)ダイオードを使用することによって、それぞれのファイバ接続された励起ダイオードはパワーが比較的小さくてよい(代表的に、僅か数ワットを使用している)。したがって、ダイオードのいずれか1個又は一部の喪失は、発生されるレーザの性能全体に対してはほとんど影響を及ぼさないことがある。
【0043】
レーザビーム312の熱除去の問題及び波プロファイルの熱変形は最終増幅器の要件を低減することによって大幅に低減される。ファイバ接続されたダイオードからの熱の除去は、ゲインとは別個に管理可能である。加えて、これらの低パワー・ダイオードは、典型的に、ダイオード・スラブ・レーザにおけるスラブにおいて現在利用可能な大幅に延長された平均故障間隔(MTBF)定格を提供する。ファイバレーザ等級増幅器の熱管理は、従来のバルク結晶ゲイン媒体の使用と比較した場合に、大幅に改善されている。これは、レーザが発生又は増幅される体積に対するファイバから熱が除去されるファイバの表面積の比が、スラブ増幅器に伴うバルク表面体積比の大きさよりも桁違いに大きいからである。したがってファイバレーザはシングル・モードにおいて非常に小さな波面変形で動作可能である。ファイバレーザはCWモード又は変調パルス・モードで動作可能であるので、速度の制限はレーザの速度ではなく、試験する材料内での超音波伝播時間、及び試験する構成要素にわたって検出レーザを走査するために使用される他の構成要素の走査能力となる。このことは有効走査速度が10kHz以上となることを可能にする。このことは、現在のシステムの走査速度と比較すると、大幅な改善を提供している。加えて、この柔軟な構造は、厳しい業界環境に適した移動及び携帯可能なレーザ超音波検査システムの設計を可能にすることができる。
【0044】
図9は、レーザ超音波検査システム内で検出レーザがどのように発生可能であるかを示す本発明の1つ又は複数の実施例による論理フロー図である。動作900はステップ902における種検出レーザの発生で開始した。この種検出レーザビームは、各ステージにおいて増幅可能である低パワー、すなわち25ミリワットのオーダにあるレーザビームであってよい。この種検出レーザビームは、NPRO若しくは単一励起単一周波数ファイバレーザ又は種検出レーザを発生すると知られている他の手段を使用して発生可能である。続いて、ステップ904において、種レーザビームは1つ又は複数のダイオード励起連続前置増幅器を使用して増幅可能である。この工程は、中程度のパワーレベルを有する中程度のレーザビームをもたらす。続いて、パルス状検出レーザを生成するために、ステップ906において中程度のレーザビームは1つ又は複数のダイオード励起パルス状増幅器を使用して増幅可能である。上記に示された実施例において、検出レーザのパワーを25ミリワットの種レーザから1,000ワット以上に増加させるために、ダイオード励起ファイバレーザ増幅器の様々な組合せが採用された。ステップ908において、検出レーザビームは目標に送られる。
【0045】
動作において、本発明は、より複雑な表面又は限定されたアクセス領域内の表面を試験しつつ、レーザ超音波試験設備がより広い範囲の環境で使用されることを可能にする。本発明の実施例は、検出レーザビーム及び恐らくは発生レーザビームを発生し、且つ試験する離れた目標に送るためにファイバレーザを利用可能である。このようにすることは、レーザ超音波システムの全体的なサイズを大幅に低減することを可能にする。例えば、試験する目標の表面に発生及び検出レーザビームを送るために、大型ガントリに基づくシステムに代わり、はるかに小型のロボット・システムが使用可能である。このことは、本発明の実施例によって提供されるレーザ超音波検査システムが、個々の構成要素を検査するためだけでなく、一体化された諸構成要素の内部構造を評価するためにも使用されることを可能にする。それ故、本発明の実施例によって提供されるレーザ超音波システムによって個々の部品が検査可能であるだけでなく、個々の部品で作成された組立体構造も検査可能となる。このことは、一体化構造が構築された後に行われる検査が、構造体の寿命にわたって内部構造において何らかの変化があるかを調べることを可能にする。加えて、本発明の実施例は、検出レーザビームの検出の自由空間伝達にしばしば伴う問題なしに視野内の離れた目標における超音波変位を検出するために、ファイバレーザを使用する全体に移動可能なシステムを提供可能である。
【0046】
ファイバレーザは、イッテルビウム注入ファイバを使用することによって工業用レーザ超音波検査のために現在使用されている1,064nmの波長と類似又は同一の波長のレーザ発光を生成可能である。したがって、イッテルビウム注入ファイバは、光学系及び検出器のいずれも置き換える必要なしに、現在使用されているダイオード励起又はフラッシュ励起のロッド又はスラブの検出レーザを置き換えることが可能である。しかし、エルビウム注入又はエルビウム共注入ファイバは、約1,550nmの波長のレーザ発光を生成可能である。この波長範囲は、一般に肉眼には安全であると認定されている。安全性の要件は、約1,000nmの波長と比較して、肉眼に安全な波長を使用すると大幅に低減される。それらの低減された安全性の要件は、レーザ超音波検査システムが屋外又は製造環境下で使用される場合に、資本及び動作コストの重要な低減に換算可能である。
【0047】
約1,550nmの波長で動作する検出レーザを使用するさらなる長所は、電気通信のために開発された検出器、変調器、光ファイバなどの膨大な量の光学技術を活用する可能性である。
【0048】
ファイバレーザ及びファイバ増幅器は、異なった手法を使用して励起が可能である。最も普及している手法は、励起放射がファイバレーザ又は増幅器の被覆内に挿入される被覆励起である。被覆励起は、被覆終端(終端励起)又は被覆側面(側面励起)のいずれかから行うことが可能である。側面励起は、軸外しコア設計又はねじれ活性及び励起ファイバ設計の場合の終端又は同軸励起の困難を排除する。加えて、溶融ファイバ接続は、合焦光学系及び位置合わせの必要性を排除し、終端又はV字励起などの他の設計よりも堅牢である。
【0049】
個別のダイオード及び被覆側面励起技術を採用することによって、パワーは、信頼性に対する悪影響なしに追加の励起ダイオードの導入によって増大可能である。個々のダイオードの寿命は、ダイオード・バーの寿命よりも大きさの程度だけ長くなっている。加えて、単一のエミッタは互いに独立しており、1個のエミッタが故障しても、ダイオード・バーとは反対に、そのエミッタはいずれの他のエミッタにも影響を及ぼさない。最後に、単一のエミッタの故障の場合、ファイバレーザ又は増幅器の総出力パワーの低下は、大量のダイオード・エミッタのために非常に小さい。
【0050】
まとめると、本発明は超音波の光学的検出のための改善されたレーザに関する。パルス検出レーザは本発明の実施例によって提供される。パルス検出レーザは単一周波数発振器と、連続前置増幅器と、パルス状増幅器とを含む。単一周波数発振器は種レーザビームを発生し、連続前置増幅器に光学的に接続されている。連続前置増幅器は種レーザを増幅して中程度のパワーのレーザビームを生成する。連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス増幅器は、この中程度のパワーのレーザビームを受光し、パルス検出レーザビームを生成するために中程度のパワーのレーザビームを増幅する。このパルス検出レーザの1つの役割は超音波変位を照明することである。レーザからの光は散乱され、収集され、且つ部品の表面における超音波の戻りエコーによって引き起こされた超音波変位を復調するための干渉計を使用して解析される。
【0051】
当業者が理解されるように、本明細書において使用されることがある用語「実質的に」又は「約」は、これに対応する用語に対して業界で許容される「許容誤差」を与えるものである。このような業界で許容される許容誤差は1%未満から20%の範囲を持ち、構成要素の数値、集積回路プロセスの変動、温度の変動、立ち上がり及び降下の時間、及び/又は熱雑音に対応するが、これらに限らない。当業者がさらに理解するように、本明細書で使用されることがある用語「動作可能に接続され」は他の構成要素、要素、回路、又は、モジュールを介した直接接続及び間接接続を含み、この場合、間接接続については、仲介する構成要素、要素、回路、又はモジュールは信号の情報を変更しないが、その電流レベル、電圧レベル、及び/又はパワーレベルを調整してもよい。当業者が同じく理解するように、推定される接続(すなわち、1個の要素が推論によって他の要素に接続される場合)は、「動作可能に接続され」と同じ方法での2個の要素の間での直接及び間接の接続を含む。当業者がさらに理解するように、本明細書において使用されることがある用語「好適に比較する」は、2個以上の要素、項目、信号などの間の比較が所望の関係を提供することを示す。例えば、所望の関係が、信号1が信号2よりも大きな大きさを有するというものであると、信号1の大きさが信号2の大きさよりも大きい時、又は信号2の大きさが信号1の大きさよりも小さい時に好適な比較が達成可能となる。
【0052】
本発明が詳細に説明されてきたが、本発明には、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な改変、代替、及び修正を行うことが可能であることを理解されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状検出レーザビームを発生するための方法であって、
種レーザを発生する段階と、
中間パワーのレーザビームを生成するために連続前置増幅器を使用して前記種レーザを増幅する段階と、
前記パルス状検出レーザビームを生成するためにパルス状増幅器を使用して前記中間パワーのレーザビームを増幅する段階と
を含む方法。
【請求項2】
前記パルス状検出レーザビームが離れた目標の表面に向けられ、
前記パルス状検出レーザビームが前記離れた目標の前記表面の一部分を照明し、
前記離れた目標の前記表面の前記照明された一部分内の超音波表面変位が前記パルス状検出レーザビームを位相変調し、
光学系が、前記離れた目標の前記表面によって散乱又は反射された前記検出レーザビームによって生成された位相変調光を収集し、
前記位相変調光は、前記離れた目標内の前記表面及び構造における前記超音波表面変位を表すデータを得るために処理される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連続前置増幅器が、
ダイオード励起ファイバ、
ダイオード励起ロッド・レーザ発光材料、
ダイオード励起スラブ・レーザ発光材料、
ダイオード励起薄ディスク・レーザ発光材料、
ランプ励起薄ディスク・レーザ発光材料、
ランプ励起ロッド・レーザ発光材料、又は
ランプ励起スラブ・レーザ発光材料を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パルス状増幅器が、
ダイオード励起ファイバ、又は
ダイオード励起ソリッドステート・レーザ発光材料を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記種レーザが前記連続前置増幅器にファイバ接続され、
前記連続前置増幅器が前記パルス状増幅器にファイバ接続されている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記種レーザが自由空間を介して前記連続前置増幅器に光学的に接続され、
前記連続前置増幅器が自由空間を介して前記パルス状増幅器に光学的に接続されている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記種レーザが単一周波数発振器によって発生される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記単一周波数発振器が、
非平面リング発振器、
線形空洞発振器、又は
ファイバ発振器を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記連続前置増幅器が、単一パス増幅器又は多重パス増幅器を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
パルス状検出レーザであって、
種レーザビームを発生するように動作可能な単一周波数発振器と、
前記単一周波数発振器に光学的に接続された連続前置増幅器であって、中間パワーのレーザビームを生成するために前記種レーザを増幅するように動作可能である連続前置増幅器と、
前記連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス状増幅器であって、パルス状検出レーザビームを生成するために前記中間パワーのレーザビームを増幅するように動作可能であるパルス状増幅器と
を有するパルス状検出レーザ。
【請求項11】
前記パルス状検出レーザビームが、離れた目標の表面に向けられ、
前記パルス状検出レーザビームが、前記離れた目標の前記表面の一部分を照明し、
前記離れた目標の前記表面の前記照明された一部分内の超音波表面変位が前記パルス状検出レーザビームを位相変調し、
光学系が、前記離れた目標の前記表面によって散乱又は反射された前記検出レーザビームによって生成された位相変調光を収集し、
前記位相変調光は、前記離れた目標内の前記表面及び構造における前記超音波表面変位を表すデータを得るために処理される請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項12】
前記連続前置増幅器が、
ダイオード励起ファイバ、
ダイオード励起ロッド・レーザ発光材料、
ダイオード励起スラブ・レーザ発光材料、
ダイオード励起薄ディスク・レーザ発光材料、
ランプ励起薄ディスク・レーザ発光材料、
ランプ励起ロッド・レーザ発光材料、又は
ランプ励起スラブ・レーザ発光材料を有する請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項13】
前記パルス状増幅器が、
ダイオード励起ファイバ、又は
ダイオード励起ソリッドステート・レーザ発光材料を有する請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項14】
前記種レーザが前記連続前置増幅器にファイバ接続され、
前記連続前置増幅器が前記パルス状増幅器にファイバ接続されている請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項15】
前記種レーザが自由空間を介して前記連続前置増幅器に光学的に接続され、
前記連続前置増幅器が自由空間を介して前記パルス状増幅器に光学的に接続されている請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項16】
前記種レーザが単一周波数発振器によって発生される請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項17】
前記単一周波数発振器が、
非平面リング発振器、
線形空洞発振器、又は
ファイバ発振器を有する請求項16に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項18】
前記連続前置増幅器が単一パス増幅器又は多重パス増幅器を有する請求項10に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項19】
離れた目標の表面内の超音波表面変位を検出するように動作可能なパルス状検出レーザビームを発生するための方法であって、
主発振器を使用して種レーザを発生する段階と、
中間パワーのレーザビームを生成するために連続前置増幅器を使用して前記種レーザを増幅する段階と、
前記パルス状検出レーザビームを生成するためにパルス状増幅器を使用して前記中間パワーのレーザビームを増幅する段階と
を含む方法において、
前記パルス状検出レーザビームが、前記離れた目標の前記表面に向けられ、
前記パルス状検出レーザビームが、前記離れた目標の前記表面の一部分を照明し、
前記離れた目標の前記表面の前記照明された一部分内の超音波表面変位が前記パルス状検出レーザビームを位相変調し、
光学系が、前記離れた目標の前記表面によって散乱又は反射された前記検出レーザビームによって生成された位相変調光を収集し、
前記位相変調光は、前記離れた目標内の前記表面及び構造における前記超音波表面変位を表すデータを得るために処理される
パルス状検出レーザビーム発生方法。
【請求項20】
前記連続前置増幅器が、
ダイオード励起ファイバ、
ダイオード励起ロッド・レーザ発光材料、
ダイオード励起スラブ・レーザ発光材料、
ダイオード励起薄ディスク・レーザ発光材料、
ランプ励起薄ディスク・レーザ発光材料、
ランプ励起ロッド・レーザ発光材料、又は
ランプ励起スラブ・レーザ発光材料を有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記パルス状増幅器が、
ダイオード励起ファイバ、又は
ダイオード励起ソリッドステート・レーザ発光材料を有する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記種レーザが前記連続前置増幅器にファイバ接続され、
前記連続前置増幅器が前記パルス状増幅器にファイバ接続されている請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記種レーザが自由空間を介して前記連続前置増幅器に光学的に接続され、
前記連続前置増幅器が自由空間を介して前記パルス状増幅器に光学的に接続されている請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記種レーザが単一周波数発振器によって発生される請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記単一周波数発振器が、
非平面リング発振器、
線形空洞発振器、又は
ファイバ発振器を有する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記連続前置増幅器が単一パス増幅器又は多重パス増幅器を有する請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記離れた目標の構造上の完全性を評価するために前記データを処理する段階をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記主発振器が、約1,000nmの波長の放射線を生成するように動作可能なイッテルビウム注入ファイバを有する請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記主発振器が、約1,550nmの波長の放射線を生成するように動作可能なエルビウム注入又は共注入のファイバを含む請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記主発振器が、側部クラッド励起を有するファイバレーザを有し、
励起ダイオードが、励起ファイバを介して能動ファイバに接続されている請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記パルス状増幅器が励起ダイオードを有し、
前記励起ダイオードが、単一のエミッタ、一群の単一エミッタ、ダイオード・バー、及び/又は一群のダイオード・バーを有する請求項19に記載の方法。
【請求項32】
離れた目標の表面内の超音波表面変位を検出するためのパルス状検出レーザビームを発生するように動作可能なパルス状検出レーザであって、
種レーザビームを発生するように動作可能な単一周波数発振器と、
前記単一周波数発振器に光学的に接続された連続前置増幅器であって、中間パワーのレーザビームを生成するために前記種レーザを増幅するように動作可能な連続前置増幅器と、
前記連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス状増幅器であって、パルス状検出レーザビームを生成するために前記中間パワーのレーザビームを増幅するように動作可能なパルス状増幅器と
を有するパルス状検出レーザにおいて、
前記パルス状検出レーザビームが、前記離れた目標の前記表面に向けられ、
前記パルス状検出レーザビームが、前記離れた目標の前記表面の一部分を照明し、
前記離れた目標の前記表面の前記照明された一部分内の超音波表面変位が、位相変調光を生成するように前記パルス状検出レーザビームを散乱し、
前記位相変調光は、前記離れた目標内の前記表面及び構造における前記超音波表面変位を表すデータを得るために処理される
パルス状検出レーザ。
【請求項33】
前記種レーザが前記連続前置増幅器にファイバ接続され、
前記連続前置増幅器が前記パルス状増幅器にファイバ接続されている請求項32に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項34】
前記パルス状検出レーザビームが、離れた目標の表面に向けられ、
前記パルス状検出レーザビームが、前記離れた目標の前記表面の一部分を照明し、
前記離れた目標の前記表面の前記照明された一部分内の超音波表面変位が、前記パルス状検出レーザビームを位相変調し、
光学系が、前記離れた目標の前記表面によって散乱又は反射された前記検出レーザビームによって生成された位相変調光を収集し、
前記位相変調光は、前記離れた目標内の前記表面及び構造における前記超音波表面変位を表すデータを得るために処理される請求項32に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項35】
前記単一周波数発振器が、
非平面リング発振器、
線形空洞発振器、又は
ファイバ発振器を有する請求項16に記載のパルス状検出レーザ。
【請求項36】
離れた目標の表面上の超音波表面変位を測定するための大面積複合物検査装置であって、
前記離れた目標において超音波表面変位を生成するように動作可能な超音波発生システムと、
パルス状検出レーザビームを使用して前記離れた目標の前記表面上の超音波表面変位を照明するように動作可能な検出レーザであって、
種レーザビームを発生するように動作可能な単一周波数発振器、
前記単一周波数発振器に光学的に接続された連続前置増幅器であって、中間パワーのレーザビームを生成するために前記種レーザを増幅するように動作可能な連続前置増幅器、及び
前記連続前置増幅器に光学的に接続されたパルス状増幅器であって、パルス状検出レーザビームを生成するために前記中間パワーのレーザビームを増幅するように動作可能なパルス状増幅器
を含む検出レーザと、
前記パルス状検出レーザビームの照明スポットと前記離れた目標の前記表面との間の相対運動を作り出すように動作可能な走査組立体と、
前記離れた目標によって反射又は散乱された前記パルス状検出レーザビームから位相変調光を収集するための収集光学系と、
前記収集光学系によって収集された前記位相変調光を処理し、出力信号を生成するための光学プロセッサと、
前記離れた目標の前記表面上の前記超音波表面変位を表すデータを取得するために前記出力信号を処理するように動作可能なプロセッサと
を有する検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−522326(P2010−522326A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554512(P2009−554512)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/088564
【国際公開番号】WO2008/115308
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(598028028)ロッキード マーティン コーポレイション (16)
【氏名又は名称原語表記】Lockheed Martin Corporation
【Fターム(参考)】