説明

レーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置

【課題】レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができるレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置を提供する。
【解決手段】波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成するレーザ駆動回路において、入力される映像信号に基づいて生成したレーザ駆動電流に対して、当該映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳することで、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光(レーザビーム)を用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光(レーザビーム)を用いる装置として、例えば、レーザ光を用いて画像の表示を行うレーザディスプレイ装置がある。このレーザディスプレイ装置は、レーザ光を出射するレーザ光源をレーザ駆動回路によって駆動し、当該レーザ駆動回路による駆動の下でレーザ光をスキャナによって走査することにより、スクリーン上に画像を表示するというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−66303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザディスプレイ装置では、スクリーンの微小な凹凸によって、レーザ光源からスクリーンを経て視聴者の目に結像するまでのレーザ光の光路長がランダムに変化する。そして、レーザ光のような波長及び位相が揃ったコヒーレントな光の場合、光路長の変化に応じて位相の異なる光が目に入射し、それらが干渉して強度がランダムに分布する干渉縞が無数に見える斑点、所謂、スペックルノイズが生じる。このスペックルノイズは、レーザディスプレイ装置に限らず、コヒーレント光であるレーザ光を用いる装置全般について言える問題である。
【0005】
そこで、本開示は、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができるレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、
波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成し、
この生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する
構成を採っている。
【0007】
映像信号に基づくレーザ駆動電流に高周波信号を重畳し、この高周波信号を重畳したレーザ駆動電流によってレーザ光源を駆動することにより、レーザ光源から出射されるレーザ光の波長スペクトラムが広がるため可干渉性が下がる。そして、レーザ光の可干渉性が下がることで、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、レーザ光源を駆動するレーザ駆動電流に高周波信号を重畳することにより、レーザ光源から出射されるレーザ光の波長スペクトラムが広がり、可干渉性が下がるため、スペックルノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタの構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】レーザビーム・スキャニング方式のスクリーン上の走査方法の例を示す図である。
【図3】スペックルノイズについて説明するモデル図である。
【図4】本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成を示すブロック図である。
【図5】半導体レーザの電流−光出力特性を示す図である。
【図6】レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する概念図である。
【図7】レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することによるレーザ出力光の波長スペクトラムの変化を示す図である。
【図8】第1実施形態の実施例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図9】第1実施形態の実施例1における2つの増幅/減衰器の利得と高周波信号の振幅との関係を示す波形図(その1)である。
【図10】第1実施形態の実施例1における2つの増幅/減衰器の利得と高周波信号の振幅との関係を示す波形図(その2)である。
【図11】第1実施形態の実施例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図12】第1実施形態の実施例2における投影映像信号と高周波信号の振幅との関係を示す波形図である。
【図13】第1実施形態の実施例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図14】投影映像信号に非同期の高周波信号を重畳したときのレーザ駆動電流の例を示す波形図である。
【図15】投影映像信号に同期した高周波信号を重畳したときのレーザ駆動電流の例を示す波形図である。
【図16】第1実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図17】第2実施形態の実施例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図18】第2実施形態の実施例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図19】第2実施形態の実施例2における投影映像信号と高周波信号の振幅との関係を示す波形図である。
【図20】第2実施形態の実施例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図21】第2実施形態の実施例3における投影映像信号と高周波信号の振幅との関係を示す波形図である。
【図22】第2実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図23】第2実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の動作を説明するための各部の信号の波形図である。
【図24】第2実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路において、乗算器やレーザ駆動重畳電流生成回路の各利得を調整した際の投影映像信号と高周波信号の振幅との関係を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置、全般に関する説明
2.本開示が適用されるプロジェクタ装置のシステム構成
3.本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成
4.第1実施形態(レーザ駆動映像電流生成回路の入力側で重畳処理を行う場合の例)
4−1.実施例1
4−2.実施例2
4−3.実施例3
4−4.実施例4
5.第2実施形態(レーザ駆動映像電流生成回路の出力側で重畳処理を行う場合の例)
5−1.実施例1
5−2.実施例2
5−3.実施例3
5−4.実施例4
5−5.変形例
6.本開示の構成
【0011】
<1.本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置、全般に関する説明>
本開示のレーザ駆動回路は、波長の異なるレーザ光(以下、「レーザビーム」と記述する場合もある)を出射する複数のレーザ光源を駆動するためのものである。複数のレーザ光源としては、通常、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三種類の波長のレーザ光を出射するRGBの3つのレーザ光源を用いることができる。レーザ光源としては、小型で効率の良い半導体レーザを用いるのが望ましい。但し、半導体レーザは一例であって、レーザ光源としては、半導体レーザに限られるものではない。
【0012】
本開示のレーザ駆動回路は、映像信号を入力とし、当該映像信号を増幅して各レーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を生成する。このレーザ駆動電流の生成に当たって、本開示の技術は、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号をレーザ駆動電流に重畳する、所謂、高周波重畳の技術を用いるレーザ駆動回路及びレーザ駆動方法に関する。そして、高周波重畳の技術を用いる、本開示のレーザ駆動回路及びレーザ駆動方法は、レーザ光を用いる装置全般に対して用いることができる。
【0013】
レーザ光を用いる装置、特に、本開示のレーザ駆動回路及びレーザ駆動方法を用いる装置としては、レーザディスプレイ、特に、レーザディスプレイ装置の一種である、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ装置を例示することができる。但し、本開示の技術は、プロジェクタ装置への適用に限られるものではなく、レーザ光を用いる装置全般に対して適用可能である。プロジェクタ装置以外のレーザディスプレイとして、ヘッドマウントディスプレイ、レーザ液晶TV、有機レーザTV、立体(三次元)ディスプレイなどを例示することができる。
【0014】
本開示のレーザ駆動回路は、波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路を有する。このレーザ駆動映像電流生成回路で生成するレーザ駆動電流に対して、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する処理を行うことになる。レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理としては、複数のレーザ駆動映像電流生成回路の入力側で行う処理と、複数のレーザ駆動映像電流生成回路の出力側で行う処理とが考えられる。いずれの処理も、高周波重畳部によって行われる。
【0015】
(レーザ駆動映像電流生成回路の入力側での重畳処理)
複数のレーザ駆動映像電流生成回路の入力側においてレーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理として、これらレーザ駆動映像電流生成回路に入力する映像信号を高周波信号に応じてスイッチングする手法を採ることができる。
【0016】
一例として、複数のレーザ駆動映像電流生成回路毎に増幅/減衰器を設ける。これら増幅/減衰器は、入力される映像信号を基に振幅の異なる複数の映像信号を生成する機能をもつ。そして、複数の増幅/減衰器が生成した複数の映像信号を高周波信号に応じて選択(スイッチング)する。これにより、複数の映像信号のレベルに応じた振幅を持つ高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。
【0017】
また、増幅/減衰器を設けずに、入力される映像信号を直接高周波信号に応じてスイッチングするようにすることもできる。このとき、入力される映像信号と所定の電位(例えば、接地レベル)との間で、高周波信号に応じてスイッチングするようにすればよい。この場合、レーザ駆動電流に重畳される高周波信号の振幅を、増幅/減衰器を用いる上記の例の場合と同程度にする必要がある場合には、入力される映像信号のレベルを予め調整するようにすればよい。
【0018】
いずれの場合にも、入力される映像信号のレベルに応じた振幅をもつ高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。これにより、入力される映像信号のレベルがゼロの部分では当該映像信号に重畳する高周波信号の振幅をゼロとすることができるため、輝度をゼロにすることができる。しかも、スペックルノイズが目立ち易い映像の明るい部分ほど、重畳する高周波信号の振幅をより大きくすることができるため、スペックルノイズの低減効果を高めることができる。
【0019】
(レーザ駆動映像電流生成回路の出力側での重畳処理)
複数のレーザ駆動映像電流生成回路の出力側においてレーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理に当たって、複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成したレーザ駆動電流を通過/遮断する機能をもつレーザ駆動電流スイッチを設ける。そして、当該レーザ駆動電流スイッチの通過/遮断の制御を高周波信号に応じて行う。これにより、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することができる。
【0020】
あるいは、高周波信号を増幅するレーザ駆動重畳電流生成回路を設け、当該レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を、複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成したレーザ駆動電流に加算する手法を採ることもできる。この手法によっても、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することができる。
【0021】
この手法を採る場合、好ましくは、レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を通過/遮断する機能をもつ重畳電流スイッチと、所定の閾値に対する映像信号のレベルの大小を判定するレベル比較器とを設けるようにする。そして、映像信号のレベルが所定の閾値以上の場合に重畳電流スイッチを導通状態にして、レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流をレーザ駆動電流に加算するようにする。
【0022】
このようにすることで、映像信号のレベルが所定の閾値に達しない場合、例えば、映像信号のレベルがゼロの場合には、重畳電流スイッチが非導通(オフ)状態になることによって高周波信号の重畳処理が行われない。これにより、輝度をゼロまで落とす(下げる)ことができる。
【0023】
あるいは、重畳電流スイッチ及びレベル比較器を設ける代わりに、映像信号と高周波信号とを乗算する乗算器を設けるようにする。乗算器は、映像信号と高周波信号とを乗算することによって映像信号のレベルに応じた振幅をもつ高周波信号を生成する。この乗算器が生成した高周波信号をレーザ駆動重畳電流生成回路に入力することで、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することができる。このとき、乗算器及びレーザ駆動重畳電流生成回路の利得を調整可能とすることができる。
【0024】
いずれの場合にも、入力される映像信号のレベルに応じた振幅をもつ高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。これにより、入力される映像信号のレベルがゼロの部分では当該映像信号に重畳する高周波信号の振幅をゼロとすることができるため、輝度をゼロにすることができる。しかも、スペックルノイズが目立ち易い映像の明るい部分ほど、重畳する高周波信号の振幅をより大きくすることができるため、スペックルノイズを低減する効果を高めることができる。
【0025】
(高周波信号の信号源)
レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を、複数のレーザ駆動映像電流生成回路の入力側で行う場合、出力側で行う場合のいずれの場合にも、高周波信号の信号源として、レーザ駆動回路に内蔵の発振器を用いることができる。あるいは又、内蔵の発振器に代えて、入力される映像信号に同期した状態でレーザ駆動回路の外部から入力されるクロック信号を受信する受信器を用いることができる。
【0026】
外部から入力されるクロック信号としては、入力される映像信号の周波数帯域よりも高い周波数をもち、かつ、映像信号の明暗を繰り返す最小単位の周期に同期した、即ち、映像信号に同期したクロック信号を用いることができる。ここで、レーザディスプレイ装置の表示原理は、レーザ光の輝度(明暗)をコントロールすることで画像を表示し、レーザ光の強度変調によって階調表現を実現する。従って、映像信号の明暗を繰り返す「最小単位」は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置などのフラットパネルディスプレイにおける画素に相当する。また、「最小単位の周期」は、フラットパネルディスプレイにおける画素周期ということになる。
【0027】
受信器で受信した、映像信号に同期したクロック信号をそのまま高周波信号としてレーザ駆動電流に重畳する他、受信器で受信したクロック信号の周波数を周波数逓倍器で逓倍し、この逓倍したクロック信号をレーザ駆動電流に重畳するようにすることもできる。このとき、周波数逓倍器は、受信器で受信したクロック信号の整数倍の周波数をもち、かつ、当該クロック信号に同期した高周波信号を生成するのが好ましい。
【0028】
高周波信号の信号源を、映像信号に同期したクロック信号を外部から受信する受信器とし、当該クロック信号を高周波信号として用いることで、映像信号とレーザ駆動電流に重畳する高周波信号とを同期させることができる。これにより、映像信号と高周波信号との混変調に伴う折返し成分による画質劣化を回避することができる。
【0029】
<2.本開示が適用されるプロジェクタ装置のシステム構成>
本開示のレーザ光を用いた装置として、本開示が適用されるプロジェクタ装置、より具体的には、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタを例示し、以下に、その構成について説明する。
【0030】
図1は、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタの構成の一例を示すシステム構成図である。本例に係るプロジェクタ10は、ビデオ信号処理回路11、レーザ駆動回路12、光源部13、スキャナ部14、受光素子15、及び、スキャナ駆動回路16を有する構成となっている。
【0031】
ビデオ信号処理回路11は、ビデオ・デコーダ11、フレームメモリ112、クロック生成部113、レーザ制御部114、及び、システム制御部115によって構成され、入力される映像信号からスキャナ部14のスキャナ動作に同期し、レーザ光の波長などの特性に応じた映像信号を生成する。このようなレーザを駆動するための映像信号を、本明細書では「投影映像信号」と呼ぶこととする。
【0032】
ビデオ信号処理回路11についてより具体的に説明する。ビデオ信号処理回路11において、入力段のビデオ・デコーダ11は、入力される映像信号を光源部13の各光源の波長に応じた映像信号に変換(色域変換)する。フレームメモリ112は、ビデオ・デコーダ11から与えられる色域変換後の映像信号を一旦格納する。クロック生成部113は、スキャナ部14のスキャナ動作に同期した投影映像クロック信号を生成する。この投影映像クロック信号は、フレームメモリ112及びレーザ制御部114に与えられる。
【0033】
フレームメモリ112は、投影映像クロック信号を受けることで、当該投影映像クロック信号に同期して、格納している映像信号を読み出す。これにより、フレームメモリ112から読み出される映像信号は、スキャナ部14のスキャナ動作に同期した映像信号となる。レーザ制御部114は、受光素子15から与えられるレーザパワーモニタ信号に基づいて、光源部13の各光源の発光パワーを監視することで、入力される映像信号通りにレーザ光が発光するような投影映像信号を生成する。システム制御部115は、CPUなどによって構成され、本システム全体の制御を司る。
【0034】
レーザ制御部114で生成された投影映像信号は、レーザ駆動回路12に供給される。レーザ駆動回路12には、投影映像信号の他、後述する電流制御信号がビデオ信号処理回路11から供給される。また、レーザ駆動回路12にはビデオ信号処理回路11から、必要に応じて、クロック生成部113で生成された投影映像クロック信号が供給される。ここで、「必要に応じて」とは、後述するように、高周波信号の信号源を映像信号に同期させる際に投影映像クロック信号を用いる場合などである。
【0035】
レーザ駆動回路12は、各波長に応じた投影映像信号にしたがって光源部13の各光源を駆動する。このレーザ駆動回路12は、本開示の特徴とする部分であり、その基本的な構成や具体的な実施形態については後述する。
【0036】
光源部13は、複数の光源、例えば3つの光源を有する。これらの光源としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の波長のレーザ光を出射するレーザ光源131R,131G,131Bを用いている。図1では、赤色のレーザ光を実線で示し、緑色のレーザ光を一点鎖線で示し、青色のレーザ光を破線で示している。レーザ光源131R,131G,131Bとしては、特に、小型で効率の良い半導体レーザを用いるのが望ましい。
【0037】
レーザ光源131R,131G,131Bの各出射光は、各々の波長に対応した投影映像信号によって変調される。具体的には、入力される映像信号に応じた画像を表示するためにレーザ光の輝度(明暗)をコントロールするとともに、階調表現を実現するためにレーザ光の強度を変調する。レーザ光源131R,131G,131Bから出射された各レーザ光は、コリメートレンズ132R,132G,132Bによってほぼ平行光にされた後、ビーム・スプリッタ133R,133G,133Bなどによって1本のレーザ光に束ねられる。
【0038】
この束ねられた1本のレーザ光は、スキャナ部14に至る光路の途中に配されたビーム・スプリッタ17によって一部が反射される。この反射されたレーザビームは、受光素子15に入射する。受光素子15は、入射するレーザ光を基に、光源部13の各レーザ光源131R,131G,131Bの発光パワーを示すレーザパワーモニタ信号を出力し、ビデオ信号処理回路11のレーザ制御部114に供給する。
【0039】
ビーム・スプリッタ17を通過したレーザ光は、スキャナ部14に入射する。スキャナ部14は、例えば、1つの2軸スキャナ141を用いて構成されている。入射したレーザ光は、2軸スキャナ141によって水平及び垂直方向に照射角度に変調が加えられてからスクリーン(図示せず)に投影される。尚、ここでは、スキャナ部14として、1つの2軸スキャナ141で水平・垂直の両方向に走査する例を示しているが、1軸スキャナを2つ用いて水平方向及び垂直方向に走査する構成であってもよい。
【0040】
通常、スキャナ部14には、2軸スキャナ141などの照射角度を検出するセンサが内蔵されており、当該センサから水平・垂直それぞれの角度信号が出力される。これらの角度信号は、スキャナ駆動回路16に入力される。
【0041】
スキャナ駆動回路16は、駆動回路161,162、バッファ163,164、アンプ165、及び、位相シフト回路166などによって構成され、水平角度信号及び垂直角度信号を見ながら、所望の照射角度になるように2軸スキャナ141を駆動する。例えば、図2に示すような走査(所謂、ラスター走査)を行う場合、水平方向には正弦波状に駆動する一方、垂直方向には映像信号のフレームレートに同期した、のこぎり波状の波形で駆動する。
【0042】
ところで、レーザを光源とするプロジェクタ装置の課題として、スクリーン上の映像に無数の斑点が見えるスペックルノイズが挙げられる。スペックルノイズは、図3のモデルで説明される。すなわち、プロジェクタ装置から出射されたレーザ光は、スクリーンで反射された後、目に入射して網膜上に結像する。このとき、スクリーンがもつ微小な凹凸によってレーザ光源から網膜上に結像するまでの光路長はランダムに変化する。
【0043】
レーザ光のような波長・位相が揃ったコヒーレントな光を光源とする場合、光路長の変化に応じて位相の異なる複数の光が目に入射し、それらの光が干渉して強度がランダムに分布する干渉縞が生じる。この干渉縞が、無数に見える斑点、即ち、スペックルノイズである。そして、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減するために為されたのが、本開示の技術である。
【0044】
<3.本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成>
続いて、本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成について説明する。図4は、図1に示すレーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ10に用いられるレーザ駆動回路12、即ち、本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成を示すブロック図である。
【0045】
前にも述べたように、光源として、通常、赤色、緑色、青色の三種類のレーザ光源131R,131G,131Bが用いられる。これに対応して、レーザ駆動回路12は、光源の数に応じた数の駆動部102R,102G,102Bを備える。また、先述したように、スキャナ部14のスキャナ141の動きに同期した、三種類のレーザ光の各波長に応じた投影映像信号が、レーザ駆動回路12に入力される。
【0046】
駆動部102R,102G,102Bは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B及びベース電流生成回路122R,122G,122Bを有する構成となっている。ここでは、赤色のレーザ駆動映像電流生成回路121R及びベース電流生成回路122Rの構成について具体的に説明するが、緑色、青色のレーザ駆動映像電流生成回路121G,121B及びベース電流生成回路122G,122Bの各構成についても同様である。
【0047】
レーザ駆動映像電流生成回路121Rは、入力された投影映像信号を、レーザ光の発光に必要な電流値まで増幅し、赤色のレーザ光源131Rを駆動するレーザ駆動電流として出力する。ここで、レーザ駆動回路12に入力される投影映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0048】
投影映像信号がデジタル信号で入力される場合は、レーザ駆動映像電流生成回路121Rとして、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル/アナログ変換機能を有する回路を用いることになる。その際、ビデオ信号処理回路11からレーザ駆動回路12に与えられる映像電流制御信号が、デジタル/アナログ変換におけるフルスケール電流を制御する。
【0049】
尚、図4では、レーザ光源131R,131G,131Bである例えば半導体レーザのアノードに電流を流し込む回路構成となっているが、カソードから電流を引き込む回路構成であってもよい。いずれの回路構成を採るかは任意である。
【0050】
ところで、半導体レーザは、図5に示すような電流−光出力特性をもっており、閾値電流までは光パワーは出力されない。ベース電流生成回路122Rは、図5に示すように、レーザ光源131Rに対して閾値電流分を供給することに用いられる。このように、ベース電流生成回路122Rからレーザ光源131Rに閾値電流分を供給することにより、レーザ駆動映像電流生成回路121Rのダイナミックレンジを有効に使うことができる。
【0051】
尚、ベース電流生成回路122Rの有無については本開示の技術とは直接関係しないので、図面などの簡略化のために、以降、実施形態の説明及び図面ではベース電流生成回路122Rについては省略するものとする。
【0052】
上記構成のレーザ駆動回路12において、本開示では、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bで生成するレーザ駆動電流に対して、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳することを特徴としている。
【0053】
高周波信号を重畳するに当たっては、図6に示すように、半導体レーザの閾値電流をまたぐような振幅で変調をかけることになる。図7に、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することによるレーザ出力光の波長スペクトラムの変化を示す。半導体レーザは、本来、図7(A)に示すように、単一モード(シングルモード)で発振する。この場合、レーザ光の可干渉性は強い(高い)。
【0054】
これに対し、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することにより、図7(B)に示すように、レーザは多くの波長成分を含む多モード(マルチモード)で発振する。この場合、レーザ光の可干渉性は弱くなる(下がる)。一般に、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅が大きくなるほど、波長スペクトラムはより広くなる傾向にある。
【0055】
上述したように、入力される映像信号に基づくレーザ駆動電流に高周波信号を重畳し、この高周波信号を重畳したレーザ駆動電流によってレーザ光源を駆動することにより、レーザ光源から出射されるレーザ光の波長スペクトラムが広がるため可干渉性が下がる。その結果、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができる。
【0056】
ところで、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理としては、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの入力側で行う処理と、複数のレーザ駆動映像電流生成回路の出力側で行う処理とが考えられる。以下に、入力側で行う構成に関して第1実施形態として、出力側で行う構成に関して第2実施形態として具体的に説明する。
【0057】
<4.第1実施形態>
第1実施形態では、複数のレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの入力側において、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を行う。具体的には、これらレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bに入力する映像信号(投影映像信号)を高周波信号に応じてスイッチングする。以下に、投影映像信号を高周波信号に応じてスイッチングするための具体的な実施例について説明する。
【0058】
[4−1.実施例1]
図8は、第1実施形態の実施例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例1に係るレーザ駆動回路12Aは、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号の信号源として、当該レーザ駆動回路12Aに内蔵の発振器(重畳信号発振器)123を用いている。また、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎にそれらの入力側に、複数(本例では、2つ)の増幅/減衰器124A,124Bと、2入力1出力のスイッチ(映像信号スイッチ)125とを備えている。
【0059】
重畳信号発振器123、増幅/減衰器124A,124B、及び、映像信号スイッチ125は、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bが生成するレーザ駆動電流に対して高周波信号を重畳する高周波重畳部を構成している。レーザ駆動回路におけるレーザ駆動映像電流生成回路及び高周波重畳部は、本開示のレーザ駆動方法にあっては、レーザ駆動映像電流生成ステップ及び高周波重畳ステップということになる。以下に説明する各実施例でも同様とする。
【0060】
ここでは、赤色側の増幅/減衰器124A-R,124B-R、映像信号スイッチ125Rの機能について具体的に説明するが、緑色側の増幅/減衰器124A-G,124B-G、映像信号スイッチ125Gの機能、及び、青色側の増幅/減衰器124A-B,124B-B、映像信号スイッチ125Bの機能についても同様である。
【0061】
2つの増幅/減衰器124A-R,124B-Rは、各々異なる利得をもち、入力される投影映像信号を基に振幅が異なる2つの投影映像信号を生成する。この2つの投影映像信号は、映像信号スイッチ125Rの2入力となる。映像信号スイッチ125Rは、重畳信号発振器123から与えられる高周波信号に応じて、2つの増幅/減衰器124A-R,124B-Rが生成した2つの投影映像信号を選択(スイッチング)する。
【0062】
上記の構成により、映像信号スイッチ125Rは、重畳信号発振器123が出力する高周波信号のH/Lに応じて、振幅の異なる2つの投影映像信号を選択することができる。ここで、Hは高周波信号の高レベルを意味し、Lは高周波信号の低レベルを意味する。例えば、2つの増幅/減衰器124A-R,124B-Rの一方の利得を2倍、他方の利得を0倍とした場合、図9に示すような、高周波信号が重畳された投影映像信号が生成され、レーザ駆動映像電流生成回路121Rに入力される。
【0063】
レーザ駆動映像電流生成回路121Rは、高周波信号が重畳された投影映像信号を、レーザ光源131Rの駆動に必要な電流値まで増幅し、レーザ駆動電流としてレーザ光源131Rに供給する。このとき、レーザ駆動電流は、高周波信号が重畳された電流としてレーザ光源131Rに供給され、当該レーザ光源131Rを駆動する。
【0064】
レーザ駆動電流に重畳される高周波信号の振幅は、2つの増幅/減衰器124A-R,124B-Rの利得によって任意に設定することができる。別の例として、2つの増幅/減衰器124A-R,124B-Rの一方の利得を1.75倍、他方の利得を0.25倍とした場合には、図10に示すような、図9の場合に比べて高周波信号の振幅を小さくした投影映像信号、ひいては、レーザ駆動電流を生成することができる。
【0065】
上述したように、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aによれば、図9や図10に示すように、その振幅が投影映像信号のレベルに比例するような高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。これにより、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなるため、輝度がゼロとなるべき部分でレーザ光が発光してしまうというような不具合を回避できる。また、投影映像信号のレベルがゼロの状態では、レーザ光が発光していないことから、スペックルノイズの問題は起こらない。従って、レーザ駆動電流に対する高周波信号の重畳処理は不要である。
【0066】
一方、投影映像信号のレベルが大きくなるほどスペックルノイズが目立つようになる。それに対しては、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなり、スペックルノイズを低減する効果を強める(高める)ように作用する。
【0067】
尚、本回路例においては、各波長のレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bに対して、1つの重畳信号発振器123を共通に設けた構成を採っているが、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎に重畳信号発振器123を設ける構成を採ることもできる。
【0068】
図9のレーザ駆動電流の波形では、重畳された高周波信号を正弦波状に描いているが、重畳信号発振器123は本来矩形波の高周波信号を発振する。そして、レーザ駆動回路12の各回路部分の周波数帯域に制限がなければ、レーザ駆動電流に重畳される高周波信号は矩形波になる。しかし、高周波重畳に用いられる周波数は通常300[MHz]程度と高く、レーザ駆動映像電流生成回路121の帯域制限などにより、矩形波の高周波信号はなまって正弦波状になることが多い。以下に説明する各実施例でも同様である。
【0069】
[4−2.実施例2]
図11は、第1実施形態の実施例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例2に係るレーザ駆動回路12Bは、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aにおける2つの増幅/減衰器124A,124Bを省略し、入力される投影映像信号を直接高周波信号に応じてスイッチングする回路構成となっている。
【0070】
この場合、映像信号スイッチ125(125R,125G,125B)は、入力される投影映像信号を直接一方の入力とし、所定の電位、例えば接地(GND)レベルを他方の入力とする。これにより、映像信号スイッチ125は、重畳信号発生器123から与えられる高周波信号に応じて、投影映像信号と接地レベルとの間でスイッチングすることになる。その結果、図12に示すように、例えば図9に比べて振幅が1/2の高周波信号が投影映像信号、ひいてはレーザ駆動電流に重畳されることになる。
【0071】
実施例2に係るレーザ駆動回路12Bによれば、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aに比べて、2つの増幅/減衰器124A,124Bを省いた分だけ回路構成の簡略化を図ることできる。そして、2つの増幅/減衰器124A,124Bが存在しなくても、基本的に、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aと同等の作用、効果を得ることができる。
【0072】
但し、図12と図9との対比から明らかなように、レーザ駆動電流に重畳される高周波信号の振幅が1/2になる。図9の場合と同等の振幅の高周波信号を重畳する必要があるのであれば、投影映像信号のレベル、即ち、図1のビデオ信号処理回路11に入力される映像信号のレベルを予め2倍に調整しておけばよい。
【0073】
[4−3.実施例3]
図13は、第1実施形態の実施例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例3に係るレーザ駆動回路12Cは、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aにおける内蔵の重畳信号発振器123に代えて、受信器126を用いた構成となっている。受信器126は、外部から入力される、具体的には、図1のビデオ信号処理回路11から与えられる投影映像クロックを受信する。
【0074】
投影映像クロックは、投影映像信号の周波数帯域よりも高い周波数をもち、かつ、映像信号の明暗を繰り返す最小単位の周期に同期した、即ち、映像信号に同期したクロック信号である。前にも述べたように、映像信号の明暗を繰り返す「最小単位」は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置などのフラットパネルディスプレイにおける画素に相当する。また、「最小単位の周期」は、フラットパネルディスプレイにおける画素周期ということになる。
【0075】
受信器126は、外部から入力される投影映像クロックを受信し、当該投影映像クロックをレーザ駆動電流に重畳する高周波信号として映像信号スイッチ125(125R,125G,125B)に供給する。すなわち、受信器126は、投影映像信号の周波数帯域よりも高い周波数をもつ高周波数信号の信号源となっている。
【0076】
上記の構成において、映像信号スイッチ125(125R,125G,125B)は、受信器126から与えられる投影映像クロックのH/Lに応じてオン(閉)/オフ(開)動作を行うことで、振幅の異なる2つの投影映像信号を選択する。これにより、実施例1の場合と同様に、その振幅が投影映像信号のレベルに比例するような高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。その結果、実施例1と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなり、また、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなるため、スペックルノイズを低減する効果を強めることができる。
【0077】
ところで、実施例1,2の場合は、高周波信号の信号源として内蔵の重畳信号発振器123を用いており、当該重畳信号発振器123は投影映像信号から独立している。そのため、重畳信号発振器123が生成する高周波信号は、投影映像信号とは非同期の信号となっている。
【0078】
ここで、理解を容易にするために、投影映像信号の明暗を繰り返す最小単位を「画素単位」と呼ぶこととする。画素単位で明暗を繰り返す投影映像信号に、内蔵の重畳信号発振器123で生成した高周波信号を重畳したときのレーザ駆動電流の例を図14に示す。この例は、1画素区間に対して、高周波信号が2.75周期の場合の例である。
【0079】
入力される投影映像信号は、明区間ですべて同一のレベルを持っている。高周波信号によるレーザ光の発光は3回と2.5回を繰り返しており、明区間は一つおきに輝度変化を生じてしまっている。図14のレーザ駆動電流の波形において、一点鎖線は平均電流を表わしており、その平均電流の差が輝度差となる。
【0080】
これは、画素周波数をfvとしたとき、高周波信号の周波数fhがfh=5.5*fvの例であるが、画素周波数の5倍の高調波:5*fvと高周波信号周波数:5.5*fvと差分とみなすことができる。
【0081】
これに対して、本実施例3に係るレーザ駆動回路12Cによれば、投影映像信号と同期した投影映像クロックを高周波信号としてレーザ駆動電流に重畳することができる。1画素区間に対して高周波信号が3.0周期の場合の例を図15に示す。図15から明らかなように、投影映像信号と同期した高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することで、1画素区間の高周波信号によるレーザ光の発光の回数は常に一定となるため、非同期の場合にみられた輝度変動を生じる懸念がないことがわかる。
【0082】
この外部から入力される投影映像クロックを受信する受信器126を用いる技術は、実施例1に適用したものであるが、実施例1にのみならず、実施例2に対しても同様に適用することができる。
【0083】
[4−4.実施例4]
図16は、第1実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例4に係るレーザ駆動回路12Dは、実施例3に係るレーザ駆動回路12Cにおける受信器126の後段に周波数逓倍器127を設けた構成となっている。周波数逓倍器127は、PLL回路などによって構成され、受信器126が受信した投影映像クロックを、当該投影映像クロックの整数倍の周波数をもち、かつ、投影映像クロックに同期したクロック信号を高周波信号として生成する。
【0084】
上記の構成において、映像信号スイッチ125(125R,125G,125B)は、周波数逓倍器127から与えられるクロック信号のH/Lに応じてオン/オフ動作を行うことで、振幅の異なる2つの投影映像信号を選択する。これにより、実施例1の場合と同様に、その振幅が投影映像信号のレベルに比例するような高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。
【0085】
その結果、実施例1と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなり、また、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなるため、スペックルノイズを低減する効果を強めることができる。
【0086】
ここで、受信器126の後段に周波数逓倍器127を配することによる作用、効果について、実施例3と対比して説明する。
【0087】
実施例3では、投影映像信号の画素周波数に同期し、かつ、スペックルノイズの低減効果の高い周波数をもつ投影映像クロックを、図1のビデオ信号処理回路11で生成する必要があった。これに対して、実施例4に係るレーザ駆動回路12Dによれば、投影映像クロックは投影映像信号の画素周波数に同期していればよく、周波数逓倍器127の作用によってレーザ駆動回路12D内でスペックルノイズの低減効果の高い周波数の高周波信号を生成することができる。従って、スペックルノイズの低減効果の高い周波数をもつ投影映像クロックを、ビデオ信号処理回路11で生成し、当該ビデオ信号処理回路11からレーザ駆動回路12Dに伝送する必要がなくなる。
【0088】
<5.第2実施形態>
第2実施形態では、複数のレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側において、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を行う。以下に、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳するための具体的な実施例について説明する。
【0089】
[5−1.実施例1]
図17は、第2実施形態の実施例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例1に係るレーザ駆動回路12Eは、高周波重畳部として、内蔵の重畳信号発振器123の他に、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎にそれらの出力側に、レーザ駆動電流スイッチ181(181R,181G,181B)を備えた構成となっている。レーザ駆動電流スイッチ181R,181G,181Bは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bが生成したレーザ駆動電流を通過/遮断する機能をもつ。
【0090】
上記構成のレーザ駆動回路12Eにおいて、レーザ駆動電流スイッチ181の通過/遮断の制御を、重畳信号発振器123から与えられる高周波信号に応じて行うことで、当該高周波信号をレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bが生成したレーザ駆動電流に重畳することができる。
【0091】
この場合も、第1実施形態の実施例1の場合と同様に、その振幅が投影映像信号のレベルに比例するように高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる(図9参照)。その結果、第1実施形態の実施例1の場合と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなり、また、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなるため、スペックルノイズを低減する効果を強めることができる。
【0092】
[5−2.実施例2]
図18は、第2実施形態の実施例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例2に係るレーザ駆動回路12Fは、高周波重畳部として、内蔵の重畳信号発振器123の他に、当該重畳信号発振器123から与えられる高周波信号を増幅するレーザ駆動重畳電流生成回路182(182R,182G,182B)を備えた構成となっている。このレーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bは、その出力端がレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側の接続ノードNR,NG,NBに接続されている。
【0093】
上記構成のレーザ駆動回路12Fにおいて、重畳信号発振器123から出力される高周波信号は、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bによってレーザ光源131R,131G,131Bの駆動に必要なレベルまで増幅される。そして、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bから出力される高周波電流は、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力電流、即ち、レーザ駆動電流と接続ノードNR,NG,NBで加算され、レーザ光源131R,131G,131Bに供給される。
【0094】
本実施例2に係るレーザ駆動回路12Fの場合には、図19に示すように、投影映像信号のレベルによらず、一定の振幅の高周波電流がレーザ駆動電流に重畳される。これにより、高周波信号の振幅が投影映像信号のレベルに比例するように重畳される場合のような効果は得られないものの、高周波重畳による効果、即ち、レーザ光の波長スペクトラムが広がり、可干渉性が下がることによるスペックルノイズの低減効果を得ることができる。
【0095】
但し、レーザ駆動電流に一定の振幅の高周波電流が重畳されると、負の電流を流すことができないので、図19に破線で示すように、レーザ駆動電流として負の電流が切られたような波形が得られる。この場合、投影映像信号のレベルがゼロでも高周波信号の正側の振幅が重畳されてしまい、レーザ光が発光してしまうため、輝度がゼロまで下がらず、映像のコントラストを損なう懸念がある。
【0096】
[5−3.実施例3]
図20は、第2実施形態の実施例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例3に係るレーザ駆動回路12Gは、高周波重畳部として、内蔵の重畳信号発振器123、レーザ駆動重畳電流生成回路182の他に、レベル比較器183及び重畳電流スイッチ184をレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎に備えた構成となっている。
【0097】
レベル比較器183(183R,183G,183B)は、入力される投影映像信号のレベルの、所定の閾値に対する大小を判定する機能をもつ。所定の閾値は、投影映像信号レベルの判定閾値であり、投影映像信号のゼロレベルの近傍の値に設定される。ここで、「ゼロレベルの近傍」とは、ゼロレベルを多少前後するレベルの他、ゼロレベルも含む。投影映像信号のゼロレベルの検出に当たって、所定の閾値について、設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0098】
重畳電流スイッチ184R,184G,184Bは、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの出力端と、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力端との間に接続されている。重畳電流スイッチ184R,184G,184Bは、レベル比較器183R,183G,183Bの比較結果(判定結果)に応じてオン(閉)/オフ(開)動作を行う。
【0099】
上記構成のレーザ駆動回路12Gにおいて、レベル比較器183は、映像信号のレベルが、所定の閾値を超えると判定すると、その判定結果によって重畳電流スイッチ184を導通(オン)状態にする。これにより、レーザ駆動重畳電流生成回路182から出力される高周波電流が重畳電流スイッチ184を通過し、レーザ駆動映像電流生成回路121から出力されるレーザ駆動電流に加算(重畳)される。
【0100】
本実施例3に係るレーザ駆動回路12Gによれば、高周波重畳による効果に加えて、レベル比較器183の作用により、投影映像信号のレベルがゼロ(所定の閾値以下)であることを検出したときに、図21に示すように、高周波信号をレーザ駆動電流に重畳しないようにすることができる。その結果、投影映像信号のレベルがゼロの場合には、レーザ光が発光することはないため、輝度をゼロまで下げることができる。
【0101】
[5−4.実施例4]
図22は、第2実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例4に係るレーザ駆動回路12Hは、実施例3に係るレーザ駆動回路12Gにおけるレベル比較器183及び重畳電流スイッチ184に代えて、乗算器185(185R,185G,185B)をレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎に備えた構成となっている。
【0102】
乗算器185R,185G,185Bは、重畳信号発振器123から出力される高周波信号と、各波長の投影映像信号とを入力とし、これらを乗算する。乗算器185R,185G,185Bの各出力信号は、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bに入力される。レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bは、乗算器185R,185G,185Bの各出力信号を、レーザ駆動に必要なレベルまで増幅する。レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの各出力電流は、接続ノードNR,NG,NBでレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの各出力電流と加算される。
【0103】
上記構成の実施例4に係るレーザ駆動回路12Hにおいて、レーザ駆動電流に高周波信号が重畳される過程について、図23の波形図を用いて説明する。
【0104】
乗算器185には、投影映像信号(A)と、重畳信号発振器123が生成した高周波信号(B)とが入力される。これら2つの信号(A),(B)が乗算器185によって乗算された結果、乗算器185の出力信号(C)は、投影映像信号(A)のレベルに応じて振幅が変化する高周波信号となる。
【0105】
一方、レーザ駆動映像電流生成回路121からは、投影映像信号に基づくレーザ駆動電流(D)が出力されている。そして、接続ノードNR,NG,NBにおいて、乗算器185の出力信号、即ち、レーザ駆動重畳電流生成回路182の出力電流(C)と、レーザ駆動電流(D)とが加算される。これにより、第1実施形態の実施例1の場合(図9参照)と同様に、投影映像信号のレベルに応じて振幅が変化する高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる(図23(E))。
【0106】
その結果、第1実施形態の実施例1の場合と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなり、また、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなるため、スペックルノイズを低減する効果を強めることができる。
【0107】
ここで、乗算器185R,185G,185Bや、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの各利得を調整可能な構成とし、これら利得を調整することにより、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅を変えることができる。例えば、加算する高周波信号の振幅を相対的にやや小さめに設定することにより、図24に示すように、図23(E)の場合よりもやや小さい振幅で高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。
【0108】
この場合、乗算器185R,185G,185B及びレーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの両方の利得を調整可能な構成の他、どちらか一方の利得を調整可能な構成とすることもできる。
【0109】
[5−5.変形例]
以上説明した第2実施形態の実施例1〜実施例4ではいずれも、高周波信号の信号源として、レーザ駆動回路12に内蔵の発振器123を用いる構成としたが、第1実施形態の実施例3のような構成(図13参照)を採るようにしてもよい。すなわち、外部から入力される投影映像クロックを受信する受信器126を高周波信号の信号源として用い、投影映像信号と同期した投影映像クロックを高周波信号としてレーザ駆動電流に重畳するようにしてもよい。
【0110】
<6.本開示の構成>
尚、本開示は以下のような構成を採ることができる。
(1)波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳部と
を備えるレーザ駆動回路。
(2)前記高周波重畳部は、前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路の入力側において前記レーザ駆動電流に対して前記高周波信号を重畳する処理を行う
前記(1)に記載のレーザ駆動回路。
(3)前記高周波重畳部は、前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路に入力する映像信号を前記高周波信号に応じてスイッチングすることにより、当該高周波信号を前記レーザ駆動電流に重畳する
前記(2)に記載のレーザ駆動回路。
(4)前記高周波重畳部は、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路毎に、入力される映像信号を基に振幅の異なる複数の映像信号を生成する複数の増幅/減衰器を有し、
前記複数の映像信号を前記高周波信号に応じて選択することにより、前記複数の映像信号のレベルに応じた振幅を持つ高周波信号を前記レーザ駆動電流に重畳する
前記(3)に記載のレーザ駆動回路。
(5)前記高周波重畳部は、前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路の出力側において前記レーザ駆動電流に対して前記高周波信号を重畳する処理を行う
前記(1)に記載のレーザ駆動回路。
(6)前記高周波重畳部は、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成したレーザ駆動電流を通過/遮断する機能をもつレーザ駆動電流スイッチを有し、
前記高周波信号に応じて前記レーザ駆動電流スイッチの通過/遮断の制御を行うことにより、前記レーザ駆動電流に前記高周波信号を重畳する
前記(5)に記載のレーザ駆動回路。
(7)前記高周波重畳部は、
前記高周波信号を増幅するレーザ駆動重畳電流生成回路を有し、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成したレーザ駆動電流に前記レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を加算することにより、前記レーザ駆動電流に前記高周波信号を重畳する
前記(5)に記載のレーザ駆動回路。
(8)前記高周波重畳部は、
前記レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を通過/遮断する機能をもつ重畳電流スイッチと、
所定の閾値に対する前記映像信号のレベルの大小を判定するレベル比較器とを有し、
前記映像信号のレベルが前記所定の閾値を超える場合に前記重畳電流スイッチを導通状態にして、前記レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を前記レーザ駆動電流に加算する
前記(7)に記載のレーザ駆動回路。
(9)前記高周波重畳部は、
前記映像信号と前記高周波信号とを乗算することによって前記映像信号のレベルに応じた振幅をもつ高周波信号を生成する乗算器を有し、
前記乗算器が生成した高周波信号を前記レーザ駆動重畳電流生成回路に入力する
前記(7)に記載のレーザ駆動回路。
(10)前記乗算器は、利得が調整可能である
前記(9)に記載のレーザ駆動回路。
(11)前記レーザ駆動重畳電流生成回路は、利得が調整可能である
前記(9)に記載のレーザ駆動回路。
(12)前記高周波重畳部は、入力される映像信号のレベルがゼロの部分では当該映像信号に重畳する高周波信号の振幅をゼロとする
前記(1)から前記(6)、前記(8)から前記(11)のいずれかに記載のレーザ駆動回路。
(13)前記高周波重畳部は、レーザ駆動回路に内蔵の発振器を前記高周波信号の信号源として有する
前記(1)から前記(12)のいずれかに記載のレーザ駆動回路。
(14)前記高周波重畳部は、入力される映像信号に同期した状態でレーザ駆動回路の外部から入力されるクロック信号を受信する受信器を前記高周波信号の信号源として有する
前記(1)から前記(12)のいずれかに記載のレーザ駆動回路。
(15)前記クロック信号は、入力される映像信号の周波数帯域よりも高い周波数をもち、かつ、当該映像信号の明暗を繰り返す最小単位の周期に同期している
前記(14)に記載のレーザ駆動回路。
(16)前記高周波重畳部は、前記受信器で受信したクロック信号の周波数を逓倍する周波数逓倍器を有する
前記(14)または前記(15)に記載のレーザ駆動回路。
(17)前記周波数逓倍器は、前記クロック信号の整数倍の周波数をもち、かつ、当該クロック信号に同期した高周波信号を生成する
前記(16)に記載のレーザ駆動回路。
(18)波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成ステップと、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成ステップで生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳ステップと
を有するレーザ駆動方法。
(19)前記高周波重畳ステップでは、入力される映像信号のレベルに応じて前記高周波信号の振幅を変える
前記(18)に記載のレーザ駆動方法。
(20)波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳部と
を備えるレーザ駆動回路を用いる装置。
【符号の説明】
【0111】
10・・・レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ、11・・・ビデオ信号処理回路、12(12A〜12I)・・・レーザ駆動回路、13・・・光源部、14・・・スキャナ部、15・・・受光素子、16・・・スキャナ駆動回路、102R,102G,102B・・・駆動部、121R,121G,121B・・・レーザ駆動映像電流生成回路、122R,122G,122B・・・ベース電流生成回路、123・・・重畳信号発振器、124A_R,124B_R,124A_G,124B_G,124A_B,124B_B・・・増幅/減衰器、125R,125G,125B・・・映像信号スイッチ、126・・・受信器、127・・・周波数逓倍器、131R,131G,131B・・・レーザ光源、181R,181G,181B・・・レーザ駆動電流スイッチ、182R,182G,182B・・・レーザ駆動重畳電流生成回路、183R,183G,183B・・・レベル比較器、184R,184G,184B・・・重畳電流スイッチ、185R,185G,185B・・・乗算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳部と
を備えるレーザ駆動回路。
【請求項2】
前記高周波重畳部は、前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路の入力側において前記レーザ駆動電流に対して前記高周波信号を重畳する処理を行う
請求項1に記載のレーザ駆動回路。
【請求項3】
前記高周波重畳部は、前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路に入力する映像信号を前記高周波信号に応じてスイッチングすることにより、当該高周波信号を前記レーザ駆動電流に重畳する
請求項2に記載のレーザ駆動回路。
【請求項4】
前記高周波重畳部は、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路毎に、入力される映像信号を基に振幅の異なる複数の映像信号を生成する複数の増幅/減衰器を有し、
前記複数の映像信号を前記高周波信号に応じて選択することにより、前記複数の映像信号のレベルに応じた振幅を持つ高周波信号を前記レーザ駆動電流に重畳する
請求項3に記載のレーザ駆動回路。
【請求項5】
前記高周波重畳部は、前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路の出力側において前記レーザ駆動電流に対して前記高周波信号を重畳する処理を行う
請求項1に記載のレーザ駆動回路。
【請求項6】
前記高周波重畳部は、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成したレーザ駆動電流を通過/遮断する機能をもつレーザ駆動電流スイッチを有し、
前記高周波信号に応じて前記レーザ駆動電流スイッチの通過/遮断の制御を行うことにより、前記レーザ駆動電流に前記高周波信号を重畳する
請求項5に記載のレーザ駆動回路。
【請求項7】
前記高周波重畳部は、
前記高周波信号を増幅するレーザ駆動重畳電流生成回路を有し、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成したレーザ駆動電流に前記レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を加算することにより、前記レーザ駆動電流に前記高周波信号を重畳する
請求項5に記載のレーザ駆動回路。
【請求項8】
前記高周波重畳部は、
前記レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を通過/遮断する機能をもつ重畳電流スイッチと、
所定の閾値に対する前記映像信号のレベルの大小を判定するレベル比較器とを有し、
前記映像信号のレベルが前記所定の閾値を超える場合に前記重畳電流スイッチを導通状態にして、前記レーザ駆動重畳電流生成回路の出力電流を前記レーザ駆動電流に加算する
請求項7に記載のレーザ駆動回路。
【請求項9】
前記高周波重畳部は、
前記映像信号と前記高周波信号とを乗算することによって前記映像信号のレベルに応じた振幅をもつ高周波信号を生成する乗算器を有し、
前記乗算器が生成した高周波信号を前記レーザ駆動重畳電流生成回路に入力する
請求項7に記載のレーザ駆動回路。
【請求項10】
前記乗算器は、利得が調整可能である
請求項9に記載のレーザ駆動回路。
【請求項11】
前記レーザ駆動重畳電流生成回路は、利得が調整可能である
請求項9に記載のレーザ駆動回路。
【請求項12】
前記高周波重畳部は、入力される映像信号のレベルがゼロの部分では当該映像信号に重畳する高周波信号の振幅をゼロとする
請求項1に記載のレーザ駆動回路。
【請求項13】
前記高周波重畳部は、レーザ駆動回路に内蔵の発振器を前記高周波信号の信号源として有する
請求項1に記載のレーザ駆動回路。
【請求項14】
前記高周波重畳部は、入力される映像信号に同期した状態でレーザ駆動回路の外部から入力されるクロック信号を受信する受信器を前記高周波信号の信号源として有する
請求項1に記載のレーザ駆動回路。
【請求項15】
前記クロック信号は、入力される映像信号の周波数帯域よりも高い周波数をもち、かつ、当該映像信号の明暗を繰り返す最小単位の周期に同期している
請求項14に記載のレーザ駆動回路。
【請求項16】
前記高周波重畳部は、前記受信器で受信したクロック信号の周波数を逓倍する周波数逓倍器を有する
請求項14に記載のレーザ駆動回路。
【請求項17】
前記周波数逓倍器は、前記クロック信号の整数倍の周波数をもち、かつ、当該クロック信号に同期した高周波信号を生成する
請求項16に記載のレーザ駆動回路。
【請求項18】
波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成ステップと、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成ステップで生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳ステップと
を有するレーザ駆動方法。
【請求項19】
前記高周波重畳ステップでは、入力される映像信号のレベルに応じて前記高周波信号の振幅を変える
請求項18に記載のレーザ駆動方法。
【請求項20】
波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳部と
を備えるレーザ駆動回路を用いる装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2013−92603(P2013−92603A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233729(P2011−233729)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】