説明

レース流し投票方法、レース流し投票プログラム及びレース流し投票装置

【課題】 トータリゼータシステムにおける公営競技のレース流し投票方法に関し、より詳細には投票者から払戻配分が指定されると、的中金額から指定された払戻配分を投票者が受け取れるレース流し投票方法、レース流し投票プログラム及びレース流し投票装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 投票端末から複数のレース、賭式、組番、払戻配分及び投票数を含む投票情報を取得して識別情報を付与し、投票端末に識別情報を含む投票券の発券を指示し、指定されたレースに投票情報に基づいて投票処理を実施し、投票処理による投票が的中の場合に払戻配分に基づいて払戻配分金額を求め記憶するともに的中によって得られる金額から払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次の指定されたレースに投票し、払戻配分金額の払戻し要求に基づいて記憶した払戻配分金額を払戻すよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトータリゼータシステムにおける公営競技のレース流し投票方法に関し、より詳細には投票者から払戻配分が指定されると、的中金額から指定された払戻配分に相当する払戻配分金額をが受け取れるレース流し投票方法、レース流し投票プログラム及びレース流し投票装置に関する。
【背景技術】
【0002】
競馬や競輪などの公営競技においては種々の投票方法のサービスを実施しており、ファンはそれぞれの好みの投票方法で競技を楽しんでいる。その投票方法の一つに「流し投票」があるが、これは連勝式の組合せにおいて、一つの番号(例えば競馬であれば枠番、または馬番)を軸として相手の番号を選ぶ投票方法である。
【0003】
この流し投票とは異なり「レース流し」と言う方法がある。これは、指定した同じ賭式と組番で複数のレースの的中を投票するもので、最初のレースで的中するとそのレースの的中金額がそのまま次のレースの投票に当てられ(正確には、的中によって得られる金額が次のレースの投票券の購入に当てられる)、的中が続けば多大な金額を得る可能性のある投票方法である。しかし、指定されたレースの途中のレースで的中しなかった場合は、次のレースに当てる金額がないのでその時点で終了となる。
【0004】
このレース流し投票は、前述したように指定した全てのレースに的中すれば多大な金額を得ることができるが、一つのレースでも外れるとその時点で終わってしまうルールとなっている。このため、レース流し投票は余りにリスクが多いので人気がなくなり、現在では実施されていない。
【0005】
レース流し投票に関する従来技術として、投票端末からレース流し投票の投票情報が入力されると、入力されたレース流し情報を各レース毎の投票情報に変換して上位のシステムに送信する投票券発売機の提案がある。本提案は、従来の上位システムに何らの変更を加えることがなく新しいレース流し投票を実現するものである(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−99604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に示したように、レース流し投票は指定した範囲のレース全体に投票する方式で、指定した最終レースが終了するまで的中した払戻金を受け取ることができない、という問題があった。例えば、5つレースを指定してレース流し投票を行った場合、その5つ目のレースが確定した時点で全ての5つのレースが的中していればそこで払戻金を受け取ることができるのである。このため、レース流し投票を行った投票者がそのレースの途中で手持ちの資金がなくなり、それまでレース流し投票で的中していたとしてもそこで以降のレースをキャンセルして払戻金を受け取る、ということはできなかった。また、レース流し投票は的中した払戻金全てが次のレースの投票に充当されるため、多くの的中金額が望める一方リスクが大きいという問題があった。
【0007】
そこで、的中金額の一部を投票者の指定に基づいて一部を払戻し可能とし、残りを次のレースの投票券の購入資金として充当するようにすれば、リスクを小さくできる。本発明はこのような考えの基に立ったレース流し投票方法を提案するものである。本提案により、投票方法の選択肢が拡がり、ファンの拡大と売上向上が期待できる。
【0008】
特許文献1に提案された方法も本発明の投票方法と合わせて新しいレース流し投票を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のレース流し投票方法、レース流し投票プログラム及びレース流し投票装置は以下のように構成される。
(1)第1の発明
第1の発明は投票者から払戻配分が指定されると、的中金額から指定された払戻配分に相当する金額を投票者が受け取れるレース流し投票方法の発明である。
【0010】
図1は発明の原理を示すものでレース流し投票方法は投票情報取得手順10、発券指示手順20、投票手順30、的中処理手順40および払戻手順50から構成する。
【0011】
投票情報取得手順10は、投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、払戻配分及び投票数を含む投票情報を取得し、取得した投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する。払戻配分とは、的中した場合に指定したレースの確定毎に的中した全体の金額に対する受け取れる金額の割合を示すものである。
【0012】
発券指示手順20は、投票情報を取得した投票端末に識別情報を含んだ投票券の発行を指示する。具体的には発券を指示する情報を送信する。
【0013】
投票手順30は、指定されたレースの競技開始の所定時間前に、記憶されている投票情報ファイルの投票数が「0」でなければその投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する。投票処理とは、該当するレースのそれぞれの賭式の組番に対し票数を加算する等従来から投票の際に行われる処理をいう。
【0014】
的中処理手順40は、指定された複数のレースの各レースの確定毎に、投票手順による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と払戻配分とから払戻配分金額を求めて投票情報ファイルに記憶すると共に、的中金額から払戻配分金額を差し引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は投票数を「0」として投票情報ファイルを更新する。即ち、レース毎に的中した場合に指定した払戻配分の金額を記憶し、的中金額の残りの金額を次のレースに投票に用いるものである。
【0015】
払戻手順50は、投票端末から識別情報に対応した払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、投票情報ファイルに記憶されている払戻配分金額の合計を払い戻すよう投票端末に指示する。
(2)第2の発明
第2の発明は、レース途中で払戻金の一部を受け取ることを可能とする発明である。即ち、第1の発明において指定したレースが全て確定されない途中の状態であっても、払戻しの要求が投票端末からあった場合に確定しているレースの払戻配分金の合計を払い戻すことを投票端末に指示する、ものである。
(3)第3の発明
第3の発明は、第1の発明と第2のレース流し投票方法において、払戻配分をレース毎に指定できるものである。
(4)第4の発明
第4の発明は第1の発明に基づいたレース流し投票プログラムである。
(5)第5の発明
第5の発明は第1の発明に基づいたレース流し投票装置である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明により、投票者はレース流し投票において払戻配分を指定することにより指定した割合の払戻金額を受け取ることができ、従来リスクが大きいと言われたリスクを軽減したレース流し投票方法を提供できる。
【0017】
第2の発明により、投票者はレース途中でも的中があればレースが確定している払戻配分金額を受け取ることができるので、その金額を他の投票に用いることで楽しむことができ、主催者にとって売上額の向上が図れる。
【0018】
第3の発明により、レース毎に払戻配分を指定できるので、さらにレース流し投票のリスクの軽減を図ることができる。
【0019】
第4の発明および第5の発明により、第1の発明と同様にリスクを軽減したレース流し投票のレース流し投票プログラムおよびレース流し投票装置の提供ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施例)
本発明の実施例について図2から図9を用いて説明する。図2はレース流し投票システムの構成例を説明する図である。
【0021】
レース流し投票サーバ100は投票端末200とネットワークを介して接続している。投票端末200は競技場内および場外の専用端末であり、投票者によって記入された投票カードから投票情報を読み取ってレース流し投票サーバ100に送信する。また、確認のために投票内容を表示したり投票券の発券を行う。
【0022】
レース流し投票サーバ100は、データやプログラムを制御する制御部110、投票端末200との通信を制御する通信制御部120、主記憶130上にローディグし実行されるレース流し投票プログラム140、投票情報を格納した投票情報ファイル150、各レース毎の組番に対する投票数を格納する投票集計ファイル160及びレース確定後にオッズに基づいて組番に対する払戻金の情報を格納する払戻金ファイル170から構成する。
【0023】
レース流し投票プログラム140は、投票情報取得処理部141、発券指示処理部142、投票処理部143、的中処理部144および払戻処理部145から構成する。次に各プログラムの概要について説明する。
【0024】
投票情報取得処理部141は、投票端末200から投票情報を取得し、それらの情報に識別情報を付与して投票情報ファイル150に格納することを行う。
【0025】
発券指示処理部142は、取得した投票情報に基づいて投票端末200に発券を指示する。投票端末が発券した投票券には付与された識別情報が記載されている。
【0026】
投票処理部143は、投票情報ファイル150の内容に基づいて指定されたレースの所定時間前に投票処理を行う。もし、投票情報ファイル150の投票数が「0」であった場合は、この処理は行われない。
【0027】
的中処理部144は、投票処理部143で実施された投票が的中した場合に、払戻金ファイル170の情報と投票情報ファイル150の払戻配分の情報を基に、払戻配分金額を求める。即ち、払戻金ファイル170には組番に対する1投票当りの払戻金額が格納されてきるので(詳細は後述する)、その払戻金額に投票情報ファイル150の投票数を乗じて的中金額を求め、この的中金額から払戻配分で示される払戻の割合から払戻金額(払戻配分金額)を求める。そして、この値を投票情報ファイル150に記憶する。さらに的中金額から払戻配分金額を差し引いた残りの金額に相当する投票数を求め、投票情報ファイル150の投票数を更新する。もし、投票が的中しなかった場合は、投票数を「0」として投票情報ファイル150を更新する。
【0028】
払戻処理部145は、投票端末200から識別情報とともに払戻要求が成された場合に、投票情報ファイル150を参照してその識別情報の払戻配分金額を合計し、その情報と払戻指示の情報とを投票端末200に行う。
【0029】
次に、レース流し投票サーバ100が備える投票情報ファイル150、投票集計ファイル160及び払戻金ファイルのデータ例を説明する。
【0030】
図3は投票情報ファイル150のデータ例を示すもので、「識別情報」、「レース」、「賭式」、「払戻配分」、「投票数(n)」、「払戻配分金(n)」のフィールドから構成する。「識別情報」は投票端末からレース流し投票の投票情報を取得したとき付与した情報で、他の投票情報とを識別するためのものでユニークな番号である。「レース」は、投票者が指定したレース番号で少なくとも二つ以上のレースが指定される。「賭式」は単勝や複勝、3連単など指定された賭式の種類を格納するフィールドである。「払戻配分」は、的中した場合の的中金額に対する割合(%)である。「投票数(1)」は最初に指定したレースの投票数で、投票端末から取得した投票情報の投票数ということになる。「払戻配分金(1)」は、最初に指定されたレースが確定し的中したときに、的中金額と払戻配分とから計算された払戻金(払戻配分金)である。「投票数(2)」は、最初に指定されたレースが確定し的中したときに、次のレースに賭ける投票数である。具体的には、的中金額から払戻配分金額を引いた金額に相当する投票数を求める。最初に指定したレースの始まる前の段階までは、「識別情報」から「投票数(1)」までのフィールドに情報が格納されているが、そのレースが確定し的中すると「払戻配分金(1)」と「投票数(2)」に情報が格納されることになる。図3の「ABC123」の識別情報のものは、「3レースから7レース」までの5レースに対して「3連単」で組番「1−2−3」、10点の投票数(投票金額は1,000円ということになる)で払戻配分は「30」%が指定されている。そして、第3レース(3R)に的中してその時点で払戻配分金額は3,000円であり第4レースに対する投票数は70点(7,000円)である。さらにその次の第4レースに的中して払戻配分金額は42,000円、第5レースに対する投票数は980点(98,000円)となったことを示している。
【0031】
図4は投票集計ファイル160のデータ例を示すもので、レース番号を示す「レースNo.」のフィールドに続いて各賭式のそれぞれの「組番」のフィールド、そして各賭式の組番の最後のフィールドにその賭式で投票された投票数を示す「小計」フィールドからなっている。レースNo.“2006052503”の例(2006年5月25日第3レースを意味する)では、単勝馬番1には350票が、単勝馬番2には110票・・・単勝馬番18には120票が投票されていることを示しており、単勝の賭式には1,010票が投票されている。続いて3単連についても同様にその組合せに対する投票数が格納されている。投票処理が行われると、この投票集計ファイル160の該当する組番に投票数が加算されることになる。
【0032】
図5は払戻金ファイル170のデータ例を示すもので、図4の投票集計ファイル160のデータ例と略同様のフィールドの構成になっている。例えば、レースNo.“2006052502”の例では、単勝馬番1は1投票当り(100円当り)120円の払戻金が、3連単1−2−3には1投票当り1,000円の払戻金があることを示している。各レースの確定後に図4の投票集計ファイル160を基に的中した組番に払戻金が計算され、格納される。
【0033】
次に、レース流し投票サーバのレース流し投票の処理フローと投票端末200から払戻金の払戻し要求があった場合の処理フローの例について説明する。
【0034】
図6は、レース流し投票の処理フロー例を示すもので、ここでは投票情報を取得してからレースの確定が行われ、レース毎に払戻金額(ここでは払戻配分金額と称する)を求めるまでの一連の処理を説明する。まず投票端末200が投票者が記入した投票カードを読み取り送信した投票情報を取得する。投票情報には少なくとも複数のレース番号、賭式、組番、投票数そして払戻配分を含む情報である(S100)。
【0035】
続いて、取得した情報に識別情報を付与し、投票情報ファイル150のそれぞれのフィールドに記憶する。そして、投票情報を取得した投票端末200に発券の指示情報を送信する。このとき、付与した識別情報を発券指示情報と同時に送信する。投票端末200から発券された投票券にはこの識別情報が記載される(S110、S120)。
【0036】
次に、投票情報ファイル150を参照して現在実施されている次のレースが指定されたレースであるかどうかをチェックし、指定されたレースであればそのレースの競技開始の所定時間前(例えば15分前)であるかどうかをチェックする。そして、その時刻であれば投票情報ファイル150の投票情報に基づいて投票処理を行う。例えば、指定されたレースが第3レースでその発走15分前になったら投票集計ファイル160の第3レースの指定された組番に対して指定された投票数を加える(オッズ等の計算は本発明に直接関係しないため、ここでは触れていない)(S130−S160)。
【0037】
レースが行われて確定し、投票した組番が的中した場合には別途システムで計算された払戻金ファイル170から1投票当りの払戻金の情報を取得し、その払戻金の値に投票数を乗じ金額を求める。ここではこの金額を的中金額と称することとする。投票した組番が的中しなかった場合は、このレース流し投票の識別情報に対する処理は終了となる(S170、S180)。
【0038】
次に投票情報ファイル160の「レース」フィールドを参照して、指定されたレースが残っているかを調べ、今回のレースが指定されたレースの最後のレースであれば、投票情報ファイル160の該当する「払戻配分金」フィールドに的中金額を記録する。指定されたレースが残っている場合は、投票情報ファイル160の「払戻配分」フィールドに記憶している数値を基に払戻配分金額と次のレースに投票するための投票金額を計算する。そして計算で求めた払戻配分金額を該当する「払戻配分金」フィールドに記録する。さらに、求めた投票金額に相当する投票数を該当する「投票数」フィールドに記録し、S130に戻る(S190、S220)。
【0039】
図6では発明を判りやすくするため、一つの識別情報に対する処理の流れを説明したが、実際にはレース流し投票サーバ100は複数の識別情報に対して上記の処理を実施することになる。このため、S130では複数の識別情報に対して次のレースに対して指定されたレースがあるかどうか、あるとすればその次のレースに対する投票数は「1」以上であるか(「0」でないか)を調べ、それ以降の処理を実施することになる。
【0040】
次に、図6の処理フローで説明した投票端末200から読み取られる投票カードと投票端末200から発券される投票券の例を説明する。
【0041】
投票カードは例えば図7に示すようなもので(競馬を例にしている)、開催場所やレース番号、賭式、組番とその組番に対する投票数、払戻配分の情報である。この例では、開催場所は東京、新潟、京都の各競馬場から選択できる(〇印は選択を示し塗りつぶす)。レース番号はその範囲を指定し、そのレースの番号を記入する(□印は数字の記入を示す)。賭式は9つの賭式の中から選択するものとしている。組番と投票数は、賭式に3連単を選択したなら、例えば1−2−3の組番を10点投票するのであれば、□の中に「01」、「02」、「03」、「10」の数字を記入する。この例では3ベットまで記入できるようにしている。払戻配分は、25−75%の範囲で指定でき、その数字を□に記入する。投票端末200は投票者が挿入した投票カードを読み取り、読み取った情報(投票情報)をレース流し投票サーバ100に送信する。
【0042】
投票券は図8に示すようなもので、最上段の行は投票の種類と識別情報および競技場を示している。即ち、投票の種類は「レース流し投票」であり、識別情報は「ABC123」、競技場は「新潟」である。次の行は投票者が指定したレース番号で、ここでは第3レースから第7レースまでが指定されている。3行目以降は賭式と組番、組番に対する投票金額を示している。図8では賭式として「3連単」、組番は「1−2−3」に1000円、「1−2−7」に1000円、「4−3−5」に1000円の合計3000円を投票していることを示している。最後の行は払戻配分で、各レース毎に的中した場合に「30%」の配分で払戻しすることを示している。投票者が上記の投票カードを投票端末200に挿入すると、この投票券が発券される。そして、指定したレースの最終レース前であっても投票者がこの投票券を投票端末200に挿入することで払戻配分金を投票端末200から受け取ることができる。指定したレースの最終レース前に払戻配分金を受け取った場合は、投票端末200は挿入された投票券を回収し、新たに残りのレースに対する投票券を発券する。
【0043】
次に、投票者の要求により行われる払戻しの処理フローについて説明する。
【0044】
先ず、投票端末200より投票券から読み取られた識別情報を取得し、投票情報ファイル150を参照してこの識別情報があるかどうかを調べる。なければ、エラーメッセージ等のメッセージを投票端末200に送信する。投票情報ファイル150に識別情報が存在すれば、この識別情報に対する払戻配分金があるかどうかを調べる。なければ、払戻配分金がないことのメッセージを投票端末200に送信する。払戻配分金があれば、投票端末200に投票券の回収するための指示情報を送信する(S300−S350)。
【0045】
次に、この識別情報に対するレース流し投票は終了しているかどうか、を調べる。これは、指定された最終レースと現時点でのレースの進行状況とから既に指定された最終レースが終了しているかどうかが判る。指定されたレースに未だレースが行われていないものがあっても、次レースの投票数が「0」であればそれまでの指定されたレース中に的中しなかったレースがあることになるが、その場合でもレース流し投票は終了していることになる。このようにレース流し投票が終了している場合は、払戻配分金のフィールドの金額を合計し、投票端末200にその合計した金額と払戻指示の情報を送信する。そして投票情報ファイル150のその識別情報のレコードを削除し、終了とする。次レースの投票数に「0」以外の数字があれば、途中段階での払戻配分金の要求と判断し、この場合は回収した投票券に替えて新規に投票券を発券するため、新たな識別情報を付与する。そして払戻配分金のフィールドの合計を求め、新たな識別情報と払戻配分金の金額とともに払戻しの指示と発券の指示とを投票端末200に送信する。前の識別情報を新しい識別情報に書き替え、払戻配分金フィールドを「0」に書き替え終了する。
【0046】
図9の払戻しの処理フローにより、指定したレースの途中あるいは終了した時点で投票者は払戻配分金の払戻しを受けることができる。
【0047】
以上の実施例での説明は、払戻配分は一つしか指定できない例で説明したが、指定したレース毎に払戻配分を指定できるようにしてもよい。
【0048】
以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、投票数及び払戻配分を含む投票情報を取得し、該投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する投票情報取得手順と、
前記投票端末に前記識別情報を含んだ投票券の発行を指示する発券指示手順と、
前記指定されたレースの競技開始の所定時間前に、前記投票情報ファイルの投票数が「0」でなければ該投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する投票手順と、
前記の各レースの確定毎に、前記投票手順による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と前記払戻配分とから払戻配分金額を求めて前記投票情報ファイルに記憶すると共に、該的中金額から該払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として該投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は該投票数を「0」として更新する的中処理手順と、
投票端末から前記識別情報に対応した前記払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、前記投票情報ファイルに記憶されている該払戻配分金額の合計を払い戻すよう該投票端末に指示する払戻手順と
を有することを特徴とするレース流し投票方法。
【0049】
(付記2)
前記レース流し投票方法は、指定したレースが全て確定されない途中の状態であっても、払戻しの要求が前記投票端末からあった場合に確定しているレースの払戻配分金額の合計を払い戻すことを該投票端末に指示する、
ことを特徴とする付記1記載のレース流し投票方法。
【0050】
(付記3)
前記払戻配分はレース毎に指定できる、
ことを特徴とする付記1または付記2記載のレース流し投票方法。
【0051】
(付記4)
投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、投票数及び払戻配分を含む投票情報を取得し、該投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する投票情報取得手順と、
前記投票端末に前記識別情報を含んだ投票券の発行を指示する発券指示手順と、
前記指定されたレースの競技開始の所定時間前に、前記投票情報ファイルの投票数が「0」でなければ該投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する投票手順と、
前記の各レースの確定毎に、前記投票手順による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と前記払戻配分とから払戻配分金額を求めて前記投票情報ファイルに記憶すると共に、該的中金額から該払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として該投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は該投票数を「0」として更新する的中処理手順と、
投票端末から前記識別情報に対応した前記払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、前記投票情報ファイルに記憶されている該払戻配分金額の合計を払い戻すよう該投票端末に指示する払戻手順と
をコンピュータに実行させるためのレース流し投票プログラム。
【0052】
(付記5)
投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、投票数及び払戻配分を含む投票情報を取得し、該投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する投票情報取得手段と、
前記投票端末に前記識別情報を含んだ投票券の発行を指示する発券指示手段と、
前記指定されたレースの競技開始の所定時間前に、前記投票情報ファイルの投票数が「0」でなければ該投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する投票手段と、
前記の各レースの確定毎に、前記投票手段による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と前記払戻配分とから払戻配分金額を求めて前記投票情報ファイルに記憶すると共に、該的中金額から該払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として該投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は該投票数を「0」として更新する的中処理手段と、
投票端末から前記識別情報に対応した前記払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、前記投票情報ファイルに記憶されている該払戻配分金額の合計を払い戻すよう該投票端末に指示する払戻手段と
を有することを特徴とするレース流し投票装置。
(付記6)
前記レース流し投票方法は、投票端末から前記払戻配分金額の払戻し要求があった場合に該払戻し要求のあった投票券を回収し、新たに投票券を発券する
ことを特徴とするに付記1乃至付記3記載のレース流し投票方法。
(付記7)
前記新たな投票券には、新たに付与された識別情報が含まれている
ことを特徴とするに付記6記載のレース流し投票方法。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】発明の原理図である。
【図2】レース流し投票システムの構成例である。
【図3】投票情報ファイルのデータ例である。
【図4】投票集計ファイルのデータ例である。
【図5】払戻金ファイルのデータ例である。
【図6】レース流し投票の処理フロー例である。
【図7】レース流し投票カードの例である。
【図8】レース流し投票券の例である。
【図9】払戻しの処理フロー例である。
【符号の説明】
【0054】
10 投票情報取得手順
20 発券指示手順
30 投票手順
40 的中処理手順
50 払戻手順
100 レース流し投票サーバ
110 制御部
120 通信制御部
130 主記憶
140 レース流し投票プログラム
141 投票情報取得処理部
142 発券指示処理部
143 投票処理部
144 的中処理部
145 払戻処理部
150 投票情報ファイル
160 投票集計ファイル
170 払戻金ファイル
200 投票端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、投票数及び払戻配分を含む投票情報を取得し、該投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する投票情報取得手順と、
前記投票端末に前記識別情報を含んだ投票券の発行を指示する発券指示手順と、
前記指定されたレースの競技開始の所定時間前に、前記投票情報ファイルの投票数が「0」でなければ該投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する投票手順と、
前記の各レースの確定毎に、前記投票手順による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と前記払戻配分とから払戻配分金額を求めて前記投票情報ファイルに記憶すると共に、該的中金額から該払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として該投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は該投票数を「0」として更新する的中処理手順と、
投票端末から前記識別情報に対応した前記払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、前記投票情報ファイルに記憶されている該払戻配分金額の合計を払い戻すよう該投票端末に指示する払戻手順と
を有することを特徴とするレース流し投票方法。
【請求項2】
前記レース流し投票方法は、指定したレースが全て確定されない途中の状態であっても、払戻しの要求が前記投票端末からあった場合に確定しているレースの払戻配分金額の合計を払い戻すことを該投票端末に指示する、
ことを特徴とする請求項1記載のレース流し投票方法。
【請求項3】
前記払戻配分はレース毎に指定できる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のレース流し投票方法。
【請求項4】
投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、投票数及び払戻配分を含む投票情報を取得し、該投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する投票情報取得手順と、
前記投票端末に前記識別情報を含んだ投票券の発行を指示する発券指示手順と、
前記指定されたレースの競技開始の所定時間前に、前記投票情報ファイルの投票数が「0」でなければ該投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する投票手順と、
前記の各レースの確定毎に、前記投票手順による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と前記払戻配分とから払戻配分金額を求めて前記投票情報ファイルに記憶すると共に、該的中金額から該払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として該投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は該投票数を「0」として更新する的中処理手順と、
投票端末から前記識別情報に対応した前記払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、前記投票情報ファイルに記憶されている該払戻配分金額の合計を払い戻すよう該投票端末に指示する払戻手順と
をコンピュータに実行させるためのレース流し投票プログラム。
【請求項5】
投票端末から指定された複数のレースについての賭式、組番、投票数及び払戻配分を含む投票情報を取得し、該投票情報にユニークな識別情報を付与して投票情報ファイルに記憶する投票情報取得手段と、
前記投票端末に前記識別情報を含んだ投票券の発行を指示する発券指示手段と、
前記指定されたレースの競技開始の所定時間前に、前記投票情報ファイルの投票数が「0」でなければ該投票情報ファイルの内容に基づいて投票処理を実施する投票手段と、
前記の各レースの確定毎に、前記投票手段による投票が的中であれば的中によって得られる的中金額と前記払戻配分とから払戻配分金額を求めて前記投票情報ファイルに記憶すると共に、該的中金額から該払戻配分金額を引いた残金に相当する投票数を次レースへの投票数として該投票情報ファイルの投票数を更新し、的中でない場合は該投票数を「0」として更新する的中処理手段と、
投票端末から前記識別情報に対応した前記払戻配分金額の払戻し要求に基づいて、前記投票情報ファイルに記憶されている該払戻配分金額の合計を払い戻すよう該投票端末に指示する払戻手段と
を有することを特徴とするレース流し投票装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−334396(P2007−334396A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162075(P2006−162075)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】