説明

レーダーに用いることを含む、アンテナ符号化発射・受信方法及び装置

レーダーセルを小さくし、レーダーシステム、特にHFSWRの検知を向上させる。一斉送信システムSEMは、2つずつ直交しており、かつ、各々が時間的にシフトすることで自身に直交する基本信号を一斉送信して、送信放射パターンを形成することができ、各放射パターンは、二次ローブと交互となるメイン放射ローブLP、LPを含み、基本信号と関連するメインローブは、空間において実質的に並置されている。受信システムSREは、受信区域に含まれるセルCESn,mと同数の受信パターンを監視受信区域に形成することができ、前記セルは、送信放射チャートの1つのメイン放射ローブによりカバーされており、かつ、一斉送信システム及び受信システムから所定のバイスタティック距離に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダーを含む遠隔感知システムのためのアンテナ発射・受信方法及びシステムに関するものである。より詳しくは、本発明は、アンテナシステムの特性と直交性を備えた信号符号化との組み合わせを用いた、地表波による水平線を越える(beyond-the-horizon)検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水平線を越えた目標を検知する方法として、HFSWR(高周波地表波レーダー)の地表波レーダーシステムによるものがある。このようなHFSWRレーダーシステムは、本質的に地球表面による雑乱(jumble)、より具体的には、船舶を検出する際に、そのための有用なエコーが、ドップラー距離内において、専門家により海洋スペクトル(sea spectrum)と称される海洋雑乱内に位置することにより制限される。ここでは、海に起因する(海洋スペクトル)か他の要因によるかによらず、雑乱と呼ぶ。目標のエコーは、しばしば、容積の幾何学的寸法により規定されるレーダーセルの寸法に直接関係する大きさを備えた雑乱によりマスクされ、一斉送信されるレーダー波が、所与の時間で、レーダーシステムにより受信される信号を形成することに関与し得る。
【0003】
HFSWRレーダーシステムを構成する部材の可能性を考慮すると、従来技術において、レーダーセルは依然としてユーザが望む目的を達成するには大き過ぎる。このような目的を達成するためには、セルの寸法を、何十分の一から何百分の一の範囲に小さくする必要がある。
【0004】
レーダー分解能セルの寸法を低減させるために、従来技術では、受信アンテナシステムの寸法を最大限大きくしており、これが可能であったとしても、幾何学的に拡張したシステム及び多くの数のアンテナを用いることにつながる。このような拡張は、別々にあるいは同時に妨げとなり従来技術の欠点を構成する幾つかの要因により制限される:フットプリント、モバイルシステムにおけるキャリアの大きさ、受信場所における波面の一貫性、アンテナ数に関連する処理の複雑さ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記不具合を解決することを目的とするものであり、より詳しくは、受信アンテナシステムの寸法を大きくすることなく、レーダーシステムの感知能力を向上させるようにレーダー分解能セルの寸法を約50〜約500倍の範囲で低減させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明に係る発射システムにおける発射アンテナにより直交性を有する基本信号を発射し、受信システムにおける個々の受信アンテナで前記基本信号を受信する方法は、以下のステップを備えることを特徴としている。
全ての発射アンテナについてそれぞれ基本信号を発射して複数の発射放射チャートを形成するステップであって、各発射放射チャートは、前記全ての発射アンテナにより発射されるそれぞれの基本信号と関連していると共に、複数の二次ローブと交互となる複数のメイン放射ローブを含み、前記複数の発射放射チャートの複数のメイン放射ローブは実質的に空間内で交互かつ並置されており、
複数の受信アンテナのそれぞれにより基本信号を受信するために受信区域において複数の受信放射チャートを形成するステップであって、受信放射チャートの数は、少なくとも、受信区域に含まれるセルの数と同じであり、前記セルは、複数の発射放射チャートのうちの1つの発射放射チャートのメイン放射ローブによりカバーされており、発射システム及び受信システムから所与のバイスタティック距離に位置している。
【0007】
本発明は、さらに、直交性を有する基本信号を発射する幾つかの発射アンテナと、前記基本信号を受信する幾つかの受信アンテナと、を備える発射及び受信システムに関するものである。
発射システムは、全ての発射アンテナのそれぞれについて基本信号を発射して複数の発射放射チャートを形成する手段を備え、各発射放射チャートは全ての発射アンテナにより発射されるそれぞれの基本信号と関連すると共に、複数の二次ローブと交互となる複数のメイン放射ローブを含み、前記複数の発射放射チャートの複数のメイン放射ローブは実質的に空間内で交互かつ並置されている。
受信システムは、複数の受信アンテナのそれぞれにより基本信号を受信するために受信区域において複数の受信放射チャートを形成する手段を備え、受信放射チャートの数は、少なくとも、受信区域に含まれるセルの数と同じであり、前記セルは、複数の発射放射チャートのうちの1つの発射放射チャートのメイン放射ローブによりカバーされており、発射システム及び受信システムから所与のバイスタティック距離に位置している。
【0008】
本発明は、レーダー技術全般に適用されると共に、経路探査、ソナー感知システム、無線位置測定システム、医療用途における臓器あるいは産業用途における構造のラジオグラフィに適用され得る。上記全ての適用は空間セル(space cell)の分析を用いるものであり、空間セルの寸法は、性能を向上させるべく低減される。
【0009】
アンテナ発射システムは、例えば予め決められた所定面において、例えば、発射システム及び受信システムを通る水平面において、無線電気放射(radio-electric radiation)を生成することができ、該放射は、前記所定面の一部あるいは全部をカバーするであろう監視受信区域をカバーするように当該所定面において予め決められた配置にしたがって実質的に並置された放射エネルギーの表面密度最大値によって特徴付けられる。この最大値は、無線電気基本信号に関連付けられるメイン放射ローブに対応している。各基本信号について、放射エネルギー最大値は、頂点が発射場所にあり、空間において均等かつ周期的に配置される複数の円錐状角度付き扇形部分(conical angular sectors)内に含まれている。基本信号のエネルギー最大値は、二次放射ローブに対応する最小放射の円錐状角度付き扇形部分、そのエネルギー表面密度はメイン放射ローブに対応するエネルギー密度最大値が位置する円錐状角度付き扇形部分に存在するエネルギー表面密度よりもはるかに低い、によって分離されている。予め決められた面における基本信号と関連付けられた放射チャートを、「積層チャート(laminated chart)」と称する。
【0010】
アンテナ発射システムは、実質的に並置(juxtaposed)された、すなわち、分離されていても、隣接していても、あるいは分離していなくてもよく、実際には、並置あるいは横方向に互いに実質的に重なっているメインローブを備えた、2つ以上の別個の積層放射チャートを生成することができ、発射システムが配置されている発射場所から本発明に係るアンテナ受信システムにより監視される受信区域全体に一斉に放射するようになっている。発射放射チャートは、方位角(azimuth)及び天頂(zenith)において別個となっており、該監視受信区域と交差するメイン放射ローブを有している。
【0011】
基本信号はデジタル信号でもアナログ信号でもよいが、受信システムにおけるレーダーセルの決定を向上させるために特有の直交性(orthogonality properties)を備えている必要がある。この目的のため、発射アンテナは、基本信号を同時かつ周期的に、あるいは、すなわち、時間においてこれらを分離する時間間隔で連続的かつ周期的に、2つずつ発射する。受信システムにおいて、基本信号は、参照信号として、それぞれ対応する数学演算子、例えば、相関、にそれぞれ関連付けられている。
【0012】
第1の直交性において、複数の基本信号は、2つずつ(two by two)直交している。これは、受信システムが、数学演算子が適用される、参照信号として選択されたそれぞれの基本信号と関連している基本信号の全部あるいは一部を受信した時に、適用の結果が、前記参照信号以外の受信した基本信号の全部あるいは一部の存在・不存在から独立していることを意味する。
【0013】
第2の直交性において、各基本信号は、時間におけるオフセット(offset)において、自身に直交している。これは、受信システムが、数学演算子が適用される、参照信号として選択されたそれぞれの基本信号と関連しており、前記参照信号に対して非無の値だけ時間的にオフセットしている基本信号のレプリカを受信した時に、適用の結果が、時間におけるいかなる非無オフセットにおいても、0となることを意味する。
【0014】
このような2つの直交性が、受信システムにおいて受信チャートを形成する手段において基本信号を弁別するために用いられる。この目的のために、受信システムは、受信アンテナによって捕えられた信号を重み付けする手段であって、受信アンテナにより捕えられた信号は受信放射チャートの数と同じ数の重み付け信号を生成するように重み付けられる、手段と、前記重み付け信号の集合における基本信号及びバイスタティック距離について弁別する手段であって、一方で、一定のバイスタティック距離を有するセルが、他方で、所与のバイスタティック距離について、直交性によって弁別され得る前記基本信号の1つと関連するセルが、弁別される、手段と、を備えている。
【0015】
全ての発射アンテナにより発射され、空間に分布された全体の信号は、空間に各々放射する基本信号にそれぞれ対応する積層発射放射チャートにより規定される。積層チャートは、対応する基本信号といわば関連付けられており、基本信号の放射が当該積層チャートにより規定される。
【0016】
受信システムが位置する受信場所から、レーダーセルによって規定されると共に、用いられる基本信号と関連した積層放射チャートおよび発射場所と受信場所との間のバイスタティック伝搬時間により生成される、空間の空隙敷き詰め(lacunar paving)が生じる。バイスタティックレーダーシステムの発射場所と受信場所との間の所与のバイスタティック伝搬時間、すなわち、所与のバイスタティック距離について、敷き詰め(paving)は、半楕円状部に位置する伝搬レーダーセルに対応しており、該半楕円状部上では、送信場所とレーダーセル間の伝搬時間とレーダーセルと受信場所間の伝搬時間の合計に等しい所与のバイスタティック伝搬時間が一定である。受信システムにおいて、レーダーセルは、第1の直交性の適用により、実質的に分離された積層発射チャートに関して互いに識別可能であり、また、第2の直交性の適用により、半楕円状部上の一定のバイスタティック伝搬時間において、互いに識別可能である。参照信号として選択された所与の基本信号及び所与のバイスタティック伝搬時間について、識別することができない複数のレーダーセルは、当該所与の参照信号及び当該所与のバイスタティック伝搬時間と関連するシャムレーダーセルを構成すると共に、監視受信区域において、前記所与のバイスタティック伝搬時間と関連した半楕円状部の部分上の幾何学的空間の強固な空隙敷き詰めを構成する。
【0017】
受信アンテナシステムは、監視受信区域内の個々の受信放射チャートにより、所与の基本信号および所与のバイスタティック伝搬時間と関連しており、強固な空隙敷き詰めに分布されているシャムレーダーセルを分離する。所与の基本信号及び所与のバイスタティック伝搬時間に関連した2つのシャムレーダーセル間の受信場所から見た角距離は重要である。所与の基本信号及び所与のバイスタティック伝搬時間に関連したシャムレーダーセルは、その下で当該シャムレーダーセル領域を受信場所から見られるような方位角及び天頂の方向にしたがって、監視受信区域において別個の集合を構成する。このような方位角及び天頂の方向は、受信システムにおいて、所与の基本信号及び所与のバイスタティック伝搬時間に関連したシャムレーダーセルの位置を特定する。受信アンテナシステムは、同時にP個の受信放射チャートを形成し、各受信放射チャートは、受信区域に含まれる少なくとも1つの、そうでなくてもよい、メイン放射ローブを備えている。
【0018】
受信放射チャートは、発射チャートと同様に積層されている。したがって、本発明によれば、二次放射ローブと交互の各メイン放射ローブを有する放射チャートは、複数の発射アンテナ及び受信アンテナの一方、あるいは、両方の複数のアンテナによって形成することができ、基本信号に関連するメイン放射ローブは、所定の面において実質的に並置されている。
【0019】
監視受信区域に含まれると共に、所与の基本信号と関連する発射放射チャートのメイン放射ローブによりカバーされる角度付き扇形部分と、発射システムとレーダーセルとの間の所与の伝搬時間およびレーダーセルと受信システムとの間の伝搬時間により規定される半楕円状部分(a half-ellipsoid)と、の交差部に位置する、シャムレーダーセルの数をMとすると、受信アンテナシステムによって形成される受信放射チャートの数Pは、少なくともM個と同じ、すなわち、M個と同等かそれより多い数である。
【0020】
各セルから返信される信号は、所与の基本信号と関連する数学演算子を介して、直交性を用いて決定され、当該直交性は、先ず、第1の直交性により、参照信号として選択された所与の基本信号と異なる基本信号に関連するセルを弁別し、次に、第2の直交性により、前記所与の基本信号と関連し、所与のバイスタティック伝搬時間を備えたセルを、前記所与の基本信号と関連し、前記所与のバイスタティック伝搬時間と異なるバイスタティック伝搬時間を備えたセルから分離する、ことを可能とする。所与の基本信号と関連しており、同一の所与のバイスタティック伝搬時間を備えたレーダーセル、シャムセルと称される、は、受信アンテナシステムと異なる複数の受信チャートによる受信区域を投票(polling)することで分離され、受信チャートの数は、前記受信区域におけるレーダーセルの数と同等かそれよりも多い。
【0021】
各基本信号によりカバーされる空間は、受信区域との交差部において前記基本信号により放射される全ての空間をカバーするように、全てのバイスタティック伝搬時間を連続的に変化させる受信アンテナシステムによって探査される。
【0022】
監視される区域の完全な探査は、上記操作を、用いられる全ての基本信号について繰り返すことで得られる。
【0023】
最後に、本発明は、直交性を有する基本信号を発射する幾つかの発射アンテナを含む発射システム、前記基本信号を受信する幾つかの受信アンテナを含む受信システムのそれぞれにおいて実行され得るコンピュータプログラムに関する。このようなプログラムは、発射システム及び受信システムにおいて当該プログラムが実行された時に、本発明に係る発射及び受信方法を実施するようなインストラクションを含むことを特徴としている。
【0024】
本発明のさらなる特徴や利点は、本発明の幾つかの非限定的実施形態についての、対応する添付図面を参照した以下の記述からより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、予め決定された水平面における、本発明に係るバイスタティックレーダーシステムの積層放射チャート及び角度付き扇形部分における受信区域を概略的に示す図である。
【図2】本発明に係るアンテナ発射システムの概略ブロック図である。
【図3】図2の発射システムによって生成された積層発射放射チャートを示す図である。
【図4】図1に類似の図であるが、6つの積層発射放射チャートが並置されており、各放射チャートの2つのメインローブのみを示している。
【図5】本発明に係るアンテナ受信システムの概略ブロック図である。
【図6】受信システムの弁別器による受信ステージの概略ブロック図である。
【図7】積層受信放射チャートを備えた図1に類似の図である。
【図8】発射システムの他の実施形態における基本信号の周期的発射のタイムチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1、2、5において、SEM−SREバイスタティックレーダーシステム、例えば、地表波により水平線を越えて目標を検知するようなHFSWR地表波レーダーシステムは、幾つかの発射アンテナAEを備えたSEM発射システムと、幾つかの受信アンテナARを備えたSRE受信システムと、を備えている。発射システムは、受信システムが配置されている受信場所から、例えば、D=250km離れて位置する発射場所に配置されている。
【0027】
SEM発射システムは、後で詳述するように、1つのSB基本信号が予め決定された所定の条件で発射アンテナAEに同時に適用された時に、1つのSB基本信号と関連する1つの積層発射放射チャートにより規定される少なくとも1つの無線電気信号(電波信号)を生成する。SB基本信号と関連する積層発射放射チャートは、図1においてそれのみ示されているメイン放射ローブLPにより本質的に規定される。しかしながら、発射システムSEMは、これらの間で直交性を有する基本信号SB〜SBにそれぞれ関連するN積層発射放射チャートのメイン放射ローブLP〜LP(1≦n≦N)を生成する。メイン放射ローブLP〜LPは、予め決定された所定の放射面、例えば、発射システムSEMの場所を通る水平面における所定の頂点においてある角度を有する円錐状の角度付き扇形部分(conical angular sectors)として生じる。図1では、発射場所及び受信場所の両方を通る水平放射面が示されている。
【0028】
積層放射チャートを生成する本発明の発射システムSEMは、アンビギュアス(ambiguous)放射チャートを伴うアンテナネットワークの種類、アンビギュアスネットワークとも呼ばれる、に属するアンテナ構造を有している。例えば、アンビギュアスネットワークは、S個の発射アンテナAE1〜AES(2≦S)の線形ネットワークとして得ることができ、アンテナは互いにλ/2よりも大きい距離DAで離れており、ここで、λは、発射された基本信号により変調された搬送波の波長である。
【0029】
図2は、発射システムSEMの第1の実施形態の概略的な機能ブロックのみを示し、本発明を理解し、本発明との関係を有する有用な機能を確実なものとしている。このような機能ブロックは、専用またはプログラム可能なハードウェアモジュールおよび/あるいは少なくとも1つのマイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールに対応させることができる。
【0030】
発射システムSEMは、例えば、DA=12.5λによって均等に間隔を空けて配置されたアンテナAE〜AE(S=7、AE=AE)を備えている。発射システムSEMは、さらに、発射ステージEMと、発射ステージEMの電力分配器の出力とアンテナAE〜AEの入力との間にそれぞれ相互接続された重み回路CPE〜CPEと、を備えている。重み回路CPE(1≦s≦S)は、発射ステージEMによってそれぞれ分配された基本信号SB,・・・SB,・・・SBの振幅および/あるいは位相を、それぞれ対応する複素重み係数w1,s,・・・wn,s,・・・wN,sで重み付けする。アンテナAE〜AE=AEで分配された基本信号SBは、それぞれ、重み回路CPE〜CPEにおける複素重み係数wn,1〜wn,s=wn,7で重み付けされ、アンテナAE〜AEは、本発明による積層放射チャートによって特徴付けられ、基本信号SBに関連した無線電気信号を発射する。これにより、チャートにおける二次ローブについて十分に意義のあるプロテクションを保証し、基本信号SBに関連したメインローブLPの方向性を可能とする。アンテナ間の距離DAが大きくなればなるほど、積層放射チャートのメインローブの数が増す。アンテナ数が増えれば増えるほど、積層放射チャートの数Nも増す。
【0031】
第1の実施形態において、基本信号は、複数の基本信号の加法により、あるいは、複数の基本信号を絡め合う(intertwining)ことにより、同時に発射システムSEMから発射された、完全な相関あるいは近完全な相関を伴う直交基本信号の群から構成される。
【0032】
図3において、メインローブLP、LPを備えた2つの積層放射チャートが並置されており、それぞれ、重み回路CPE〜CPEにより複素重み係数wn,1〜wn,S、wm,1からwm,Sが適用されている2つの個別の基本信号SB、SBに関連している。二次ローブLSのプロテクションは26dBである。メインローブLPを備えたチャートは、メインローブを0度の方向に位置させるように方向付けされている。メインローブLPを備えた他のチャートは、メインローブを1、2度の方向に位置させるように方向付けされている。
【0033】
当業者であれば、このような空隙(lacunar)放射チャートは、他の線形の、表面あるいは体積、均一あるいは不均一の分布を伴う複数のアンテナを有する他の発射システムによっても獲得できることは理解される。例えば、発射システムは、"THEORIE
FRACTALE DES GRANDS RESEAUX D'ANTENNES LACUNAIRES" C. GOUTELARD, AGARD
Conference Proceedings 528, Radiolocation Techniques, Londres, 1er
au 5 juin 1992に記載されたフラクタル構造のような不均一な構造にしたがうアンテナネットワークを備えていてもよい。
【0034】
アンテナ受信システムSREは、1つあるいは複数の受信区域を監視する。図1では、受信システムが、各基本信号SBに関連する積層発射放射チャートのメイン放射ローブの少なくとも1つに対して交差する1つの円錐状の受信区域ZRのみを監視することを仮定している。実際には、受信区域ZRは、各基本信号と関連する異なる複数のメイン放射ローブに対して交差している。
【0035】
図1は、また、発射システムSEM及び受信システムSREを焦点として有する複数の半楕円状部ELの楕円状の並行トラックを部分的に細線で示している。各半楕円状部ELは、そこにあるいかなるレーダーセルCEも、発射システムSEMからの無線電気信号を受信し、バイスタティック距離に対応するそれぞれ与えられたバイスタティック伝搬時間tpにおいて無線電気信号を受信システムへと一斉送信(broadcast)するであろう表面によって規定される。発射システムSEMとレーダーセルCE間の伝搬時間と、レーダーセルCEと受信システムSRE間の伝搬時間と、の合計に等しい所与のバイスタティック伝搬時間tpは、楕円状部ELの表面上のいかなるレーダーセルについても一定である。
【0036】
レーダーシステムSEM−SREがモノスタティック、すなわち、発射システムと受信システムが同じ場所に配置されている場合には、半楕円状部は、半球面となり、また、発射システムと受信システムが、両者間の距離が、監視受信区域に含まれるセルからの距離に対して依然として小さいように近接している場合には、半楕円面は、近半球面となる。
【0037】
複数の延びた距離分解能区域ZDE、これらの区域の1つが図4に示されている、は、バイスタティック伝搬時間における差がレーダーの時間分解能、例えば、1.5kmと同じになるように半楕円状部EL間に規定される。延びた距離分解能区域ZDEと受信区域ZRの交差部は、各バイスタティック伝搬時間tpおよび選択された時間分解能に対応する監視距離分解能区域ZDを決定する。
【0038】
図4に示すように、楕円状の延びた距離分解能区域ZDEとメイン放射ローブLPとの交差部は、基本信号SB、及び、区域ZDEを規定するバイスタティック伝搬時間tp、と関連するシャムレーダーセルCESを規定する。図1に示すように、基本信号SB及び区域ZDEを規定するバイスタティック伝搬時間tpと関連し、受信区域ZRに配置されたシャムレーダーセルCESは、距離分解能区域ZD、基本信号SBに関連した積層チャートのメインローブLP、アンテナ受信システムSREの放射チャートの受信区域ZRに共通の地理的区域である。
【0039】
本発明のレーダーシステムは、特に、アンテナ発射システムSEMにおける基本信号SBと関連する積層発射チャートのメインローブLP、アンテナ受信システムSREの受信区域ZR、によりもたらされる空間画定を通して、及び発射システムにおいて提供される基本信号の直交性を通して、シャムレーダーセルCESを画定する。
【0040】
受信システムSREの実施形態を示す図5を参照すると、本発明を理解し、本発明との関連において有用な機能が埋められた機能ブロックのみを概略的に示している。このような機能ブロックは、専用またはプログラム可能なハードウェアモジュールおよび/あるいは少なくとも1つのマイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールに対応させることができる。
【0041】
受信システムSREは、異なる複数の受信アンテナ、例えばU=4のアンテナAR〜AR、及び、P個の受信ステージRE〜RE、を備えており、受信ステージは、各積層発射チャートに関する半楕円状部EL上のシャムセルを識別するようにそれぞれP個の受信アンテナチャートに関連しており、したがって、各基本信号SBに関連している。受信システムSREにおいて、各受信アンテナAR(1≦u≦U)は、それが受信する信号を、重み回路CPR1,u〜CPRP,uを通してP個の受信ステージRE〜REにそれぞれ分配する。
【0042】
U個の重み回路CPR1,u〜CPRP,uは、受信ステージRE(1≦p≦P)に接続されており、それぞれの受信チャートの角方位(angular orientation)を規定する複素重み係数vp,1〜vp,Uにより、アンテナAR〜ARによって捕えられた信号のそれぞれの振幅および/あるいは位相に重みを与える。受信ステージREは、対応するそれぞれの受信チャートの少なくとも1つのメインローブによってカバーされるレーダーセルの角位置決めの場合に関連している。そのため、図6に示すように、受信ステージREは、それぞれの受信区域において実質的に受信された重み付けされた信号の集合における基本信号及びバイスタティック伝搬時間を弁別するためのN個の並列の弁別器DISp,1〜DISp,Nを備えている。受信ステージREの各弁別器DISp,nは、受信区域にしたがって受信された重み信号の雑乱において、一方で一定のバイスタティック伝搬時間、すなわち、一定のバイスタティック距離を有するレーダーセルを、他方では所与のバイスタティック伝搬時間について、その直交性を通して弁別され得る基本信号SB1〜SBNの内の基本信号SBnに関連したシャムレーダーセルを、弁別するために、参照信号Srefとしての基本信号SBnと関連されている。よって、弁別器DISp,1〜DISp,Nは、それぞれ対応する受信区域及びそれぞれ異なるバイスタティック伝搬時間にしたがって、基本信号SB〜SBに関連したレーダーセルを識別する。
【0043】
受信システムSREにおける弁別器DISp,1〜DISp,Nの各1つの弁別器は、基本信号SB〜SBの第1の直交性および第2の直交性を用いて、基本信号SBに固有の積層チャートのメインローブLPを選択する。受信システムは、参照信号として受信システムのメモリから周期的に読み出され、各々弁別器に適用される基本信号SB1〜SBNを、例えば、所定の数列として、事前知識として備えている。基本信号の直交性に関する第1の直交性を2つずつ実行することを通して、弁別器DIS1,n〜DISP,nの各々は、例えば、各々の受信ステージRE1〜REPによって受信された混合信号において基本信号SBnを選択する相関デバイスあるいは畳み込みデバイスとして、前記混合信号が受信された他の基本信号SB1〜SBn-1、SBn+1〜SBNの全部あるいは一部を含むこととは関係なく、演算する。したがって、弁別器DIS1,n〜DISP,nは、メイン発射放射ローブLPnと受信チャートによりカバーされる受信区域ZRとの交差部のレーダーセルを選択する。
【0044】
受信場所に配置されたモノスタティックレーダーシステムによる従来の検知の場合、受信セルは、受信ネットワークのメインローブ及び時間分解能によって制限される。図1において、受信区域ZRは従来技術によれば、用いられる受信チャートのメインローブに近接して選択されていた。従来技術における時間分解能は本発明によって得られるものよりは低い。従来技術で用いられている公知の信号は、本発明で用いられる基本信号で得られる検知性能を与えることはできない。本発明で用いられる基本信号と対となる本発明に係る積層された発射チャートのメインローブは、時間分解能を、3〜5のオーダであるKr倍に短くし、本発明により得られるレーダーセルの寸法と同じ倍率だけ短くすることに寄与する。従来技術で得られるレーダーセルは、図1において、受信区域ZRと、受信システムSREを中心とした2つの半円であって例えば15kmの距離分解能インクレメントにより離間した半円の交差部として示されている。
【0045】
図4は、レーダーシステムSEM-SREにおける全ての基本信号及び関連する処理を通して、図1において取られた仮定により本発明にしたがって得られたレーダーセルの例示的なペイビング(paving)を部分的に示す。この部分的なペイビングは、受信区域ZRと、所与のバイスタティック伝搬時間tpにおける延びた楕円状距離分解能区画ZDEと、平置かつ絡み合わされた(juxtaposed and intertwined)メインローブLP1〜LPN=LP6と、の交差部である。図4が複雑になるのを避けるため、メインローブLP1〜LPNは個々の基本信号SB1〜SBN=SB6に起因するN=6の積層チャートの2つの角周期(angular periods)についに示してある。既に示したように、メインローブは、弁別器DISp,1〜DISp,Nにおいて、基本信号の直交性により弁別することが可能である。
【0046】
バイスタティック伝搬時間tpと全ての基本信号SB1〜SBNに関係する個々のシャムレーダーセルCES1〜CESNは、距離分解能区域ZDを敷き詰める(pave)。対(SB1,tp)〜(SBN,tp)とそれぞれ関連するシャムレーダーセルは、それが関連する基本信号が異なる限り分離することが可能である。
【0047】
図4はまた、所与のバイスタティック伝搬時間tpおよび監視可能な空間に拡張された選択された分解能距離に対応する延びた距離分解能区画ZDEを示している。対(SBn,tp)に関連しているシャムレーダーセルCESn=CES1は、延びた距離分解能区域ZDEと、基本信号SBnに関連した積層発射チャートのメインローブLPnと、の交差部に位置している。
【0048】
対(SBn,tp)に関連すると共に、受信区域ZRによってカバーされるm番目のシャムレーダーセルCESn,mは、受信システムSREに向かって信号:
Srn,m=αnm × SERn,m × SBn(tp)
を一斉送信(broadcast)することができる。
αnmは伝搬減衰、SERn,mは対(SBn,tp)に関連するシャムレーダーセルCESn,mのレーダー等価面(radar equivalent surface)である。
このような対は、バイスタティック伝搬時間tpから時間的にオフセットされた信号SBnのレプリカSBn(tp)を規定する。
【0049】
アンテナ受信システムSREは、アンテナAR1〜ARU、重み回路CP1,1〜REP,Uを介して、メインローブLP1〜LPPをそれぞれ備えたP個の放射チャートを形成する。対(SBn,tp)、M≦P、例えば、図4の2つのセルCESnに関連するM個のシャムレーダーセルを含む受信区域ZRについて、受信ステージREpによって処理されるp番目の受信チャートのための受信アンテナネットワークAR1〜ARUにより捕らえられる各信号Sp(1≦p≦P)は、以下のように表される:

ここで、(θrn,m,φrn,m)は、対(SBn,tp)と関連するm番目のシャムレーダーセルCESn,mの方位角(azimuth)θrn,m及び天頂(zenith)φrn,mにおける角方位(angular direction)である。Gp(θrnm,φrnm)は、方位角及び天頂(θrn,m,φrn,m)にしたがうp番目の受信放射チャートのゲインである。信号T(SBe,tpe)は、アンテナ受信システムにより受信されると共に、基本信号SBn以外の他の基本信号SB1〜SBn-1及びSBn+1〜SBNと関連する発射チャートにより放射されるレーダーセルによって、および、基本信号SBnと関連し、所与の伝搬時間tpとは異なるバイスタティック伝搬時間tpeに対応して位置するレーダーセルによって、一斉再送信(retro-broadcast)され得る、全ての信号の和を表している。
【0050】
参照信号として基本信号SBnを用いる弁別器DIS1,n〜DISP,nは、前述のとおり規定された第1の直交性の結果として、信号T(SBe,tpe)を形成することに寄与すると共に、基本信号SBnとは異なる1つあるいは複数の他の基本信号に関連したレーダーセルを削減する。所与のバイスタティック伝搬時間tpについて、弁別器DIS1,n〜DISP,nは、また、各基本信号が時間においてオフセットされた自身に直交するような、例えば、自己相関に依拠することで、前述のとおり規定された第2の直交性を適用することにより、信号T(SBe,tpe)を形成することに寄与すると共に、基本信号SBnに関連し、さらに、所与のバイスタティック時間tp以外の他のバイスタティック時間tpeについてのレーダーセルを削減する。
【0051】
両方の直交性は、基本信号SB1〜SBNを周期的かつそれぞれに構成する符号化されたシンボル数列の群によって、数列間のいかなる時間オフセット(time offset)でも、また、弁別器において受信された基本信号に適用される相互相関関数や自己相関関数の完全あるいは近完全の性質によらず、数列間の相互相関関数が厳密に0であるように得られる。数列は、発射システムSEMにおいて、共通の搬送波を周期的に変調することで発射される。数列の相関関数は、当該相関関数が、数列のオフセットの無い中心ピークとは異なるいかなる点、また、所定数のシンボルの相関関数における均等に離れた幾つかの点において0でない時に、近完全であるという。例えば、論文"LES SEQUENCES GQ SEQUENCES Q-AIRE ORTHOGONALES A CORRELATION PARFAITE",
C. GOUTELARD, AGARD CONFERENCE PROCEEDINGS 574, SPP Symposium, "Digital
Communications Systems: Propagation Effects, Technical Solutions, Systems
Design", Athenes, Greece, 18 au 21 septembre 1995, CP-574、に従って作られた数列GQ(Goutelard Q-ary sequences)は、第1及び第2の直交性を満たすものである。
【0052】
基本信号SBnに関連する弁別器DIS1,n〜DISP,nは、例えば、相関、あるいはこれと等価の演算、例えば畳み込み、を実行する。弁別器DISP,nは、下記の種類のような基準信号Rp,n、を提供する。

Kopは、弁別器DIS1,n〜DISP,nにおける数学演算子のための、信号Spと信号Rp間における変換係数である。
【0053】
与えられたバイスタティック伝搬時間tpについて、弁別器DIS1,n〜DISP,nは、P個の受信放射チャートにより測定されたP個の信号R1,n〜RP,nに対応するP個の方程式からなる系を供給し、当該系は、対(SBn,tp)に関連し、監視受信区域に含まれるシャムレーダーセルCESn,1〜CESn,Mに対応するM個の未知数αn,1×SERn,1〜αn,M×SERn,Mを有し、数Pは、Mと同等かMよりも多い。P=Mの場合は、方程式系は決定(determined)系であり、クラメール系を構成する。P>Mの場合は、方程式系は冗長決定(over-determined)系であり、計算の正確性を増大させるように演算可能である。
【0054】
各バイスタティック伝搬時間、すなわち各バイスタティック距離について、弁別器DIS1,n〜DISP,nは、P個の受信放射チャートにより測定されたP個の信号R1,n〜RP,nに対応するP個の方程式からなる系を供給し、当該系は、基本信号SBnと前記各々のバイスタティック伝搬時間との対と関連していると共に、監視受信区域に含まれるシャムレーダーセルの数と同じ未知数を有している。数Pは、上記シャムレーダーセルの数と同等かそれよりも多い。
【0055】
より一般的には、弁別器DIS1,1〜DISP,Nにより供給される全ての信号R1,1〜RP,Nは、発射チャートのメインローブLP1〜LPNによって放射されると共に受信区域ZRに位置するシャムセルによって返信される全ての基本信号を決定することに用いられる。
【0056】
本発明の数々の実施形態では、受信システムは多かれ少なかれ拡張された受信区域ZRをカバーすることができる。
【0057】
図1に示す実施形態において、受信区域ZRは、監視される区画の部分に限定されており、監視される受信区域の探査は、完全に監視区域をペイビング(paving)するQ個の受信区域のセットによるアンテナ受信システムSREにより行われる。Q個の一次方程式系を解くことになる。
【0058】
図4に示す実施形態では、受信区域ZRは、全監視受信区域に拡張されている。単一の一次方程式系(Q=1)を解くことになる。
【0059】
図7に示す実施形態では、監視受信区域ZRは、受信における積層チャートのセットにより獲得され、積層チャートのうちの一つのメインローブLPは、二次放射ローブと交互であることが示されている。受信システムにおけるアンテナは、空隙(lacunar)ネットワーク、すなわちアンビギュアス(ambiguous)放射チャートを生成するネットワークを構成し得る。積層受信放射チャートのメインローブは、実質的に並置されており、図4に示す積層発射チャートのメインローブの並置と同様に、監視される受信区域をカバーするようになっている。このような解法は、一次方程式系における数Qを増加させるが、各一次方程式系における未知因数の数を低減する。各発射チャートのメインローブはいかなる数でもよくあるいは1つに減らしてもよい。
【0060】
アンテナ受信システムSREの寸法は、採用される解法の関数として変化する。
【0061】
図1において、受信区域ZRは、典型的に従来の受信システムのメイン受信ローブのものとして示してある。図4は、図4によって区画された四分円における対(SBn=SB1,tp)に関連したM=12のシャムレーダーセルを示している。
【0062】
受信区域の寸法は変わらないが、本発明に係るレーダーセルの寸法は、従来技術に比べて、すなわち、図4に示すM×N=72ように、低減されている。本発明におけるそのような低減は、数百倍である。
【0063】
本発明は、上述の第1の直交性及び第2の直交性を有する基本信号を用いるものである。本発明において、このような直交性を有するいかなる信号も、基本信号の群を形成することに用いられ得る。
【0064】
図8におけるタイムチャートは、第2の実施形態を示し、発射システムSEMが第1の直交性及び第2の直交性を有する基本信号を発射する。
【0065】
N周期のサイクルの最初に、発射システムは、持続期間Tsbの基本信号SBを発射し、次いで、無信号が続き、無信号持続期間は最大バイスタティック伝搬時間tpmaxと同様かそれよりも長く、監視区域をカバーするようになっている。次いで、続く期間において、発射システムは、基本信号SBを発射し、次いで、少なくともtpmaxと同等な持続期間が続き、次いで、少なくともtpmaxだけ時間的に離れた他の信号を最後の基本信号SBNに至るまで2つずつ発射する。次いで、基本信号の他の連続する発射のサイクルが、上述と同様に開始される。
【0066】
2重の直交条件が満たされる。
【0067】
第1の直交性は、信号SB1〜SBNと関連する積層放射チャートの時間的な分離によって満たされ、いかなる時間において、異なる時間においてのみ生じる。受信システムは、一度に1つの非無基本信号のみを受信する。この場合、信号SB1〜SBNは、第2の直交性を示す同じ信号と同一であってもよい。
【0068】
第2の直交性は、各非無基本信号がそのような特性を有する時、すなわち、当該基本信号のレプリカが時間に亘って分離される時に満たされる。このような特性は、多くの数列のみならず、単一の独立したパルスについても満たされる。非無基本信号SB1〜SBNは、数列、あるいは同一又は異なる数列のストリング、あるいは、独立したパルス、あるいは。独立したパルスのストリング、から構成され得る。
【0069】
レーダーセルの大きな縮小に加えて、本発明は、そのシグネチャーを感知システムのレーダーセルの寸法に依存する雑乱を含む信号から抽出しなければならないという目標の検知における問題に直面するいかなる感知、電磁、音響システムの性能を大きく向上させることができる。本発明はさらに、監視受信区域に現われる目標の空間識別に関して大きなゲインを提供する。
【0070】
本発明は、レーダー、ソナー、無線位置測定システム、経路探査システム、医療用ラジオグラフィシステム、産業用ラジオグラフィシステムを含む全ての電磁波感知システムにおいて数多くのアプリケーションがあり得る。
【0071】
得られる利点は、アンテナシステム、より詳しくは、多くの場合最もかさばるアンテナ受信システムに対して、本発明により得られる分解能を獲得するために必要であろうと共に、従来技術では、アンテナ受信システムの寸法を十分に増加、約数十倍、させることによってのみ獲得されるであろう寸法を、どのような理由であれ、与えることができないような場合に、特に重要である。
【0072】
ここに記載した発明は、発射システムにおけるアンテナにより直交性を有する基本信号を発射し、受信システムにおける幾つかの受信アンテナが基本信号を受信するための発射・受信方法及びシステムに関するものである。実施において、本発明に係る発射・受信方法は、発射・受信システムに組み入れられたコンピュータプログラムのインストラクションにより決定される。該プログラムは、当該プログラムが発射・受信システム、当該システムの操作がより具体的にはプログラムの実行を通して制御される、において実行された時に、本発明に係る発射・受信方法を実行するプログラムインストラクションを備えている。
【0073】
結果として、本発明はさらにコンピュータプログラム、より具体的には、本発明を実施するのに適した1つあるいは複数のコンピュータ可読記憶媒体や他のデータ処理装置に記憶されたコンピュータプログラムとしても適用されるものである。このようなプログラムにはいかなるプログラミング言語を使用することができ、いかなるソースコード、オブジェクトコード、ソースコードとオブジェクトコードの仲介言語、部分的にコンパイルされた、あるいは、本発明の方法を実行するのに望ましい他の形式におけるオブジェクトコードの形式でもよい。
【0074】
記憶媒体は、プログラムを格納可能ないかなるユニットやデバイスであり得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射システム(SEM)における発射アンテナ(AE、AE)により直交性を有する基本信号(SB,SB)を発射し、受信システム(SRE)における複数の受信アンテナ(AR,AR)で前記基本信号を受信する方法において、
全ての発射アンテナについてそれぞれ基本信号を発射して複数の発射放射チャートを形成するステップであって、各発射放射チャートは、前記全ての発射アンテナにより発射されるそれぞれの基本信号(SB)と関連していると共に、複数の二次ローブ(LS)と交互となる複数のメイン放射ローブ(LP,LP)を含み、前記複数の発射放射チャートの複数のメイン放射ローブは実質的に空間内で交互かつ並置されている、ステップと、
複数の受信アンテナ(AR,AR)のそれぞれにより基本信号を受信するために受信区域(ZR)において複数の受信放射チャートを形成するステップであって、受信放射チャートの数は、少なくとも、受信区域に含まれるセルの数(CESn,m)と同じであり、前記セルは、複数の発射放射チャートのうちの1つの発射放射チャートのメイン放射ローブ(LP)によりカバーされており、発射システム及び受信システムから所与のバイスタティック距離に位置している、ステップと、を備えた方法。
【請求項2】
前記基本信号は、2つずつ直交している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基本信号は、オフセットした時間において自身に直交している、請求項1、2いずれかに記載の方法。
【請求項4】
継続的かつ周期的な基本信号の発射を行う、請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の受信チャートは、前記受信区域(ZR)をカバーしている、請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の受信チャートの少なくとも1つは、複数の二次放射ローブと交互となる複数のメインローブを備えている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記受信システム(SRE)におけるステップは、
受信アンテナ(AR,AR)によって捕えられた信号を重み付けするステップであって、受信アンテナにより捕えられた信号は受信放射チャートの数と同じ数の重み付け信号を生成するように重み付けられる、ステップと、
前記重み付け信号の集合における基本信号及びバイスタティック距離について弁別するステップであって、一方で、一定のバイスタティック距離を有するセルが、他方で、所与のバイスタティック距離について、直交性によって弁別され得る前記基本信号の1つ(SBn)と関連するセルが、弁別される、ステップと、
を備えている請求項1〜6いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
直交性を有する基本信号(SB,SB)を発射する複数の発射アンテナ(AE、AE)と、前記基本信号を受信する複数の受信アンテナ(AR,AR)と、を備える発射及び受信システムにおいて、
前記発射システム(SEM)は、全ての発射アンテナのそれぞれについて基本信号を発射して複数の発射放射チャートを形成する手段(EM,CPE)を備え、各発射放射チャートは全ての発射アンテナにより発射されるそれぞれの基本信号(SB)と関連すると共に、複数の二次ローブ(LS)と交互となる複数のメイン放射ローブ(LP,LP)を含み、前記複数の発射放射チャートの複数のメイン放射ローブは実質的に空間内で交互かつ並置されており、
前記受信システム(SRE)は、複数の受信アンテナ(AR,AR)のそれぞれにより基本信号を受信するために受信区域(ZR)において複数の受信放射チャートを形成する手段(CPR)を備え、受信放射チャートの数は、少なくとも、受信区域に含まれるセルの数(CESn,m)と同じであり、前記セルは、複数の発射放射チャートのうちの1つの発射放射チャートのメイン放射ローブ(LP)によりカバーされており、発射システム及び受信システムから所与のバイスタティック距離に位置している、システム。
【請求項9】
前記受信システム(SRE)は、
受信アンテナ(AR,AR)によって捕えられた信号を重み付けする手段であって、受信アンテナにより捕えられた信号は受信放射チャートの数と同じ数の重み付け信号を生成するように重み付けられる、手段と、
前記重み付け信号の集合における基本信号及びバイスタティック距離について弁別する手段であって、一方で、一定のバイスタティック距離を有するセルが、他方で、所与のバイスタティック距離について、直交性によって弁別され得る前記基本信号の1つ(SBn)と関連するセルが、弁別される、手段と、
を備えている請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
直交性を有する基本信号(SB,SB)を発射する複数の発射アンテナ(AE、AE)を備えた発射システム(SEM)、前記基本信号を受信する複数の受信アンテナ(AR,AR)を備えた受信システム(SRE)の各々において実行されるコンピュータプログラムであって、前記プログラムは、当該プログラムが前記発射システム及び前記受信システムにおいて実行された時に、
全ての発射アンテナについてそれぞれ基本信号を発射して複数の発射放射チャートを形成するステップであって、各発射放射チャートは、前記全ての発射アンテナにより発射されるそれぞれの基本信号(SB)と関連していると共に、複数の二次ローブ(LS)と交互となる複数のメイン放射ローブ(LP,LP)を含み、前記複数の発射放射チャートの複数のメイン放射ローブは実質的に空間内で交互かつ並置されている、ステップと、
複数の受信アンテナ(AR,AR)のそれぞれにより基本信号を受信するために受信区域(ZR)において複数の受信放射チャートを形成するステップであって、受信放射チャートの数は、少なくとも、受信区域に含まれるセルの数(CESn,m)と同じであり、前記セルは、複数の発射放射チャートのうちの1つの発射放射チャートのメイン放射ローブ(LP)によりカバーされており、発射システム及び受信システムから所与のバイスタティック距離に位置している、ステップと、
を実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−526680(P2011−526680A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515433(P2011−515433)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058189
【国際公開番号】WO2010/000742
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511002191)
【Fターム(参考)】