説明

レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法、および時空間適応処理を用いて不均一な環境のレーダー信号内のターゲットを検出する方法およびシステム

【課題】レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法の提供。
【解決手段】正規化トレーニングデータを得るために不均一な環境のトレーニングデータを正規化することと、正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めることと、クラッター部分空間行列を得るために正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡することと、クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいてレーダー信号内のターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求めることと、ターゲットを検出するために検定統計量を閾値と比較すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には信号処理に関し、特にレーダー信号を用いたターゲット検出のための時空間適応処理(STAP)に関する。
【背景技術】
【0002】
時空間適応処理(STAP)は、レーダーシステムにおいてターゲット、例えば、車または飛行機を検出するのに頻繁に用いられる。STAPは、1970年台前半から知られている。航空機搭載レーダーシステムにおいて、STAPは、環境内の干渉、例えば、グラウンドクラッターおよびジャミングが問題であるとき、ターゲット検出を改善する。STAPは、ターゲット検出において、桁違いの感度改善を達成することができる。
【0003】
通常、STAPは、複数の空間チャネルを有するフェーズドアレイアンテナによって取得された信号に適用される2次元フィルタリング技法を伴う。一般に、STAPは、複数の空間チャネルを時間依存のパルス−ドップラー波形と結合したものである。環境の干渉の統計量を適用することによって、時空間適応重みベクトルが形成される。次に、重みベクトルをレーダーによって受信されたコヒーレント信号に適用してターゲットを検出する。
【0004】
非ガウス分布環境において、動いているターゲットを検出するのに複数の非適応STAP検出器および適応STAP検出器が利用可能である。付加的な時間相関テクスチャ成分に起因して、複合ガウスにおける最適検出は、ほとんどの場合に暗黙的形式となる。最適検出器への解は、通常、期待値最大化手順に頼る。他方で、複合ガウスの場合の準最適検出器は、閉形式で表される。これらの検出器の中には、標準サンプル共分散行列を用いた正規化適応整合フィルター(NAMF)、および正規化サンプル共分散行列を用いたNAMFが含まれる。
【0005】
複合ガウス分布環境におけるスペックルは、低ランク構造を有する。スペックルパターンは、1組の波面の相互干渉によって生じるランダム強度パターンである。したがって、適応的な固有値分解/特異値分解(EVD/SVD)が用いられ、ここでは、サンプル共分散行列の逆行列を用いる代わりに、受信信号およびステアリングベクトルの、クラッター部分空間のヌル空間への射影を用いて検出統計量を得る。EVD/SVDに基づく方法は、トレーニング要件をO(2r)に低減することができる。ここで、rは、外乱共分散行列のランクである。しかしながら、この方法の計算複雑度は、O(M)であり、高いままである。ここで、Mは、空間チャネル数であり、Nは、パルス数である。MNが大きくなると、EVD/SVDに基づく方法の計算複雑度は、リアルタイム用途に実用的でなくなる。
【0006】
図1は、従来のSTAP法のブロック図を示している。ターゲットが検出されていないとき、取得信号101は、テスト信号x110およびトレーニング信号のセットx(k=1,2,...,K)120を含む。ここで、Kは、トレーニング信号の総数であり、トレーニング信号は、互いに独立で同一の分布に従う(i.i.d.)。ターゲット信号は、既知のステアリングベクトルs130と未知の振幅αとの積として表すことができる。
【0007】
この方法は、トレーニング信号x120を正規化し(140)、次に正規化トレーニングデータ140を用いて正規化サンプル共分散行列150を計算する。次に、正規化サンプル共分散行列150に固有値分解160が適用され、クラッター部分空間を表す行列U165が得られる。次に、この方法は、下式(1)に示すように、テスト信号110内のターゲットの存在の尤度を表す検定統計量170を求める。
【0008】
【数1】

【0009】
ここで、sは、特定のドップラー周波数および到来角の既知のステアリングベクトルであり、Iは、恒等行列であり、xは、ターゲットの存在についてテストされるデータベクトルであり、Hは、エルミート転置演算である。
【0010】
結果の検定統計量Tprior_art170が閾値と比較され(180)、ターゲットが存在するか否かが検出される(190)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
EVD/SVDに基づくSTAP法は、複合ガウス分布、すなわち、不均一な環境の場合に良好に機能する。しかしながら、この方法は、計算コストが高い。したがって、当該技術分野において、不均一な環境においてターゲットを検出する低複雑度のSTAP法を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施の形態は、時空間適応処理(STAP)を用いてレーダー信号内のターゲットを検出するシステムおよび方法を提供する。適応的な固有値分解/特異値分解(EVD/SVD)に基づくクラッター部分空間推定の高い複雑度に対処するために、いくつかの実施の形態は、部分空間追跡(ST)法を用いる。
【0013】
したがって、いくつかの実施の形態は、不均一な複合ガウス分布環境における部分空間追跡による低複雑度のSTAP戦略を用いる。特に、様々な実施の形態は、STに基づく低複雑度のSTAP検出器を用いてスペックル成分の部分空間を追跡し、時間とともに変動するテクスチャ成分の影響を軽減する。
【0014】
複合ガウス等の環境のためのSTに基づくSTAPは、スペックル成分の低ランク構造を利用することに起因してトレーニング効率がよい。また、STに基づくSTAP法は、その部分空間追跡能力に起因して、SVD/EVDに基づく部分空間手法よりも計算効率がよい。
【0015】
したがって、本発明の1つの実施の形態は、レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法を提供する。本方法は、正規化トレーニングデータを得るために前記不均一な環境のトレーニングデータを正規化することと、前記正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めることと、クラッター部分空間行列を得るために前記正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡することと、前記クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいて前記レーダー信号内の前記ターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求めることと、前記ターゲットを検出するために前記検定統計量を閾値と比較することとを含む。
【0016】
前記正規化サンプル共分散行列は、部分空間追跡法に従って求めることができ、クラッター部分空間追跡のための方法が、射影近似部分空間トラッカー(PAST)、直交射影近似部分空間トラッカー(OPAST)、デフレーションを用いた射影近似部分空間トラッカー(PASTd)、高速近似冪乗反復(FAPI)、および変形高速近似冪乗反復(MFAPI)を含む群から選択することができる。
【0017】
別の実施の形態は、レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法を開示する。本方法は、
【数2】

に従ってトレーニングデータを正規化することであって、正規化トレーニングデータを得る、正規化することと、
【数3】

に従って前記正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めることと、
【数4】

に従って、クラッター部分空間追跡を用いて前記正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡することであって、クラッター部分空間行列Uを得る、追跡することと、
【数5】

に従って、前記クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいて前記レーダー信号内の前記ターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求めることと、
前記検定統計量を閾値と比較することであって、前記ターゲットを検出する、比較することと、
を含み、ここで、
【数6】

は、正規化サンプル共分散行列であり、λr×rは、対角線に沿ってクラッター部分空間の最も重要なr個の固有値を有する対角行列であり、
【数7】

は、雑音分散であり、Iは、恒等行列であり、
【数8】

は、推定されたクラッター部分空間であり、xは、ターゲット存在をテストされるターゲットデータベクトルであり、sは所与のドップラー周波数および到来角のステアリングベクトルである。
【0018】
さらに別の実施の形態は、時空間適応処理を用いて不均一な環境のレーダー信号内のターゲットを検出するシステムを開示する。本システムは、トレーニングデータを取得する複数の空間チャネルを有するフェーズドアレーアンテナと、前記トレーニングデータを正規化し、該正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めるプロセッサと、前記正規化サンプル共分散行列を追跡してクラッター部分空間行列を得る追跡部分空間推定器とを備え、前記プロセッサは、前記クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいて前記レーダー信号内の前記ターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求め、該検定統計量を閾値と比較して前記ターゲットを検出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施の形態は、ターゲットを検出する方法を提供する。部分空間追跡を介した低複雑度のSTAPが、テスト信号とトレーニング信号との間の電力振動をモデル化する複合ガウス分布環境に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ターゲットを検出するための従来技術の時空間適応処理(STAP)のブロック図である。
【図2】本発明のいくつかの実施の形態による、部分空間追跡によるSTAP法のシステムおよび方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2は、不均一な環境において、レーター信号の時空間適応処理を用いてターゲットを検出するシステムおよび方法のブロック図を示している。1つの実施の形態では、システムは、複数の空間チャネルを介して、正規化するトレーニングデータを取得するフェーズドアレーアンテナ205と、トレーニングデータを正規化し(240)、正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求める(250)プロセッサ201とを備える。また、システムは、正規化サンプル共分散行列を追跡してクラッター部分空間行列265を得る追跡部分空間推定器260も備える。追跡部分空間推定器は、プロセッサ201を用いて実装することもできるし、同等の外部プロセッサを用いて実装することもできる。また、プロセッサは、クラッター部分空間行列およびステアリングベクトル230に基づいてレーダー信号内のターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求め(270)、該検定統計量を閾値と比較して(280)ターゲットを検出する(290)。
【0022】
本発明の様々な実施の形態は、スペックル共分散行列の低ランク構造を用いて、ある部分空間追跡技法によってその追跡を単純化する。いくつかの実施の形態は、部分空間追跡(ST)を複合ガウス分布環境に直接適用することによって、レンジビンにわたる電力振動を考慮に入れることができなくなるという認識に基づく。この問題に対処するために、STを複合ガウス環境に適応させる、トレーニング信号レベルおよび検定統計量レベルにおける正規化が説明される。特に、部分空間追跡に基づく低複雑度のSTAPは、入力として、テスト信号{x∈CMN×1}220およびトレーニング信号
【数9】

210、並びにステアリングベクトル{s∈CMN×1}230を用いる。
【0023】
複合ガウスクラッターは、下式(2)のように、正のスカラーλと、平均ゼロおよび共分散行列Rを有する多次元複素ガウスベクトルとの積である。
【0024】
【数10】

【0025】
ここで、z〜CN(0,R)である。xの条件付き分布は、x|γ〜CN(0,γR)であり、レンジビンにわたる電力振動を暗に示す。
【0026】
クラッターデータは、レンジビンにわたって異なる電力を有するので、部分空間Rを厳密に追跡するには、クラッターデータの正規化が好ましい。1つの単純な解決法は、ST技法を適用する前に、クラッターデータの瞬時電力正規化を
【数11】

240のように実行することである。次に、正規化トレーニングデータ240を用いて正規化サンプル共分散行列250が計算される。クラッター部分空間推定器260は、射影近似部分空間トラッカー(PAST)、直交射影近似部分空間トラッカー(OPAST)、デフレーションを用いた射影近似部分空間トラッカー(PASTd)、高速近似冪乗反復(FAPI)、および変形高速近似冪乗反復(MFAPI)等の様々な方法を用いることができる。
【0027】
したがって、1つの実施の形態は、
【数12】

に従って正規化されたSTに基づくSTAP検出器270を用いる。ここで、
【数13】

265は、ある部分空間追跡技法260を用いて瞬時に正規化された信号240および250から推定されたクラッター部分空間である。検定統計量270は、ターゲットが存在するか否かを検定するのに用いられる。結果の検定統計量Tinvention270が閾値と比較され(280)、ターゲットが存在するか否かが検出される(290)。
【0028】
したがって、レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法は、不均一な環境のトレーニングデータを正規化して、正規化トレーニングデータを得ることと、該正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めることと、該正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡し、クラッター部分空間行列を得ることと、クラッター部分空間およびステアリングベクトルに基づいてレーダー信号内のターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求めることと、検定統計量を閾値と比較してターゲットを検出することとを含むことができる。
【0029】
例えば、1つの実施の形態において、本方法は、
【数14】

に従ってトレーニングデータを正規化する(240)ことであって、正規化トレーニングデータを得る、正規化することと、
【数15】

に従って正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求める(250)ことと、
【数16】

に従って、クラッター部分空間追跡を用いて正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡する(260)ことであって、クラッター部分空間行列U265を得る、追跡することと、
【数17】

に従って、クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいてレーダー信号内のターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求める(270)ことと、検定統計量を閾値と比較する(280)ことであって、ターゲットを検出する(290)、比較することと、
を含み、ここで、
【数18】

は、正規化サンプル共分散行列であり、λr×rは、対角線に沿ってクラッター部分空間の最も重要なr個の固有値を有する対角行列であり、
【数19】

は、雑音分散であり、Iは、恒等行列であり、
【数20】

は、推定されたクラッター部分空間であり、xは、ターゲット存在をテストされるターゲットデータベクトルであり、sは、所与のドップラー周波数および到来角のステアリングベクトルである。
【0030】
本発明の上述した実施の形態は、多数の方法のうちの任意のもので実施することができる。例えば、実施の形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せを用いて実施することができる。ソフトウェアにおいて実施されるとき、ソフトウェアコードは、任意の適切なプロセッサ、または単一のコンピューター内で提供されるか若しくは複数のコンピューター間で分散されたプロセッサの集合体において実行することができる。そのようなプロセッサは、集積回路構成要素内に1つまたは複数のプロセッサを有する集積回路として実施することができる。ただし、プロセッサは、任意の適切な様式の回路部を用いて実装することもできる。
【0031】
また、コンピューターは、ラックマウント型コンピューター、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、マイクロコンピューター、またはタブレットコンピューター等の複数の形態のうちの任意のもので実施することができることを理解すべきである。そのようなコンピューターは、企業ネットワークまたはインターネット等の、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークを含む任意の適切な形態の1つまたは複数のネットワークによって相互接続することができる。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づくことができ、任意の適切なプロトコルに従って動作することができ、無線ネットワーク、有線ネットワーク、または光ファイバーネットワークを含むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法であって、
正規化トレーニングデータを得るために前記不均一な環境のトレーニングデータを正規化するステップと、
前記正規化トレーニングデータを、正規化サンプル共分散行列として表すステップと、
クラッター部分空間行列を得るために前記正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡するステップと、
前記クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいて前記レーダー信号内の前記ターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求めるステップと、
前記ターゲットを検出するために前記検定統計量を閾値と比較するステップと
を含み、前記各ステップは、プロセッサによって実行される、レーダー信号の時空間適応処理を用いて不均一な環境においてターゲットを検出する方法。
【請求項2】
前記正規化するステップは、
【数1】

に従って行われ、ここで、xは、k番目のトレーニングベクトルであり、Kは、トレーニングベクトルの総数であり、Hは、エルミート転置演算であり、
【数2】

は、k番目の正規化トレーニングデータベクトルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記正規化サンプル共分散行列
【数3】

は、
【数4】

に従って部分空間追跡法に基づいて求められる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記正規化サンプル共分散行列は、部分空間追跡法に従って求められる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記部分空間を追跡するステップは、
【数5】

に従うクラッター部分空間追跡を用い、ここで、λr×rは、対角線に沿ってクラッター部分空間の最も重要なr個の固有値を有する対角行列であり、
【数6】

は、雑音分散であり、Iは、恒等行列であり、
【数7】

は、前記クラッター部分空間行列であり、Mは、アンテナ素子数であり、Nは、パルス数であり、rは、推定されたクラッター部分空間共分散行列のランクである請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記クラッター部分空間追跡のための方法が、射影近似部分空間トラッカー(PAST)、直交射影近似部分空間トラッカー(OPAST)、デフレーションを用いた射影近似部分空間トラッカー(PASTd)、高速近似冪乗反復(FAPI)、および変形高速近似冪乗反復(MFAPI)を含む群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
【数8】

に従って前記検定統計量を求めるステップであって、ここで、xは、ターゲット存在をテストされるデータベクトルであり、sは、所与のドップラー周波数および到来角のステアリングベクトルである、求めるステップ
をさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
フェーズドアレイアンテナを用いて前記不均一な環境の前記トレーニングデータを取得するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記クラッターは、複合ガウス分布である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
時空間適応処理を用いて不均一な環境のレーダー信号内のターゲットを検出する方法であって、
【数9】

に従ってトレーニングデータを正規化して、正規化トレーニングデータを得る、正規化するステップと、
【数10】

に従って前記正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めるステップと、
【数11】

に従って、クラッター部分空間追跡を用いて前記正規化サンプル共分散行列によって表される部分空間を追跡して、クラッター部分空間行列Uを得る、追跡するステップと、
【数12】

に従って、前記クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいて前記レーダー信号内の前記ターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求めるステップと、
前記検定統計量を閾値と比較して、前記ターゲットを検出する、比較するステップと、
を含み、ここで、
【数13】

は、正規化サンプル共分散行列であり、λr×rは、対角線に沿ってクラッター部分空間の最も重要なr個の固有値を有する対角行列であり、
【数14】

は、雑音分散であり、Iは、恒等行列であり、
【数15】

は、推定されたクラッター部分空間であり、xは、ターゲット存在をテストされるターゲットデータベクトルであり、sは、所与のドップラー周波数および到来角のステアリングベクトルであり、前記各ステップは、プロセッサによって実行される、時空間適応処理を用いて不均一な環境のレーダー信号内のターゲットを検出する方法。
【請求項11】
時空間適応処理を用いて不均一な環境のレーダー信号内のターゲットを検出するシステムであって、
トレーニングデータを取得する複数の空間チャネルを有するフェーズドアレーアンテナと、
前記トレーニングデータを正規化し、該正規化トレーニングデータを表す正規化サンプル共分散行列を求めるプロセッサと、
前記正規化サンプル共分散行列を追跡してクラッター部分空間行列を得る追跡部分空間推定器と
を備え、
前記プロセッサは、前記クラッター部分空間行列およびステアリングベクトルに基づいて前記レーダー信号内の前記ターゲットの存在の尤度を表す検定統計量を求め、該検定統計量を閾値と比較して前記ターゲットを検出する、時空間適応処理を用いて不均一な環境のレーダー信号内のターゲットを検出するシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−220492(P2012−220492A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−71001(P2012−71001)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】