レーダー式液位測定装置用の遮蔽機構
【課題】高精度測定をタンクの底面付近で達成することができる機構を提供する。
【解決手段】液位のレーダー測定用の遮蔽機構であって、前記遮蔽機構1は、スティルパイプの下で且つ容器の底面10上に位置すると共に電磁波遮蔽体2と底面部3とを備えている。前記電磁波遮蔽体2は、それを通して液体が交換可能であると共に前記遮蔽機構1の壁を形成し、前記底面部3は格子パターン板と減衰材料層とを有する。前記格子パターン板は、前記底面部の上部に配置され、前記減衰材料層は、前記格子パターンから異なる間隔のところに位置する少なくとも2つのゾーンを有する。前記2つのゾーンの間の境界は前記レーダービームのローブの対称軸と一致する。
【解決手段】液位のレーダー測定用の遮蔽機構であって、前記遮蔽機構1は、スティルパイプの下で且つ容器の底面10上に位置すると共に電磁波遮蔽体2と底面部3とを備えている。前記電磁波遮蔽体2は、それを通して液体が交換可能であると共に前記遮蔽機構1の壁を形成し、前記底面部3は格子パターン板と減衰材料層とを有する。前記格子パターン板は、前記底面部の上部に配置され、前記減衰材料層は、前記格子パターンから異なる間隔のところに位置する少なくとも2つのゾーンを有する。前記2つのゾーンの間の境界は前記レーダービームのローブの対称軸と一致する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵容器内の液体容積を測定するのに用いられるレーダー式測定器に関し、特に、容器の縦方向下方に延びる導波管(静止筒又はスティパイプ)の上部に位置するレーダー測定器に関する。上記導波管は様々な理由から容器の底面よりも上に少し間隔を開けたところに終端している場合があり、したがって、導波管と底面との間に小さな隙間が残されている。導波管よりも下の液面には導波管が与える保護がなく、そのため、液面上に表面波現象をもろに受ける。
【0002】
本発明は貯蔵タンク搭載海洋船に関して説明されるが、例えば、地上LNG貯蔵タンク、石油製品タンク、化学薬品タンク、及び液状栄養タンク等の任意のタイプの容器において実施することが可能である。
【0003】
特に、貯蔵タンク搭載海洋船(例えば、液化天然ガスを搬送する船)における低レベルの液体に関して、一方では、液面によって生じるレーダーエコーがキャピラリー波(毛細表面波)及び乱流による外乱を受け、他方では、タンクの底面に生じるエコーによる外乱を受けることがよく知られている。これらの双方のタイプの外乱は、レーダーレベル測定器が、取引用流量計搭載海洋船に必要とされる精度で液位を測定するために最小限にとどめられるべきであることが一般的に認識されている。
【背景技術】
【0004】
(例えば、特許文献1に記載のような)レーダーレベル測定では、スチールパイプを用いて、タンク内部の機器への干渉を回避すると共に、液体の表面乱流が反射信号の変動を生じないようにする。スチールパイプは、タンクの底面よりも上の或る間隔までタンクの上部から延びるパイプである。アンテナがパイプ内に又はパイプのすぐ上に位置し、導波管としてパイプ作用により下方に放射を導くようになっている。この構成は、液位が低く、液面がスチールパイプの開口の下にある場合には、十分に動作せず、これは、液面上にはパイプが与えるスチールゾーンがないためである。さらに、ポンプ機構がこのゾーンに開口を有するため、高度な乱流がタンクの下部ゾーンに見られる。
【0005】
さらに、従来技術によれば、底面反射信号による干渉を回避するために、同様の機能を有するそらし板又は機構、例えば減衰器がアンテナの下側に直接設置される。LNGタンク内のレベル測定のためのこれらのタイプの技術の適用は、1996年に既に記載されている(非特許文献1)。
【0006】
特許文献2は、レーダーレベル測定機構によりタンク内の液位を求める装置であって、マイクロ波用の吸収体がパイプの開口よりも下のタンクの底面に配置され、マイクロ波エネルギーを吸収してタンクの底面からのエコーを防止するようにする、装置を記載している。メンブレンタンク等、かかる機構は、主要な用途分野における使用に適しておらず、いくつかの設計の場合では、全ての機構はタンクの底面に直接ではなくタンクの底面から或る間隔のところに位置せねばならない。さらに、この機構は表面乱流に対して何の保護も与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,184,818号明細書
【特許文献2】国際公開第01/29523号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】committee drafts for ISO International Standard 13689:2001(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、何らかの理由でスチールパイプがタンクの底面まで延びることができない状態において、タンク底面近くで制御された測定状態を得ることが目的である。本発明の用途の文脈では、制御された測定状態という表現は、特にタンク内の機器によるノイズ、表面乱流、及び底面反射が低減されている測定状態を指す。船タンクの場合、かかる乱流の根源は、風が起こす波及びうねりよる、又は底荷若しくは貨物の積載/未積載による船のトリム角/横傾斜角による船の移動によって形成されるタンク内の波動である。機械類からの振動もまた、タンク壁及びタンク内部の他の機械構造を介して伝搬し、タンク内部に小さな波/キャピラリー波を形成する可能性がある。タンクの内部では、貨物ポンプが振動及び波動の双方を発生させるであろう。具体的には、LNGタンクでは、乱流のさらなる根源はスプレーポンプ/ストリッピングポンプ並びに貨物ドロップラインであり、全てのタイプの低温貨物に関して、ボイリングにより表面に乱流が形成される。
【0010】
タンク底面付近に制御された測定状態が必要であることは、例えば、LNGメンブレンタンクにおいて生じ、ここでは、いくつかのタイプのメンブレン(すなわち、Invar金属シートメンブレン)の場合では、スチールパイプの下端と薄いメンブレンタンク底面との間に常に安全な間隔があるものとする。関係する限界は、メンブレンタンク底面上に直接、任意の構造部品を置く若しくは支持することができないこと、また、タンク床のウェルをかかる機構に置くようにすることも、又はタンクの上方を測定することによって液位を測定することもできないことであり得る。さらに、パイプ及びパイプの支持構造(トライポッド又は同様の構造)は、低温状態でタンク壁に対して熱収縮を受ける可能性があり、そのため、少なくとも低い温度では、パイプの下端とタンク底面との間に実質的に自由なビームスペースがあり、ここでは、測度の精度は、液面の外乱及び底面反射の干渉により下がる。
【0011】
したがって、本発明は、高精度測定をタンクの底面付近で達成することができる機構を提供することを一目的として有する。
【0012】
本発明の一目的は、製造及び設置することが容易である、すなわち、別個の部品が最小であり且つ低重量であることでブラケット又は他の支持機構を小型に作製することができる機構を提供することである。パイプの下に機構を位置決めすることに対する要件は、かかるタンクの通常の構造法によって(すなわちブラケットの溶接によって)満たすことほど決定的なものではないはずである。
【0013】
本発明の別の目的は、部品が貨物ポンプに浸漬して損傷を与える可能性があるため、タンクメンブレンへの損傷を防止すると共に、これらの部品が動作中に破損するいなかる可能性も回避する設計を有する機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様では、本発明は、容器内の低い液位のレーダー測定用の遮蔽機構であって、容器の底面付近に位置すると共に液体と流体連通する電磁波遮蔽体を備えることを特徴とする遮蔽機構を備える。
【0015】
別の態様では、本発明は、容器内の液体の低い液位を求める装置であって、液面に向かって信号を送るアンテナと、導波管とを有するレーダー測定機構を備える、装置を備える。当該装置は、容器の底面付近に位置する遮蔽機構を備え、この遮蔽機構は液体と流体連通することを特徴とする。
【0016】
したがって、本発明の一態様は、液面のかなりの大部分を遮蔽して、当該液面に良質なレーダーエコーを生成する最良の考えられ得る状態を与える解決策を提供する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっている機構をさらに備える。このことは、各種ステルス技法、例えば吸収体、偏向パネル、及び回折形状、又は(考えられ得る場合は)これらの技法の組み合わせにより達成することができる。
【0018】
本発明のこれらの態様の双方は、容器の底面付近の液面によって生じるエコーに関して信号忠実度を高め易くし、したがって、貯蔵容器内の非常に低レベルの液体の正確な測定をレーダー測定器に行わせるようにもすることが目的である。
【0019】
本発明の一実施の形態では、機構は、カーボン若しくは同様の材料の繊維を含有する繊維マット又は織布材料等の単一タイプの材料から成り、したがって、表面を消波する要件を本質的に満たし、メンブレンに対し何の危険性もないほど十分に柔軟性がある。この実施の形態は、例えば共鳴減衰構造の高いマイクロ波吸収効率が必要である場合には、又は繊維が剥がれて貨物ポンプに入り込む可能性のある危険性が許容可能でない場合には適切ではないであろう。したがって、種々の異なる用途及び要件には機構の種々の異なる設計が考えられる。
【0020】
別の実施の形態では、機構はレーダー吸収材料から少なくとも部分的に作製され、且つ/又は当該レーダー吸収材料によって覆われる。
【0021】
別の実施の形態では、機構はトライポッド誘導構造に締結する締結手段を備える。この実施の形態の特別な変形形態では、締結手段は、少なくともアーティキュレーションを有し、且つ/又は断熱材料から作製され、且つ/又は伸張可能な部品を有する。
【0022】
本発明の別の実施の形態では、遮蔽機構は、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっている。別の実施の形態では、遮蔽機構は例えば減衰器、偏向パネル、及び回折形状等のステルス機構を有する。最後に述べた実施の形態の特別な変形形態では、上記ステルス機構は電磁波遮蔽体上及び/又は底面部上に設けられる。
【0023】
別の変形形態では、電磁波遮蔽体はレーダービームのメインローブ内に位置する。本発明のこの特別な実施の形態は、サイズ制限があるタンク、例えば、Samsung1442(130×230×180mmの内寸法)に適応する。別の変形形態では、機構はレーダービームの放射ローブに対して大きなサイズとなっており、このようにして、電磁波遮蔽体との相互作用は無視できる程のものとなる。
【0024】
別の実施の形態では、電磁波遮蔽体は、入れ子構成を与えるようにスチールパイプを包囲するようになっている。
【0025】
本発明の一実施の形態では、電磁波遮蔽体は穿孔を含む。別の実施の形態では、機構は、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっている底面部を有する。
【0026】
別の変形形態では、底面部は矩形又は正方形状である。
【0027】
別の実施の形態では、底面部は、小さなレーダーエコーが、液体の仮想の深さを増すように下方に変位した位置で検出されるように入射レーダー信号の大部分を減衰する共鳴吸収体を有する。
【0028】
別の実施の形態では、底面部は、LNGのインピーダンスと一致させるように入力インピーダンスを変換する格子パターン板を備える。この実施の形態の一変形形態では、底面部は減衰材料層と、好ましくは当該減衰材料層を裏当金に締結するねじとを備える。別の変形形態では、減衰材料層は、格子パターンの下側に位置する。別の変形形態では、裏当金は、格子パターンから異なる間隔(1/4波長ステップ)のところに位置する少なくとも2つのゾーンを有する。減衰材料は、底面部からできる限り弱く反射させる機能を有する。1/4波長ステップを提供する裏当金により、2つのゾーンからの反射がパイプに向かって戻る方向に相殺される。減衰器は反響的である、すなわち減衰器の厚みは、レーダーエネルギーが捕捉されて減衰器内で消散するようにレーダー信号の波長に適応する。好ましくは、2つのゾーン間の境界はレーダービームのローブの対称軸に相当する。
【0029】
別の実施の形態では、本発明による遮蔽機構は容器として形成され、電磁波遮蔽体は容器の壁から成り、底面部は容器の底面から成る。
【0030】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構はその下部に減衰器を備える。
【0031】
容器の目的は、タンクの底面からスチールパイプの下端よりも少なくとも数センチメートル上まで延び(ただし、全体では稀にしか25センチメートルを超えない)、ゆえに、測定信号を破損させる表面波及び底面反射を回避する、スチールゾーンを提供することである。
【0032】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構の壁は外側の液体と流体連通を行うように少なくとも部分的に穿孔されている。上記穿孔は、遮蔽機構の内側の表面が当該装置の外側の平均表面に最大偏差で沿い、この最大偏差は、その設置のために指定された最高ポンプ速度での指定された全体の測定精度よりも(著しく)小さいように、少ない時間遅延で連通するようになっている。現在のLNG用途の場合、遅延は典型的に1〜2mm未満でなければならない。
【0033】
しかしながら、壁の穿孔の別の作用は、外側からの外乱が遮蔽領域に入り込むことである。この理由から、穿孔領域は本発明の一実施の形態では最小限であり、遮蔽機構の底面周囲に位置することで、タンクレベルが遮蔽機構のごく底面に達するまでキャピラリー波が入り込むのを抑制し、各種開口間の建設的な干渉(干渉による強め合い)が最小限になるように不規則なパターンで構成される。他方では、穿孔は遮蔽機構内の定在波が減衰する作用も有し、この理由から、本発明の一実施の形態での穿孔領域は大きく、遮蔽機構の側壁にわたって不規則なパターンで広がり、且つ/又は垂直な若しくは斜めのスライスから構成され得る。急激に変動する外乱が入り込むのを防止するように所望の流体力学的フィルタ効果を得るために、急激な変動の少ない平均レベルを遮蔽機構内部で維持しつつ、本発明の一実施の形態での穿孔は数個の大きな穴ではなく多数の小さな穴から成る。各穴の縁は流体力学的損失を増大させるように好ましくは鋭利(90度)であり、それにより、急激なレベル変動の十分な減衰を得る。上述から、本発明による遮蔽機構の設計は、3つの部分的に相反する考慮事項、すなわち、液位の十分に迅速な連通、遮蔽機構への波の入り込みの防止、及び遮蔽機構内部の波の減衰の間での妥協を各タイプの設備ごとに最適化することができることを理解できる。
【0034】
上述したように、電磁波遮蔽体は第1の実施の形態では穿孔を含む。これらの穿孔により、安定した測定を得るのに液面を十分に消波させることができ、それでもなお周囲の液体との迅速な連通が与えられることで、底面ゾーンでのたいていの迅速なポンプ動作中に十分に低い時定数及び読み取り値の遅延が得られる。このことは、電磁波遮蔽体が閉じている本発明の実施の形態において特に重要である。
【0035】
本発明による遮蔽機構は、好ましくは穿孔電磁波遮蔽体を備え、好ましくはレーダー透明材料を含むか又はレーダー吸収材料で内側を覆われ、最小の入射レーダー信号がレーダー受信機に反射する(ステルス機能)ような物理寸法及び形状を有する。このことは、機構内にキャピラリー波を有する共鳴定在液面波の効果的な回避及び抑制も達成する。
【0036】
本発明の一実施の形態における電磁波遮蔽体は、スチールパイプを包囲するように狭くなっており、収縮時にスチールパイプに対し入れ子で摺動できる。本発明の別の実施の形態では、入れ子が熱作用又はこの構成の移動部品の任意の他の不整合によって制止される可能性があるおそれがある場合の使用では、電磁波遮蔽体の直径はいずれの場合にもパイプと遮蔽機構との間にクリアランスがあるように増大される。本発明の一実施の形態での電磁波遮蔽体は、別の実施の形態では閉じた形状を形成せず、湾曲壁を含む管状形状を有する。
【0037】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構は底面部を含む。この底面部は、取り付けの際に、又はシステムの何らかの損傷が動作中に生じるであろう場合(ダブルエラー)にメンブレンに損傷を与えないように設計される。遮蔽機構は、底面側に最小の鋭端を有し、一実施の形態では、タンクメンブレンのフレッティング又は摩耗のいかなる危険性も最小限にとどめるように非金属材料、例えば、テフロン(Teflon登録商標)のいくつかの間隔保持片を備える。タンクメンブレンよりも上のこの最小の間隔は、具体的な用途ではタンク設計者及び造船所によって適用される安全な間隔と、船主によって指定される測定レベルを最小限にする要件との間での妥協として決定される。典型的には、安全な間隔はInvarシートメンブレンのタンクの場合では3〜5mmである。
【0038】
遮蔽機構の底面部は吸収材料を含むことができ、これは本質的に減衰器として働き、好適な設計では、上記底面の全領域を包含する。しかしながら、この設計は、吸収材料が遮蔽機構の底面全体の異なる種々の高さに分配され、したがって、レーダーの検出範囲外の底面部で生じる残留エコーを偏向するのに十分に適した格子(すなわち回折)構造を構成する。
【0039】
遮蔽機構の内側をボイリングする確率を最小限にとどめるために、一実施の形態では、遮蔽機構は低い比熱容量を有する材料で少なくとも部分的に作製されることで、いかなる瞬間も遮蔽機構内部の温度が周囲温度に等しくなるようにする。
【0040】
材料はまた、例えば温度範囲、攻撃的な化学薬品、又は腐食性液体への適用性等の他の環境要件を満たし、一実施の形態での遮蔽機構は、支持ブラケットの断熱部品の使用により支持構造部とは実質的に断熱され、それにより、トライポッド構造及びスチールパイプを介してタンクの上部から伝達された熱により遮蔽機構内部の液体の温度が上がらないようにする。遮蔽機構とブラケットの断熱部品の双方は、LNGタンクの場合では例えばプラスチック材料で作製されることができ、プラスチック材料のうちテフロンが低温用途に一般に用いられ得るであろう。
【0041】
遮蔽機構内にキャピラリー波を発生させる確率を最小限にとどめるために、遮蔽機構の支持体は、本発明の一実施の形態では、タンク構造によりポンプ又は容器の他の部品によって誘発される振動から遮蔽機構を機械的に分離させる制振のための手段を有する。
【0042】
制振ダンパーは、例えば、金属ばね又はゴムブロックから作製されるが、低温では、ほとんどの材料は不安定となるか又は各自の柔軟性を失うため、かかる場合では、ポリエステルフィルム及び同様のプラスチック等のいくつかの材料のみが用いられる。
【0043】
いくつかの用途では、機構は、溶接、ねじ留め、又はクランプブラケットの使用によりタンク底面に直接取り付けることができる。本発明の一実施の形態では、機構は、機構とタンクメンブレンとの2つが等しい熱定数を有する材料から作製されていない場合では、自由な相対摺動を可能にするように機構とタンクメンブレンとの間に薄いテフロンシート又は類似物を備える。
【0044】
機構がタンク底面に直接取り付けられることができない場合に適応する実施の形態では、機構は、例えば支持構造部に接続されるアーム又はブラケットの形態の締結手段を備え、この締結手段は底面上に載置されるか又は任意の他の方法でタンクの底面に対して一定の垂直間隔で取り付けられる。好適な一実施の形態では、この支持構造部はトライポッド誘導構造であり、このトライポッドもまた、タンクを最終的に空にする場合に用いられるストリッピングポンプを支持するのにも用いられる。よって、ポンピングによって達した最低測定レベルと最低液位との間には常に、一定の関連した選択可能な縦方向間隔があることになる。
【0045】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構は、タンク底面の縦方向位置に対して収縮する構造部品上に取り付けれるようになっている締結手段を有する。これは、機構に接続されるアーム及び対象の構造部品により達成され、当該アームは、例えば構造内のバイメタルの詳細部を用いることによって、又は機構の縦方向位置の能動的な制御によって収縮作用を自動的に調整する。
【0046】
一実施の形態では、遮蔽機構はレーダー吸収材料から少なくとも部分的に作製され、且つ/又は当該レーダー吸収材料によって覆われ、このレーダー吸収材料は、遮蔽機構内の定在流体力学波を減衰する所望の効果を提供するように適切に織布又は製作される。適切な材料は例えば、ケブラー(Kevlar登録商標)繊維又は他のカーボン材料である。
【0047】
前述したように、一実施の形態では、遮蔽機構はカーボン材料又は同様の材料の繊維を含有する繊維マット又は織布材料から実質的に作製されることができる。この実施の形態は、壁の穿孔の所望の作用を組み合わせることで、壁を液体連通させ、外側から且つ内側にて流体力学波を減衰させ、カーボンによって吸収することによりマイクロ波を減衰させ、且つ、不規則な表面から分散させる。かかる柔軟な機構は、薄いタンクメンブレンの下への損傷を回避する要件も本質的に満たす。機構の剛性を高めるために、本発明の一実施の形態では、マットは接着剤又はプラスチック材料を噴霧されて繊維を湿潤させて固めるようになっている。機構が支持リングを備えることも可能である。
【0048】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構内部の内部波パターンは、側壁の楔又は起伏を用いて遮蔽機構を水平面内で不規則且つ非対称にさせることによって分散(broken up:分解)される。好ましくは、強力な半波共振のため、単純な規則的な形状は回避される。好適な全体形状は奇数多角形であり、好ましくは不等辺長も有する。
【0049】
分かるように、キャピラリー波及び乱流によって生じる外乱は、本発明による遮蔽機構(電磁波遮蔽体を備える)を用いることによって許容可能なレベルに下がるため、液面のかなりの大部分を遮蔽して、良質なレーダーエコーを生じるかなり均一な表面を提供することができる。上記電磁波遮蔽体は、液体からレーダーエコーの品質を損なうことなくキャピラリー波及び乱流に効果的な減衰力を与える種々の形状及び設計をとることができる。後者の特徴に関して、各種ステルス技法、例えば、吸収体、偏向パネル、及び回折形状、又は(考えられ得る場合は)これらの技法の組み合わせが用いられ得る。
【0050】
他方では、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱は多くの方法で最小限にとどめられることができる。一任意選択は、機構又は少なくとも機構の部品(例えば、底面部)に、エネルギーの許容可能な部分のみを容器の底面からの検出可能なエコーとして投射する程度までレーダーエネルギーを吸収する材料を用いることである。別の任意選択は、容器の底面に達する前に、レーダー信号の大部分を反射する斜めの金属プレートを用い、したがって、容器の底面からのエコー信号をレーダーに対してもっぱら検出可能にすることである。第3の方法は、レーダーの検出範囲外のエコーエネルギーの大部分を回折するように設計された幾何形状及びパターンの格子又はアレイを含む。当業者は、レーダー信号回折、偏向、吸収の構想概念を組み合わせるという解決策が、容器の底面からのエコー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるのに十分に適した機構のかなりのクラスを形成し得ることを容易に理解するであろう。
【0051】
本発明の各種特徴は、本発明の異なる実施の形態として説明されているが、これらは特定使用に適応した機構を提供するように組み合わせることができることは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態における本発明による機構を示す図である。
【図2A】本発明による機構の第2の実施形態を示す図である。
【図2B】本発明による機構の第2の実施形態を示す図である。
【図3A】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3B】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3C】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3D】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3E】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3F】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3G】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3H】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3I】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3J】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3K】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3L】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3M】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3N】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3O】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3P】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図4】本発明による装置の一実施形態における底面部構造の詳細図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図である。
【図6A】本機構をタンクに取り付ける一方法を示す図である。
【図6B】本機構をタンクに取り付ける一方法を示す図である。
【図6C】本機構をタンクに取り付ける一方法を示す図である。
【図7A】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7B】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7C】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7D】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7E】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図8A】格子パターンを含む、本発明による遮蔽機構を示す図である。
【図8B】格子パターンを含む、本発明による遮蔽機構を示す図である。
【図8C】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8D】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8E】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8F】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8G】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図9A】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図9B】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図9C】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
次に、本発明の一実施形態を図面により説明する。
【0054】
図1は、電磁波遮蔽体2及び底面部3を備える、液位レーダー測定用の遮蔽機構1であって、電磁波遮蔽体2が液体4と流体連通する(流体連通のための手段は図示せず)、液位レーダー測定用の遮蔽機構を示す。この図はまた、スチールパイプ5及び支持アーム又は締結手段6を示す。この実施形態では、遮蔽機構1は容器として形成され、電磁波遮蔽体2は容器の壁から成り、底面部3は容器の底面から成る。タンクの底面10が底面構造部11と共に図に示されている。
【0055】
図2は、電磁波遮蔽体2が底面部3の外周部分にしか延びない本発明の一実施形態を示す。この図は、電磁波遮蔽体2の穿孔12も示す。
【0056】
図3A及び図3Bは底面部3の回折形状を示す。これらの回折形状はまた、電磁波遮蔽体2に位置することができ、電磁波遮蔽体2における回折形状及び底面部3における回折形状の組み合わせも可能である。これらの図は、底面部3のいくつかの異なる部分:20、21、24、25、26を示し、これらはいくつかの異なるレベル(間隔d1及びd2)にある。これにより、好ましくは、上記部分(例えば縁22及び23)どうしの縁の重なり合いとの組み合わせにより、底面ノイズを低減する回折パターンの形成が可能となる。間隔d2は全部分について同様であり得るか、又は異なり得る、すなわち、部分24と部分27との間に或る間隔があり、部分24と部分25との間に別の間隔があってもよい。当業者は、間隔d1及びd2が液状媒体の屈折率及びレーダーの動作周波数の双方に密接に連関することを理解するであろう。しかしながら、上記間隔の意図的な変更は電磁波遮蔽体の幾何形状に首尾よく適応する回折後方錯乱を与えるであろう。したがって、レーダー計測器に反響するエネルギー量(残存はあるが)も最小限にとどめる。一例として10GHzの動作周波数、流体は液化天然ガス(LNG)であるものとし、上記間隔は3〜10ミリメートルの範囲(周波数が低いほど間隔が長くなると考えられ、またその逆も考えられる)と考えられる。
【0057】
図3は、本発明による機構の異なる実施形態を示す。いくつかの図は、本発明の好適な実地形態では減衰器である底面部34と、当該底面部を締結すると共にステルス効果を与えるリング300、301と、電磁波遮蔽体(shield)2である。
【0058】
図3C及び図3D並びに図3Eは、底面部3(筒状の奇数多角形及び不規則形状(それぞれ平行な側面がわずかにあるか又は全くない))の種々の異なる形状を示す。
【0059】
図3Fは、剛性のために織布構造部及び支持リング100を含む底面部3の一実施形態を示す。
【0060】
図3Gは、電磁波遮蔽体2が波形(起伏形状)を有する本発明の一実施形態を示す。この実施形態は遮蔽機構内の内部定在波がコーナー構造部によってより迅速に分散且つ消散するという利点を有する。
【0061】
図3H〜図3Kでは、電磁波遮蔽体は薄いシート金属又はプラスチック材料を含む、すなわちステンレス鋼、アルミニウム、テフロン又は類似物を含む。図3L〜図3Nに示す実施形態では、電磁波遮蔽体は織布材料を含む。上述の壁構造の各種形状、タイプ、及びマイクロ波減衰器の設計及び形状は、本発明のいくつかの実施形態では種々の用途及び要件のために最適化した消波装置を提供するように組み合わせられる。
【0062】
図3Oは、タンクの底面における起伏間に配置(フィット)するようになっているプレート501を備える本発明による機構の一実施形態を示す。プレート501は、遮蔽機構を配置することができる比較的大きな面積を示し、遮蔽機構はレーダー管/レーダーフットプリントを考慮して機構の最適な配置を達成するようにプレート上に移動することができる。プレート501は電磁波遮蔽体2を提供する壁を備える。機構は、穿孔遮蔽体又は波吸収体500も備える。図3Oはスチールチャンバ502も示す。
【0063】
図3Pは本発明の代替的な実施形態を示し、この実施形態では電磁波遮蔽体2、穿孔メンブレン500、及び減衰板34を含む筒状遮蔽機構が板部材501に位置する。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態では減衰器が含まれる底面部3の基礎構造特徴に関する詳細を示す。下から構造部は金属支持体31を含み、金属支持体31は好適な設計ではベースと接触せずに貯蔵容器(タンク)のベース10に可能な限り近くに配置される。後者の設計特徴は、その下面32が容器(タンク)の底面に対してかなり平行に延びる支持体を必要とするが、その一方で、支持体の上面33又は下部は容器の底面に対して傾斜角で設定されたパネル及びファセットも含むであろう。減衰器3の第2の構造特徴は、スチールパイプ5から下方に途中の液面4を貫通した大部分のエネルギーを吸収するように支持体の上面に取り付けられる吸収材料34である。当業者は、吸収材料34の上面及び下面がレーダー信号波の伝搬に関してミスマッチとなること、及び、したがってこの両面はレーダーエコーを発生しやすいことを容易に理解するであろう。このダブルエコー特徴は、共鳴吸収体(デーレンバック層)と一般に呼ばれる製品において商業的に用いられ、減衰器3の吸収材料34として用いるのに十分適している。減衰器3のさらなる構造特徴として、さらなる層のプラスチック材料35が含まれる。上記層は主として、吸収材料の保護を提供することを目的とする。そのように必要とされる場合、その目的用途に関して、減衰器3のレーダー信号性能の最適化に関する或る程度の設計自由度も提供される。この設計自由度を例証するために、本発明の一実施形態では、代替形態として、装置は、高い減衰率を有する吸収材料34を含むことができ、厚すぎてデーレンバック設計による共鳴を提供すことができず、したがって、検出可能なエコーを生成するための吸収材料の上面のみが残る。しかしながら、このエコーは、適した厚み及び屈折率を有するプラスチック材料35の層を備える本発明の実施形態を提供することによってかなり低減することができ、したがって、デーレンバック設計に対して可能な代替物となる解決策を提供する。
【0065】
この他に、デーレンバック設計の慎重な試験により、本発明者らは底面減衰器3によって生成されるエコーの測定可能な位置に関して新規の特徴及び発明の概念を想定し、これが、上記機構の使用目的に対して有益な態様となる。デーレンバック層の共鳴性は、後方錯乱をなくすか、又は或る種の後方錯乱を生成するように設計され得る。後者の特徴は減衰器3によって生じるエコーの検出可能な位置を不可避的に変位する。当該変位は吸収材料の慎重な選択により支持体31の下の検出可能な位置を提供するように押し出され、したがって、実際の深さよりも深い仮想の液深も提供する。この有益な特徴は、減衰器3により生じるエコーから液体エコーを分解するのに用いられ得るソフトウエアベースのアルゴリズムのためのマージンを増大する。有益な特徴が余白を増させる。適した厚さ及び反射率を有するプラスチック材料35の層を適用してデーレンバック設計に対する上述の代替形態を提供する場合、この適正な減衰器3の特性は同様によく適用される。
【0066】
図5は本発明の第3の実施形態を示し、遮蔽機構は電磁波遮蔽体2のみを含み、当該電磁波遮蔽体2は完全な管形状ではなく部分的に開放している。
【0067】
図6は、機構1をタンクに取り付ける異なる方法を示す。図6Aにおいて、遮蔽機構はトライポッドガイダンス701又は同様の構造へのブラケットによって締結される。この図は、タンク底面10に取り付けられているが或る間隔のところにある(接触せず)機構を示す。図6Bは、別個の裏当金を有するタンク底面10上に取り付けられた機構を示す。この場合では、機構はボルト締め、溶接、又は接着によって締結されることができ、タンク底面と接触する。図6Cは、タンク底面上に取り付けられる機構を示し、裏当てとして金属メンブレンを用いる。この機構は、ボルト締め、溶接、又は接着によって締結されることができ、図はクランプリング700も示す。
【0068】
図7Aは、本発明の一実施形態の位置付けを示す。遮蔽機構1の底面部3のこの実施形態では、マイクロ波減衰器を含み、さらに排出穴600を備える。この図は、26mmのゲージ高さを必要とする最小限における完全なスケールで、底面部3の下面とタンク底面の間の間隔を示し、この場合は4mmであり、底面部3の上面とタンク底面との間隔は8mmである。この図は、図示の場合(Inverタンク)では高さが15mmである板接合部610、及びタンクメンブレン10も示す。
【0069】
図7Bは、締結手段800を備える、本発明による遮蔽機構1の一実施形態を示し、それにより、機構はトライポッド誘導構造又はタンク底面10上に載置される任意の他の支持体に固定することができる。
【0070】
図7Cは、本発明による遮蔽機構1の代替的な1つの位置決めを示し、ここでは、機構のブラケットが、上記トライポッド誘導構造から突出する別のブラケットに固定され、ここでもまた貨物ストリッピングポンプが固定される。
【0071】
図7Dは、遮蔽機構1の位置決めに関する別の可能性を示す。
【0072】
図7Eは、寸法の取付詳細を示す。
【0073】
図8Aは、格子パターンを有する遮蔽機構を示す。遮蔽機構1は、電磁波遮蔽体2と底面部3とを備える。本発明のこの実施形態によれば、底面部3は格子パターン層902を含む。格子パターンの下面、且つそれに対応する下部層900は、厚みが異なるゾーンを有し、1/4波長ステップ901を提供する。減衰材料層34は、格子パターン層902と下部層900との間に位置する。試験対象物が試験のために図8Aに対応して生成された。この試験対象物は、インピーダンスがケロシンのインピーダンスに等しいプラスチック材料を含み、LNG及びケロシンの双方に浸漬されるスラブを目に見えなくさせる。他方、スラブは空気中では可視である。1/4波長ステップ901及び減衰材料34は、本発明のこの実施形態では、スラブ材料の裏側の反射の影響を取り除くようになっている。
【0074】
前述したように、本発明の一実施形態では、遮蔽機構にはスラブを減衰材料に締結する締結手段が設けられる。この実施形態の特別な変形形態は、締結装置は、スラブを減衰材料にしっかり押し込むねじであり、底面部は矩形であり、ねじは各短い壁に対象的に取り付けられる。
【0075】
図8Bは、容器として形成されると共に格子パターンを含む遮蔽機構を示す。
【0076】
図8C〜図8Gはケロシンに浸漬される装置の試験の結果を示す。ケロシンはLNGに近似の誘電率を有する。測定では、スラブに対する間隔は147mm(前試験では72mm)である。主として図8Bにおいて示されるが、締結ねじが設けられている装置が用いられ、壁の穴及び漏出性コーナー部がダクトテープによりテープで貼られており、ケロシンの漏洩を回避するようになっている。
【0077】
図8Cは、上記スラブの空気の最初の測定を示す(ガンマ=1.98)。この結果、ほぼ完全なパルス(ガンマ=2.00は完全なハニングパルスに等しい)であり、検出が簡単である(45dB)、(0アレージのパルスは試験管から生じ、無視することができることに留意されたい)。
【0078】
図8Dは、遮蔽機構内に液体を有さない状態、すなわち、平坦な金属リフレクタ(機構底面)及び上記空気を有する測定状態での最初の測定を示す(ガンマ=2.12)。
【0079】
図8Eは、スラブを20mm上回るケロシンでの試験の結果を示す。非常に微細なパルスはガンマ=2.08を有する。図8Fは、スラブを60mm上回るケロシンでの結果を示す(ガンマ=2.15)。図8Gは、スラブを140mm上回るケロシンの場合での結果を示す(ガンマ=2.07)。これらの測定地点の重心とケロシンの異なるレベルでの同様の重心とが図9Aにおけるルーラー結果と比較される。
【0080】
上述で示す結果は、遮蔽機構が干渉エコーが全くなく効果的であり、焦点を正確に移動することができることを示す。この部分を試験するために、参照(ルーラー)読み取り値をレーダー読み取り値と比較した。レーダー測定値とルーラーによって測定された公称ケロシンレベルとの偏差は図9Aに見ることができる。図9Aは、このデータセットの基準偏差が4.2mmであり、これは、要求された+/−5mmの精度内であることを示す。
【0081】
図9Bは、レーダー対ルーラーとのレベル測定値の比較を示す。測定値の標準偏差は4.2mmである、すなわち、精度は+/−5mm内である。このルーラー測定値(参照)の見積もり精度はエラーバーで示すと+/−2mmである。
【0082】
図9Cは、レベルに応じたケロシン振幅を示し、この図の結果は一定である。
【0083】
上述の測定値は、矩形の遮蔽機構が著しく不所望な反射は生じないことを示す。
【0084】
実験では、スラブを10〜15mm上回るレベルに下がって+/−5mmよりも高い精度を得ることができることも確認されている。
【0085】
本発明の異なる特徴は異なる実施形態に属するものとして説明されているが、1つの実施形態において上記特徴の一部又は全てを組み合わせることは本発明の範囲内にあるであろう。したがって、本発明の一実施形態では、機構は、底面部にステルス機構と、電磁波遮蔽体に穿孔とを有する。別の実施形態では、機構は底面部及び電磁波遮蔽体に穿孔を含み、スチールパイプを包囲するようになっている。さらに別の実施形態では、機構は、繊維マットから実質的に作製される電磁波遮蔽体のみを備える。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係るレーダー式液位測定装置用の遮蔽機構は、貯蔵タンク搭載海洋船に搭載される容器や、地上LNG貯蔵タンク、石油製品タンク、化学薬品タンク、及び液状栄養タンク等の任意のタイプの容器の液位測定装置に適用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵容器内の液体容積を測定するのに用いられるレーダー式測定器に関し、特に、容器の縦方向下方に延びる導波管(静止筒又はスティパイプ)の上部に位置するレーダー測定器に関する。上記導波管は様々な理由から容器の底面よりも上に少し間隔を開けたところに終端している場合があり、したがって、導波管と底面との間に小さな隙間が残されている。導波管よりも下の液面には導波管が与える保護がなく、そのため、液面上に表面波現象をもろに受ける。
【0002】
本発明は貯蔵タンク搭載海洋船に関して説明されるが、例えば、地上LNG貯蔵タンク、石油製品タンク、化学薬品タンク、及び液状栄養タンク等の任意のタイプの容器において実施することが可能である。
【0003】
特に、貯蔵タンク搭載海洋船(例えば、液化天然ガスを搬送する船)における低レベルの液体に関して、一方では、液面によって生じるレーダーエコーがキャピラリー波(毛細表面波)及び乱流による外乱を受け、他方では、タンクの底面に生じるエコーによる外乱を受けることがよく知られている。これらの双方のタイプの外乱は、レーダーレベル測定器が、取引用流量計搭載海洋船に必要とされる精度で液位を測定するために最小限にとどめられるべきであることが一般的に認識されている。
【背景技術】
【0004】
(例えば、特許文献1に記載のような)レーダーレベル測定では、スチールパイプを用いて、タンク内部の機器への干渉を回避すると共に、液体の表面乱流が反射信号の変動を生じないようにする。スチールパイプは、タンクの底面よりも上の或る間隔までタンクの上部から延びるパイプである。アンテナがパイプ内に又はパイプのすぐ上に位置し、導波管としてパイプ作用により下方に放射を導くようになっている。この構成は、液位が低く、液面がスチールパイプの開口の下にある場合には、十分に動作せず、これは、液面上にはパイプが与えるスチールゾーンがないためである。さらに、ポンプ機構がこのゾーンに開口を有するため、高度な乱流がタンクの下部ゾーンに見られる。
【0005】
さらに、従来技術によれば、底面反射信号による干渉を回避するために、同様の機能を有するそらし板又は機構、例えば減衰器がアンテナの下側に直接設置される。LNGタンク内のレベル測定のためのこれらのタイプの技術の適用は、1996年に既に記載されている(非特許文献1)。
【0006】
特許文献2は、レーダーレベル測定機構によりタンク内の液位を求める装置であって、マイクロ波用の吸収体がパイプの開口よりも下のタンクの底面に配置され、マイクロ波エネルギーを吸収してタンクの底面からのエコーを防止するようにする、装置を記載している。メンブレンタンク等、かかる機構は、主要な用途分野における使用に適しておらず、いくつかの設計の場合では、全ての機構はタンクの底面に直接ではなくタンクの底面から或る間隔のところに位置せねばならない。さらに、この機構は表面乱流に対して何の保護も与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,184,818号明細書
【特許文献2】国際公開第01/29523号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】committee drafts for ISO International Standard 13689:2001(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、何らかの理由でスチールパイプがタンクの底面まで延びることができない状態において、タンク底面近くで制御された測定状態を得ることが目的である。本発明の用途の文脈では、制御された測定状態という表現は、特にタンク内の機器によるノイズ、表面乱流、及び底面反射が低減されている測定状態を指す。船タンクの場合、かかる乱流の根源は、風が起こす波及びうねりよる、又は底荷若しくは貨物の積載/未積載による船のトリム角/横傾斜角による船の移動によって形成されるタンク内の波動である。機械類からの振動もまた、タンク壁及びタンク内部の他の機械構造を介して伝搬し、タンク内部に小さな波/キャピラリー波を形成する可能性がある。タンクの内部では、貨物ポンプが振動及び波動の双方を発生させるであろう。具体的には、LNGタンクでは、乱流のさらなる根源はスプレーポンプ/ストリッピングポンプ並びに貨物ドロップラインであり、全てのタイプの低温貨物に関して、ボイリングにより表面に乱流が形成される。
【0010】
タンク底面付近に制御された測定状態が必要であることは、例えば、LNGメンブレンタンクにおいて生じ、ここでは、いくつかのタイプのメンブレン(すなわち、Invar金属シートメンブレン)の場合では、スチールパイプの下端と薄いメンブレンタンク底面との間に常に安全な間隔があるものとする。関係する限界は、メンブレンタンク底面上に直接、任意の構造部品を置く若しくは支持することができないこと、また、タンク床のウェルをかかる機構に置くようにすることも、又はタンクの上方を測定することによって液位を測定することもできないことであり得る。さらに、パイプ及びパイプの支持構造(トライポッド又は同様の構造)は、低温状態でタンク壁に対して熱収縮を受ける可能性があり、そのため、少なくとも低い温度では、パイプの下端とタンク底面との間に実質的に自由なビームスペースがあり、ここでは、測度の精度は、液面の外乱及び底面反射の干渉により下がる。
【0011】
したがって、本発明は、高精度測定をタンクの底面付近で達成することができる機構を提供することを一目的として有する。
【0012】
本発明の一目的は、製造及び設置することが容易である、すなわち、別個の部品が最小であり且つ低重量であることでブラケット又は他の支持機構を小型に作製することができる機構を提供することである。パイプの下に機構を位置決めすることに対する要件は、かかるタンクの通常の構造法によって(すなわちブラケットの溶接によって)満たすことほど決定的なものではないはずである。
【0013】
本発明の別の目的は、部品が貨物ポンプに浸漬して損傷を与える可能性があるため、タンクメンブレンへの損傷を防止すると共に、これらの部品が動作中に破損するいなかる可能性も回避する設計を有する機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様では、本発明は、容器内の低い液位のレーダー測定用の遮蔽機構であって、容器の底面付近に位置すると共に液体と流体連通する電磁波遮蔽体を備えることを特徴とする遮蔽機構を備える。
【0015】
別の態様では、本発明は、容器内の液体の低い液位を求める装置であって、液面に向かって信号を送るアンテナと、導波管とを有するレーダー測定機構を備える、装置を備える。当該装置は、容器の底面付近に位置する遮蔽機構を備え、この遮蔽機構は液体と流体連通することを特徴とする。
【0016】
したがって、本発明の一態様は、液面のかなりの大部分を遮蔽して、当該液面に良質なレーダーエコーを生成する最良の考えられ得る状態を与える解決策を提供する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっている機構をさらに備える。このことは、各種ステルス技法、例えば吸収体、偏向パネル、及び回折形状、又は(考えられ得る場合は)これらの技法の組み合わせにより達成することができる。
【0018】
本発明のこれらの態様の双方は、容器の底面付近の液面によって生じるエコーに関して信号忠実度を高め易くし、したがって、貯蔵容器内の非常に低レベルの液体の正確な測定をレーダー測定器に行わせるようにもすることが目的である。
【0019】
本発明の一実施の形態では、機構は、カーボン若しくは同様の材料の繊維を含有する繊維マット又は織布材料等の単一タイプの材料から成り、したがって、表面を消波する要件を本質的に満たし、メンブレンに対し何の危険性もないほど十分に柔軟性がある。この実施の形態は、例えば共鳴減衰構造の高いマイクロ波吸収効率が必要である場合には、又は繊維が剥がれて貨物ポンプに入り込む可能性のある危険性が許容可能でない場合には適切ではないであろう。したがって、種々の異なる用途及び要件には機構の種々の異なる設計が考えられる。
【0020】
別の実施の形態では、機構はレーダー吸収材料から少なくとも部分的に作製され、且つ/又は当該レーダー吸収材料によって覆われる。
【0021】
別の実施の形態では、機構はトライポッド誘導構造に締結する締結手段を備える。この実施の形態の特別な変形形態では、締結手段は、少なくともアーティキュレーションを有し、且つ/又は断熱材料から作製され、且つ/又は伸張可能な部品を有する。
【0022】
本発明の別の実施の形態では、遮蔽機構は、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっている。別の実施の形態では、遮蔽機構は例えば減衰器、偏向パネル、及び回折形状等のステルス機構を有する。最後に述べた実施の形態の特別な変形形態では、上記ステルス機構は電磁波遮蔽体上及び/又は底面部上に設けられる。
【0023】
別の変形形態では、電磁波遮蔽体はレーダービームのメインローブ内に位置する。本発明のこの特別な実施の形態は、サイズ制限があるタンク、例えば、Samsung1442(130×230×180mmの内寸法)に適応する。別の変形形態では、機構はレーダービームの放射ローブに対して大きなサイズとなっており、このようにして、電磁波遮蔽体との相互作用は無視できる程のものとなる。
【0024】
別の実施の形態では、電磁波遮蔽体は、入れ子構成を与えるようにスチールパイプを包囲するようになっている。
【0025】
本発明の一実施の形態では、電磁波遮蔽体は穿孔を含む。別の実施の形態では、機構は、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっている底面部を有する。
【0026】
別の変形形態では、底面部は矩形又は正方形状である。
【0027】
別の実施の形態では、底面部は、小さなレーダーエコーが、液体の仮想の深さを増すように下方に変位した位置で検出されるように入射レーダー信号の大部分を減衰する共鳴吸収体を有する。
【0028】
別の実施の形態では、底面部は、LNGのインピーダンスと一致させるように入力インピーダンスを変換する格子パターン板を備える。この実施の形態の一変形形態では、底面部は減衰材料層と、好ましくは当該減衰材料層を裏当金に締結するねじとを備える。別の変形形態では、減衰材料層は、格子パターンの下側に位置する。別の変形形態では、裏当金は、格子パターンから異なる間隔(1/4波長ステップ)のところに位置する少なくとも2つのゾーンを有する。減衰材料は、底面部からできる限り弱く反射させる機能を有する。1/4波長ステップを提供する裏当金により、2つのゾーンからの反射がパイプに向かって戻る方向に相殺される。減衰器は反響的である、すなわち減衰器の厚みは、レーダーエネルギーが捕捉されて減衰器内で消散するようにレーダー信号の波長に適応する。好ましくは、2つのゾーン間の境界はレーダービームのローブの対称軸に相当する。
【0029】
別の実施の形態では、本発明による遮蔽機構は容器として形成され、電磁波遮蔽体は容器の壁から成り、底面部は容器の底面から成る。
【0030】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構はその下部に減衰器を備える。
【0031】
容器の目的は、タンクの底面からスチールパイプの下端よりも少なくとも数センチメートル上まで延び(ただし、全体では稀にしか25センチメートルを超えない)、ゆえに、測定信号を破損させる表面波及び底面反射を回避する、スチールゾーンを提供することである。
【0032】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構の壁は外側の液体と流体連通を行うように少なくとも部分的に穿孔されている。上記穿孔は、遮蔽機構の内側の表面が当該装置の外側の平均表面に最大偏差で沿い、この最大偏差は、その設置のために指定された最高ポンプ速度での指定された全体の測定精度よりも(著しく)小さいように、少ない時間遅延で連通するようになっている。現在のLNG用途の場合、遅延は典型的に1〜2mm未満でなければならない。
【0033】
しかしながら、壁の穿孔の別の作用は、外側からの外乱が遮蔽領域に入り込むことである。この理由から、穿孔領域は本発明の一実施の形態では最小限であり、遮蔽機構の底面周囲に位置することで、タンクレベルが遮蔽機構のごく底面に達するまでキャピラリー波が入り込むのを抑制し、各種開口間の建設的な干渉(干渉による強め合い)が最小限になるように不規則なパターンで構成される。他方では、穿孔は遮蔽機構内の定在波が減衰する作用も有し、この理由から、本発明の一実施の形態での穿孔領域は大きく、遮蔽機構の側壁にわたって不規則なパターンで広がり、且つ/又は垂直な若しくは斜めのスライスから構成され得る。急激に変動する外乱が入り込むのを防止するように所望の流体力学的フィルタ効果を得るために、急激な変動の少ない平均レベルを遮蔽機構内部で維持しつつ、本発明の一実施の形態での穿孔は数個の大きな穴ではなく多数の小さな穴から成る。各穴の縁は流体力学的損失を増大させるように好ましくは鋭利(90度)であり、それにより、急激なレベル変動の十分な減衰を得る。上述から、本発明による遮蔽機構の設計は、3つの部分的に相反する考慮事項、すなわち、液位の十分に迅速な連通、遮蔽機構への波の入り込みの防止、及び遮蔽機構内部の波の減衰の間での妥協を各タイプの設備ごとに最適化することができることを理解できる。
【0034】
上述したように、電磁波遮蔽体は第1の実施の形態では穿孔を含む。これらの穿孔により、安定した測定を得るのに液面を十分に消波させることができ、それでもなお周囲の液体との迅速な連通が与えられることで、底面ゾーンでのたいていの迅速なポンプ動作中に十分に低い時定数及び読み取り値の遅延が得られる。このことは、電磁波遮蔽体が閉じている本発明の実施の形態において特に重要である。
【0035】
本発明による遮蔽機構は、好ましくは穿孔電磁波遮蔽体を備え、好ましくはレーダー透明材料を含むか又はレーダー吸収材料で内側を覆われ、最小の入射レーダー信号がレーダー受信機に反射する(ステルス機能)ような物理寸法及び形状を有する。このことは、機構内にキャピラリー波を有する共鳴定在液面波の効果的な回避及び抑制も達成する。
【0036】
本発明の一実施の形態における電磁波遮蔽体は、スチールパイプを包囲するように狭くなっており、収縮時にスチールパイプに対し入れ子で摺動できる。本発明の別の実施の形態では、入れ子が熱作用又はこの構成の移動部品の任意の他の不整合によって制止される可能性があるおそれがある場合の使用では、電磁波遮蔽体の直径はいずれの場合にもパイプと遮蔽機構との間にクリアランスがあるように増大される。本発明の一実施の形態での電磁波遮蔽体は、別の実施の形態では閉じた形状を形成せず、湾曲壁を含む管状形状を有する。
【0037】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構は底面部を含む。この底面部は、取り付けの際に、又はシステムの何らかの損傷が動作中に生じるであろう場合(ダブルエラー)にメンブレンに損傷を与えないように設計される。遮蔽機構は、底面側に最小の鋭端を有し、一実施の形態では、タンクメンブレンのフレッティング又は摩耗のいかなる危険性も最小限にとどめるように非金属材料、例えば、テフロン(Teflon登録商標)のいくつかの間隔保持片を備える。タンクメンブレンよりも上のこの最小の間隔は、具体的な用途ではタンク設計者及び造船所によって適用される安全な間隔と、船主によって指定される測定レベルを最小限にする要件との間での妥協として決定される。典型的には、安全な間隔はInvarシートメンブレンのタンクの場合では3〜5mmである。
【0038】
遮蔽機構の底面部は吸収材料を含むことができ、これは本質的に減衰器として働き、好適な設計では、上記底面の全領域を包含する。しかしながら、この設計は、吸収材料が遮蔽機構の底面全体の異なる種々の高さに分配され、したがって、レーダーの検出範囲外の底面部で生じる残留エコーを偏向するのに十分に適した格子(すなわち回折)構造を構成する。
【0039】
遮蔽機構の内側をボイリングする確率を最小限にとどめるために、一実施の形態では、遮蔽機構は低い比熱容量を有する材料で少なくとも部分的に作製されることで、いかなる瞬間も遮蔽機構内部の温度が周囲温度に等しくなるようにする。
【0040】
材料はまた、例えば温度範囲、攻撃的な化学薬品、又は腐食性液体への適用性等の他の環境要件を満たし、一実施の形態での遮蔽機構は、支持ブラケットの断熱部品の使用により支持構造部とは実質的に断熱され、それにより、トライポッド構造及びスチールパイプを介してタンクの上部から伝達された熱により遮蔽機構内部の液体の温度が上がらないようにする。遮蔽機構とブラケットの断熱部品の双方は、LNGタンクの場合では例えばプラスチック材料で作製されることができ、プラスチック材料のうちテフロンが低温用途に一般に用いられ得るであろう。
【0041】
遮蔽機構内にキャピラリー波を発生させる確率を最小限にとどめるために、遮蔽機構の支持体は、本発明の一実施の形態では、タンク構造によりポンプ又は容器の他の部品によって誘発される振動から遮蔽機構を機械的に分離させる制振のための手段を有する。
【0042】
制振ダンパーは、例えば、金属ばね又はゴムブロックから作製されるが、低温では、ほとんどの材料は不安定となるか又は各自の柔軟性を失うため、かかる場合では、ポリエステルフィルム及び同様のプラスチック等のいくつかの材料のみが用いられる。
【0043】
いくつかの用途では、機構は、溶接、ねじ留め、又はクランプブラケットの使用によりタンク底面に直接取り付けることができる。本発明の一実施の形態では、機構は、機構とタンクメンブレンとの2つが等しい熱定数を有する材料から作製されていない場合では、自由な相対摺動を可能にするように機構とタンクメンブレンとの間に薄いテフロンシート又は類似物を備える。
【0044】
機構がタンク底面に直接取り付けられることができない場合に適応する実施の形態では、機構は、例えば支持構造部に接続されるアーム又はブラケットの形態の締結手段を備え、この締結手段は底面上に載置されるか又は任意の他の方法でタンクの底面に対して一定の垂直間隔で取り付けられる。好適な一実施の形態では、この支持構造部はトライポッド誘導構造であり、このトライポッドもまた、タンクを最終的に空にする場合に用いられるストリッピングポンプを支持するのにも用いられる。よって、ポンピングによって達した最低測定レベルと最低液位との間には常に、一定の関連した選択可能な縦方向間隔があることになる。
【0045】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構は、タンク底面の縦方向位置に対して収縮する構造部品上に取り付けれるようになっている締結手段を有する。これは、機構に接続されるアーム及び対象の構造部品により達成され、当該アームは、例えば構造内のバイメタルの詳細部を用いることによって、又は機構の縦方向位置の能動的な制御によって収縮作用を自動的に調整する。
【0046】
一実施の形態では、遮蔽機構はレーダー吸収材料から少なくとも部分的に作製され、且つ/又は当該レーダー吸収材料によって覆われ、このレーダー吸収材料は、遮蔽機構内の定在流体力学波を減衰する所望の効果を提供するように適切に織布又は製作される。適切な材料は例えば、ケブラー(Kevlar登録商標)繊維又は他のカーボン材料である。
【0047】
前述したように、一実施の形態では、遮蔽機構はカーボン材料又は同様の材料の繊維を含有する繊維マット又は織布材料から実質的に作製されることができる。この実施の形態は、壁の穿孔の所望の作用を組み合わせることで、壁を液体連通させ、外側から且つ内側にて流体力学波を減衰させ、カーボンによって吸収することによりマイクロ波を減衰させ、且つ、不規則な表面から分散させる。かかる柔軟な機構は、薄いタンクメンブレンの下への損傷を回避する要件も本質的に満たす。機構の剛性を高めるために、本発明の一実施の形態では、マットは接着剤又はプラスチック材料を噴霧されて繊維を湿潤させて固めるようになっている。機構が支持リングを備えることも可能である。
【0048】
本発明の一実施の形態では、遮蔽機構内部の内部波パターンは、側壁の楔又は起伏を用いて遮蔽機構を水平面内で不規則且つ非対称にさせることによって分散(broken up:分解)される。好ましくは、強力な半波共振のため、単純な規則的な形状は回避される。好適な全体形状は奇数多角形であり、好ましくは不等辺長も有する。
【0049】
分かるように、キャピラリー波及び乱流によって生じる外乱は、本発明による遮蔽機構(電磁波遮蔽体を備える)を用いることによって許容可能なレベルに下がるため、液面のかなりの大部分を遮蔽して、良質なレーダーエコーを生じるかなり均一な表面を提供することができる。上記電磁波遮蔽体は、液体からレーダーエコーの品質を損なうことなくキャピラリー波及び乱流に効果的な減衰力を与える種々の形状及び設計をとることができる。後者の特徴に関して、各種ステルス技法、例えば、吸収体、偏向パネル、及び回折形状、又は(考えられ得る場合は)これらの技法の組み合わせが用いられ得る。
【0050】
他方では、タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱は多くの方法で最小限にとどめられることができる。一任意選択は、機構又は少なくとも機構の部品(例えば、底面部)に、エネルギーの許容可能な部分のみを容器の底面からの検出可能なエコーとして投射する程度までレーダーエネルギーを吸収する材料を用いることである。別の任意選択は、容器の底面に達する前に、レーダー信号の大部分を反射する斜めの金属プレートを用い、したがって、容器の底面からのエコー信号をレーダーに対してもっぱら検出可能にすることである。第3の方法は、レーダーの検出範囲外のエコーエネルギーの大部分を回折するように設計された幾何形状及びパターンの格子又はアレイを含む。当業者は、レーダー信号回折、偏向、吸収の構想概念を組み合わせるという解決策が、容器の底面からのエコー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるのに十分に適した機構のかなりのクラスを形成し得ることを容易に理解するであろう。
【0051】
本発明の各種特徴は、本発明の異なる実施の形態として説明されているが、これらは特定使用に適応した機構を提供するように組み合わせることができることは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態における本発明による機構を示す図である。
【図2A】本発明による機構の第2の実施形態を示す図である。
【図2B】本発明による機構の第2の実施形態を示す図である。
【図3A】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3B】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3C】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3D】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3E】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3F】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3G】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3H】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3I】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3J】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3K】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3L】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3M】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3N】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3O】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図3P】回折形状及び異なる波遮蔽形状を示す図である。
【図4】本発明による装置の一実施形態における底面部構造の詳細図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図である。
【図6A】本機構をタンクに取り付ける一方法を示す図である。
【図6B】本機構をタンクに取り付ける一方法を示す図である。
【図6C】本機構をタンクに取り付ける一方法を示す図である。
【図7A】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7B】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7C】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7D】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図7E】本発明による遮蔽機構及びその取り付けを示す図である。
【図8A】格子パターンを含む、本発明による遮蔽機構を示す図である。
【図8B】格子パターンを含む、本発明による遮蔽機構を示す図である。
【図8C】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8D】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8E】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8F】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図8G】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図9A】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図9B】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【図9C】いくつかの試験及びそれらの試験の分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
次に、本発明の一実施形態を図面により説明する。
【0054】
図1は、電磁波遮蔽体2及び底面部3を備える、液位レーダー測定用の遮蔽機構1であって、電磁波遮蔽体2が液体4と流体連通する(流体連通のための手段は図示せず)、液位レーダー測定用の遮蔽機構を示す。この図はまた、スチールパイプ5及び支持アーム又は締結手段6を示す。この実施形態では、遮蔽機構1は容器として形成され、電磁波遮蔽体2は容器の壁から成り、底面部3は容器の底面から成る。タンクの底面10が底面構造部11と共に図に示されている。
【0055】
図2は、電磁波遮蔽体2が底面部3の外周部分にしか延びない本発明の一実施形態を示す。この図は、電磁波遮蔽体2の穿孔12も示す。
【0056】
図3A及び図3Bは底面部3の回折形状を示す。これらの回折形状はまた、電磁波遮蔽体2に位置することができ、電磁波遮蔽体2における回折形状及び底面部3における回折形状の組み合わせも可能である。これらの図は、底面部3のいくつかの異なる部分:20、21、24、25、26を示し、これらはいくつかの異なるレベル(間隔d1及びd2)にある。これにより、好ましくは、上記部分(例えば縁22及び23)どうしの縁の重なり合いとの組み合わせにより、底面ノイズを低減する回折パターンの形成が可能となる。間隔d2は全部分について同様であり得るか、又は異なり得る、すなわち、部分24と部分27との間に或る間隔があり、部分24と部分25との間に別の間隔があってもよい。当業者は、間隔d1及びd2が液状媒体の屈折率及びレーダーの動作周波数の双方に密接に連関することを理解するであろう。しかしながら、上記間隔の意図的な変更は電磁波遮蔽体の幾何形状に首尾よく適応する回折後方錯乱を与えるであろう。したがって、レーダー計測器に反響するエネルギー量(残存はあるが)も最小限にとどめる。一例として10GHzの動作周波数、流体は液化天然ガス(LNG)であるものとし、上記間隔は3〜10ミリメートルの範囲(周波数が低いほど間隔が長くなると考えられ、またその逆も考えられる)と考えられる。
【0057】
図3は、本発明による機構の異なる実施形態を示す。いくつかの図は、本発明の好適な実地形態では減衰器である底面部34と、当該底面部を締結すると共にステルス効果を与えるリング300、301と、電磁波遮蔽体(shield)2である。
【0058】
図3C及び図3D並びに図3Eは、底面部3(筒状の奇数多角形及び不規則形状(それぞれ平行な側面がわずかにあるか又は全くない))の種々の異なる形状を示す。
【0059】
図3Fは、剛性のために織布構造部及び支持リング100を含む底面部3の一実施形態を示す。
【0060】
図3Gは、電磁波遮蔽体2が波形(起伏形状)を有する本発明の一実施形態を示す。この実施形態は遮蔽機構内の内部定在波がコーナー構造部によってより迅速に分散且つ消散するという利点を有する。
【0061】
図3H〜図3Kでは、電磁波遮蔽体は薄いシート金属又はプラスチック材料を含む、すなわちステンレス鋼、アルミニウム、テフロン又は類似物を含む。図3L〜図3Nに示す実施形態では、電磁波遮蔽体は織布材料を含む。上述の壁構造の各種形状、タイプ、及びマイクロ波減衰器の設計及び形状は、本発明のいくつかの実施形態では種々の用途及び要件のために最適化した消波装置を提供するように組み合わせられる。
【0062】
図3Oは、タンクの底面における起伏間に配置(フィット)するようになっているプレート501を備える本発明による機構の一実施形態を示す。プレート501は、遮蔽機構を配置することができる比較的大きな面積を示し、遮蔽機構はレーダー管/レーダーフットプリントを考慮して機構の最適な配置を達成するようにプレート上に移動することができる。プレート501は電磁波遮蔽体2を提供する壁を備える。機構は、穿孔遮蔽体又は波吸収体500も備える。図3Oはスチールチャンバ502も示す。
【0063】
図3Pは本発明の代替的な実施形態を示し、この実施形態では電磁波遮蔽体2、穿孔メンブレン500、及び減衰板34を含む筒状遮蔽機構が板部材501に位置する。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態では減衰器が含まれる底面部3の基礎構造特徴に関する詳細を示す。下から構造部は金属支持体31を含み、金属支持体31は好適な設計ではベースと接触せずに貯蔵容器(タンク)のベース10に可能な限り近くに配置される。後者の設計特徴は、その下面32が容器(タンク)の底面に対してかなり平行に延びる支持体を必要とするが、その一方で、支持体の上面33又は下部は容器の底面に対して傾斜角で設定されたパネル及びファセットも含むであろう。減衰器3の第2の構造特徴は、スチールパイプ5から下方に途中の液面4を貫通した大部分のエネルギーを吸収するように支持体の上面に取り付けられる吸収材料34である。当業者は、吸収材料34の上面及び下面がレーダー信号波の伝搬に関してミスマッチとなること、及び、したがってこの両面はレーダーエコーを発生しやすいことを容易に理解するであろう。このダブルエコー特徴は、共鳴吸収体(デーレンバック層)と一般に呼ばれる製品において商業的に用いられ、減衰器3の吸収材料34として用いるのに十分適している。減衰器3のさらなる構造特徴として、さらなる層のプラスチック材料35が含まれる。上記層は主として、吸収材料の保護を提供することを目的とする。そのように必要とされる場合、その目的用途に関して、減衰器3のレーダー信号性能の最適化に関する或る程度の設計自由度も提供される。この設計自由度を例証するために、本発明の一実施形態では、代替形態として、装置は、高い減衰率を有する吸収材料34を含むことができ、厚すぎてデーレンバック設計による共鳴を提供すことができず、したがって、検出可能なエコーを生成するための吸収材料の上面のみが残る。しかしながら、このエコーは、適した厚み及び屈折率を有するプラスチック材料35の層を備える本発明の実施形態を提供することによってかなり低減することができ、したがって、デーレンバック設計に対して可能な代替物となる解決策を提供する。
【0065】
この他に、デーレンバック設計の慎重な試験により、本発明者らは底面減衰器3によって生成されるエコーの測定可能な位置に関して新規の特徴及び発明の概念を想定し、これが、上記機構の使用目的に対して有益な態様となる。デーレンバック層の共鳴性は、後方錯乱をなくすか、又は或る種の後方錯乱を生成するように設計され得る。後者の特徴は減衰器3によって生じるエコーの検出可能な位置を不可避的に変位する。当該変位は吸収材料の慎重な選択により支持体31の下の検出可能な位置を提供するように押し出され、したがって、実際の深さよりも深い仮想の液深も提供する。この有益な特徴は、減衰器3により生じるエコーから液体エコーを分解するのに用いられ得るソフトウエアベースのアルゴリズムのためのマージンを増大する。有益な特徴が余白を増させる。適した厚さ及び反射率を有するプラスチック材料35の層を適用してデーレンバック設計に対する上述の代替形態を提供する場合、この適正な減衰器3の特性は同様によく適用される。
【0066】
図5は本発明の第3の実施形態を示し、遮蔽機構は電磁波遮蔽体2のみを含み、当該電磁波遮蔽体2は完全な管形状ではなく部分的に開放している。
【0067】
図6は、機構1をタンクに取り付ける異なる方法を示す。図6Aにおいて、遮蔽機構はトライポッドガイダンス701又は同様の構造へのブラケットによって締結される。この図は、タンク底面10に取り付けられているが或る間隔のところにある(接触せず)機構を示す。図6Bは、別個の裏当金を有するタンク底面10上に取り付けられた機構を示す。この場合では、機構はボルト締め、溶接、又は接着によって締結されることができ、タンク底面と接触する。図6Cは、タンク底面上に取り付けられる機構を示し、裏当てとして金属メンブレンを用いる。この機構は、ボルト締め、溶接、又は接着によって締結されることができ、図はクランプリング700も示す。
【0068】
図7Aは、本発明の一実施形態の位置付けを示す。遮蔽機構1の底面部3のこの実施形態では、マイクロ波減衰器を含み、さらに排出穴600を備える。この図は、26mmのゲージ高さを必要とする最小限における完全なスケールで、底面部3の下面とタンク底面の間の間隔を示し、この場合は4mmであり、底面部3の上面とタンク底面との間隔は8mmである。この図は、図示の場合(Inverタンク)では高さが15mmである板接合部610、及びタンクメンブレン10も示す。
【0069】
図7Bは、締結手段800を備える、本発明による遮蔽機構1の一実施形態を示し、それにより、機構はトライポッド誘導構造又はタンク底面10上に載置される任意の他の支持体に固定することができる。
【0070】
図7Cは、本発明による遮蔽機構1の代替的な1つの位置決めを示し、ここでは、機構のブラケットが、上記トライポッド誘導構造から突出する別のブラケットに固定され、ここでもまた貨物ストリッピングポンプが固定される。
【0071】
図7Dは、遮蔽機構1の位置決めに関する別の可能性を示す。
【0072】
図7Eは、寸法の取付詳細を示す。
【0073】
図8Aは、格子パターンを有する遮蔽機構を示す。遮蔽機構1は、電磁波遮蔽体2と底面部3とを備える。本発明のこの実施形態によれば、底面部3は格子パターン層902を含む。格子パターンの下面、且つそれに対応する下部層900は、厚みが異なるゾーンを有し、1/4波長ステップ901を提供する。減衰材料層34は、格子パターン層902と下部層900との間に位置する。試験対象物が試験のために図8Aに対応して生成された。この試験対象物は、インピーダンスがケロシンのインピーダンスに等しいプラスチック材料を含み、LNG及びケロシンの双方に浸漬されるスラブを目に見えなくさせる。他方、スラブは空気中では可視である。1/4波長ステップ901及び減衰材料34は、本発明のこの実施形態では、スラブ材料の裏側の反射の影響を取り除くようになっている。
【0074】
前述したように、本発明の一実施形態では、遮蔽機構にはスラブを減衰材料に締結する締結手段が設けられる。この実施形態の特別な変形形態は、締結装置は、スラブを減衰材料にしっかり押し込むねじであり、底面部は矩形であり、ねじは各短い壁に対象的に取り付けられる。
【0075】
図8Bは、容器として形成されると共に格子パターンを含む遮蔽機構を示す。
【0076】
図8C〜図8Gはケロシンに浸漬される装置の試験の結果を示す。ケロシンはLNGに近似の誘電率を有する。測定では、スラブに対する間隔は147mm(前試験では72mm)である。主として図8Bにおいて示されるが、締結ねじが設けられている装置が用いられ、壁の穴及び漏出性コーナー部がダクトテープによりテープで貼られており、ケロシンの漏洩を回避するようになっている。
【0077】
図8Cは、上記スラブの空気の最初の測定を示す(ガンマ=1.98)。この結果、ほぼ完全なパルス(ガンマ=2.00は完全なハニングパルスに等しい)であり、検出が簡単である(45dB)、(0アレージのパルスは試験管から生じ、無視することができることに留意されたい)。
【0078】
図8Dは、遮蔽機構内に液体を有さない状態、すなわち、平坦な金属リフレクタ(機構底面)及び上記空気を有する測定状態での最初の測定を示す(ガンマ=2.12)。
【0079】
図8Eは、スラブを20mm上回るケロシンでの試験の結果を示す。非常に微細なパルスはガンマ=2.08を有する。図8Fは、スラブを60mm上回るケロシンでの結果を示す(ガンマ=2.15)。図8Gは、スラブを140mm上回るケロシンの場合での結果を示す(ガンマ=2.07)。これらの測定地点の重心とケロシンの異なるレベルでの同様の重心とが図9Aにおけるルーラー結果と比較される。
【0080】
上述で示す結果は、遮蔽機構が干渉エコーが全くなく効果的であり、焦点を正確に移動することができることを示す。この部分を試験するために、参照(ルーラー)読み取り値をレーダー読み取り値と比較した。レーダー測定値とルーラーによって測定された公称ケロシンレベルとの偏差は図9Aに見ることができる。図9Aは、このデータセットの基準偏差が4.2mmであり、これは、要求された+/−5mmの精度内であることを示す。
【0081】
図9Bは、レーダー対ルーラーとのレベル測定値の比較を示す。測定値の標準偏差は4.2mmである、すなわち、精度は+/−5mm内である。このルーラー測定値(参照)の見積もり精度はエラーバーで示すと+/−2mmである。
【0082】
図9Cは、レベルに応じたケロシン振幅を示し、この図の結果は一定である。
【0083】
上述の測定値は、矩形の遮蔽機構が著しく不所望な反射は生じないことを示す。
【0084】
実験では、スラブを10〜15mm上回るレベルに下がって+/−5mmよりも高い精度を得ることができることも確認されている。
【0085】
本発明の異なる特徴は異なる実施形態に属するものとして説明されているが、1つの実施形態において上記特徴の一部又は全てを組み合わせることは本発明の範囲内にあるであろう。したがって、本発明の一実施形態では、機構は、底面部にステルス機構と、電磁波遮蔽体に穿孔とを有する。別の実施形態では、機構は底面部及び電磁波遮蔽体に穿孔を含み、スチールパイプを包囲するようになっている。さらに別の実施形態では、機構は、繊維マットから実質的に作製される電磁波遮蔽体のみを備える。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係るレーダー式液位測定装置用の遮蔽機構は、貯蔵タンク搭載海洋船に搭載される容器や、地上LNG貯蔵タンク、石油製品タンク、化学薬品タンク、及び液状栄養タンク等の任意のタイプの容器の液位測定装置に適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液位のレーダー測定用の遮蔽機構であって、前記遮蔽機構は、スティルパイプの下で且つ容器の底面上に位置すると共に電磁波遮蔽体と底面部とを備え、前記電磁波遮蔽体は、それを通して液体が交換可能であると共に前記遮蔽機構の壁を形成し、前記底面部は格子パターン板と減衰材料層とを有し、前記格子パターン板は、前記底面部の上部に配置され、前記減衰材料層は、前記格子パターンから異なる間隔のところに位置する少なくとも2つのゾーンを有し、前記2つのゾーンの間の境界は前記レーダービームのローブの対称軸と一致することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記電磁波遮蔽体は穿孔を含むことを特徴とする遮蔽機構。
【請求項3】
請求項2に記載の遮蔽機構において、前記底面部は、前記底面部の上に設けられたステルス機構を用いて、前記タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項4】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記底面部は、前記電磁波遮蔽体又は前記底面部の上に設けられたステルス機構を用いて、前記底面前記タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項5】
請求項4に記載の遮蔽機構において、前記ステルス機構を、減衰器、偏向パネル、及び回折形状の内のいずれかとして含むことを特徴とする遮蔽機構。
【請求項6】
請求項5に記載の遮蔽機構において、前記底面部は、入射レーダー信号の大部分を減衰する共鳴吸収体を有し、前記共鳴吸収体は、小さなレーダーエコーが、液体の仮想の深さを増すように下方に変位した位置で検出される小さなレーダーエコーを生じることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項7】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記格子パターン板を前記減衰材料層に締結するねじを有することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項8】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記減衰材料層は前記格子パターンの下に位置することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項9】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記底面部は矩形又は正方形状であることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項10】
請求項8に記載の遮蔽機構において、前記電磁波遮蔽体は、レーダービームのメインローブ内に位置することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項11】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記遮蔽機構は、当該遮蔽機構をトライポッド誘導構造に締結する締結手段を備えることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項12】
請求項11に記載の遮蔽機構において、前記締結手段は、少なくともアーティキュレーションを含むか、又は断熱材料から作製されるか、又は伸張可能な部品を含むことのいずれかであることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項13】
請求項3に記載の遮蔽機構において、容器として形成され、前記電磁波遮蔽体が前記容器の壁を有し、前記底面部が前記容器の底面を有することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項14】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記電磁波遮蔽体は、多段式の構成を与えるように、スティルパイプを包囲するようになっていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項15】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記遮蔽機構は、レーダー吸収材料から少なくとも部分的に作製されるか、又は該レーダー吸収材料によって覆われていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項16】
請求項1に記載の遮蔽機構において、カーボンの繊維を含有する繊維マット又は織布材料から実質的に作製されることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項17】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記減衰材料層は、前記格子パターンから1/4波長ステップだけ離れたところに位置する少なくとも2つのゾーンを有することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項18】
液位を決定するための装置であって、前記液面に向けて信号を送るアンテナと導波管とを有するレーダー測定機構と、電磁波遮蔽体とを備え、前記装置は、さらに、請求項1乃至17の内のいずれか一項に記載の遮蔽機構を備えることを特徴とする装置。
【請求項1】
液位のレーダー測定用の遮蔽機構であって、前記遮蔽機構は、スティルパイプの下で且つ容器の底面上に位置すると共に電磁波遮蔽体と底面部とを備え、前記電磁波遮蔽体は、それを通して液体が交換可能であると共に前記遮蔽機構の壁を形成し、前記底面部は格子パターン板と減衰材料層とを有し、前記格子パターン板は、前記底面部の上部に配置され、前記減衰材料層は、前記格子パターンから異なる間隔のところに位置する少なくとも2つのゾーンを有し、前記2つのゾーンの間の境界は前記レーダービームのローブの対称軸と一致することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記電磁波遮蔽体は穿孔を含むことを特徴とする遮蔽機構。
【請求項3】
請求項2に記載の遮蔽機構において、前記底面部は、前記底面部の上に設けられたステルス機構を用いて、前記タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項4】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記底面部は、前記電磁波遮蔽体又は前記底面部の上に設けられたステルス機構を用いて、前記底面前記タンクの底面から反響したレーダー信号によって生じる外乱を最小限にとどめるようになっていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項5】
請求項4に記載の遮蔽機構において、前記ステルス機構を、減衰器、偏向パネル、及び回折形状の内のいずれかとして含むことを特徴とする遮蔽機構。
【請求項6】
請求項5に記載の遮蔽機構において、前記底面部は、入射レーダー信号の大部分を減衰する共鳴吸収体を有し、前記共鳴吸収体は、小さなレーダーエコーが、液体の仮想の深さを増すように下方に変位した位置で検出される小さなレーダーエコーを生じることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項7】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記格子パターン板を前記減衰材料層に締結するねじを有することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項8】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記減衰材料層は前記格子パターンの下に位置することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項9】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記底面部は矩形又は正方形状であることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項10】
請求項8に記載の遮蔽機構において、前記電磁波遮蔽体は、レーダービームのメインローブ内に位置することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項11】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記遮蔽機構は、当該遮蔽機構をトライポッド誘導構造に締結する締結手段を備えることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項12】
請求項11に記載の遮蔽機構において、前記締結手段は、少なくともアーティキュレーションを含むか、又は断熱材料から作製されるか、又は伸張可能な部品を含むことのいずれかであることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項13】
請求項3に記載の遮蔽機構において、容器として形成され、前記電磁波遮蔽体が前記容器の壁を有し、前記底面部が前記容器の底面を有することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項14】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記電磁波遮蔽体は、多段式の構成を与えるように、スティルパイプを包囲するようになっていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項15】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記遮蔽機構は、レーダー吸収材料から少なくとも部分的に作製されるか、又は該レーダー吸収材料によって覆われていることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項16】
請求項1に記載の遮蔽機構において、カーボンの繊維を含有する繊維マット又は織布材料から実質的に作製されることを特徴とする遮蔽機構。
【請求項17】
請求項1に記載の遮蔽機構において、前記減衰材料層は、前記格子パターンから1/4波長ステップだけ離れたところに位置する少なくとも2つのゾーンを有することを特徴とする遮蔽機構。
【請求項18】
液位を決定するための装置であって、前記液面に向けて信号を送るアンテナと導波管とを有するレーダー測定機構と、電磁波遮蔽体とを備え、前記装置は、さらに、請求項1乃至17の内のいずれか一項に記載の遮蔽機構を備えることを特徴とする装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図3M】
【図3N】
【図3O】
【図3P】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図3M】
【図3N】
【図3O】
【図3P】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公開番号】特開2011−141292(P2011−141292A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83502(P2011−83502)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2008−533280(P2008−533280)の分割
【原出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(508094569)コングスベル マリタイム アクティーゼルスカブ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2008−533280(P2008−533280)の分割
【原出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(508094569)コングスベル マリタイム アクティーゼルスカブ (3)
【Fターム(参考)】
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