説明

レーダー探知機

【課題】設置後の見栄えを損なうことなく簡単且つ安価に導入することができ、しかも、受信端末と処理端末との間の通信機能が一時的に途切れたとしても所期の機能が妨げられることのないレーダー探知機を提供する。
【解決手段】この発明において、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間で授受される信号は、取締機が発するレーダー波の信号であるが、これは、走行中の車の進行方向や走行速度を演算するために用いられるGPS信号のように連続性やリアルタイム性が要求されるようなものではなく、瞬間的にでも信号の授受が行われれば良いものである。したがって、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間の通信状態が一時的に途切れるようなことがあっても、レーダー波信号の授受が瞬間的にでも確立できればレーダー探知機能を有効に発揮させることができ、レーダー探知機10全体としての機能が損なわれることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単且つ安価に導入でき、しかも通信障害による不具合の起こりにくいレーダー探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
車の走行速度を監視することを目的として自動速度取締機(以下、単に「取締機」という。)が全国各地に設置されている。取締機には、走行中の車にレーダー波を照射することによって速度を算出するタイプのもの(レーダー波方式)と、一定区間を通過する時間を測定することによって速度を算出するタイプのもの(ループコイル方式)とがあり、これら取締機の設置箇所を事前に把握するための道具としてレーダー探知機が広く利用されている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
レーダー探知機を用いて取締機の設置位置を把握する仕組みについて簡単に説明すると、レーダー波方式の取締機の場合は、取締機から発せられるレーダー波を検知することによって走行中の車の前方に取締機が存在するかどうかを事前に把握することが可能となる。
【0004】
一方、ループコイル方式の取締機の場合は、GPS衛星から発せられるGPS信号に基づいて走行中の車の位置情報を取得し、レーダー探知機に予め登録しておいた取締機の位置情報(ループコイル方式の取締機は据付式であり、設置位置が予め分かっていることから、取締機が設置されている位置情報をレーダー探知機に予め登録することができる)とを比較することによって走行中の車の前方に取締機が存在するかどうかを事前に把握することが可能となる。
【0005】
従来のレーダー探知機の構造について簡単に説明しておくと、従来のレーダー探知機は、(レーダー式の)取締機から発射されるレーダー波やGPS衛星からのGPS信号を受信するアンテナを有する受信端末と、該受信端末にて受信したレーダー波の種類を特定したり、該受信端末にて受信したGPS信号と予め登録されているレーダー探知機の位置情報とを比較することによって走行中の車が取締機に接近しているかどうかを判定するプロセッサ、および走行中の車の前方に取締機が存在すると判定したときに、対応する警報を運転手に通知する警報通知手段(表示モニターやスピーカー等がこれに該当する)を有する警報通知端末とで構成されており、この受信端末と警報通知端末とが伝送ケーブルによって有線接続されている。
【0006】
従来のレーダー探知機を使用する際には、受信端末をフロントガラスの近傍といった電波を受信しやすい場所に設置するとともに、警報通知端末をダッシュボードなどの運転席から見やすい位置に設置する。
【0007】
受信端末のアンテナはGPS信号を常に受信し続けており、当該GPS信号が伝送ケーブルを介して警報通知端末に連続的に送られる。警報通知端末では、プロセッサにおいて走行中の車の位置情報がGPS信号に基づいてリアルタイムで取得される。そして、走行中の車の位置情報と、予め登録されている取締機の位置情報とが逐次比較され、走行中の車が取締機に或る一定距離まで接近すると警報通知手段(モニターやスピーカー)を通じて警報が通知される。
【0008】
一方、受信端末のアンテナが、取締機から発射されるレーダー波をキャッチすると、該レーダー波信号が伝送ケーブルを介して警報通知端末に送られる。警報通知端末では、レーダー波信号の種類がプロセッサにおいて特定され、該特定結果に対応する警報が警報通知手段を通じて通知される。
【0009】
これにより、運転手は、走行中の車の前方に各種取締機が存在することを事前に把握することができ、安全走行に注力できるようになる。
【0010】
なお、自動速度取締機が走行車線とは反対側の車線に配置されている場合や、法定速度以下で走行している場合には、レーダー探知機による警報は不要である。
【0011】
このような場合に備え、警報通知端末のプロセッサでは、走行中の車の進行方向や走行速度がGPS信号に基づいて算出されている(走行中の車の進行方向は、GPS信号から取得した異なる2点間の位置情報に基づいて算出することができるし、走行速度は、異なる2点間の距離と該2点間の距離を走行するのに要した時間とに基づいて算出することができる)。
【0012】
そして、算出された走行中の車の進行方向情報と記憶手段に記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車の反対車線にのみ自動速度取締機があると判断できた場合(反対車線自動キャンセル機能)、あるいは走行中の車の走行速度が法定速度以下の場合(オートアラームキャンセル機能)には、警報通知手段に対して警報の通知が不要である旨の信号を送ることができるようになっている。これにより、警報が不所望に通知されるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【非特許文献1】インターネット<URL:http://www.yacjp.co.jp/radar/index2.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のレーダー探知機は、受信端末と処理端末とが伝送ケーブルを介して有線接続されていたので、セッティング時においては、伝送ケーブルの取り回しが非常に面倒であったし、また、セッティング後においては、伝送ケーブルが車室内に露出して見苦しいという問題もあった。
【0015】
受信端末と処理端末とを無線接続すれば、上述した問題は解消されるが、通信障害等により受信端末と処理端末との間の無線通信が一時的にでも途切れると、リアルタイム処理が必要とされるGPS信号を利用した諸機能(上述した反対車線自動キャンセル機能やオートアラームキャンセル機能)を有効に機能させることができなくなるという新たな問題が生じてしまう。
【0016】
また、従来のレーダー探知機は、ナビゲーション機能とレーダー探知機能とが一体となったものであったため、非常に高価であり、この価格設定が普及の妨げになるという問題もあった。
【0017】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、設置後の見栄えを損なうことなく簡単且つ安価に導入することができ、しかも、受信端末と処理端末との間の通信機能が一時的に途切れたとしてもGPS信号を利用した諸機能が妨げられることのないレーダー探知機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載した発明は、「自動速度取締機から発射されるレーダー波を受信するレーダー波受信用アンテナ16と、該レーダー波受信用アンテナ16において受信したレーダー波の信号を無線転送する無線転送手段20とを備えるレーダー波受信端末12、および該無線転送されたレーダー波の信号を受信する無線受信手段32と、無線受信手段32にて受信されたレーダー波の種類を特定し、これに対応する警報を通知するレーダー波用警報通知手段36aと、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS信号受信用アンテナ34と、自動速度取締機の位置情報を記憶する記憶手段36bと、GPS信号受信用アンテナ34において受信されたGPS信号と記憶手段36bに記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車が自動速度取締機に接近したときに警報を通知するGPS信号用警報通知手段36cと、GPS信号に基づいて走行中の車の進行方向あるいは走行速度を算出する演算手段36dと、演算手段36dにおいて算出された走行中の車の進行方向情報と記憶手段36bに記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車の反対車線にのみ自動速度取締機がある場合あるいは走行中の車の走行速度が法定速度以下の場合にレーダー波用警報通知手段36aあるいはGPS信号用警報通知手段36cに対して警報の通知が不要である旨の信号を送る警報要否判別手段36eとを備える警報通知端末14により構成されたことを特徴とするレーダー探知機10」である。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーダー探知機において、無線転送手段20と無線受信手段32との間で無線通信が行われる無線通信技術を限定したもので、「無線転送手段20と無線受信手段32との間で無線通信が行われる無線通信技術が、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信技術、Wi−FiおよびZigBeeから選ばれた何れか1つである」ことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は「無線転送されたレーダー波の信号を受信する無線受信手段32、無線受信手段32にて受信されたレーダー波の種類を特定し、これに対応する警報を通知するレーダー波用警報通知手段36aと、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS信号受信用アンテナ34、自動速度取締機の位置情報を記憶する記憶手段36b、GPS信号受信用アンテナ34において受信されたGPS信号と記憶手段36bに記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車が自動速度取締機に接近したときに警報を通知するGPS信号用警報通知手段36c、GPS信号受信用アンテナ34において受信されたGPS信号に基づいて走行中の車の進行方向あるいは走行速度を算出する演算手段36d、および演算手段36dにおいて算出された走行中の車の進行方向情報と記憶手段36bに記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車の反対車線にのみ自動速度取締機がある場合あるいは走行中の車の走行速度が法定速度以下の場合にレーダー波用警報通知手段36aあるいはGPS信号用警報通知手段36cに対して警報の通知が不要である旨の信号を送る警報要否判別手段36eを備える警報通知端末14と併用することによって走行中の車線の前方に自動速度取締機が存在することを通知するレーダー探知機10を構成するレーダー波受信端末12であって、レーダー波受信端末12は、自動速度取締機から発射されるレーダー波を受信するレーダー波受信用アンテナ16と、該レーダー波受信用アンテナ16において受信したレーダー波の信号を無線転送する無線転送手段20とを備える」ことを特徴とするレーダー波受信端末12である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明では、レーダー波を受信するレーダー波受信端末12と、警報を通知したり走行中の車の現在位置を表示する警報通知端末14とが別々の端末として独立して存在している。ここで、警報通知端末14に必要な諸機能、すなわち、警報通知手段38(ディスプレイ38aやスピーカー38b)や、無線伝送手段である無線受信手段32或いはGPS信号受信用アンテナ34は、今日普及が著しいスマートフォン等のモバイル端末に備えられている。したがって、このモバイル端末を警報通知端末14として利用すれば、レーダー波受信用のレーダー波受信用アンテナ16ならびにレーダー波信号の無線転送手段20を備えるレーダー波受信端末12を別途用意するだけで、レーダー探知機10を簡単且つ安価に導入することが可能となる。
【0022】
また、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間の信号の授受は、無線転送手段20と無線受信手段32とによる無線伝送技術によって行われるので、有線接続の時のような設置時の配線の取り回しの煩わしさや、設置後に見栄えが悪くなることもない。
【0023】
さらに、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間で授受される信号は、取締機が発するレーダー波の信号であるが、これは、走行中の車の進行方向や走行速度を演算するために用いられるGPS信号のように連続性やリアルタイム性が要求されるようなものではなく、瞬間的にでも信号の授受が行われれば良いものである。したがって、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間の通信状態が一時的に途切れるようなことがあっても、レーダー波信号の授受が瞬間的にでも確立できればレーダー探知機能を有効に発揮させることができ、レーダー探知機10全体としての機能が損なわれることはない。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、無線通信技術として周知の技術をそのまま利用することができるので、レーダー探知機10を安価に構築することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、今日普及が著しいスマートフォン等のモバイル端末を警報通知端末14として利用することにより簡単且つ安価にレーダー探知機10を導入できるレーダー波受信端末12を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明にかかるレーダー探知機を示す図である。
【図2】レーダー波受信端末を示すブロック図である。
【図3】警報通知端末を示すブロック図である。
【図4】警報通知端末がGPS信号を受信してから警報を通知させるまでの処理プロセスを示すフロー図である。
【図5】レーダー波受信端末がレーダー波を受信してから警報を通知させるまでの処理プロセスを示すフロー図である。
【図6】警報通知端末に警報が表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明にかかるレーダー探知機10を示す図である。この図が示すように、本発明のレーダー探知機10は、レーダー波受信端末12と警報通知端末14とで大略構成されている。
【0028】
レーダー波受信端末12は、図2に示すように、レーダー波受信用アンテナ16、受信端末用プロセッサ18、無線転送手段20、受電端子22、給電端子24およびこれらを収容するケーシング26を備えている。
【0029】
レーダー波受信用アンテナ16は、取締機から発射されるレーダー波を受信するものであり、受信したレーダー波の信号がアナログデータとして受信端末用プロセッサ18に送られる。
【0030】
受信端末用プロセッサ18は、レーダー波受信端末12の各種指令を司る部分であり、レーダー波受信用アンテナ16から送られてきたレーダー波の信号をシリアルデータに変換して後述する無線転送手段20に伝送する。
【0031】
なお、受信端末用プロセッサ18には、レーダー波受信用アンテナ16、後述する無線転送手段20、受電端子22ならびに給電端子24がそれぞれ接続されている。
【0032】
無線転送手段20は、シリアル変換されたレーダー波の信号を後述する警報通知端末14に向けて無線転送する部分である。本実施例では、ブルートゥース(登録商標)技術が採用されており、ブルートゥースモジュール20aとチップアンテナ20bとを有している。
【0033】
ブルートゥースモジュール20aに入力されたシリアル変換されたレーダー波の信号は、チップアンテナ20bを介して後述する無線受信手段32にデータ転送される。
【0034】
ブルートゥースモジュール20aには、テータ転送時に使用される通信プロトコルとしてSPP(Serial Port Profile)プロトコル、OPP(Object Push Profile)プロトコル或いはPBAP(Phone Book Access Profile)プロトコルの中から選ばれた少なくとも1つのプロトコルが搭載されている(本実施例ではSPPプロトコルが搭載されている)。
【0035】
車室内で一般に利用される電子機器に搭載されている通信用プロトコルとしては、音声通信の場合に搭載されるHSP(Headset Profile)プロトコルやHFP(Hands-Free Profile)プロトコル、オーディオのような音楽通信の場合に搭載されるA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)プロトコルが一般的であるが、これらと異なるプロトコルを通信用プロトコルとして採用することにより、携帯電話による音声通信あるいはオーディオによる音楽通信が妨げられることなくデータ通信を行うことができる。
【0036】
なお、本実施例では、無線転送手段20として、ブルートゥース(登録商標)技術を用いているが、例えば、赤外線通信技術や、Wi−Fi(wireless fidelity)、ZigBeeといった周知の無線通信技術を利用することも可能である。
【0037】
受電端子22は、外部電源(例えば、車のバッテリー)からの電力供給を受けてレーダー波受信端末12に電力を供給する部分であり、シガーソケット(図示省略)に接続可能なシガープラグ28が着脱可能に接続できるようになっている。
【0038】
給電端子24は、外部電源(例えば、車のバッテリー)からレーダー波受信端末12に供給された電力を、給電ケーブル30を介して後述する警報通知端末14に供給する部分であり、この給電端子24に給電ケーブル30の一端が着脱可能に接続できるようになっている。なお、給電ケーブル30としては、例えばマイクロUSBケーブルなどを使用することができる。
【0039】
警報通知端末14は、図3に示すように、無線受信手段32、GPS信号受信用アンテナ34、警報通知端末用プロセッサ36、警報通知手段38としてのディスプレイ38aとスピーカー38b、受電端子40およびこれらを収容するケーシング42を備えている。
【0040】
無線受信手段32は、上述した無線転送手段20から無線送信されたレーダー波の信号を受信する部分である。本実施例では、無線転送手段20の無線通信技術にあわせてブルートゥース(登録商標)技術が採用されており、チップアンテナ32aとブルートゥースモジュール32bとを有している。
【0041】
チップアンテナ32aは、無線転送手段20から送信されたレーダー波の信号を受信するもので、ここで受信したレーダー波の信号がブルートゥースモジュール32bによって後述する警報通知端末用プロセッサ36に伝送される。
【0042】
該データ伝送時に使用される通信プロトコル、すなわち、ブルートゥースモジュール32bに搭載されている通信プロトコルは、少なくとも無線転送手段20において使用される通信プロトコルが含まれている必要があり、本実施例ではSPPプロトコルが搭載されている。
【0043】
なお、本実施例では、無線受信手段32の通信技術としてブルートゥース(登録商標)技術が採用されているが、これは無線転送手段20に採用されている無線通信技術に合わせて適宜設定すればよい。したがって、無線転送手段20において採用されている無線通信技術が例えば赤外線通信技術であれば、無線受信手段32も赤外線通信技術が採用されることになる。
【0044】
GPS信号受信用アンテナ34は、GPS衛星からのGPS信号を受信するためのもので、この受信データを後述する警報通知端末用プロセッサ36に取り込んで解析することにより走行中の車の位置情報など、GPS信号に基づく各種情報を得ることが可能となる。
【0045】
警報通知端末用プロセッサ36は、警報通知端末14の各種指令を司る部分であり、レーダー波用警報通知手段36a、記憶手段36b、GPS信号用警報通知手段36c、演算手段36d、警報要否判別手段36eを備えている。
【0046】
レーダー波用警報通知手段36aは、無線受信手段32にて受信されたレーダー波の種類を特定し、これに対応する警報を後述する警報通知手段38としてのディスプレイ38aに表示させたりスピーカー38bから警告音を発するよう通知するものである。
【0047】
記憶手段36bは、ループコイル方式の自動速度取締機の位置情報を記憶するものである。ループコイル方式の自動速度取締機は据付型であり、その位置が予めわかっていることから、自動速度取締機の緯度と経度を自動速度取締機の位置情報として利用することが可能となる。
【0048】
GPS信号用警報通知手段36cは、GPS信号受信用アンテナ34において受信されたGPS信号と記憶手段36bに記憶されている取締機の位置情報とに基づいて走行中の車が取締機に接近したときに、これに対応する警報を後述する警報通知手段38としてのディスプレイ38aに表示させたりスピーカー38bから警告音を発するよう通知するものである。
【0049】
演算手段36dは、走行中の車の進行方向(GPS信号から取得した異なる2点間の位置情報に基づいて算出することができる)や、走行速度(GPS信号から取得した異なる2点間の距離と該2点間の距離を走行するのに要した時間とに基づいて算出することができる)をGPS信号に基づいて算出するものである。
【0050】
警報要否判別手段36eは、演算手段36dにおいて算出された走行中の車の進行方向情報と記憶手段36dに記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車の反対車線にのみ自動速度取締機がある場合あるいは走行中の車の走行速度が法定速度以下の場合にレーダー波用警報通知手段36aあるいはGPS信号用警報通知手段36cに対して警報の通知が不要である旨の信号を送るものである。
【0051】
受電端子40は、警報通知端末14に外部からの電力供給を受ける部分であり、上述したレーダー波受信端末12の給電端子24に接続されている給電ケーブル30の他端が着脱可能に接続できるようになっている。
【0052】
なお、上述した警報通知端末14としては、たとえば、現在、一般に入手が可能なスマートフォン(Android(登録商標)端末やiPhone(登録商標))を利用することができる。
【0053】
レーダー探知機10を使用する際には、例えば、フロントガラス近傍といった取締機から発せられるレーダー波を受信しやすい箇所にレーダー波受信端末12を設置する。警報通知端末14は、運転席に着席したときに表示画面が見やすい箇所に設置する。なお、警報通知端末14を設置する際は、図示しない専用クレードルを利用することもできる。
【0054】
次に、レーダー波受信端末12と警報通知端末14の電源をそれぞれ入れ、無線転送手段20と無線受信手段32とのペアリングを行う。具体的には、無線受信手段32を待ち受け状態にした後、無線転送手段20から、無線受信手段32のブルートゥースデバイスアドレスを取得する。これにより、レーダー波受信端末12と警報通知端末14とのブルートゥース接続が確立され、レーダー探知機10を使用する準備が整うこととなる。
【0055】
次に、図4を参照しつつ、ナビゲーション機能を利用する仕組みについて説明する。警報通知端末14のGPS信号受信用アンテナ34がGPS衛星からのGPS信号を受信する(S1)。
【0056】
GPS信号受信用アンテナ34が受信したGPS信号は、警報通知端末用プロセッサ36においてその内容が解析され、走行中の車の現在位置が特定される(S2)。
【0057】
警報通知端末用プロセッサ36において、走行中の車の現在位置が特定されると、走行中の車の位置情報と、記憶手段36bに記憶されている自動速度取締機の位置情報とが比較され、ある一定の距離(例えば、2km、1km、500m)以内に近づくと、これに対応する警報を警報通知手段38としてのディスプレイ38aに表示させたりスピーカー38bから警告音を発するよう通知する。
【0058】
なお、警報要否判別手段36eでは、取得したGPS信号に基づいて走行中の車の進行方向ならびに走行速度が算出される。そして、走行中の車の進行方向に基づいて、取締機が走行中の車線に存在するのか、反対側車線に存在するのかが判断され、取締機が走行中の車の反対車線側にのみ存在すると判断できたときは、警報通知手段38に対して警報の通知が不要である旨の信号が送信される。また、走行中の車の走行速度が法定速度以下である場合にも、警報通知手段38に対して警報の通知が不要である旨の信号が送信される。これにより、警報が不所望に発令されるのを防止することができる。
【0059】
次に、図5を参照しつつ、自動車速度違反取締機から発せられたレーダー波を検知して警報を通知する仕組みについて説明する。
【0060】
レーダー探知機10を搭載した車が取締機の近くを通過すると、レーダー波受信端末12のレーダー波受信用アンテナ16が自動車速度違反取締機から発せられるレーダー波を受信する(S11)。
【0061】
レーダー波受信端末12のレーダー波受信用アンテナ16が受信したレーダー波は、受信端末用プロセッサ18においてシリアルデータに変換され(S12)、このシリアルデータが無線転送手段20によって無線データ転送される(S13)。無線データ転送される際に使用されるブルートゥースプロトコルは、無線転送手段20と無線受信手段32との双方において共通して搭載されているプロトコル(本実施例では、OPPプロトコル)が利用される。
【0062】
レーダー波受信端末12から無線データ転送されたレーダー波のシリアル信号を警報通知端末14の無線受信手段32が受信すると(S14)、該シリアル信号は警報通知端末用プロセッサ36においてその内容が解析され、レーダー波の種別が特定される(S15)。本実施例では、レーダー波受信端末12が受信したレーダー波が自動車速度違反取締機から発せられたものであることが特定されることになる。
【0063】
処理端末用プロセッサにおいて、レーダー波受信端末12が受信したデータ波の種類が特定されると、当該特定結果に対応する警報が、警報通知手段38としてのディスプレイ38aやスピーカー38bによって通知される(S16)。図6は、警報通知手段38としてのディスプレイ38aに警報が表示された状態を示している。
【0064】
なお、警報要否判別手段36eでは、上述したように、取得したGPS信号に基づいて走行中の車の走行速度が算出される。走行中の車の走行速度が法定速度以下である場合には、上述同様、警報通知手段38に対して警報の通知が不要である旨の信号が送信されることになる。
【0065】
本実施例のレーダー探知機10によれば、レーダー探知機として必要な機能のうち、警報通知手段38としてのディスプレイ38aやスピーカー38bや、無線伝送手段である無線受信手段32或いはGPS信号受信用アンテナ34は、今日普及が著しいスマートフォンといったモバイル端末に備えられている。したがって、レーダー波受信用アンテナ16ならびに無線伝送手段である無線転送手段20を備えるレーダー波受信端末12を用意するだけで、レーダー探知機10を簡単に構築することができ、その導入費用を安価に抑えることができる。
【0066】
また、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間の信号の授受は、無線伝送手段である無線転送手段20,32を介して行われるので、有線接続の時のような設置時の配線の取り回しの煩わしさや、設置後に見栄えが悪くなることもない。
【0067】
さらに、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間で授受される信号は、取締機が発するレーダー波の信号であるが、これは、走行中の車の進行方向や走行速度を演算するために用いられるGPS信号のような連続性やリアルタイム性が要求されるようなものではなく、瞬間的にでも信号の授受が行われれば良いものである。したがって、レーダー波受信端末12と警報通知端末14との間の通信状態が一時的に途切れるようなことがあっても、レーダー波信号の授受が瞬間的にでも確立できればレーダー探知機能を有効に発揮させることができ、レーダー探知機10全体としての機能が損なわれることはない。
【0068】
なお、記憶手段36bに地図データを予め記憶させておき、この地図データと、GPS信号に基づいて取得した走行中の車の位置情報とを警報通知手段38としてのディスプレイ38aに表示させるようにすれば、レーダー探知機10にナビゲーション機能を付与することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
10…レーダー探知機
12…レーダー波受信端末
14…警報通知端末
16…レーダー波受信用アンテナ
18…受信端末用プロセッサ
20…無線転送手段
22…受電端子
24…給電端子
26…ケーシング
28…シガープラグ
30…給電ケーブル
32…無線受信手段
34…GPS信号受信用アンテナ
36…警報通知端末用プロセッサ
38…警報通知手段
38a…ディスプレイ
38b…スピーカー
40…受電端子
42…ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動速度取締機から発射されるレーダー波を受信するレーダー波受信用アンテナと、該レーダー波受信用アンテナにおいて受信したレーダー波の信号を無線転送する無線転送手段とを備えるレーダー波受信端末、および
該無線転送されたレーダー波の信号を受信する無線受信手段と、無線受信手段にて受信されたレーダー波の種類を特定し、これに対応する警報を通知するレーダー波用警報通知手段と、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS信号受信用アンテナと、自動速度取締機の位置情報を記憶する記憶手段と、GPS信号受信用アンテナにおいて受信されたGPS信号と記憶手段に記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車が自動速度取締機に接近したときに警報を通知するGPS信号用警報通知手段と、GPS信号に基づいて走行中の車の進行方向あるいは走行速度を算出する演算手段と、演算手段において算出された走行中の車の進行方向情報と記憶手段に記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車の反対車線にのみ自動速度取締機がある場合あるいは走行中の車の走行速度が法定速度以下の場合にレーダー波用警報通知手段あるいはGPS信号用警報通知手段に対して警報の通知が不要である旨の信号を送る警報要否判別手段とを備える警報通知端末により構成されたことを特徴とするレーダー探知機。
【請求項2】
前記無線転送手段と前記無線受信手段との間で無線通信が行われる無線通信技術が、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信技術、Wi−FiおよびZigBeeから選ばれた何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載のレーダー探知機。
【請求項3】
無線転送されたレーダー波の信号を受信する無線受信手段、無線受信手段にて受信されたレーダー波の種類を特定し、これに対応する警報を通知するレーダー波用警報通知手段と、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS信号受信用アンテナ、自動速度取締機の位置情報を記憶する記憶手段、GPS信号受信用アンテナにおいて受信されたGPS信号と記憶手段に記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車が自動速度取締機に接近したときに警報を通知するGPS信号用警報通知手段、GPS信号受信用アンテナにおいて受信されたGPS信号に基づいて走行中の車の進行方向あるいは走行速度を算出する演算手段、および演算手段において算出された走行中の車の進行方向情報と記憶手段に記憶されている自動速度取締機の位置情報とに基づいて走行中の車の反対車線にのみ自動速度取締機がある場合あるいは走行中の車の走行速度が法定速度以下の場合にレーダー波用警報通知手段あるいはGPS信号用警報通知手段に対して警報の通知が不要である旨の信号を送る警報要否判別手段を備える警報通知端末と併用することによって走行中の車線の前方に自動速度取締機が存在することを通知するレーダー探知機を構成するレーダー波受信端末であって、
前記レーダー波受信端末は、自動速度取締機から発射されるレーダー波を受信するレーダー波受信用アンテナと、該レーダー波受信用アンテナにおいて受信したレーダー波の信号を無線転送する無線転送手段とを備えることを特徴とするレーダー波受信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−108953(P2013−108953A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256546(P2011−256546)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000114709)槌屋ヤック株式会社 (22)
【Fターム(参考)】