レーダ信号処理装置、レーダ装置およびレーダ信号処理方法
【課題】 例えば光波レーダにおいて、物体の動きが一様ではない場合でも、観測体積内の物体の偏光解消度を精度良く計測可能にすることを目的としている。
【解決手段】 レーダ信号処理装置において、算出した非偏光解消成分のスペクトルパラメータに基づいて偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出し、このスペクトルパラメータの1つとしての受信光強度における非偏光解消成分に対する偏光解消成分の比である偏光解消度を算出するようにしたものである。
【解決手段】 レーダ信号処理装置において、算出した非偏光解消成分のスペクトルパラメータに基づいて偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出し、このスペクトルパラメータの1つとしての受信光強度における非偏光解消成分に対する偏光解消成分の比である偏光解消度を算出するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダ技術に関し、特に、例えば遠隔点の風を計測するためのレーダ信号処理装置、レーダ装置およびレーダ信号処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔点の風を計測するレーダ装置として、ドップラレーダや、レーザレーダ(光波レーダやライダとも呼ばれる)等が知られている。これらのレーダ装置は、空間に電磁波を放射し、雨滴やエアロゾル等の物体で反射された電磁波を受信して、受信信号のドップラ周波数から得られるドップラ速度に基づいて風速や速度幅や散乱強度等を算出するものである。
【0003】
さらに、このようなレーダ装置において、風速分布に加え、遠隔の浮遊物質の種類を同時に識別するものも知られている。例えば、特許文献1には、直線偏光の送信光を空間に放射し、受信の際に送信光と同じ偏光面の受信光と、それに直交する偏光面の受信光を別々に受信し、その受信光強度の比である偏光解消度から空間中の物体の存在有無や、物体の形状情報として非球形性を得る光波レーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−309562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された光波レーダでは、送信光のビーム幅とパルス幅で決まる観測体積内の平均的な信号強度、ドップラ速度、速度幅を計測する。そのため、この従来の光波レーダでは、観測体積内で風が一様ではない場合や、平均的な風と異なる動きをする複数の物体がある場合には、個々の物体の信号強度、ドップラ速度、速度幅が正しく計測できず、その結果、偏光解消度の精度が劣化すること、もしくは、注目する物体の偏光解消度が得られないことがあるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、例えば光波レーダにおいて、物体の動きが一様ではない場合でも、観測体積内の物体の偏光解消度を精度良く計測でき、ひいては、観測体積内の物体の種類を正確に識別可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るレーダ信号処理装置は、送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出部と、前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出部と、前記第一のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出部と、前記第二のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出部と、前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出部と、を備え、前記第一のスペクトルパラメータ算出部および前記第二のスペクトルパラメータ算出部の一方は、その他方よるスペクトルパラメータに基づいてスペクトルパラメータを算出するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、レーダ信号処理装置において、観測体積内の動きが一様ではない場合にも、送信波と同じ偏波の受信波と、それに直交する偏波の受信波との受信電力の比を精度良く計測できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図2】この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図4】この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図5】この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図6】この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図7】この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図8】この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図9】この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図10】この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図11】この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図12】この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明に係るレーダ信号処理装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一または相当部分については、同一符号を付して説明する。なお、以下では、この発明を光波レーダに適用した実施の形態として説明するが、これに限られるものではなく、この発明は、電波等といった電磁波を用いて観測体積内のスペクトル情報を得ることができるようなレーダ信号処理装置に対しても適用できる。このとき、送信光と同じ偏光面の受信光と、それに直交する偏光面の受信光との受信光強度の比である偏光解消度は、電磁波としての送信波と同じ偏波の受信波と、それに直交する偏波の受信波との受信電力の比と読み替えるようにすれば良い。
【0011】
また、以下の説明において、送信光の直線偏光面と同じ偏光面の受信光を非偏光解消成分、送信光の直線偏光面と直交する偏光面の受信光を変更解消成分と呼ぶ。また、以下の説明において示すブロック構成図は、例えば特許文献1に記載された従来の光波レーダの送受信光分離部と同様の構成により、偏光解消成分と非偏光解消成分とが分離された後の処理を行う信号処理装置であり、偏光解消度を出力するものであるが、上記従来の光波レーダと同様の処理による散乱強度、ドップラ速度、ドップラ速度幅も同時に出力される。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図1において、第一のドップラスペクトル算出部1aは、光波レーダの送信光と同じ偏光面の受信信号である非偏光解消成分受信信号を入力としてドップラスペクトルを算出する処理部であり、第二のドップラスペクトル算出部1bは、送信光の偏光面と直交する偏光面の受信信号である偏光解消成分受信信号を入力としてドップラスペクトルを算出する処理部であり、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして後方散乱強度を示す信号強度(以下、非偏光解消成分散乱光強度p_pという)、ドップラ速度(以下、非偏光解消成分ドップラ速度v_pという)、ドップラ速度幅等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、非偏光解消成分ドップラ速度v_pに基づいて偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして後方散乱強度を示す信号強度(以下、偏光解消成分散乱光強度p_sという)、ドップラ速度、ドップラ速度幅等を算出する処理部であり、散乱強度比算出部としての偏光解消度算出部3は、非偏光解消成分散乱光強度p_pと偏光解消成分散乱光強度p_sとから偏光解消度を算出する処理部である。なお、これらの各処理部はディジタル信号処理回路として構成されている。
【0013】
次に、動作について説明する。まず、第一のドップラスペクトル算出部1aは、入力された非偏光解消成分受信信号を、例えばFFT(Fast Fourier Transform)を用いて時間領域の信号から周波数領域の信号に変換することにより、非偏光解消成分のドップラスペクトルを算出し、第一のスペクトルパラメータ算出部2aに出力する。
【0014】
また、第二のドップラスペクトル算出部1bは、入力された偏光解消成分受信信号を、第一のドップラスペクトル算出部と同様に、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換することにより、偏光解消成分のドップラスペクトルを算出し、第二のスペクトルパラメータ算出部2bに出力する。
【0015】
次に、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、入力された非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータを算出する。この算出されるスペクトルパラメータは、ドップラスペクトルの0次モーメントとして算出される非偏光解消成分散乱光強度p_p、1次モーメントとして算出される非偏光解消成分ドップラ速度v_p、2次モーメントとして算出されるドップラ速度幅である。
【0016】
ここで、スペクトルパラメータを算出する方法としては、例えば、ピーク検出に基づく方法がある。まず、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、非偏光解消成分のドップラスペクトルに対してピーク検出を行う。このとき、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、所定値以上である非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク(極大点)をすべて検出することで、複数のピーク位置を抽出する。
【0017】
次に、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、抽出されたピーク位置毎に、モーメント法によりスペクトルパラメータを算出する。モーメントを計算する範囲は、例えば、送信光のスペクトル形状と同等となるように決定することができる。0次モーメントは当該範囲の非偏光解消成分のドップラスペクトルの面積であり、1次モーメントは当該範囲の非偏光解消成分のドップラスペクトルの重心点であり、2次モーメントは当該範囲の非偏光解消成分のドップラスペクトルの幅である。
【0018】
なお、スペクトルパラメータを算出する異なる方法としては、送信光のパルス形状をガウス関数で近似し、そのガウス関数でフィッティングを行う方法がある。
【0019】
次に、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、第一のスペクトルパラメータ算出部2aから入力された非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、第二のドップラスペクトル算出部1bから入力された偏光解消成分のドップラスペクトルとを用いて、偏光解消成分のスペクトルパラメータとして、偏光解消成分散乱光強度p_s、ドップラ速度、ドップラ速度幅を算出する。
【0020】
図2は、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図であり、縦軸は信号強度、横軸は周波数である。図2において、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出する際には、同一の散乱体では非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、偏光解消成分のドップラ速度は等しいと仮定し、残りの偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出する。すなわち、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、図2に示す偏光解消成分のドップラスペクトルにおいて、非偏光解消成分ドップラ速度値v_pを中心として所定の範囲内、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内でピーク位置を検出し、その後、0次モーメントを算出することで偏光解消成分散乱光強度p_sを得る。同様に、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、1次モーメントからドップラ速度を算出し、2次モーメントからドップラ速度幅を算出する。
【0021】
次に、偏光解消度算出部3は、非偏光解消成分散乱光強度p_pと偏光解消成分散乱光強度p_sとを入力として、比(p_s / p_p)を計算することで偏光解消度を算出して出力する。
【0022】
以上のように、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置は、一般に信号対雑音比が高い非偏光解消成分のドップラスペクトルから得られたドップラ速度を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出するようにしたものである。これにより、信号対雑音比が相対的に低い偏光解消成分単独でスペクトルパラメータを算出した場合に比べて、雑音の影響による計算精度の劣化を回避することができ、偏光解消度が精度良く計測できるという作用効果を奏する。
【0023】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、非偏光解消成分のドップラ速度を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを求めていたが、実施の形態2に示すように、非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を使用することもできる。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図3において、第一のドップラスペクトル算出部1a、第二のドップラスペクトル算出部1bおよび偏光解消度算出部3は、実施の形態1と同じ構成である。以下、他の実施の形態と同一の構成と、その構成による同一の動作については説明を省略する場合がある。
【0025】
図3において、第一のスペクトルパラメータ算出部2cは、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、ドップラ速度、ドップラ速度幅、非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置(以下、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク位置peakp_pという)等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2dは、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク位置peakp_pに基づいて偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、ドップラ速度、ドップラ速度幅等を算出する処理部である。
【0026】
次に動作について説明する。図4は、この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図3、4において、第二のスペクトルパラメータ算出部2dは、第一のスペクトルパラメータ算出部2cから入力された非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク位置peakp_pを中心として、所定の範囲内で、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内で偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を検出し、以降、実施の形態1と同様にして、0次、1次、2次モーメントを算出する。
【0027】
以上のように、この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置は、非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出するようにしたものである。これにより、実施の形態1と同様の作用効果に加え、例えば、非偏光解消成分のドップラスペクトルから得られるドップラ速度に、複数の散乱体からの反射による誤差等が含まれていた場合でも、その影響を受けずに偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出することができるという作用効果を奏する。このように、実施の形態2は、観測体積内に複数の散乱要素が存在し、かつ、注目する物体の散乱光強度が他より強い場合に、実施の形態1よりも精度良く偏光解消成分のスペクトルパラメータを推定することを可能とする。
【0028】
実施の形態3.
上述の実施の形態1、2では、非偏光解消成分のドップラ速度やドップラスペクトルのピーク位置を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを求めていたが、実施の形態3に示すように、非偏光解消成分と偏光解消成分のスペクトル形状が相似の関係であることを用いることもできる。
【0029】
図5は、この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図5において、第一のドップラスペクトル算出部1a、第二のドップラスペクトル算出部1bおよび偏光解消度算出部3は、実施の形態1、2と同じ構成である。
【0030】
図5において、第一のスペクトルパラメータ算出部2eは、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_p、ドップラ速度幅(以下、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pという)、ピーク強度値(以下、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pという)等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_pおよび非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pに基づいて偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、ドップラ速度(以下、偏光解消成分ドップラ速度v_sという)、ドップラ速度幅(以下、偏光解消成分ドップラ速度幅w_sという)、ピーク強度値(以下、偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sという)等を算出する処理部である。
【0031】
次に動作について説明する。図6は、この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図5、6において、第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、第一のスペクトルパラメータ算出部2eから入力された非偏光解消成分ドップラ速度v_pを中心として、所定の範囲内で、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内で偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を検出し、そのピーク位置において、偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sを算出する。
【0032】
ここで、図6において、非偏光解消成分のスペクトル形状と偏光解消成分のスペクトル形状は、同一散乱体からの散乱であるため等しいと仮定すると、相似と考えることができる。そこで、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pと偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sとの比は、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pと偏光解消成分ドップラ速度幅w_sとの比と等しいと仮定することができ、この関係を式(1)に示す。第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、第一のスペクトルパラメータ算出部2eから入力された非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pおよび非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pと、上述のように算出した偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sに基づいて、式(1)から偏光解消成分ドップラ速度幅w_sを算出する。
peaki_p:peaki_s = w_p:w_s (1)
【0033】
次に、図5、6において、第一のスペクトルパラメータ算出部2eは、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pと非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pで決まる領域の面積として非偏光解消成分散乱光強度p_pを算出して光解消度算出部3に出力する。第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sと偏光解消成分ドップラ速度幅w_sで決まる領域の面積として偏光解消成分散乱光強度p_sを算出して光解消度算出部3に出力する。
【0034】
以上のように、この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置は、非偏光解消成分と偏光解消成分のスペクトル形状を基にスペクトルパラメータを推定するようにしたものである。これにより、実施の形態1と同様の作用効果に加え、一般に信号対雑音比が低いため精度が劣化する可能性がある偏光解消成分のスペクトルパラメータの推定値を精度良く算出することが可能となるという作用効果を奏する。
【0035】
実施の形態4.
上述の実施の形態1〜3では、非偏光解消成分のスペクトルパラメータを基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを推定していたが、観測体積内に偏光解消する物体と偏光解消しない物体が混在する状況では、偏光解消度を精度良く推定できない可能性がある。このような場合には、実施の形態4に示すように、偏光解消成分のスペクトルパラメータを基に非偏光解消成分のスペクトルパラメータを推定した方が正しい偏光解消度が得られる可能性がある。
【0036】
図7は、この発明の実施の形態7によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図7において、第一のドップラスペクトル算出部1a、第二のドップラスペクトル算出部1bおよび偏光解消度算出部3は、実施の形態1〜3と同じ構成である。
【0037】
図7において、第一のスペクトルパラメータ算出部2gは、第二のスペクトルパラメータ算出部2hから入力された偏光解消成分ドップラ速度v_sに基づいて非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_p、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_p等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2hは、偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、偏光解消成分ドップラ速度v_s、偏光解消成分ドップラ速度幅w_s等を算出する処理部である。
【0038】
次に動作について説明する。図8は、この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図7、8において、第二のスペクトルパラメータ算出部2hは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、スペクトルパラメータを算出する。
【0039】
次に、図7、8において、第一のスペクトルパラメータ算出部2gは、第二のスペクトルパラメータ算出部2hから入力された偏光解消成分ドップラ速度v_sを中心として、所定の範囲内で、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内で非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を検出し、以降、実施の形態1と同様にして、0次、1次、2次モーメントを算出する。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置は、偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出後にそれを基に非偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出するようにしたものである。これにより、例えば、観測体積内に偏光解消する物体と偏光解消しない物体が混在する場合にも、確実に偏光解消している物体の偏光解消度を精度良く算出することが可能になるという作用効果を奏する。
【0041】
実施の形態5.
上述の実施の形態1〜4は、観測体積内の要素が比較的少なく、非偏光解消成分もしくは偏光解消成分の要素が1つの場合に有効であったが、実施の形態5に示すように、観測体積内に複数の明瞭な要素がある場合にはそれぞれスペクトルパラメータを対応付けることが望ましい。
【0042】
図9は、この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図9において、第一のドップラスペクトル算出部1aおよび第二のドップラスペクトル算出部1bは、実施の形態1〜4と同じ構成である。
【0043】
図9において、第一のスペクトルパラメータ算出部2iおよび第二のスペクトルパラメータ算出部2jは、実施の形態1〜4のように他方の出力を用いることなく、スペクトルパラメータを算出する処理部である。
【0044】
すなわち、第一のスペクトルパラメータ算出部2iは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして複数の非偏光解消成分散乱光強度p_p、複数の非偏光解消成分ドップラ速度v_p、複数の非偏光解消成分ドップラ速度幅w_p等を算出し、対応付け処理部4に複数の非偏光解消成分ドップラ速度v_pを出力し、偏光解消度算出部3aに複数の非偏光解消成分散乱光強度p_pを出力する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2jは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして複数の偏光解消成分散乱光強度p_s、複数の偏光解消成分ドップラ速度v_s、複数の偏光解消成分ドップラ速度幅w_s等を算出し、対応付け処理部4に複数の偏光解消成分ドップラ速度v_sを出力し、偏光解消度算出部3aに複数の偏光解消成分散乱光強度p_sを出力する処理部である。
【0045】
また、図9において、対応付け処理部4は、非偏光解消成分のスペクトルパラメータと偏光解消成分のスペクトルパラメータとを対応付ける処理部であり、偏光解消度算出部3aは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータと偏光解消成分のスペクトルパラメータとの対応情報に基づいて偏光解消度を算出する処理部である。
【0046】
次に動作について説明する。図10は、この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図9、10において、対応付け処理部4は、第一のスペクトルパラメータ算出部2iからの複数の非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、第二のスペクトルパラメータ算出部2jからの複数の偏光解消成分ドップラ速度v_sとを入力として、同じ値のドップラ速度同士で組を作り、その組に対応するタグを付し、そのタグの情報を示すドップラ速度のタグ情報を偏光解消度算出部3aに出力する。
【0047】
次に、図9、10において、偏光解消度算出部3aは、対応付け処理部4からのドップラ速度のタグ情報と、第一のスペクトルパラメータ算出部2iからの複数の非偏光解消成分散乱光強度p_pと、第二のスペクトルパラメータ算出部2jからの複数の偏光解消成分散乱光強度p_sとを入力として、ドップラ速度が対応する散乱光強度同士でそれぞれ偏光解消度を算出して出力する。
【0048】
以上のように、この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置は、複数存在する非偏光解消成分の要素を、ドップラ速度値を基に対応づけるようにしたものである。これにより、観測体積内の複数の要素に対して偏光解消度をそれぞれ精度良く算出することができるという作用効果を奏する。
【0049】
実施の形態6.
上述の実施の形態1〜5では、非偏光解消成分および偏光解消成分のスペクトルパラメータの算出は、ドップラスペクトルの形状が比較的明瞭な場合に効果的であるが、実施の形態6は、ドップラスペクトル中の要素数が不明瞭な場合にも対応可能なようにするものである。
【0050】
図11は、この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図11において、第一のドップラスペクトル算出部1aおよび第二のドップラスペクトル算出部1bは、実施の形態1〜5と同じ構成である。また、第一のスペクトルパラメータ算出部2k、第二のスペクトルパラメータ算出部2l、対応付け処理部4aおよび偏光解消度算出部3bは、実施の形態5と同様の構成である。
【0051】
すなわち、第一のスペクトルパラメータ算出部2kは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_p、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_p等を算出し、第一のスペクトルパラメータ検定部5aに出力する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2lは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、偏光解消成分ドップラ速度v_s、偏光解消成分ドップラ速度幅w_s等を算出し、第二のスペクトルパラメータ検定部5bに出力する処理部である。
【0052】
図11において、第一のスペクトルパラメータ検定部5aは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータが妥当なものかどうか検定する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ検定部5bは、偏光解消成分のスペクトルパラメータが妥当なものかどうか検定する処理部である。
【0053】
また、図11において、対応付け処理部4aは、第一のスペクトルパラメータ検定部5aで妥当と検定された非偏光解消成分のスペクトルパラメータと第二のスペクトルパラメータ検定部5bで妥当と検定された偏光解消成分のスペクトルパラメータとを対応付ける処理部であり、偏光解消度算出部3bは、対応付け処理部4aの対応情報に基づいて偏光解消度を算出する処理部である。
【0054】
次に動作について説明する。図12は、この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図11、12において、第一のスペクトルパラメータ検定部5aは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータである散乱光強度、ドップラ速度、ドップラ速度幅等を入力として、得られた要素数および各値が妥当なものかどうか検定する。
【0055】
例えば、ドップラ速度幅が送信光のスペクトル形状と比較して広い場合は、図12に示すように、スペクトルは更に複数の要素に分離可能と判定し、再度第一のスペクトルパラメータ算出部2kに要素数を増やす条件とともに算出を指示する。この指示に基づいて、第二のスペクトルパラメータ算出部2kは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータの算出処理を再度行う。そして、第一のスペクトルパラメータ検定部5aは、対応付け処理部4aに妥当と検定した2つの非偏光解消成分ドップラ速度v_pを出力し、偏光解消度算出部3bに妥当と検定した2つの非偏光解消成分散乱光強度p_pを出力する。
【0056】
なお、第一のスペクトルパラメータ検定部5aにおいて、比較判定法としては、他に、観測体積を示す隣接レンジにおける値との差が所定の範囲以内かどうか、また、観測レートが十分に短ければ前時刻における値との差が所定の範囲内かどうかを指標とすることができる。また、第一のスペクトルパラメータ算出部2kへの要素数条件としては、例えば、図12に示すようにドップラスペクトルの速度幅が所定の値よりも広い場合は、既に得られているドップラ速度値よりも所定の値だけ増減した値を初期値としてスペクトルパラメータを推定する方法が考えられる。
【0057】
一方、第二のスペクトルパラメータ検定部5bも、偏光解消成分のスペクトルパラメータに対して同様の処理を行う。図12に示す例では、第二のスペクトルパラメータ検定部5bは、要素数は1と判定し、対応付け処理部4aに妥当と検定した1つの偏光解消成分ドップラ速度v_sを出力し、偏光解消度算出部3bに妥当と検定した1つの非偏光解消成分散乱光強度p_sを出力する。
【0058】
次に、図11、12において、対応付け処理部4aは、第一のスペクトルパラメータ検定部5aからの2つの非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、第二のスペクトルパラメータ検定部5bからの1つの偏光解消成分ドップラ速度v_sとを入力として、同じ値のドップラ速度同士で1つの組を作り、その1つの組に対応するタグを付し、そのタグの情報を示すドップラ速度のタグ情報を偏光解消度算出部3bに出力する。
【0059】
そして、偏光解消度算出部3bは、対応付け処理部4aからのドップラ速度のタグ情報と、第一のスペクトルパラメータ検定部5aからの2つの非偏光解消成分散乱光強度p_pと、第二のスペクトルパラメータ検定部5bからの1つの偏光解消成分散乱光強度p_sとを入力として、ドップラ速度が同じ値の1つの組の散乱光強度同士で偏光解消度を算出して出力する。
【0060】
以上のように、この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置は、非偏光解消成分および偏光解消成分のスペクトルパラメータが妥当なものかどうか検定するようにしたものである。これにより、ドップラスペクトル中の要素数が不明瞭な場合にも、観測体積内に複数存在する要素を分離し、観測体積内の要素に対して偏光解消度をそれぞれ精度良く算出することができるという作用効果を奏する。
【0061】
なお、上述のように、この発明の実施の形態5,6によるレーダ信号処理装置においては、ドップラスペクトル中の要素数が1または2の場合を示したが、要素数がこれに限られるものでなく、要素数が3以上の場合にも、同様にして、観測体積内の要素に対して偏光解消度をそれぞれ精度良く算出することができる。
【0062】
また、上述のように、この発明の実施の形態1〜6によるレーダ信号処理装置においては、各処理部はディジタル信号処理回路として説明したが、これに限られるものでなく、例えばマイクロコンピュータ等に実行させるコンピュータプログラムを用いてソフトウエア処理により各処理ステップの少なくとも一部を実現するようにしても良い。
【0063】
また、上述の実施の形態1〜6によるレーダ信号処理装置は、例えば特許文献1に記載された従来の光波レーダにおける光送受信部や、電波の送受信を行うアンテナ部といった公知のセンサ部と同様の構成に接続することにより、遠隔点の風を精度良く計測するとともに遠隔の浮遊物質の種類を同時に正しく識別するようなレーダ装置として構成することができる。なお、このレーダ装置の計測対象は、これに限られるものでなく、要するに電磁波を後方散乱波として反射するものであれば、どのようなものでも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1a 第一のドップラスペクトル算出部
1b 第二のドップラスペクトル算出部
2a、2c、2e、2g、2i、2k 第一のスペクトルパラメータ算出部
2b、2d、2f、2h、2j、2l 第二のスペクトルパラメータ算出部
3、3a、3b 偏光解消度算出部
4、4a 対応付け処理部
5a 第一のスペクトルパラメータ検定部
5b 第二のスペクトルパラメータ検定部
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダ技術に関し、特に、例えば遠隔点の風を計測するためのレーダ信号処理装置、レーダ装置およびレーダ信号処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔点の風を計測するレーダ装置として、ドップラレーダや、レーザレーダ(光波レーダやライダとも呼ばれる)等が知られている。これらのレーダ装置は、空間に電磁波を放射し、雨滴やエアロゾル等の物体で反射された電磁波を受信して、受信信号のドップラ周波数から得られるドップラ速度に基づいて風速や速度幅や散乱強度等を算出するものである。
【0003】
さらに、このようなレーダ装置において、風速分布に加え、遠隔の浮遊物質の種類を同時に識別するものも知られている。例えば、特許文献1には、直線偏光の送信光を空間に放射し、受信の際に送信光と同じ偏光面の受信光と、それに直交する偏光面の受信光を別々に受信し、その受信光強度の比である偏光解消度から空間中の物体の存在有無や、物体の形状情報として非球形性を得る光波レーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−309562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された光波レーダでは、送信光のビーム幅とパルス幅で決まる観測体積内の平均的な信号強度、ドップラ速度、速度幅を計測する。そのため、この従来の光波レーダでは、観測体積内で風が一様ではない場合や、平均的な風と異なる動きをする複数の物体がある場合には、個々の物体の信号強度、ドップラ速度、速度幅が正しく計測できず、その結果、偏光解消度の精度が劣化すること、もしくは、注目する物体の偏光解消度が得られないことがあるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、例えば光波レーダにおいて、物体の動きが一様ではない場合でも、観測体積内の物体の偏光解消度を精度良く計測でき、ひいては、観測体積内の物体の種類を正確に識別可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るレーダ信号処理装置は、送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出部と、前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出部と、前記第一のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出部と、前記第二のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出部と、前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出部と、を備え、前記第一のスペクトルパラメータ算出部および前記第二のスペクトルパラメータ算出部の一方は、その他方よるスペクトルパラメータに基づいてスペクトルパラメータを算出するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、レーダ信号処理装置において、観測体積内の動きが一様ではない場合にも、送信波と同じ偏波の受信波と、それに直交する偏波の受信波との受信電力の比を精度良く計測できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図2】この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図4】この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図5】この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図6】この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図7】この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図8】この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図9】この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図10】この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【図11】この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置を示す構成図
【図12】この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明に係るレーダ信号処理装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一または相当部分については、同一符号を付して説明する。なお、以下では、この発明を光波レーダに適用した実施の形態として説明するが、これに限られるものではなく、この発明は、電波等といった電磁波を用いて観測体積内のスペクトル情報を得ることができるようなレーダ信号処理装置に対しても適用できる。このとき、送信光と同じ偏光面の受信光と、それに直交する偏光面の受信光との受信光強度の比である偏光解消度は、電磁波としての送信波と同じ偏波の受信波と、それに直交する偏波の受信波との受信電力の比と読み替えるようにすれば良い。
【0011】
また、以下の説明において、送信光の直線偏光面と同じ偏光面の受信光を非偏光解消成分、送信光の直線偏光面と直交する偏光面の受信光を変更解消成分と呼ぶ。また、以下の説明において示すブロック構成図は、例えば特許文献1に記載された従来の光波レーダの送受信光分離部と同様の構成により、偏光解消成分と非偏光解消成分とが分離された後の処理を行う信号処理装置であり、偏光解消度を出力するものであるが、上記従来の光波レーダと同様の処理による散乱強度、ドップラ速度、ドップラ速度幅も同時に出力される。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図1において、第一のドップラスペクトル算出部1aは、光波レーダの送信光と同じ偏光面の受信信号である非偏光解消成分受信信号を入力としてドップラスペクトルを算出する処理部であり、第二のドップラスペクトル算出部1bは、送信光の偏光面と直交する偏光面の受信信号である偏光解消成分受信信号を入力としてドップラスペクトルを算出する処理部であり、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして後方散乱強度を示す信号強度(以下、非偏光解消成分散乱光強度p_pという)、ドップラ速度(以下、非偏光解消成分ドップラ速度v_pという)、ドップラ速度幅等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、非偏光解消成分ドップラ速度v_pに基づいて偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして後方散乱強度を示す信号強度(以下、偏光解消成分散乱光強度p_sという)、ドップラ速度、ドップラ速度幅等を算出する処理部であり、散乱強度比算出部としての偏光解消度算出部3は、非偏光解消成分散乱光強度p_pと偏光解消成分散乱光強度p_sとから偏光解消度を算出する処理部である。なお、これらの各処理部はディジタル信号処理回路として構成されている。
【0013】
次に、動作について説明する。まず、第一のドップラスペクトル算出部1aは、入力された非偏光解消成分受信信号を、例えばFFT(Fast Fourier Transform)を用いて時間領域の信号から周波数領域の信号に変換することにより、非偏光解消成分のドップラスペクトルを算出し、第一のスペクトルパラメータ算出部2aに出力する。
【0014】
また、第二のドップラスペクトル算出部1bは、入力された偏光解消成分受信信号を、第一のドップラスペクトル算出部と同様に、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換することにより、偏光解消成分のドップラスペクトルを算出し、第二のスペクトルパラメータ算出部2bに出力する。
【0015】
次に、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、入力された非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータを算出する。この算出されるスペクトルパラメータは、ドップラスペクトルの0次モーメントとして算出される非偏光解消成分散乱光強度p_p、1次モーメントとして算出される非偏光解消成分ドップラ速度v_p、2次モーメントとして算出されるドップラ速度幅である。
【0016】
ここで、スペクトルパラメータを算出する方法としては、例えば、ピーク検出に基づく方法がある。まず、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、非偏光解消成分のドップラスペクトルに対してピーク検出を行う。このとき、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、所定値以上である非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク(極大点)をすべて検出することで、複数のピーク位置を抽出する。
【0017】
次に、第一のスペクトルパラメータ算出部2aは、抽出されたピーク位置毎に、モーメント法によりスペクトルパラメータを算出する。モーメントを計算する範囲は、例えば、送信光のスペクトル形状と同等となるように決定することができる。0次モーメントは当該範囲の非偏光解消成分のドップラスペクトルの面積であり、1次モーメントは当該範囲の非偏光解消成分のドップラスペクトルの重心点であり、2次モーメントは当該範囲の非偏光解消成分のドップラスペクトルの幅である。
【0018】
なお、スペクトルパラメータを算出する異なる方法としては、送信光のパルス形状をガウス関数で近似し、そのガウス関数でフィッティングを行う方法がある。
【0019】
次に、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、第一のスペクトルパラメータ算出部2aから入力された非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、第二のドップラスペクトル算出部1bから入力された偏光解消成分のドップラスペクトルとを用いて、偏光解消成分のスペクトルパラメータとして、偏光解消成分散乱光強度p_s、ドップラ速度、ドップラ速度幅を算出する。
【0020】
図2は、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図であり、縦軸は信号強度、横軸は周波数である。図2において、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出する際には、同一の散乱体では非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、偏光解消成分のドップラ速度は等しいと仮定し、残りの偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出する。すなわち、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、図2に示す偏光解消成分のドップラスペクトルにおいて、非偏光解消成分ドップラ速度値v_pを中心として所定の範囲内、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内でピーク位置を検出し、その後、0次モーメントを算出することで偏光解消成分散乱光強度p_sを得る。同様に、第二のスペクトルパラメータ算出部2bは、1次モーメントからドップラ速度を算出し、2次モーメントからドップラ速度幅を算出する。
【0021】
次に、偏光解消度算出部3は、非偏光解消成分散乱光強度p_pと偏光解消成分散乱光強度p_sとを入力として、比(p_s / p_p)を計算することで偏光解消度を算出して出力する。
【0022】
以上のように、この発明の実施の形態1によるレーダ信号処理装置は、一般に信号対雑音比が高い非偏光解消成分のドップラスペクトルから得られたドップラ速度を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出するようにしたものである。これにより、信号対雑音比が相対的に低い偏光解消成分単独でスペクトルパラメータを算出した場合に比べて、雑音の影響による計算精度の劣化を回避することができ、偏光解消度が精度良く計測できるという作用効果を奏する。
【0023】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、非偏光解消成分のドップラ速度を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを求めていたが、実施の形態2に示すように、非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を使用することもできる。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図3において、第一のドップラスペクトル算出部1a、第二のドップラスペクトル算出部1bおよび偏光解消度算出部3は、実施の形態1と同じ構成である。以下、他の実施の形態と同一の構成と、その構成による同一の動作については説明を省略する場合がある。
【0025】
図3において、第一のスペクトルパラメータ算出部2cは、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、ドップラ速度、ドップラ速度幅、非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置(以下、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク位置peakp_pという)等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2dは、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク位置peakp_pに基づいて偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、ドップラ速度、ドップラ速度幅等を算出する処理部である。
【0026】
次に動作について説明する。図4は、この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図3、4において、第二のスペクトルパラメータ算出部2dは、第一のスペクトルパラメータ算出部2cから入力された非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク位置peakp_pを中心として、所定の範囲内で、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内で偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を検出し、以降、実施の形態1と同様にして、0次、1次、2次モーメントを算出する。
【0027】
以上のように、この発明の実施の形態2によるレーダ信号処理装置は、非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出するようにしたものである。これにより、実施の形態1と同様の作用効果に加え、例えば、非偏光解消成分のドップラスペクトルから得られるドップラ速度に、複数の散乱体からの反射による誤差等が含まれていた場合でも、その影響を受けずに偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出することができるという作用効果を奏する。このように、実施の形態2は、観測体積内に複数の散乱要素が存在し、かつ、注目する物体の散乱光強度が他より強い場合に、実施の形態1よりも精度良く偏光解消成分のスペクトルパラメータを推定することを可能とする。
【0028】
実施の形態3.
上述の実施の形態1、2では、非偏光解消成分のドップラ速度やドップラスペクトルのピーク位置を基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを求めていたが、実施の形態3に示すように、非偏光解消成分と偏光解消成分のスペクトル形状が相似の関係であることを用いることもできる。
【0029】
図5は、この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図5において、第一のドップラスペクトル算出部1a、第二のドップラスペクトル算出部1bおよび偏光解消度算出部3は、実施の形態1、2と同じ構成である。
【0030】
図5において、第一のスペクトルパラメータ算出部2eは、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_p、ドップラ速度幅(以下、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pという)、ピーク強度値(以下、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pという)等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_pおよび非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pに基づいて偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、ドップラ速度(以下、偏光解消成分ドップラ速度v_sという)、ドップラ速度幅(以下、偏光解消成分ドップラ速度幅w_sという)、ピーク強度値(以下、偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sという)等を算出する処理部である。
【0031】
次に動作について説明する。図6は、この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図5、6において、第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、第一のスペクトルパラメータ算出部2eから入力された非偏光解消成分ドップラ速度v_pを中心として、所定の範囲内で、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内で偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を検出し、そのピーク位置において、偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sを算出する。
【0032】
ここで、図6において、非偏光解消成分のスペクトル形状と偏光解消成分のスペクトル形状は、同一散乱体からの散乱であるため等しいと仮定すると、相似と考えることができる。そこで、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pと偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sとの比は、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pと偏光解消成分ドップラ速度幅w_sとの比と等しいと仮定することができ、この関係を式(1)に示す。第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、第一のスペクトルパラメータ算出部2eから入力された非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pおよび非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pと、上述のように算出した偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sに基づいて、式(1)から偏光解消成分ドップラ速度幅w_sを算出する。
peaki_p:peaki_s = w_p:w_s (1)
【0033】
次に、図5、6において、第一のスペクトルパラメータ算出部2eは、非偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_pと非偏光解消成分ドップラ速度幅w_pで決まる領域の面積として非偏光解消成分散乱光強度p_pを算出して光解消度算出部3に出力する。第二のスペクトルパラメータ算出部2fは、偏光解消成分ドップラスペクトルピーク強度peaki_sと偏光解消成分ドップラ速度幅w_sで決まる領域の面積として偏光解消成分散乱光強度p_sを算出して光解消度算出部3に出力する。
【0034】
以上のように、この発明の実施の形態3によるレーダ信号処理装置は、非偏光解消成分と偏光解消成分のスペクトル形状を基にスペクトルパラメータを推定するようにしたものである。これにより、実施の形態1と同様の作用効果に加え、一般に信号対雑音比が低いため精度が劣化する可能性がある偏光解消成分のスペクトルパラメータの推定値を精度良く算出することが可能となるという作用効果を奏する。
【0035】
実施の形態4.
上述の実施の形態1〜3では、非偏光解消成分のスペクトルパラメータを基に偏光解消成分のスペクトルパラメータを推定していたが、観測体積内に偏光解消する物体と偏光解消しない物体が混在する状況では、偏光解消度を精度良く推定できない可能性がある。このような場合には、実施の形態4に示すように、偏光解消成分のスペクトルパラメータを基に非偏光解消成分のスペクトルパラメータを推定した方が正しい偏光解消度が得られる可能性がある。
【0036】
図7は、この発明の実施の形態7によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図7において、第一のドップラスペクトル算出部1a、第二のドップラスペクトル算出部1bおよび偏光解消度算出部3は、実施の形態1〜3と同じ構成である。
【0037】
図7において、第一のスペクトルパラメータ算出部2gは、第二のスペクトルパラメータ算出部2hから入力された偏光解消成分ドップラ速度v_sに基づいて非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_p、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_p等を算出する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2hは、偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、偏光解消成分ドップラ速度v_s、偏光解消成分ドップラ速度幅w_s等を算出する処理部である。
【0038】
次に動作について説明する。図8は、この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図7、8において、第二のスペクトルパラメータ算出部2hは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、スペクトルパラメータを算出する。
【0039】
次に、図7、8において、第一のスペクトルパラメータ算出部2gは、第二のスペクトルパラメータ算出部2hから入力された偏光解消成分ドップラ速度v_sを中心として、所定の範囲内で、例えば、送信光パルスのパルス幅の範囲内で非偏光解消成分のドップラスペクトルのピーク位置を検出し、以降、実施の形態1と同様にして、0次、1次、2次モーメントを算出する。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態4によるレーダ信号処理装置は、偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出後にそれを基に非偏光解消成分のスペクトルパラメータを算出するようにしたものである。これにより、例えば、観測体積内に偏光解消する物体と偏光解消しない物体が混在する場合にも、確実に偏光解消している物体の偏光解消度を精度良く算出することが可能になるという作用効果を奏する。
【0041】
実施の形態5.
上述の実施の形態1〜4は、観測体積内の要素が比較的少なく、非偏光解消成分もしくは偏光解消成分の要素が1つの場合に有効であったが、実施の形態5に示すように、観測体積内に複数の明瞭な要素がある場合にはそれぞれスペクトルパラメータを対応付けることが望ましい。
【0042】
図9は、この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図9において、第一のドップラスペクトル算出部1aおよび第二のドップラスペクトル算出部1bは、実施の形態1〜4と同じ構成である。
【0043】
図9において、第一のスペクトルパラメータ算出部2iおよび第二のスペクトルパラメータ算出部2jは、実施の形態1〜4のように他方の出力を用いることなく、スペクトルパラメータを算出する処理部である。
【0044】
すなわち、第一のスペクトルパラメータ算出部2iは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして複数の非偏光解消成分散乱光強度p_p、複数の非偏光解消成分ドップラ速度v_p、複数の非偏光解消成分ドップラ速度幅w_p等を算出し、対応付け処理部4に複数の非偏光解消成分ドップラ速度v_pを出力し、偏光解消度算出部3aに複数の非偏光解消成分散乱光強度p_pを出力する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2jは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして複数の偏光解消成分散乱光強度p_s、複数の偏光解消成分ドップラ速度v_s、複数の偏光解消成分ドップラ速度幅w_s等を算出し、対応付け処理部4に複数の偏光解消成分ドップラ速度v_sを出力し、偏光解消度算出部3aに複数の偏光解消成分散乱光強度p_sを出力する処理部である。
【0045】
また、図9において、対応付け処理部4は、非偏光解消成分のスペクトルパラメータと偏光解消成分のスペクトルパラメータとを対応付ける処理部であり、偏光解消度算出部3aは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータと偏光解消成分のスペクトルパラメータとの対応情報に基づいて偏光解消度を算出する処理部である。
【0046】
次に動作について説明する。図10は、この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図9、10において、対応付け処理部4は、第一のスペクトルパラメータ算出部2iからの複数の非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、第二のスペクトルパラメータ算出部2jからの複数の偏光解消成分ドップラ速度v_sとを入力として、同じ値のドップラ速度同士で組を作り、その組に対応するタグを付し、そのタグの情報を示すドップラ速度のタグ情報を偏光解消度算出部3aに出力する。
【0047】
次に、図9、10において、偏光解消度算出部3aは、対応付け処理部4からのドップラ速度のタグ情報と、第一のスペクトルパラメータ算出部2iからの複数の非偏光解消成分散乱光強度p_pと、第二のスペクトルパラメータ算出部2jからの複数の偏光解消成分散乱光強度p_sとを入力として、ドップラ速度が対応する散乱光強度同士でそれぞれ偏光解消度を算出して出力する。
【0048】
以上のように、この発明の実施の形態5によるレーダ信号処理装置は、複数存在する非偏光解消成分の要素を、ドップラ速度値を基に対応づけるようにしたものである。これにより、観測体積内の複数の要素に対して偏光解消度をそれぞれ精度良く算出することができるという作用効果を奏する。
【0049】
実施の形態6.
上述の実施の形態1〜5では、非偏光解消成分および偏光解消成分のスペクトルパラメータの算出は、ドップラスペクトルの形状が比較的明瞭な場合に効果的であるが、実施の形態6は、ドップラスペクトル中の要素数が不明瞭な場合にも対応可能なようにするものである。
【0050】
図11は、この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置を示す構成図である。図11において、第一のドップラスペクトル算出部1aおよび第二のドップラスペクトル算出部1bは、実施の形態1〜5と同じ構成である。また、第一のスペクトルパラメータ算出部2k、第二のスペクトルパラメータ算出部2l、対応付け処理部4aおよび偏光解消度算出部3bは、実施の形態5と同様の構成である。
【0051】
すなわち、第一のスペクトルパラメータ算出部2kは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、非偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして非偏光解消成分散乱光強度p_p、非偏光解消成分ドップラ速度v_p、非偏光解消成分ドップラ速度幅w_p等を算出し、第一のスペクトルパラメータ検定部5aに出力する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ算出部2lは、実施の形態1に示した第一のスペクトルパラメータ算出部2aと同様にして、偏光解消成分のドップラスペクトルからスペクトルパラメータとして偏光解消成分散乱光強度p_s、偏光解消成分ドップラ速度v_s、偏光解消成分ドップラ速度幅w_s等を算出し、第二のスペクトルパラメータ検定部5bに出力する処理部である。
【0052】
図11において、第一のスペクトルパラメータ検定部5aは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータが妥当なものかどうか検定する処理部であり、第二のスペクトルパラメータ検定部5bは、偏光解消成分のスペクトルパラメータが妥当なものかどうか検定する処理部である。
【0053】
また、図11において、対応付け処理部4aは、第一のスペクトルパラメータ検定部5aで妥当と検定された非偏光解消成分のスペクトルパラメータと第二のスペクトルパラメータ検定部5bで妥当と検定された偏光解消成分のスペクトルパラメータとを対応付ける処理部であり、偏光解消度算出部3bは、対応付け処理部4aの対応情報に基づいて偏光解消度を算出する処理部である。
【0054】
次に動作について説明する。図12は、この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置の動作を説明するための説明図であり、非偏光解消成分のドップラスペクトルと偏光解消成分のドップラスペクトルを示す模式図である。図11、12において、第一のスペクトルパラメータ検定部5aは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータである散乱光強度、ドップラ速度、ドップラ速度幅等を入力として、得られた要素数および各値が妥当なものかどうか検定する。
【0055】
例えば、ドップラ速度幅が送信光のスペクトル形状と比較して広い場合は、図12に示すように、スペクトルは更に複数の要素に分離可能と判定し、再度第一のスペクトルパラメータ算出部2kに要素数を増やす条件とともに算出を指示する。この指示に基づいて、第二のスペクトルパラメータ算出部2kは、非偏光解消成分のスペクトルパラメータの算出処理を再度行う。そして、第一のスペクトルパラメータ検定部5aは、対応付け処理部4aに妥当と検定した2つの非偏光解消成分ドップラ速度v_pを出力し、偏光解消度算出部3bに妥当と検定した2つの非偏光解消成分散乱光強度p_pを出力する。
【0056】
なお、第一のスペクトルパラメータ検定部5aにおいて、比較判定法としては、他に、観測体積を示す隣接レンジにおける値との差が所定の範囲以内かどうか、また、観測レートが十分に短ければ前時刻における値との差が所定の範囲内かどうかを指標とすることができる。また、第一のスペクトルパラメータ算出部2kへの要素数条件としては、例えば、図12に示すようにドップラスペクトルの速度幅が所定の値よりも広い場合は、既に得られているドップラ速度値よりも所定の値だけ増減した値を初期値としてスペクトルパラメータを推定する方法が考えられる。
【0057】
一方、第二のスペクトルパラメータ検定部5bも、偏光解消成分のスペクトルパラメータに対して同様の処理を行う。図12に示す例では、第二のスペクトルパラメータ検定部5bは、要素数は1と判定し、対応付け処理部4aに妥当と検定した1つの偏光解消成分ドップラ速度v_sを出力し、偏光解消度算出部3bに妥当と検定した1つの非偏光解消成分散乱光強度p_sを出力する。
【0058】
次に、図11、12において、対応付け処理部4aは、第一のスペクトルパラメータ検定部5aからの2つの非偏光解消成分ドップラ速度v_pと、第二のスペクトルパラメータ検定部5bからの1つの偏光解消成分ドップラ速度v_sとを入力として、同じ値のドップラ速度同士で1つの組を作り、その1つの組に対応するタグを付し、そのタグの情報を示すドップラ速度のタグ情報を偏光解消度算出部3bに出力する。
【0059】
そして、偏光解消度算出部3bは、対応付け処理部4aからのドップラ速度のタグ情報と、第一のスペクトルパラメータ検定部5aからの2つの非偏光解消成分散乱光強度p_pと、第二のスペクトルパラメータ検定部5bからの1つの偏光解消成分散乱光強度p_sとを入力として、ドップラ速度が同じ値の1つの組の散乱光強度同士で偏光解消度を算出して出力する。
【0060】
以上のように、この発明の実施の形態6によるレーダ信号処理装置は、非偏光解消成分および偏光解消成分のスペクトルパラメータが妥当なものかどうか検定するようにしたものである。これにより、ドップラスペクトル中の要素数が不明瞭な場合にも、観測体積内に複数存在する要素を分離し、観測体積内の要素に対して偏光解消度をそれぞれ精度良く算出することができるという作用効果を奏する。
【0061】
なお、上述のように、この発明の実施の形態5,6によるレーダ信号処理装置においては、ドップラスペクトル中の要素数が1または2の場合を示したが、要素数がこれに限られるものでなく、要素数が3以上の場合にも、同様にして、観測体積内の要素に対して偏光解消度をそれぞれ精度良く算出することができる。
【0062】
また、上述のように、この発明の実施の形態1〜6によるレーダ信号処理装置においては、各処理部はディジタル信号処理回路として説明したが、これに限られるものでなく、例えばマイクロコンピュータ等に実行させるコンピュータプログラムを用いてソフトウエア処理により各処理ステップの少なくとも一部を実現するようにしても良い。
【0063】
また、上述の実施の形態1〜6によるレーダ信号処理装置は、例えば特許文献1に記載された従来の光波レーダにおける光送受信部や、電波の送受信を行うアンテナ部といった公知のセンサ部と同様の構成に接続することにより、遠隔点の風を精度良く計測するとともに遠隔の浮遊物質の種類を同時に正しく識別するようなレーダ装置として構成することができる。なお、このレーダ装置の計測対象は、これに限られるものでなく、要するに電磁波を後方散乱波として反射するものであれば、どのようなものでも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1a 第一のドップラスペクトル算出部
1b 第二のドップラスペクトル算出部
2a、2c、2e、2g、2i、2k 第一のスペクトルパラメータ算出部
2b、2d、2f、2h、2j、2l 第二のスペクトルパラメータ算出部
3、3a、3b 偏光解消度算出部
4、4a 対応付け処理部
5a 第一のスペクトルパラメータ検定部
5b 第二のスペクトルパラメータ検定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出部と、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出部と、
前記第一のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第二のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出部と、を備え、
前記第一のスペクトルパラメータ算出部および前記第二のスペクトルパラメータ算出部の一方は、その他方よるスペクトルパラメータに基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とするレーダ信号処理装置。
【請求項2】
前記第二のスペクトルパラメータ算出部は、前記第一のスペクトルパラメータ算出部よるスペクトルパラメータとしてのドップラ速度、ピーク位置またはスペクトル形状に基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項3】
前記第一のスペクトルパラメータ算出部は、前記第二のスペクトルパラメータ算出部よるスペクトルパラメータとしてのドップラ速度に基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項4】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出部と、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出部と、
前記第一のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第二のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータと前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータとを対応付ける対応付け処理部と、
前記対応付け処理部で対応付けられた前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出部と、
を備えたことを特徴とするレーダ信号処理装置。
【請求項5】
前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの要素数を検定する第一のスペクトルパラメータ検定部と、
前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの要素数を検定する第二のスペクトルパラメータ検定部と、を備え、
前記対応付け処理部は、前記第一のスペクトルパラメータ検定部で要素数が検定されたスペクトルパラメータと前記第二のスペクトルパラメータ検定部で要素数が検定されたスペクトルパラメータとを対応付けることを特徴とする請求項4に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のレーダ信号処理装置と、
送信波を送信し、この送信波と同じ偏波および直交する偏波の受信波をそれぞれ受信し、この受信した受信信号を前記レーダ信号処理装置に出力する送受信部と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出ステップと、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出ステップと、
前記第一のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第二のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出ステップと、を備え、
前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップおよび前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップの一方は、その他方よるスペクトルパラメータに基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とするレーダ信号処理方法。
【請求項8】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出ステップと、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出ステップと、
前記第一のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第二のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータと前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータとを対応付ける対応付け処理ステップと、
前記対応付け処理ステップで対応付けられた前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出ステップと、
を備えたことを特徴とするレーダ信号処理方法。
【請求項1】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出部と、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出部と、
前記第一のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第二のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出部と、を備え、
前記第一のスペクトルパラメータ算出部および前記第二のスペクトルパラメータ算出部の一方は、その他方よるスペクトルパラメータに基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とするレーダ信号処理装置。
【請求項2】
前記第二のスペクトルパラメータ算出部は、前記第一のスペクトルパラメータ算出部よるスペクトルパラメータとしてのドップラ速度、ピーク位置またはスペクトル形状に基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項3】
前記第一のスペクトルパラメータ算出部は、前記第二のスペクトルパラメータ算出部よるスペクトルパラメータとしてのドップラ速度に基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項4】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出部と、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出部と、
前記第一のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第二のドップラスペクトル算出部によるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出部と、
前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータと前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータとを対応付ける対応付け処理部と、
前記対応付け処理部で対応付けられた前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出部と、
を備えたことを特徴とするレーダ信号処理装置。
【請求項5】
前記第一のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの要素数を検定する第一のスペクトルパラメータ検定部と、
前記第二のスペクトルパラメータ算出部によるスペクトルパラメータの要素数を検定する第二のスペクトルパラメータ検定部と、を備え、
前記対応付け処理部は、前記第一のスペクトルパラメータ検定部で要素数が検定されたスペクトルパラメータと前記第二のスペクトルパラメータ検定部で要素数が検定されたスペクトルパラメータとを対応付けることを特徴とする請求項4に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のレーダ信号処理装置と、
送信波を送信し、この送信波と同じ偏波および直交する偏波の受信波をそれぞれ受信し、この受信した受信信号を前記レーダ信号処理装置に出力する送受信部と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出ステップと、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出ステップと、
前記第一のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第二のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出ステップと、を備え、
前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップおよび前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップの一方は、その他方よるスペクトルパラメータに基づいてスペクトルパラメータを算出することを特徴とするレーダ信号処理方法。
【請求項8】
送信波と同じ偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第一のドップラスペクトル算出ステップと、
前記送信波と直交する偏波の受信波の受信信号に基づいてドップラスペクトルを算出する第二のドップラスペクトル算出ステップと、
前記第一のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第一のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第二のドップラスペクトル算出ステップによるドップラスペクトルに基づいてスペクトルパラメータを算出する第二のスペクトルパラメータ算出ステップと、
前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータと前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータとを対応付ける対応付け処理ステップと、
前記対応付け処理ステップで対応付けられた前記第一のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度に対する前記第二のスペクトルパラメータ算出ステップによるスペクトルパラメータの1つとしての散乱強度の比を算出する散乱強度比算出ステップと、
を備えたことを特徴とするレーダ信号処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−145485(P2012−145485A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4840(P2011−4840)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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