説明

レーダ信号処理装置

【課題】 振幅検出後の閾値処理によりノイズの誤検出を防ぐことで、真の目標となり得る信号の候補を減らした上で、受信信号のレンジ及び強度の挙動観測により真の目標とJEMを判別することで、JEMが検出され続けることを防ぎ、JEMが検出されたセルの周辺セルにおける目標検出性能の劣化を防ぐことが可能なレーダ装置を得る。
【解決手段】 振幅検出出力に対して真の目標の候補としてノイズを誤検出することを防ぐ閾値処理を施す閾値処理器109と、振幅検出出力に対して、目標をトラッキングし、そのレンジ及び受信信号強度の挙動を継続して観測する事により真の目標とJEMとを判別する目標判別器110と、目標判別結果を閾値処理器にフィードバックするフィードバック処理111と、目標判別結果を元に、真の目標を検出する目標検出器112と、上記閾値処理器と目標判別器とフィードバック処理を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の反射電波から、航空機を目標として検出するレーダ信号処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナを介して、目標に向け電波の送信パルスを発生する送信機と、アンテナを介して目標で反射された電波を受信し、増幅処理し、位相検波を行う受信機と、その出力信号をA/D変換(Analog to Digital conversion:以下、A/D変換とする)する変換器と、その出力をFFT(Fast Fourier Transform:以下、FFTとする)処理する信号処理器と、CFAR(Constant False Alarm Rate:以下、CFARとする)定数であるリファレンスセル数またはガードセル数を、受信信号の強度に応じて決定する決定回路と、その決定されたリファレンスセル数またはガードセル数でCFAR処理を行う信号処理器とを備えた追尾レーダがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、CFAR処理は、周波数セル上で行うものであり、受信信号の強度の増加に応じて、CFAR処理のパラメータであるガードセル数、リファレンスセル数が変化し、目標信号がリファレンスセルに漏れこむのを抑え、リファレンスセル内のノイズ強度を抑え、ターゲット検出性能の劣化を防ぐものである。
【0004】
また、ジェットエンジンを搭載した航空機を上記の追尾レーダで観測した場合には、タービンのようなジェットエンジンの回転部位により、目標レーダエコーに変調が掛かり、この変調信号が検出される、JEM(Jet Engine Modulation)と言う現象がある。
【0005】
従来、このJEM発生の有無を検出する方法として、目標で反射された受信電波を観測し、前記目標の検出信号とJEMにより変調された検出信号とを判別して、前記目標を検出するレーダ信号処理装置がある。このレーダ信号処理装置は、受信電波の振幅の比較に基づき目標の候補として複数検出された同一レンジセル内にある検出信号の各々について、所定時間その強度変化を計測し、前記強度変化が所定の範囲内である検出信号を前記目標の検出信号であると判断し、前記強度変化が所定の範囲を越える検出信号を前記JEMにより変調された検出信号であると判断する目標判別部を備える(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−249946号公報
【0007】
【特許文献2】特開2009−250925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の追尾レーダによる目標検出においては、真の目標とJEMの判別を行うために上記の方法を用いている。しかしながら、目標信号の検出を行う際に、周辺セルの信号強度を用いた閾値処理を実施しておらず、単純に、対象とするセルの信号強度変化のみに着目して目標信号を検出しているため、ノイズ信号を真の目標となり得る信号の候補として誤検出するという問題があった。
【0009】
また、仮に対象とするセルの周辺セルの信号強度を閾値決定に使用して閾値処理を実施したとしても、その周辺セルに、本来存在しないJEMが目標相当の信号強度をもっていた場合には、閾値が間違って決定されて検出性能が劣化する問題がある。
【0010】
さらに、従来の追尾レーダによる目標検出においては、真の目標とJEMの判別を行うために上記の方法を用いるが、JEMと判別された結果を目標検出処理にフィードバックしていないため、目標検出処理の繰り返しにおいてJEMが検出され続ける問題がある。
【0011】
以上の問題点から、閾値処理によりノイズの誤検出を防ぎ、JEMの発生の有無、もしくは真の目標とJEMの判別を行い、その判別結果をフィードバックすることが追尾レーダの目標検出性能の劣化を防ぐ為には必須である。
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されるレーダ信号処理装置には、受信信号のレンジ及び強度の挙動観測により、JEMの発生の有無、もしくは真の目標とJEMの判別を行うことが示されているものの、閾値処理によるノイズの誤検出を防いだ上で、受信信号のレンジ及び強度の挙動観測によりJEMの発生の有無、もしくは真の目標とJEMの判別を行い、判別結果を閾値処理にフィードバックすることでJEMを検出し続けることを防ぐ点については示されておらず、真の目標の検出性能の劣化を防ぐには不十分であった。
【0012】
この発明は、以上の問題を解決するためになされたものであり、振幅検出後の閾値処理によりノイズの誤検出を防いだ上で、真の目標とJEMを判別するとともに、JEMと判別された場合はその結果を閾値処理前にフィードバックすることにより、JEMが検出され続けることを防ぎ、またJEMが検出されたセルの周辺セルにおける目標検出性能の劣化を防ぐことが可能なレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によるレーダ信号処理装置は、送信パルスを発生させる送信機と、送信パルスを電波として目標に放射させるアンテナと、送信及び受信の切替を行う送受切替器と、目標で反射された電波を、アンテナを介して受信する受信機と、上記受信機による受信信号をA/D変換するA/D変換器と、上記A/D変換器によるA/D変換後の信号に対して、サイドローブ低減のためのウェイティング処理を施すウェイティング処理器と、上記ウェイティング処理器によるウェイティング処理後の信号に対して、FFT処理を施し、周波数軸信号に変換する周波数分析器と、上記周波数分析器によるFFT処理後の信号の振幅を出力する振幅検出器と、上記振幅検出器による振幅検出出力に対して、真の目標の候補としてノイズを誤検出することを防ぐ閾値処理を施す閾値処理器と、上記閾値処理器による振幅検出出力に対して、目標をトラッキングし、そのレンジ及び受信信号強度の挙動を継続して観測する事により、真の目標とJEMとを判別する目標判別器と、上記目標判別器により判別されたJEMを閾値処理器にフィードバックするフィードバック処理と、上記目標判別器の目標判別結果を元に、真の目標を検出する目標検出器と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、振幅検出後の閾値処理によりノイズの誤検出を防ぐことで、真の目標となり得る信号の候補を減らした上で、受信信号のレンジ及び強度の挙動観測により真の目標とJEMを判別し、JEMと判別された場合はその結果を閾値処理前にフィードバックし、JEMが検出されたセルの信号レベルをあらかじめ設定した受信機雑音相当のレベルに替える事により、以降の処理でJEMが検出され続けることを防ぎ、JEMが検出されたセルの周辺セルにおける目標検出性能の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施の形態1によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態1によるレーダ信号処理装置の処理フローを示した図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1による振幅検出器から閾値処理器に入力される、振幅検出出力の一例と、閾値処理器における処理単位セルを図示したものである。
【図4】本発明に係る実施の形態1による閾値処理器における目標信号検出結果の一例を図示したものである。
【図5】本発明に係る実施の形態1による目標数判断部における目標信号検出結果の一例を図示したものである。
【図6】本発明に係る実施の形態1による信号レンジ比較部における目標信号検出結果の一例を図示したものである。
【図7】本発明に係る実施の形態1による信号強度変化比較部における目標信号検出結果の一例を図示したものである。
【図8】本発明に係る実施の形態1による閾値処理器におけるJEM判別結果のフィードバック処理反映結果の一例を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1によるレーダ装置は、送信機101と、アンテナ102と、送受切替器103と、受信機104と、レーダ信号処理装置113から構成される。レーダ信号処理装置113は、A/D変換器105と、ウェイティング処理器106と、周波数分析器107と、振幅検出器108と、閾値処理器109と、目標判別器110と、フィードバック処理部111と、目標検出器112を備えて構成される。
【0017】
送信機101は、送信パルスを発生させる。アンテナ102は、送信パルスを電波として目標に放射させる。送受切替器103は、送信及び受信の切替を行う。受信機104は、目標で反射された電波を、アンテナを介して受信する。A/D変換器105は、受信機104による受信信号をA/D変換する。ウェイティング処理器106は、A/D変換後の信号に対してサイドローブ低減のためのウェイティング処理を施す。周波数分析器107は、ウェイティング処理後の信号に対しFFT処理を施し、周波数軸信号に変換する。
【0018】
振幅検出器108は、FFT処理後の周波数軸信号の振幅を出力する。閾値処理器109は、振幅検出器108からの振幅検出出力に対して、真の目標の候補としてノイズを誤検出することを防ぐ閾値処理を施す。目標判別器110は、振幅検出出力に対して、目標をトラッキングし、そのレンジ及び受信信号強度の挙動を継続して観測する事により真の目標とJEMとを判別する。フィードバック処理部111は、目標判別器110による目標判別結果を閾値処理器109にフィードバックする。目標検出器112は、目標判別器110による目標判別結果を元に、真の目標を検出し、検出した真の目標を目標情報として出力する。
【0019】
次に、図1に示す実施の形態1に係るレーダ装置の要素のうち、ノイズの誤検出を防ぐ閾値処理器109と、真の目標とJEMとを判別する目標判別器110と、目標判別結果を閾値処理器109にフィードバックするフィードバック処理部111の巧拙について説明する。図2は、閾値処理器109、目標判別器110、及びフィードバック処理部111の動作フローを図示したものである。
【0020】
図2において、符号200は閾値処理器109による閾値処理、符号201はフィードバック処理を示す。また、目標判別器110の処理動作のうち、符号202は目標数判断部による目標数判断処理、符号203は信号レンジ比較部による同一レンジセル判断処理、符号204は信号強度変化比較部による信号強度変化比較処理、符号205はループ処理部によるループ処理を示す。
ここで、目標判別器110の各処理は、追尾レーダで目標検出をする際に、真の目標単独で検出されることはあっても、真の目標とは別に、その目標のJEMのみが単独で検出されることは無いという前提に基づいている。
【0021】
振幅検出器108から出力された振幅検出出力は閾値処理器109に入力される。
図3は、振幅検出器108から出力された振幅検出出力の一例を示したものである。図3において、符号301は対象セル単位、符号302及び303はそれぞれレンジ及びドップラー方向である。
閾値処理器109の閾値処理では、レンジ及びドップラー方向の全対象セルについて、周辺セルの信号強度及びあらかじめ保持しているパラメータから閾値を決定し、その閾値を超えた信号を真の目標となり得る信号の候補として検出する。図3の例では、ドップラー方向の範囲A、レンジ方向の範囲Bについて、範囲A及び範囲Bで規定される周辺セルの信号強度を示している。これらの信号強度と、あらかじめ保持しているパラメータを用いて、閾値の決定が行われる。
【0022】
図4は、図3に対して閾値処理器109で真の目標となり得る信号の候補が検出された場合の検出結果の一例を示したものである。図3において、特に信号強度が大きかったセルのうち、符号401及び402は目標として検出された信号、符号403は閾値処理により検出されなかった信号であるケースを、例示している。
【0023】
閾値処理器109から出力された閾値処理出力は、目標数判断部に入力されて目標数の判定処理202が実行される。目標数判断処理202では、あらかじめパラメータとして保持している目標信号の検出を決定する閾値について、当該閾値を超えた信号の数を目標数として判断する。
【0024】
目標数判断部で単数目標であると判断された場合は、検出された目標は真の目標1機のものであり、JEMは存在しないとして、目標検出器112に検出した目標信号を出力する。
目標数判断部で複数目標であると判断された場合は、目標判別処理のトラッキング処理206を開始し、信号レンジ比較部に目標として検出された信号が出力される。
【0025】
図5は、目標数判断部の目標数判断処理202で、単数目標であると判断される場合の目標信号検出結果の一例を図示したものである。
図5において、符号501は検出された目標信号、符号502は検出されない目標信号、符号503はあらかじめパラメータとして保持している目標信号の検出を決定する閾値であり、この閾値を超えると目標信号として検出されるものである。
【0026】
信号レンジ比較部の同一レンジセル判断処理203では、目標数判断部の目標数判断処理202で複数目標であると判断された出力のレンジセルを比較する。
ここで、2目標のレンジセルが異なる場合は、検出された2目標は真の目標2機のものであり、JEMは存在しないとして目標検出器に出力する。
一方、2目標のレンジセルが同一である場合は、信号強度変化比較部に出力される。
【0027】
信号レンジ比較部の同一レンジセル判断処理203では、2目標が真の目標1機とその目標のJEMであった場合、一般的な追尾レーダでは真の目標の大きさに比べてレンジ分解能の方が大きいことにより、その2目標は同一レンジセルで検出され、異なるレンジセルで検出されることは無いという前提に基づいて、出力処理が行われている。
【0028】
次に、図6は、信号レンジ比較部の同一レンジセル判断処理203の結果、2目標が真の目標2機のものであると判断される場合の目標信号検出結果の一例を図示したものである。図6において、符号601は検出された真の目標2機のうち、1機の目標信号、符号602は検出された真の目標2機のうち、別の1機の目標信号、符号603は図5の符号503と同一の閾値である。
【0029】
信号強度変化比較部による信号強度変化比較処理204では、信号レンジ比較部の同一レンジセル判断処理203からの出力について、信号強度変化を比較する。
信号強度変化比較部では、あらかじめパラメータとして真の目標の最大信号強度と最小信号強度の比によって決定される閾値を保持している。
ここで、2目標のうち、一方の信号強度が変化してこの閾値を下回り、他方の信号強度はこの閾値を下回らない場合には、2目標を真の目標1機と、その目標のJEMであるとして目標検出器112に出力する。
この時、信号強度が急峻に変化した方の目標をJEM、他方の目標を真の目標として出力する。2目標の信号強度変化が上記を満たさない場合には、2目標をそれぞれ真の目標と目標のJEMであると判断する事が出来ないが、少なからず真の目標1機を検出したとして、引き続きトラッキングを継続するためにループ処理205によって信号レンジ比較部の同一レンジセル判断処理203へと出力され、上記の処理を繰返し行う。
【0030】
信号強度変化比較部の信号強度変化比較処理204では、一般的にJEMの信号強度は、自レーダがジェットエンジンすなわち真の目標に正対した場合に最大となり、自レーダがジェットエンジンすなわち真の目標の側面と対した場合に最小となるが、このJEMの最大信号強度から最小信号強度への信号強度変化は真の目標の信号強度変化に比して十分急峻であるという前提に基づいて、出力処理を行っている。
【0031】
図7は、信号強度変化比較部の信号強度変化比較処理204において2目標が真の目標1機と、その目標のJEMであると判断される場合の目標信号検出結果の一例を図示したものである。図7において、符号701は真の目標のJEM信号、符号702は真の目標の信号、符号703は図5の符号503と同一の閾値、符号704は真の目標の最大信号強度と最小信号強度の比によって決定される閾値である。
信号強度変化比較処理204では、この閾値704を下回るとその信号は真の目標では無いと判断され、JEMであるとして出力される。
【0032】
信号強度変化比較部の2目標のうちJEMであるとして出力された目標は、フィードバック処理201によって閾値処理器109へと出力される。
閾値処理器109ではJEMであるとして出力された目標のセルについてのみ、振幅検出器108から出力された振幅検出出力を、あらかじめパラメータとして保持している受信機雑音レベルと入れ替えて上記閾値処理を実施する。
この閾値処理ではこの入れ替えにより、JEMであるとして出力された目標のセルは、以降真の目標となり得る信号の候補としては検出されない。また同セルを閾値決定に使用する周辺セルが対象セルであった場合の閾値決定においても、本来目標ではないJEMの信号強度により閾値が大きく変化し、真の目標となり得る信号の候補の検出性能が劣化することはない。
【0033】
上記閾値処理で入れ替えを実施する受信機雑音レベルは、真の目標となり得る信号の候補と比較して十分に小さい信号強度であり、そのセルを閾値の決定に使用する際に、その信号強度により閾値が大きく変化して誤った検出がされることのないものである。
【0034】
図8は、新たに振幅検出器108から出力された振幅検出出力のうち、JEMであるとして出力された目標のセルを、受信機雑音レベルと入れ替えた結果の一例を図示したものである。図8において、符号801は受信機雑音レベルと入れ替えられたセルである。
【0035】
このように、追尾レーダによる目標検出において、閾値処理によりノイズの誤検出を防いだ上で、同一レンジに2目標検出された際に、両目標をトラッキングし、そのレンジ及び受信信号強度の挙動を継続して観測する事により、航空機本体すなわち真の目標とJEMの判別をし、判別結果を閾値処理にフィードバックすることで、JEMを検出し続けることを防ぎ、真の目標の検出性能の劣化を防ぐことができる。
【0036】
以上説明したように本実施の形態1によれば、送信パルスを発生させる送信機と、送信パルスを電波として目標に放射させるアンテナと、送信及び受信の切替を行う送受切替器と、目標で反射された電波を、アンテナを介して受信する受信機と、上記受信機による受信信号をA/D変換するA/D変換器と、上記A/D変換器によるA/D変換後の信号に対して、サイドローブ低減のためのウェイティング処理を施すウェイティング処理器と、上記ウェイティング処理器によるウェイティング処理後の信号に対して、FFT処理を施し、周波数軸信号に変換する周波数分析器と、上記周波数分析器によるFFT処理後の信号の振幅を出力する振幅検出器と、上記振幅検出器による振幅検出出力に対して、真の目標の候補としてノイズを誤検出することを防ぐ閾値処理を施す閾値処理器と、上記閾値処理器による振幅検出出力に対して、目標をトラッキングし、同一のレンジ内における受信信号強度の挙動を継続して観測する事により、あらかじめ設定された真の目標の最大信号強度と最小信号強度の比によって決定される閾値に基づいて、真の目標とJEMとを判別する目標判別器と、上記目標判別器により判別されたJEMを閾値処理器にフィードバックするフィードバック処理と、上記目標判別器の目標判別結果を元に、真の目標を検出する目標検出器とを備える。
【0037】
これによって、追尾レーダによる目標検出において、振幅検出後の閾値処理によりノイズの誤検出を防ぐことで、真の目標となり得る信号の候補を減らした上で、受信信号のレンジ及び強度の挙動観測により真の目標とJEMを判別し、JEMと判別された場合はその結果を閾値処理前にフィードバックし、JEMが検出されたセルの信号レベルをあらかじめ設定した受信機雑音相当のレベルに替える事により、以降JEMが検出され続けることを防ぎ、JEMが検出されたセルの周辺セルにおける目標検出性能の劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0038】
101 送信機、102 アンテナ、103 送受切替器、104 受信機、105 A/D変換器、106 ウェイティング処理器、107 周波数分析器、108 振幅検出器、109 閾値処理器、110 目標判別器、111 フィードバック処理、112 目標検出器、113 レーダ信号処理装置、201 フィードバック処理、202 目標数判断部、203 信号レンジ比較部、204 信号強度変化比較部、205 ループ処理。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信パルスを発生させる送信機と、
送信パルスを電波として目標に放射させるアンテナと、
送信及び受信の切替を行う送受切替器と、
目標で反射された電波を、アンテナを介して受信する受信機と、
上記受信機による受信信号をA/D変換するA/D変換器と、
上記A/D変換器によるA/D変換後の信号に対して、サイドローブ低減のためのウェイティング処理を施すウェイティング処理器と、
上記ウェイティング処理器によるウェイティング処理後の信号に対して、FFT処理を施し、周波数軸信号に変換する周波数分析器と、
上記周波数分析器によるFFT処理後の信号の振幅を出力する振幅検出器と、
上記振幅検出器による振幅検出出力に対して、真の目標の候補としてノイズを誤検出することを防ぐ閾値処理を施す閾値処理器と、
上記閾値処理器による振幅検出出力に対して、目標をトラッキングし、そのレンジ及び受信信号強度の挙動を継続して観測する事により、真の目標とJEMとを判別する目標判別器と、
上記目標判別器により判別されたJEMを閾値処理器にフィードバックするフィードバック処理と、
上記目標判別器の目標判別結果を元に、真の目標を検出する目標検出器と、
を備えたレーダ信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−252832(P2011−252832A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127879(P2010−127879)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】