説明

レーダ搬送波監視装置

【課題】装置の規模を小型軽量化しつつ、レーダ信号に対する監視データの信頼性を確保し向上させたレーダ搬送波監視装置を得る。
【解決手段】進行波及び反射波のレベル測定に際し、給電線路の電気長に基づいた測定時間幅を設け、その時間幅の中でのピーク値を取得することにより、特に反射波等、発生タイミングの一定しない場合においてもそのピークレベルを確実に取得する。また、進行波電力、及び反射波電力の監視に加え、レーダ搬送波の監視に必要な、周波数及びパルス情報等の機能についても、1つのFPGA内に単一モジュール化して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーダ搬送波監視装置に係り、特に装置を小型軽量化しつつ、送信出力の監視パラメータに対する測定の信頼性を向上させたレーダ搬送波監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置等において、レーダ本体側装置に接続され、レーダ信号送信時の搬送波のパラメータを測定してその動作状態を監視する装置が知られている。この種のレーダ搬送波監視装置の一例を図4、及び図5に例示する。図4は、レーダ装置等においてレーダ本体側装置40とレーダ搬送波監視装置48との接続の一例を示すブロック図である。また、図5は、レーダ本体側装置40からレーダ波として送信されるパルス状の搬送波を監視する従来のレーダ搬送波監視装置48の構成の一例を示すブロック図である。
【0003】
図4に例示したように、このレーダ搬送波監視装置48は、レーダ本体側装置40内のアンテナ41とサーキュレータ43との間の給電線路411の途中に挿入された方向性結合器42に接続され、この方向性結合器42から所定の結合レベルで取り出された搬送波の進行波成分および反射波成分に基づき、送信電力、VSWR(電圧定在波比)、送信周波数、パルス情報等を監視している。また、図5に例示したように、このレーダ搬送波監視装置48は、方向性結合器42からの進行波成分を3分配する分配器51、分配された進行波成分と方向性結合器42からの反射波成分とに基づき送信電力やVSWR等を収集する高周波ピーク電力計52、分配された進行波成分から搬送波の周波数である送信周波数を計数する周波数カウンタ53、同じく分配された進行波成分からパルス変調による各種パラメータをパルス情報として収集するパルス情報収集部54、及び各部で収集された各監視データを所定の書式に編集して後段の機器等に送出するインターフェイス部としての監視データ収集部55から構成されている。ここで、高周波ピーク電力計52としては、例えばネットワークアナライザ等の汎用測定器を用いて構成されることが多い。また、周波数カウンタ53も、汎用測定器としての周波数カウンタを用いて構成されることが多い。
【0004】
送信電力及びVSWRは、レーダ本体側装置40の送信系の動作監視に対する重要なパラメータであり、特にアンテナ41及び給電線路411を含めたアンテナ系に異常があると、レーダ信号の送受信が機能しなくなるばかりでなく、送信系の機器等にも大きなダメージを与えるおそれがあるため、例えば、高周波ピーク電力計52では、レーダ送信に同期したタイミングでこれらの監視データが毎回収集され、レーダ本体側装置40の動作が常時監視される。一方、周波数カウンタ53、及びパルス情報収集部54では、例えばレーダ本体側装置40の安定な動作を監視するのに十分なタイミングで、それぞれに監視データが収集される。そして、これら各部で収集された監視データは、監視データ収集部55に集められた後、後段の機器等に送出される。
【0005】
なお、特許文献1に、VSWRモニタ回路の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−17138号公報(第6ページ、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、VSWRは重要な監視データとして常時収集されるが、その際には、方向性結合器42を通して進行波及び反射波のレベルを正確に測定する必要がある。特に反射波については、そのピークレベルを取得することが必要となる。反射波が発生する部位としては、主にアンテナ41、及び給電線路411があるが、各部位からの反射波の発生タイミングは、レーダ搬送波監視装置48から見て同一とはならない。すなわち、アンテナ41からの反射波は、アンテナ41までの電気的な距離に対応した送信後の特定のタイミングであり、また給電線路411からの反射波は、例えば断線等の大きな不整合のある箇所等までの電気的な距離に対応したタイミングとなる。
【0008】
しかしながら、従来においては、上記のように反射波の発生タイミングに時間的な幅があるにもかかわらず、その測定タイミングは、例えばアンテナ41からの反射波の発生タイミング等に合わせた特定のタイミングに固定されていた。このため、必ずしも反射波のピークレベルが測定されない場合があり、測定結果としての監視データに対する信頼性を十分確保することが困難であった。
【0009】
また、この種のレーダ搬送波監視装置はレーダ本体側装置とともに機能させるが、汎用計測器などを含んで構成する場合には、自ずと装置全体の外形や質量に対する制約が伴うため、例えば小型軽量化が困難な場合が多く、同時に機能する他の機器等との機械的な整合性を十分確保できなかった。
【0010】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、装置の規模を小型軽量化しつつ、監視データの信頼性を確保し向上させたレーダ搬送波監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の発明のレーダ搬送波監視装置は、空中線への給電線路に挿入された方向性結合器から所定の結合レベルで取り出された、この空中線への進行波及び空中線からの反射波に基づいてこの空中線からレーダ信号として送信される搬送波を監視するレーダ搬送波監視装置であって、前記方向性結合器からの進行波を周波数変換する周波数変換部と、この周波数変換部で周波数変換後の信号の周波数を取得する周波数カウンタ部と、前記方向性結合器からの進行波及び反射波をそれぞれに対数検波する検波部と、この検波部で検波後の前記進行波及び反射波のレベルをデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記給電線路の電気長に基づいて設定された測定時間幅内における前記デジタル信号に変換後の進行波及び反射波をサンプリングしそれぞれのピークレベルを取得するサンプリング部と、前記デジタル信号に変換後の進行波に基づき前記レーダ信号のパルス情報を取得するタイミング解析部と、前記周波数カウンタ部、前記サンプリング部、及び前記タイミング解析部におけるそれぞれの取得結果を受けとって一時保持するとともに、所定のデータ形式に構成して出力する監視データ収集部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明のレーダ搬送波監視装置は、前記サンプリング部において前記デジタル信号に変換後の進行波及び反射波のピークレベルを取得する際は、前記測定時間幅内における連続する複数のサンプリング値の移動平均値の最大値をピークレベルとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の規模を小型軽量化しつつ、監視データの信頼性を確保し向上させたレーダ搬送波監視装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るレーダ搬送波監視装置の第1の実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係るレーダ搬送波監視装置の第2の実施例の構成を示すブロック図。
【図3】第2の実施例における移動平均によるピークレベルの算出過程をモデル化して例示する説明図。
【図4】レーダ装置等におけるレーダ本体側装置とレーダ搬送波監視装置との接続の一例を示すブロック図。
【図5】従来のレーダ搬送波監視装置の構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るレーダ搬送波監視装置を実施するための最良の形態について、図1及び図3を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係るレーダ搬送波監視装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。図1に例示したように、このレーダ搬送波監視装置1は、同一に構成された2つのプロテクタ/スイッチ部として、プロテクタ/スイッチ部(#1)11a及びプロテクタ/スイッチ部(#2)11b、同一に構成された2つの分配器として、分配器(#1)12a及び分配器(#2)12b、終端器13、周波数変換部14、同一に構成された2つの対数検波部として、対数検波部(#1)15a及び対数検波部(#2)15b、A/D変換部16、ならびにデータ処理部17を備えている。
【0017】
2つのプロテクタ/スイッチ部11a及び11bは、空中線への給電線路に挿入された方向性結合器(図示せず)から所定の結合レベルで取り出された進行波及び反射波を、後述のデータ処理部17からの制御によって、監視データの測定・収集時にはそれぞれ分配器12a及び12bに通過させるとともに、その信号レベルが過大にならないようにしてこれら2つの分配器12a及び12bを保護する。分配器(#1)12a、及び分配器(#2)12bは、いずれも2分配器として構成されている。分配器(#1)12aは、プロテクタ/スイッチ部(#1)11aを通過した進行波を2分配し、周波数変換部14、及び対数検波部(#1)15aに送出する。一方、分配器(#2)12bは、プロテクタ/スイッチ部(#2)11bを通過した反射波を2分配し、対数検波部(#2)15b、及び終端器13に送出する。
【0018】
終端器13は、所定の終端インピーダンスを有し、分配器(#2)12bで2分配後の一方の信号をこのインピーダンスで終端する。周波数変換部14は、分配器(#1)12aで分配された進行波を周波数測定用にダウンコンバートし、中間周波信号としてデータ処理部17に送出する。対数検波部(#1)15aは、分配器(#1)12aで分配された進行波を対数検波してA/D変換部16に送出する。また、対数検波部(#2)15bは、分配器(#2)12bで分配された反射波を対数検波してA/D変換部16に送出する。なお、上記のように、進行波に対する対数検波部(#1)15aの入力端までの信号経路と、反射波に対する対数検波部(#2)15bの入力端までの信号経路とを同一の構成とすることによって、進行波及び反射波の信号経路にて発生する相互間のレベル変動要因のアンバランスを低減している。
【0019】
A/D変換部16は、進行波及び反射波の対数検波後の波形をデジタル信号に変換し、それぞれ進行波レベルデータ及び反射波レベルデータとしてデータ処理部17に送出する。データ処理部17は、周波数変換部14からの中間周波信号、A/D変換部16からの進行波及び反射波のレベルデータ、ならびに制御信号としての送信情報信号を受けとって監視データを収集する。ここに、データ処理部17は、周波数カウンタ部171、進行波サンプリング部172、反射波サンプリング部173、タイミング解析部174、及び監視データ収集部175を備えている。周波数カウンタ部171は、周波数変換部14からの中間周波信号をカウントし、その結果を監視データ収集部175に送出する。
【0020】
進行波サンプリング部172及び反射波サンプリング部173は、それぞれ、A/D変換部16からの進行波及び反射波のレベルデータの中から、レーダ信号の送信に同期し、かつ給電線路の電気長に基づき設定された測定時間幅内の一連のレベルデータをサンプリングし、それぞれにそのピーク値を検索し取得して監視データ収集部17に送出する。ここで、レベルデータをサンプリングする測定時間幅を、特に反射波については、給電線路の電気長に基づいてその発生部位となり得るアンテナや給電線路内の不特定箇所等からの反射波の到達タイミングをすべて含むような時間幅に設定することにより、給電線路の電気長によって発生部位からの到達タイミングの異なる反射波のピークレベルの取得を可能にし、同様にそのレベルを取得する進行波のレベルとあわせ、監視データとしての信頼性を確保している。
【0021】
タイミング解析部174は、進行波のレベルデータに基づいて、パルス変調されて送信されるレーダ信号のパルス情報を取得して監視データ収集部175に送出する。収集するパルス情報は、例えば外部のレーダ本体側装置等から送信情報信号として送られてく送信パターン情報によるものとし、送信タイミング、パルス幅、またグループパルスの場合にはパルス数や相互のパルス間隔等が取得される。監視データ収集部175は、周波数カウンタ部171、進行波サンプリング部172、反射波サンプリング部173、及びタイミング解析部174での収集結果を受けとって一時保持するとともに、これらを後段の機器等との間であらかじめ設定されたインターフェイス条件に従って編集し送出する。
【0022】
さらに、本実施例においては、上記した周波数カウンタ部171、進行波サンプリング部172、反射波サンプリング部173、タイミング解析部174、及び監視データ収集部175のすべてを1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)内に構成して単一モジュール化している。これによって、装置全体を小型かつ軽量に構成することを可能にしている。
【0023】
次に、前出の図1を参照して、上述のように構成された本実施例のレーダ搬送波監視装置の動作について説明する。レーダ信号の送信に伴って、空中線への給電線路に挿入された方向性結合器(図示せず)からレーダ送信波に対する進行波及び反射波が取り出され、それぞれプロテクタ/スイッチ部(#1)11a、及びプロテクタ/スイッチ部(#2)11bを通過して分配器(#1)12a、及び分配器(#2)12bに入力される。
【0024】
分配器(#1)12aでは進行波が2分配され、その一方は周波数変換部14に送られて中間周波信号に変換された後、データ処理部17に送出される。また、2分配された他方は対数検波部(#1)15aに送られて対数検波され、さらにその検波後の波形がA/D変換部16でデジタル信号に変換された後、進行波のレベルデータとしてデータ処理部17に送出される。
【0025】
一方、分配器(#2)12bでは反射波が2分配され、その一方は終端器13に送られ、所定のインピーダンスで終端される。また、2分配された他方は対数検波部(#2)15bに送られて対数検波され、さらにその検波後の波形がA/D変換部16でデジタル信号に変換された後、反射波のレベルデータとしてデータ処理部17に送出される。
【0026】
データ処理部17では、周波数変換部14からの中間周波信号は周波数カウンタ部171に送られ、その周波数がカウントされる。そしてその結果が監視データ収集部175に送られる。また、A/D変換部16からの進行波のレベルデータ、及び反射波のレベルデータは、それぞれ進行波サンプリング部172、及び反射波サンプリング部173に送られる。次いで、それぞれのサンプリング部において、対象となる測定時間幅内の一連のレベルデータがサンプリングされるとともに、その中のピーク値が取得される。そして、その取得結果として、進行波のレベルのピーク値、及び反射波のレベルのピーク値が監視データ収集部175に送出される。
【0027】
さらにA/D変換部16からの進行波のレベルデータはタイミング解析部174にも送られる。そして、送信されるレーダ信号のパルス情報が取得され、その結果が監視データ収集部175に送られる。監視データ収集部175では、データ処理部17内の各部で測定・取得された結果が一時保持され、編集された後、監視データとして送出される。なお、これらの測定タイミングの制御等については、特にレーダ送信に同期するように、外部からの送信情報信号に基づきデータ処理部17内で生成したタイミング信号等により制御するものとしている。
【0028】
以上説明したように、本実施例においては、進行波及び反射波のレベル測定に際し、給電線路の電気長に基づいた測定時間幅を設け、その時間幅の中でのピーク値を取得している。これにより、固定のタイミングでの測定時に発生しがちな測定結果のばらつきを抑えることができるとともに、特に発生部位からの到達タイミングの一定しない反射波については、そのピークレベルを確実に取得することができ、進行波電力、反射波電力、及びこれらに基づいたVSWR等の監視データについて、その信頼性を確保し、向上することができる。また、上記した進行波電力、及び反射波電力の監視に加え、レーダ搬送波の監視に必要な、周波数及びパルス情報の監視についても、1つのFPGA内に構成し、これら機能を単一モジュール化している。これにより装置全体を小型かつ軽量に構成することができる。従って、装置の規模を小型軽量化しつつ、監視データの信頼性を確保し向上させたレーダ搬送波監視装置を得ることができる。
【実施例2】
【0029】
図2は、本発明に係るレーダ搬送波監視装置の第2の実施例の構成を示すブロック図である。この第2の実施例について、図1に示した第1の実施例の各部と同一の部分は同一の符号で示し、その説明は省略する。この第2の実施例が第1の実施例と異なる点は、進行波サンプリング部、及び反射波サンプリング部においてそれぞれ進行波及び反射波のピークレベルを取得する際に、第1の実施例においては、測定時間幅内でサンプリングした一連のレベルデータのピーク値をピークレベルとして取得したのに対し、第2の実施例においては、測定時間幅内でサンプリングした一連のレベルデータの移動平均値の最大値をピークレベルとして取得するようにした点である。以下、前出の図1、ならびに図2のブロック図及び図3の説明図を参照して、その相違点のみを説明する。
【0030】
図2に例示したように、このレーダ搬送波監視装置2は、同一に構成された2つのプロテクタ/スイッチ部として、プロテクタ/スイッチ部(#1)11a及びプロテクタ/スイッチ部(#2)11b、同一に構成された2つの分配器として、分配器(#1)12a及び分配器(#2)12b、終端器13、周波数変換部14、同一に構成された2つの対数検波部として、対数検波部(#1)15a及び対数検波部(#2)15b、A/D変換部16、ならびにデータ処理部18を備えている。この中で、2つのプロテクタ/スイッチ部11a及び11b、2つの分配器12a及び12b、終端器13、周波数変換部14、2つの対数検波部15a及び15b、ならびにA/D変換部16は第1の実施例と同一に構成される。
【0031】
データ処理部18は、周波数変換部14からの中間周波信号、A/D変換部16からの進行波及び反射波のレベルデータ、ならびに制御信号としての送信情報信号を受けとって監視データを収集する。ここに、データ処理部18は、周波数カウンタ部171、進行波サンプリング部181、反射波サンプリング部182、タイミング解析部174、及び監視データ収集部175を備えている。周波数カウンタ部171、タイミング解析部174、及び監視データ収集部175は第1の実施例と同様に構成される。
【0032】
進行波サンプリング部181及び反射波サンプリング部182は、それぞれ、A/D変換部16からの進行波及び反射波のレベルデータの中から、レーダ信号の送信に同期し、かつ給電線路の電気長に基づき設定された測定時間幅内の一連のレベルデータをサンプリングするとともに、これらサンプリングした一連のレベルデータの移動平均値を算出し、その最大値を進行波及び反射波のそれぞれのピークレベルとして監視データ収集部175に送出する。移動平均によるピークレベルの算出過程を図3の説明図に例示する。
【0033】
図3では、対象の測定時間幅内に12個の一連のレベルデータSL1〜SL12がサンプリングされた状態を例示している。ここで、例えば連続する3つのレベルデータで移動平均を算出するものとすると、図3の事例では、まずSL1〜SL3により第1の移動平均値AV1が算出され、次いでレベルデータの組み合わせを1サンプルずつ移動し、SL2〜SL4により第2の移動平均値AV2が、同様に順次第10の移動平均値AV10まで算出される。最大値の検索にあたっては、なるべく処理のリソースを圧迫しないように逐次比較方式で行うものとすると、まずAV1を仮のピーク値とし、以降、移動平均値AV2〜AV10のそれぞれが確定した段階で直前までのピーク値と比較して、ピーク値より移動平均値が大きい場合のみ、ピーク値を移動平均値に更新していく。そして、最終的なピーク値をピークレベルとして監視データ収集部175に送出する。
【0034】
なお、この第2の実施例のレーダ搬送波監視装置2の動作については、進行波サンプリング部181、及び反射波サンプリング部182において、図3を用いて詳述した上記の動作によりそれぞれ進行波のピークレベル及び反射波のピークレベルが取得される点以外は、第1の実施例と同様であるので、省略する。
【0035】
以上説明したように、本実施例においては、進行波及び反射波のレベル測定に際し、給電線路の電気長に基づいた測定時間幅を設け、その時間幅の中での一連のレベルデータを対象に、連続する複数のレベルデータの移動平均を算出し、その最大値をそれぞれのピークレベルとして取得している。従って、第1の実施例と同様な効果に加え、測定時のノイズや測定タイミングのゆらぎ等の誤差要因を軽減することができ、監視データとしての信頼性を向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、2 レーダ搬送波監視装置
11a、11b プロテクタ/スイッチ部
12a、12b 分配器
13 終端器
14 周波数変換部
15a、15b 対数検波部
16 A/D変換部
17、18 データ処理部
171 周波数カウンタ部
172、181 進行波サンプリング部
173、182 反射波サンプリング部
174 タイミング解析部
175 監視データ収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中線への給電線路に挿入された方向性結合器から所定の結合レベルで取り出された進行波及び反射波に基づいて、この空中線からレーダ信号として送信される搬送波を監視するレーダ搬送波監視装置であって、
前記方向性結合器からの進行波を周波数変換する周波数変換部と、
この周波数変換部で周波数変換後の信号の周波数を取得する周波数カウンタ部と、
前記方向性結合器で取り出された進行波及び反射波をそれぞれに対数検波する検波部と、
この検波部で検波後の前記進行波及び反射波のレベルをデジタル信号に変換するA/D変換部と、
前記給電線路の電気長に基づいて対象部位からの前記反射波の到達するタイミングを含むように設定された測定時間幅内における前記デジタル信号に変換後の進行波及び反射波をサンプリングしそれぞれのピークレベルを取得するサンプリング部と、
前記デジタル信号に変換後の進行波に基づき前記レーダ信号のパルス情報を取得するタイミング解析部と、
前記周波数カウンタ部、前記サンプリング部、及び前記タイミング解析部におけるそれぞれの取得結果を受けとって一時保持するとともに、所定のデータ形式に構成して出力する監視データ収集部と
を有することを特徴とするレーダ搬送波監視装置。
【請求項2】
前記サンプリング部において前記デジタル信号に変換後の進行波及び反射波のピークレベルを取得する際は、前記測定時間幅内における連続する複数のサンプリング値の移動平均値の最大値をピークレベルとすることを特徴とする請求項1に記載のレーダ搬送波監視装置。
【請求項3】
前記周波数カウンタ部、前記サンプリング部、前記タイミング解析部、及び前記監視データ収集部をFPGA(Field Programmable Gate Array)により単一のモジュールに構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーダ搬送波監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−196882(P2011−196882A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65227(P2010−65227)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】