説明

レーダ装置、レーダ装置の制御方法、送信装置、送信装置の制御方法、集積回路、プログラム、及び、記録媒体

【課題】セトリング時間が長いと実効的な電源Duty比をあまり小さく出来ない。
【解決手段】バースト波を繰り返し放射する送信部21と、その反射波を受信し所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信部30と、送信部及び受信部の少なくとも電源供給の制御を行う制御部50と、受信部からの出力信号に基づき空間の物体の解析処理を行う信号処理部45とを備え、制御部50はバースト波の送受信動作時は送信部及び受信部への電源供給を行い送受信動作時以外のときは送信部及び受信部への電源供給を停止し、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)のバースト波の送受信動作を行わせ、同一の電源ON時間内でのN回のバースト波に対応する遅延時間が同一であり別の電源ON時間同士間でのバースト波に対応する遅延時間が異なる構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースト波の送受信を行うレーダ装置、レーダ装置の制御方法、バースト波を繰り返し出力する送信装置、送信装置の制御方法、集積回路、プログラム、及び、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バースト波の送受信により空間の物体を検知するパルスレーダは、下記の特許文献1に開示されている。一般に、バースト波とは、所定の時間だけ励振された変調信号が断続的に出力される波のことを指す。本明細書中では、上記所定の時間だけ励振された一続きの変調信号をバースト波と呼ぶものとする。
【0003】
このパルスレーダの動作原理は以下のとおりである。すなわち、送信部からバースト波が繰り返し空間に放射され、空間に存在する物体に照射されると、受信部がその反射波の一部を受信して検波する。信号処理部は、その検波出力にもとづいて空間に存在する物体の解析処理を行い、物体の距離、方位などを検知する。
【0004】
下記特許文献1に開示された発明は、送信部および受信部の制御を行う制御部は、バースト波の送受信動作を行っている間は送受信部に電源を供給し(電源ON時間と呼ぶ)、それ以外のときは電源供給を停止する(電源OFF時間と呼ぶ)ことにより、低消費電力のパルスレーダを提供することを特徴とする。
【特許文献1】特開2006−112915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された短パルスレーダにおいては、1回の電源ON時間中に行うバースト波送受信動作は1回である。しかしながら、送信部への電源供給を開始してから送信部がバースト波を励振可能な状態になるまでの時間(セトリング時間)が長い場合、この時間中に送信部および受信部が電力を消費してしまうため、1回の電源ON時間中に1回だけバースト波送受信動作を行う方法では、実効的な電源Duty比を小さくすることや、消費電力の低減に限界があった。
【0006】
また、上記の課題は、レーダ装置だけでなく、バースト波を繰り返し出力する送信装置全般にも共通である。
【0007】
本発明は、上記従来のレーダ装置のこのような課題を考慮し、送信部または受信部のセトリング時間が長い場合であっても、実効的な電源Duty比を小さくすることが出来るレーダ装置、レーダ装置の制御方法、集積回路、送信装置、送信装置の制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、バースト波を繰り返し空間へ放射する送信部と、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信部と、
前記送信部および前記受信部の少なくとも電源供給の制御を行う制御部と、
前記受信部からの出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理部と、を備えたレーダ装置であって、
前記制御部は、前記バースト波の送受信動作時は前記送信部および受信部への前記電源供給を行い(電源供給を行っている間の時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、前記送受信動作時以外のときは前記送信部および受信部への前記電源供給を停止し(電源供給を停止している間の時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるものであり、
前記所定の遅延時間は前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間が互いに同一であって、別の前記電源ON時間同士間での前記バースト波に対応する前記遅延時間が互いに異なる、レーダ装置である。
【0009】
また、第2の本発明は、バースト波を繰り返し空間へ放射する送信部と、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信部と、
前記送信部および前記受信部の少なくとも電源供給の制御を行う制御部と、
前記受信部からの出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理部と、を備えたレーダ装置であって、
前記制御部は、前記バースト波の送受信動作時は前記送信部および受信部への前記電源供給を行い(電源供給を行っている間の時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、前記送受信動作時以外のときは前記送信部および受信部への前記電源供給を停止し(電源供給を停止している間の時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるものであり、
前記所定の遅延時間は前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する遅延時間は、全部又は一部が互いに異なる、レーダ装置である。
【0010】
また、第3の本発明は、上記送信部は、前記1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)送信される前記バースト波において、時間的に隣接する前記バースト波の時間間隔Tp[ns]は、前記物体までの最大検知距離をRmax[m]としたとき、(数1)を満足する、上記第1又は第2の本発明のレーダ装置である。
【0011】
【数1】

【0012】
また、第4の本発明は、上記Tboffは、電波利用に関して、利用目的に応じて規定される最大許容平均電力を満足する、1回の電源ON時間につき1回のバースト波が出力されるタイプの装置から当該バースト波が繰り返し送信される場合の前記繰り返しの時間間隔をTminとしたとき、(数6)を満足する、上記第1〜3の何れか一つの本発明のレーダ装置である。
【0013】
【数6】

【0014】
また、第5の本発明は、上記同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する遅延時間は前記一部が異なるものであり、
前記一部が異なるとは、前記同一の前記電源ON時間内におけるN回の前記サンプリングの内、時間的に隣接する一部のサンプリングの各遅延時間は互いに同一であり、前記時間的に隣接する一部のサンプリングより時間的に後に行う他のサンプリングの各遅延時間は、前記一部のサンプリングの各遅延時間より大きいことである、上記第2の本発明のレーダ装置である。
【0015】
また、第6の本発明は、上記制御部は、前記送信部に対して第1トリガ信号を及び前記受信部に対して第2トリガ信号を出力するものであり、
前記送信部は、(1)前記制御部から出力される前記第1トリガ信号に同期した第1トリガパルスを発生する第1パルス発生器と、
(2)前記第1パルス発生器から出力される前記第1トリガパルスに基づいて、所定周波数のバースト波を発振出力する発振器と、
(3)前記発振器の出力信号を増幅して送信アンテナに供給する電力増幅器とを有し、
前記受信部は、(1)受信された前記反射波を増幅し出力する低雑音増幅器と、
(2)前記低雑音増幅器で増幅され、帯域制限された反射信号を検波する検波部と、
(3)前記検波部の出力信号を入力とするサンプルホールド回路と、
(4)前記制御部からの前記第2トリガ信号により、前記サンプルホールド回路に対して前記サンプリングの遅延時間に応じた第2のトリガパルスを発生する第2パルス発生器と、
を有する、上記第1〜5の何れか一つの本発明のレーダ装置である。
【0016】
また、第7の本発明は、上記第6の本発明のレーダ装置に用いられる集積回路であって、
前記第1パルス発生器と、前記発振器と、前記電力増幅器と、前記低雑音増幅器と、前記検波部と、前記サンプルホールド器と、前記第2パルス発生器との内、少なくとも何れか2つ以上をワンチップ化した、集積回路である。
【0017】
また、第8の本発明は、バースト波を繰り返し空間へ放射する送信ステップと、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信ステップと、
前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御を行う制御ステップと、
前記受信ステップにおける出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理ステップと、を備えたレーダ装置の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるステップであり、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間が互いに同一であって、別の前記電源ON時間同士間での前記バースト波に対応する前記遅延時間が互いに異なる、レーダ装置の制御方法である。
【0018】
また、第9の本発明は、バースト波を繰り返し空間へ放射する送信ステップと、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信ステップと、
前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御を行う制御ステップと、
前記受信ステップにおける出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理ステップと、を備えたレーダ装置の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるステップであり、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間は、全部又は一部が互いに異なる、レーダ装置の制御方法である。
【0019】
また、第10の本発明は、上記第8の本発明のレーダ装置の制御方法の、前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、(2)前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間を互いに同一とし、別の前記電源ON時間同士間での前記バースト波に対応する前記遅延時間を互いに異ならせる前記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0020】
また、第11の本発明は、上記第9の本発明のレーダ装置の制御方法の、前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、(2)前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間の全部又は一部を互いに異ならせる前記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0021】
また、第12の本発明は、上記第10の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体である。
【0022】
また、第13の本発明は、上記第11の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体である。
【0023】
また、第14の本発明は、バースト波を繰り返し送信する送信部と、前記送信部への少なくとも電源供給の制御を行う制御部とを備えた送信装置であって、
前記制御部は、前記バースト波の送信動作時は前記送信部への前記電源供給を行い(前記電源供給を行っている時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、前記送信動作時以外のときは前記送信部への前記電源供給を停止し(前記電源供給を停止している時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送信動作を行わせる、送信装置である。
【0024】
また、第15の本発明は、上記Tboffは、電波利用に関して、利用目的に応じて規定される最大許容平均電力を満足する、1回の電源ON時間につき1回のバースト波が出力されるタイプの装置から当該バースト波が繰り返し送信される場合の前記繰り返しの時間間隔をTminとしたとき、(数6)を満足する、上記第14の本発明の送信装置である。
【0025】
【数6】

【0026】
また、第16の本発明は、上記制御部は、前記送信部に対してトリガ信号を出力するものであり、
前記送信部は、(1)前記制御部から出力されるトリガ信号に同期したトリガパルスを発生するパルス発生器と、
(2)前記パルス発生器から出力される前記トリガパルスに基づいて、所定周波数のバースト波を発振出力する発振器と、
(3)前記発振器の出力信号を増幅して送信アンテナに供給する電力増幅器とを有する、上記第14又は第15の本発明の送信装置である。
【0027】
また、第17の本発明は、上記第16の本発明の送信装置に用いられる集積回路であって、
前記パルス発生器と、前記発振器と、前記電力増幅器との内、少なくとも何れか2つをワンチップ化した、集積回路である。
【0028】
また、第18の本発明は、バースト波を繰り返し送信する送信ステップと、前記送信のための電源供給の制御を行う制御ステップとを備えた送信装置の制御方法であって、
前記制御ステップでは、前記バースト波の送信動作時は前記電源供給を行い、前記送信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送信動作を行わせる、送信装置の制御方法である。
【0029】
また、第19の本発明は、上記第18の本発明の送信装置の制御方法の、前記送信のための電源供給の制御を行う制御ステップであって、
前記バースト波の送信動作時は前記電源供給を行い、前記送信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送信動作を行わせる前記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0030】
また、第20の本発明は、上記第19の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、送信部または受信部のセトリング時間が長い場合であっても、実効的な電源Duty比を小さくすることが出来るという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、本発明のレーダ装置の一実施の形態について、主として図1、図2等を用いて説明する。
【0033】
図1に示すように、本レーダ装置20は、送信部21、受信部30、信号処理部45および制御部50によって構成されている。
【0034】
送信部21は、制御部50から出力されるトリガ信号Gを受ける毎に、所定幅τ(例えば1ns)で所定キャリア周波数Fc(例えば26GHz)の送信波(バースト波)Ptを生成して送信アンテナ22から空間1へ放射する。なお、送信アンテナ22 を受信アンテナ31と共用する場合もある。
【0035】
この送信部21は、図1に示すように、トリガ信号Gに同期した幅τのトリガパルスPaを発生するパルス発生器23、トリガパルスPaを受けている間τだけキャリア周波数Fcのバースト信号(バースト状の信号)を発振出力する発振器24と、発振器24の出力信号を増幅して送信アンテナ22に供給する電力増幅器25と、帯域外不要放射を抑圧するバンドリジェクションフィルタ(BRF)26とを有している。
【0036】
発振器24では、トリガパルスPaが立ち上がっている間、所定周波数(キャリア周波数)のバースト信号Pbが発振出力される。
【0037】
発振器24から出力されるバースト信号Pbは、電力増幅器25により増幅され、BRF26を介して送信アンテナ22に供給される。送信アンテナ22からは前記したバースト波Ptが探査対象の空間1に放射される。
【0038】
送信部21のパルス発生器23 、発振器24および電力増幅器25に対する電源Bt は、電源スイッチ27を介して供給される。この電源スイッチ27は、制御部50によりON/OFF制御される。
【0039】
一方、受信部30は、空間1の物体1aからの反射波Prを受信アンテナ31を介して受信し、その受信信号RをLNA(低雑音増幅器)32により増幅した後、帯域幅2GHz程度のバンドパスフィルタ(BPF)41により帯域制限し、その帯域制限された反射信号R’を検波回路33によって検波する。
【0040】
検波回路33は、BPF41から出力される反射信号R’を同相(0°)分岐する分岐回路34と、その同相分岐された反射信号同士を線形乗算する線形乗算器35と、線形乗算器35の出力信号からベースバンド成分W を抽出する低域通過フィルタ(LPF)36とによって構成されている。
【0041】
線形乗算器35に反射信号R’が同相入力されると、その出力信号は、入力信号を2乗した波形となり、その包絡線(ベースバンド)Wは、入力信号の電力に比例している。なお、検波回路33は、I/Q検波など、上述したもの以外の構成であってもよい。
【0042】
検波回路33で得られたベースバンド信号Wは、サンプルホールド回路37に入力される。サンプルホールド回路37は、パルス発生器38からのトリガパルスPcがハイレベルの間、ベースバンド信号Wを積分し、トリガパルスPcがローレベルになると、積分結果を保持する。
【0043】
なお、ここではサンプルホールド回路37のサンプリングの周期、即ち、トリガパルスPcの周期をトリガ信号Gの周期に等しいものとして説明するが、サンプリングの周期は、トリガ信号Gの周期の整数倍であってもよい。
【0044】
パルス発生器38は、トリガ信号Gに同期するトリガ信号G’(トリガ信号Gそのものであってもよい) を受け、トリガ信号Gに対して制御部50で指定された時間ΔTだけ遅延し、かつ制御部50で指定された幅τのトリガパルスPcを生成して、サンプルホールド回路37に出力する。
【0045】
サンプルホールド回路37で積分されて保持された信号(保持値)Hは、その保持直後にA/D変換器39によってデジタル値に変換され、信号処理部45に入力される。
【0046】
受信部30のLNA32、検波回路33、サンプルホールド回路37およびパルス発生器38に対する電源Brは、電源スイッチ40を介して供給される。この電源スイッチ40は、制御部50によりON/OFF制御される。
【0047】
信号処理部45は、受信部30で得られた信号(保持値)Hに基づいて、空間1に存在する物体1aについての解析を行い、その解析結果を図示しない出力機器(例えば表示器、音声発生器)によって報知する。
【0048】
制御部50は、バースト波の送受信動作が終了してから次の送受信動作が開始されるまでの期間、送信部21および受信部30への電源供給を停止させて、電力消費を低減させている。
【0049】
尚、本発明の第1トリガ信号の一例が本実施の形態のトリガ信号Gに該当し、また、本発明の第1パルス発生器の一例が本実施の形態のパルス発生器23に該当し、更に、本発明の第1トリガパルスの一例が本実施の形態のトリガパルスPaに該当する。
【0050】
また、本発明の第2トリガ信号の一例が本実施の形態のトリガ信号G’に該当し、また、本発明の第2パルス発生器の一例が本実施の形態のパルス発生器38に該当し、更に、本発明の第2トリガパルスの一例が本実施の形態のトリガパルスPcに該当する。
【0051】
次に、このレーダ装置20の一つの動作例について説明しながら、同時に本発明のレーダ装置の制御方法の一例を述べる。
【0052】
図2は、本発明のレーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。制御部50は、図2(a)のように、電源スイッチ27、40をON/OFF制御し、送信部21と受信部30に電源を供給している。電源のON/OFF制御は一定周期(Tb)で、電源ON時間(Tbon)と電源OFF時間(Tboff)が繰り返されている(本発明のレーダ装置の制御方法の制御ステップの一例に該当する)。
【0053】
上記Tbonは、送信部21と受信部30に供給された電源の電圧が安定するためのセトリング時間Tbon1と、最大検知距離を往復した電波に対する検波処理およびサンプルホールド処理が完了するための時間Tbon2との合計時間である。本実施の形態では、送受信部のセトリング時間が長い場合を想定して、Tbon1=1μsとする。
【0054】
そして、電源スイッチ27、40がONされてから時間Tbon1が経過したタイミングに、トリガ信号Gを送信部21に与えて、図2(b)のような、幅τ( 例えば1ns)のトリガパルスPaを発振器24に入力させ、送信部21から図2(c) に示すような、キャリア周波数Fc( 例えば26GHz)で幅τのバースト波Ptを空間1へ放射させる。図2(c)の斜線で塗りつぶした部分は、26GHzの連続波信号(1回のタイミングでバースト状に出力されるバースト信号)が生成されていることを意味する。
【0055】
尚、本実施の形態のレーダ装置の、主として図2(a)〜図2(c)で述べた一連の処理動作が、本発明のレーダ装置の制御方法の送信ステップの一例に該当する。
【0056】
従来のレーダ装置においては、1回の電源ON時間につき1回の送信波(バースト波)の送受信が行われていたため、セトリング時間が長い場合は、消費電力の低減に限界があった。
【0057】
そこで、本発明においては、1回の電源ON時間中にN回(N≧2、本実施の形態ではN=5とする)の送信波(バースト波)の送受信を行うことにより、セトリング時間が長い場合であっても実効的な電源Duty比を小さくし、したがって消費電力を低減できるという特徴をもつ。
【0058】
すなわち、図2において、トリガパルスPaから時間Tpが経過したタイミングで、上記と同じトリガパルスPaを発生させて発振器24に入力し、同様に送信波(バースト波)Ptを放射する。この動作をさらに3回繰り返すことにより、時間Tbon2の間に合計5回の送信波(バースト波)Ptを放射する。
【0059】
なお、時間Tp[ns]は、本レーダ装置の最大検知距離をRmax[m]とすると、電波がRmaxの距離を往復するのに必要な時間と光速の関係から、以下の式を満たすことが望ましい。
【0060】
【数1】

【0061】
ここで、(数1)の意義とその導出について、図2(b)及び図3を参照しながら詳しく説明する。
【0062】
仮に、図2(b)に示すトリガパルスの時間Tpを更に短くしたトリガパルス時間Tp’(Tp’< Tp)を設定したとして(図3(a)参照)、先の送信波Pt(1)と、後の送信波Pt(2)が送信される間に、ターゲットからの先の送信波Pt(1)に対応する反射波Pr(1)が受信アンテナ31で受信された場合を考える(図3参照)。
【0063】
この場合、送信部21から送信される各送信波Ptには、どのタイミングで送信された送信波であるかは、送信の度に異なる変調をかけて区別する等の回路上の工夫をしない限り、区別が付かない。このことは、反射波Prについても同様である。つまり、通常の回路構成では、送信波Ptと反射波Prとの対応付けはなされていない。
【0064】
従って、図3に示すトリガパルス時間Tp’(Tp’< Tp)を設定した構成では、反射波Pr(1)は、送信波Pt(1)に対応する反射波であるにも関わらず、その反射波Pr(1)をあたかも送信波Pt(2)に対応する反射波であると受信部30側が誤認し、ターゲットまでの往復距離に応じた時間をTd’であると誤認することになる。
【0065】
そこで、この様な誤認を回避するためには、時間Tpの下限を制限する必要がある。即ち、この時間Tpが、(数1)で示す制限を満たす限り、先の送信波に対応する反射波Pr(1)は、後の送信波Pt(2)の送信時より前に受信されるので、上記の様な誤認は生じない。以上が、(数1)の意義である。
【0066】
一方、(数1)の導出は、次の通りである。
【0067】
時間Tpの間に、送信アンテナ22から放射された送信波が、ターゲットまでの最大検知距離Rmaxを1回往復すれば良いから、cを光速として、この制限を満たす条件式は、
【0068】
【数2】

【0069】
である。(数2)を(数3)に示す様に変形して、(数1)が得られる。
【0070】
【数3】

【0071】
本実施の形態では、一例として車載用のレーダ装置を想定して、最大検知距離を10mとする。(数1)よりTp≧66.7nsとなるので、多少マージンをとってTp=100nsとする。このとき、Tbon2は、この時間中にバースト波の送受信が5回行われればよいので、Tbon2=Tp×N=500nsとする。
【0072】
送信部21から放射されたバースト波Ptは、空間1に存在する物体1aで反射し、その反射波Prが、例えば図2(d)のように、各バースト波Ptの送信タイミングから物体1aまでの往復距離に応じた時間Tdだけ遅延し、かつ空間伝搬および物体への照射に伴って波形の立上りおよび立下り部分が鈍化した状態で受信アンテナ31で受信される。バースト波Ptは時間Tp間隔で5回空中に放射されているので、反射波Prもそれに対応して5回受信されることになる。なお、5個の反射波のうち最初と最後では400nsの時間差があるが、仮に時速100kmのターゲットを検知した場合でも、上記400nsの間にターゲットが移動する距離はたかだか11.12μmである。よって、得られる5個の反射波はほぼ同じ特徴をもつ信号と考えてよい。
【0073】
受信部30では、この受信信号RをLNA32によって増幅した後、BPF41により帯域制限して雑音電力を低減し、その出力信号R’を検波回路33の線形乗算器35と低域通過フィルタ36により検波して、図2(e)のようなベースバンド成分Wを検出する。
【0074】
サンプルホールド回路37には、図2(f)のように、幅τ( 例えば1ns) のトリガパルスPcが、バースト波Ptの各送信タイミングからΔTだけ遅れて入力される。図2(g)はサンプルホールド回路で保持された積分値である。最初の5個のベースバンド信号Wは、トリガパルスPcの立ち上がりと重なり合わないため、サンプルホールド回路37はノイズ成分のみを保持することになり、その積分値はほぼゼロとなる。これが図2(h)のようにデジタル値に変換されて信号処理部45に出力される。さらに、電源ON時間の終了とともに、サンプルホールド回路で保持された積分値を開放する。
【0075】
尚、本実施の形態のレーダ装置の、主として図2(d)〜図2(g)で述べた一連の処理動作が、本発明のレーダ装置の制御方法の受信ステップの一例に該当する。
【0076】
また、本実施の形態のレーダ装置の、主として図2(h)で述べた一連の処理動作が、本発明のレーダ装置の制御方法の信号処理ステップの一例に該当する。
【0077】
その後、図2(a)に示すように、時間Tboffだけ、送信部21および受信部30に対する電源供給が停止される。
【0078】
次に、本実施の形態におけるレーダ装置の電源OFF時間Tboffの決め方を説明する。
【0079】
電波利用に関しては、各国で電波法等の法規制があり、電波の利用目的に応じて最大許容平均電力や、最大許容尖頭電力等の各項目について基準が設けられるのが通常である。
【0080】
本実施の形態では、上記の最大許容平均電力の基準を満たすための条件を検討するに際して、その平均電力に影響を与えるファクターの内、繰り返し出力されるバースト波の時間間隔に着目する。
【0081】
そして、電源OFF時間Tboffをどの様に決めれば、上記基準を満足できるのかについて、図4を用いて説明する。
【0082】
ここで、図4(a)は、従来タイプのレーダ装置の電源のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャート図であり、図4(b)は、従来タイプのレーダ装置のバースト波がアンテナから放射されるタイミングを示すタイミングチャート図である。また、図4(c)は、本実施の形態のレーダ装置の電源のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャート図であり、図4(d)は、本実施の形態のレーダ装置のバースト波がアンテナ22から放射されるタイミングを示すタイミングチャート図である。
【0083】
尚、バースト波の時間間隔以外のファクター(例えば、1回のバースト波の電力)については、従来タイプのレーダ装置と、本実施の形態で説明する装置とは基本的には同じであるとする。
【0084】
又、従来タイプのレーダ装置とは、例えば、特許文献1に開示された装置である(後述する図5参照)。そして、その従来タイプのレーダ装置は、上述した通り1回の電源ON時間(図4(a)のT’bon参照)中に1回のバースト波(図4(b)のP’t参照)を出力する構成であり、電源のON/OFFにより、そのバースト波がアンテナから等間隔で繰り返し放射される場合に、そのバースト波の時間間隔を、最小繰り返し時間Tminと呼ぶものとする。
【0085】
ここでは、キャリア周波数Fcが26GHz帯である場合において、説明を簡単にするために、従来タイプのレーダ装置と、本実施の形態のレーダ装置の1回に放射されるバースト波の電力などの条件は同一であるとして、従来タイプのレーダ装置における上記の繰り返し時間間隔の最小値を5μm(本発明のTminの一例である)とする。繰り返し時間間隔の最小値としての5μmは、最大許容平均電力の基準を満たしているものとする。
【0086】
本実施の形態のレーダ装置は、1回の電源ON時間(Tbon)(図4(c)参照)に放射されるバースト波の個数が5個で、それら5個のバースト波同士の時間間隔は、図4(d)に示す通りTpである。また、電源ON時間の繰り返しの間隔は、図4(c)中に示す通りTbと設定されている。
【0087】
即ち、本実施の形態のレーダ装置の特徴は、1回の電源ON時間に5回のバースト波をTmin(図4(b)参照)より短い時間間隔Tp(図4(d)参照)で、連続的にまとめて放射し、且つ、その後の電源OFF時間(Tboff)を従来タイプの電源OFF時間(T’boff)よりも長く設定する点である。
【0088】
次式の左辺は、図4(c)を、右辺は図4(b)を表している。
【0089】
【数4】

【0090】
(数4)を変形して、等号を不等号に変えると(数5)となる。
【0091】
【数5】

【0092】
(数5)の条件を満たせば、本実施の形態の電源ON/OFFの時間間隔Tbを単位として見たときのバースト波の平均的な繰り返し時間間隔を、従来タイプのレーダ装置で示した様に等間隔で放射されるバースト波を前提として導いた「繰り返し時間間隔の最小値のTmin」と同じか、あるいは、それより大きな値に設定することが可能となり、平均送信電力を法規制の許容範囲内に収めることが出来る。
【0093】
よって、(数5)において、1回の電源ON時間内で放射するバースト波の数を一般化して、N回(N≧2)とすると次式の(数6)が得られる。
【0094】
【数6】

【0095】
また、(数6)の右辺は、次の(数7)のように表せる。
【0096】
【数7】

【0097】
ここで、上述した通り、Tbon1はセトリング時間であり、Tbon2は最大検知距離を往復した電波に対する検波処理およびサンプルホールド処理が完了するのに必要な時間である(図2(a)参照)。
【0098】
本実施の形態においては、Tboffの最小値は、(数6)と(数7)より以下のように求まる。
【0099】
Tboff = 5μs×5−(1μs+500ns)=23.5μs
このように、1回の電源ON時間(Tbon)中に複数のバースト波を100ns間隔で送受信した分、23.5μsという十分な電源OFF時間(Tboff)、すなわち短いバースト波を送受信しない時間を設けることにより、周期Tbで見たときのバースト波の平均的な繰返し時間は、Tminと同じ5μsになり、平均送信電力を法規制の許容範囲内に収めることができる(図4参照)。
【0100】
本実施の形態のレーダ装置は、上記のバースト波の送受信動作を繰り返し行うが、バースト波Ptの各送信タイミングに対する、サンプルホールド回路37に入力されるトリガパルスPcの遅延時間を、ΔT、2ΔT、3ΔT、・・・と、微小時間ΔTだけずらしていく(図2(f)参照)。但し、1回の電源ON時間における5回のトリガパルスPcの遅延時間は、同一とする。
【0101】
遅延時間ΔTがパルスPcの幅と等しい場合で考えると、最大検知距離10mを電波が往復するための時間は約66.7nsであるので、バースト波Ptの送信タイミングから最大で67ΔTまで遅延することで、10m以内からの反射波を検知することができる。
【0102】
図2中の右半分のタイミングチャートは、5回のバースト波Ptの各送信タイミングに対するトリガパルスPcの遅延時間をそれぞれ2ΔTとしたときの検波動作を示す。トリガパルスPcがベースバンド成分Wと時間的に重なり合うため、図2(g) のように、トリガパルスPcのハイレベル期間内でベースバンド信号Wが積分される。この積分処理を5個のベースバンド信号に対してそれぞれ行うことにより、最終的には電荷H(保持値H)が保持され、図2(h)のように、デジタル値に変換されて信号処理部45に出力される。
【0103】
このように、1回の電源ON時間において、上記の積分処理を5個のベースバンド信号に対してそれぞれ行うことにより、従来の構成のように1個のベースバンド信号に対してしか積分処理を行わない場合に比べて、電荷H(保持値H)のS/N比が改善されて、検知精度の向上が図れる。
【0104】
信号処理部45は、この保持値Hに基づいて、物体1a までの距離、物体の大きさなどを検出する。
【0105】
例えば、所定レベル以上の保持値Hが入力されたとき、それが何回目のサンプリングで得られたか、即ち、その保持値Hが、トリガパルスPcをどの遅延時間に設定した時に得られたかにより、物体までの距離を検出する。また、所定レベル以上の保持値Hが連続する場合には、その連続する回数などにより、物体の大きさを検出する。
【0106】
次に、本発明の主眼である電源Duty比の低減効果について述べる。
【0107】
まず、本実施の形態におけるレーダ装置の電源Duty比Rdは以下のように求まる。
【0108】
Rd=Tbon/(Tbon+Tboff)×100
=1.5μs/(1.5μs+23.5μs)×100
=6%
一方、従来のレーダ装置のタイミングチャートは図5(図中の記号は図2のそれと同じ)に示すとおりであり、1回の電源ON時間に行うバースト波送受信は1回であることが分かる。このとき、Tbon1は本実施の形態と同様1μsである。電源ON/OFF繰り返し時間Tbは、電波に関する法規制で許容される最大平均送信電力を最大限有効に利用した場合は、Tminと同じ5μsとなる。Tbon2については、1回の電源ON時間中にバースト波送受信動作を1回しか行わないので、Tbon2は本実施の形態におけるTpと同じ100nsとなる。
【0109】
よって、従来のレーダ装置の電源Duty比Rd’は以下のように求まる。
【0110】
Rd’=(Tbon1+Tbon2)/Tb×100
=1.1μs/5μs×100
=22%
よって、本発明により、電源Duty比が従来のレーダ装置に対して(22−6)/22×100=約73%低減されることが分かる。
【0111】
(実施の形態2)
次に、本発明の送信装置の一実施の形態及び、本発明の送信装置の制御方法の一実施の形態について、主として図6を参照しながら、その構成及び動作を簡単に説明する。尚、本実施の形態の送信装置200の構成及び動作は、実施の形態1で述べたレーダ装置の受信部30、A/D変換器39,及び信号処理部45を備えていない点を除き上記実施の形態と基本的に同じである。
【0112】
図6は、本実施の形態の送信装置の構成を示すブロック図である。
【0113】
図6に示すように、本実施の形態の送信装置は、バースト波(図2参照)を繰り返し送信する送信部221と、送信部221への少なくとも電源供給の制御を行う制御部250とを備えている。尚、送信部221の上記処理動作は、本発明の送信装置の制御方法の送信ステップの一例に該当する。
【0114】
そして、制御部250は、バースト波の送信動作時は送信部221への電源供給を行い(電源供給を行っている時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、送信動作時以外のときは送信部221への電源供給を停止し(電源供給を停止している時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)のバースト波の送信動作を行わせる。尚、制御部250の上記処理動作は、本発明の送信装置の制御方法の制御ステップの一例に該当する。
【0115】
また、制御部250は、電源供給の制御の他に、送信部221に対してトリガ信号Gを出力する。送信部221は、制御部250から出力されるトリガ信号Gに同期したトリガパルスPaを発生するパルス発生器223と、パルス発生器223から出力されるトリガパルスPaに基づいて、所定周波数のバースト波を発振出力する発振器224と、発振器224の出力信号Pbを増幅する電力増幅器225と、電力増幅器225の出力信号について帯域外不要放射を抑圧するバンドリジェクションフィルタ(BRF)226と、その出力信号を送信するための送信アンテナ222とを有している送信部21のパルス発生器23 、発振器24および電力増幅器25に対する。
【0116】
以上の構成により、電源Bt は、電源スイッチ227を介して供給される。この電源スイッチ227は、制御部250によりON/OFF制御される(図4(c)、図4(d)参照)。
【0117】
更に、本実施の形態の送信装置の上記Tboffは、電波利用に関して、利用目的に応じて規定される最大許容平均電力を満足する、1回の電源ON時間につき1回のバースト波が出力される従来の送信装置から当該バースト波が繰り返し送信される場合の繰り返しの時間間隔をTminとしたとき、(数6)を満足する構成である。
【0118】
【数6】

【0119】
(数6)の導出については既に上述した内容と同じであるので説明を省略する(図4参照)。
【0120】
以上、実施の形態1及び2で説明したように、本発明のレーダ装置、あるいは送信装置によれば、送(受)信部のセトリング時間が長い場合であっても、1回の電源ON時間中に複数回のバースト波の送(受)信を行うことにより、実効的な電源Duty比を小さく出来る。したがって消費電力を低減することが可能となる。
【0121】
これにより、送(受)信部を構成する高周波部品の温度上昇が抑圧される。ここで、受信部の雑音電力Nは、kをボルツマン定数、Tを受信部の絶対温度、Bを受信部の帯域幅、NFを受信部の雑音指数として、N=k×T×B×NFで求められる。よって、受信部の温度上昇が抑圧されると、雑音電力が小さくなることから相対的に感度が改善され、結果として物体の検知性能が向上する。
【0122】
さらに、高周波部品への電気的負荷が軽減されるため、部品の長寿命化に貢献できる。
【0123】
尚、上記実施の形態では、1回の電源ON時間に放射するバースト波を5個としたが、これに限らず、上記個数が2個以上であれば、上記と同様の効果が得られる。
【0124】
また、上記実施の形態では、本発明のレーダ装置として、車載用のレーダ装置を一例として説明したが、これに限らず例えば、地中探査レーダや、人命救助レーダなどにも適用可能である。即ち、本発明のレーダ装置等は、送信波の周波数によっては、土や壁などを透過することを利用して、上記探査や救助にも活用出来る。
【0125】
また、上記実施の形態では、1回の電源ON時間中におけるトリガパルスPcの遅延時間が同一である場合について説明したが、これに限らず例えば、1回の電源ON時間中におけるトリガパルスPcの遅延時間を異ならせても良い。その一例として、図2(f)に示したタイミングチャートを用いて説明すると、同図において、1回の電源ON時間Tbon中において、1番目〜5番目のトリガパルスPcの遅延時間を、ΔT、2ΔT、3ΔT、4ΔT、5ΔTと設定する構成でも良い。この場合、第1番目〜第5番目のトリガパルスPcに対応した各保持値Hが、サンプルホールド回路37からA/D変換器39に向けて時間Tpの間隔で出力されるので、A/D変換器39等は、より高速処理が可能な回路構成にすることが必要である。そして、この構成によれば、ターゲット検知時間を従来に比べて短縮することが出来る。また、この場合、1回の電源ON時間Tbon中において出力するバースト波の数Nを、ターゲットの最大検知距離に合わせ、且つ、トリガパルスPcの遅延時間を、ΔT、2ΔT・・・NΔTと設定することにより、更に検知時間を短縮出来る。従って、この構成例によれば、送信部または受信部のセトリング時間が長い場合であっても、実効的な電源Duty比を小さくすることが出来るとともに、消費電力を低減出来る。
【0126】
また、別の構成例としては、1回の電源ON時間Tbon中において、1番目〜N番目(N≧2)のトリガパルスPcの遅延時間を、ΔT、ΔT、2ΔT、2ΔT、3ΔT、3ΔT・・・・NΔT、NΔTと設定する構成でも良い。この場合、1番目と2番目は同じ遅延時間(ΔT)であり、3番目と4番目は同じ遅延時間(2ΔT)であり、且つ、3番目(2ΔT)は1番目(ΔT)より遅延時間が大きくなるように設定されている。この構成によれば、保持値HのS/N比の改善と、ターゲット検知時間の短縮が同時に図れる。よって、上記と同様の効果を発揮する。また、トリガパルスPcの遅延時間は、ΔT、ΔT、ΔT、2ΔT、2ΔT、2ΔT・・・・など、同じ遅延時間が連続する回数に制限は無い。
【0127】
尚、上記実施の形態では、トリガパルスPaを送出する間隔を示す時間Tpについて、(数1)の制限を満たすことが望ましいとして説明したが、これに限らず例えば、1回の電源ON期間中におけるN回の送信波Ptのそれぞれに異なる変調をかける回路構成としたり、あるいは、送信波Pt(2)の直前の送信波Pt(1)の反射波Pr(1)が(図3参照)、送信波Pt(2)を送信するまでに非検知であった場合、その非検知情報を活用する等の回路構成とすれば、上述したターゲットとの距離を誤認検知することを回避することは可能である。
【0128】
また、本発明の集積回路の一例としては、上記実施の形態のレーダ装置に用いられる集積回路であって、パルス発生器23と、発振器24と、電力増幅器25と、低雑音増幅器32と、検波回路33の内の線形乗算器35と、サンプルホールド回路37と、パルス発生器38との内、少なくとも何れか2つをワンチップ化した集積回路が挙げられる。例えば、ワンチップ化した集積回路の一例として、パルス発生器23と、発振器24と、電力増幅器25とを送信部ワンチップとして構成し、また、低雑音増幅器32と、検波回路33の内の線形乗算器35と、サンプルホールド回路37と、パルス発生器38とを受信部ワンチップとして構成してもよい。この集積回路を本発明の一実施の形態のレーダ装置に組み込むことにより、上記実施の形態1及びその変形例の構成と同様の効果が発揮される。また更に、ベースバンドと高周波を共通の設計プロセスで実現する構成とすれば、ベースバンドデバイス(制御部50、信号処理部45、及びA/D変換器39)も上記とともに集積化(CMOSワンチップ化)を行っても良い。
【0129】
また、本発明の集積回路の一例としては、上記実施の形態の送信装置に用いられる集積回路であって、パルス発生器223と、発振器224と、電力増幅器225との内、少なくとも何れか2つをワンチップ化した集積回路が挙げられる。また、上記集積回路に制御部250を含めてワンチップ化する構成でも良い。この集積回路を本発明の一実施の形態のレーダ装置あるいは、本発明の一実施の形態の送信装置に組み込むことにより、上記実施の形態1あるいは、実施の形態2、及びそれらの変形例の構成と同様の効果が発揮される。
【0130】
また、本発明のプログラムの一例は、上述した本実施の形態1のレーダ装置の制御方法の、上記送信ステップおよび上記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)上記バースト波の送受信動作時は上記電源供給を行い、(2)上記送受信動作時以外のときは上記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の上記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、上記受信ステップにおける上記所定の遅延時間は、上記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の上記電源ON時間内での上記N回のバースト波に対応する上記遅延時間を互いに同一とし、別の上記電源ON時間同士間での上記バースト波に対応する上記遅延時間を互いに異ならせる上記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0131】
また、本発明のプログラムの一例は、上述した本実施の形態のレーダ装置の制御方法の、上記送信ステップおよび上記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)上記バースト波の送受信動作時は上記電源供給を行い、(2)上記送受信動作時以外のときは上記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の上記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、上記受信ステップにおける上記所定の遅延時間は、上記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の上記電源ON時間内での上記N回のバースト波に対応する上記遅延時間の全部又は一部を互いに異ならせる上記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0132】
また、本発明のプログラムの一例は、上述した本実施の形態2の送信装置の制御方法の、上記送信のための電源供給の制御を行う制御ステップであって、上記バースト波の送信動作時は上記電源供給を行い、上記送信動作時以外のときは上記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の上記バースト波の送信動作を行わせる上記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0133】
また、本発明の記録媒体は、一例として上述した本実施の形態のレーダ装置の制御方法の、上記送信ステップおよび上記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)上記バースト波の送受信動作時は上記電源供給を行い、(2)上記送受信動作時以外のときは上記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の上記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、上記受信ステップにおける上記所定の遅延時間は、上記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の上記電源ON時間内での上記N回のバースト波に対応する上記遅延時間を互いに同一とし、別の上記電源ON時間同士間での上記バースト波に対応する上記遅延時間を互いに異ならせる上記制御ステップの全部または一部の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協働して前記動作を実行する記録媒体である。
【0134】
また、本発明の記録媒体は、一例として上述した本実施の形態のレーダ装置の制御方法の、上記送信ステップおよび上記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)上記バースト波の送受信動作時は上記電源供給を行い、(2)上記送受信動作時以外のときは上記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の上記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、上記受信ステップにおける上記所定の遅延時間は、上記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の上記電源ON時間内での上記N回のバースト波に対応する上記遅延時間の全部又は一部を互いに異ならせる上記制御ステップの全部または一部の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協働して前記動作を実行する記録媒体である。
【0135】
また、本発明の記録媒体は、一例として上述した本実施の形態の送信装置の制御方法の、上記送信のための電源供給の制御を行う制御ステップであって、上記バースト波の送信動作時は上記電源供給を行い、上記送信動作時以外のときは上記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の上記バースト波の送信動作を行わせる上記制御ステップの全部または一部の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協働して前記動作を実行する記録媒体である。
【0136】
なお、本発明の上記記録媒体における「ステップの動作」とは、前記ステップの全部または一部の動作を意味する。
【0137】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な、ROM等の記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0138】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、インターネット等の伝送媒体、光・電波等の伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0139】
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0140】
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明に係るレーダ装置、レーダ装置の制御方法、集積回路、送信装置、送信装置の制御方法等は、送信部または受信部のセトリング時間が長い場合であっても、実効的な電源Duty比を小さくすることが出来るという効果を有し、レーダ装置、レーダ装置の制御方法、集積回路、送信装置、送信装置の制御方法等や、車両などの移動体に搭載されるレーダ装置や送信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーダ装置の構成を示すブロック図
【図2】(a)〜(h):本発明の実施の形態1におけるレーダ装置のタイミングチャート図
【図3】本発明の実施の形態1におけるレーダ装置のトリガパルスの時間Tpを更に短くした場合の説明図
【図4】(a):従来タイプのレーダ装置の電源のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャート図 (b):従来タイプのレーダ装置のバースト波がアンテナから放射されるタイミングを示すタイミングチャート図 (c):本実施の形態1のレーダ装置の電源のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャート図 (d):本実施の形態1のレーダ装置のバースト波がアンテナ22から放射されるタイミングを示すタイミングチャート図
【図5】従来のレーダ装置のタイミングチャート図
【図6】本発明の実施の形態2における送信装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0143】
1 ・・・空間
1a・・・物体
20・・・レーダ装置
200・・・送信装置
21、221・・・送信部
22、222・・・送信アンテナ
23、223・・・パルス発生器
24、224・・・発振器
25、225・・・電力増幅器
26、226・・・バンドリジェクションフィルタ(BRF)
27、227・・・電源スイッチ
30・・・受信部
31・・・受信アンテナ
32・・・ローノイズアンプ
33・・・バンドパスフィルタ
34・・・分岐回路
35・・・線形乗算器
36・・・ローパスフィルタ
37・・・サンプルホールド回路
38・・・パルス発生器
39・・・A/D変換器
40・・・電源スイッチ
45・・・信号処理部
50、250・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースト波を繰り返し空間へ放射する送信部と、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信部と、
前記送信部および前記受信部の少なくとも電源供給の制御を行う制御部と、
前記受信部からの出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理部と、を備えたレーダ装置であって、
前記制御部は、前記バースト波の送受信動作時は前記送信部および受信部への前記電源供給を行い(電源供給を行っている間の時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、前記送受信動作時以外のときは前記送信部および受信部への前記電源供給を停止し(電源供給を停止している間の時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるものであり、
前記所定の遅延時間は前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間が互いに同一であって、別の前記電源ON時間同士間での前記バースト波に対応する前記遅延時間が互いに異なる、レーダ装置。
【請求項2】
バースト波を繰り返し空間へ放射する送信部と、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信部と、
前記送信部および前記受信部の少なくとも電源供給の制御を行う制御部と、
前記受信部からの出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理部と、を備えたレーダ装置であって、
前記制御部は、前記バースト波の送受信動作時は前記送信部および受信部への前記電源供給を行い(電源供給を行っている間の時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、前記送受信動作時以外のときは前記送信部および受信部への前記電源供給を停止し(電源供給を停止している間の時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるものであり、
前記所定の遅延時間は前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する遅延時間は、全部又は一部が互いに異なる、レーダ装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)送信される前記バースト波において、時間的に隣接する前記バースト波の時間間隔Tp[ns]は、前記物体までの最大検知距離をRmax[m]としたとき、(数1)を満足する、請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【数1】

【請求項4】
前記Tboffは、電波利用に関して、利用目的に応じて規定される最大許容平均電力を満足する、1回の電源ON時間につき1回のバースト波が出力されるタイプの装置から当該バースト波が繰り返し送信される場合の前記繰り返しの時間間隔をTminとしたとき、(数6)を満足する、請求項1〜3の何れか一つに記載のレーダ装置。
【数6】

【請求項5】
前記同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する遅延時間は前記一部が異なるものであり、
前記一部が異なるとは、前記同一の前記電源ON時間内におけるN回の前記サンプリングの内、時間的に隣接する一部のサンプリングの各遅延時間は互いに同一であり、前記時間的に隣接する一部のサンプリングより時間的に後に行う他のサンプリングの各遅延時間は、前記一部のサンプリングの各遅延時間より大きいことである、請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記送信部に対して第1トリガ信号を及び前記受信部に対して第2トリガ信号を出力するものであり、
前記送信部は、(1)前記制御部から出力される前記第1トリガ信号に同期した第1トリガパルスを発生する第1パルス発生器と、
(2)前記第1パルス発生器から出力される前記第1トリガパルスに基づいて、所定周波数のバースト波を発振出力する発振器と、
(3)前記発振器の出力信号を増幅して送信アンテナに供給する電力増幅器とを有し、
前記受信部は、(1)受信された前記反射波を増幅し出力する低雑音増幅器と、
(2)前記低雑音増幅器で増幅され、帯域制限された反射信号を検波する検波部と、
(3)前記検波部の出力信号を入力とするサンプルホールド回路と、
(4)前記制御部からの前記第2トリガ信号により、前記サンプルホールド回路に対して前記サンプリングの遅延時間に応じた第2のトリガパルスを発生する第2パルス発生器と、
を有する、請求項1〜5の何れか一つに記載のレーダ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレーダ装置に用いられる集積回路であって、
前記第1パルス発生器と、前記発振器と、前記電力増幅器と、前記低雑音増幅器と、前記検波部と、前記サンプルホールド器と、前記第2パルス発生器との内、少なくとも何れか2つ以上をワンチップ化した、集積回路。
【請求項8】
バースト波を繰り返し空間へ放射する送信ステップと、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信ステップと、
前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御を行う制御ステップと、
前記受信ステップにおける出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理ステップと、を備えたレーダ装置の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるステップであり、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間が互いに同一であって、別の前記電源ON時間同士間での前記バースト波に対応する前記遅延時間が互いに異なる、レーダ装置の制御方法。
【請求項9】
バースト波を繰り返し空間へ放射する送信ステップと、
前記空間に放射された前記バースト波の反射波を受信して所定の遅延時間でサンプリングした結果を出力する受信ステップと、
前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御を行う制御ステップと、
前記受信ステップにおける出力信号に基づいて、前記空間に存在する物体の解析処理を行う信号処理ステップと、を備えたレーダ装置の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせるステップであり、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間は、全部又は一部が互いに異なる、レーダ装置の制御方法。
【請求項10】
請求項8に記載のレーダ装置の制御方法の、前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、(2)前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間を互いに同一とし、別の前記電源ON時間同士間での前記バースト波に対応する前記遅延時間を互いに異ならせる前記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項9に記載のレーダ装置の制御方法の、前記送信ステップおよび前記受信ステップにおける少なくとも電源供給の制御において、(1)前記バースト波の送受信動作時は前記電源供給を行い、(2)前記送受信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、(3)1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送受信動作を行わせる制御ステップであって、
前記受信ステップにおける前記所定の遅延時間は、前記バースト波に対応する遅延時間であり、同一の前記電源ON時間内での前記N回のバースト波に対応する前記遅延時間の全部又は一部を互いに異ならせる前記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項10に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体。
【請求項13】
請求項11に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体。
【請求項14】
バースト波を繰り返し送信する送信部と、前記送信部への少なくとも電源供給の制御を行う制御部とを備えた送信装置であって、
前記制御部は、前記バースト波の送信動作時は前記送信部への前記電源供給を行い(前記電源供給を行っている時間を電源ON時間Tbonと呼ぶ)、前記送信動作時以外のときは前記送信部への前記電源供給を停止し(前記電源供給を停止している時間を電源OFF時間Tboffと呼ぶ)、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送信動作を行わせる、送信装置。
【請求項15】
前記Tboffは、電波利用に関して、利用目的に応じて規定される最大許容平均電力を満足する、1回の電源ON時間につき1回のバースト波が出力されるタイプの装置から当該バースト波が繰り返し送信される場合の前記繰り返しの時間間隔をTminとしたとき、(数6)を満足する、請求項14記載の送信装置。
【数6】

【請求項16】
前記制御部は、前記送信部に対してトリガ信号を出力するものであり、
前記送信部は、(1)前記制御部から出力される前記トリガ信号に同期したトリガパルスを発生するパルス発生器と、
(2)前記パルス発生器から出力される前記トリガパルスに基づいて、所定周波数のバースト波を発振出力する発振器と、
(3)前記発振器の出力信号を増幅して送信アンテナに供給する電力増幅器とを有する、請求項14又は15記載の送信装置。
【請求項17】
請求項16に記載の送信装置に用いられる集積回路であって、
前記パルス発生器と、前記発振器と、前記電力増幅器との内、少なくとも何れか2つをワンチップ化した、集積回路。
【請求項18】
バースト波を繰り返し送信する送信ステップと、前記送信のための電源供給の制御を行う制御ステップとを備えた送信装置の制御方法であって、
前記制御ステップでは、前記バースト波の送信動作時は前記電源供給を行い、前記送信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送信動作を行わせる、送信装置の制御方法。
【請求項19】
請求項18に記載の送信装置の制御方法の、前記送信のための電源供給の制御を行う制御ステップであって、
前記バースト波の送信動作時は前記電源供給を行い、前記送信動作時以外のときは前記電源供給を停止し、かつ、1回の電源ON時間につき少なくともN回(N≧2)の前記バースト波の送信動作を行わせる前記制御ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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