説明

レーダ装置

【課題】複数のレーダ画像の投影面が一致しない場合にも、目標の高分解能画像を生成することが可能なレーダ装置を得る。
【解決手段】複数の異なる位置に配置され、目標を観測する複数のレーダと、複数のレーダで得られる受信信号スペクトルの投影面を一致させる処理を行う投影面補償手段19と、複数のレーダで得られる受信信号スペクトルの位相を一致させる処理を行う相互コヒーレント化手段3と、相互コヒーレント化手段で位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向またはクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成する帯域拡張手段4と、帯域拡張手段で生成された連続スペクトルのレンジとクロスレンジをそれぞれ圧縮する圧縮手段5及び6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標の高分解能画像を生成するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーダ画像の距離分解能は送信信号の帯域幅により、角度分解能は合成開口角により、それぞれ制限される。例えば3センチメートルの分解能を実現するためには5ギガヘルツの帯域幅を必要とするが、周波数資源の有効利用の観点から、これだけの帯域幅を占有することは難しい。この問題に対処する方法として、異なる位置に配置された複数のレーダを用い、例えば第1のレーダでは5.0から5.5ギガヘルツの周波数帯域、第2のレーダ装置では9.5から10.0ギガヘルツの周波数帯域を使用してそれぞれ観測を行い、これらの受信信号スペクトルをレンジ方向、クロスレンジ方向に補間することによって、あたかも5から10ギガヘルツの周波数帯域かつ、広い角度幅で観測したスペクトルを推定しようとする試みがなされている。この場合、2つのレーダから目標までの距離は一般に異なるので、それぞれで観測されたスペクトルの位相変化は連続でなく、またはコヒーレントではない。そこで、第1の周波数帯域で観測する第1のレーダと第2の周波数で観測する第2のレーダのスペクトルの位相を一致させた上で、これらのスペクトルに基づいて帯域を拡張することによりレンジおよびクロスレンジの高分解能化を図る方式がある(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】「送信周波数帯の異なる複数のレーダ観測に基づく2次元超解像アルゴリズム」、2006年電子情報通信学会総合大会、B−2−8、P246、2006年3月24日−27日、岩本雅史、諏訪啓
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のレーダ装置は、複数のレーダで取得されたレーダ画像の投影面が一致またはほぼ一致することを前提としており、複数のレーダで取得されたレーダ画像の投影面が一致しない場合は、効果的に画像を合成して分解能を向上することができなかった。または、従来のレーダ装置において、投影面が完全に一致していなくても、合成することは不可能ではないが、十分な効果を得るためには、出来るだけ投影面を一致させる運用を強いられていた。
【0005】
この発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、レーダで取得された複数のレーダ画像の投影面が一致しない場合に、投影面の相違を補償した後、帯域を拡張することにより、分解能を向上することが可能なレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレーダ装置は、目標からみて異なる方位に配置されて目標を観測する複数のレーダと、前記レーダで得られる複数の受信信号スペクトルの投影面を一致させる処理を行う投影面補償手段と、前記レーダで得られる複数の受信信号スペクトルの位相を一致させる処理を行う相互コヒーレント化手段と、前記相互コヒーレント化手段で位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向またはクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成する帯域拡張手段と、前記帯域拡張手段で生成された連続スペクトルのレンジとクロスレンジをそれぞれ圧縮する圧縮手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、複数のレーダ画像の投影面が一致しない場合に、一つの画像生成面上に投影した後に、帯域の合成処理を行うことで投影面の相違を補償した後、帯域を拡張することにより、分解能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1と図2は、この発明のレーダ装置の観測のジオメトリを示す説明図である。この実施の形態1では、図1に示すように、2つのレーダの送受信アンテナ1a,1bが目標18から見て互いに異なる方位に設置されていることを想定している。なお、図2において、x軸、y軸、z軸は、目標18に固定した座標系であり、z軸が目標18の回転運動の回転軸と一致するように座標軸が定義されている。また、原点は、目標18上の任意の点とした。この目標に固定の座標系において、観測開始時点での送受信アンテナ1aおよび1bの位置は、極座標で表すと、それぞれ(r,θ,φ)、(r,θ,φ)である。
【0009】
図3は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置の機能構成を示すブロック図である。図3において、送受信機2a,2bは、送受信アンテナ1a,1bを用いて同一の周波数帯域で目標18を観測する第1、第2のレーダを構成する。投影面補償手段19は、第1、第2のレーダで観測されるレーダ画像の投影面の違いを補償する処理を行うもので、第1、第2のレーダで得られる受信信号スペクトルの投影面を一致させる。2次元相互コヒーレント化手段3は、送受信機2a,2bで得られた後、投影面補償手段19で投影面の相違を補償された後の受信スペクトル信号の位相を一致させる処理を行う手段である。
【0010】
2次元帯域拡張手段4は、2次元相互コヒーレント化手段3で得られた位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向またはクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成する手段である。レンジ圧縮手段5は、2次元帯域拡張手段4で生成された連続スペクトルのレンジを圧縮する手段である。クロスレンジ圧縮手段6は、レンジ圧縮手段5でレンジが圧縮された連続スペクトルのクロスレンジを圧縮する手段である。表示手段7は、処理して得られた目標の画像を表示する手段である。
【0011】
図4は、図3に示した投影面補償手段19の詳細な機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、投影面補償手段19は、第1のレーダと第2のレーダで観測された画像を合成して得られる高分解能画像の投影面を設定する処理を行う画像生成面設定手段19aと、合成して得られる高分解能画像において、点像がぼけることなく結像する点を含む焦点面を設定する処理を行う焦点面設定手段19bと、第1のレーダと第2のレーダで観測された受信スペクトル信号を投影する処理を行うスペクトル投影手段19cとを有する。
【0012】
図5と図6は、投影面補償手段19の動作を説明するための図である。この実施の形態1では、図2に示すとおり、2つのレーダが異なる位置に配置されており、目標18の回転運動との関係から、2つのレーダで観測されるレーダ画像の投影面の位置が必ずしも一致しないことを前提としている。また、2つのレーダは異なる周波数帯域で動作することを想定している。この場合の信号スペクトルは模式的に図5で示される。図5の各軸は、それぞれ図2のx軸、y軸、z軸方向のスペクトルfx 、fy 、fを表す。また、第1および第2のレーダによって観測されるスペクトル信号15aとスペクトル信号15bは、fx −fy −f空間内で、図5のようにマッピングされる。
【0013】
本実施の形態1においては、投影面補償手段19以外の動作は従来の技術と同様である。したがって、以下では図4乃至図6を用いて投影面補償手段19の動作について説明する。まず、第1のレーダと第2のレーダは、それぞれパルスをH個、H個送受信することとする。目標18はその間に回転運動をしているため、目標に固定した座標系において、各レーダの位置は移動する。ここでは、第1のレーダがh番目のパルスを送受信している時の送受信アンテナ1aの位置ベクトルを、rr(h)(h=0,1,・・・,H−1)と表し、第2のレーダがh番目のパルスを送受信しているときの送受信アンテナ1bの位置ベクトルをrr(h)(h=0,1,・・・,H−1)と表す。
【0014】
画像生成面設定手段19aは、x−y−z座標空間内の原点を通る任意の平面を画像生成面として設定する。この平面の向きには特に制限は無く、任意の平面を設定すればよいが、例えば、第1のレーダと第2のレーダで観測されるレーダ画像の投影面からできる限り逸脱しないように設定するためには、画像生成面を定義するレンジ方向単位ベクトルiirとクロスレンジ方向単位ベクトルiicおよび、法線方向単位ベクトルiinを以下によって設定する。
【0015】
まず、送受信アンテナ1aと送受信アンテナ2aの位置ベクトルを集めた行列RRを次式によって定義する。定義から明らかだが、RRは3×(M1+M2)行列である。
【0016】
【数1】

【0017】
次に、RRを特異値分解して、最大特異値に対応する左特異値ベクトルを画像生成面のレンジ方向単位ベクトルiirとし、2番目の特異値に対応する左特異値ベクトルを画像生成面のクロスレンジ方向単位ベクトルiicとし、最小特異値に対応する左特異値ベクトルを法線方向単位ベクトルiinとする。
【0018】
焦点面設定手段19bは、x−y−z空間内で、焦点を合わせる面として、x−y平面に平行な平面を一つ、焦点面として設定する。投影面の異なる複数の画像を合成する場合、投影面の相違により、ある散乱点の反射信号が投影される位置が投影面によって異なる。したがって、投影面の異なる画像を合成する場合、このずれを補償しない限り、一つの散乱点の信号が画像上で1点に結像しない。ここで設定した焦点面は、次のスペクトル投影手段19cにおいて、この焦点面の上にある散乱点からの反射信号は、合成後の高分解能画像において1点に結像させることが出来るという意味で、出力される高分解能画像において焦点の合った面である。なお、本実施の形態の説明においては、図6に示すとおり、焦点面のz座標をzfとする。
【0019】
次に、スペクトル投影手段19cの動作について説明する。送受信機2a,2bは、それぞれ送受信アンテナ1a,1bで受信した信号を検波後、サンプリングして離散化するが、第1のレーダの受信スペクトル信号のサンプル点の周波数をf1,m(m=0,1,・・・,M-1)とする。すると、h1ヒット目の受信スペクトル信号はfx−fy−fz空間において、次式で表される点にマッピングされる。
【0020】
【数2】

【0021】
また、第2のレーダの受信スペクトル信号のサンプル点の周波数をf2,m(m=0,1,・・・,M-1)とすると、同様に以下の点にマッピングされる。
【0022】
【数3】

【0023】
スペクトル投影手段19cにおいては、スペクトル領域においてこれらの点にマッピングされる信号を、画像生成面設定手段19aで設定されたレンジ方向単位ベクトルiirとクロスレンジ方向単位ベクトルiicおよび、法線方向単位ベクトルiinで定義される平面上に投影する処理を行う。図6に示すとおりz軸に平行な方向に投影する。例えば、式(1)で表される点にマッピングされた信号を、次式で表される点に投影する。
【0024】
【数4】

【0025】
スペクトル投影手段19cにおいては、高さzfで、x−y平面に平行な焦点面にある散乱点からの反射信号が結像するように、次式の位相補償処理を行う。
【0026】
【数5】

【0027】
さらに、スペクトル投影手段においては、画像再生面上で、サンプリング間隔が一定となるように、補間処理を行う。この処理は良く知られたポーラーフォーマットアルゴリズムなどを用いることで実現できる。
【0028】
以上のように、この実施の形態1によれば、複数レーダの受信信号を一つの画像生成面上に投影した後に、帯域の合成処理を行うようにしたので、各レーダで得られるレーダ画像の投影面が異なる場合でも、合成処理を適用できる効果を得る。また、この実施の形態1によれば、焦点面を任意に設定するので、合成処理において焦点を合わせる領域を設定することが可能である。
【0029】
図7は、本実施の形態1の効果を説明するための図である。図において、23は第1と第2のレーダで受信した受信スペクトル信号を、画像生成面に投影した結果のスペクトルを模擬したものである。24と26は、それぞれ第1と第2のレーダで受信した受信スペクトル信号をフーリエ変換して得られたレーダ画像を模擬したものである。ここで、観測シーン内には3つの点目標が存在していることを想定している。25は23のスペクトル信号に、2次元相互コヒーレント化処理を施した結果であり、27は帯域内挿処理後のスペクトル、28は帯域内挿処理後のスペクトルをフーリエ変換して得られた高分解能画像である。このように、本実施の形態1の処理によって、分解能を向上できる。
【0030】
この発明は、レーダの受信信号を入力として処理することで説明したが、代わりに、それぞれのレーダで観測された目標の複素画像を2次元逆フーリエ変換して得られる空間スペクトルを入力として処理してもよく、同様な効果が得られることは明らかである。
【0031】
なお、本実施の形態1においては、レーダを2つ用いた構成について説明したが、2つ以上の複数のレーダが存在する場合への拡張は自明である。また、レーダを1つ用いた構成とし、時間差を置いて2回以上観測を実施することで、1つのレーダを用いても目標を異なるアスペクト角度から観測することが可能なので、1つのレーダを用いて複数回の観測を実施するような構成としても良い。
【0032】
この場合、レーダとして、目標に対して送受信アンテナを配置し、所定の周波数帯域で目標を所定の時間間隔をおいて少なくとも2回観測する単一のレーダを備えると共に、レーダが先に観測した受信信号を蓄積する記憶手段を備え、投影面補償手段19により、レーダが2回目に観測した受信信号と先に観測し記憶手段に蓄積された受信信号のスペクトルの投影面を一致させる処理を行い、2次元相互コヒーレント化手段3により、レーダが2回目に観測した受信信号と先に観測し記憶手段に蓄積された受信信号のスペクトルの位相を一致させる処理を行い、2次元帯域拡張手段4により、2次元相互コヒーレント化手段3で位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向またはクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成するようにし、圧縮手段5及びクロスレンジ圧縮手段6により、2次元帯域拡張手段4で生成された連続スペクトルのレンジとクロスレンジをそれぞれ圧縮するようにすればよい。
【0033】
さらに、本実施の形態1において、各レーダで観測されたレーダ画像のスペクトルは互いに重複しないことを前提としていたが、画像生成面上に投影した結果のスペクトルが互いに重複する場合は、重複する領域の信号の相互相関関数のピーク位置から、位相の調整係数ΔθとΔφを推定することが可能である。この場合、相互コヒーレント化の処理を行う2次元相互コヒーレント化手段3は、重複する領域の信号の相互相関関数を算出し、ピーク位置を検出する構成に置き換えればよい。
【0034】
また、本実施の形態1においては、固定されたレーダから移動目標を観測する、いわゆる逆合成開口レーダを対象として説明を行ってきたが、レーダが移動する、いわゆる合成開口レーダに適用してもよく、同様な効果を得ることができる。
【0035】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2によるレーダ装置の機能構成を示すブロック図である。図8において、図3に示す実施の形態1の構成と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、20は、第1、第2のレーダで観測されるレーダ画像の投影面の違いを補償する処理を行う複数投影面補償手段であり、複数の焦点面に対して焦点を合わせた複数の補償結果を出力する。また、21は、異なる焦点面が結像するように合成した複数の画像を比較して、結像していないと判定される部分を各画像から除去する処理を行う焦点面外信号除去手段である。さらに、22は、結像していない部分をそれぞれ除去した画像を再度合成して、画像全域にわたって結像した合成画像を得る処理を行う画像再合成手段である。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0036】
図9は、図8に示した複数投影面補償手段20の詳細な機能構成を示すブロック図である。図9に示すように、複数投影面補償手段20は、第1のレーダと第2のレーダで観測された画像を合成して得られる高分解能画像の投影面を設定する処理を行う画像生成面設定手段20aと、合成して得られる高分解能画像において、点像がぼけることなく結像する点を含む焦点面を設定する処理を行う複数焦点面設定手段20bと、第1のレーダと第2のレーダで観測された受信スペクトル信号を投影する処理を行う複数スペクトル投影手段20cとを有する。
【0037】
次に、動作を説明する。複数投影面補償手段20は、まず、画像生成面設定手段20aにおいて合成画像を生成する画像生成面を設定する。この動作は実施の形態1と全く同様である。次に、複数焦点面設定手段20bは、高さの異なる複数の焦点面を設定する。各焦点面はx−y平面に平行で、各焦点面のz座標をそれぞれzf1、zf2、・・・とする。複数スペクトル投影手段20cは、第1のレーダと第2のレーダで観測された受信スペクトル信号を投影する処理を行う手段である。投影処理は、実施の形態1と同様であるが、複数設定した焦点面のそれぞれについて結像するように次式に従って位相補償した結果を出力する。
【0038】
【数6】

【0039】
2次元相互コヒーレント化手段3〜クロスレンジ圧縮手段6までの動作は実施の形態1と同様であるが、本実施の形態2においては、設定した複数の焦点面についてそれぞれ結像するように合成画像を複数枚生成する。焦点面外信号除去手段21は、生成された複数の合成画像を比較し、同じ位置にある点像のうち、そのメインローブ幅が所定の閾値よりも太いとみなされる領域の信号を除去する。焦点面外信号除去手段21によって、結像しない点の信号を除去した後、再び2次元相互コヒーレント化手段3において、2次元相互コヒーレント化処理を実施する。焦点面以外に存在する散乱点からの反射信号は、2次元相互コヒーレント化処理の精度低下を引き起こすため、このように、信号を除去した後に再度コヒーレント化処理を実施することで、精度を向上できる。
【0040】
画像再合成手段22は、前記焦点面外信号除去手段21によって、結像しない点の信号を除去した後、再び2次元相互コヒーレント化処理、帯域拡張処理を実施して得られる複数の高分解能画像を再合成することで、全域にわたって焦点の合った画像を得る。再合成の方法としては、各画像から焦点の合っている領域を切り出して合成したり、全画像の電力平均をとるなどの方法がある。
【0041】
以上のように、この実施の形態2によれば、複数の焦点面を設け、各焦点面に焦点を合わせた複数の合成画像を生成し、これら複数の合成画像の中からそれぞれ合焦した領域を抽出して合成するように構成したので、画像の全域に渡って焦点の合った画像を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明のレーダ装置の観測のジオメトリを示す説明図である。
【図2】この発明のレーダ装置の観測のジオメトリを示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるレーダ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示した投影面補償手段19の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図5】図3に示した投影面補償手段19の動作を説明するための図である。
【図6】図3に示した投影面補償手段19の動作を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるレーダ装置の効果を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるレーダ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示した複数投影面補償手段20の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1a,1b レーダの送受信アンテナ、2a,2b 送受信機、3 2次元相互コヒーレント化手段、4 2次元帯域拡張手段、5 レンジ圧縮手段、6 クロスレンジ圧縮手段、7 表示手段、18 目標、19 投影面補償手段、19a 画像生成面設定手段、19b 焦点面設定手段、19c スペクトル投影手段、20 複数投影面補償手段、21 焦点面外信号除去手段、22 画像再合成手段、20a 画像生成面設定手段、20b 複数焦点面設定手段、20c 複数スペクトル投影手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標からみて異なる方位に配置されて目標を観測する複数のレーダと、
前記レーダで得られる複数の受信信号スペクトルの投影面を一致させる処理を行う投影面補償手段と、
前記レーダで得られる複数の受信信号スペクトルの位相を一致させる処理を行う相互コヒーレント化手段と、
前記相互コヒーレント化手段で位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向またはクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成する帯域拡張手段と、
前記帯域拡張手段で生成された連続スペクトルのレンジとクロスレンジをそれぞれ圧縮する圧縮手段と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置において、
前記投影面補償手段は、
前記レーダで得られた複数の画像を合成して得られる高分解能画像の投影面を設定する処理を行う画像生成面設定手段と、
合成して得られる高分解能画像において、点像が結像する面である焦点面を設定する焦点面設定手段と、
前記レーダで得られる複数の受信信号スペクトルを、前記焦点面設定手段によって設定された面内に存在する散乱点については結像するようにして、前記画像生成面設定手段によって設定された画像生成面に投影する処理を行うスペクトル投影手段と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーダ装置において、
前記相互コヒーレント化手段は、前記レーダで得られる複数の受信信号スペクトルの位相を、レンジとクロスレンジについて一致させてそれぞれの受信信号のスペクトルを生成する2次元相互コヒーレント化手段でなり、
前記帯域拡張手段は、前記2次元相互コヒーレント化手段で位相を一致させたそれぞれの受信信号のスペクトルを、レンジ方向とクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成する2次元帯域拡張手段でなり、
前記圧縮手段は、前記2次元帯域拡張手段で生成された連続スペクトルのレンジとクロスレンジをそれぞれ圧縮する
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記複数のレーダの代わりに、目標に対して送受信アンテナを配置し、所定の周波数帯域で目標を所定の時間間隔をおいて少なくとも2回観測する単一のレーダを備えると共に、当該単一のレーダが先に観測した受信信号を蓄積する記憶手段を備え、
前記投影面補償手段は、前記単一のレーダが2回目に観測した受信信号と先に観測し前記記憶手段に蓄積された受信信号のスペクトルの投影面を一致させる処理を行い、
前記相互コヒーレント化手段は、前記単一のレーダが2回目に観測した受信信号と先に観測し記憶手段に蓄積された受信信号のスペクトルの位相を一致させる処理を行い、
前記帯域拡張手段は、前記相互コヒーレント化手段で位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向またはクロスレンジ方向に内挿または外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成し、
前記圧縮手段は、前記帯域拡張手段で生成された連続スペクトルのレンジとクロスレンジをそれぞれ圧縮する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
前記投影面補償手段は、複数の焦点面に対して焦点を合わせた複数の補償結果を出力する複数投影面補償手段でなり、
前記複数投影面補償手段は、前記レーダで観測された複数の画像を合成して得られる高分解能画像の投影面を設定する処理を行う画像生成面設定手段と、前記レーダで得られる受信信号スペクトルを、前記複数焦点面設定手段によって設定された各面内に存在する散乱点については結像するようにして、前記画像生成面設定手段によって設定された画像生成面にそれぞれ投影する処理を行う複数スペクトル投影手段とを有する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレーダ装置において、
前記複数スペクトル投影手段で投影されたスペクトルから、帯域拡張処理及び圧縮処理を実施し、それぞれ高分解能画像を生成した後、生成された複数の高分解能画像を比較し、各画像で結像していない部分を検出して除去する焦点面外信号除去手段と、
前記焦点面外信号除去手段によって除去した複数の高分解能画像を再度合成して、画像全域にわたって結像した合成画像を得る画像再合成手段と
をさらに備えた
ことを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−52960(P2009−52960A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218565(P2007−218565)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】