レーダ装置
【課題】複数の異なる信号を相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【解決手段】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択部1を設け、周波数変調部2が、変調波形選択部1により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する。
【解決手段】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択部1を設け、周波数変調部2が、変調波形選択部1により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分散レーダ等で複数の異なる信号を送受信し、各信号の相関処理によって信号を分離して信号のビーム合成処理を行うレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分散レーダ等で複数の異なる信号を送受信するレーダ装置では、複数の異なる信号を分離する必要があるため、複数の信号間の相互相関特性が、できるだけ低いことが求められる。
また、複数の信号を受信した後にビーム合成処理を行うため、ドップラ周波数によるレンジシフト量及び位相シフト量が一定であることが求められる。
【0003】
ここで、レーダ装置が送信波に施す変調として、符号変調や線形周波数変調などが知られている。
例えば、以下の非特許文献1には、符号変調を施すレーダ装置が開示されているが、このレーダ装置では、ドップラ周波数を持つ目標に対して、レンジサイドローブレベルが劣化することがある。
【0004】
以下の特許文献1には、線形周波数変調を施すレーダ装置が開示されている。
このレーダ装置では、ドップラ周波数によるレンジシフト量が中心周波数とパルス幅に比例し、そのレンジシフト量がチャープ帯域幅に反比例する特性を利用し、その中心周波数とパルス幅、もしくは、その中心周波数とチャープ帯域幅を調整することにより、レンジシフト量が等しい波形を生成するようにしている。
【0005】
しかし、このレーダ装置では、信号間の中心周波数が異なる場合、レンジシフト量が等しくても、位相シフト量が異なるため、同位相でのビーム合成が困難である。
また、信号間の中心周波数が等しい場合、レンジシフト量が等しければ、位相シフト量も等しく、同位相でのビーム合成を行うことが可能であるが、各変調波形の傾きが等しくなる。
そのため、各信号間の相互相関値が高くなり、各信号を相関処理によって分離することができなくなることがある。
【0006】
以下の特許文献2には、非線形周波数変調を施すレーダ装置が開示されている。
このレーダ装置は、線形周波数変調と比較して、波形の自由度が高いため、相互相関値を低減することが可能である。
しかし、非線形周波数変調は、変調波形の形状によって、ドップラ周波数によるレンジサイドローブの劣化や、レンジシフト量及び位相シフト量の変動が、顕著になることがある。
そのため、複数の信号を送受信して、ビーム合成を行う場合には、変調波形形状の選定が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−312939号公報(段落番号[0007]、図1)
【特許文献2】特開2010−243295号公報(段落番号[0014]、図1)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Reducing the Waveform Cross Correlation of MIMO Radar With Space-Time Coding, IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, VOL. 58, NO.8, AUGUST 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、例えば、線形周波数変調を施す方法を用いる場合、信号間の中心周波数が異なると、レンジシフト量が等しくても、位相シフト量が異なるため、ビーム合成を行うことができない。信号間の中心周波数が等しければ、ビーム合成を行うことが可能であるが、各信号間のチャープ率が等しくなるため、各信号間の相互相関値が高くなり、各信号を相関処理によって分離することができなくなることがあるなどの課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の異なる信号を相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るレーダ装置は、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択手段と、変調波形選択手段により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調手段と、周波数変調手段により生成された複数の変調信号を空間に放射する信号送信手段と、信号送信手段から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数の変調信号を受信信号として受信する信号受信手段と、信号受信手段により受信された複数の受信信号と周波数変調手段により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、各々の相関処理結果のピーク値を加算するビーム合成手段とを設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択手段と、変調波形選択手段により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調手段と、周波数変調手段により生成された複数の変調信号を空間に放射する信号送信手段と、信号送信手段から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数の変調信号を受信信号として受信する信号受信手段と、信号受信手段により受信された複数の受信信号と周波数変調手段により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、各々の相関処理結果のピーク値を加算するビーム合成手段とを設けるように構成したので、信号受信手段により受信された複数の受信信号を、参照信号との相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
【図2】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図3】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図4】相関処理波形のレンジシフト量ΔRを示す説明図である。
【図5】変調波形選択部1により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい相関処理結果の一例を示す説明図である。
【図6】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図7】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図8】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図9】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図10】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図11】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図12】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図13】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図14】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図15】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図である。
【図17】sin関数と線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図18】変調波形選択部10により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図19】この発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図である。
【図20】tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図21】変調波形選択部20により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態5によるレーダ装置を示す構成図である。
【図23】端部が双曲線関数と線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図24】パルスの右側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図である。
【図25】パルスの左側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図である。
【図26】変調波形選択部30により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図27】変調波形選択部30により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図1において、変調波形選択部1はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部1は全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが同一で、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部1は変調波形選択手段を構成している。
図1の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0015】
周波数変調部2はN台(Nは2以上の整数)の周波数変調器から構成されており(図1の例では、3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されている)、変調波形選択部1により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、変調後の送信信号である変調信号を送信処理部3及び相関処理部7に出力する処理を実施する。
周波数変調部2の周波数変調器2a,2b,2cは変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3a,3b,3c及び相関処理器7a等に出力する処理を実施する。
なお、周波数変調部2は周波数変調手段を構成している。
【0016】
送信処理部3はN台(Nは2以上の整数)の送信機から構成されており(図1の例では、3台の送信機3a,3b,3cから構成されている)、周波数変調部2により生成された複数の変調信号を送信アレーアンテナ4に供給することで、送信アレーアンテナ4から変調信号を送信RF信号として空間に放射させる処理を実施する。
送信処理部3の送信機3a,3b,3cは周波数変調器2a,2b,2cから出力された変調信号を送信アンテナ4a,4b,4cに供給することで、送信アンテナ4a,4b,4cから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる処理を実施する。
【0017】
送信アレーアンテナ4はN台(Nは2以上の整数)の送信アンテナから構成されており(図1の例では、3台の送信アンテナ4a,4b,4cから構成されている)、送信処理部3から出力された複数の変調信号を送信RF信号として空間に放射する。
送信アレーアンテナ4の送信アンテナ4a,4b,4cは送信機3a,3b,3cから出力された変調信号を送信RF信号として空間に放射する。
なお、送信処理部3及び送信アレーアンテナ4から信号送信手段が構成されている。
【0018】
受信アレーアンテナ5はM台(Mは2以上の整数)の受信アンテナから構成されており(図1の例では、3台の受信アンテナ5a,5b,5cから構成されている)、送信アレーアンテナ4から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数のRF信号を反射RF信号として受信する。
受信アレーアンテナ5の受信アンテナ5a,5b,5cにより受信される反射RF信号は、3種類のRF信号が合成されている信号であり、すべて同一の信号である。
【0019】
受信処理部6はM台(Mは2以上の整数)の受信機から構成されており(図1の例では、3台の受信機6a,6b,6cから構成されている)、受信アレーアンテナ5により受信された複数の反射RF信号を受信信号として相関処理部7に出力する処理を実施する。
受信処理部6の受信機6a,6b,6cは受信アンテナ5a,5b,5cにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7a〜7c,7d〜7f,7g〜7iに出力する処理を実施する。
なお、受信アレーアンテナ5及び受信処理部6から信号受信手段が構成されている。
【0020】
相関処理部7はN×M台(N、Mは2以上の整数)の相関処理器から構成されており(図1の例では、9台の相関処理器7a〜7iから構成されている)、受信処理部6から出力された複数の受信信号と周波数変調部2から出力された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施して、各々の相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理部7の相関処理器7a〜7iは受信信号と参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する処理を実施する。
ビーム合成器8は相関処理器7a〜7iから出力された複数のピーク値を加算することで、ビーム合成結果を得る処理を実施する。
なお、相関処理部7及びビーム合成器8からビーム合成手段が構成されている。
【0021】
次に動作について説明する。
図2はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図2の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0022】
図2において、f0は送信周波数、T0はパルス幅、B0は帯域幅である。
また、tは時刻、Tはパルス幅T0の全体に対するパルス中心部のパルス幅が占める割合、Bは帯域幅B0の全体に対するパルス中心部の帯域幅が占める割合、dtはパルス幅T0の全体に対するパルス端部のパルス幅が占める割合、df帯域幅B0の全体に対するパルス端部の帯域幅が占める割合である。
【0023】
図2の非線形周波数変調波形は、下記の式(1)に示す関数f(t)で表される。
【0024】
変調波形選択部1は、式(1)の関数f(t)における時刻tを下記の式(3)に示すパラメータ変動幅Δ(i)で変動させることで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。
即ち、全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが同一で、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成する。
ここで、図3はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0025】
変調波形選択部1は、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成すると、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
即ち、変調波形選択部1は、ある非線形周波数変調波形で変調を行った信号と、その非線形周波数変調波形で変調を行った信号に想定されるドップラ周波数が加算された信号との相関処理結果を求め、相関処理結果がピークとなるレンジシフト量ΔRを求め、レンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
変調波形選択部1は、各々の非線形周波数変調波形について、参照信号と受信信号との相関処理を実施すると、各々の非線形周波数変調波形に係る相関処理結果の中で、ピーク値をとる振幅に対応するレンジビンをレンジシフト量ΔRとして特定する。
【0026】
ここで、図4は相関処理波形のレンジシフト量ΔRを示す説明図である。
レンジシフト量ΔRは、ドップラ周波数がfdである場合、非線形周波数変調波形による変調後の送信信号である参照信号と、空間に存在している目標に反射して戻ってきた反射RF信号である受信信号との相関処理結果の中で、ピークの値をとるレンジビンが、ドップラ周波数が0である場合と比較して、何ビンシフトしているかを示すものである。
【0027】
変調波形選択部1は、各々の非線形周波数変調波形について、レンジシフト量ΔRを特定すると、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図1の例では、周波数変調部2が、3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、レンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
したがって、周波数変調部2が2台の周波数変調器から構成されていれば、レンジシフト量ΔRが等しくなる2組の非線形周波数変調波形を選択し、周波数変調部2が4台以上の周波数変調器から構成されていれば、レンジシフト量ΔRが等しくなる4組以上の非線形周波数変調波形を選択する。
【0028】
なお、レンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の個数が、周波数変調部2を構成している周波数変調器の台数に満たない場合には、周波数変調器の台数に相当する個数の非線形周波数変調波形(レンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形)が得られるまで、パラメータ変動幅Δ(i)を2倍ずつ細かく刻むことにより、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成して、同様の処理を繰り返し実施する。
図5は変調波形選択部1により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0029】
周波数変調部2は、変調波形選択部1が、レンジシフト量ΔRが等しくなる複数の非線形周波数変調波形を選択すると、各々の非線形周波数変調波形を用いて、送信信号を周波数変調することで、変調後の送信信号である変調信号を送信処理部3に出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理部7に出力する。
即ち、周波数変調部2の周波数変調器2aは、変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3aに出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理器7a,7d,7gに出力する。
また、周波数変調器2bは、変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3bに出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理器7b,7e,7hに出力する。
また、周波数変調器2cは、変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3cに出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理器7c,7f,7iに出力する。
【0030】
送信処理部3は、周波数変調部2から複数の変調信号を受けると、複数の変調信号を送信アレーアンテナ4に供給することで、送信アレーアンテナ4から変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
即ち、送信処理部3の送信機3aは、周波数変調器2aから出力された変調信号を送信アンテナ4aに供給することで、送信アンテナ4aから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
また、送信機3bは、周波数変調器2bから出力された変調信号を送信アンテナ4bに供給することで、送信アンテナ4bから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
また、送信機3cは、周波数変調器2cから出力された変調信号を送信アンテナ4cに供給することで、送信アンテナ4cから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
【0031】
受信アレーアンテナ5は、送信アレーアンテナ4から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数のRF信号を反射RF信号として受信する。
なお、受信アレーアンテナ5の受信アンテナ5a,5b,5cにより受信される反射RF信号は、送信アンテナ4a,4b,4cから放射された3種類のRF信号が目標に反射され、3種類のRF信号が合成された信号であるため、受信アンテナ5a,5b,5cにより受信される反射RF信号は、すべて同一の信号である。
【0032】
受信処理部6は、受信アレーアンテナ5により受信された複数の反射RF信号を受信信号として相関処理部7に出力する。
即ち、受信処理部6の受信機6aは、受信アンテナ5aにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7a〜7cに出力する。
また、受信機6bは、受信アンテナ5bにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7d〜7fに出力する。
また、受信機6cは、受信アンテナ5cにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7g〜7iに出力する。
【0033】
相関処理部7は、受信処理部6から出力された複数の受信信号と、周波数変調部2から出力された複数の参照信号との相関処理を実施して、各々の相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
即ち、相関処理部7の相関処理器7aは、受信機6aから出力された受信信号と、周波数変調器2aから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7bは、受信機6aから出力された受信信号と、周波数変調器2bから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7cは、受信機6aから出力された受信信号と、周波数変調器2cから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
【0034】
相関処理部7の相関処理器7dは、受信機6bから出力された受信信号と、周波数変調器2aから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7eは、受信機6bから出力された受信信号と、周波数変調器2bから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7fは、受信機6bから出力された受信信号と、周波数変調器2cから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
【0035】
相関処理部7の相関処理器7gは、受信機6cから出力された受信信号と、周波数変調器2aから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7hは、受信機6cから出力された受信信号と、周波数変調器2bから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7iは、受信機6cから出力された受信信号と、周波数変調器2cから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
なお、相関処理自体は公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、相関処理器7a〜7iにおける相関処理結果のピーク値をとるレンジシフト量ΔRは全て同一な周波数変調波形を選択している。
【0036】
ビーム合成器8は、相関処理器7a〜7iから相関処理結果のピーク値を受けると、それらのピーク値を加算することで、ビーム合成結果を得る。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択部1と、変調波形選択部1により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調部2と、周波数変調部2により生成された複数の変調信号を送信アレーアンテナ4から空間に放射させる送信処理部3と、送信アレーアンテナ4から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して、受信アレーアンテナ5に戻ってきた複数の変調信号を受信する受信処理部6とを設け、相関処理部7が、受信処理部6により受信された複数の受信信号と周波数変調部2により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、ビーム合成器8が、各々の相関処理結果のピーク値を加算するように構成したので、受信処理部6により受信された複数の受信信号を相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができる効果を奏する。
【0038】
なお、この実施の形態1では、送信アレーアンテナ4及び受信アレーアンテナ5のアンテナ数が3である例を示したが、アンテナ数が2である場合や、アンテナ数が4以上である場合も、同様の処理で、ビーム合成を行うことができる。
【0039】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、変調波形選択部1が、全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが同一で、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、図6に示すように、全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが同一で、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0040】
また、変調波形選択部1が、図7に示すように、全体のパルス幅T0、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B及び端部のパルス幅dtが同一で、全体の帯域幅B0及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0041】
また、変調波形選択部1が、図8に示すように、全体のパルス幅T0、中心部のパルス幅T、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfが同一で、全体の帯域幅B0及び中心部の帯域幅Bが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0042】
また、変調波形選択部1が、図9に示すように、全体のパルス幅T0、中心部の帯域幅B及び端部の傾きdf/dtが同一で、全体の帯域幅B0及び中心部のパルス幅Tが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0043】
また、変調波形選択部1が、図10に示すように、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが同一で、全体のパルス幅T0及び端部のパルス幅dtが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0044】
また、変調波形選択部1が、図11に示すように、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部の傾きdf/dtが同一で、全体のパルス幅T0及び中心部の帯域幅Bが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0045】
また、変調波形選択部1が、図12に示すように、全体の帯域幅B0、中心部の帯域幅B及び端部の傾きdf/dtが同一で、全体のパルス幅T0及び中心部のパルス幅Tが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0046】
また、変調波形選択部1が、図13に示すように、中心部の傾きB/T、端部の傾きdf/dt、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfが同一で、中心部のパルス幅T及び中心部の帯域幅Bが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0047】
また、変調波形選択部1が、図14に示すように、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B及び端部の傾きdf/dtが同一で、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、変調波形選択部1が、図15に示すように、全体のパルス幅T0及び全体の帯域幅B0が同一で、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfの中で少なくとも1つが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0049】
実施の形態3.
図16はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
変調波形選択部10はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部10はsin関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、その線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部10は変調波形選択手段を構成している。
図16の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0050】
次に動作について説明する。
変調波形選択部10以外は、上記実施の形態1と同様であるため、変調波形選択部10の処理内容だけを説明する。
図17はsin関数と線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図17の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0051】
図17の非線形周波数変調波形は、下記の式(4)に示す関数t(f)で表される。
式(4)において、kは線形チャープ関数に対するsin関数の重みパラメータであり、fは送信周波数である。
この実施の形態3では、変調波形選択部10が、重みパラメータkを変更して、非線形性の強弱を調節することで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。
【0052】
変調波形選択部10は、複数の非線形周波数変調波形を生成すると、図1の変調波形選択部1と同様に、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図18は変調波形選択部10により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0053】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、変調波形選択部10が、sin関数と線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、その線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成するように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することができる効果を奏する。
【0054】
ここでは、変調波形選択部10が、線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、上記実施の形態1,2で、図1の変調波形選択部1により生成された複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0055】
実施の形態4.
図19はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
変調波形選択部20はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部20はtan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部20は変調波形選択手段を構成している。
図19の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0056】
次に動作について説明する。
変調波形選択部20以外は、上記実施の形態1と同様であるため、変調波形選択部20の処理内容だけを説明する。
図20はtan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図20の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0057】
図20の非線形周波数変調波形は、下記の式(5)に示す関数f(t)で表される。
式(5)において、βはtan関数の位相パラメータである。
この実施の形態4では、変調波形選択部20が、位相パラメータβを変更して、非線形性の強弱を調節することで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。
【0058】
変調波形選択部20は、複数の非線形周波数変調波形を生成すると、図1の変調波形選択部1と同様に、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図21は変調波形選択部20により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0059】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、変調波形選択部20が、tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成するように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することができる効果を奏する。
【0060】
ここでは、変調波形選択部20が、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、上記実施の形態1,2で、図1の変調波形選択部1により生成された複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0061】
実施の形態5.
図22はこの発明の実施の形態5によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
変調波形選択部30はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部30は端部が双曲線関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、その双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部30は変調波形選択手段を構成している。
図22の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0062】
次に動作について説明する。
変調波形選択部30以外は、上記実施の形態1と同様であるため、変調波形選択部30の処理内容だけを説明する。
図23は端部が双曲線関数と線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図23の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0063】
図23の非線形周波数変調波形は、下記の式(6)に示す関数f(t)で表される。
【0064】
図24はパルスの右側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図であり、図25はパルスの左側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図である。
図24に示す双曲線関数では、比例定数χの双曲線の中から、定義域の幅がdt、値域の幅がdfとなる範囲を切り出し、その切り出した範囲の値域が[0,df]、定義域が[T/2−dt,T/2]となるように平行移動させたものである。
図25に示す双曲線関数では、比例定数χの双曲線の中から、定義域の幅がdt、値域の幅がdfとなる範囲を切り出し、その切り出した範囲の値域が[−df,0]、定義域が[−T/2,−T/2+dt]となるように平行移動させたものである。
【0065】
この実施の形態5では、変調波形選択部30が、変調パラメータdf,dtを変更して、非線形性の強弱を調節することで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。なお、変調パラメータdf,dtは、図1の変調波形選択部と同様の方法で変動させる。
【0066】
変調波形選択部30は、複数の非線形周波数変調波形を生成すると、図1の変調波形選択部1と同様に、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図26は変調波形選択部30により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0067】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、変調波形選択部30が、端部が双曲線関数と線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、その双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成するように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することができる効果を奏する。
【0068】
ここでは、変調波形選択部30が、双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、図27に示すように、双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形と、上記実施の形態1,2で、図1の変調波形選択部1により生成された複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0069】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,10,20,30 変調波形選択部(変調波形選択手段)、2 周波数変調部(周波数変調手段)、2a,2b,2c 周波数変調器、3 送信処理部(信号送信手段)、3a,3b,3c 送信機、4 送信アレーアンテナ(信号送信手段)、4a,4b,4c 送信アンテナ、5 受信アレーアンテナ(信号受信手段)、5a,5b,5c 受信アンテナ、6 受信処理部(信号受信手段)、6a,6b,6c 受信機、7 相関処理部、7a〜7i 相関処理器(ビーム合成手段)、8 ビーム合成器(ビーム合成手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、分散レーダ等で複数の異なる信号を送受信し、各信号の相関処理によって信号を分離して信号のビーム合成処理を行うレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分散レーダ等で複数の異なる信号を送受信するレーダ装置では、複数の異なる信号を分離する必要があるため、複数の信号間の相互相関特性が、できるだけ低いことが求められる。
また、複数の信号を受信した後にビーム合成処理を行うため、ドップラ周波数によるレンジシフト量及び位相シフト量が一定であることが求められる。
【0003】
ここで、レーダ装置が送信波に施す変調として、符号変調や線形周波数変調などが知られている。
例えば、以下の非特許文献1には、符号変調を施すレーダ装置が開示されているが、このレーダ装置では、ドップラ周波数を持つ目標に対して、レンジサイドローブレベルが劣化することがある。
【0004】
以下の特許文献1には、線形周波数変調を施すレーダ装置が開示されている。
このレーダ装置では、ドップラ周波数によるレンジシフト量が中心周波数とパルス幅に比例し、そのレンジシフト量がチャープ帯域幅に反比例する特性を利用し、その中心周波数とパルス幅、もしくは、その中心周波数とチャープ帯域幅を調整することにより、レンジシフト量が等しい波形を生成するようにしている。
【0005】
しかし、このレーダ装置では、信号間の中心周波数が異なる場合、レンジシフト量が等しくても、位相シフト量が異なるため、同位相でのビーム合成が困難である。
また、信号間の中心周波数が等しい場合、レンジシフト量が等しければ、位相シフト量も等しく、同位相でのビーム合成を行うことが可能であるが、各変調波形の傾きが等しくなる。
そのため、各信号間の相互相関値が高くなり、各信号を相関処理によって分離することができなくなることがある。
【0006】
以下の特許文献2には、非線形周波数変調を施すレーダ装置が開示されている。
このレーダ装置は、線形周波数変調と比較して、波形の自由度が高いため、相互相関値を低減することが可能である。
しかし、非線形周波数変調は、変調波形の形状によって、ドップラ周波数によるレンジサイドローブの劣化や、レンジシフト量及び位相シフト量の変動が、顕著になることがある。
そのため、複数の信号を送受信して、ビーム合成を行う場合には、変調波形形状の選定が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−312939号公報(段落番号[0007]、図1)
【特許文献2】特開2010−243295号公報(段落番号[0014]、図1)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Reducing the Waveform Cross Correlation of MIMO Radar With Space-Time Coding, IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, VOL. 58, NO.8, AUGUST 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、例えば、線形周波数変調を施す方法を用いる場合、信号間の中心周波数が異なると、レンジシフト量が等しくても、位相シフト量が異なるため、ビーム合成を行うことができない。信号間の中心周波数が等しければ、ビーム合成を行うことが可能であるが、各信号間のチャープ率が等しくなるため、各信号間の相互相関値が高くなり、各信号を相関処理によって分離することができなくなることがあるなどの課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の異なる信号を相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るレーダ装置は、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択手段と、変調波形選択手段により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調手段と、周波数変調手段により生成された複数の変調信号を空間に放射する信号送信手段と、信号送信手段から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数の変調信号を受信信号として受信する信号受信手段と、信号受信手段により受信された複数の受信信号と周波数変調手段により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、各々の相関処理結果のピーク値を加算するビーム合成手段とを設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択手段と、変調波形選択手段により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調手段と、周波数変調手段により生成された複数の変調信号を空間に放射する信号送信手段と、信号送信手段から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数の変調信号を受信信号として受信する信号受信手段と、信号受信手段により受信された複数の受信信号と周波数変調手段により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、各々の相関処理結果のピーク値を加算するビーム合成手段とを設けるように構成したので、信号受信手段により受信された複数の受信信号を、参照信号との相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
【図2】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図3】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図4】相関処理波形のレンジシフト量ΔRを示す説明図である。
【図5】変調波形選択部1により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい相関処理結果の一例を示す説明図である。
【図6】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図7】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図8】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図9】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図10】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図11】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図12】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図13】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図14】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図15】パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図である。
【図17】sin関数と線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図18】変調波形選択部10により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図19】この発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図である。
【図20】tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図21】変調波形選択部20により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態5によるレーダ装置を示す構成図である。
【図23】端部が双曲線関数と線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
【図24】パルスの右側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図である。
【図25】パルスの左側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図である。
【図26】変調波形選択部30により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【図27】変調波形選択部30により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図1において、変調波形選択部1はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部1は全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが同一で、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部1は変調波形選択手段を構成している。
図1の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0015】
周波数変調部2はN台(Nは2以上の整数)の周波数変調器から構成されており(図1の例では、3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されている)、変調波形選択部1により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、変調後の送信信号である変調信号を送信処理部3及び相関処理部7に出力する処理を実施する。
周波数変調部2の周波数変調器2a,2b,2cは変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3a,3b,3c及び相関処理器7a等に出力する処理を実施する。
なお、周波数変調部2は周波数変調手段を構成している。
【0016】
送信処理部3はN台(Nは2以上の整数)の送信機から構成されており(図1の例では、3台の送信機3a,3b,3cから構成されている)、周波数変調部2により生成された複数の変調信号を送信アレーアンテナ4に供給することで、送信アレーアンテナ4から変調信号を送信RF信号として空間に放射させる処理を実施する。
送信処理部3の送信機3a,3b,3cは周波数変調器2a,2b,2cから出力された変調信号を送信アンテナ4a,4b,4cに供給することで、送信アンテナ4a,4b,4cから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる処理を実施する。
【0017】
送信アレーアンテナ4はN台(Nは2以上の整数)の送信アンテナから構成されており(図1の例では、3台の送信アンテナ4a,4b,4cから構成されている)、送信処理部3から出力された複数の変調信号を送信RF信号として空間に放射する。
送信アレーアンテナ4の送信アンテナ4a,4b,4cは送信機3a,3b,3cから出力された変調信号を送信RF信号として空間に放射する。
なお、送信処理部3及び送信アレーアンテナ4から信号送信手段が構成されている。
【0018】
受信アレーアンテナ5はM台(Mは2以上の整数)の受信アンテナから構成されており(図1の例では、3台の受信アンテナ5a,5b,5cから構成されている)、送信アレーアンテナ4から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数のRF信号を反射RF信号として受信する。
受信アレーアンテナ5の受信アンテナ5a,5b,5cにより受信される反射RF信号は、3種類のRF信号が合成されている信号であり、すべて同一の信号である。
【0019】
受信処理部6はM台(Mは2以上の整数)の受信機から構成されており(図1の例では、3台の受信機6a,6b,6cから構成されている)、受信アレーアンテナ5により受信された複数の反射RF信号を受信信号として相関処理部7に出力する処理を実施する。
受信処理部6の受信機6a,6b,6cは受信アンテナ5a,5b,5cにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7a〜7c,7d〜7f,7g〜7iに出力する処理を実施する。
なお、受信アレーアンテナ5及び受信処理部6から信号受信手段が構成されている。
【0020】
相関処理部7はN×M台(N、Mは2以上の整数)の相関処理器から構成されており(図1の例では、9台の相関処理器7a〜7iから構成されている)、受信処理部6から出力された複数の受信信号と周波数変調部2から出力された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施して、各々の相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理部7の相関処理器7a〜7iは受信信号と参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する処理を実施する。
ビーム合成器8は相関処理器7a〜7iから出力された複数のピーク値を加算することで、ビーム合成結果を得る処理を実施する。
なお、相関処理部7及びビーム合成器8からビーム合成手段が構成されている。
【0021】
次に動作について説明する。
図2はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図2の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0022】
図2において、f0は送信周波数、T0はパルス幅、B0は帯域幅である。
また、tは時刻、Tはパルス幅T0の全体に対するパルス中心部のパルス幅が占める割合、Bは帯域幅B0の全体に対するパルス中心部の帯域幅が占める割合、dtはパルス幅T0の全体に対するパルス端部のパルス幅が占める割合、df帯域幅B0の全体に対するパルス端部の帯域幅が占める割合である。
【0023】
図2の非線形周波数変調波形は、下記の式(1)に示す関数f(t)で表される。
【0024】
変調波形選択部1は、式(1)の関数f(t)における時刻tを下記の式(3)に示すパラメータ変動幅Δ(i)で変動させることで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。
即ち、全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが同一で、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成する。
ここで、図3はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0025】
変調波形選択部1は、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成すると、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
即ち、変調波形選択部1は、ある非線形周波数変調波形で変調を行った信号と、その非線形周波数変調波形で変調を行った信号に想定されるドップラ周波数が加算された信号との相関処理結果を求め、相関処理結果がピークとなるレンジシフト量ΔRを求め、レンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
変調波形選択部1は、各々の非線形周波数変調波形について、参照信号と受信信号との相関処理を実施すると、各々の非線形周波数変調波形に係る相関処理結果の中で、ピーク値をとる振幅に対応するレンジビンをレンジシフト量ΔRとして特定する。
【0026】
ここで、図4は相関処理波形のレンジシフト量ΔRを示す説明図である。
レンジシフト量ΔRは、ドップラ周波数がfdである場合、非線形周波数変調波形による変調後の送信信号である参照信号と、空間に存在している目標に反射して戻ってきた反射RF信号である受信信号との相関処理結果の中で、ピークの値をとるレンジビンが、ドップラ周波数が0である場合と比較して、何ビンシフトしているかを示すものである。
【0027】
変調波形選択部1は、各々の非線形周波数変調波形について、レンジシフト量ΔRを特定すると、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図1の例では、周波数変調部2が、3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、レンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
したがって、周波数変調部2が2台の周波数変調器から構成されていれば、レンジシフト量ΔRが等しくなる2組の非線形周波数変調波形を選択し、周波数変調部2が4台以上の周波数変調器から構成されていれば、レンジシフト量ΔRが等しくなる4組以上の非線形周波数変調波形を選択する。
【0028】
なお、レンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の個数が、周波数変調部2を構成している周波数変調器の台数に満たない場合には、周波数変調器の台数に相当する個数の非線形周波数変調波形(レンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形)が得られるまで、パラメータ変動幅Δ(i)を2倍ずつ細かく刻むことにより、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成して、同様の処理を繰り返し実施する。
図5は変調波形選択部1により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0029】
周波数変調部2は、変調波形選択部1が、レンジシフト量ΔRが等しくなる複数の非線形周波数変調波形を選択すると、各々の非線形周波数変調波形を用いて、送信信号を周波数変調することで、変調後の送信信号である変調信号を送信処理部3に出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理部7に出力する。
即ち、周波数変調部2の周波数変調器2aは、変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3aに出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理器7a,7d,7gに出力する。
また、周波数変調器2bは、変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3bに出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理器7b,7e,7hに出力する。
また、周波数変調器2cは、変調波形選択部1により選択された非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調し、変調後の送信信号である変調信号を送信機3cに出力するとともに、その変調信号を参照信号として相関処理器7c,7f,7iに出力する。
【0030】
送信処理部3は、周波数変調部2から複数の変調信号を受けると、複数の変調信号を送信アレーアンテナ4に供給することで、送信アレーアンテナ4から変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
即ち、送信処理部3の送信機3aは、周波数変調器2aから出力された変調信号を送信アンテナ4aに供給することで、送信アンテナ4aから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
また、送信機3bは、周波数変調器2bから出力された変調信号を送信アンテナ4bに供給することで、送信アンテナ4bから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
また、送信機3cは、周波数変調器2cから出力された変調信号を送信アンテナ4cに供給することで、送信アンテナ4cから変調信号を送信RF信号として空間に放射させる。
【0031】
受信アレーアンテナ5は、送信アレーアンテナ4から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数のRF信号を反射RF信号として受信する。
なお、受信アレーアンテナ5の受信アンテナ5a,5b,5cにより受信される反射RF信号は、送信アンテナ4a,4b,4cから放射された3種類のRF信号が目標に反射され、3種類のRF信号が合成された信号であるため、受信アンテナ5a,5b,5cにより受信される反射RF信号は、すべて同一の信号である。
【0032】
受信処理部6は、受信アレーアンテナ5により受信された複数の反射RF信号を受信信号として相関処理部7に出力する。
即ち、受信処理部6の受信機6aは、受信アンテナ5aにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7a〜7cに出力する。
また、受信機6bは、受信アンテナ5bにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7d〜7fに出力する。
また、受信機6cは、受信アンテナ5cにより受信された反射RF信号を受信信号として相関処理器7g〜7iに出力する。
【0033】
相関処理部7は、受信処理部6から出力された複数の受信信号と、周波数変調部2から出力された複数の参照信号との相関処理を実施して、各々の相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
即ち、相関処理部7の相関処理器7aは、受信機6aから出力された受信信号と、周波数変調器2aから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7bは、受信機6aから出力された受信信号と、周波数変調器2bから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7cは、受信機6aから出力された受信信号と、周波数変調器2cから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
【0034】
相関処理部7の相関処理器7dは、受信機6bから出力された受信信号と、周波数変調器2aから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7eは、受信機6bから出力された受信信号と、周波数変調器2bから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7fは、受信機6bから出力された受信信号と、周波数変調器2cから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
【0035】
相関処理部7の相関処理器7gは、受信機6cから出力された受信信号と、周波数変調器2aから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7hは、受信機6cから出力された受信信号と、周波数変調器2bから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
相関処理器7iは、受信機6cから出力された受信信号と、周波数変調器2cから出力された参照信号との相関処理を実施して、その相関処理結果のピーク値をビーム合成器8に出力する。
なお、相関処理自体は公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、相関処理器7a〜7iにおける相関処理結果のピーク値をとるレンジシフト量ΔRは全て同一な周波数変調波形を選択している。
【0036】
ビーム合成器8は、相関処理器7a〜7iから相関処理結果のピーク値を受けると、それらのピーク値を加算することで、ビーム合成結果を得る。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択部1と、変調波形選択部1により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調部2と、周波数変調部2により生成された複数の変調信号を送信アレーアンテナ4から空間に放射させる送信処理部3と、送信アレーアンテナ4から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して、受信アレーアンテナ5に戻ってきた複数の変調信号を受信する受信処理部6とを設け、相関処理部7が、受信処理部6により受信された複数の受信信号と周波数変調部2により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、ビーム合成器8が、各々の相関処理結果のピーク値を加算するように構成したので、受信処理部6により受信された複数の受信信号を相関処理によって適正に分離して、ビーム合成を行うことができる効果を奏する。
【0038】
なお、この実施の形態1では、送信アレーアンテナ4及び受信アレーアンテナ5のアンテナ数が3である例を示したが、アンテナ数が2である場合や、アンテナ数が4以上である場合も、同様の処理で、ビーム合成を行うことができる。
【0039】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、変調波形選択部1が、全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが同一で、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、図6に示すように、全体のパルス幅T0、全体の帯域幅B0、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが同一で、中心部のパルス幅T及び端部のパルス幅dtが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0040】
また、変調波形選択部1が、図7に示すように、全体のパルス幅T0、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B及び端部のパルス幅dtが同一で、全体の帯域幅B0及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0041】
また、変調波形選択部1が、図8に示すように、全体のパルス幅T0、中心部のパルス幅T、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfが同一で、全体の帯域幅B0及び中心部の帯域幅Bが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0042】
また、変調波形選択部1が、図9に示すように、全体のパルス幅T0、中心部の帯域幅B及び端部の傾きdf/dtが同一で、全体の帯域幅B0及び中心部のパルス幅Tが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0043】
また、変調波形選択部1が、図10に示すように、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B及び端部の帯域幅dfが同一で、全体のパルス幅T0及び端部のパルス幅dtが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0044】
また、変調波形選択部1が、図11に示すように、全体の帯域幅B0、中心部のパルス幅T及び端部の傾きdf/dtが同一で、全体のパルス幅T0及び中心部の帯域幅Bが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0045】
また、変調波形選択部1が、図12に示すように、全体の帯域幅B0、中心部の帯域幅B及び端部の傾きdf/dtが同一で、全体のパルス幅T0及び中心部のパルス幅Tが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0046】
また、変調波形選択部1が、図13に示すように、中心部の傾きB/T、端部の傾きdf/dt、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfが同一で、中心部のパルス幅T及び中心部の帯域幅Bが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0047】
また、変調波形選択部1が、図14に示すように、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B及び端部の傾きdf/dtが同一で、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、変調波形選択部1が、図15に示すように、全体のパルス幅T0及び全体の帯域幅B0が同一で、中心部のパルス幅T、中心部の帯域幅B、端部のパルス幅dt及び端部の帯域幅dfの中で少なくとも1つが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしても、同様の効果を奏することができる。
【0049】
実施の形態3.
図16はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
変調波形選択部10はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部10はsin関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、その線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部10は変調波形選択手段を構成している。
図16の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0050】
次に動作について説明する。
変調波形選択部10以外は、上記実施の形態1と同様であるため、変調波形選択部10の処理内容だけを説明する。
図17はsin関数と線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図17の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0051】
図17の非線形周波数変調波形は、下記の式(4)に示す関数t(f)で表される。
式(4)において、kは線形チャープ関数に対するsin関数の重みパラメータであり、fは送信周波数である。
この実施の形態3では、変調波形選択部10が、重みパラメータkを変更して、非線形性の強弱を調節することで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。
【0052】
変調波形選択部10は、複数の非線形周波数変調波形を生成すると、図1の変調波形選択部1と同様に、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図18は変調波形選択部10により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0053】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、変調波形選択部10が、sin関数と線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、その線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成するように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することができる効果を奏する。
【0054】
ここでは、変調波形選択部10が、線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、線形チャープ関数に対するsin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、上記実施の形態1,2で、図1の変調波形選択部1により生成された複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0055】
実施の形態4.
図19はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
変調波形選択部20はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部20はtan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部20は変調波形選択手段を構成している。
図19の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0056】
次に動作について説明する。
変調波形選択部20以外は、上記実施の形態1と同様であるため、変調波形選択部20の処理内容だけを説明する。
図20はtan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図20の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0057】
図20の非線形周波数変調波形は、下記の式(5)に示す関数f(t)で表される。
式(5)において、βはtan関数の位相パラメータである。
この実施の形態4では、変調波形選択部20が、位相パラメータβを変更して、非線形性の強弱を調節することで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。
【0058】
変調波形選択部20は、複数の非線形周波数変調波形を生成すると、図1の変調波形選択部1と同様に、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図21は変調波形選択部20により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0059】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、変調波形選択部20が、tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成するように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することができる効果を奏する。
【0060】
ここでは、変調波形選択部20が、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、tan関数の位相パラメータβが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、上記実施の形態1,2で、図1の変調波形選択部1により生成された複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0061】
実施の形態5.
図22はこの発明の実施の形態5によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
変調波形選択部30はパルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。
即ち、変調波形選択部30は端部が双曲線関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、その双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する処理を実施する。なお、変調波形選択部30は変調波形選択手段を構成している。
図22の例では、周波数変調部2が3台の周波数変調器2a,2b,2cから構成されているので、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる3組の非線形周波数変調波形を選択する。
【0062】
次に動作について説明する。
変調波形選択部30以外は、上記実施の形態1と同様であるため、変調波形選択部30の処理内容だけを説明する。
図23は端部が双曲線関数と線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形を示す説明図である。
図23の例では、−0.5〜0.5で正規化しているパルス幅を横軸に表し、送信周波数を中心にして、−0.5〜0.5で正規化している帯域幅を縦軸に表している。
【0063】
図23の非線形周波数変調波形は、下記の式(6)に示す関数f(t)で表される。
【0064】
図24はパルスの右側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図であり、図25はパルスの左側の端部で用いられる双曲線関数を示す説明図である。
図24に示す双曲線関数では、比例定数χの双曲線の中から、定義域の幅がdt、値域の幅がdfとなる範囲を切り出し、その切り出した範囲の値域が[0,df]、定義域が[T/2−dt,T/2]となるように平行移動させたものである。
図25に示す双曲線関数では、比例定数χの双曲線の中から、定義域の幅がdt、値域の幅がdfとなる範囲を切り出し、その切り出した範囲の値域が[−df,0]、定義域が[−T/2,−T/2+dt]となるように平行移動させたものである。
【0065】
この実施の形態5では、変調波形選択部30が、変調パラメータdf,dtを変更して、非線形性の強弱を調節することで、パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形を生成する。なお、変調パラメータdf,dtは、図1の変調波形選択部と同様の方法で変動させる。
【0066】
変調波形選択部30は、複数の非線形周波数変調波形を生成すると、図1の変調波形選択部1と同様に、複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する。
図26は変調波形選択部30により選択されるレンジシフト量ΔRが等しい非線形周波数変調波形の一例を示す説明図である。
【0067】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、変調波形選択部30が、端部が双曲線関数と線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、その双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形を生成するように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することができる効果を奏する。
【0068】
ここでは、変調波形選択部30が、双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するものを示したが、図27に示すように、双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形と、上記実施の形態1,2で、図1の変調波形選択部1により生成された複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量ΔRが等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0069】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,10,20,30 変調波形選択部(変調波形選択手段)、2 周波数変調部(周波数変調手段)、2a,2b,2c 周波数変調器、3 送信処理部(信号送信手段)、3a,3b,3c 送信機、4 送信アレーアンテナ(信号送信手段)、4a,4b,4c 送信アンテナ、5 受信アレーアンテナ(信号受信手段)、5a,5b,5c 受信アンテナ、6 受信処理部(信号受信手段)、6a,6b,6c 受信機、7 相関処理部、7a〜7i 相関処理器(ビーム合成手段)、8 ビーム合成器(ビーム合成手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択手段と、上記変調波形選択手段により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調手段と、上記周波数変調手段により生成された複数の変調信号を空間に放射する信号送信手段と、上記信号送信手段から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数の変調信号を受信信号として受信する信号受信手段と、上記信号受信手段により受信された複数の受信信号と上記周波数変調手段により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、各々の相関処理結果のピーク値を加算するビーム合成手段とを備えたレーダ装置。
【請求項2】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、全体の帯域幅、中心部のパルス幅及び端部のパルス幅が同一で、中心部の帯域幅及び端部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、全体の帯域幅、中心部の帯域幅及び端部の帯域幅が同一で、中心部のパルス幅及び端部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項4】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部のパルス幅が同一で、全体の帯域幅及び端部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、中心部のパルス幅、端部のパルス幅及び端部の帯域幅が同一で、全体の帯域幅及び中心部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項6】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部の傾きが同一で、全体の帯域幅及び中心部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項7】
変調波形選択手段は、全体の帯域幅、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部の帯域幅が同一で、全体のパルス幅及び端部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項8】
変調波形選択手段は、全体の帯域幅、中心部のパルス幅及び端部の傾きが同一で、全体のパルス幅及び中心部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項9】
変調波形選択手段は、全体の帯域幅、中心部の帯域幅及び端部の傾きが同一で、全体のパルス幅及び中心部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項10】
変調波形選択手段は、中心部の傾き、端部の傾き、端部のパルス幅及び端部の帯域幅が同一で、中心部のパルス幅及び中心部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項11】
変調波形選択手段は、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部の傾きが同一で、端部のパルス幅及び端部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項12】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅及び全体の帯域幅が同一で、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅、端部のパルス幅及び端部の帯域幅の中で少なくとも1つが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項13】
変調波形選択手段は、sin関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、上記線形チャープ関数に対する上記sin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項14】
変調波形選択手段は、sin関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、上記線形チャープ関数に対する上記sin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、請求項2から請求項13のうちのいずれか1項に記載されている複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項15】
変調波形選択手段は、tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記tan関数の位相パラメータが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項16】
変調波形選択手段は、tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記tan関数の位相パラメータが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、請求項2から請求項13のうちのいずれか1項に記載されている複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項17】
変調波形選択手段は、端部が双曲線関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項18】
変調波形選択手段は、端部が双曲線関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形と、請求項2から請求項13のうちのいずれか1項に記載されている複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項1】
パルスの中心部と端部におけるチャープ率が異なる複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択する変調波形選択手段と、上記変調波形選択手段により選択された各々の非線形周波数変調波形を用いて送信信号を周波数変調することで、複数の変調信号を生成する周波数変調手段と、上記周波数変調手段により生成された複数の変調信号を空間に放射する信号送信手段と、上記信号送信手段から空間に放射されたのち、空間に存在している目標に反射して戻ってきた複数の変調信号を受信信号として受信する信号受信手段と、上記信号受信手段により受信された複数の受信信号と上記周波数変調手段により生成された複数の変調信号である参照信号との相関処理を実施し、各々の相関処理結果のピーク値を加算するビーム合成手段とを備えたレーダ装置。
【請求項2】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、全体の帯域幅、中心部のパルス幅及び端部のパルス幅が同一で、中心部の帯域幅及び端部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、全体の帯域幅、中心部の帯域幅及び端部の帯域幅が同一で、中心部のパルス幅及び端部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項4】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部のパルス幅が同一で、全体の帯域幅及び端部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、中心部のパルス幅、端部のパルス幅及び端部の帯域幅が同一で、全体の帯域幅及び中心部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項6】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部の傾きが同一で、全体の帯域幅及び中心部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項7】
変調波形選択手段は、全体の帯域幅、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部の帯域幅が同一で、全体のパルス幅及び端部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項8】
変調波形選択手段は、全体の帯域幅、中心部のパルス幅及び端部の傾きが同一で、全体のパルス幅及び中心部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項9】
変調波形選択手段は、全体の帯域幅、中心部の帯域幅及び端部の傾きが同一で、全体のパルス幅及び中心部のパルス幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項10】
変調波形選択手段は、中心部の傾き、端部の傾き、端部のパルス幅及び端部の帯域幅が同一で、中心部のパルス幅及び中心部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項11】
変調波形選択手段は、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅及び端部の傾きが同一で、端部のパルス幅及び端部の帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項12】
変調波形選択手段は、全体のパルス幅及び全体の帯域幅が同一で、中心部のパルス幅、中心部の帯域幅、端部のパルス幅及び端部の帯域幅の中で少なくとも1つが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項13】
変調波形選択手段は、sin関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、上記線形チャープ関数に対する上記sin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項14】
変調波形選択手段は、sin関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数の逆数で表される非線形周波数変調波形であって、上記線形チャープ関数に対する上記sin関数の重みが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、請求項2から請求項13のうちのいずれか1項に記載されている複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項15】
変調波形選択手段は、tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記tan関数の位相パラメータが異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項16】
変調波形選択手段は、tan関数がパルス幅と帯域幅で規格化されている関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記tan関数の位相パラメータが異なっている複数の非線形周波数変調波形と、請求項2から請求項13のうちのいずれか1項に記載されている複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項17】
変調波形選択手段は、端部が双曲線関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形の中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項18】
変調波形選択手段は、端部が双曲線関数と周波数変化率が一定である線形チャープ関数とが加算された関数で表され、中心部が上記線形チャープ関数で表される非線形周波数変調波形であって、上記双曲線関数の占めるパルス幅及び帯域幅が異なっている複数の非線形周波数変調波形と、請求項2から請求項13のうちのいずれか1項に記載されている複数の非線形周波数変調波形との中から、ドップラ周波数によるレンジシフト量が等しくなる非線形周波数変調波形の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−194043(P2012−194043A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58005(P2011−58005)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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