説明

レーダ装置

【課題】クラッタ抑圧性能と目標信号保存性能を両立させると同時に、静止クラッタと移動クラッタを抑圧することができるレーダ装置を得る。
【解決手段】受信信号の静止クラッタを抑圧するFIRフィルタ2と、受信信号の静止クラッタを抑圧するMTIフィルタ3と、ノッチ周波数補正部13が調整したフィルタ係数を用いて、FIRフィルタ2の出力信号の移動クラッタを抑圧する移動クラッタ用FIRフィルタ14と、FIRフィルタ2または移動クラッタ用FIRフィルタ14の出力信号に対してコヒーレント積分を行う第1のFFT処理部5aと、MTIフィルタ3の出力信号に対してコヒーレント積分を行う第2のFFT処理部5bと、移動クラッタピーク検出部12の検出結果に基づいて、第1のFFT処理部5aからの出力信号と第2のFFT処理部5bからの出力信号のいずれか一方の出力信号を選択するFFT出力選択部6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はレーダ装置に関し、特に、アンテナからパルス電波を目標物に照射して反射電波を受信し、受信信号に含まれる静止物体(目標物以外)からの不要反射エコーであるクラッタを抑圧して、目標物を検出するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダ装置においては、パルス状の電波を空間に放射し、目標物からのエコーを抽出して距離計測が行われるが、受信時には目標物からの反射エコー以外に、クラッタと呼ばれる、目標物以外の他の物体からの不要な反射エコーも同時に受信することが多い。特に、地表面などのように動いていない物体からの反射エコーは静止クラッタと呼ばれる。このようなクラッタは正確な目標検出処理を妨げるため、従来から捜索系のレーダ装置には、静止クラッタを抑圧する方式として例えばMTI(Moving Target Indicators)が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
MTIは、「移動する目標からのエコーにはドップラー周波数が発生するが、地面や建築物からのエコーである静止クラッタにはドップラー周波数が発生しないこと」を利用して、静止クラッタのみを抑圧する一種の高域通過フィルタである。つまり、MTIは各レンジビンの受信信号において、1パルス遅延させた受信信号を差し引くことにより、ドップラー周波数が0付近にその電力が集中するクラッタを抑圧する方式である。よく使用されるMTIとして、伝達関数が「1−z-1」で表されるMTIは、単一消去器と呼ばれ、また、(1−z-1(M>1)で表されるMTIは、多重消去器と呼ばれる。
【0004】
MTIにおいては、多重化する(フィルタ次数を増やす)ほど、阻止域幅が広くなり、かつ阻止域減衰量が大きくなってクラッタ抑圧性能が高くなる傾向がある。しかしながら、フィルタの零点を多重化させることでのみ、阻止域減衰量を調整していることになり、次数が高いMTIは、高いクラッタ抑圧性能を示すが、通過帯域幅が狭いという欠点がある。すなわち、MTIによってクラッタが抑圧される一方で、目標信号もMTI処理によって減衰する可能性が高いということになる。
【0005】
一方、MTIのようなクラッタ抑圧フィルタは、一般的なトランスバーサル型のFIR(Finite Impulse Responce)フィルタで実現することもできる。フィルタ次数を高くすれば抑圧性能を保ちつつ通過域幅を広くすることも可能である。しかしながら、設計方法によっては通過域に大きなリップルが発生して目標信号電力を低下させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−55474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、MTIフィルタにより静止クラッタを抑圧した場合、目標物の移動速度によっては、目標信号がMTIフィルタにより大きく減衰して目標検出が困難になるという課題があった。また、通過帯域が広いFIRフィルタを静止クラッタ抑圧フィルタとして使用した場合、通過域のリップルの影響で目標信号が大きく減衰して目標検出が困難になるという課題があった、さらに、従来のレーダ装置に置けるMTIフィルタでは移動している物体からの不要反射エコーである移動クラッタを抑圧することができないため、静止クラッタだけでなく移動クラッタを同時に受信した場合には目標検出性能が劣化するという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、クラッタ抑圧性能と目標信号保存性能を両立させると同時に、静止クラッタと移動クラッタを抑圧することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るレーダ装置は、パルス電波の送受信を行い、受信信号を生成する送受信処理手段と、送受信処理手段が生成した受信信号の周波数分析を行うスペクトル計算手段と、スペクトル計算手段の周波数分析結果を参照し、受信信号の移動クラッタを検出し、検出した移動クラッタのピーク周波数を検出する移動クラッタピーク検出手段と、受信信号の静止クラッタを抑圧するFIRフィルタと、受信信号の静止クラッタを抑圧するMTIフィルタと、移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて、FIRフィルタおよびMTIフィルタの出力を制御する出力制御手段と、移動クラッタピーク検出手段が検出した移動クラッタのピーク周波数に基づいて、フィルタ係数を調整するノッチ周波数補正手段と、ノッチ周波数補正手段が調整したフィルタ係数を用いて、FIRフィルタの出力信号の移動クラッタを抑圧する移動クラッタ用FIRフィルタと、FIRフィルタまたは移動クラッタ用FIRフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第1のFFT処理手段と、MTIフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第2のFFT処理手段と、FIRフィルタとMTIフィルタのうち振幅利得の高いフィルタからの出力信号への切り替えを示す切替周波数値を記憶する切替周波数データベースと、移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて、切替周波数データベースを参照して設定した切替周波数値に応じて第1のFFT処理手段からの出力信号と第2のFFT処理手段からの出力信号のいずれか一方の出力信号を選択するFFT出力選択手段と、FFT出力選択手段が選択した出力信号から目標を検出する目標検出手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、MTIフィルタと、MTIフィルタよりも通過帯域幅が広いFIRフィルタを組み合わせることにより、クラッタ抑圧性能と目標信号保存性能を両立させることができる。また移動クラッタに対応するFIRフィルタを設けることにより、静止クラッタだけでなく移動クラッタを同時に受信した場合にも、静止クラッタと移動クラッタ
の双方を抑圧することができ、目標検出性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1によるレーダ装置のFIRフィルタおよびMTIフィルタの振幅特性を示す図である。
【図3】実施の形態1によるレーダ装置のフィルタ切替周波数を示す図である。
【図4】実施の形態1によるレーダ装置のトランスバーサル型フィルタの構成を示す図である。
【図5】実施の形態1によるレーダ装置の移動クラッタ用FIRフィルタの振幅特性を示す図である。
【図6】実施の形態2によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2によるレーダ装置の静止・移動クラッタ用FIRフィルタの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図1において、レーダ装置100は、送受信回路(送受信手段)1、FIRフィルタ2、MTIフィルタ3、スペクトル計算部(スペクトル計算手段)11、移動クラッタピーク検出部(移動クラッタピーク検出手段)12、スイッチ部(切替手段)4、ノッチ周波数補正部13、移動クラッタ用FIRフィルタ14、第1のFFT処理部5a、第2のFFT処理部5b、FFT出力選択部6、目標検出部7、表示部(出力手段)8および切替周波数データベース9で構成されている。
【0013】
送受信回路1は、パルス状の電波を送信する送信アンテナと当該電波の反射波を受信する受信アンテナを備えている。また、受信した反射波を受信信号に変換する処理を行う。FIRフィルタ2は、送受信回路1から入力される受信信号のクラッタを抑圧する第1のクラッタ抑圧フィルタである。MTIフィルタ3は、送受信回路1から入力される受信信号のクラッタを抑圧する第2のクラッタ抑圧フィルタである。
【0014】
スペクトル計算部11は、送受信回路1から入力される受信信号の周波数分析を行う。移動クラッタピーク検出部12は、スペクトル計算部11から出力される周波数分析結果に基づいて、移動クラッタのピーク周波数を検出する。スイッチ部4は、移動クラッタピーク検出部12の検出結果を参照し、FIRフィルタ2およびMTIフィルタ3の出力先の切り替え制御を行う。ノッチ周波数補正部13は、移動クラッタピーク検出部12から出力される周波数値に基づいて、フィルタ係数を調整する。移動クラッタ用FIRフィルタ14は、ノッチ周波数補正部13から出力されるフィルタ係数を用いて、スイッチ部4から出力される信号中の移動クラッタを抑圧する第3のクラッタ抑圧フィルタである。
【0015】
第1のFFT処理部5aは、FIRフィルタ2の出力信号、または移動クラッタ用FIRフィルタ14の出力信号をフーリエ変換する。第2のFFT処理部5bは、MTIフィルタ3の出力信号をフーリエ変換する。FFT出力選択部6は、第1のFFT処理部5aと第2のFFT処理部5bの出力結果を入力し、当該出力結果から後段の目標信号検出に使用するFFT出力結果を選択する。目標検出部7a,7b,・・・,7nは、FFT出力選択部6のFFT出力結果に基づいて目標信号を自動検出する。表示部8は、目標検出部7a,7b,・・・,7nから入力される目標検出結果をディスプレイなどの表示器上に表示する。なお、ディスプレイに表示する以外にも、音声出力による通知で構成してもよい。切替周波数データベース9は、FFT出力選択部6で用いる切替周波数を記憶する。
【0016】
次に、図2から図5を参照しながら、実施の形態1によるレーダ装置の動作について説明する。
図2は、実施の形態1によるレーダ装置のFIRフィルタおよびMTIフィルタの振幅特性を示す一例である。図3は、実施の形態1によるレーダ装置の切替周波数の算出を示す図である。図4は、実施の形態1によるレーダ装置のトランスバーサル型フィルタの構成を示す図である。図5は、実施の形態1によるレーダ装置の移動クラッタ用FIRフィルタの振幅特性を示す図である。
【0017】
送受信回路1の送信アンテナからパルス状の電波が放射され、放射された電波が目標物で反射された反射波が、送受信回路1の受信アンテナで受信される。受信された反射波は、送受信回路1において、位相検波されてベースバンドの受信信号に変換された後、標本化および量子化が施されてデジタル信号に変換される。デジタル変換された受信信号は、受信電波の位相を保持しており、I信号(In−phase signal)と、Q信号(Quadrature−phase signal)とを、それぞれ実部および虚部に持つ複素信号である。
【0018】
信号の標本化は、すべての受信信号に対して同じタイミングで行われ、送信信号を送信した時点から一定時間後に、一定周期で行われる。1つの受信信号からは、x1(n)、x2(n)、・・・、xk(n)で示される総数k個のデジタル受信信号が生成される。ここで、「n」をヒット番号と呼び、受信信号の時間因子を表すパラメータとして扱う。また、「k」はレンジビン番号と呼び、標本化の順番(レーダからの距離)を表すパラメータとして扱う。
以上の処理で得られたデジタル受信信号xk(n)は、送受信回路1の後段の構成への入力信号となる。
【0019】
送受信回路1から出力された受信信号xk(n)は分岐され、FIRフィルタ2、MTIフィルタ3およびスペクトル計算部11に出力される。まず、スペクトル計算部11は、受信信号xk(n)をFFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)処理などを適用してフーリエ変換を行い、周波数成分に変換する。周波数成分への変換は、フーリエ変換に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0020】
移動クラッタピーク検出部12は、スペクトル計算部11から入力される変換後の受信信号xk(n)について、静止クラッタのピークを示すドップラー周波数0付近を除いてピーク検出処理を行う。さらに、検出されたピーク周波数を移動クラッタの中心周波数とする。また、検出されたピークの強度が任意の値以上である場合、移動クラッタが存在すると判断する。任意の値としては、例えば受信機雑音電力に比べて10dBなど、適宜設定する。
【0021】
以下、移動クラッタピーク検出部12において、移動クラッタが存在しないと判断された場合と、移動クラッタが存在すると判断された場合とに分けて説明を行う。
(i)移動クラッタが存在しないと判断された場合
移動クラッタが存在しない、すなわち移動クラッタピーク検出部12が検出したピークの強度が任意の値より小さい場合であり、静止クラッタのみが存在するシングルクラッタモード時の動作について説明する。
移動クラッタピーク検出部12における検出結果はスイッチ部4のみに出力される。スイッチ部4は、MTIフィルタ3の出力側を第1のFFT処理部5bに接続し、FIRフィルタ2の出力側を第1のFFT処理部5aに接続する。すなわち、FIRフィルタ2の出力は移動クラッタ用FIRフィルタ14を通らない。
【0022】
スイッチ部4の切替制御が完了した時点で、MTIフィルタ3が受信信号xk(n)の処理を開始する。MTIフィルタ3として、ここでは一般的な多重消去器を例に説明する。MTIフィルタ3の伝達関数F(z)は、以下に示す式(1)で表される。
F(z)=(1−z-1L ・・・(1)
式(1)において、LはMTIフィルタ3の多重度を示し、フィルタ次数となる。4次のMTIフィルタ3の振幅特性の一例を図2の点線で示している。なお、図2のフィルタ振幅特性では、パルス繰り返し周波数で正規化した周波数の0〜0.5の範囲のみを表示している。
【0023】
また、MTIフィルタ3の処理と同時に、FIRフィルタ2が受信信号xk(n)の処理を開始する。FIRフィルタ2とし、受信信号xk(n)の通過域幅を広げるため、以下の式(2)で表される伝達関数G(z)を持つFIRフィルタを用いる。

式(2)において、αはフィルタ係数正規化のための定数であり、LはFIRフィルタ全体の次数であり、MはFIRフィルタの零点多重度を示す。a(m)はフィルタの通過域幅を調整するための0でない定数である。なお、式(2)で示す伝達関数G(z)を持つフィルタを用いる理由は、以下の2点である。
【0024】
まず、理由1としてz=1(f=0)に一重、または多重の阻止零点を形成することで、クラッタスペクトルの中心周波数近傍のフィルタゲインを小さくしてクラッタ抑圧比を大きくすることができるためである。理由2として多重消去器に比べるとクラッタ抑圧比は劣るが、式(2)の右辺第2項(Σの項)を設けることにより通過域幅を広くすることができ、移動目標(ドップラー周波数が0でない目標信号)がフィルタにより減衰する可能性が低くなるためである。
また、f=0に阻止零点を設定しない設計も可能である。例えば、f=0の両側、即ちf=±δfに零点を設定する(δfはごく小さな実数)。この場合、式(2)よりも通過域幅が広いフィルタを設計することができるが、クラッタ抑圧比は小さくなる。
【0025】
式(2)の右辺第2項(Σの項)はフィルタ通過域の特性をどのように設定するかによって決まる。この発明に係るレーダ装置100では、できるだけ低い次数で、且つできるだけ少ない設計パラメータでフィルタ通過域を広げる効果を得る点を重視することから、式(2)の右辺第2項(Σの項)は、a(0)=1、a(1)=rと設定する。このとき式(2)は、以下に示す式(3)で表される。
G(z)=α(1−Z-1M・(1+rz-1) ・・・(3)
式(3)で表される伝達関数G(z)を持つ4次のFIRフィルタ2の振幅特性の一例を図2の実線で示している。
【0026】
上述した式(3)において、新たに設けた変数rを調整することにより、クラッタ抑圧フィルタの通過域幅を変化させることができる。式(3)の右辺第一項は、多次のMTIフィルタ3と同じ形になっており、ドップラー周波数0のフィルタ利得を著しく下げてグランドクラッタを抑圧する効果がある。式(3)の右辺第二項は、MTIフィルタ3では通過域となる領域の利得を敢えて下げたような1次フィルタと同じ特性を示す。この両者を掛け合わせることで、MTIフィルタ3の振幅特性でピークを示していた領域の通過域利得をやや犠牲にして、その分通過域幅を広げることが可能になる。変数rが大きい程通過域幅を広げる効果があるが、逆に阻止域幅が狭くなるのでクラッタ抑圧性能は劣化する。従って、設計したFIRフィルタ2が所要の静止クラッタ抑圧性能を保持していることを確認しておく必要がある。
【0027】
式(1)のMTIフィルタ3、式(3)のFIRフィルタ2の伝達関数は、図4に示すようなトランスバーサル型フィルタの伝達関数に変形することができる。その際のフィルタ係数をhk(l)とすると、L次のフィルタ処理後の出力信号yk(n)は、以下に示す式(4)で表される。

出力信号yk(n)は、静止クラッタが抑圧された信号となる。
【0028】
次に、クラッタ抑圧処理が施された信号に対して、S/N改善のために、第1のFFT処理部5aおよび第2のFFT処理部5bにおいてコヒーレント積分処理を行う。以下に示す式(5)に基づいて離散フーリエ変換を行うが、ここでは高速に離散フーリエ変換を実施可能なFFT処理を用いる。

式(5)において、Nは受信信号xk(n)のヒット数、Pはフーリエ変換点数を表す。
【0029】
なお、以下の説明においては、MTIフィルタ3の出力信号とFIRフィルタ2の出力信号を区別するため、MTIフィルタ3の出力信号をFFTした結果をMFk(p)、FIRフィルタ2の出力信号をFFTした結果をFFk(p)とする。
【0030】
図2は、図1で示したレーダ装置100における、4次のMTIフィルタ3と4次のFIRフィルタ2の振幅特性の一例を示している。なお、図2では説明を容易にするため、周波数範囲を正規化した値で0から0.5までとしている。4次のMTIフィルタ3と4次のFIRフィルタ2の振幅特性は、正規化周波数0.38で交差している。従って、周波数範囲0〜0.38では、FIRフィルタ2の振幅利得がより高く、通過帯域がMTIフィルタ3より広いことが分かる。一方、周波数範囲0.38〜0.5では、MTIフィルタ3の振幅利得がより高くなることが分かる。
【0031】
このような特徴から、FFT出力選択部6は、図3に示すようにMTIフィルタ3とFIRフィルタ2の振幅特性が交差する周波数の値(正規化周波数0.38)を、切替周波数として設定し、設定した切替周波数に応じて第1のFFT処理部5aおよび第2のFFT処理部5bの出力結果のうちのいずれか一方を選択する。なお、出力結果の算出では、移動クラッタピーク検出部12の出力結果も参照する。切替周波数は事前に算出し、切替周波数データベース9に記憶されている。そのため、FFT出力選択部6は、切替周波数データベース9から該当するフィルタ次数やパラメータに対応する切替周波数の値を探索し、該当する値を読込む。この切替周波数の値をβ(>0)とすると、FFT出力選択部6は、以下に示す条件(A)あるいは条件(B)に基づいて出力信号を選択して目標検出部7a,7b,・・・,7nに出力する。
【0032】
・条件(A)
周波数チャンネル(p/P)が0からβの値をとる場合、または、1−β〜1.0の値をとる場合、FIRフィルタ2を選択して、FFk(p)を目標検出部7a,7b,・・・,7nに出力する。
・条件(B)
周波数チャンネル(p/P)がβから1−βの値をとる場合、MTIフィルタ3を選択して、MFk(p)を目標検出部7a,7b,・・・,7nに出力する。
なお、周波数チャネル(p/P)=βである場合には、FIRフィルタ2とMTIフィルタ3のいずれか一方を選択すればよい。
【0033】
なお、図3では、切替周波数βが0.38との値をとる場合を例に示したが、切替周波数βはMTIフィルタ3とFIRフィルタ2の次数や、FIRフィルタ設計時のパラメータによって変化するため、これらのパラメータを事前に組み合わせたフィルタの振幅特性を算出しておき、算出した振幅特性をパラメータ毎に切替周波数データベース9に記憶しておく必要がある。
【0034】
(ii)移動クラッタが存在すると判断された場合
次に、移動クラッタが存在する、すなわち移動クラッタピーク検出部12が検出したピークの強度が任意のしきい値以上である場合であり、静止クラッタおよび移動クラッタ双方が存在するダブルクラッタモード時の動作について説明する。
移動クラッタピーク検出部12における検出結果はスイッチ部4およびノッチ周波数補正部13に出力される。スイッチ部4は、MTIフィルタ3の出力側を開放し、FIRフィルタ2の出力側を移動クラッタ用フィルタ64に接続する。ノッチ周波数補正部13は、移動クラッタピーク検出部12から出力される周波数値に基づいて、移動クラッタ用FIRフィルタ14のフィルタ係数を調整する。FIRフィルタ2と移動クラッタ用フィルタ64の接続により移動クラッタが抑圧される。なお、FIRフィルタ2の出力信号は、既に静止クラッタが抑圧されていることから、移動クラッタ用FIRフィルタ14の出力信号は、2つのクラッタが抑圧された信号となる。
【0035】
図5に、移動クラッタ用FIRフィルタ14の一例として、4次FIRフィルタの振幅特性を示す。図5では、クラッタの正規化ドップラー周波数が0.2のときの4次FIRフィルタの振幅特性を示す。移動クラッタ用FIRフィルタ14として使用されるFIRフィルタは、ノッチ周波数が0のフィルタとして設計しておき、以下に示す式(6)に従ってノッチ周波数が移動クラッタの中心周波数に一致したフィルタ係数に調整する。

式(6)において、Lはフィルタ次数、hは調整後のフィルタ係数、hhは調整前のフィルタ係数、kは抑圧処理を行うレンジビン番号、f0は移動クラッタの中心周波数を示す。
【0036】
移動クラッタ用FIRフィルタ14においてクラッタ抑圧処理が施された信号は、第1のFFT処理部5aにおいてコヒーレント積分処理が行われ、FFT出力選択部6に出力される。なお、MTIフィルタ3の出力側は開放されていることから、FFT出力選択部6には第1のFFT処理部5aの処理結果のみが入力される。以降の処理は、上述した(i)における処理と同様である。
【0037】
このように、この実施の形態1のレーダ装置100では、静止クラッタのみを受信した場合と、静止クラッタおよび移動クラッタを同時に受信した場合とでそれぞれ異なる処理が行われる。
【0038】
上述した処理を全てのレンジビンkに対して行うことにより、FFT出力選択部6の出力は、距離と周波数の2次元データになる。目標検出部7a,7b,・・・,7nでは、周波数チャンネル毎に距離方向にCFAR(Constant False Alarm Ratio)などの自動検出処理を行うことにより、受信機雑音レベルより大きな目標信号が検出される。その結果、目標までの距離と目標の移動速度が算出される。目標検出部7a,7b,・・・,7nは、処理負荷を考慮して一次元の目標検出処理を想定したが、二次元の目標検出処理を行うように構成してもよい。表示部8は、目標検出部7a,7b,・・・,7nにおいて検出された目標信号に関する情報を表示する。
【0039】
以上のように、この実施の形態1によれば、フィルタ通過帯域幅が広いFIRフィルタ
2と、フィルタ通過域利得が高いMTIフィルタ3とを組み合わせてクラッタ抑圧処理を行うように構成したので、クラッタ抑圧性能と目標信号保存性能を両立させることができる。また、MTIフィルタ3を単独で用いる場合と比較して、フィルタ振幅特性による目標信号電力の劣化が軽減され、目標検出性能を改善することができる。
【0040】
また、この実施の形態1によれば、切替周波数に基づいて第1のFFT処理部5aの処理結果を出力するか、あるいは第2のFFT処理部5bの処理結果を出力するかを選択するFFT出力選択部6を備えるように構成したので、受信信号の周波数チャンネルに応じて最適なフィルタ処理結果を選択することができる。
【0041】
また、この実施の形態1によれば、移動クラッタ用FIRフィルタ14を別途設けるように構成したので、静止クラッタと移動クラッタを同時に受信した場合にも、静止および移動クラッタを抑圧することができ、目標検出性能を確保することができる。
【0042】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、静止クラッタおよび移動クラッタを同時に受信した場合にも良好な目標検出性能を有するレーダ装置100について示したが、静止クラッタと移動クラッタを異なるフィルタで抑圧するため、2段階のクラッタ抑圧処理を行う必要があった。そこでこの実施の形態2では、静止クラッタと移動クラッタを同一のフィルタで抑圧し、クラッタ抑圧処理の簡単化およびリソースの有効利用が可能なレーダ装置について説明する。
【0043】
図6は、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示すブロック図ある。実施の形態2のレーダ装置100´では、図1で示した実施の形態1のレーダ装置100のノッチ周波数補正部13および移動クラッタ用FIRフィルタ14に替えて、静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21、フィルタ選択部22およびフィルタ係数記憶部23を追加して設けている。またフィルタ数の増加に伴ってスイッチ部4´のスイッチも増設している。なお、以下では実施の形態1に係るレーダ装置の構成要素と同一または相当する部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0044】
静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21は、送受信回路1から入力される受信信号xk(n)を入力してクラッタを抑圧する第4のクラッタ抑圧フィルタである。実施の形態1と大きく異なる点は、静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21を設けた点であり、静止クラッタと移動クラッタを1つのフィルタで同時に抑圧することができる。スイッチ部4´は、移動クラッタピーク検出部12の検出結果を参照し、FIRフィルタ2、MTIフィルタ3および静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21の出力先の切り替え制御を行う。
【0045】
フィルタ選択部22は、移動クラッタピーク検出部12から出力される周波数値に基づいて、使用する静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21の係数をフィルタ係数記憶部23から選択し、選択したフィルタ係数を静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21に設定する。フィルタ係数記憶部23は、あらかじめ設計された複数種類の静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21のフィルタ係数を保持する。第3のFFT処理部5cは、静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21の出力信号をフーリエ変換する。FFT出力選択部6´は、第1のFFT処理部5a、第2のFFT処理部5bおよび第3のFFT処理部5cから入力される処理結果から、後段の目標信号検出に使用するFFT出力結果を選択する。目標検出部7は、FFT出力選択部6´の出力結果に基づいて目標信号を自動検出する。
【0046】
まず、フィルタ係数記憶部23が記憶するフィルタ係数の設計について説明する。レーダ装置100´は、あらかじめ静止クラッタと移動クラッタのドップラー周波数間隔をある程度想定しておき、当該想定に基づいて静止クラッタのドップラー周波数と移動クラッタのドップラー周波数との組み合わせを最大数算出し、算出したドップラー周波数の組み合わせに対してノッチを形成する1つのフィルタを設計し、設計したフィルタのフィルタ係数をフィルタ係数記憶部23に記憶させる。
【0047】
フィルタ選択部22は、移動クラッタピーク検出部12から出力される移動クラッタのピーク周波数(中心周波数)と周波数0にノッチを形成するFIRフィルタをフィルタ係数記憶部23から選択する。なお、一致するピーク周波数が存在しない場合には、できるだけピーク周波数に近いノッチ周波数を有するFIRフィルタを選択する。フィルタ選択部22の選択結果に基づいて、静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21が受信信号中の静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧し、スイッチ部4´を介して第3のFFT処置部3cに出力する。
【0048】
スイッチ部4´は、移動クラッタピーク検出部12の検出結果を参照し、FIRフィルタ2、MTIフィルタ3および静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21の出力先の切り替え制御を行う。
移動クラッタが検出されない場合には、FIRフィルタ2およびMTIフィルタ3の出力側が接続され、静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21の出力側が開放される。以降の処理は実施の形態1の(i)と同様に行われる。一方、移動クラッタが検出された場合には、FIRフィルタ2およびMTIフィルタ3の出力側が開放され、静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21の出力側が接続される。これにより、同時に受信した静止クラッタおよび移動クラッタ双方を抑圧することができる。
【0049】
静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21においてクラッタ抑圧処理が施された信号は、第3のFFT処理部5cにおいてコヒーレント積分処理が行われ、FFT出力選択部6に出力される。なお、FIRフィルタ2およびMTIフィルタ3の出力側は開放されていることから、FFT出力選択部6には第3のFFT処理部5cの処理結果のみが入力される。以降の処理は、上述した実施の形態1と同様である。
【0050】
このように、実施の形態2のレーダ装置では、静止クラッタのみを受信した場合には実施の形態1と同様の動作が実行され、加えて移動クラッタも同時に受信した場合には、静止クラッタおよび移動クラッタの双方を抑圧することができる。
【0051】
また、実施の形態2の構成とすることにより、クラッタ抑圧処理に費やされるヒット数を低減することができる。移動クラッタと静止クラッタのドップラー周波数が離れている場合、移動クラッタと静止クラッタを異なる2つのフィルタで抑圧した場合と、2つのノッチ周波数を有する1つのフィルタで抑圧した場合とでは、ほぼ同様な処理結果が得られる。しかし、図7に示すように、移動クラッタと静止クラッタとのドップラー周波数が比較的接近している場合、2つのフィルタを用いると2つのフィルタの阻止域がオーバーラップする割合が多くなるため、それぞれのノッチ周波数に対するフィルタの阻止域幅が広がることが分かっている。図7に示した例では、移動クラッタと静止クラッタの中心周波数が0と−0.1であるが、この間隔が更に近づいた場合この傾向は更に強くなる。
【0052】
ここで、正規化ドップラー周波数0にノッチを持つ抑圧フィルタと正規化ドップラー周波数−0.1にノッチを持つ抑圧フィルタの次数をそれぞれLa,Lbとする。また、図7に示すような2つのノッチを持つ抑圧フィルタの次数をLcとする。所要の抑圧被を満たすという条件で各フィルタの次数を設定すると、La+Lb≧Lcとの条件を満たす。従って、2つのノッチを有する抑圧フィルタを用いることにより、次数が少ないフィルタでの個別処理と同様なクラッタ抑圧処理が実現できるので、抑圧処理で消費されるヒット数を低減することができる。言い換えれば、後段の積分処理に利用するヒット数が増えるため、目標検出性能を改善することができる。
【0053】
以上のように、この実施の形態2によれば、移動クラッタピーク検出部12において移動クラッタのピーク周波数が検出されると、静止クラッタと移動クラッタのドップラー周波数に対してノッチを形成するフィルタを用いて静止クラッタおよび移動クラッタを同時に抑圧する静止・移動クラッタ用FIRフィルタ21を設けるように構成したので、1段階のクラッタ抑圧処理で静止クラッタと移動クラッタを抑圧することができる。これにより抑圧処理の簡素化およびリソースの有効利用が可能となる。また、次数が少ないフィルタでクラッタ抑圧処理を実現することができ、抑圧処理で消費されるヒット数を低減することができる。
【0054】
なお、上述した実施の形態2では、静止クラッタと移動クラッタをそれぞれ1つずつ受信した場合について説明したが、移動クラッタが複数種類受信された場合には、複数の移動クラッタに対してノッチを有するフィルタを用いることにより対応可能である。
【0055】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、スイッチ部4,4´を設けて実質的に接続先を切り替える構成を示したが、フィルタ出力制御部などの制御手段を設けることにより移動クラッタピーク検出部12の検出結果に基づいて後段へ出力すべき信号を制御するように構成してもよい。
【0056】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 送受信回路、2 FIRフィルタ、3 MTIフィルタ、4 スイッチ部、5a 第1のFFT処理部、5b 第2のFFT処理部、5c 3のFFT処理部、6 FFT出力選択部、7 目標検出部、8 表示部、9 切替周波数データベース、11 スペクトル計算部、12 移動クラッタピーク検出部、13 ノッチ周波数補正部、14 移動クラッタ用FIRフィルタ、21 静止・移動クラッタ用FIRフィルタ、22 フィルタ選択部、23 フィルタ係数記憶部、100 レーダ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス電波の送受信を行い、受信信号を生成する送受信処理手段と、
前記送受信処理手段が生成した受信信号の周波数分析を行うスペクトル計算手段と、
前記スペクトル計算手段の周波数分析結果を参照し、前記受信信号の移動クラッタを検出し、検出した移動クラッタのピーク周波数を検出する移動クラッタピーク検出手段と、
前記受信信号の静止クラッタを抑圧するFIRフィルタと、
前記受信信号の静止クラッタを抑圧するMTIフィルタと、
前記移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて、前記FIRフィルタおよびMTIフィルタの出力を制御する出力制御手段と、
前記移動クラッタピーク検出手段が検出した移動クラッタのピーク周波数に基づいて、フィルタ係数を調整するノッチ周波数補正手段と、
前記ノッチ周波数補正手段が調整したフィルタ係数を用いて、前記FIRフィルタの出力信号の移動クラッタを抑圧する移動クラッタ用FIRフィルタと、
前記FIRフィルタまたは前記移動クラッタ用FIRフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第1のFFT処理手段と、
前記MTIフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第2のFFT処理手段と、
前記FIRフィルタと前記MTIフィルタのうち振幅利得の高いフィルタからの出力信号への切り替えを示す切替周波数値を記憶する切替周波数データベースと、
前記移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて、前記切替周波数データベースを参照して設定した切替周波数値に応じて前記第1のFFT処理手段からの出力信号と前記第2のFFT処理手段からの出力信号のいずれか一方の出力信号を選択するFFT出力選択手段と、
前記FFT出力選択手段が選択した出力信号から目標を検出する目標検出手段とを備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
パルス電波の送受信を行い、受信信号を生成する送受信処理手段と、
前記送受信処理手段が生成した受信信号の周波数分析を行うスペクトル計算手段と、
前記スペクトル計算手段の周波数分析結果を参照し、前記受信信号の移動クラッタを検出し、検出した移動クラッタのピーク周波数を検出する移動クラッタピーク検出手段と、
前記受信信号の静止クラッタを抑圧するFIRフィルタと、
前記受信信号の静止クラッタを抑圧するMTIフィルタと、
静止クラッタおよび移動クラッタを同時に抑圧可能な複数種類のフィルタ係数を記憶するフィルタ係数記憶手段と、
前記移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて前記フィルタ係数記憶手段からフィルタ係数を選択するフィルタ選択手段と、
前記フィルタ選択手段が選択したフィルタ係数で、前記受信信号の静止クラッタおよび移動クラッタを抑圧する静止移動クラッタ用FIRフィルタと、
前記移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて、前記FIRフィルタ、前記MTIフィルタおよび前記静止移動クラッタ用FIRフィルタの出力を制御する出力制御手段と、
前記FIRフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第1のFFT処理手段と、
前記MTIフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第2のFFT処理手段と、
前記静止移動クラッタ用FIRフィルタの出力信号に対してコヒーレント積分を行う第3のFFT処理手段と、
前記第1のFFT処理手段または第3のFFT処理手段と、前記第2のFFT処理手段のうち振幅利得の高いフィルタからの出力信号への切り替えを示す切替周波数値を記憶する切替周波数データベースと、
前記移動クラッタピーク検出手段の検出結果に基づいて、前記切替周波数データベースを参照して切替周波数値を設定し、設定した切替周波数値に応じて前記第1のFFT処理手段からの出力信号、前記第2のFFT処理手段からの出力信号、あるいは前記第3のFFT処理手段からの出力信号のいずれかの出力信号を選択するFFT出力選択手段と、
前記FFT出力選択手段が選択した出力信号から目標を検出する目標検出手段とを備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
前記移動クラッタピーク検出手段において移動クラッタが検出されなかった場合、
前記出力制御手段は、前記FIRフィルタの出力信号を前記第1のFFT処理手段に出力し、前記MTIフィルタの出力信号を前記第2のFFT処理手段に出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記移動クラッタピーク検出手段において移動クラッタが検出された場合、
前記出力制御手段は、前記FIRフィルタの出力信号を前記移動クラッタ用FIRフィルタに入力し、
前記移動クラッタ用FIRフィルタは入力された出力信号の移動クラッタを抑圧し、移動クラッタを抑圧した出力信号を前記第1のFFT処理手段に出力することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記移動クラッタピーク検出手段において移動クラッタが検出された場合、
前記出力制御手段は、前記静止移動クラッタ用FIRフィルタの出力信号を前記第3のFFT処理手段に出力することを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記目標検出手段の検出結果を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113722(P2013−113722A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260385(P2011−260385)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】