レーダ装置
【課題】測距性能および距離分解能の向上を図ると共に、複数目標を目標の対処を可能にするレーダ装置を得る。
【解決手段】目標があらかじめ設定された範囲内の相対速度および相対距離を有し、相対速度を有する目標のPRI内距離のアンビギュィティを解く第1の条件と、相対距離を有する目標のPRI内の距離分解能が、FMレンジング後の距離分解能よりも高精度となる第2の条件とを備えたパラメータを設定し、設定したパラメータに基づき複数のPRIに渡って周波数変調されたキャリア信号に対してPRIでパルス内変調された送信信号を放射する送信機2を備えた。
【解決手段】目標があらかじめ設定された範囲内の相対速度および相対距離を有し、相対速度を有する目標のPRI内距離のアンビギュィティを解く第1の条件と、相対距離を有する目標のPRI内の距離分解能が、FMレンジング後の距離分解能よりも高精度となる第2の条件とを備えたパラメータを設定し、設定したパラメータに基づき複数のPRIに渡って周波数変調されたキャリア信号に対してPRIでパルス内変調された送信信号を放射する送信機2を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、距離アンビギュィティ(ambiguity:あいまいさ)を解消し,目標の距離を正確に測定するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PRI(Pulse Repetition Interval:パルス繰り返し周期)内に距離アンビギュィティがある場合に、アンビギュィティなく距離を測定する従来技術について、非特許文献1で示されたレーダ装置を例に説明する。
従来のPRI内に距離アンビギュィティがあるレーダ装置では、図15に示すように1CPI(Coherent Processing Interval:コヒーレントに処理可能な時間)の内、ドップラ周波数(速度)を算出するための一定周波数の送信信号を用いるパルスドップラ処理と、距離情報と速度情報を含むビート周波数を得るための複数PRIに渡って周波数変調を施した送信信号を用いるFM(Frequency Modulation)レンジング方式により、測距が行われる。FMレンジングで得られるビート周波数には速度と距離情報が含まれているため、事前にパルスドップラ処理で得られる速度情報を用いて、ビート周波数から距離情報を算出する。このように、パルスドップラ処理とFMレンジングを行うことにより、PRI内に距離アンビギュィティがある場合にも、目標との相対距離を算出することが可能になり、測距性能の改善が期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Guy Morris,“AIRBORNE PULSED DOPPLER RADAR second edition,”Artech House,pp.95-98,1996.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に代表される従来のレーダ装置では、パルスドップラ処理、および周波数変調を行うFMレンジング処理の2つの処理が必要となり、1CPIを2分割するため、1つの処理に対する観測時間が短縮され、検出性能が劣化するという課題があった。また、図16に示すように複数目標の対処を想定した場合、従来のレーダ装置ではパルスドップラ処理により、速度とFMレンジングによるビート周波数の組み合わせを解くために、パルスドップラ処理と、周波数変調が異なる2つのFMレンジング、つまり3つの処理が必要となり、1CPIを3分割するため、さらに検出性能が劣化するという課題があった。さらに、距離分解能を向上させるためには、FMレンジングの周波数変調帯域幅を広げる必要があるが、距離分解能に比例してあいまいさなく算出可能な距離は短縮されるため、距離分解能の高分解能化には限界があるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、PRI内に距離アンビギュィティが存在する場合における、検出性能、測距性能および距離分解能の向上を図ると共に、複数目標の対処を可能にするレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレーダ装置は、目標があらかじめ設定された範囲内の相対速度および相対距離を有し、相対速度を有する目標のPRI内距離のアンビギュィティを解く第1の条件と、相対距離を有する目標のPRI内の距離分解能が、FMレンジング後の距離分解能よりも高精度となる第2の条件とを備えたパラメータを設定し、設定したパラメータに基づき複数のPRIに渡って周波数変調されたキャリア信号に対してPRIでパルス内変調された送信信号を放射する送信機と、目標で反射して戻った送信信号を受信信号として受信し、この受信信号に対して、送信機から得られるキャリア信号を用いてダウンコンバートし受信ビート信号に変換する受信機と、受信機から得られる受信ビート信号に対しFMレンジングを行い、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成するPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部と、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部から得られるPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップに対し、信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出部と、目標候補検出部から得られる目標候補のFMレンジング後の距離を用いて、PRI内の距離の距離アンビギュィティを解消し目標との相対距離を高精度に算出する目標相対距離算出部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、1CPIを分割しないため検出性能の向上と、距離アンビギュィティなく、高い距離分解能を有するレーダ装置を得ることができる。また、複数目標の対処を可能にするレーダ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】送信信号の周波数と時間の関係を示す説明図である。
【図3】1CPIの周波数変調とパルス内符号変調した送信信号と受信信号の関係を示す説明図である。
【図4】PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを示す図である。
【図5】FMレンジングによる距離(目標相対速度が無い場合)、相関処理後の信号、PRI内測距結果を示す説明図である。
【図6】速度項による距離の移動量のFMレンジングの距離への影響を示す説明図である。
【図7】想定する最大目標相対速度の目標のPRI内距離のアンビギュィティを解くための条件を示す説明図である。
【図8】アンビギュィティなく計測可能なFMレンジングの距離RFM,ambと想定する最大目標相対距離Rtgt,maxの条件を示す説明図である。
【図9】送信信号のパラメータとFMレンジングの距離の関係を示す説明図である。
【図10】送信信号のパラメータに条件を設定した場合のFMレンジングの距離の性能への効果を示す説明図である。
【図11】4bit Barkerコードの説明図である。
【図12】実施の形態1によるレーダ装置の検出性能向上を示す説明図である。
【図13】CFAR処理に関わる注目セル、ガードセル、サンプルセルを示す説明図である。
【図14】CFAR処理の結果、CFAR閾値を越えるセルが集合した場合の処理内容を示す説明図である。
【図15】従来のレーダ装置の送信周波数を示す説明図であり、1目標の場合として、1CPIを2分割して処理を行った場合を示している。
【図16】従来のレーダ装置の送信周波数を説明する図である。ここでは、複数目標の場合として、1CPIを3分割して処理を行った場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
レーダ装置は、送信RF(高周波)信号を送信し、当該送信RF信号の反射RF信号を受信する空中線1、送信機2、受信機4、送信機2と受信機4を切り替えて空中線1に接続する送受信切替器3、受信機4で得られた受信ビート信号の処理を行う例えばコンピュータからなる信号処理器5、および信号処理器5での処理結果などを表示する表示器6を備えている。
【0010】
また、送信機2は、局部発振器21、パルス変調器22、パルス内変調信号発生器23および送信部24で構成されている。信号処理器5は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路などを有するコンピュータから構成され、ROMに記憶されるプログラムに従って、CPUで演算処理が行われる。信号処理器5の処理結果は、RAMなどのメモリに記録される。信号処理器5は、相関処理部52およびFM(Frequency Modulation)レンジング処理部53を備えるPRI(Pulse Repetition Interval)内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51、目標候補検出部54、および目標相対距離算出部55で構成されている。
【0011】
まず、図2および図3を参照しながら、受信ビート信号を生成するまでの動作について説明する。図2は、この実施の形態1によるレーダ装置の1CPI(coherent Pulse Interval)に対する処理を示す説明図である。図3は、実施の形態1によるレーダ装置の周波数変調およびパルス内符号変調を行った送信信号と受信信号の関係を示す説明図である。
図2において、P個のパルス信号の繰り返し送信数をCPI数と呼ぶ。1つのCPI(P=1)に、複数パルスに渡る周波数変調と、PRI内は相関処理すなわちパルス圧縮を行う処理(RGH:Range Gated High Pulse Repetition Frequency、以下、RGH処理と称する)を行う。このように、1つのCPIに対して1つの処理のみを行えばよいため、従来技術(図15、図16参照)のように複数の処理を行う必要がなく、1つの処理に対する観測時間が長くなり、検出性能を向上させることができる。
【0012】
図3において、f0は送信開始周波数、TLは送信信号周波数掃引時間、BLは送信信号帯域幅、T0ビート信号観測時間、B0はT0の時間間隔での送信信号帯域幅、Tp送信パルス幅、φ0は送信信号と局部発振信号の初期位相、cは光速を表している。また、送信信号周波数掃引時間TL内の周波数変調はアップチャープ変調として説明する。
【0013】
次に、図4および図5を参照しながら、送信機2における送信信号に関するパラメータの設定方法について説明する。
具体的には、後段の信号処理器5の目標相対距離算出部55において、図4に示すFMレンジングの距離と、PRI内の距離を用いて、図5に示すようなPRI内距離のアンビギュィティ(ambiguity:あいまいさ)をFMレンジングの距離で解き、PRI内の距離を用いて高分解能に測距可能とするために、送信信号のパラメータを最適値に設定する。
なお、以下では、目標相対速度が0の場合と、目標相対速度が0でない場合に分けて説明を行う。
【0014】
(i)目標相対速度が0の場合
PRI内の距離の距離アンビギュィティの解消と、ビート周波数から算出される距離(以下、FMレンジングによる距離と称する)の距離分解能よりも、相関処理後の距離分解能が高距離分解能となるような以下の式(1),(2),(3)の条件を満たすFMレンジングによる距離の距離分解能ΔR’FMとサンプリング間隔ΔRFM、相関処理後の距離分解能ΔR’PC、1PRIの折り返し距離Rpriを算出するパラメータ(ビート信号観測時間T0、T0の時間間隔での送信信号帯域幅B0、パルス繰り返し周期Tpri、サンプリング周波数Fsamp)が設定される。また、FMレンジングによる距離の距離分解能ΔR’FMは以下の式(4)、FMレンジングによる距離のサンプリング間隔ΔRFMは以下の式(5)、PRI内折返し距離Rpriは以下の式(6)、相関処理後の距離分解能ΔR’PCは以下の式(7)で算出される。ここで、HはFMレンジングのFFT点数を表す。
送信機2は、目標相対速度が0と限定できる場合、以上のように設定されたパラメータに基づいて動作する。
【0015】
【0016】
(ii)目標相対速度が0でない場合
FMレンジングの距離は、FMレンジングにより得られたビート周波数から算出することができる。相対距離R0、相対速度vの目標のビート周波数fbは以下の式(8)で表される。
【0017】
式(8)では、距離項(右辺第1項)と速度項(右辺第2項)が混在している。非特許文献1では、ビート周波数から距離を算出するため、事前に得た速度情報を用いて速度項を消去する(速度補償)する必要があり、これにより1CPIに複数の処理を行うためそれぞれの処理の観測時間が短縮され、検出性能が劣化するという問題が生じていたが、この実施の形態1のレーダ装置では、事前に速度情報を得ることなく、PRI内距離の距離アンビギュィティを解くことが可能なFMレンジングの距離条件を求める。これにより、事前に速度情報を得る必要がなく、RGH処理の観測時間を長く維持することが可能となり、検出性能を向上させることができる。
【0018】
ビート周波数fbに対して速度補償を行わないFMレンジング後の距離R’FMは、以下の式(9)で表される。式(9)に示すように、速度項の影響により、FMレンジング後の距離が移動してずれが生じ、PRI内距離折返し数に誤りが発生し、目標相対距離を正しく算出することができない(図6参照)。
【0019】
そこで、この実施の形態1のレーダ装置では、想定する最大目標相対距離Rtgt,maxと最大目標相対速度vtgt,maxの目標相対距離を算出するために、上述した式(1),(2),(3)に加え、送信信号のパラメータに2つの制約条件を同時に満たすように構成することにより、速度補償を行うことなく、高分解能に測距する。
【0020】
図6に示すように、速度補償を行わない場合、速度項により距離の移動量が大きくなり、PRI内距離折返し数を誤り、正しく高分解能に測距できないため、図7に示す想定する最大目標相対速度vtgt,maxの目標のPRI内距離のアンビギュィティを解くための条件を満たすパラメータを設定する。まず、想定する最大目標相対速度vtgt,maxを持つ目標のPRI内距離の距離アンビギュィティを解くための、以下の式(10)で表される速度項による距離の移動量Rv,moveの条件を設定する。ここで、パルス幅Tpとパルス繰り返し周期Tpriの比Dutyは、式(11)で表される。
【0021】
さらに、想定する最大目標相対距離Rtgt,maxをアンビギュィティなく計測可能にするための、以下の式(12)で表されるアンビギュィティのないFMレンジング後の距離RFM,ambの条件を設定する(図8参照)。
【0022】
送信機2は、以下に示す式(13)で表される式(10)と式(12)を同時に満たす送信信号のパラメータに基づいて動作する。
式(13)が示すように、相対距離0からRtgt,maxと相対速度−vtgt,maxからvtgt,maxの範囲内の目標を高分解能に距離を算出することができる。
【0023】
このように構成することにより、相対速度がある場合においても、正しくPRI内距離折返し数を算出することが可能になり、PRI内距離を用いることにより高分解能に距離を算出することができる。また、事前に速度情報を得る必要がないため、パルスドップラ処理の速度とFMレンジングによるビート周波数の組合せをする必要がなく、1CPIを全てRGH処理として複数目標の高分解能の距離を算出することができる。
【0024】
また、相対速度がある場合のパラメータ設定の効果の一例を示す。
図9は、異なる送信周波数において送信信号のパラメータとFMレンジングの距離の関係を示す説明図である。
図9(a)は、送信周波数f0’の場合(図9のパルス繰り返し周期Tpriの範囲)であって、式(13)を満たさない場合を示している、図9(b)は、送信周波数f0の場合(図9のパルス繰り返し周期Tpriの範囲)であって、式(13)を満たす場合を示している。図9(a)および図9(b)にそれぞれ一例として、設定したパラメータの一例を○●で示している。
【0025】
図10は、図9(a)および図9(b)とした場合の測距結果を示す説明図である。図9(a)のように式(13)を満たさない場合には、パラメータ○で示すように、速度項の影響が大きくなり、PRI内距離折り返し数を誤り、正しく測距することができない。一方、図9(b)のように式(13)を満たす場合には、パラメータ●で示すようにPRI内距離折り返し数を誤ることなく、精度よく測距することができる。この実施の形態1のレーダ装置の送信機2は、送信信号のパラメータが式(13)を満たすように構成することから、図10のパラメータ●で示すように、精度よく測距することができる。また、速度情報を得る処理を行う必要がなく、RGH処理の観測時間が長くなり、検出性能を向上させることができる。
【0026】
局部発振器21は、送信信号周波数掃引時間TL、送信信号帯域幅BLで周波数変調された局部発振信号L0(t)を生成し、パルス変調器22と受信機4に出力する。パルス変調器22は、局部発振器21から入力された局部発振信号L0(t)に対しパルス変調を行い、パルス変調された局部発振信号L’0(t)として、送信部24に出力する。パルス内変調信号発生器23は、図11に示す4bit Barkerコードをパルス内変調信号φ(t)として生成し、送信部24に出力する。パルス内変調信号として他のbit Barkerコードを用いてもよい。また、パルス内変調信号として他の符号変調や周波数変調を用いてもよい。送信部24は、パルス変調器22から入力されたパルス変調された局部発振信号L’0(t)に対して、パルス内変調信号発生器23から入力されたパルス内変調信号φ(t)を用いてパルス内変調を行い、第2の送信RF信号Tx(t)を送受切替器3に出力する。
【0027】
送受切替器3は、送信部24から入力された送信RF信号を空中線1に出力する。そして、空中線1から送信RF信号が空中に放射される。空中に放射された送信RF信号は、目標で反射され、反射RF信号として空中線1に入射する。そこで、空中線1は、入射してきた反射RF信号を受信し、受信RF信号として送受切替器3に出力する。送受切替器3は、空中線1から入力された受信RF信号を受信機4に出力する。
【0028】
受信機4は、送受切替器3から入力された第2の受信RF信号Rxtgt(n,t)に対し、局部発振器21から入力された局部発振信号L0(t)を用いてダウンコンバートした後、増幅、位相検波を行い、以下に示す式(14)で表わされる受信ビート信号S(n,m)として信号処理器5に出力する。
【0029】
なお、式(14)において、ASは受信ビート信号の振幅、nはビート信号観測時間T0内のパルス番号、Nはビート信号観測時間T0内の受信パルス数、mを1PRI内のサンプリング番号、Mを1PRI内のサンプリング点数、Δtを1PRI内のサンプリング時間、Toffsetは時刻2Rtgt,max/c以上で初めての送信パルス送信開始時刻、R(t)は時刻tの目標相対距離を表わしている。また、式(14)における
は受信ビート信号の速度項、
は受信ビート信号の距離項、
は変調符号を表している。
【0030】
次に、受信ビート信号に対する各構成の処理動作について説明する。
PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51は、相関処理部52とFMレンジング処理部53で構成され、受信ビート信号に対して相関処理とFMレンジングを行い、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成する。
【0031】
相関処理部52は、式(14)で表される受信ビート信号S(n,m)と参照信号Ex(mτ)との相関処理、つまりパルス圧縮を行う。ここでは、周波数領域での相関処理について説明する。
送信RF信号のパルス内変調成分と同じA/D変換後の参照信号Ex(mτ)は以下の式(15)で表される。
【0032】
式(15)において、mτはサンプリング番号、Mτは1PRIのサンプリング点数(以下の式(16)参照)、Fsampはサンプリング周波数、floor(X)は変数Xを越えない最大の整数を表す。
【0033】
相関処理部52は、受信ビート信号S(n,m)と参照信号Ex(mτ)を以下に示す式(17)および式(18)によりそれぞれ高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)した後、乗算する(以下の式(19)参照)。ここで、*は複素共役、lはPRI内サンプリング番号、L’は相関処理のFFT点数を表す。ただし、L’>Mの時にはS(n,m)に0を代入し、L’>Mτの時にはEx(mτ)に0を代入する。
【0034】
【0035】
また、相関処理部52は、相関処理後の信号を受信ビート信号のサンプリング間隔よりも高精度にサンプリングする場合、以下に示す式(20)により0を設定する。ここで、Lは相関処理の高速フーリエ逆変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)点数であり、以下に示す式(21)により表される。ただし、qは0以上の整数である。また、q=0の場合は、受信ビート信号のサンプリング間隔と同じサンプリング間隔になる。
【0036】
最後に、相関処理部52は、乗算結果FV・Ex(n,kr)に対して、以下の式(22)に基づき高速フーリエ逆変換(IFFT)を行い、相関処理の結果、すなわちパルス圧縮後の信号RV・Ex(n,l)を出力する。また、パルス圧縮後の信号RV・Ex(n,l)のサンプリング番号lに対応するPRI内相対距離RPC(l)は以下の式(23)により表される。
【0037】
FMレンジング処理部53は、以下の式(24)によりパルス圧縮後の信号RV・Ex(n,l)をPRI方向にH点でIFFTすることでPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップRFMRPC(kh,l)を出力する。ただし、H>Nの時にはRV・Ex(n,l)に0埋めを行う。受信パルス数より多いIFFT点数でIFFTを実行することにより高精度にサンプリングを行うことができる。ここで、khはFMレンジング後のサンプリング番号を表す。また、FMレンジング後のサンプリング番号に対応するPRI間相対距離RFM(kh)は以下の式(25)により表される。
【0038】
図16は、従来のレーダ装置の送信周波数を示す図である。図16の構成では、1CPIのうち、パルスドップラ処理および異なる2つの周波数変調を用いるFMレンジング方式を行う(1CPIを3等分割)場合を示している。図2に示した実施の形態1のレーダ装置の1CPIを全てRGH処理した場合と、図16の従来の構成との比較結果を図12に示している、図12に示すようにFMレンジング後の目標信号の電力が向上し、検出性能を向上させることができる。
【0039】
また、PRI間にIFFTの前に、例えば、PRI方向にハミング窓を乗算することで、クラッタのビート周波数方向のサイドローブを抑圧し、クラッタサイドローブに埋もれるのを抑制し、検出性能を向上させることができる。また、レーダとクラッタの関係に基づき、PRI方向にクラッタを抑圧するフィルタ(FIR(Finite Impulse Response)フィルタあるいはIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ)処理を用いてもよい。パルス内変調信号として周波数変調を用いた場合は、相関処理の際にも、参照信号にハミング窓を乗算することで、PRI内距離方向のサイドローブを抑圧し、クラッタサイドローブに埋もれるのを抑制し、検出性能を向上させることができる。
【0040】
上記のように、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51は、相関処理としてPRI内パルス圧縮、FMレンジングとしてPRI間IFFTを行うことにより、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ(図4参照)を目標候補検出部54に出力する。
【0041】
図13を参照し、PRI内の距離−ビート周波数マップRFMRFM(kh,l)に対するCFAR(Constant False Alarm Rate)処理による目標候補検出の処理内容を説明する。図13は、CFAR処理に関わる注目セル、ガードセル、サンプルセルを示す説明図である。
目標候補検出部54は、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51から得られるPRI内の距離−ビート周波数マップRFMRPC(kh ,l)に対し、以下に示す式(26)によりCFAR処理を行い、目標候補を検出し、目標候補のFMレンジングによる距離RFM(kh)とPRI内の距離RPC(l)を目標候補組合せ目標相対距離算出部55へ出力する。ここで、RFMRPC,CFAR(kh,l)はCFAR処理による目標候補検出結果を表し、目標候補は0が設定される。
式(26)で示すように、「注目セルの振幅値>サンプルセルの振幅の平均値×CFAR係数」との条件を満たす場合、注目説が目標候補として検出される。
【0042】
また、CFAR閾値 CFAR_th (kh,l)は以下に示す式(27)により算出する。
式(27)において、CFAR_corはCFAR係数、Samp_cell (kh,l)はサンプルセル、ave (Z(p))は配列Z(p)の平均値を表す。
ただし、図14のようにCFAR閾値CFAR_th(kh,l)を越えるセルが集合した場合は、集合のなかで振幅の最大値を示すセルを目標候補として検出する。図14では、CFAR閾値CFAR_th(kh,l)を越えたセルを斜線領域で示している。
【0043】
目標相対距離算出部55は、目標候補検出部54から入力された目標候補に対し、PRI内相対距離RPC(l)の距離アンビギュィティをPRI間相対距離RFM(kh)を用いて以下に示す式(28)により解き、PRI内距離折返し数NR,rtnを算出する。
【0044】
最後に、目標相対距離算出部55は、PRI内距離折返し数NR,rtnとPRI内相対距離RPC(l)を用いて、以下に示す式(29)により目標相対距離RFM,PCを算出し、表示器6に出力する。ここで、int(X)は変数Xを超えない最大の整数である。
表示器6は、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップと、目標候補がある場合、目標情報として目標相対距離を画面上に表示する。
【0045】
以上のように、この実施の形態1によれば、想定範囲内の相対距離と相対速度を持つ目標相対距離を算出できるようにパラメータを設定し、FMレンジングを行うための周波数変調とパルス内パルス圧縮を行うためのパルス内変調を施した送信RF信号を送受信し、受信ビート信号に対し、PRI内はパルス圧縮、PRI間はFMレンジングを行いPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成し、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップに対し、CFAR処理により目標候補を算出し、目標候補のPRI内の距離アンビギュィティをPRI間相対距離を用いて解き、目標相対距離を算出するように構成した。
【0046】
これにより、事前に速度情報を得ることなく目標相対距離を算出することができ、1CPIに1つのRGH処理のみを行えばよく、レーダ装置の検出性能を向上させることができる。さらに、高距離分解能を維持しつつ、距離アンビギュィティを持つPRI内相対距離を、FMレンジング後のPRI間相対距離を用いて解くことにより、距離アンビギュィティなく高距離分解能のレーダ装置を得ることができる。また、パルスドップラ処理による速度とFMレンジングによるビート周波数の組合せを行わずとも、複数目標に対処し、目標相対距離を算出可能なレーダ装置を得ることができる。
【0047】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 空中線、2 送信機、3 送受切替器、4 受信機、5 信号処理器、6 表示器、21 局部発振器、22 パルス変調器、23 パルス内変調信号発生器、24 送信部、51 PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部、52 相関処理部、53 FMレンジング処理部、54 目標候補検出部、55 目標相対距離算出部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、距離アンビギュィティ(ambiguity:あいまいさ)を解消し,目標の距離を正確に測定するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PRI(Pulse Repetition Interval:パルス繰り返し周期)内に距離アンビギュィティがある場合に、アンビギュィティなく距離を測定する従来技術について、非特許文献1で示されたレーダ装置を例に説明する。
従来のPRI内に距離アンビギュィティがあるレーダ装置では、図15に示すように1CPI(Coherent Processing Interval:コヒーレントに処理可能な時間)の内、ドップラ周波数(速度)を算出するための一定周波数の送信信号を用いるパルスドップラ処理と、距離情報と速度情報を含むビート周波数を得るための複数PRIに渡って周波数変調を施した送信信号を用いるFM(Frequency Modulation)レンジング方式により、測距が行われる。FMレンジングで得られるビート周波数には速度と距離情報が含まれているため、事前にパルスドップラ処理で得られる速度情報を用いて、ビート周波数から距離情報を算出する。このように、パルスドップラ処理とFMレンジングを行うことにより、PRI内に距離アンビギュィティがある場合にも、目標との相対距離を算出することが可能になり、測距性能の改善が期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Guy Morris,“AIRBORNE PULSED DOPPLER RADAR second edition,”Artech House,pp.95-98,1996.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に代表される従来のレーダ装置では、パルスドップラ処理、および周波数変調を行うFMレンジング処理の2つの処理が必要となり、1CPIを2分割するため、1つの処理に対する観測時間が短縮され、検出性能が劣化するという課題があった。また、図16に示すように複数目標の対処を想定した場合、従来のレーダ装置ではパルスドップラ処理により、速度とFMレンジングによるビート周波数の組み合わせを解くために、パルスドップラ処理と、周波数変調が異なる2つのFMレンジング、つまり3つの処理が必要となり、1CPIを3分割するため、さらに検出性能が劣化するという課題があった。さらに、距離分解能を向上させるためには、FMレンジングの周波数変調帯域幅を広げる必要があるが、距離分解能に比例してあいまいさなく算出可能な距離は短縮されるため、距離分解能の高分解能化には限界があるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、PRI内に距離アンビギュィティが存在する場合における、検出性能、測距性能および距離分解能の向上を図ると共に、複数目標の対処を可能にするレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレーダ装置は、目標があらかじめ設定された範囲内の相対速度および相対距離を有し、相対速度を有する目標のPRI内距離のアンビギュィティを解く第1の条件と、相対距離を有する目標のPRI内の距離分解能が、FMレンジング後の距離分解能よりも高精度となる第2の条件とを備えたパラメータを設定し、設定したパラメータに基づき複数のPRIに渡って周波数変調されたキャリア信号に対してPRIでパルス内変調された送信信号を放射する送信機と、目標で反射して戻った送信信号を受信信号として受信し、この受信信号に対して、送信機から得られるキャリア信号を用いてダウンコンバートし受信ビート信号に変換する受信機と、受信機から得られる受信ビート信号に対しFMレンジングを行い、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成するPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部と、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部から得られるPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップに対し、信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出部と、目標候補検出部から得られる目標候補のFMレンジング後の距離を用いて、PRI内の距離の距離アンビギュィティを解消し目標との相対距離を高精度に算出する目標相対距離算出部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、1CPIを分割しないため検出性能の向上と、距離アンビギュィティなく、高い距離分解能を有するレーダ装置を得ることができる。また、複数目標の対処を可能にするレーダ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】送信信号の周波数と時間の関係を示す説明図である。
【図3】1CPIの周波数変調とパルス内符号変調した送信信号と受信信号の関係を示す説明図である。
【図4】PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを示す図である。
【図5】FMレンジングによる距離(目標相対速度が無い場合)、相関処理後の信号、PRI内測距結果を示す説明図である。
【図6】速度項による距離の移動量のFMレンジングの距離への影響を示す説明図である。
【図7】想定する最大目標相対速度の目標のPRI内距離のアンビギュィティを解くための条件を示す説明図である。
【図8】アンビギュィティなく計測可能なFMレンジングの距離RFM,ambと想定する最大目標相対距離Rtgt,maxの条件を示す説明図である。
【図9】送信信号のパラメータとFMレンジングの距離の関係を示す説明図である。
【図10】送信信号のパラメータに条件を設定した場合のFMレンジングの距離の性能への効果を示す説明図である。
【図11】4bit Barkerコードの説明図である。
【図12】実施の形態1によるレーダ装置の検出性能向上を示す説明図である。
【図13】CFAR処理に関わる注目セル、ガードセル、サンプルセルを示す説明図である。
【図14】CFAR処理の結果、CFAR閾値を越えるセルが集合した場合の処理内容を示す説明図である。
【図15】従来のレーダ装置の送信周波数を示す説明図であり、1目標の場合として、1CPIを2分割して処理を行った場合を示している。
【図16】従来のレーダ装置の送信周波数を説明する図である。ここでは、複数目標の場合として、1CPIを3分割して処理を行った場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
レーダ装置は、送信RF(高周波)信号を送信し、当該送信RF信号の反射RF信号を受信する空中線1、送信機2、受信機4、送信機2と受信機4を切り替えて空中線1に接続する送受信切替器3、受信機4で得られた受信ビート信号の処理を行う例えばコンピュータからなる信号処理器5、および信号処理器5での処理結果などを表示する表示器6を備えている。
【0010】
また、送信機2は、局部発振器21、パルス変調器22、パルス内変調信号発生器23および送信部24で構成されている。信号処理器5は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路などを有するコンピュータから構成され、ROMに記憶されるプログラムに従って、CPUで演算処理が行われる。信号処理器5の処理結果は、RAMなどのメモリに記録される。信号処理器5は、相関処理部52およびFM(Frequency Modulation)レンジング処理部53を備えるPRI(Pulse Repetition Interval)内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51、目標候補検出部54、および目標相対距離算出部55で構成されている。
【0011】
まず、図2および図3を参照しながら、受信ビート信号を生成するまでの動作について説明する。図2は、この実施の形態1によるレーダ装置の1CPI(coherent Pulse Interval)に対する処理を示す説明図である。図3は、実施の形態1によるレーダ装置の周波数変調およびパルス内符号変調を行った送信信号と受信信号の関係を示す説明図である。
図2において、P個のパルス信号の繰り返し送信数をCPI数と呼ぶ。1つのCPI(P=1)に、複数パルスに渡る周波数変調と、PRI内は相関処理すなわちパルス圧縮を行う処理(RGH:Range Gated High Pulse Repetition Frequency、以下、RGH処理と称する)を行う。このように、1つのCPIに対して1つの処理のみを行えばよいため、従来技術(図15、図16参照)のように複数の処理を行う必要がなく、1つの処理に対する観測時間が長くなり、検出性能を向上させることができる。
【0012】
図3において、f0は送信開始周波数、TLは送信信号周波数掃引時間、BLは送信信号帯域幅、T0ビート信号観測時間、B0はT0の時間間隔での送信信号帯域幅、Tp送信パルス幅、φ0は送信信号と局部発振信号の初期位相、cは光速を表している。また、送信信号周波数掃引時間TL内の周波数変調はアップチャープ変調として説明する。
【0013】
次に、図4および図5を参照しながら、送信機2における送信信号に関するパラメータの設定方法について説明する。
具体的には、後段の信号処理器5の目標相対距離算出部55において、図4に示すFMレンジングの距離と、PRI内の距離を用いて、図5に示すようなPRI内距離のアンビギュィティ(ambiguity:あいまいさ)をFMレンジングの距離で解き、PRI内の距離を用いて高分解能に測距可能とするために、送信信号のパラメータを最適値に設定する。
なお、以下では、目標相対速度が0の場合と、目標相対速度が0でない場合に分けて説明を行う。
【0014】
(i)目標相対速度が0の場合
PRI内の距離の距離アンビギュィティの解消と、ビート周波数から算出される距離(以下、FMレンジングによる距離と称する)の距離分解能よりも、相関処理後の距離分解能が高距離分解能となるような以下の式(1),(2),(3)の条件を満たすFMレンジングによる距離の距離分解能ΔR’FMとサンプリング間隔ΔRFM、相関処理後の距離分解能ΔR’PC、1PRIの折り返し距離Rpriを算出するパラメータ(ビート信号観測時間T0、T0の時間間隔での送信信号帯域幅B0、パルス繰り返し周期Tpri、サンプリング周波数Fsamp)が設定される。また、FMレンジングによる距離の距離分解能ΔR’FMは以下の式(4)、FMレンジングによる距離のサンプリング間隔ΔRFMは以下の式(5)、PRI内折返し距離Rpriは以下の式(6)、相関処理後の距離分解能ΔR’PCは以下の式(7)で算出される。ここで、HはFMレンジングのFFT点数を表す。
送信機2は、目標相対速度が0と限定できる場合、以上のように設定されたパラメータに基づいて動作する。
【0015】
【0016】
(ii)目標相対速度が0でない場合
FMレンジングの距離は、FMレンジングにより得られたビート周波数から算出することができる。相対距離R0、相対速度vの目標のビート周波数fbは以下の式(8)で表される。
【0017】
式(8)では、距離項(右辺第1項)と速度項(右辺第2項)が混在している。非特許文献1では、ビート周波数から距離を算出するため、事前に得た速度情報を用いて速度項を消去する(速度補償)する必要があり、これにより1CPIに複数の処理を行うためそれぞれの処理の観測時間が短縮され、検出性能が劣化するという問題が生じていたが、この実施の形態1のレーダ装置では、事前に速度情報を得ることなく、PRI内距離の距離アンビギュィティを解くことが可能なFMレンジングの距離条件を求める。これにより、事前に速度情報を得る必要がなく、RGH処理の観測時間を長く維持することが可能となり、検出性能を向上させることができる。
【0018】
ビート周波数fbに対して速度補償を行わないFMレンジング後の距離R’FMは、以下の式(9)で表される。式(9)に示すように、速度項の影響により、FMレンジング後の距離が移動してずれが生じ、PRI内距離折返し数に誤りが発生し、目標相対距離を正しく算出することができない(図6参照)。
【0019】
そこで、この実施の形態1のレーダ装置では、想定する最大目標相対距離Rtgt,maxと最大目標相対速度vtgt,maxの目標相対距離を算出するために、上述した式(1),(2),(3)に加え、送信信号のパラメータに2つの制約条件を同時に満たすように構成することにより、速度補償を行うことなく、高分解能に測距する。
【0020】
図6に示すように、速度補償を行わない場合、速度項により距離の移動量が大きくなり、PRI内距離折返し数を誤り、正しく高分解能に測距できないため、図7に示す想定する最大目標相対速度vtgt,maxの目標のPRI内距離のアンビギュィティを解くための条件を満たすパラメータを設定する。まず、想定する最大目標相対速度vtgt,maxを持つ目標のPRI内距離の距離アンビギュィティを解くための、以下の式(10)で表される速度項による距離の移動量Rv,moveの条件を設定する。ここで、パルス幅Tpとパルス繰り返し周期Tpriの比Dutyは、式(11)で表される。
【0021】
さらに、想定する最大目標相対距離Rtgt,maxをアンビギュィティなく計測可能にするための、以下の式(12)で表されるアンビギュィティのないFMレンジング後の距離RFM,ambの条件を設定する(図8参照)。
【0022】
送信機2は、以下に示す式(13)で表される式(10)と式(12)を同時に満たす送信信号のパラメータに基づいて動作する。
式(13)が示すように、相対距離0からRtgt,maxと相対速度−vtgt,maxからvtgt,maxの範囲内の目標を高分解能に距離を算出することができる。
【0023】
このように構成することにより、相対速度がある場合においても、正しくPRI内距離折返し数を算出することが可能になり、PRI内距離を用いることにより高分解能に距離を算出することができる。また、事前に速度情報を得る必要がないため、パルスドップラ処理の速度とFMレンジングによるビート周波数の組合せをする必要がなく、1CPIを全てRGH処理として複数目標の高分解能の距離を算出することができる。
【0024】
また、相対速度がある場合のパラメータ設定の効果の一例を示す。
図9は、異なる送信周波数において送信信号のパラメータとFMレンジングの距離の関係を示す説明図である。
図9(a)は、送信周波数f0’の場合(図9のパルス繰り返し周期Tpriの範囲)であって、式(13)を満たさない場合を示している、図9(b)は、送信周波数f0の場合(図9のパルス繰り返し周期Tpriの範囲)であって、式(13)を満たす場合を示している。図9(a)および図9(b)にそれぞれ一例として、設定したパラメータの一例を○●で示している。
【0025】
図10は、図9(a)および図9(b)とした場合の測距結果を示す説明図である。図9(a)のように式(13)を満たさない場合には、パラメータ○で示すように、速度項の影響が大きくなり、PRI内距離折り返し数を誤り、正しく測距することができない。一方、図9(b)のように式(13)を満たす場合には、パラメータ●で示すようにPRI内距離折り返し数を誤ることなく、精度よく測距することができる。この実施の形態1のレーダ装置の送信機2は、送信信号のパラメータが式(13)を満たすように構成することから、図10のパラメータ●で示すように、精度よく測距することができる。また、速度情報を得る処理を行う必要がなく、RGH処理の観測時間が長くなり、検出性能を向上させることができる。
【0026】
局部発振器21は、送信信号周波数掃引時間TL、送信信号帯域幅BLで周波数変調された局部発振信号L0(t)を生成し、パルス変調器22と受信機4に出力する。パルス変調器22は、局部発振器21から入力された局部発振信号L0(t)に対しパルス変調を行い、パルス変調された局部発振信号L’0(t)として、送信部24に出力する。パルス内変調信号発生器23は、図11に示す4bit Barkerコードをパルス内変調信号φ(t)として生成し、送信部24に出力する。パルス内変調信号として他のbit Barkerコードを用いてもよい。また、パルス内変調信号として他の符号変調や周波数変調を用いてもよい。送信部24は、パルス変調器22から入力されたパルス変調された局部発振信号L’0(t)に対して、パルス内変調信号発生器23から入力されたパルス内変調信号φ(t)を用いてパルス内変調を行い、第2の送信RF信号Tx(t)を送受切替器3に出力する。
【0027】
送受切替器3は、送信部24から入力された送信RF信号を空中線1に出力する。そして、空中線1から送信RF信号が空中に放射される。空中に放射された送信RF信号は、目標で反射され、反射RF信号として空中線1に入射する。そこで、空中線1は、入射してきた反射RF信号を受信し、受信RF信号として送受切替器3に出力する。送受切替器3は、空中線1から入力された受信RF信号を受信機4に出力する。
【0028】
受信機4は、送受切替器3から入力された第2の受信RF信号Rxtgt(n,t)に対し、局部発振器21から入力された局部発振信号L0(t)を用いてダウンコンバートした後、増幅、位相検波を行い、以下に示す式(14)で表わされる受信ビート信号S(n,m)として信号処理器5に出力する。
【0029】
なお、式(14)において、ASは受信ビート信号の振幅、nはビート信号観測時間T0内のパルス番号、Nはビート信号観測時間T0内の受信パルス数、mを1PRI内のサンプリング番号、Mを1PRI内のサンプリング点数、Δtを1PRI内のサンプリング時間、Toffsetは時刻2Rtgt,max/c以上で初めての送信パルス送信開始時刻、R(t)は時刻tの目標相対距離を表わしている。また、式(14)における
は受信ビート信号の速度項、
は受信ビート信号の距離項、
は変調符号を表している。
【0030】
次に、受信ビート信号に対する各構成の処理動作について説明する。
PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51は、相関処理部52とFMレンジング処理部53で構成され、受信ビート信号に対して相関処理とFMレンジングを行い、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成する。
【0031】
相関処理部52は、式(14)で表される受信ビート信号S(n,m)と参照信号Ex(mτ)との相関処理、つまりパルス圧縮を行う。ここでは、周波数領域での相関処理について説明する。
送信RF信号のパルス内変調成分と同じA/D変換後の参照信号Ex(mτ)は以下の式(15)で表される。
【0032】
式(15)において、mτはサンプリング番号、Mτは1PRIのサンプリング点数(以下の式(16)参照)、Fsampはサンプリング周波数、floor(X)は変数Xを越えない最大の整数を表す。
【0033】
相関処理部52は、受信ビート信号S(n,m)と参照信号Ex(mτ)を以下に示す式(17)および式(18)によりそれぞれ高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)した後、乗算する(以下の式(19)参照)。ここで、*は複素共役、lはPRI内サンプリング番号、L’は相関処理のFFT点数を表す。ただし、L’>Mの時にはS(n,m)に0を代入し、L’>Mτの時にはEx(mτ)に0を代入する。
【0034】
【0035】
また、相関処理部52は、相関処理後の信号を受信ビート信号のサンプリング間隔よりも高精度にサンプリングする場合、以下に示す式(20)により0を設定する。ここで、Lは相関処理の高速フーリエ逆変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)点数であり、以下に示す式(21)により表される。ただし、qは0以上の整数である。また、q=0の場合は、受信ビート信号のサンプリング間隔と同じサンプリング間隔になる。
【0036】
最後に、相関処理部52は、乗算結果FV・Ex(n,kr)に対して、以下の式(22)に基づき高速フーリエ逆変換(IFFT)を行い、相関処理の結果、すなわちパルス圧縮後の信号RV・Ex(n,l)を出力する。また、パルス圧縮後の信号RV・Ex(n,l)のサンプリング番号lに対応するPRI内相対距離RPC(l)は以下の式(23)により表される。
【0037】
FMレンジング処理部53は、以下の式(24)によりパルス圧縮後の信号RV・Ex(n,l)をPRI方向にH点でIFFTすることでPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップRFMRPC(kh,l)を出力する。ただし、H>Nの時にはRV・Ex(n,l)に0埋めを行う。受信パルス数より多いIFFT点数でIFFTを実行することにより高精度にサンプリングを行うことができる。ここで、khはFMレンジング後のサンプリング番号を表す。また、FMレンジング後のサンプリング番号に対応するPRI間相対距離RFM(kh)は以下の式(25)により表される。
【0038】
図16は、従来のレーダ装置の送信周波数を示す図である。図16の構成では、1CPIのうち、パルスドップラ処理および異なる2つの周波数変調を用いるFMレンジング方式を行う(1CPIを3等分割)場合を示している。図2に示した実施の形態1のレーダ装置の1CPIを全てRGH処理した場合と、図16の従来の構成との比較結果を図12に示している、図12に示すようにFMレンジング後の目標信号の電力が向上し、検出性能を向上させることができる。
【0039】
また、PRI間にIFFTの前に、例えば、PRI方向にハミング窓を乗算することで、クラッタのビート周波数方向のサイドローブを抑圧し、クラッタサイドローブに埋もれるのを抑制し、検出性能を向上させることができる。また、レーダとクラッタの関係に基づき、PRI方向にクラッタを抑圧するフィルタ(FIR(Finite Impulse Response)フィルタあるいはIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ)処理を用いてもよい。パルス内変調信号として周波数変調を用いた場合は、相関処理の際にも、参照信号にハミング窓を乗算することで、PRI内距離方向のサイドローブを抑圧し、クラッタサイドローブに埋もれるのを抑制し、検出性能を向上させることができる。
【0040】
上記のように、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51は、相関処理としてPRI内パルス圧縮、FMレンジングとしてPRI間IFFTを行うことにより、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ(図4参照)を目標候補検出部54に出力する。
【0041】
図13を参照し、PRI内の距離−ビート周波数マップRFMRFM(kh,l)に対するCFAR(Constant False Alarm Rate)処理による目標候補検出の処理内容を説明する。図13は、CFAR処理に関わる注目セル、ガードセル、サンプルセルを示す説明図である。
目標候補検出部54は、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部51から得られるPRI内の距離−ビート周波数マップRFMRPC(kh ,l)に対し、以下に示す式(26)によりCFAR処理を行い、目標候補を検出し、目標候補のFMレンジングによる距離RFM(kh)とPRI内の距離RPC(l)を目標候補組合せ目標相対距離算出部55へ出力する。ここで、RFMRPC,CFAR(kh,l)はCFAR処理による目標候補検出結果を表し、目標候補は0が設定される。
式(26)で示すように、「注目セルの振幅値>サンプルセルの振幅の平均値×CFAR係数」との条件を満たす場合、注目説が目標候補として検出される。
【0042】
また、CFAR閾値 CFAR_th (kh,l)は以下に示す式(27)により算出する。
式(27)において、CFAR_corはCFAR係数、Samp_cell (kh,l)はサンプルセル、ave (Z(p))は配列Z(p)の平均値を表す。
ただし、図14のようにCFAR閾値CFAR_th(kh,l)を越えるセルが集合した場合は、集合のなかで振幅の最大値を示すセルを目標候補として検出する。図14では、CFAR閾値CFAR_th(kh,l)を越えたセルを斜線領域で示している。
【0043】
目標相対距離算出部55は、目標候補検出部54から入力された目標候補に対し、PRI内相対距離RPC(l)の距離アンビギュィティをPRI間相対距離RFM(kh)を用いて以下に示す式(28)により解き、PRI内距離折返し数NR,rtnを算出する。
【0044】
最後に、目標相対距離算出部55は、PRI内距離折返し数NR,rtnとPRI内相対距離RPC(l)を用いて、以下に示す式(29)により目標相対距離RFM,PCを算出し、表示器6に出力する。ここで、int(X)は変数Xを超えない最大の整数である。
表示器6は、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップと、目標候補がある場合、目標情報として目標相対距離を画面上に表示する。
【0045】
以上のように、この実施の形態1によれば、想定範囲内の相対距離と相対速度を持つ目標相対距離を算出できるようにパラメータを設定し、FMレンジングを行うための周波数変調とパルス内パルス圧縮を行うためのパルス内変調を施した送信RF信号を送受信し、受信ビート信号に対し、PRI内はパルス圧縮、PRI間はFMレンジングを行いPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成し、PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップに対し、CFAR処理により目標候補を算出し、目標候補のPRI内の距離アンビギュィティをPRI間相対距離を用いて解き、目標相対距離を算出するように構成した。
【0046】
これにより、事前に速度情報を得ることなく目標相対距離を算出することができ、1CPIに1つのRGH処理のみを行えばよく、レーダ装置の検出性能を向上させることができる。さらに、高距離分解能を維持しつつ、距離アンビギュィティを持つPRI内相対距離を、FMレンジング後のPRI間相対距離を用いて解くことにより、距離アンビギュィティなく高距離分解能のレーダ装置を得ることができる。また、パルスドップラ処理による速度とFMレンジングによるビート周波数の組合せを行わずとも、複数目標に対処し、目標相対距離を算出可能なレーダ装置を得ることができる。
【0047】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 空中線、2 送信機、3 送受切替器、4 受信機、5 信号処理器、6 表示器、21 局部発振器、22 パルス変調器、23 パルス内変調信号発生器、24 送信部、51 PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部、52 相関処理部、53 FMレンジング処理部、54 目標候補検出部、55 目標相対距離算出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標との相対距離を算出し、目標検出を行うレーダ装置において、
前記目標があらかじめ設定された範囲内の相対速度および相対距離を有し、前記相対速度を有する目標のPRI内距離のアンビギュィティを解く第1の条件と、前記相対距離を有する目標のPRI内の距離分解能が、FMレンジング後の距離分解能よりも高精度となる第2の条件とを備えたパラメータを設定し、設定したパラメータに基づき複数のPRIに渡って周波数変調されたキャリア信号に対してPRIでパルス内変調された送信信号を放射する送信機と、
目標で反射して戻った前記送信信号を受信信号として受信し、この受信信号に対して、前記送信機から得られる前記キャリア信号を用いてダウンコンバートし受信ビート信号に変換する受信機と、
前記受信機から得られる受信ビート信号に対しFMレンジングを行い、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成するPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部と、
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部から得られるPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップに対し、信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出部と、
前記目標候補検出部から得られる目標候補のFMレンジング後の距離を用いて、PRI内の距離の距離アンビギュィティを解消し目標との相対距離を高精度に算出する目標相対距離算出部とを備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、当該レーダ装置とクラッタの関係に基づき、前記PRI方向にクラッタを抑圧するフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、前記PRI方向に窓関数処理を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、前記受信ビート信号の受信パルス数よりも大きい点数で、前記受信ビート信号に対してFMレンジングを行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、前記受信ビート信号、および前記送信信号のパルス変調成分に基づく参照信号に対してパルス内変調である相関処理を行う相関処理部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記相関処理部は、前記パルス内変調として周波数領域で相関処理を行った後、前記参照信号に窓関数処理を行うことを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記相関処理部は、前記パルス内変調として周波数領域で相関処理を行った後、前記相関処理後の信号に対して前記受信ビート信号のサンプリング間隔よりも大きい点数で時間領域に変換する処理を行うことを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
【請求項1】
目標との相対距離を算出し、目標検出を行うレーダ装置において、
前記目標があらかじめ設定された範囲内の相対速度および相対距離を有し、前記相対速度を有する目標のPRI内距離のアンビギュィティを解く第1の条件と、前記相対距離を有する目標のPRI内の距離分解能が、FMレンジング後の距離分解能よりも高精度となる第2の条件とを備えたパラメータを設定し、設定したパラメータに基づき複数のPRIに渡って周波数変調されたキャリア信号に対してPRIでパルス内変調された送信信号を放射する送信機と、
目標で反射して戻った前記送信信号を受信信号として受信し、この受信信号に対して、前記送信機から得られる前記キャリア信号を用いてダウンコンバートし受信ビート信号に変換する受信機と、
前記受信機から得られる受信ビート信号に対しFMレンジングを行い、目標との相対距離を算出するためのPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップを作成するPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部と、
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部から得られるPRI内の距離−FMレンジング後の距離マップに対し、信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出部と、
前記目標候補検出部から得られる目標候補のFMレンジング後の距離を用いて、PRI内の距離の距離アンビギュィティを解消し目標との相対距離を高精度に算出する目標相対距離算出部とを備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、当該レーダ装置とクラッタの関係に基づき、前記PRI方向にクラッタを抑圧するフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、前記PRI方向に窓関数処理を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、前記受信ビート信号の受信パルス数よりも大きい点数で、前記受信ビート信号に対してFMレンジングを行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記PRI内の距離−FMレンジング後の距離マップ作成部は、前記受信ビート信号、および前記送信信号のパルス変調成分に基づく参照信号に対してパルス内変調である相関処理を行う相関処理部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記相関処理部は、前記パルス内変調として周波数領域で相関処理を行った後、前記参照信号に窓関数処理を行うことを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記相関処理部は、前記パルス内変調として周波数領域で相関処理を行った後、前記相関処理後の信号に対して前記受信ビート信号のサンプリング間隔よりも大きい点数で時間領域に変換する処理を行うことを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−113723(P2013−113723A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260389(P2011−260389)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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