説明

レーダ装置

【課題】車両の遠方にいる歩行者等の物体、および、車両に近接した歩行者等物体の双方を高感度で検出できるレーダ装置を提供すること。
【解決手段】レーダ装置は、仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームを放射する水平用送受信アンテナと、水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射する高仰角用送受信アンテナとを備える。また、レーダ装置は、指向性ビームを放射するアンテナを水平用送受信アンテナおよび高仰角用送受信アンテナのいずれか一方に切り替えるための切替手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置に関し、より特定的には、歩行者検出等に用いられる車載用のレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の衝突事故防止のために、ミリ波レーダ等の車載レーダを搭載する車両が知られている(例えば、特許文献1)。上記特許文献1に開示されている車両のミリ波レーダでは、アンテナビーム幅が約4°のアンテナを地表から約1〜2mの高さに設け、かつ、アンテナビーム中心が垂直面内で−4°以上(水平から下向きをマイナス)に設けている。このようなミリ波レーダを用いて歩行者の検出を行う場合、上記のようにアンテナビーム幅を約4°という幅にすることで、歩行者以外の物体、例えば、標識や看板等が検知されて不要な動作が行われることを軽減することができる。また、コスト削減等の観点からしても、仰角が狭い範囲のものは有利なものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−211116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような上記特許文献1に開示されたミリ波レーダ搭載車両においては、以下に示す問題点があった。上記特許文献1は、主に建設車両を想定したものであるため、ミリ波レーダの搭載高として、地表から約1〜2mの高さに設けられている。このミリ波レーダを一般的な乗用車に適用すると、車載レーダの搭載高は、地表から約30cm〜1m程度の高さに搭載されることが考えられる。しかし、この搭載高で歩行者検出を行おうとする場合、歩行者が車両に接近しているような状況下では、主に歩行者の足にしか電波が照射されない。すなわち、図19に示すように、ミリ波レーダのビーム幅が4°という狭い幅であるため、遠くの歩行者についてはほぼ全身に電波を照射でき、その反射波によって歩行者検出はできるが、歩行者が車両に接近した状況では、主に歩行者の足にしか電波が照射されない。つまり、電波が当たる面積が狭く、更に、歩行時の足は動きが激しく、その角度も垂直とならないため、電波の反射も乱れ、安定した強度の反射波が得られない。その結果、歩行者検出が困難となるという問題があった。
【0005】
例えば、仮に、車両から20m先の歩行者を検出したとしても、その歩行者が10m以下に接近した状態となったときに、一度検出した歩行者を検出できなくなる、つまり、一度検出した歩行者を見失なってしまう状態となる。そのため、歩行者が20m先にいたときには、例えば、事故の発生を未然に防ぐための処理が実行されるにも関わらず、歩行者が10m以内のような、より事故の危険性の高い状況において、肝心の歩行者検出ができずに上記のような事故の発生を未然に防ぐための処理が実行されなくなってしまうという問題があった。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、車両の遠方にいる歩行者等の物体、および、車両に近接した歩行者等物体の双方を高感度で検出できるレーダ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係の一例を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームと水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射するための送信手段(12)と、物体により反射された送信手段が放射した指向性ビームの反射波を受信するための受信手段(13)とを備え、送信手段は、指向性のピーク方向が水平方向である水平用送信アンテナ(14)と、アンテナビーム幅が水平用送信アンテナよりも広角であり、指向性のピーク方向が水平より上方の所定の方向である高仰角用送信アンテナ(15、21)とを含む。また、受信手段は、水平用送信アンテナから放射された指向性ビームの反射波を受信するための水平用受信アンテナ(16)と、高仰角用送信アンテナから放射された指向性ビームの反射波を受信するための高仰角用受信アンテナ(17、22)とを含む。また、レーダ装置は、指向性ビームを放射するアンテナを水平用送信アンテナおよび高仰角用送信アンテナのいずれか一方に切り替えるための切替手段(18)を更に備える、レーダ装置である。
【0009】
第1の発明によれば、車両に近接した歩行者の胴体部に指向性ビームを照射することができ、強度の高い安定した反射波を得ることができる。その結果、より正確な歩行者検出が可能となる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、水平用送信アンテナは、アンテナビーム幅が4°であって、指向性のピーク方向が0°の方向であり、高仰角用送信アンテナは、アンテナビーム幅が10°であって、指向性のピーク方向が3°の方向である。
【0011】
第2の発明によれば、車両に近接した歩行者に対して、より確実に指向性ビームを照射でき、より強い反射波を得ることができる。
【0012】
第3の発明は、仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームと水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射するための送信手段(12)と、物体により反射された送信手段が放射した指向性ビームの反射波を受信するための受信手段(13)とを備え、送信手段または受信手段のいずれか一方は、指向性のピーク方向が水平方向である水平用アンテナと、アンテナビーム幅が前記水平用アンテナよりも広角であり、指向性のピーク方向が水平より上方である所定の方向である高仰角用アンテナとを含む。また、送信手段または受信手段のいずれか一方は、水平用アンテナのアンテナビーム幅と高仰角用アンテナのアンテナビーム幅との双方を合成した範囲の感度を有している受信アンテナ(22)を含む。
【0013】
第3の発明によれば、1つの受信アンテナだけで上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0014】
第4の発明は、仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームと、ビーム幅が水平方向よりも広角でかつ水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射するための送信手段(12)と、物体により反射された送信手段が放射した指向性ビームの反射波を受信するための受信手段(13)とを備え、送信手段は、水平方向への指向性を有する指向性ビームと水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを合成した指向性を有する特殊指向性ビームを放射する。
【0015】
第4の発明によれば、複数のアンテナ間の切替処理を行うことなく、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、歩行者が車両に近接しているような状況においても、当該歩行者の検出漏れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる車載レーダ装置10の機能構成を示したブロック図
【図2】第1および第2の送信アンテナから発射される指向性ビームの照射範囲を模式的に示した図
【図3】第1の送信アンテナから発射される指向性ビームの照射範囲を模式的に示した図
【図4】第1および第2の送信アンテナから発射される指向性ビームの照射範囲を模式的に示した図
【図5】仰角が0°のときの歩行者検出結果を示すグラフ
【図6】仰角が3°のときの歩行者検出結果を示すグラフ
【図7】仰角が6°のときの歩行者検出結果を示すグラフ
【図8】仰角が9°のときの歩行者検出結果を示すグラフ
【図9】車載レーダ装置10によって実行される歩行者検出処理を示すフローチャート
【図10】第2の実施形態にかかる車載レーダ装置20の機能構成を示したブロック図
【図11】第2の実施形態にかかるアンテナの照射範囲を模式的に示した図
【図12】車載レーダ装置20によって実行される歩行者検出処理を示すフローチャート
【図13】第3の実施形態にかかる車載レーダ装置30の機能構成を示したブロック図
【図14】第4の実施形態で用いるパターンマップについて説明するための図
【図15】第4の実施形態で用いるパターンマップについて説明するための図
【図16】第4の実施形態にかかる検出処理を示すフローチャート
【図17】第5の実施形態にかかる車載レーダ装置50の機能構成を示したブロック図
【図18】第4の送信アンテナの指向性ビームを模式的に示した図
【図19】従来のミリ波レーダの照射範囲を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる車載レーダ装置10の機能構成を示したブロック図である。図1において、車載レーダ装置10は、レーダ本体部11と送信部12と受信部13で構成される。レーダ本体部11は、制御部としてのCPU18や、後述するような処理を実行するためのプログラム等が格納されたメモリ19を含む。そして、レーダ本体部11(より正確には、レーダ本体部11に搭載されているCPUであるが、以下では、単にレーダ本体部と称する)は、送信信号を送信部12に出力する。また、レーダ本体部11は、受信部13から出力される受信信号を取得する。より具体的には、送信信号の出力によって送信部12に取り付けられている送信アンテナ14または15(後述)から車両前方へ送信波を発射し、物体に衝突して反射した反射波(いわゆる後方散乱波)を受信部13に取り付けられている受信アンテナ16または17(後述)で受信する。これにより、レーダ本体部11は、車両と物体との距離および相対速度を探知する。また、レーダ本体部11は、後述するような切替信号を送信部12および受信部13に出力する。
【0020】
送信部12には、第1の送信アンテナ14と第2の送信アンテナ15が取り付けられている。これらのアンテナは、典型的にはミリ波送信アンテナであり、レーダ本体部11から出力される送信信号に応じて送信波を発射する。また、第1の送信アンテナ14、第2の送信アンテナ15共に、発射される指向性ビームの幅は4°(±2°;水平から下向きをマイナス)である。また、第1の送信アンテナ14は、仰角面内指向性が水平面がピークとなるように車両に取り付けられる。一方、第2の送信アンテナ15は、仰角面内指向性が仰角5°がピークとなるように取り付けられる。そして、レーダ本体部11から出力される切替信号に応じて、いずれか一方のアンテナに切り替え可能に構成されている。つまり、レーダ本体部11から出力される送信信号に基づく送信波は、切替状態に応じて、第1の送信アンテナ14および第2の送信アンテナ15のいずれか一方から発射されることになる。換言すれば、送信部12は、レーダ本体部11からの切替信号に応じて、使用する送信アンテナを第1の送信アンテナ14および第2の送信アンテナ15のいずれか一方に切り替える機能を有している。
【0021】
受信部13には、第1の受信アンテナ16と第2の受信アンテナ17が取り付けられている。これらのアンテナは、典型的にはミリ波受信アンテナであり、上記反射波を受信する。ここで、第1の受信アンテナ16は上記第1の送信アンテナ14に対応しており、第1の送信アンテナ14から発射され、物体に衝突して反射した反射波を受信する。同様に、第2の受信アンテナ17は、第2の送信アンテナ15から発射され、物体に衝突して反射した反射波を受信する。そのため、第1の受信アンテナ16は、上記第1の送信アンテナの水平角に合わせて設けられており、第2の受信アンテナ17は、上記第2の送信アンテナ15の水平角に合わせて設けられている。また、上記送信部12と同様に、受信部13は、レーダ本体部11から出力される切替信号に応じて、使用する受信アンテナを第1の受信アンテナ16および第2の受信アンテナ17のいずれか一方に切り替える機能を有している。
【0022】
次に、図2〜図4を用いて、本発明の原理および処理概要について説明する。図2は、第1および第2の送信アンテナから発射される指向性ビームの照射範囲を模式的に示した図である。図2において、指向性ビーム141は、第1の送信アンテナ14から発射されたビーム(以下、第1のビーム)を示し、指向性ビーム151は、第2の送信アンテナ15から発射されたビーム(以下、第2のビーム)を示している。第1のビーム141は、上記のように水平面がピークとなるような仰角面内指向性を有している。対して、第2のビーム151は、仰角5°がピークとなるような仰角面内指向性を有している。
【0023】
本実施形態では、通常は、第1の送信アンテナ14および第1の受信アンテナ16(以下、両アンテナを合わせて第1のアンテナセットと呼ぶ)を用いて歩行者検出処理を実行する。そして、第1のアンテナセットで歩行者が検出され、当該歩行者が所定の距離内まで車両に近づくと、第2の送信アンテナ15および第2の受信アンテナ17(以下、両アンテナを合わせて第2のアンテナセットと呼ぶ)を用いた歩行者検出処理を実行する。すなわち、第1のアンテナセットと第2のアンテナセットを併用して歩行者検出処理を実行する。
【0024】
まず、第1のアンテナセットで歩行者検出を行う場合、レーダ装置10の搭載高を0.5mとすると、20m先の電波照射範囲は、
0.5m ± 20m ×tan(2°) = 0m〜1.2m
となり、図3に示すように、路面から車や歩行者などの主要な部分に送信波を照射することができる。しかし、10m先の電波照射範囲は、
0.5m ± 10m ×tan(2°) = 0.15m〜0.85m
となり、歩行者の場合であれば、図3に示すように、胴体部にはほとんど送信波が照射されなくなる。更に、10m以下の近接した状況となると、ほとんど歩行者の足にしか送信波が照射されなくなる。足は送信波が照射される面積も狭い上に、歩行中であれば動きも激しく、角度も垂直とならないため、送信波が強く反射されない。そのため、安定した強度の反射波が得られない。
【0025】
そこで、本実施形態では、第1のアンテナセットで歩行者が検出され、当該歩行者が所定の距離内、例えば10m以内まで接近した状況となれば、上記のように、第2のアンテナセットを併用しながら歩行者検出処理を実行する(図4参照)。第2の送信アンテナ15の電波照射範囲は、10m先では、
0.5m + 10m ×tan(3°)〜0.5m + 10m ×tan(7°)
= 1.02m〜1.73m
となり、歩行者の膝から上への照射面積が第1の送信アンテナ14の場合よりも大きくなる。また、2m先の場合を考えても、
0.5m + 2m ×tan(3°)〜0.5m + 2m ×tan(7°)
= 0.60m〜0.75m
となり、この場合も歩行者の膝から上への照射面積を比較的大きくすることができる。つまり、歩行時でも動きの少ない部分に送信波を照射することができるので、より強度の高く安定した反射波を取得することが可能となる。これによって、より正確な歩行者検出が可能となる。
【0026】
ここで、上述したような、第2のアンテナセットについて、仰角面内指向性のピークを仰角5°とした点について、補足説明する。図5〜図8は、レーダ装置の搭載高を45cmとして、10m先の正面から歩いて接近する歩行者を検出した結果の軌跡を示すグラフである。図5は、アンテナの中心仰角(指向性がピークとなる仰角)が0deg(つまり、水平)の場合、図6は、中心仰角が3deg、図7は、中心仰角が6deg、図8は、中心仰角が9degに設定した場合の検出結果を示している。また、図5〜図8においては、レーダ装置は、横位置“0m”、距離“0m”の位置にある。また、各グラフ内の黒点が、歩行者を検出したことを示している。これらの図で示されるように、中心仰角が0deg(図5)のときよりも、中心仰角3deg(図6)あるいは6deg(図7)の場合の方が、より歩行者の検出頻度が高くなっている。しかし、中心仰角が9deg(図8)となると、中心仰角3degあるいは6degの場合よりも歩行者の検出頻度が低下している。つまり、仰角が9degとなると、アンテナが上を向きすぎた状態となり、照射された送信波が歩行者の頭上を抜けてしまう状態となっている。このような検出頻度の特性から、(レーダ装置の搭載高を45cmの場合の)アンテナの中心仰角としては、約3°〜7°の間の値が好ましいと考えられる。そこで、本実施形態では、中心仰角として、この範囲内のほぼ中心値となる5°に設定している。なお、第2のアンテナセットの中心仰角についてはレーダ装置の搭載高等に応じて、適宜実験やシミュレーションを行い、歩行者検出頻度の高い角度に適宜調整すればよい。
【0027】
次に、図9を参照して、レーダ装置10によって実行される歩行者検出処理について説明する。図9は、車載レーダ装置10によって実行される歩行者検出処理の全体処理を示すフローチャートである。なお、図9に示すステップS1〜ステップS12の処理ループは、1/30秒毎に繰り返し実行される。
【0028】
図9において、まず、レーダ本体部11は、第1のアンテナセットへの切替信号を出力する(ステップS1)。すなわち、レーダ本体部11は、送信部12に、使用する送信アンテナを第1の送信アンテナ14へ切り替えるための指示信号を出力し、受信部13に、使用する受信アンテナを第1の受信アンテナ16へ切り替えるための指示信号を出力する。切り替えが終了すれば、レーダ本体部11は、送信信号を第1の送信アンテナ14に出力する。これにより、第1の送信アンテナ14から送信波が発射される。
【0029】
次に、レーダ本体部11は、第1の受信アンテナ16からの受信信号を取得し、当該受信信号に基づいて歩行者検出処理を実行する(ステップS2)。なお、このような受信信号に基づいて検出する技術は公知であるため、ここでは具体的な処理についての説明は省略する。
【0030】
次に、レーダ本体部11は、ステップS2における歩行者検出処理の結果、歩行者が検出されたか否かを判定する(ステップS3)。当該判定の結果、歩行者が検出されていなければ(ステップS3でNO)、レーダ本体部11は、上記ステップS2に戻り、処理を繰り返す。
【0031】
一方、歩行者が検出されたときは(ステップS3でYES)、次に、レーダ本体部11は、上記受信信号に基づいて、本レーダ装置10が搭載されている車両と上記検出された歩行者との間の距離を算出する(ステップS4)。なお、受信信号に基づいて歩行者との距離を算出する技術は公知であるため、具体的な処理についての説明は省略する。
【0032】
次に、レーダ本体部11は、ステップS4で算出された距離が10m以下であるか否かを判定する(ステップS5)。当該判定の結果、10m以下ではないときは(ステップS5でNO)、レーダ本体部11は、上記ステップS2に戻り、処理を繰り返す。
【0033】
一方、10m以下と判定されたときは(ステップS5でYES)、歩行者が車両に接近している状況と考えられるため、レーダ本体部11は、第2のアンテナセットへの切替信号を出力する(ステップS6)。すなわち、レーダ本体部11は、送信部12に、使用する送信アンテナを第2の送信アンテナ15へ切り替えるための指示信号を出力し、受信部13に、使用する受信アンテナを第2の受信アンテナ17へ切り替えるための指示信号を出力する。その後、レーダ本体部11は、送信信号を第2の送信アンテナ15に出力する。これにより、第2の送信アンテナ15から送信波が発射される。
【0034】
次に、レーダ本体部11は、第2の受信アンテナ17からの受信信号を取得し、当該受信信号に基づいて歩行者検出処理を実行する(ステップS7)。検出結果は、上記メモリ19に一時的に記憶される。
【0035】
次に、レーダ本体部11は、第1のアンテナセットへの切替信号を出力する(ステップS8)。当該処理は、上記ステップS1の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0036】
次に、レーダ本体部11は、第1の受信アンテナ16からの受信信号を取得し、当該受信信号に基づいて歩行者検出処理を実行する(ステップS9)。当該処理は、上記ステップS2の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0037】
次に、レーダ本体部11は、上記ステップS7およびS9における歩行者検出処理の結果、いずれかにおいて歩行者が検出されたか否かを判定する(ステップS10)。当該判定の結果、上記いずれかの検出処理において歩行者が検出されていたときは(ステップS10でYES)、レーダ本体部11は、所定の処理、例えば、歩行者の存在に運転者の注意を向けるための表示を行う処理や、ブレーキの利きをよくする(ブレーキの反応速度を速くする処理)ための処理など、事故の発生を未然に防ぐための処理(以下、歩行者警戒処理と呼ぶ)を実行する。その後、レーダ本体部11は、上記ステップS6に戻り、処理を繰り返す。
【0038】
一方、ステップS10の判定の結果、上記ステップS7およびS9における歩行者検出処理のいずれにおいても歩行者が検出されていないときは(ステップS10でNO)、歩行者が接近していない状態であると考えられるため、レーダ本体部11は、上記ステップS11で実行していた歩行者警戒処理を停止・解除等する処理であるクリア処理を実行する。その後、レーダ本体部11は、上記ステップS2に戻り、処理を繰り返す。以上のような処理が、エンジン停止等による処理終了条件が発生するまで繰り返し実行される。以上で、レーダ装置10によって実行される歩行者検出処理の説明を終了する。
【0039】
このように、本実施形態では、それぞれ指向性ピークの仰角が異なる2つのアンテナセットを設け、歩行者が車両に接近していることが検出されたときは、これら2つのアンテナセットを併用して歩行者検出処理を行う。これにより、歩行者接近時における歩行者の検出漏れを防ぐことが可能となる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、図10から図12を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、歩行者の接近(歩行者が車両から10m以内に存在する状態)が検出された後、第1アンテナセットと第2のアンテナセットを併用して歩行者検出処理を実行している。これに対して、第2の実施形態では、歩行者の接近が検出された後は、後述する第3のアンテナセットのみで歩行者検出処理を実行する。
【0041】
図10は、第2の実施形態にかかる車載レーダ装置20の構成を示したブロック図である。第2の実施形態にかかる車載レーダ装置20は、基本的には、上述した第1の実施形態と同様であるが、第2の送信アンテナ15と第2の受信アンテナ17の代わりに、第3の送信アンテナ21と第3の受信アンテナ22を備えている。第3の送信アンテナ21は、その指向性が第2の送信アンテナ15とは異なっている。より具体的には、第3の送信アンテナ21は、指向性ビームの幅が10°(−2°〜+8°)であり、仰角面内指向性については仰角3°がピークとなるように取り付けられている。また、第3の受信アンテナ22も、当該第3の送信アンテナ21に対応するものとなっている。すなわち、第3の受信アンテナ22の仰角面内指向性は、必要な範囲をカバーするために、第3の送信アンテナ21に併せて10°となっている。なお、この10°という値は、図5〜図8を用いて上述したような、歩行者の検出頻度が良好と考えられる範囲を考慮した値となっている。以下、両アンテナを合わせて第3のアンテナセットと呼ぶ。また、図10において、当該第3のアンテナセットにかかる部分以外は第1の実施形態と同様であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
次に、第2の実施形態における処理概要を説明する。図11は、第2の実施形態にかかるアンテナの照射範囲を模式的に示した図である。図11において、指向性ビーム211は、第3の送信アンテナ21から照射される指向性ビームである(以下、第3のビームと呼ぶ)。図11に示すように、第3のビーム211の幅は10°であり、第1のビーム141より広いビーム幅となっている。そのため、直線性については第1のビーム141よりも低下し、第1のビーム141のように遠くまでは電波が届かないが、送信波の照射範囲は第1のビーム141よりも広角度である。このような構成において、上述の第1の実施形態と同様に、通常は、第1のアンテナセットを用いる歩行者検出処理が実行される。
【0043】
第1のアンテナセットにおいて歩行者が検出された後、当該歩行者が所定距離内まで接近したことが検出されれば、歩行者検出に用いるアンテナセットが第3のアンテナセットへと切り替えられる。そして、第2の実施形態では、当該第3のアンテナセットのみを用いて歩行者検出処理が実行される。上記のように、第3の送信アンテナ21から照射される第3のビームの幅は10°という広角度となっている。そのため、車両に接近した歩行者等の物体に対しても、広い照射範囲を確保できる。つまり、車両にかなり接近している歩行者に対しても、その胴体部に送信波を照射することが可能となる。その結果、強度が強く安定した反射波を取得することができ、第3のアンテナセットのみを用いても十分な歩行者検出が可能となる。これにより、歩行者接近後の検出処理について、上記第1の実施形態よりも検出処理の回数を減らすことができ、レーダ本体部11の処理負荷を軽減することができる。
【0044】
次に、第2の実施形態における車載レーダ装置20によって実行される歩行者検出処理の詳細について説明する。図12は車載レーダ装置20によって実行される歩行者検出処理を示すフローチャートである。図12において、第2の実施形態における歩行者検出処理は、上述の第1の実施形態で図9を用いて説明したステップS1からステップS12の処理のうち、ステップS8およびS9を省いた処理となる。つまり、歩行者の接近が検出された後における第1のアンテナセットへの切り替えにかかる処理を省いた処理となっている。また、ステップS10の処理に代わり、ステップS21の処理が実行される。ステップS21においては、レーダ本体部11は、ステップS7における第2のアンテナセットを用いた歩行者検出処理の結果、歩行者が検出されたか否かを判定する処理が実行される。そして、当該判定の結果、第2のアンテナセットにおいて歩行者が検出されたときは(ステップS21でYES)、上記ステップS11の処理、すなわち、上記歩行者警戒処理が実行される。一方、第2のアンテナセットにおいて歩行者が検出されなかったときは(ステップS21でNO)、歩行者は接近していない状態になったと考えられるため、上記ステップS12の処理、すなわち、ステップS11で実行していた歩行者警戒処理の停止や解除等が行われる。
【0045】
このように、第2の実施形態では、仰角面内指向性が広角のアンテナ(第3のアンテナセット)と狭角のアンテナ(第1のアンテナセット)とを搭載する構成をとる。そして、通常は狭角のアンテナを用いて歩行者検出処理を行い、歩行者の接近を検出した後は、広角のアンテナに切り替えて歩行者検出処理を行う。これにより、歩行者の接近検出後の処理において、2つのアンテナを切り替える(併用する)必要がなくなり、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0046】
なお、上述の第2の実施形態では、歩行者の接近が検出された後は、第3のアンテナセットのみを用いて歩行者検出処理を行っていたが、この際、歩行者の急な飛び出しをも検知可能とするために、第1のアンテナセットを適宜併用するようにしてもよい。この場合、上述の第1の実施形態のような頻度(1/30秒毎)よりも少ない頻度で第1のアンテナセットによる検出処理を行うようにすればよい。なお、第1の実施形態と同じ頻度で当該検出処理を行った場合は、第1の実施形態における第2のアンテナセットを第3のアンテナセットに置き換えたものに相当することになるが、この場合は、より確実な歩行者検出が可能となる点で有利であり、第1の実施形態における頻度よりも少ない頻度で当該検出処理を行う場合は、処理負荷を軽減できる点で有利である。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、図13を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図13は、第3の実施形態にかかる車載レーダ装置30の構成を示した図である。図13に示されるように、第3の実施形態にかかる車載レーダ装置30は、第1の実施形態、または第2の実施形態にかかる車載レーダ装置20の構成から、受信アンテナを1つ省き、第3の受信アンテナ22の1つだけとする構成となっている。
【0048】
すなわち、第3の実施形態においては、第3の受信アンテナ22を用いて、第1の送信アンテナ14、第2の送信アンテナあるいは第3の送信アンテナ21から発射された送信波に基づく反射波を受信する。つまり、第1の送信アンテナ14、第2の送信アンテナ15、第3の送信アンテナ21のそれぞれ指向性ビーム幅をカバーできるような、広角で受信できるようなアンテナが必要となり、ここでは、上記3つの送信アンテナのビーム幅を全てカバーしている第3の受信アンテナ22を用いている。
【0049】
つまり、上述した第1の実施形態を基に考えると、上記第1の送信アンテナ14および第2の送信アンテナ15と、両送信アンテナのビーム幅(図2の例でいうと、合計で9°となる)をカバーできる、第3の受信アンテナ22(ビーム幅は10°)との組み合わせとなる。また、上述の第2の実施形態を基に考えると、上記第1の送信アンテナ14および第3の送信アンテナ21と、両送信アンテナのビーム幅をカバーできる、第3の受信アンテナ22との組み合わせとなる。そして、このような構成において、上記第1の実施形態または第2の実施形態で説明したような処理が実行される。但し、受信アンテナが1つだけという構成であるため、受信アンテナの切り替えにかかる処理は行われないことになる。
【0050】
このように、第3の実施形態では、2つの送信アンテナのビーム幅をカバーできるような受信アンテナを1つだけ用いるように構成する。これにより、上記第1の実施形態および第2の実施形態で説明した歩行者検出処理から受信アンテナの切り替えにかかる処理を省くことができる。その結果、処理負荷を更に軽減しながらも、上記第1の実施形態および第2の実施形態で説明した機能を実現することが可能となる。
【0051】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態にかかる車載レーダ装置について説明する。この車載レーダ装置の機能構成を示すブロック図は、第1の実施形態と同様である(図1参照)。しかし、本実施形態では、レーダ本体部11のメモリには第1の実施形態とは部分的に異なるプログラムが格納され、レーダ本体部11はそのプログラムを実行することにより、第1の実施形態とは異なる機能をも実現する。
【0052】
次に、第4の実施形態にかかる車載レーダ装置の処理概要を説明する。本実施形態の構成は、上記のように、第1の実施形態と同様であり、仰角面内指向性のピークの角度がそれぞれ異なる2つのアンテナセットを用いている。ここで、これら2つのアンテナセットの水平面内指向性(角度に対する振幅変化と位相変化)は同じであるとする。この場合、第1のアンテナセットを用いて受信した受信信号である複素信号Saと、第2のアンテナセットを用いて受信した複素信号Sbとは、その性質が異なるものとなる。つまり、両アンテナセットの仰角面内指向性が異なっているために、送信波が衝突した物体が同じ物体であっても、その物体の仰角によって、複素信号SaとSbとでは、振幅(信号強度)比や位相差が異なったものとなる。本実施形態では、このような性質を利用した歩行者や車両、および標識等の周辺構造物の検出処理を行う。すなわち、予め歩行者等を想定した物体を用いて、上記のような受信信号(複素信号SaおよびSb)の違いのパターンを記録したパターンマップデータを作成しておき、実際の走行時における検出処理において、受信信号と当該パターンマップデータとを比較して、記録されているパターンに一致するか否かを判定することで歩行者等の検出を行う。より具体的には、予め、上記歩行者等を想定した物体を用意し、当該物体の仰角を変化させて受信信号を取得する。図14は、当該受信信号の取得方法の一例を示す模式図である。図14では、アンテナ141から所定の距離だけ離れた位置に歩行者142が存在している。この状態から、当該歩行者142がアンテナ141に向かって近づいていく(歩行者が移動することで上記物体の仰角が変化することになる)。そして、当該歩行者がアンテナ142に近づいていく過程における受信信号を取得し、各仰角に対する振幅比や位相差を記録したマップ(検出時における振幅比と位相差の組み合わせパターン)をパターンマップデータとしてレーダ本体部11内のメモリ19に予め保存する。例えば、10m地点に上記物体があるときは、第1のアンテナセットと第2のアンテナセットとの反射波の位相差や振幅比等の情報がパターンマップデータとして記録される。図15は、当該パターンマップの一例を示す模式図である。図15では、横軸(X軸)が第1のアンテナセットの受信レベルを示し、縦軸(Y軸)が第2のアンテナセットのレベルを示す。また、奥行き方向に向かう軸(Z軸)がアンテナ141から歩行者142までの距離を示す(すなわち、図15は3次元のイメージで示している)。そして、当該距離と第1のアンテナセットと第2のアンテナセットとのレベル比がレベル分布143で示されている。このようなグラフを示すようなデータがパターンマップデータとしてメモリ19に保存されている。換言すれば、パターンマップデータには、歩行者等を検出したときの受信信号の特徴を示す情報が記録されていることになる。そして、実際の車両走行時における歩行者検出処理において、第1の受信アンテナ16および第2の受信アンテナ17で受信した受信信号と当該パターンマップデータとを比較し、記録されているパターンに一致するか否かを判定することで歩行者等の仰角情報を含めた検出を行う。
【0053】
以下、図16を用いて、本発明の第4の実施形態における処理の詳細を示す。図16は、第4の実施形態にかかる歩行者検出処理を示すフローチャートである。図16において、ステップS1からステップS6までの処理と、ステップS8、ステップS11〜ステップS12の処理は、上述の第1の実施形態で図9を用いて説明した処理と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる処理を中心に説明する。
【0054】
図16において、ステップS6の処理の次に、レーダ本体部11は、第2の受信アンテナ17から受信信号を取得する(ステップS41)。次に、レーダ本体部11は、上述したステップS8の処理を行って第1のアンテナセットへの切り替えを行い、第1の受信アンテナ16から受信信号を取得する(ステップS42)。
【0055】
次に、レーダ本体部11は、上述したようなパターンマップデータを用いたパターン比較処理を実行する(ステップS43)。すなわち、レーダ本体部11は、第2の受信アンテナ17から取得した受信信号と第1の受信アンテナ16から取得した受信信号との振幅比および位相差を算出する。次に、当該算出した振幅比および位相差の組み合わせが、パターンマップデータに記録されているいずれかのパターンと一致しているか否かを判定する。
【0056】
次に、レーダ本体部11は、上記ステップS43の処理の結果、パターンマップデータに記録されているパターンと、上記受信信号が示すパターンとが一致したか否かを判定する(ステップS44)。当該判定の結果、パターンと一致したと判定されたときは(ステップS44でYES)、レーダ本体部11は、上述したステップS11の処理(警戒処理)を実行する。一方、パターンと一致していないと判定されたときは(ステップS44でNO)、レーダ本体部11は、上述のステップS12の処理(警戒処理の停止や解除)を実行する。以上のような処理が、エンジン停止等による処理終了条件が発生するまで繰り返し実行される。以上で、第4の実施形態にかかる検出処理の説明を終了する。
【0057】
このように、第4の実施形態では、予め、歩行者等の検出時の受信信号の特徴を示すデータである上記パターンマップデータを作成しておき、歩行者等の近接が検出された後は、2つのアンテナセットを用いて得られる受信信号の特徴とパターンマップデータに記録されている特徴とを比較することで、検出を行う。これにより、例えば、上記パターンマップデータの内容を充実させておくことで、より正確な検出が可能となる。
【0058】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態にかかる車載レーダ装置について説明する。図17は、第5の実施形態にかかる車載レーダ装置50の構成を示した図である。図17に示されるように、第5の実施形態にかかる車載レーダ装置50では、送信アンテナ、受信アンテナが共に1つずつの構成となっている。図17において、第4の送信アンテナ51は、その指向性が、上述した第2の実施形態における第1の送信アンテナ14および第2の送信アンテナ15の指向性を合成したものとなっている。図18は、第4の送信アンテナ51の指向性ビームを模式的に示した図である。図18に示すように、第4の送信アンテナ51の指向性ビーム511は、第1の送信アンテナ14と第3の送信アンテナ21の指向性を合成したような形状となっている。換言すれば、第4の送信アンテナ51は、指向性ビームが図18に示したような形状になるよう成型したアンテナである。また、第4の受信アンテナ52は、上記合成した指向性の範囲をカバーできるように構成されたものである。当該ビーム成型については、従来から知られているビーム成型の手法を用いればよい。すなわち、アンテナ素子一つ一つに異なる信号強度や位相を持たせることで、図18に示すような指向性が形成されるようにすることが考えられる。
【0059】
このように、第5の実施形態では、異なる指向性を備えるようにビーム成型した送信アンテナを用いている。これにより、複数のアンテナセットの切替処理を行うことなく、上記第1や第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかるレーダ装置は、車両から遠方の物体と車両に近接した物体との双方を、より正確に検出することができ、車載用のレーダ装置等に有用である。
【符号の説明】
【0061】
10 車載レーダ装置
11 レーダ本体部
12 送信部
13 受信部
14 第1の送信アンテナ
15 第2の送信アンテナ
16 第1の受信アンテナ
17 第2の受信アンテナ
18 CPU
19 メモリ
20 車載レーダ装置
21 第3の送信アンテナ
22 第3の受信アンテナ
30 車載レーダ装置
50 車載レーダ装置
51 第4の送信アンテナ
52 第4の受信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームと水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射するための送信手段と、
物体により反射された前記送信手段が放射した指向性ビームの反射波を受信するための受信手段とを備え、
前記送信手段は、
指向性のピーク方向が水平方向である水平用送信アンテナと、
アンテナビーム幅が前記水平用送信アンテナよりも広角であり、指向性のピーク方向が水平より上方の所定の方向である高仰角用送信アンテナとを含み、
前記受信手段は、
前記水平用送信アンテナから放射された指向性ビームの反射波を受信するための水平用受信アンテナと、
前記高仰角用送信アンテナから放射された指向性ビームの反射波を受信するための高仰角用受信アンテナとを含み、
前記レーダ装置は、指向性ビームを放射するアンテナを前記水平用送信アンテナおよび高仰角用送信アンテナのいずれか一方に切り替えるための切替手段を更に備える、レーダ装置。
【請求項2】
前記水平用送信アンテナは、アンテナビーム幅が4°であって、指向性のピーク方向が0°の方向であり、
前記高仰角用送信アンテナは、アンテナビーム幅が10°であり、指向性のピーク方向が3°の方向である、請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームと水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射するための送信手段と、
物体により反射された前記送信手段が放射した指向性ビームの反射波を受信するための受信手段とを備え、
前記送信手段または受信手段のいずれか一方は、
指向性のピーク方向が水平方向である水平用アンテナと、
アンテナビーム幅が前記水平用アンテナよりも広角であり、指向性のピーク方向が水平より上方である所定の方向である高仰角用アンテナとを含み、
前記送信手段または受信手段のいずれか他方は、前記水平用アンテナのアンテナビーム幅と前記高仰角用アンテナのアンテナビーム幅との双方を合成した範囲の感度を有しているアンテナを含む、レーダ装置。
【請求項4】
仰角面内において水平方向への指向性を有する指向性ビームと水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを放射するための送信手段と、
物体により反射された前記送信手段が放射した指向性ビームの反射波を受信するための受信手段とを備え、
前記送信手段は、前記水平方向への指向性を有する指向性ビームと、ビーム幅が水平方向よりも広角でかつ水平より上方である所定の方向への指向性を有する指向性ビームとを合成した指向性を有する特殊指向性ビームを放射する、レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−54036(P2013−54036A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242678(P2012−242678)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2008−124806(P2008−124806)の分割
【原出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】