レーンシール及びその製造方法
本発明は、レーン構造体(1)の製造方法に関する。プラスチックフィルムとビチューメンに基づく支持層との間の良好な結合を確実にするために、少なくとも1つの繊維性材料層と室温で固体の1つの熱可塑性物質(7’’)とを含む接着剤層が提供される。この方法は、レーン構造体(1)の迅速且つ効率的な形成を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体上の道路のシーリングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
支持構造体に、特にコンクリート支持構造体に適用される道路は、特に橋として一般的である。これらのコンクリート支持構造体は、典型的に、ビチューメンウェブによってシールされる。しかし熱可塑性物質の挙動のために、ビチューメンウェブは、温度変動に影響されやすい。他方では、弾性プラスチックウェブは、広い温度範囲にわたって一定の弾性挙動を有し、したがって、極端な温度条件の下であってもそれらのシールとしての機能を果たす。道路建設においては、慣習的に、ビチューメンに基づく基層(bitumen-based base layer)が最上層として適用される。しかしここで、基層と支持構造体の材料、特にコンクリートとの間に良好な接着結合が存在しなければならないという問題が生じ、これはまたもちろん、同時にすべての中間層の接着を包含する。特に、プラスチックフィルムとビチューメン基層との間の接着は、ここで、関係する材料に基づいて解決するのが非常に難しい問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/095215号パンフレット
【特許文献2】オーストリア特許第413,990号明細書
【特許文献3】特開2004−068363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を解決する1つの手法は、プラスチック層とビチューメン基層との間の接着剤として、現場打ちアスファルトを使用することである。しかしこれらのシステムは、最初に、現場打ちアスファルトは高温で適用されなければならず、ビチューメン基層は冷却後にのみ適用することができ、一方では、この付加的なステップの結果として、道路のシーリングの準備又は準備プロセスが長くなり、且つより高価になる、という大きな欠点を有する。他方では、これらの道路は、道路を使用する車両の高い軸荷重の結果として変形し、短い時間内で道路舗装の望まれない損傷をもたらすことが示されている。
【0005】
特許文献1は、そのコンクリート道路の使用によって問題を回避する。これは、介在するプラスチックフィルム及びプラスチックフィルムとコンクリート道路との間の接着剤層を備えた、コンクリート支持構造体上のコンクリート道路を開示する。コンクリート道路と接着剤層の接着を確実にするために、その硬化の前に接着剤層の中にケイ砂を散布することが提案される。
【0006】
プラスチックフィルムとビチューメン基層との間の結合を改善するための特許文献2は、その上に緩い粒状の合成樹脂が散布されるポリウレタンに基づく接着プライマの使用を提示する。しかしながら粒の散布は、幾つかの問題と関連し、特に、一様な適用を達成するのは難しく、特に風に晒されるコンクリート支持構造体上に粒が散布されるときに、例えば大量の粒が吹き飛ばされることにつながる場合があり、これは、望まれない材料の損失又は制御されない接着の減弱をもたらす。
【0007】
最後に、特許文献3は、接着剤、特にエチレン-酢酸ビニルコポリマーを、プライマを用いて、特に孔を備えたフィルムの形態のプラスチックフィルムに適用することを開示する。しかしここでの欠点は、プライマが付加的なステップで適用されなければならないことであり、加えて、表面全体にわたって添加された接着剤による結合の力学を弱める大量のポリマーが結合の中に導入されることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、この発明の目的は、容易に且つ効率よく生産することができる道路構造体を利用可能にし、プラスチックフィルムとビチューメン基層との間の接着剤の制御された適用によって、結合の力学が大いに弱められることなく良好な接着結合をもたらすことである。
【0009】
驚くべきことに、この問題は、請求項1に記載の方法及び請求項11に記載の道路構造体で解決できることが見出された。この道路構造体はさらに、車両の高い軸荷重の下であっても好都合な長期の挙動を有する。この方法は、速やかに且つ費用効果のある様式で支持構造体上に、特にコンクリート支持構造体上に道路をシールすることを可能にする。
【0010】
この道路構造体は、数ある中でも、請求項4に記載の繊維材料層を用いて生産することができることが示されている。ここでの主な利点は、必要な接着剤を工業プロセスにおいて制御された方法で繊維材料層上に分散及び定着させることができることと、この繊維材料層を接着剤と共に前もって作製された状態で工事現場にて用いることができることである。
【0011】
特に、現場打ちアスファルトの使用をやめることができるのは有利である。特に主な利点の1つは、ここでは、接着剤、すなわち室温で固体の熱可塑性物質のフィルムを有する繊維材料層の、その適用後に、その上ですぐに歩く又は運転することができ、従来技術と比べて作業時間が大いに短縮されるように、必要であればビチューメン基層ですぐに被覆することができることにある。
【0012】
本発明の他の態様は、他の独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0013】
この発明は、第1の態様において、
(i)支持構造体にプライマを適用する、特にコンクリート構造体にコンクリートプライマを適用するステップと、
(ii)ステップ(i)の後でプライマが適用された支持構造体にプラスチックフィルムを適用するステップと、
次いで、
(iii’)プラスチックフィルムにプラスチックプライマを適用するステップ、
(iv’)室温で固体の熱可塑性物質を一方の側部上に粘着して適用する繊維材料層の適用ステップであって、熱可塑性物質を有する側部とは反対側の繊維材料層の側部がプラスチックプライマと接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’)ホットメルト接着剤を一方の側部上に適用し、室温で固体の熱可塑性物質を他方の側部上に粘着して適用する、繊維材料層の適用ステップであって、ホットメルト接着剤を有する繊維材料層の側部がプラスチックフィルムと接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’’)プラスチックフィルムに面するフィルムの側部上にホットメルト接着剤を有する、室温で固体の熱可塑性物質のフィルムの適用ステップ、
のうちのいずれかのステップと、
(v)ビチューメンに基づく基層の適用ステップと、
を含む、道路構造体を生産するための方法に関する。
【0014】
第1のステップ(i)において、プライマが支持構造体に適用される。
【0015】
この支持構造体は、好ましくは地下エンジニアリング又は地上建設の生産物である。特に、これは、橋、アバランチプロテクタ、トンネル、オン又はオフランプ、もしくは駐車場のフロアとすることができる。したがって、橋は、支持構造体の一例である。道路に必要なこの支持構造体は、支える機能を有することができる材料の構造体である。特に、この材料は、金属又は金属合金もしくはコンクリート、特に強化コンクリート、好ましくは鉄筋コンクリートである。
【0016】
コンクリート橋が、こうした支持構造体の一般に好ましい例と考えられる。
【0017】
支持構造体上に、プライマ、特にコンクリートプライマが存在する。本明細書において、「プライマ」は、一般に、下地に適用されているポリマーの薄層であり、この下地と別の下地との間の接着を改善する。プライマは、室温で流動できるコンシステンシーを有し、ペイントすること、広げること、転がすこと、スプレーすること、注ぐこと、又は、はけ塗りすることによって下地に適用される。これに関連して、「流動できる」という用語は、液体だけでなく、その形態が地球の重力の影響の下に適応された、より高粘性の蜂蜜のようなペースト状材料も意味することに注目されたい。
【0018】
本明細書において「コンクリートプライマ」は、コンクリートに適用されるポリマーの薄層であり、別の下地へのコンクリートの接着を改善する。特に、コンクリートプライマは、エポキシ樹脂に基づくプライマである。特に、それらは、二液性エポキシ樹脂プライマであり、その一方の成分(すなわち第1の)は、エポキシ樹脂、特にビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルに基づくエポキシ樹脂を含有し、他方の成分(すなわち第2の)は、硬化剤、特にポリアミン又はポリメルカプタンを含有する。フィラーを有さないエポキシ樹脂プライマが特に好ましい。そのうえ、有利には、コンクリートプライマは、それらがコンクリート表面の中に浸透することができるように、特に10,000mPas未満の、好ましくは10から1,000mPasまでの間の粘度をもつ薄い液体である。Sika Deutschland GmbH又はSika Schweiz AGからSikafloor(登録商標)又はSikagard(登録商標)の通し商標名の下で市販されているような二液性の薄い液体であるエポキシ樹脂プライマが、コンクリートプライマとして特に好ましい。Sikafloor(登録商標)-156ファーストコート及びSikagard(登録商標)-186が、コンクリートプライマとして特に好ましい。
【0019】
当業者には公知のように、他の材料に対しての適切なプライマ、スチールに対してのスチールプライマが存在する。
【0020】
そのうえ、ステップ(i)からステップ(ii)までの間に、プライマの中に、好ましくはコンクリートプライマの中に、無機散布剤、特に砂、好ましくはケイ砂が散布されるのが好ましい。散布剤とプライマ、特にコンクリートプライマとの間の良好な結合を確実にするために、この散布剤はプライマの固化前に散布されるのが有利である。
【0021】
この無機散布剤は、1mm未満、特に0.1から1mmまでの間、好ましくは0.3から0.8mmまでの間の最大粒径を有するのが好ましい。
【0022】
しかしながら、これらの散乱剤の量は、プライマは一面に覆わないが、構造体内にプライマがプラスチックフィルムと直接接触するサイト(sites)が常に存在するような多さにされるべきである。
【0023】
散乱剤の使用は、プラスチックフィルムとプライマ又は支持構造体との間の結合のために有利であることが見出された。しかしながら、本発明を限定しない可能な説明は、プライマが粒子表面の周りを少なくとも部分的に流れ、したがってプラスチックフィルムとプライマとの間により大きい接触面が生じること、及び/又はプラスチックフィルムと支持構造体との間でより大きい力を伝達し又は吸収することができるように、無機散乱剤がプライマ層を局所的に大いに強化すること、及び/又は粗いプライマ表面をもたらすプライマのマトリクス中に組み入れられている粒子及び好ましくは弾性プラスチックフィルムの表面に埋め込まれているこれらの粒子による散乱剤によってプラスチックフィルムとプライマとの間の純粋な機械的係留が行われことである。現場で生産されている、特に射出プロセスによって生産されているプラスチックフィルムの場合、プラスチックフィルムは、それが散乱剤に起因する粗面化の結果としてかなり大きい表面を有するプライマ表面に適用されるので、かなり大きい接触面を得る。
【0024】
プライマ層厚を参照すると、これはまたもちろん、支持構造体の表面粗度に、そしてまた散乱剤が使用されるかどうかにも、強く[依存する]ことが当業者には明らかである。プライマの平均層厚は、典型的には100ミクロンから10ミリメートルまでの間であり、プライマ層の平均層厚は、有利には3mm未満、好ましくは0.3から2mmまでの間である。
【0025】
次いで、ステップ(ii)において、ステップ(i)の後でプライマが適用された支持構造体にプラスチックフィルムが適用される。
【0026】
プラスチックフィルムとしてできる限り適したものとするために、プラスチックフィルムは、水又は水分のより長期間の影響の下であっても、できる限り水密であるべきであり、且つ分解又は機械的に損傷されるべきではない。プラスチックフィルムは、特に、シーリングの目的、特にルーフィングの又は橋のシーリングの目的で従来技術において用いられるようなフィルムである。ビチューメンに基づく基層の適用によって、温度の影響の下で受ける損傷又は変化をできるだけ小さくするために、プラスチックフィルムは、140℃よりも高い、好ましくは160℃から300℃までの間の軟化点をもつ材料で作製されるのが特に有利である。プラスチックフィルムは、例えば、プラスチックフィルムが損傷される又は裂けることなく且つプラスチックフィルムのシーリング機能が悪影響を受けることなく、アスファルトと支持構造体との間の温度に起因する膨張差、もしくは支持構造体又は基層内のクラックに起因する応力を乗り越えることができるように、有利には少なくとも少量の弾性を有するべきである。ポリウレタン、又はポリ尿素、もしくはポリ(メタ)アクリレート、或いはエポキシ樹脂に基づくプラスチックフィルムが特に好ましい。プラスチックフィルムは、前もって作製されたウェブとして使用することができる。この事例において、プラスチックフィルムは、好ましくはフィルムミルにおける工業プロセスによって生産され、好ましくはロールからのプラスチックフィルムの形態で工事現場で使用される。この事例において、プラスチックフィルムは、その養生又は硬化が完了する前にプライマの中に接触させられるのが有利である。
【0027】
しかしながら、プラスチックフィルムは、例えば現場で混合されて適用される反応成分の架橋反応によって、現場で生産することができる。射出されたプラスチックフィルムが特に有利であることが判明している。
【0028】
プラスチックフィルムは、有利には、典型的には0.5から15mmまでの間、好ましくは1から4mmまでの間のミリメートル範囲内の層厚を有する。
【0029】
ポリウレタンフィルム、特に二液性ポリウレタン組成物の射出されたフィルムが、プラスチックフィルムとして最も好ましい。
【0030】
この発明の核心は、室温で固体の熱可塑性物質である少なくとも1つの接着剤を含有する接着剤層の適用によって、プラスチックフィルムとビチューメンに基づく基層との間の結合を確実にすることである。この時点で、工事現場での使用の際の室温で固体のこの熱可塑性物質は、結合された(付着している)状態で用いられる、すなわち緩い粒の形態ではないことは、本発明の本質にとって肝要である。
【0031】
本明細書において「付着している」という用語は、「化学的又は物理化学的相互作用の結果として結合された状態」と、そしてまた「機械的相互作用の結果として結合された状態」との両方を説明する。したがって、例えば、溶融状態で繊維ポア又は介在する繊維スペース内で固体化し、その後、したがって繊維と共に又は繊維の中に係留される熱可塑性物質が、付着していると言われる。
【0032】
これは、後述の3つの異なるバージョンによる発明的なプロセスにおいて達成される。
【0033】
第1のバージョンでは、1つのステップ(iii’)において、プラスチックフィルムにプラスチックプライマが適用される。次いで、ステップ(iv’)において繊維材料層が適用される。これに関連して、一方の側部上で繊維材料層に室温で固体の熱可塑性物質が粘着して適用される。繊維材料層の適用は、熱可塑性物質を有する側部とは反対側の繊維材料層の側部がプラスチックプライマと接触させられるようにして行われる。
【0034】
特に、二液性ポリウレタン組成物又はエポキシのプライマが、プラスチックプライマとして使用される。
【0035】
繊維材料層は、繊維から構成される。繊維は、無機、有機、又は合成材料のものである。無機材料の繊維は、特にガラス繊維及び炭素繊維である。特に、それらは、セルロース繊維、綿繊維、又は合成繊維である。合成繊維は、主に、好ましくはポリエステルの、もしくはエチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーの、或いはビスコースの繊維である。繊維は、短繊維又は長繊維、スパン、織られた又は織られていない繊維又はフィラメントとすることができる。また、繊維は、方向性のある繊維又はストレッチ繊維とすることができる。さらに、幾何学的形状とそしてまた組成物との両方において互いに異なる繊維を用いるのが有利となり得る。ポリエステル又はポリプロピレンの繊維が好ましい。
【0036】
繊維材料層の機械的強化を改善するために、繊維の少なくとも一部は、特に、ガラス、炭素、又はアラミドの、高張力の又は非常に高張力の繊維からなるのが有利となり得る。
【0037】
特に、織られた、小さな塊にされた、又は編まれた繊維材料層が使用される。フェルト又は不織布或いはニットが好ましい。不織布が特に好ましい。
【0038】
繊維材料層は、そのコヒーレンスが一般に繊維に固有の接着性によって決定されるフィラメントである、ステープルファイバの、より緩い材料とすることができる。これに関連して、個々の繊維は、選択的な方向性を有することができ、又は方向性のないものとすることができる。繊維から構成されている繊維材料は、ニードリング、メッシュ状にすることによって、又は鋭いウォータジェットによるインターレース加工によって機械的に圧密化することができ、典型的には約300g/m2のベース重量を有し、マットとして又はロールの形態で輸送することができる。好ましくは、繊維材料層は、マット又はロールの形態で使用することができる。これは、施工を大いに容易にする。
【0039】
繊維材料層は根本的に多孔性であるため、繊維材料層と接触する材料の良好な浸透が確実に行なわれ、結合を弱めることがある空気又は溶媒の含有はない。しかし、繊維に基づいて、熱可塑性物質の固定化が可能であり、結合の機械的強化が行われることも保証される。そのうえ、繊維材料層によって、ロールにされることが可能にされ、したがって容易に貯蔵する又は輸送することができる。さらに、その三次元分布の参照と、そしてまた絶対量(多過ぎも少な過ぎもしない)の参照との両方により、それに固定化される熱可塑性物質は確実に正確な量で用いられるようにされる。
【0040】
繊維材料層の繊維はまた、有機ポリマーによって接続することができる。これらのポリマーは、繊維を互いの間でより良好に固定する一助となる。そのうえ、繊維材料層は、例えば、接着剤、繊維サイジング剤、又は殺生物剤のような添加剤を含有することができる。
【0041】
殺生物剤は、例えば、細菌、ウィルス、胞子、真菌、及びカビのような病原性の微生物の制御のためのもの、又は、繊維、プラスチックフィルム、又はプライマを攻撃し、崩壊させることがある微生物の制御のためのものである。殺生物剤は、繊維上に又は繊維内に存在させることができる。殺生物剤を繊維上に存在させるケースでは、繊維が、殺生物剤と共にスプレーされ、又は殺生物剤の中に浸漬される。殺生物剤を繊維内に存在させるケースでは、殺生物剤は、繊維の生産又は作業中に用いられ、したがって繊維の中に組み入れられる。
【0042】
繊維サイジング剤及び/又は接着剤を使用することによって、熱可塑性物質、プラスチックプライマ又はホットメルト接着剤を伴う繊維と、いずれにしてもビチューメンとの、より良好な結合が達成される。
【0043】
ここでは、繊維材料層上に固定される室温で固体の熱可塑性物質が適用されることが重要である。熱可塑性物質は、繊維材料層の表面上にある。
【0044】
熱可塑性物質は、種々の強度の度合いに繊維材料層に接合する、すなわち接着することができる。繊維材料層と熱可塑性物質との間に結合が存在することのみが根本的に重要である。これは、風によって又はステップ(iv’)における繊維材料層の適用において存在するような微かな動きによって大量の熱可塑性物質が除去されるのを防止する。熱可塑性物質は、一方では、表面上にのみ存在することができ、又は、他方では、そのうえ、繊維材料層の中に様々に浸透することができる。さらに、熱可塑性物質は、繊維材料層に表面全体にわたって、又は熱可塑性物質によって繊維材料表面層が部分的にのみ占領されるように適用することができる。
【0045】
室温で固体の熱可塑性物質は、好ましくは主に100℃よりも高い、特に100℃から180℃までの間、好ましくは110℃から140℃までの間の融点を有する有機ポリマーである。ポリマーのあらゆる融点は、本明細書において、DIN ISO 4625に従う環球法に従って測定された軟化点として定義される。
【0046】
特に、1つ又は複数の不飽和モノマーの重合から生産することができるポリマーが適している。これらの不飽和モノマーは、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルエステル、特別な酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及びアクリロニトリルからなる群から選択されたモノマーである。
【0047】
好ましくはポリオレフィン、特にポリアルファオレフィンが、室温で固体の熱可塑性物質として好ましいことが判明している。一般にアタクチックポリアルファオレフィン(APAO)が、室温で固体の熱可塑性物質として好ましい。
【0048】
特に50%未満の酢酸ビニル比率、特に10から40%までの間、好ましくは15〜30%の酢酸ビニル比率をもつ、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)が、一般に、室温で固体の熱可塑性物質として好ましいことが判明している。
【0049】
好ましくは、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の室温で固体の熱可塑性物質が適用される。
【0050】
熱可塑性物質の量は、有利には、一方では、ビチューメン基層への良好な接着結合を達成するのに十分なだけの熱可塑性物質が存在し、他方では、繊維材料の転がりを防止する過剰の熱可塑性物質が存在しないようにされる。
【0051】
熱可塑性物質は、工業プロセスにおいて繊維材料層に適用されることが好ましい。これは、この溶融物を溶着する及びスプレーすること、又は混ぜ込むこと、或いは好ましくは熱可塑性物質の粒を繊維材料層に適用し、その後、熱の影響と熱可塑性物質の溶着によって固定化することによって行うことができる。
【0052】
熱可塑性物質の粒は、好ましくは1〜10mmの、特に3から6mmまでの直径を有する。
【0053】
この繊維材料層は、ロールの形態の繊維材料の表面に付着する、室温で固体の熱可塑性物質と共に用いられるのが好ましい。
【0054】
したがって、繊維材料は、工事現場に容易に移動され、そこでロールから広げて、要求される大きさにカットすることができる。これは、非常にコスト効率の良い、時間を節約する作業ステップである。
【0055】
ステップ(iv’)における繊維材料層の適用は、好ましくはプラスチックプライマの開放時間内に行われる。プラスチックプライマは、特にこの瞬間に或る固有の強度を有するが、依然として少なくとも僅かに粘着性がある。結果として、これは、繊維材料層が基層上に固定され、その滑りが広く防止されるという主な利点を伴う。これは操作が強風の中で行われるときに特に有利である。依然として粘着性のあるプラスチックプライマにおける繊維材料層の適用は、プライマが固化されるまで待つ必要はないので、時間を節約する。繊維材料層は、好ましくは、繊維材料層を据えおき、繊維材料層をロールから広げることによって前方に動かし、構造体上のロールから広げられた繊維材料層の上を歩き続けることによって適用される。繊維材料層の多孔度によって決定されるように、プラスチックプライマとの良好な接触が行われるが、ユーザが依然として粘着性のあるプラスチックプライマと接触しないように繊維材料層に完全には浸透しないことが保証される。
【0056】
第2のバージョンにおいて、ステップ(ii)の後のステップ(iii’)において、ホットメルト接着剤が一方の側部上に適用され、室温で固体の熱可塑性物質が他方の側部上に適用される、繊維材料層が、プライマなしにプラスチックフィルムに粘着して適用される。繊維材料層の適用は、ここでは、ホットメルト接着剤を有する繊維材料層の側部がプラスチックフィルムと接触させられるようにして行われる。
【0057】
これは、ここではプラスチックプライマを使用する必要がなく、工事現場での1つの作業ステップが排除されるという点で、第1のバージョンと比べてより一層有利な実施形態である。繊維材料層、室温で固体の熱可塑性物質とその生産及び選択に関しては、第1のバージョンに関してなされた記述への参照がなされる。第2のバージョンにおいて用いられるホットメルト接着剤は、熱可塑性物質に接触して配置されている繊維材料層の側部に適用される。
【0058】
ホットメルト接着剤は、従来のホットメルト接着剤である。ゴムベースの、ポリオレフィンベースの、又は(メタ)アクリレートベースのホットメルト接着剤が特に有利である。
【0059】
ホットメルト接着剤は、スロット付きノズル又はスプレーノズルを介して繊維材料層の表面に適用されることが好ましい。
【0060】
ホットメルト接着剤の層の厚さは、典型的には10から100ミクロンまでの間、特に30から50ミクロンまでの間である。
【0061】
繊維材料層の互いの間の望まれないセメンチングを防止するために、特にそれらがロールにされているとき、ホットメルト接着剤は、分離紙、例えばシリコーン処理された紙で保護されるのが有利である。
【0062】
ステップ(iii’)において繊維材料層をプラスチックフィルムに適用する直前に、ホットメルト接着剤をプラスチックフィルムと接触させられ得るように、工事現場で分離紙が取り外される。ホットメルト接着剤は、繊維材料層がプラスチックフィルム上に固定され、その滑りが広く防止されることを確実にする。これは、強風の中で作業することが必要なときに特に有利である。
【0063】
第3のバージョンにおいて、ステップ(ii)の後のステップ(iii’’’)において、一方の側部上にホットメルト接着剤が被覆される室温で固体の熱可塑性物質のフィルムが、プライマなしにプラスチックフィルムに適用される。ここでは、適用は、ホットメルト接着剤を有する側部がプラスチックフィルムと接触させられるようにして行われる。
【0064】
従来技術と、そしてまた第1のバージョンと比べて、この方法は、ここではプラスチックプライマを使用する必要がなく、したがって工事現場での1つの作業ステップが排除されるという程度まで有利である。
【0065】
室温で固体の熱可塑性物質のフィルムは、好ましくは押出し法及びカレンダ加工法によって生産され、フィルムの一方の側部上のホットメルト接着剤は、好ましくはスロット付きノズル又はスプレーノズルを介して熱可塑性物質フィルムの表面に適用される。ホットメルト接着剤の層の厚さは、典型的には10から100ミクロンまでの間、特に30から50ミクロンまでの間である。熱可塑性物質フィルムの層の厚さは、特に0.5mmから1.5cmまでの間、好ましくは0.5mmから5mmまでの間、好ましくは1mmから3mmまでの間である。
【0066】
熱可塑性物質フィルムの、特にそれらがロールにされているときの、互いの間の望まれない固着を防止するために、ホットメルト接着剤は、分離紙、例えばシリコーン処理された紙で保護されるのが有利である。
【0067】
室温で固体の熱可塑性物質とホットメルト接着剤及びそれらの選択に関しては、第1及び第2バージョンへの参照がなされる。
【0068】
ステップ(iii’’’)において繊維材料層をプラスチックフィルムに適用する直前に、ホットメルト接着剤をプラスチックフィルムと接触させられ得るように、工事現場で分離紙が取り外される。ホットメルト接着剤は、繊維材料層がプラスチックフィルム上に固定され、その滑りが広く防止されることを確実にする。これは強風の中で作業することが必要なときに特に有利である。
【0069】
前述の3つのバージョンのうち、ここでは機械的強化が重要な利点となるので、最初の2つのバージョンが好ましい。ここでは、機械的強化の、及びプラスチックプライマの適用の1つのステップを排除することによる利点は、組み合わされたプライマの迅速な作業手順が工事現場で与えられることにあるので、第2のバージョンが一般に最も好ましい[sic]。
【0070】
最後に、ステップ(iv’)又は(iii’’)もしくは(iii’’’)の後の、ステップ(v)において、ビチューメンに基づく基層が適用される。
【0071】
この基層が、車両と直接接触する道路を構成する。ビチューメン基層は、適用前に典型的には好ましくは140℃〜160℃の温度まで加熱され、好ましくはローラによってロールにされる。ビチューメン基層の適用は、当業者には最も良く知られており、したがってここではさらに説明されない。ビチューメンに加えて、基層は、当業者には公知の他の可能な成分を有することができる。当業者は、道路を準備するのに最も良く使用されるビチューメンに基づく組成物の成分の種類及び量を知っている。ここでは、基層は、かなりの程度まで、普通は鉱物フィラー、特に砂又は砂利を有することが特に重要である。
【0072】
プラスチックフィルムと基層との間の良好な接着結合を確実にすることの根本的な難しさは、鉱物成分とビチューメンとのこの混合のためである可能性があり、結果として大きく異なる親水性又は疎水性と、関連する、異なる濡れ特性で説明することができる。
【0073】
溶融したビチューメンが室温で固体の熱可塑性物質と接触することになるとき、これはその融点に従って溶着する。これが溶着する場合、熱可塑性物質のタイプに応じて、これは広く均質な熱可塑性物質の層を形成することがあり、又は表面付近でビチューメンの中に溶け込んで、熱可塑性物質を含有する境界層を形成することもある。したがって、室温で固体の熱可塑性物質は個々の層を形成する必要がないということが、この発明のまさに本質である。
【0074】
室温で固体の熱可塑性物質と、随意的に存在する繊維材料層と、ホットメルト接着剤又はプラスチックプライマとが、一緒に、ビチューメン基層とプラスチックフィルムとの間の結合を確実にする接着剤層を形成する。
【0075】
ここでは、繊維材料層又は熱可塑性物質フィルムは乾燥しており、その上で歩く又は運転することができるので、繊維材料層又は熱可塑性物質フィルムを適用した後ですぐに適用を行うことができることが肝要である。特に、ビチューメンを適用することができるまでに、養生、冷却、又は付加的な中間ステップのいずれかを待つ必要はない。
【0076】
このようにして生産された道路構造体は、個々の層の間の長持ちする結合が確実に行われ、その形状が、高い軸荷重の下であっても長期にわたって安定であり、繊維材料層を用いることによって強化されるという主な利点を有し、これは層の互いに対するたるみ又は横方向のずれにおいて特に有利である。そのうえ、繊維材料層の多孔度によって決定される、一方でのプラスチックプライマ又はホットメルト接着剤とビチューメンの機械的係留が、直接的に又は室温で固体の熱可塑性物質による連結を介して間接的に可能にされ、これは、層の間の結合のさらなる増加で表される。したがって、道路構造体のシーリング機能に悪影響を及ぼすことがある疲労クラックは、はるかにゆっくりと生じる。したがって、ここで説明されるこの方法は、道路構造体の生産の時間を節約するだけでなく、修理又は修復の間隔を大いに延期することができるので、メンテナンスにおけるさらなる節約も伴う。
【0077】
別の態様において、本発明は、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の室温で固体の熱可塑性物質がその一方の側部上に粘着して適用される、繊維材料層に関する。
【0078】
特に、熱可塑性物質を有する側部とは反対側の繊維材料層の側部は、ホットメルト接着剤を有する。
【0079】
繊維材料層は、特に、該繊維材料の層が室温で固体の熱可塑性物質の粒をばら撒かれ、この上で熱源によって加熱される方法に従って生産することができる。
【0080】
特に、この方法において、ホットメルト接着剤と室温で固体の熱可塑性物質が繊維材料の異なる側に適用される条件で、繊維材料層の一方の側部がホットメルト接着剤で被覆される。
【0081】
ここでは、繊維材料に適用されているホットメルト接着剤と分離紙が接触させられるのが特に有利である。
【0082】
熱源によって加熱されている熱可塑性物質の冷却後に、繊維材料層が巻上げ機を介してロールにされるのがさらに有利である。
【0083】
別の態様において、この発明は、その表面がプライマで、特にコンクリートプライマで被覆され、その上にプラスチックフィルムが取り付けられる支持構造体、特にコンクリート支持構造体、並びに、ビチューメンに基づく基層、及びプラスチックフィルムと基層との間に位置する接着剤層を有し、接着剤層が繊維材料層と少なくとも1つの接着剤とを有する、道路構造体に関する。少なくとも1つの接着剤は、室温で固体の熱可塑性物質である。
【0084】
室温で固体の熱可塑性物質及びホットメルト接着剤、例えばプラスチックプライマが、ここでは接着剤と呼ばれる。
【0085】
この目的のために必要な構成要素、特に支持構造体、プライマ、プラスチックフィルム、ビチューメン基層と、可能なばら撒き剤、プラスチックプライマ、及びホットメルト接着剤は、既に詳細に説明されている。
【0086】
室温で固体の接着剤層の熱可塑性物質は、好ましくは繊維材料層とビチューメンに基づく基層との間に位置する。
【0087】
1つのバージョンにおける接着剤層は、特に、繊維材料層とプラスチックフィルムとの間に位置する1つのプラスチックプライマを有する。
【0088】
1つのバージョンにおける接着剤層は、特に、繊維材料とプラスチックフィルムとの間に位置するホットメルト接着剤を有する。
【0089】
繊維材料層は、特に有利には繊維不織布である。
【0090】
プラスチックフィルムは、特に有利にはポリウレタンフィルム、特に射出された二液性ポリウレタン組成物のフィルムである。
【0091】
本発明の例示的な実施形態を、図面を用いて以下に詳述する。異なる図面において同じ構成要素は同じ参照符号で提供される。動きは矢印で示される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】プライマ及びプラスチックフィルムが適用された状態(ステップ(ii)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図2】繊維材料層を生産するための生産設備を通る長手方向断面を示す図である。
【図3】ホットメルト接着剤を有する繊維材料層を生産するための生産設備を通る長手方向断面を示す図である。
【図4a】繊維材料層を通る断面を示す図である。
【図4b】ホットメルト接着剤が適用された状態の繊維材料層を通る断面を示す図である。
【図4c】ホットメルト接着剤が適用された状態の繊維材料層を備えた熱可塑性物質フィルムを通る断面を示す図である。
【図5】プライマ、プラスチックフィルム、プラスチックプライマ、及び繊維材料層が適用された状態(ステップ(iv’)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図6】プライマ、プラスチックフィルム、及びホットメルト接着剤を有する繊維材料層が適用された状態(ステップ(iii’’’)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図7】プライマ、プラスチックフィルム、及びホットメルト接着剤を有する熱可塑性物質フィルムが適用された状態(ステップ(iii’’’)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図8】道路構造体を通る断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図面は概略図である。本発明の理解に導くのに肝要な構成要素のみが図示される。
【0094】
図1は、コンクリートプライマ3及びプラスチックフィルム4が適用された状態のコンクリート支持構造体2を通る概略的な断面を示す。この目的のために、第1のステップ(i)において、コンクリート支持構造体2に、二液性エポキシ樹脂コンクリートプライマ3が適用される。それに引き続いて、固化の前に、プライマの中に、粒径0.4mmのケイ砂(図1には図示せず)が散布される。次いで、ステップ(ii)において、二液性ポリウレタン組成物のプラスチックフィルム4が、層厚4mmにスプレーされる。図1は、ステップ(ii)の後の道路構造体の状況を示す。
【0095】
図2は、繊維材料層を生産するための生産設備を通る概略的な長手方向断面を示す。同時に、その生産方法も示されている。ここでは、繊維材料層6が偏向ローラ18を介してコーティング設備に供給される。140℃の融点をもつEVAである、室温で固体の熱可塑性物質7’’が、3から4mmまでの直径をもつ球形の粒として、散粒機15から繊維材料層6上に広げられ、熱源14によって加熱されて、熱可塑性物質7’’が表面上で容易に溶けて、繊維に接触する状態で繊維上を湿って流れるようにされる。次いで、熱可塑性物質7’’が熱源14の後の下流に位置する冷却域を通過する間に冷却されて、該熱可塑性物質が繊維材料層に接合される。次いで、熱可塑性物質の球が繊維材料の表面上に付着している状態の繊維材料層6が、巻上げ機16によってロール12に巻かれる。図2は、熱可塑性物質7’’が付着している状態の巻かれた繊維材料層6のロールの、拡大された概略的な抜出し図を示す。
【0096】
図3は、ホットメルト接着剤を伴う繊維材料層を生産するための生産設備を通る概略的な長手方向断面を示す。同時に、その生産方法が示されている。図2で既に説明されている詳細に加えて、図1は、繊維材料層6の裏側のコーティングを示す。この目的のために、ホットメルト接着剤7’がホットメルト接着剤適用デバイス17から溶融状態で繊維材料層に、表面全体にわたって層厚50ミクロンに適用される。ホットメルト接着剤7’は、冷却され、偏向ローラ18によって繊維材料層の裏で向きを変えられた後で、シリコーン処理された分離紙13を供給することによって接触させられ、被覆されて一緒にロールにされる。
【0097】
したがって、ホットメルト接着剤7’と室温で固体の熱可塑性物質7’’が繊維材料の異なる側部上に適用される、繊維材料層6が存在する。
【0098】
図3の下に示されたロール12の拡大された抜出し図において、分離紙13、ホットメルト接着剤7’、繊維材料層6、及び繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球7’’の個々の層が見える。
【0099】
図4aは、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の室温で固体の熱可塑性物質7’’が一方の側部上に粘着して適用された繊維材料層6を通る断面図を示す。この繊維材料層は、図2に記載されたような生産設備及び方法によって生産されたものである。
【0100】
図4bは、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球7’’の形態の室温で固体の熱可塑性物質が一方の側部上に粘着して適用され、熱可塑性物質7’’を有する側部9’とは反対側の繊維材料層の側部9’’がホットメルト接着剤7’を有する、繊維材料層6を通る概略的な断面を示す。この繊維材料層は、図3で説明されたような生産設備及び方法によって生産されたものである。
【0101】
図4cは、一方の側部上にホットメルト接着剤7’が被覆された、室温で固体の熱可塑性物質7’’のフィルム(10)を通る概略的な断面を示す。
【0102】
図5は、プライマ3、プラスチックフィルム4、プラスチックプライマ7’、及び熱可塑性物質7’’を伴う繊維材料層6が適用された状態の支持構造体2を通る概略図を示す。
【0103】
図1で説明されたように、ステップ(iii’)において、プラスチックプライマ7’が道路構造体の中間ステップに適用された。プラスチックプライマは、好ましくは二液性ポリウレタンプライマである。次いで、ステップ(iv’)において、まだ完全に養生されていないプラスチックプライマ7’の中に、図4aで説明されたような固体の熱可塑性物質7’’を伴う繊維材料層6が入れられる又は入れられた。これは、熱可塑性物質(7’’)を有する側部(9’)とは反対側の繊維材料層(6)の側部(9’’)がプラスチックプライマ(7’)と接触させられるように行われる。
【0104】
図6は、プライマ3、プラスチックフィルム4、ホットメルト接着剤7’、繊維材料層6、及び熱可塑性物質フィルム7’’が適用された状態の支持構造体2を通る概略的な断面を示す。
【0105】
図1で説明されたような道路建設の中間段階で、この時点で、図4bで説明されたようなホットメルト接着剤7’を伴う且つ固体の熱可塑性物質7’’を伴う繊維材料層6が、プラスチックフィルム4に適用される又は適用された。これは、ホットメルト接着剤を有する繊維材料層6の側部9’’’がプラスチックフィルム4と接触させられるように行われる。
【0106】
図7は、プライマ3、プラスチックフィルム4、ホットメルト接着剤7’、及び熱可塑性物質フィルム10が適用された状態の支持構造体2を通る断面図を示す。
【0107】
図1のステップ(iii’’)において、プラスチックフィルム4に面するフィルム10の側部11’’上にホットメルト接着剤7’を有する、室温で固体の熱可塑性物質7’’のフィルム10が、道路工事の中間段階でプラスチックフィルム4に適用される又は適用されている。
【0108】
図8は、道路構造体を通る概略的な断面を示す。
【0109】
図5又は図6で説明されたような道路工事の中間段階で、したがって、ステップ(v)においてビチューメンに基づく基層8が適用された。熱可塑性物質の球7’’が、溶融したビチューメンと接触することによって加熱され、その上に溶着される。ここで示される表現を簡単にするために、熱可塑性物質7’’は、ブランケット層(blanket layer)として示される。繊維材料層6と、接着剤7、すなわち熱可塑性物質7’’及びプラスチックプライマ7’又はホットメルト接着剤7’とが、一緒に接着剤層5を形成し、該接着剤層5は、ビチューメンに基づく基層8とプラスチックフィルム4とを互いに接合する。
【符号の説明】
【0110】
1 道路構造体
2 支持構造体、コンクリート支持構造体
3 プライマ、コンクリートプライマ
4 プラスチックフィルム
5 接着剤層
6 繊維材料層
7 接着剤
7’ 接着剤、プラスチックプライマ、ホットメルト接着剤
7’’ 接着剤、熱可塑性物質
8 ビチューメンに基づく基層
9’ 熱可塑性物質7’’を有する繊維材料層6の側部
9’’ 熱可塑性物質7’’を有する側部9’とは反対側の繊維材料層6の側部
9’’’ ホットメルト接着剤を有する繊維材料層6の側部
10 室温で固体の熱可塑性物質7’’のフィルム
11 プラスチックフィルム4に面するフィルム10の側部
12 ロール
13 分離紙
14 熱源
15 散粒機
16 巻上げ機
17 ホットメルト接着剤適用デバイス
18 偏向ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体上の道路のシーリングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
支持構造体に、特にコンクリート支持構造体に適用される道路は、特に橋として一般的である。これらのコンクリート支持構造体は、典型的に、ビチューメンウェブによってシールされる。しかし熱可塑性物質の挙動のために、ビチューメンウェブは、温度変動に影響されやすい。他方では、弾性プラスチックウェブは、広い温度範囲にわたって一定の弾性挙動を有し、したがって、極端な温度条件の下であってもそれらのシールとしての機能を果たす。道路建設においては、慣習的に、ビチューメンに基づく基層(bitumen-based base layer)が最上層として適用される。しかしここで、基層と支持構造体の材料、特にコンクリートとの間に良好な接着結合が存在しなければならないという問題が生じ、これはまたもちろん、同時にすべての中間層の接着を包含する。特に、プラスチックフィルムとビチューメン基層との間の接着は、ここで、関係する材料に基づいて解決するのが非常に難しい問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/095215号パンフレット
【特許文献2】オーストリア特許第413,990号明細書
【特許文献3】特開2004−068363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を解決する1つの手法は、プラスチック層とビチューメン基層との間の接着剤として、現場打ちアスファルトを使用することである。しかしこれらのシステムは、最初に、現場打ちアスファルトは高温で適用されなければならず、ビチューメン基層は冷却後にのみ適用することができ、一方では、この付加的なステップの結果として、道路のシーリングの準備又は準備プロセスが長くなり、且つより高価になる、という大きな欠点を有する。他方では、これらの道路は、道路を使用する車両の高い軸荷重の結果として変形し、短い時間内で道路舗装の望まれない損傷をもたらすことが示されている。
【0005】
特許文献1は、そのコンクリート道路の使用によって問題を回避する。これは、介在するプラスチックフィルム及びプラスチックフィルムとコンクリート道路との間の接着剤層を備えた、コンクリート支持構造体上のコンクリート道路を開示する。コンクリート道路と接着剤層の接着を確実にするために、その硬化の前に接着剤層の中にケイ砂を散布することが提案される。
【0006】
プラスチックフィルムとビチューメン基層との間の結合を改善するための特許文献2は、その上に緩い粒状の合成樹脂が散布されるポリウレタンに基づく接着プライマの使用を提示する。しかしながら粒の散布は、幾つかの問題と関連し、特に、一様な適用を達成するのは難しく、特に風に晒されるコンクリート支持構造体上に粒が散布されるときに、例えば大量の粒が吹き飛ばされることにつながる場合があり、これは、望まれない材料の損失又は制御されない接着の減弱をもたらす。
【0007】
最後に、特許文献3は、接着剤、特にエチレン-酢酸ビニルコポリマーを、プライマを用いて、特に孔を備えたフィルムの形態のプラスチックフィルムに適用することを開示する。しかしここでの欠点は、プライマが付加的なステップで適用されなければならないことであり、加えて、表面全体にわたって添加された接着剤による結合の力学を弱める大量のポリマーが結合の中に導入されることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、この発明の目的は、容易に且つ効率よく生産することができる道路構造体を利用可能にし、プラスチックフィルムとビチューメン基層との間の接着剤の制御された適用によって、結合の力学が大いに弱められることなく良好な接着結合をもたらすことである。
【0009】
驚くべきことに、この問題は、請求項1に記載の方法及び請求項11に記載の道路構造体で解決できることが見出された。この道路構造体はさらに、車両の高い軸荷重の下であっても好都合な長期の挙動を有する。この方法は、速やかに且つ費用効果のある様式で支持構造体上に、特にコンクリート支持構造体上に道路をシールすることを可能にする。
【0010】
この道路構造体は、数ある中でも、請求項4に記載の繊維材料層を用いて生産することができることが示されている。ここでの主な利点は、必要な接着剤を工業プロセスにおいて制御された方法で繊維材料層上に分散及び定着させることができることと、この繊維材料層を接着剤と共に前もって作製された状態で工事現場にて用いることができることである。
【0011】
特に、現場打ちアスファルトの使用をやめることができるのは有利である。特に主な利点の1つは、ここでは、接着剤、すなわち室温で固体の熱可塑性物質のフィルムを有する繊維材料層の、その適用後に、その上ですぐに歩く又は運転することができ、従来技術と比べて作業時間が大いに短縮されるように、必要であればビチューメン基層ですぐに被覆することができることにある。
【0012】
本発明の他の態様は、他の独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0013】
この発明は、第1の態様において、
(i)支持構造体にプライマを適用する、特にコンクリート構造体にコンクリートプライマを適用するステップと、
(ii)ステップ(i)の後でプライマが適用された支持構造体にプラスチックフィルムを適用するステップと、
次いで、
(iii’)プラスチックフィルムにプラスチックプライマを適用するステップ、
(iv’)室温で固体の熱可塑性物質を一方の側部上に粘着して適用する繊維材料層の適用ステップであって、熱可塑性物質を有する側部とは反対側の繊維材料層の側部がプラスチックプライマと接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’)ホットメルト接着剤を一方の側部上に適用し、室温で固体の熱可塑性物質を他方の側部上に粘着して適用する、繊維材料層の適用ステップであって、ホットメルト接着剤を有する繊維材料層の側部がプラスチックフィルムと接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’’)プラスチックフィルムに面するフィルムの側部上にホットメルト接着剤を有する、室温で固体の熱可塑性物質のフィルムの適用ステップ、
のうちのいずれかのステップと、
(v)ビチューメンに基づく基層の適用ステップと、
を含む、道路構造体を生産するための方法に関する。
【0014】
第1のステップ(i)において、プライマが支持構造体に適用される。
【0015】
この支持構造体は、好ましくは地下エンジニアリング又は地上建設の生産物である。特に、これは、橋、アバランチプロテクタ、トンネル、オン又はオフランプ、もしくは駐車場のフロアとすることができる。したがって、橋は、支持構造体の一例である。道路に必要なこの支持構造体は、支える機能を有することができる材料の構造体である。特に、この材料は、金属又は金属合金もしくはコンクリート、特に強化コンクリート、好ましくは鉄筋コンクリートである。
【0016】
コンクリート橋が、こうした支持構造体の一般に好ましい例と考えられる。
【0017】
支持構造体上に、プライマ、特にコンクリートプライマが存在する。本明細書において、「プライマ」は、一般に、下地に適用されているポリマーの薄層であり、この下地と別の下地との間の接着を改善する。プライマは、室温で流動できるコンシステンシーを有し、ペイントすること、広げること、転がすこと、スプレーすること、注ぐこと、又は、はけ塗りすることによって下地に適用される。これに関連して、「流動できる」という用語は、液体だけでなく、その形態が地球の重力の影響の下に適応された、より高粘性の蜂蜜のようなペースト状材料も意味することに注目されたい。
【0018】
本明細書において「コンクリートプライマ」は、コンクリートに適用されるポリマーの薄層であり、別の下地へのコンクリートの接着を改善する。特に、コンクリートプライマは、エポキシ樹脂に基づくプライマである。特に、それらは、二液性エポキシ樹脂プライマであり、その一方の成分(すなわち第1の)は、エポキシ樹脂、特にビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルに基づくエポキシ樹脂を含有し、他方の成分(すなわち第2の)は、硬化剤、特にポリアミン又はポリメルカプタンを含有する。フィラーを有さないエポキシ樹脂プライマが特に好ましい。そのうえ、有利には、コンクリートプライマは、それらがコンクリート表面の中に浸透することができるように、特に10,000mPas未満の、好ましくは10から1,000mPasまでの間の粘度をもつ薄い液体である。Sika Deutschland GmbH又はSika Schweiz AGからSikafloor(登録商標)又はSikagard(登録商標)の通し商標名の下で市販されているような二液性の薄い液体であるエポキシ樹脂プライマが、コンクリートプライマとして特に好ましい。Sikafloor(登録商標)-156ファーストコート及びSikagard(登録商標)-186が、コンクリートプライマとして特に好ましい。
【0019】
当業者には公知のように、他の材料に対しての適切なプライマ、スチールに対してのスチールプライマが存在する。
【0020】
そのうえ、ステップ(i)からステップ(ii)までの間に、プライマの中に、好ましくはコンクリートプライマの中に、無機散布剤、特に砂、好ましくはケイ砂が散布されるのが好ましい。散布剤とプライマ、特にコンクリートプライマとの間の良好な結合を確実にするために、この散布剤はプライマの固化前に散布されるのが有利である。
【0021】
この無機散布剤は、1mm未満、特に0.1から1mmまでの間、好ましくは0.3から0.8mmまでの間の最大粒径を有するのが好ましい。
【0022】
しかしながら、これらの散乱剤の量は、プライマは一面に覆わないが、構造体内にプライマがプラスチックフィルムと直接接触するサイト(sites)が常に存在するような多さにされるべきである。
【0023】
散乱剤の使用は、プラスチックフィルムとプライマ又は支持構造体との間の結合のために有利であることが見出された。しかしながら、本発明を限定しない可能な説明は、プライマが粒子表面の周りを少なくとも部分的に流れ、したがってプラスチックフィルムとプライマとの間により大きい接触面が生じること、及び/又はプラスチックフィルムと支持構造体との間でより大きい力を伝達し又は吸収することができるように、無機散乱剤がプライマ層を局所的に大いに強化すること、及び/又は粗いプライマ表面をもたらすプライマのマトリクス中に組み入れられている粒子及び好ましくは弾性プラスチックフィルムの表面に埋め込まれているこれらの粒子による散乱剤によってプラスチックフィルムとプライマとの間の純粋な機械的係留が行われことである。現場で生産されている、特に射出プロセスによって生産されているプラスチックフィルムの場合、プラスチックフィルムは、それが散乱剤に起因する粗面化の結果としてかなり大きい表面を有するプライマ表面に適用されるので、かなり大きい接触面を得る。
【0024】
プライマ層厚を参照すると、これはまたもちろん、支持構造体の表面粗度に、そしてまた散乱剤が使用されるかどうかにも、強く[依存する]ことが当業者には明らかである。プライマの平均層厚は、典型的には100ミクロンから10ミリメートルまでの間であり、プライマ層の平均層厚は、有利には3mm未満、好ましくは0.3から2mmまでの間である。
【0025】
次いで、ステップ(ii)において、ステップ(i)の後でプライマが適用された支持構造体にプラスチックフィルムが適用される。
【0026】
プラスチックフィルムとしてできる限り適したものとするために、プラスチックフィルムは、水又は水分のより長期間の影響の下であっても、できる限り水密であるべきであり、且つ分解又は機械的に損傷されるべきではない。プラスチックフィルムは、特に、シーリングの目的、特にルーフィングの又は橋のシーリングの目的で従来技術において用いられるようなフィルムである。ビチューメンに基づく基層の適用によって、温度の影響の下で受ける損傷又は変化をできるだけ小さくするために、プラスチックフィルムは、140℃よりも高い、好ましくは160℃から300℃までの間の軟化点をもつ材料で作製されるのが特に有利である。プラスチックフィルムは、例えば、プラスチックフィルムが損傷される又は裂けることなく且つプラスチックフィルムのシーリング機能が悪影響を受けることなく、アスファルトと支持構造体との間の温度に起因する膨張差、もしくは支持構造体又は基層内のクラックに起因する応力を乗り越えることができるように、有利には少なくとも少量の弾性を有するべきである。ポリウレタン、又はポリ尿素、もしくはポリ(メタ)アクリレート、或いはエポキシ樹脂に基づくプラスチックフィルムが特に好ましい。プラスチックフィルムは、前もって作製されたウェブとして使用することができる。この事例において、プラスチックフィルムは、好ましくはフィルムミルにおける工業プロセスによって生産され、好ましくはロールからのプラスチックフィルムの形態で工事現場で使用される。この事例において、プラスチックフィルムは、その養生又は硬化が完了する前にプライマの中に接触させられるのが有利である。
【0027】
しかしながら、プラスチックフィルムは、例えば現場で混合されて適用される反応成分の架橋反応によって、現場で生産することができる。射出されたプラスチックフィルムが特に有利であることが判明している。
【0028】
プラスチックフィルムは、有利には、典型的には0.5から15mmまでの間、好ましくは1から4mmまでの間のミリメートル範囲内の層厚を有する。
【0029】
ポリウレタンフィルム、特に二液性ポリウレタン組成物の射出されたフィルムが、プラスチックフィルムとして最も好ましい。
【0030】
この発明の核心は、室温で固体の熱可塑性物質である少なくとも1つの接着剤を含有する接着剤層の適用によって、プラスチックフィルムとビチューメンに基づく基層との間の結合を確実にすることである。この時点で、工事現場での使用の際の室温で固体のこの熱可塑性物質は、結合された(付着している)状態で用いられる、すなわち緩い粒の形態ではないことは、本発明の本質にとって肝要である。
【0031】
本明細書において「付着している」という用語は、「化学的又は物理化学的相互作用の結果として結合された状態」と、そしてまた「機械的相互作用の結果として結合された状態」との両方を説明する。したがって、例えば、溶融状態で繊維ポア又は介在する繊維スペース内で固体化し、その後、したがって繊維と共に又は繊維の中に係留される熱可塑性物質が、付着していると言われる。
【0032】
これは、後述の3つの異なるバージョンによる発明的なプロセスにおいて達成される。
【0033】
第1のバージョンでは、1つのステップ(iii’)において、プラスチックフィルムにプラスチックプライマが適用される。次いで、ステップ(iv’)において繊維材料層が適用される。これに関連して、一方の側部上で繊維材料層に室温で固体の熱可塑性物質が粘着して適用される。繊維材料層の適用は、熱可塑性物質を有する側部とは反対側の繊維材料層の側部がプラスチックプライマと接触させられるようにして行われる。
【0034】
特に、二液性ポリウレタン組成物又はエポキシのプライマが、プラスチックプライマとして使用される。
【0035】
繊維材料層は、繊維から構成される。繊維は、無機、有機、又は合成材料のものである。無機材料の繊維は、特にガラス繊維及び炭素繊維である。特に、それらは、セルロース繊維、綿繊維、又は合成繊維である。合成繊維は、主に、好ましくはポリエステルの、もしくはエチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーの、或いはビスコースの繊維である。繊維は、短繊維又は長繊維、スパン、織られた又は織られていない繊維又はフィラメントとすることができる。また、繊維は、方向性のある繊維又はストレッチ繊維とすることができる。さらに、幾何学的形状とそしてまた組成物との両方において互いに異なる繊維を用いるのが有利となり得る。ポリエステル又はポリプロピレンの繊維が好ましい。
【0036】
繊維材料層の機械的強化を改善するために、繊維の少なくとも一部は、特に、ガラス、炭素、又はアラミドの、高張力の又は非常に高張力の繊維からなるのが有利となり得る。
【0037】
特に、織られた、小さな塊にされた、又は編まれた繊維材料層が使用される。フェルト又は不織布或いはニットが好ましい。不織布が特に好ましい。
【0038】
繊維材料層は、そのコヒーレンスが一般に繊維に固有の接着性によって決定されるフィラメントである、ステープルファイバの、より緩い材料とすることができる。これに関連して、個々の繊維は、選択的な方向性を有することができ、又は方向性のないものとすることができる。繊維から構成されている繊維材料は、ニードリング、メッシュ状にすることによって、又は鋭いウォータジェットによるインターレース加工によって機械的に圧密化することができ、典型的には約300g/m2のベース重量を有し、マットとして又はロールの形態で輸送することができる。好ましくは、繊維材料層は、マット又はロールの形態で使用することができる。これは、施工を大いに容易にする。
【0039】
繊維材料層は根本的に多孔性であるため、繊維材料層と接触する材料の良好な浸透が確実に行なわれ、結合を弱めることがある空気又は溶媒の含有はない。しかし、繊維に基づいて、熱可塑性物質の固定化が可能であり、結合の機械的強化が行われることも保証される。そのうえ、繊維材料層によって、ロールにされることが可能にされ、したがって容易に貯蔵する又は輸送することができる。さらに、その三次元分布の参照と、そしてまた絶対量(多過ぎも少な過ぎもしない)の参照との両方により、それに固定化される熱可塑性物質は確実に正確な量で用いられるようにされる。
【0040】
繊維材料層の繊維はまた、有機ポリマーによって接続することができる。これらのポリマーは、繊維を互いの間でより良好に固定する一助となる。そのうえ、繊維材料層は、例えば、接着剤、繊維サイジング剤、又は殺生物剤のような添加剤を含有することができる。
【0041】
殺生物剤は、例えば、細菌、ウィルス、胞子、真菌、及びカビのような病原性の微生物の制御のためのもの、又は、繊維、プラスチックフィルム、又はプライマを攻撃し、崩壊させることがある微生物の制御のためのものである。殺生物剤は、繊維上に又は繊維内に存在させることができる。殺生物剤を繊維上に存在させるケースでは、繊維が、殺生物剤と共にスプレーされ、又は殺生物剤の中に浸漬される。殺生物剤を繊維内に存在させるケースでは、殺生物剤は、繊維の生産又は作業中に用いられ、したがって繊維の中に組み入れられる。
【0042】
繊維サイジング剤及び/又は接着剤を使用することによって、熱可塑性物質、プラスチックプライマ又はホットメルト接着剤を伴う繊維と、いずれにしてもビチューメンとの、より良好な結合が達成される。
【0043】
ここでは、繊維材料層上に固定される室温で固体の熱可塑性物質が適用されることが重要である。熱可塑性物質は、繊維材料層の表面上にある。
【0044】
熱可塑性物質は、種々の強度の度合いに繊維材料層に接合する、すなわち接着することができる。繊維材料層と熱可塑性物質との間に結合が存在することのみが根本的に重要である。これは、風によって又はステップ(iv’)における繊維材料層の適用において存在するような微かな動きによって大量の熱可塑性物質が除去されるのを防止する。熱可塑性物質は、一方では、表面上にのみ存在することができ、又は、他方では、そのうえ、繊維材料層の中に様々に浸透することができる。さらに、熱可塑性物質は、繊維材料層に表面全体にわたって、又は熱可塑性物質によって繊維材料表面層が部分的にのみ占領されるように適用することができる。
【0045】
室温で固体の熱可塑性物質は、好ましくは主に100℃よりも高い、特に100℃から180℃までの間、好ましくは110℃から140℃までの間の融点を有する有機ポリマーである。ポリマーのあらゆる融点は、本明細書において、DIN ISO 4625に従う環球法に従って測定された軟化点として定義される。
【0046】
特に、1つ又は複数の不飽和モノマーの重合から生産することができるポリマーが適している。これらの不飽和モノマーは、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルエステル、特別な酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及びアクリロニトリルからなる群から選択されたモノマーである。
【0047】
好ましくはポリオレフィン、特にポリアルファオレフィンが、室温で固体の熱可塑性物質として好ましいことが判明している。一般にアタクチックポリアルファオレフィン(APAO)が、室温で固体の熱可塑性物質として好ましい。
【0048】
特に50%未満の酢酸ビニル比率、特に10から40%までの間、好ましくは15〜30%の酢酸ビニル比率をもつ、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)が、一般に、室温で固体の熱可塑性物質として好ましいことが判明している。
【0049】
好ましくは、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の室温で固体の熱可塑性物質が適用される。
【0050】
熱可塑性物質の量は、有利には、一方では、ビチューメン基層への良好な接着結合を達成するのに十分なだけの熱可塑性物質が存在し、他方では、繊維材料の転がりを防止する過剰の熱可塑性物質が存在しないようにされる。
【0051】
熱可塑性物質は、工業プロセスにおいて繊維材料層に適用されることが好ましい。これは、この溶融物を溶着する及びスプレーすること、又は混ぜ込むこと、或いは好ましくは熱可塑性物質の粒を繊維材料層に適用し、その後、熱の影響と熱可塑性物質の溶着によって固定化することによって行うことができる。
【0052】
熱可塑性物質の粒は、好ましくは1〜10mmの、特に3から6mmまでの直径を有する。
【0053】
この繊維材料層は、ロールの形態の繊維材料の表面に付着する、室温で固体の熱可塑性物質と共に用いられるのが好ましい。
【0054】
したがって、繊維材料は、工事現場に容易に移動され、そこでロールから広げて、要求される大きさにカットすることができる。これは、非常にコスト効率の良い、時間を節約する作業ステップである。
【0055】
ステップ(iv’)における繊維材料層の適用は、好ましくはプラスチックプライマの開放時間内に行われる。プラスチックプライマは、特にこの瞬間に或る固有の強度を有するが、依然として少なくとも僅かに粘着性がある。結果として、これは、繊維材料層が基層上に固定され、その滑りが広く防止されるという主な利点を伴う。これは操作が強風の中で行われるときに特に有利である。依然として粘着性のあるプラスチックプライマにおける繊維材料層の適用は、プライマが固化されるまで待つ必要はないので、時間を節約する。繊維材料層は、好ましくは、繊維材料層を据えおき、繊維材料層をロールから広げることによって前方に動かし、構造体上のロールから広げられた繊維材料層の上を歩き続けることによって適用される。繊維材料層の多孔度によって決定されるように、プラスチックプライマとの良好な接触が行われるが、ユーザが依然として粘着性のあるプラスチックプライマと接触しないように繊維材料層に完全には浸透しないことが保証される。
【0056】
第2のバージョンにおいて、ステップ(ii)の後のステップ(iii’)において、ホットメルト接着剤が一方の側部上に適用され、室温で固体の熱可塑性物質が他方の側部上に適用される、繊維材料層が、プライマなしにプラスチックフィルムに粘着して適用される。繊維材料層の適用は、ここでは、ホットメルト接着剤を有する繊維材料層の側部がプラスチックフィルムと接触させられるようにして行われる。
【0057】
これは、ここではプラスチックプライマを使用する必要がなく、工事現場での1つの作業ステップが排除されるという点で、第1のバージョンと比べてより一層有利な実施形態である。繊維材料層、室温で固体の熱可塑性物質とその生産及び選択に関しては、第1のバージョンに関してなされた記述への参照がなされる。第2のバージョンにおいて用いられるホットメルト接着剤は、熱可塑性物質に接触して配置されている繊維材料層の側部に適用される。
【0058】
ホットメルト接着剤は、従来のホットメルト接着剤である。ゴムベースの、ポリオレフィンベースの、又は(メタ)アクリレートベースのホットメルト接着剤が特に有利である。
【0059】
ホットメルト接着剤は、スロット付きノズル又はスプレーノズルを介して繊維材料層の表面に適用されることが好ましい。
【0060】
ホットメルト接着剤の層の厚さは、典型的には10から100ミクロンまでの間、特に30から50ミクロンまでの間である。
【0061】
繊維材料層の互いの間の望まれないセメンチングを防止するために、特にそれらがロールにされているとき、ホットメルト接着剤は、分離紙、例えばシリコーン処理された紙で保護されるのが有利である。
【0062】
ステップ(iii’)において繊維材料層をプラスチックフィルムに適用する直前に、ホットメルト接着剤をプラスチックフィルムと接触させられ得るように、工事現場で分離紙が取り外される。ホットメルト接着剤は、繊維材料層がプラスチックフィルム上に固定され、その滑りが広く防止されることを確実にする。これは、強風の中で作業することが必要なときに特に有利である。
【0063】
第3のバージョンにおいて、ステップ(ii)の後のステップ(iii’’’)において、一方の側部上にホットメルト接着剤が被覆される室温で固体の熱可塑性物質のフィルムが、プライマなしにプラスチックフィルムに適用される。ここでは、適用は、ホットメルト接着剤を有する側部がプラスチックフィルムと接触させられるようにして行われる。
【0064】
従来技術と、そしてまた第1のバージョンと比べて、この方法は、ここではプラスチックプライマを使用する必要がなく、したがって工事現場での1つの作業ステップが排除されるという程度まで有利である。
【0065】
室温で固体の熱可塑性物質のフィルムは、好ましくは押出し法及びカレンダ加工法によって生産され、フィルムの一方の側部上のホットメルト接着剤は、好ましくはスロット付きノズル又はスプレーノズルを介して熱可塑性物質フィルムの表面に適用される。ホットメルト接着剤の層の厚さは、典型的には10から100ミクロンまでの間、特に30から50ミクロンまでの間である。熱可塑性物質フィルムの層の厚さは、特に0.5mmから1.5cmまでの間、好ましくは0.5mmから5mmまでの間、好ましくは1mmから3mmまでの間である。
【0066】
熱可塑性物質フィルムの、特にそれらがロールにされているときの、互いの間の望まれない固着を防止するために、ホットメルト接着剤は、分離紙、例えばシリコーン処理された紙で保護されるのが有利である。
【0067】
室温で固体の熱可塑性物質とホットメルト接着剤及びそれらの選択に関しては、第1及び第2バージョンへの参照がなされる。
【0068】
ステップ(iii’’’)において繊維材料層をプラスチックフィルムに適用する直前に、ホットメルト接着剤をプラスチックフィルムと接触させられ得るように、工事現場で分離紙が取り外される。ホットメルト接着剤は、繊維材料層がプラスチックフィルム上に固定され、その滑りが広く防止されることを確実にする。これは強風の中で作業することが必要なときに特に有利である。
【0069】
前述の3つのバージョンのうち、ここでは機械的強化が重要な利点となるので、最初の2つのバージョンが好ましい。ここでは、機械的強化の、及びプラスチックプライマの適用の1つのステップを排除することによる利点は、組み合わされたプライマの迅速な作業手順が工事現場で与えられることにあるので、第2のバージョンが一般に最も好ましい[sic]。
【0070】
最後に、ステップ(iv’)又は(iii’’)もしくは(iii’’’)の後の、ステップ(v)において、ビチューメンに基づく基層が適用される。
【0071】
この基層が、車両と直接接触する道路を構成する。ビチューメン基層は、適用前に典型的には好ましくは140℃〜160℃の温度まで加熱され、好ましくはローラによってロールにされる。ビチューメン基層の適用は、当業者には最も良く知られており、したがってここではさらに説明されない。ビチューメンに加えて、基層は、当業者には公知の他の可能な成分を有することができる。当業者は、道路を準備するのに最も良く使用されるビチューメンに基づく組成物の成分の種類及び量を知っている。ここでは、基層は、かなりの程度まで、普通は鉱物フィラー、特に砂又は砂利を有することが特に重要である。
【0072】
プラスチックフィルムと基層との間の良好な接着結合を確実にすることの根本的な難しさは、鉱物成分とビチューメンとのこの混合のためである可能性があり、結果として大きく異なる親水性又は疎水性と、関連する、異なる濡れ特性で説明することができる。
【0073】
溶融したビチューメンが室温で固体の熱可塑性物質と接触することになるとき、これはその融点に従って溶着する。これが溶着する場合、熱可塑性物質のタイプに応じて、これは広く均質な熱可塑性物質の層を形成することがあり、又は表面付近でビチューメンの中に溶け込んで、熱可塑性物質を含有する境界層を形成することもある。したがって、室温で固体の熱可塑性物質は個々の層を形成する必要がないということが、この発明のまさに本質である。
【0074】
室温で固体の熱可塑性物質と、随意的に存在する繊維材料層と、ホットメルト接着剤又はプラスチックプライマとが、一緒に、ビチューメン基層とプラスチックフィルムとの間の結合を確実にする接着剤層を形成する。
【0075】
ここでは、繊維材料層又は熱可塑性物質フィルムは乾燥しており、その上で歩く又は運転することができるので、繊維材料層又は熱可塑性物質フィルムを適用した後ですぐに適用を行うことができることが肝要である。特に、ビチューメンを適用することができるまでに、養生、冷却、又は付加的な中間ステップのいずれかを待つ必要はない。
【0076】
このようにして生産された道路構造体は、個々の層の間の長持ちする結合が確実に行われ、その形状が、高い軸荷重の下であっても長期にわたって安定であり、繊維材料層を用いることによって強化されるという主な利点を有し、これは層の互いに対するたるみ又は横方向のずれにおいて特に有利である。そのうえ、繊維材料層の多孔度によって決定される、一方でのプラスチックプライマ又はホットメルト接着剤とビチューメンの機械的係留が、直接的に又は室温で固体の熱可塑性物質による連結を介して間接的に可能にされ、これは、層の間の結合のさらなる増加で表される。したがって、道路構造体のシーリング機能に悪影響を及ぼすことがある疲労クラックは、はるかにゆっくりと生じる。したがって、ここで説明されるこの方法は、道路構造体の生産の時間を節約するだけでなく、修理又は修復の間隔を大いに延期することができるので、メンテナンスにおけるさらなる節約も伴う。
【0077】
別の態様において、本発明は、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の室温で固体の熱可塑性物質がその一方の側部上に粘着して適用される、繊維材料層に関する。
【0078】
特に、熱可塑性物質を有する側部とは反対側の繊維材料層の側部は、ホットメルト接着剤を有する。
【0079】
繊維材料層は、特に、該繊維材料の層が室温で固体の熱可塑性物質の粒をばら撒かれ、この上で熱源によって加熱される方法に従って生産することができる。
【0080】
特に、この方法において、ホットメルト接着剤と室温で固体の熱可塑性物質が繊維材料の異なる側に適用される条件で、繊維材料層の一方の側部がホットメルト接着剤で被覆される。
【0081】
ここでは、繊維材料に適用されているホットメルト接着剤と分離紙が接触させられるのが特に有利である。
【0082】
熱源によって加熱されている熱可塑性物質の冷却後に、繊維材料層が巻上げ機を介してロールにされるのがさらに有利である。
【0083】
別の態様において、この発明は、その表面がプライマで、特にコンクリートプライマで被覆され、その上にプラスチックフィルムが取り付けられる支持構造体、特にコンクリート支持構造体、並びに、ビチューメンに基づく基層、及びプラスチックフィルムと基層との間に位置する接着剤層を有し、接着剤層が繊維材料層と少なくとも1つの接着剤とを有する、道路構造体に関する。少なくとも1つの接着剤は、室温で固体の熱可塑性物質である。
【0084】
室温で固体の熱可塑性物質及びホットメルト接着剤、例えばプラスチックプライマが、ここでは接着剤と呼ばれる。
【0085】
この目的のために必要な構成要素、特に支持構造体、プライマ、プラスチックフィルム、ビチューメン基層と、可能なばら撒き剤、プラスチックプライマ、及びホットメルト接着剤は、既に詳細に説明されている。
【0086】
室温で固体の接着剤層の熱可塑性物質は、好ましくは繊維材料層とビチューメンに基づく基層との間に位置する。
【0087】
1つのバージョンにおける接着剤層は、特に、繊維材料層とプラスチックフィルムとの間に位置する1つのプラスチックプライマを有する。
【0088】
1つのバージョンにおける接着剤層は、特に、繊維材料とプラスチックフィルムとの間に位置するホットメルト接着剤を有する。
【0089】
繊維材料層は、特に有利には繊維不織布である。
【0090】
プラスチックフィルムは、特に有利にはポリウレタンフィルム、特に射出された二液性ポリウレタン組成物のフィルムである。
【0091】
本発明の例示的な実施形態を、図面を用いて以下に詳述する。異なる図面において同じ構成要素は同じ参照符号で提供される。動きは矢印で示される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】プライマ及びプラスチックフィルムが適用された状態(ステップ(ii)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図2】繊維材料層を生産するための生産設備を通る長手方向断面を示す図である。
【図3】ホットメルト接着剤を有する繊維材料層を生産するための生産設備を通る長手方向断面を示す図である。
【図4a】繊維材料層を通る断面を示す図である。
【図4b】ホットメルト接着剤が適用された状態の繊維材料層を通る断面を示す図である。
【図4c】ホットメルト接着剤が適用された状態の繊維材料層を備えた熱可塑性物質フィルムを通る断面を示す図である。
【図5】プライマ、プラスチックフィルム、プラスチックプライマ、及び繊維材料層が適用された状態(ステップ(iv’)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図6】プライマ、プラスチックフィルム、及びホットメルト接着剤を有する繊維材料層が適用された状態(ステップ(iii’’’)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図7】プライマ、プラスチックフィルム、及びホットメルト接着剤を有する熱可塑性物質フィルムが適用された状態(ステップ(iii’’’)の間及び後の状況)の支持構造体を通る断面を示す図である。
【図8】道路構造体を通る断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図面は概略図である。本発明の理解に導くのに肝要な構成要素のみが図示される。
【0094】
図1は、コンクリートプライマ3及びプラスチックフィルム4が適用された状態のコンクリート支持構造体2を通る概略的な断面を示す。この目的のために、第1のステップ(i)において、コンクリート支持構造体2に、二液性エポキシ樹脂コンクリートプライマ3が適用される。それに引き続いて、固化の前に、プライマの中に、粒径0.4mmのケイ砂(図1には図示せず)が散布される。次いで、ステップ(ii)において、二液性ポリウレタン組成物のプラスチックフィルム4が、層厚4mmにスプレーされる。図1は、ステップ(ii)の後の道路構造体の状況を示す。
【0095】
図2は、繊維材料層を生産するための生産設備を通る概略的な長手方向断面を示す。同時に、その生産方法も示されている。ここでは、繊維材料層6が偏向ローラ18を介してコーティング設備に供給される。140℃の融点をもつEVAである、室温で固体の熱可塑性物質7’’が、3から4mmまでの直径をもつ球形の粒として、散粒機15から繊維材料層6上に広げられ、熱源14によって加熱されて、熱可塑性物質7’’が表面上で容易に溶けて、繊維に接触する状態で繊維上を湿って流れるようにされる。次いで、熱可塑性物質7’’が熱源14の後の下流に位置する冷却域を通過する間に冷却されて、該熱可塑性物質が繊維材料層に接合される。次いで、熱可塑性物質の球が繊維材料の表面上に付着している状態の繊維材料層6が、巻上げ機16によってロール12に巻かれる。図2は、熱可塑性物質7’’が付着している状態の巻かれた繊維材料層6のロールの、拡大された概略的な抜出し図を示す。
【0096】
図3は、ホットメルト接着剤を伴う繊維材料層を生産するための生産設備を通る概略的な長手方向断面を示す。同時に、その生産方法が示されている。図2で既に説明されている詳細に加えて、図1は、繊維材料層6の裏側のコーティングを示す。この目的のために、ホットメルト接着剤7’がホットメルト接着剤適用デバイス17から溶融状態で繊維材料層に、表面全体にわたって層厚50ミクロンに適用される。ホットメルト接着剤7’は、冷却され、偏向ローラ18によって繊維材料層の裏で向きを変えられた後で、シリコーン処理された分離紙13を供給することによって接触させられ、被覆されて一緒にロールにされる。
【0097】
したがって、ホットメルト接着剤7’と室温で固体の熱可塑性物質7’’が繊維材料の異なる側部上に適用される、繊維材料層6が存在する。
【0098】
図3の下に示されたロール12の拡大された抜出し図において、分離紙13、ホットメルト接着剤7’、繊維材料層6、及び繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球7’’の個々の層が見える。
【0099】
図4aは、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の室温で固体の熱可塑性物質7’’が一方の側部上に粘着して適用された繊維材料層6を通る断面図を示す。この繊維材料層は、図2に記載されたような生産設備及び方法によって生産されたものである。
【0100】
図4bは、繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球7’’の形態の室温で固体の熱可塑性物質が一方の側部上に粘着して適用され、熱可塑性物質7’’を有する側部9’とは反対側の繊維材料層の側部9’’がホットメルト接着剤7’を有する、繊維材料層6を通る概略的な断面を示す。この繊維材料層は、図3で説明されたような生産設備及び方法によって生産されたものである。
【0101】
図4cは、一方の側部上にホットメルト接着剤7’が被覆された、室温で固体の熱可塑性物質7’’のフィルム(10)を通る概略的な断面を示す。
【0102】
図5は、プライマ3、プラスチックフィルム4、プラスチックプライマ7’、及び熱可塑性物質7’’を伴う繊維材料層6が適用された状態の支持構造体2を通る概略図を示す。
【0103】
図1で説明されたように、ステップ(iii’)において、プラスチックプライマ7’が道路構造体の中間ステップに適用された。プラスチックプライマは、好ましくは二液性ポリウレタンプライマである。次いで、ステップ(iv’)において、まだ完全に養生されていないプラスチックプライマ7’の中に、図4aで説明されたような固体の熱可塑性物質7’’を伴う繊維材料層6が入れられる又は入れられた。これは、熱可塑性物質(7’’)を有する側部(9’)とは反対側の繊維材料層(6)の側部(9’’)がプラスチックプライマ(7’)と接触させられるように行われる。
【0104】
図6は、プライマ3、プラスチックフィルム4、ホットメルト接着剤7’、繊維材料層6、及び熱可塑性物質フィルム7’’が適用された状態の支持構造体2を通る概略的な断面を示す。
【0105】
図1で説明されたような道路建設の中間段階で、この時点で、図4bで説明されたようなホットメルト接着剤7’を伴う且つ固体の熱可塑性物質7’’を伴う繊維材料層6が、プラスチックフィルム4に適用される又は適用された。これは、ホットメルト接着剤を有する繊維材料層6の側部9’’’がプラスチックフィルム4と接触させられるように行われる。
【0106】
図7は、プライマ3、プラスチックフィルム4、ホットメルト接着剤7’、及び熱可塑性物質フィルム10が適用された状態の支持構造体2を通る断面図を示す。
【0107】
図1のステップ(iii’’)において、プラスチックフィルム4に面するフィルム10の側部11’’上にホットメルト接着剤7’を有する、室温で固体の熱可塑性物質7’’のフィルム10が、道路工事の中間段階でプラスチックフィルム4に適用される又は適用されている。
【0108】
図8は、道路構造体を通る概略的な断面を示す。
【0109】
図5又は図6で説明されたような道路工事の中間段階で、したがって、ステップ(v)においてビチューメンに基づく基層8が適用された。熱可塑性物質の球7’’が、溶融したビチューメンと接触することによって加熱され、その上に溶着される。ここで示される表現を簡単にするために、熱可塑性物質7’’は、ブランケット層(blanket layer)として示される。繊維材料層6と、接着剤7、すなわち熱可塑性物質7’’及びプラスチックプライマ7’又はホットメルト接着剤7’とが、一緒に接着剤層5を形成し、該接着剤層5は、ビチューメンに基づく基層8とプラスチックフィルム4とを互いに接合する。
【符号の説明】
【0110】
1 道路構造体
2 支持構造体、コンクリート支持構造体
3 プライマ、コンクリートプライマ
4 プラスチックフィルム
5 接着剤層
6 繊維材料層
7 接着剤
7’ 接着剤、プラスチックプライマ、ホットメルト接着剤
7’’ 接着剤、熱可塑性物質
8 ビチューメンに基づく基層
9’ 熱可塑性物質7’’を有する繊維材料層6の側部
9’’ 熱可塑性物質7’’を有する側部9’とは反対側の繊維材料層6の側部
9’’’ ホットメルト接着剤を有する繊維材料層6の側部
10 室温で固体の熱可塑性物質7’’のフィルム
11 プラスチックフィルム4に面するフィルム10の側部
12 ロール
13 分離紙
14 熱源
15 散粒機
16 巻上げ機
17 ホットメルト接着剤適用デバイス
18 偏向ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路構造体(1)を生産するための方法であって、
(i)支持構造体(2)にプライマ(3)を適用する、特にコンクリート構造体(2)にコンクリートプライマ(3)を適用するステップと、
(ii)ステップ(i)の後でプライマが適用された支持構造体(2)にプラスチックフィルム(4)を適用するステップと、
その後、
(iii’)前記プラスチックフィルム(4)にプラスチックプライマ(7’)を適用するステップ、
(iv’)室温で固体の熱可塑性物質(7’’)を一方の側部上に粘着して適用する繊維材料層(6)の適用ステップであって、前記熱可塑性物質(7’’)を有する側部(9’)とは反対側の前記繊維材料層(6)の側部(9’’)が前記プラスチックプライマ(7’)と接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’)ホットメルト接着剤(7’)を一方の側部上に適用し、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)を他方の側部上に粘着して適用する、繊維材料層(6)の適用ステップであって、前記ホットメルト接着剤を有する前記繊維材料層(6)の側部(9’’’)が前記プラスチックフィルム(4)と接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’’)プラスチックフィルム(4)に面するフィルム(10)の側部(11)上にホットメルト接着剤(7’)を有する、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)のフィルム(10)の適用ステップ、
のうちのいずれかのステップと、
(v)ビチューメンに基づく基層(8)の適用ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記プラスチックフィルム(4)が、ポリウレタンフィルム、特に、射出された二成分ポリウレタンフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
室温で固体の前記熱可塑性物質(7’’)が、前記繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態で適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
室温で固体の、特に、前記繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の熱可塑性物質(7’’)が一方の側部上に適用された、繊維材料層(6)。
【請求項5】
前記熱可塑性物質(7’’)を有する側部(9’)とは反対側の前記繊維材料層の側部(9’’)がホットメルト接着剤(7’)を有する、請求項4に記載の繊維材料層。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のロールにされた繊維材料層のロール(12)。
【請求項7】
繊維材料の層(6)が、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)の粒をばら撒かれ、この上で熱源(14)によって加熱される、請求項4に記載の繊維材料層を生産するための方法。
【請求項8】
前記ホットメルト接着剤(7’)と室温で固体の前記熱可塑性物質(7’’)が前記繊維材料(6)の異なる側に適用される条件で、前記繊維材料層(6)の一方の側部が前記ホットメルト接着剤(7’)で被覆される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維材料に適用されている前記ホットメルト接着剤(7’)と分離紙(13)が接触させられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
熱源(14)によって加熱されている前記熱可塑性物質(7’’)の冷却後に、前記繊維材料層が巻上げ機(16)を介してロール(12)にされる、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
その表面がプライマ(3)で被覆され、その上にプラスチックフィルム(4)が取り付けられる支持構造体(2)、並びに、ビチューメンに基づく基層(8)、及び前記プラスチックフィルム(4)と基層(8)との間に位置する接着剤層(5)を有し、前記接着剤層(5)が、繊維材料層(6)と少なくとも1つの接着剤(7、7’、7’’)とを有し、少なくとも1つの前記接着剤(7、7’、7’’)が、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)である、道路構造体(1)。
【請求項12】
室温で固体の前記接着剤層(5)の前記熱可塑性物質(7’’)が、前記繊維材料層(6)と前記ビチューメンに基づく基層(8)との間に位置する、請求項11に記載の道路構造体(1)。
【請求項13】
前記接着剤層(5)が、前記繊維材料層(6)と前記プラスチックフィルム(4)との間に位置するプラスチックプライマ(7’)を有する、請求項12に記載の道路構造体(1)。
【請求項14】
前記接着剤層(5)が、前記繊維材料層(6)と前記プラスチックフィルム(4)との間に位置するホットメルト接着剤(7’)を有する、請求項12に記載の道路構造体(1)。
【請求項15】
前記繊維材料層(6)が繊維不織布である、請求項11から14のいずれか一項に記載の道路構造体(1)。
【請求項16】
前記プラスチックフィルム(4)が、ポリウレタンフィルム、特に、射出された二成分ポリウレタンフィルムである、請求項11から15のいずれか一項に記載の道路構造体(1)。
【請求項1】
道路構造体(1)を生産するための方法であって、
(i)支持構造体(2)にプライマ(3)を適用する、特にコンクリート構造体(2)にコンクリートプライマ(3)を適用するステップと、
(ii)ステップ(i)の後でプライマが適用された支持構造体(2)にプラスチックフィルム(4)を適用するステップと、
その後、
(iii’)前記プラスチックフィルム(4)にプラスチックプライマ(7’)を適用するステップ、
(iv’)室温で固体の熱可塑性物質(7’’)を一方の側部上に粘着して適用する繊維材料層(6)の適用ステップであって、前記熱可塑性物質(7’’)を有する側部(9’)とは反対側の前記繊維材料層(6)の側部(9’’)が前記プラスチックプライマ(7’)と接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’)ホットメルト接着剤(7’)を一方の側部上に適用し、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)を他方の側部上に粘着して適用する、繊維材料層(6)の適用ステップであって、前記ホットメルト接着剤を有する前記繊維材料層(6)の側部(9’’’)が前記プラスチックフィルム(4)と接触させられるようにして行う繊維材料層の適用ステップ、
又は、
(iii’’’)プラスチックフィルム(4)に面するフィルム(10)の側部(11)上にホットメルト接着剤(7’)を有する、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)のフィルム(10)の適用ステップ、
のうちのいずれかのステップと、
(v)ビチューメンに基づく基層(8)の適用ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記プラスチックフィルム(4)が、ポリウレタンフィルム、特に、射出された二成分ポリウレタンフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
室温で固体の前記熱可塑性物質(7’’)が、前記繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態で適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
室温で固体の、特に、前記繊維材料の表面に付着する熱可塑性物質の球の形態の熱可塑性物質(7’’)が一方の側部上に適用された、繊維材料層(6)。
【請求項5】
前記熱可塑性物質(7’’)を有する側部(9’)とは反対側の前記繊維材料層の側部(9’’)がホットメルト接着剤(7’)を有する、請求項4に記載の繊維材料層。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のロールにされた繊維材料層のロール(12)。
【請求項7】
繊維材料の層(6)が、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)の粒をばら撒かれ、この上で熱源(14)によって加熱される、請求項4に記載の繊維材料層を生産するための方法。
【請求項8】
前記ホットメルト接着剤(7’)と室温で固体の前記熱可塑性物質(7’’)が前記繊維材料(6)の異なる側に適用される条件で、前記繊維材料層(6)の一方の側部が前記ホットメルト接着剤(7’)で被覆される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維材料に適用されている前記ホットメルト接着剤(7’)と分離紙(13)が接触させられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
熱源(14)によって加熱されている前記熱可塑性物質(7’’)の冷却後に、前記繊維材料層が巻上げ機(16)を介してロール(12)にされる、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
その表面がプライマ(3)で被覆され、その上にプラスチックフィルム(4)が取り付けられる支持構造体(2)、並びに、ビチューメンに基づく基層(8)、及び前記プラスチックフィルム(4)と基層(8)との間に位置する接着剤層(5)を有し、前記接着剤層(5)が、繊維材料層(6)と少なくとも1つの接着剤(7、7’、7’’)とを有し、少なくとも1つの前記接着剤(7、7’、7’’)が、室温で固体の熱可塑性物質(7’’)である、道路構造体(1)。
【請求項12】
室温で固体の前記接着剤層(5)の前記熱可塑性物質(7’’)が、前記繊維材料層(6)と前記ビチューメンに基づく基層(8)との間に位置する、請求項11に記載の道路構造体(1)。
【請求項13】
前記接着剤層(5)が、前記繊維材料層(6)と前記プラスチックフィルム(4)との間に位置するプラスチックプライマ(7’)を有する、請求項12に記載の道路構造体(1)。
【請求項14】
前記接着剤層(5)が、前記繊維材料層(6)と前記プラスチックフィルム(4)との間に位置するホットメルト接着剤(7’)を有する、請求項12に記載の道路構造体(1)。
【請求項15】
前記繊維材料層(6)が繊維不織布である、請求項11から14のいずれか一項に記載の道路構造体(1)。
【請求項16】
前記プラスチックフィルム(4)が、ポリウレタンフィルム、特に、射出された二成分ポリウレタンフィルムである、請求項11から15のいずれか一項に記載の道路構造体(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2012−510013(P2012−510013A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537984(P2011−537984)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065948
【国際公開番号】WO2010/060980
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065948
【国際公開番号】WO2010/060980
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】
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