説明

ロイコトリエン生合成阻害剤としてのジフェニルメタン誘導体

本発明は5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質阻害剤である式I:


の化合物を提供する。式Iの化合物は抗アテローム性動脈硬化剤、抗喘息剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤及び細胞保護剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質(FLAP)を阻害する化合物、前記化合物を含有する組成物、並びにアテローム性動脈硬化症と関連疾患及び症状の治療及び予防にこのような化合物を使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン生合成の阻害は長年にわたって活発な医薬研究分野である。ロイコトリエンは5−リポキシゲナーゼによるアラキドン酸の酸化により誘導される強力な収縮及び炎症メディエーターである。
【0003】
ある種のロイコトリエン生合成阻害剤は5−リポキシゲナーゼ(5−LO)の阻害により作用することが知られている。一般に、5−LO阻害剤はアレルギー性鼻炎、喘息及び炎症症状(例えば関節炎)の治療用として検討されてきた。5−LO阻害剤の1例は喘息治療用に指定されている市販薬ジロートンである。更に最近では、5−LOがアテローム発生プロセスの要因であるらしいという報告もある(Mehrabian,M.ら,Circulation Research,2002 Jul 26,91(2):120−126参照)。
【0004】
5−LO阻害剤とは異なる新規類のロイコトリエン生合成阻害剤(現在ではFLAP阻害剤と言われる)がMiller,D.K.ら,Nature,vol.343,No.6255,pp.278−281,18 Jan 1990に記載されている。これらの化合物は細胞内ロイコトリエンの形成を阻害するが、可溶性5−LO活性には直接作用しない。これらの化合物を使用して核内膜18,000ダルトン蛋白質5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質(FLAP)が単離及び同定された。細胞内では、サイトゾルホスホリパーゼ2の作用により膜リン脂質からアラキドン酸が放出される。このアラキドン酸はFLAPにより核膜結合5−リポキシゲナーゼに転送される。細胞内のFLAPの存在はロイコトリエン合成に不可欠である。更に、Helgadottir,A.ら,Nature Genetics,vol 36,no.3(March 2004)233−239に記載されている報告によると、5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質をコードする遺伝子はヒトに心筋梗塞と脳卒中の危険をもたらすと考えられている。
【0005】
アテローム性動脈硬化症とその後のアテローム硬化性疾患イベントの治療及び予防における治療薬の進歩は目覚ましく、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤で改善が得られているが、更に治療選択肢を広げる必要があることは明白である。本発明はアテローム性動脈硬化症及び関連症状の治療又は予防用化合物、組成物及び方法を提供することによりこのような必要に対処するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はFLAP阻害剤である式Iの化合物、その製造方法、並びに哺乳動物、特にヒトでこれらの化合物を使用するための方法及び医薬製剤に関する。本発明は構造式I:
【0007】
【化14】

の化合物と、その医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物を提供する。本発明はアテローム発生を遅延又は停止させるための本明細書に記載する化合物の使用も含む。従って、本発明の1つの目的は臨床症状が顕在化してからアテローム硬化性疾患の進行を停止又は遅延させることを含むアテローム性動脈硬化症の治療方法として、このような治療を必要とする患者に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供することである。別の目的は、アテローム性動脈硬化症及びアテローム硬化性疾患イベントの発症の危険の予防又は低減方法として、アテローム性動脈硬化症を発症するか又はアテローム硬化性疾患イベントをもつ危険のある患者に予防有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供することである。
【0008】
式Iの化合物は抗喘息剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤及び細胞保護剤としても有用である。これらの化合物は更に狭心症、脳痙攣、糸球体腎炎、肝炎、内毒素血症、ブドウ膜炎及び同種移植拒絶反応の治療にも有用である。本発明は上記治療を必要とする患者に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む治療方法を提供する。
【0009】
別の目的は式IのFLAP阻害剤と他の抗アテローム性動脈硬化薬を含む他の治療有効物質との併用を提供することである。これら及び他の目的は本明細書の記載から自明である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は構造式I:
【0011】
【化15】

により表される化合物とその医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物を提供し、
式中、各R1aは−H、−F、−Cl、−Br、−C1−6アルキル、−CN、−OH、C1−6アルキル−OH、−OC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルコキシ、−NH、−NHC1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)、−C1−6アルキル−NH、−C1−6アルキル−NHC1−6アルキル、−C1−6アルキル−N(C1−6アルキル)、−NHC(O)C1−6アルキル、−CO1−6アルキル、−C(O)NHC1−6アルキル及び−C(O)N(C1−6アルキル)から構成される群から独立して選択され;
は、
a)Z
b)−CO、−C(O)NR、−N(R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRCO、−OC(O)NR、−OH及び−CN、
c)−C1−6アルキル、−C2−6アルケニル、−C2−6アルキニル、−OC1−6アルキル、−OC2−6アルケニル及び−OC2−6アルキニル[前記基は場合によりRで置換されており、場合によりRで置換されており、Rは−CO、−C(O)NR、−N(R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRCO、−OC(O)NR、−C(O)SONR、−C(O)NRNR、−S(O)NR、−SONRC(O)R、−S(O)、−F、−CF、フェニル、Hetcy及びZから構成される群から選択され;Rは−F及び−OHから構成される群から選択される]、並びに
d)場合により−F、−Cl、−C1−6アルキル、−CN、−OH、−OC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルコキシ、−NH、−NHC1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)、−C1−6アルキル−NH、−C1−6アルキル−NHC1−6アルキル、−C1−6アルキル−N(C1−6アルキル)、−C1−6アルキル−CN、−NHC(O)C1−6アルキル、−C(O)NHC1−6アルキル及び−C(O)N(C1−6アルキル)から構成される群から選択れる1〜2個のメンバーで置換されたフェニルから構成される群から選択され;
は−Hと、場合により−OH及び−Fから選択される基で置換された−C1−6アルキルから構成される群から選択され;
は−H及び−C1−6アルキルから構成される群から選択され;
は水素、フッ素、ヒドロキシ、場合により1〜5個のフッ素で置換されたC1−3アルキルから構成される群から選択され;
は(a)場合により1〜5個のフッ素で置換されたC1−6アルキル、(b)3−6シクロアルキル、及び(c)
【0012】
【化16】

(式中、nは0、1、2及び3から選択される整数である)から構成される群から選択され;
各「p」は独立して0、1及び2から選択される整数を表し;
各Rは、
a)−H、
b)−C1−4アルキル、−C2−4アルケニル及び−C2−4アルキニル[前記基は各々場合により−OH、−OC1−4アルキル、−CN、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)、−F及び−CFから構成される群から選択される1〜2個のメンバーで置換されている]、
c)フェニル及びフェニル−C1−4アルキル−[前記フェニル部分は場合により−F、−Cl、−C1−4アルキル、−CN、−OH、−OC1−4アルキル、−フルオロC1−4アルキル、−フルオロC1−4アルコキシ、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)、−C1−4アルキル−NH、−C1−4アルキル−NHC1−4アルキル、−C1−4アルキル−N(C1−4アルキル)、−C1−4アルキル−CN、−NHC(O)C1−4アルキル、−C(O)NHC1−4アルキル及び−C(O)N(C1−4アルキル)から構成される群から選択される1〜2個のメンバーで置換されており、
フェニル−C1−4アルキル−のアルキル部分は場合により−OH、−CN、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)及び1〜3個のフルオロから構成される群から選択されるメンバーで置換されている]、
d)Hetcy及びHetcy−C1−4アルキル−[前記Hetcy部分は場合により−F、−OH、−COH、−C1−4アルキル、−CO1−4アルキル、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)、−NHC(O)C1−4アルキル、オキソ、−C(O)NHC1−4アルキル及び−C(O)N(C1−4アルキル)から構成される群から選択される1〜2個のメンバーで炭素上を置換されており、場合により窒素が存在する場合には−C1−4アルキル及び−C1−4アシルから選択される基で窒素上を置換されており、
Hetcy−C1−4アルキル−のアルキル部分は場合により−OH、−CN、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)及び1〜3個のフルオロから構成される群から選択されるメンバーで置換されている]、並びに
e)Z及びZ−C1−4アルキル−[Z−C1−4アルキル−のアルキル部分は場合により−OH、−CN、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)及び1〜3個のフルオロから構成される群から選択されるメンバーで置換されている]から構成される群から選択され;
各Rは−Hと、場合によりNH、−OH、−F、−CN及び−CFから構成される群から選択される1〜2個のメンバーで置換された−C1−4アルキルから独立して選択され;
Xは−O−、S(O)、NR及び−CHR−から構成される群から選択され、Rは−H、−OH及び場合により−OHと−Fから選択される基で置換された−C1−6アルキルから構成される群から選択され;
Yは、
a)−N=、−NH−、−N(Me)−、−S−及び−O−から構成される群から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、場合により1〜3個のフルオロで置換された9員不飽和オルト縮合二環系、
b)1〜3個の−N=を含み、場合により1〜3個のフルオロで置換された10員芳香族オルト縮合二環系、並びに
c)−C1−4アルキル、−F、−CFH及びCFから選択される基で置換されており、場合により−C1−4アルキルである第2の置換基をもつピリジニルから構成される群から選択され;
Hetcyはアゼチジル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、β−ラクタミル、δ−ラクタミル及びγ−ラクタミルから構成される群から選択され;
は、
a)2〜4個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
b)1個の酸素又は1個の硫黄と1〜2個の窒素から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、環の1個の窒素が場合によりC1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、=O、=S、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
c)1〜2個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素原子が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された6員不飽和複素環、
d)1個の硫黄と2〜4個の窒素原子から選択される3〜5個のヘテロ原子を含み、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された8員不飽和オルト縮合二環系、並びに
e)3〜4個の窒素原子を含み、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された9員不飽和オルト縮合二環系から構成される群から選択され;
は、
a)2〜4個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、=O、=S、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
b)1個の酸素又は1個の硫黄と1〜2個の窒素原子から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、環の1個の窒素が場合によりC1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、並びに
c)1〜2個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素原子が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された6員不飽和複素環から構成される群から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書では、特に指定しない限り、以下に定義する用語を使用して本発明を詳細に説明する。「アルキル」及び「アル」で始まる他の基(例えばアルコキシ、アルカノイル等)は直鎖でも分岐鎖でも環状でもその組合せでもよい指定炭素原子数の炭素鎖を意味する。「非環状アルキル」はアルキルのサブセットであり、直鎖又は分岐鎖アルキルを意味し、シクロアルキルを含まない。炭素原子数を指定しない場合には、直鎖又は分岐鎖アルキル基は炭素原子数1〜10とする。シクロアルキルは炭素環を形成するために最低3個の炭素を必要とし、アルキルのサブセットであり、アルキル基の指定炭素原子数が3以上のとき、又は炭素原子数を指定しないときには、「アルキル」の意味にも含むものとする。従って、「アルキル」なる用語は出現毎に独立して(a)非環状アルキル、(b)シクロアルキル及び(c)非環状アルキルとシクロアルキルの組み合わせから構成される基を表す。従って、当然のことながら、「C1−3アルキル」と言う場合には、炭素数1〜3の直鎖及び分岐炭素鎖とシクロプロピルを包含する。同様に、「C1−4アルキル」と言う場合には、炭素数1〜4の直鎖及び分岐炭素鎖に加え、シクロプロピル、−CH−シクロプロピル、−シクロプロピル−CH及びシクロブチルを包含する。同様に、「C1−6アルキル」と言う場合には、炭素数1〜6の直鎖及び分岐炭素鎖とC3−6シクロアルキルに加え、合計炭素原子数6までの非環状アルキルとC3−5シクロアルキルの組み合わせを包含する。アルキル基の例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、1,1−ジメチルブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等と、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。シクロプロピルとシクロブチルが好ましいシクロアルキル基である。
【0014】
「アルケニル」とは少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖でも分岐鎖でもその組合せでもよい指定炭素原子数、特に炭素原子数3〜6の炭素鎖を意味する。アルケニルの例としてはビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が挙げられる。
【0015】
「アルキニル」とは少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含み、直鎖でも分岐鎖でもその組合せでもよい指定炭素原子数、特に炭素原子数3〜6の炭素鎖を意味する。アルキニルの例としてはエチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニル等が挙げられる。
【0016】
「アシル」とはカルボニル基を介して結合した上記定義によるアルキル基を意味する。好ましい例はアセチルCHC(O)−である。
【0017】
「アリール」(Ar)とは単環又は二環式6〜12員芳香環を意味する。アリールの例としてはフェニル、ナフチル、インデニル等が挙げられる。
【0018】
「ハロゲン」(Halo)はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含み、好ましくは−F及び−Cl、より好ましくは−Fである。
【0019】
本明細書で使用する「8員不飽和オルト縮合二環系」なる用語は2個の5員環が環の2個の隣接原子のみを共有するように縮合(即ちオルト縮合)したものを意味する。本明細書で使用する「9員不飽和オルト縮合二環系」なる用語は6員環と5員環が相互にオルト縮合したものを意味する。本明細書で使用する「10員芳香族オルト縮合二環系」なる用語は2個の6員環が相互にオルト縮合したものを意味する。これらの二環系は炭素原子と指定数及び種のヘテロ原子から構成され、本明細書に定義するように置換されていてもよい。「不飽和」なる用語は芳香環と非芳香族不飽和環の両者を包含する。
【0020】
「Hetcy」はHetcy環の炭素又は窒素を介して構造式Iの化合物と結合することができる。「Z」及び「Z」は各々Z又はZ環又は環系内の炭素又は窒素を介して構造式Iの化合物と結合することができ、炭素を介して結合していることが好ましい。「Y」はY環又は環系内の炭素又は窒素を介して構造式Iの化合物と結合することができ、炭素を介して結合することが好ましい。
【0021】
「場合により置換」なる用語は「非置換又は置換」を意味し、従って、本明細書に記載する一般構造式は特定の選択的置換基を含む化合物と、これらの選択的置換基を含まない化合物を包含する。例えば、「場合により−OH及び−Fから選択される基で置換された−C1−3アルキル」なる用語は非置換の−C1−3アルキル、フルオロで置換された−C1−3アルキル及びヒドロキシで置換された−C1−3アルキルを包含する。
【0022】
本発明の化合物を「式I」、「式Ia」、「式Ib」又は本明細書に示す他の任意一般構造式の化合物と言う場合には、これらの構造式の各々の範囲に該当する化合物に加え、可能な場合にはその医薬的に許容可能な塩、エステル及び溶媒和物を包含する。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機又は有機塩基と無機又は有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、三価マンガン、二価マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第一、第二、及び第三アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミン、並びに塩基性イオン交換樹脂(例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が挙げられる。本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸や有機酸等の医薬的に許容可能な非毒性酸から塩を製造することができる。このような酸としては酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、特にクエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸が挙げられる。
【0023】
更に、本発明の化合物にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、カルボン酸誘導体(例えばメチル、エチル又はピバロイルオキシメチル)又はアルコールのアシル誘導体(例えばO−アセチル、O−ピバロイル、O−ベンゾイル及びO−アミノアシル)の医薬的に許容可能なエステルを利用することができる。徐放性製剤又はプロドラッグ製剤として使用するように溶解度又は加水分解特性を改変するために当分野で公知のエステル及びアシル基も含まれる。
【0024】
式Iの化合物は1個以上の不斉中心を含む場合があり、従ってラセミ化合物、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。本発明はこのような全異性体と、このようなラセミ化合物、混合物、エナンチオマー及びジアステレオマーの塩、エステル及び溶媒和物をその全態様に含む。更に、本発明の化合物の結晶形態には多形体として存在するものもあるので、このような結晶形態も本発明に含むものとする。更に、本発明の化合物には水又は汎用有機溶媒と溶媒和物を形成するものもある。このような溶媒和物及び水和物も本発明の範囲に含まれる。本明細書に記載する化合物にはオレフィン二重結合を含むものもある。本発明はE及びZ両者の幾何異性体を含む。本明細書に記載する化合物には互変異性体(例えばケト−エノール互変異性体)として存在するものもある。個々の互変異性体とその混合物が本発明に含まれる。
【0025】
構造式Iの化合物は例えば適切な溶媒(例えば塩化メチレン/ヘキサン又は酢酸エチル/ヘキサン)からの分別結晶法や、光学活性固定相を使用するキラルクロマトグラフィーによりその個々のジアステレオマーに分離することができる。絶対立体化学は必要に応じて既知立体配置の立体中心を含む試薬で結晶生成物又は結晶中間体を修飾し、X線結晶構造解析により決定することができる。あるいは、既知絶対立体配置の光学的に純粋な出発材料又は試薬を使用して立体特異的合成により一般式Iの化合物の任意立体異性体を得ることもできる。
【0026】
本発明の1態様では、構造式Ia:
【0027】
【化17】

(式中、R、R、R、R1a及びYは式Iに定義した通りである)をもつ式Iの範囲内の化合物とその医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物が提供される。
【0028】
本発明の別の態様では、式Ib:
【0029】
【化18】

(式中、R、R、R及びR1aは式Iに定義した通りであり、Yは、
【0030】
【化19】

から構成される群から選択される)をもつ式I及び式Iaの範囲内の化合物とその医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物が提供される。
【0031】
本発明の別の態様では、R1aが式Iで上記に定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、各R1aは独立して−H及び−Fから選択される。この分類のサブ分類では、R1aは−Hである。
【0032】
本発明の別の態様では、Rが式Iに定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Rは−COOH、−COOR、−C(O)−NR、−OC(O)−NR、−CHC(O)−NR及びZから選択される。この分類のサブ分類では、Rは−C(O)−NR、−OC(O)−NR、特に−OC(O)−N(H)−ピリジン−3−イル及びZから選択される。別のサブ分類では、Rは、
【0033】
【化20】

から選択され、式中、Rは−Hと、場合により−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択され、特にRは−H、メチル、エチル及び−フルオロエチルから選択され;Rは−H、−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、並びに場合により−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択され、特にRは−H、メチル、−NH、OH、−ヒドロキシメチル、フルオロエチル及び1−メチル−1−ヒドロキシエチルから選択される。特に、R
【0034】
【化21】

であり、より特定的には、
【0035】
【化22】

である。
【0036】
本発明の別の態様では、Rは式Iで上記に定義した通りである。この態様の1分類では、Rは−Hである。
【0037】
本発明の別の態様では、Rは式Iで上記に定義した通りである。この態様の1分類では、Rは−Hである。
【0038】
本発明の別の態様では、Rが水素である式I、Ia及びIbの化合物が提供される。
【0039】
本発明の別の態様では、RがC1−6アルキルである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Rはt−ブチルである。この分類のサブ分類では、Rは水素である。
【0040】
本発明の別の態様では、Rが式Iで上記に定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Rは−H、−CONR、−OCONR、CO及びZから選択される。
【0041】
本発明の別の態様では、Rが式Iで上記に定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。
【0042】
本発明の別の態様では、「p」が0、1及び2から選択される整数であり、特にpが2である式I、Ia及びIbの化合物が提供される。
【0043】
本発明の別の態様では、Rが式Iで上記に定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Rは−H及びZから選択される。この分類のサブ分類では、Rはピリジニル、特にピリジン−3−イル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル及びピラゾリルから選択される。この分類の別のサブ分類では、Rは、
【0044】
【化23】

から選択され、式中、Rは上記に定義した通りである。
【0045】
本発明の別の態様では、Rが式Iで上記に定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Rは−H、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルから選択される。この分類のサブ分類では、Rは−H又はメチルである。
【0046】
本発明の別の態様では、Xは式Iで上記に定義した通りである。この態様の1分類では、Xは−O−である。
【0047】
本発明の別の態様では、Yが式Iに定義した通りである式I及びIaの化合物が提供される。この態様の1分類では、Yは、
【0048】
【化24】

から選択され、式中、Rは−C1−4アルキル、−F、−CFH及び−CFから選択され;Rは−H又は−C1−4アルキルであり;nは0、1、2及び3から選択される整数である。この分類のサブ分類では、Yは
【0049】
【化25】

から選択される。この分類の別のサブ分類では、Yは
【0050】
【化26】

である。
【0051】
本発明の別の態様では、Hetcyが式Iに定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Hetcyは各々場合により式Iに定義したように置換されたピロリジニルとピペリジニルから選択される。
【0052】
本発明の別の態様では、Zが式Iに定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Zは、
【0053】
【化27】


から選択され、式中、Rは−Hと、場合により−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択され、特にRは−H、メチル、エチル及び−フルオロエチルから選択され;Rは−H、−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、並びに場合により−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択され、特にRは−H、メチル、−NH、OH、−ヒドロキシメチル、フルオロエチル及び1−メチル−1−ヒドロキシエチルから選択される。この態様の1分類では、Z
【0054】
【化28】

から選択される。この分類のサブ分類では、Z
【0055】
【化29】

から選択される。特に、Z
【0056】
【化30】

であり、より特定的には、
【0057】
【化31】

である。
【0058】
本発明の別の態様では、Zが式Iに定義した通りである式I、Ia及びIbの化合物が提供される。この態様の1分類では、Zは各々場合により式Iに定義したように置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル及びピラゾリルから選択される。この分類のサブ分類では、Z
【0059】
【化32】

から選択され、式中、Rは上記に定義した通りである。
【0060】
本発明の特定態様では、Yが
【0061】
【化33】

から構成される群から選択される式Iの化合物が提供され、式中、Rは−C1−4アルキル、−F、−CFH及び−CFから選択され;Rは−H又は−C1−4アルキルであり;nは0、1、2及び3から選択される整数であり;
その1分類では、Rは−COOH、−COOR、−C(O)−NR、−OC(O)−NR、−CHC(O)−NR及びZから選択され;そのサブ分類では、Xは−O−であり;別のそのサブ分類では、Zは、
【0062】
【化34】


から構成される群から選択され;更に別のそのサブ分類では、Rは−H及びZから選択され、Rは−H、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルから選択され;更に別のそのサブ分類では、Zはピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル及びピラゾリルから選択され;更に別のそのサブ分類では、Rは−H、−CONR、−OCONR,−CO及びZから選択され;更に別のそのサブ分類では、各R1aは−H及び−Fから選択され;更に別のそのサブ分類では、Rは−Hであり、Rは−Hであり;最後のそのサブ分類では、Hetcyはピロリジニルとピペリジニルから選択される。
【0063】
より特定的な態様では、R1aが−H及び−Fから選択される式Ia及び式Ibの化合物が提供される。この態様の1分類では、Rは−OC(O)NR及びZから選択され、Zは、
a)2〜4個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、=O、=S、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
b)1個の酸素又は1個の硫黄と1〜2個の窒素から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、環の1個の窒素が場合によりC1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、並びに
c)1〜2個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素原子が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された6員不飽和複素環から選択される。
【0064】
この態様のサブ分類では、Rは、
【0065】
【化35】

から選択される。
【0066】
本発明の化合物の別の態様では、構造式Id:
【0067】
【化36】

の化合物が提供され、式中、Yは、
【0068】
【化37】

から構成される群から選択され、
は、
【0069】
【化38】

から構成される群から選択され、
式中、Rは−Hと、場合により−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択され;Rは−H、メチル、−NH、OH、−ヒドロキシメチル、フルオロエチル及び1−メチル−1−ヒドロキシエチルから選択される。
【0070】
ロイコトリエン生合成阻害剤として有用な本発明の化合物の非限定的な具体例は以下の化合物:
【0071】
【化39】


とその医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物である。
【0072】
本発明の化合物の他の例は以下の化合物:
【0073】
【化40】

とその医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物から構成される群から選択される。
【0074】
本発明に該当する化合物の例としては本明細書の実施例に示す化合物とその塩及び溶媒和物が挙げられる。ラセミ混合物を示す場合には、特定エナンチオマーと特定エナンチオマーの塩及び溶媒和物も含む。
【0075】
式Iの化合物はアテローム性動脈硬化症の治療に使用することができ、このような治療を必要とする患者に治療有効量の式Iの化合物を投与する。本発明の別の側面はアテローム性動脈硬化症の発症の危険の予防又は低減方法として、このような治療を必要とする患者に予防有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法に関する。アテローム性動脈硬化症は大・中動脈壁の最下層にコレステロールと脂質を含むアテローム斑が沈着することを特徴とする。アテローム性動脈硬化症は該当医学分野に携わる医師により認識及び理解される血管疾患及び症状を包含する。血管再建術後の再狭窄を含むアテローム硬化性心血管疾患、冠状動脈性心臓病(冠動脈疾患又は虚血性心疾患とも言う)、多発梗塞性痴呆を含む脳血管疾患、及び勃起障害を含む末梢血管疾患はいずれもアテローム性動脈硬化症の臨床徴候であるため、「アテローム性動脈硬化症」及び「アテローム硬化性疾患」なる用語に含まれる。
【0076】
FLAP阻害剤は冠状動脈性心臓病イベント、脳血管イベント及び/又は間欠性跛行の発生、又は潜在性がある場合にはその再発の危険を予防又は低減するために投与することができる。冠状動脈性心臓病イベントはCHD死、心筋梗塞(即ち、心臓発作)及び冠状血管再建術を含むものとする。脳血管イベントは虚血性又は出血性脳卒中(脳血管障害とも言う)及び一過性脳虚血発作を含むものとする。間欠性跛行は末梢血管疾患の臨床徴候である。本明細書で使用する「アテローム硬化性疾患イベント」なる用語は、冠状動脈性心臓病イベント、脳血管イベント及び間欠性跛行を含むものとする。非致死性アテローム硬化性疾患イベントを過去に1回以上経験した人はこのようなイベントの再発の可能性があるとみなす。
【0077】
従って、本発明はアテローム硬化性疾患イベントの初回又は2回目以降の発生の危険を予防又は低減するための方法として、このようなイベントの危険のある患者に予防有効量のFLAP阻害剤を投与することを含む方法も提供する。患者は投与時に既にアテローム硬化性疾患をもつものでもよいし、発症する危険があるものでもよい。
【0078】
本発明の方法は新規アテローム硬化性病変又はプラーク形成を予防又は遅延させ、既存病変又はプラークの進行を予防又は遅延させ、更に既存病変又はプラークを退縮させるのに役立つ。従って、本発明の1側面はアテローム硬化性プラーク進行の停止又は遅延を含むアテローム性動脈硬化症進行の停止又は遅延方法として、このような治療を必要とする患者に治療有効量のFLAP阻害剤を投与することを含む方法に関する。本方法も治療開始時に存在するアテローム硬化性プラーク(即ち、「既存アテローム硬化性プラーク」)の進行の停止又は遅延と、アテローム性動脈硬化症をもつ患者における新規アテローム硬化性プラークの形成の停止又は遅延を含む。
【0079】
本発明の別の側面は治療開始時に存在するアテローム硬化性プラークの退縮を含むアテローム性動脈硬化症の退縮方法として、このような治療を必要とする患者に治療有効量のFLAP阻害剤を投与することを含む方法に関する。本発明の別の側面はアテローム硬化性プラーク破裂の危険の予防又は低減方法として、このような治療を必要とする患者に予防有効量のFLAP阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0080】
式Iの化合物はロイコトリエンの生合成を阻害することができるため、ヒト対象においてロイコトリエンにより誘発される症状を予防又は退縮させるために有用である。ロイコトリエンの哺乳動物生合成のこの阻害により、前記化合物とその医薬組成物は哺乳動物、特にヒトにおいて、1)喘息、慢性気管支炎及び関連閉塞性気道疾患等の肺疾患、2)アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アレルギー性結膜炎等のアレルギー及びアレルギー反応、3)関節炎や炎症性腸疾患等の炎症、4)疼痛、5)アトピー性湿疹等の皮膚疾患、6)狭心症、アテローム硬化性プラークの形成、心筋虚血、高血圧、血小板凝集等の心血管疾患、7)免疫的又は化学的(シクロスポリン)病因により誘発される虚血に起因する腎不全、8)偏頭痛又は群発性頭痛、9)ブドウ膜炎等の眼疾患、10)化学的、免疫的又は感染刺激に起因する肝炎、11)熱傷、内毒素血症等の外傷又はシヨック状態、12)同種移植拒絶反応、13)インターロイキンII及び腫瘍壊死因子等のサイトカインの治療投与に伴う副作用の予防、14)嚢胞性線維症、気管支炎及び他の小・大気道疾患等の慢性肺疾患、15)胆嚢炎、16)多発性硬化症、並びに17)筋芽白血病細胞の増殖を治療、予防又は改善するために有用である。
【0081】
従って、本発明の化合物は糜爛性胃炎;糜爛性食道炎;下痢;脳痙攣;早産;自然流産;月経困難症;虚血;肝臓、膵臓、腎臓又は心筋組織の有毒物質による損傷又は壊死;CClやD−ガラクトサミン等の肝毒性物質に起因する肝実質損傷;虚血性腎不全;疾患による肝損傷;胆汁酸塩による膵臓又は胃損傷;外傷又はストレスによる細胞損傷;及びグリセロールによる腎不全等の哺乳動物(特に、ヒト)疾患状態を治療又は予防するために使用することもできる。本発明の化合物は腫瘍転移の抑制剤としても作用し、細胞保護作用を示す。
【0082】
本発明のFLAP阻害剤は糸球体腎炎(Guasch A.,Zayas C.F.,Badr KF.(1999),“MK−591 acutely restores glomerular size selectivity and reduces proteinuria in human glomerulonephritis,”Kidney Int.,56:261−267参照)を予防、改善及び治療するために投与することもでき、更に糖尿病合併症に起因する腎損傷(Valdivielso JM,Montero A.,Badr KF.,Munger KA.(2003),“Inhibition of FLAP decreases proteinuria in diabetic rats,” J.Nephrol.,16(l):85−940参照)の予防、改善及び治療にも使用することができる。
【0083】
更に、本発明の化合物は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使用することもできる。S.Kilfeather,Chest,2002,vol 121,197に記載されているように、COPD患者の気道好中球増加症は炎症の要因であると考えられ、気道リモデリングに結び付けられる。好中球の存在の一因はLTBであり、本発明の化合物による治療を使用してCOPD患者の好中球性炎症を緩和できると考えられる。
【0084】
化合物の細胞保護作用は強力な刺激物の有毒作用(例えばアスピリン又はインドメタシンの潰瘍誘発作用)に対する胃腸粘膜の耐性の増加を確認することにより動物とヒトの両者で観察することができる。胃腸管に及ぼす非ステロイド性抗炎症薬の作用の低下に加え、動物試験によると、細胞保護化合物は強酸、強塩基、エタノール、高張食塩水等の経口投与により誘発される胃病変を予防する。2種のアッセイを使用して細胞保護能を測定することができる。これらのアッセイは(A)エタノールによる病変のアッセイと、(B)インドメタシンによる潰瘍アッセイであり、EP140,684に記載されている。
【0085】
特に、本発明の化合物はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と低用量アスピリンの併用投与に起因する胃糜爛を緩和するために有用であると思われる。シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は従来の非選択的非ステロイド性抗炎症薬に比較して胃腸合併症の危険の少ない有効な抗炎症薬として広く使用されている。しかし、心臓保護のためにシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を低用量アスピリンと併用すると、この類の化合物の胃腸安全性が低下する可能性がある。5−リポキシゲナーゼ阻害剤としてのその活性により、本発明の化合物はこの点で胃を保護すると予想される。Fiorucciら,FASEB J.17:1171−1173,2003参照。本発明で使用するシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤としては限定されないが、エトリコキシブ(ARCOXIA(登録商標))、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))及びバルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))が挙げられる。低用量アスピリン治療中の患者に本発明の化合物とシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を単位用量形態で又は別々に併用投与することができる。あるいは、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を低用量アスピリンと単位用量形態で併用投与してもよく、その場合には、本発明の化合物を別に投与する。全3種の活性成分を単位用量形態で投与してもよい。慣用用量のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と(心臓保護用として)アスピリンを使用することができる。例えば、アスピリンは1日1回81mgを投与することができる。
【0086】
一般に、FLAP阻害剤は「FLAP結合アッセイ」で1μM以下、好ましくは500nM以下のIC50をもつ化合物とすることができる。
【0087】
「患者」なる用語は病態の予防又は治療のために本発明の活性剤を使用する哺乳動物、特にヒトを意味する。患者への薬剤投与は自己投与と他者による患者への投与の両者を含む。患者は既存疾患又は病態の治療を必要とするものでもよいし、アテローム性動脈硬化症発症の危険を予防又は低減するために予防処置を必要とするものでもよい。
【0088】
「治療有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる組織、系、動物又はヒトに生物学的又は医学的応答を誘発する薬剤の量を意味する。「予防有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により組織、系、動物又はヒトで予防することが求められる生物学的又は医学的イベントの発生の危険を予防又は低減する薬剤の量を意味する。
【0089】
本発明の方法におけるFLAP阻害剤の有効量は約0.001mg〜約100mg/kg体重/日、好ましくは0.01mg〜約10mg/kg、最も好ましくは 0.1〜1mg/kgを1回又は数回に分けて投与する。1日1回投与することが好ましいが、必ずしもそうでなくてもよい。他方、場合によっては上記範囲外の用量を使用することが必要な場合もある。例えば、合計1日用量は限定されないが、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、200mg及び250mgから選択することができる。しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬剤併用及び患者の症状の重篤度等の種々の因子により異なる。通常の知識をもつ臨床医であれば、症状を予防、退縮又は進行阻止するために必要な治療有効用量又は予防有効用量を決定する目的でこれらの因子を考慮することは十分に可能である。FLAP阻害剤は患者に該当する症状を治療又は予防するために適切な期間毎日投与することが予想され、数カ月、数年又は患者の終生の治療期間か挙げられる。
【0090】
広義の態様では、1種以上の適切な他の任意活性剤(限定されないが、抗アテローム性動脈硬化剤等)を式Iの化合物と単一製剤として併用投与してもよいし、活性剤を同時又は順次投与可能な別個の製剤として患者に投与してもよい。1種以上の他の活性剤を式Iの化合物と併用投与することができる。他の活性剤は脂質調節化合物でもよいし、他の医薬活性をもつ物質でもよいし、脂質調節作用と他の医薬活性の両者をもつ物質でもよい。利用可能な他の活性剤の例としては、限定されないが、そのラクトン化又はジヒドロキシ開環酸体のスタチンと医薬的に許容可能なその塩及びエステルを含むHMG−CoAレダクターゼ阻害剤として(限定されないが、例えばロバスタチン(米国特許第4,342,767号参照)、シンバスタチン(米国特許第4,444,784号参照)、ジヒドロキシ開環酸シンバスタチン、特にそのアンモニウム又はカルシウム塩、プラバスタチン、特にそのナトリウム塩(米国特許第4,346,227号参照)、フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(米国特許第5,354,772号参照)、アトルバスタチン、特にそのカルシウム塩(米国特許第5,273,995号参照)、ピタバスタチン(別称NK−104)(PCT国際公開WO97/23200参照)、及びロスバスタチン(別称ZD−4522)(CRESTOR(登録商標);米国特許第5,260,440号及びDrugs of the Future,1999,24(5),pp.511−513参照));5−リポキシゲナーゼ阻害剤;コレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害剤(例えばJTT−705やトルセトラピブ(別称CP529,414));HMG−CoAシンターゼ阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンテターゼ阻害剤(別称スクアレンシンターゼ阻害剤)、アシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤(例えばACAT−1又はACAT−2の選択的阻害剤や、ACAT−1及び−2のデュアル阻害剤);ミクロソームトリグリセリド転送蛋白(MTP)阻害剤;ナイアシン;胆汁酸抑制剤;LDL(低密度リポ蛋白)受容体インデューサー;血小板凝集抑制剤(例えば糖蛋白IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリン);ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト(例えば一般にグリタゾンと呼ばれる化合物(例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾン)及びチアゾリジンジオンとして知られる構造分類に含まれる化合物と、チアゾリジンジオン構造分類に含まれないPPARγアゴニスト;PPARαアゴニスト(例えばクロフィブレート、微粉状フェノフィブレートを含むフェノフィブレート、及びゲムフィブロジル);PPARデュアルα/γアゴニスト;ビタミンB(別称ピリドキシン)とその医薬的に許容可能な塩(例えばHCl塩);ビタミンB12(別称シアノコバラミン);葉酸又はその医薬的に許容可能な塩もしくはエステル(例えばナトリウム塩及びメチルグルカミン塩);抗酸化ビタミン類(例えばビタミンC及びE並びにβカロテン);β遮断薬;アンギオテンシンIIアンタゴニスト(例えばロサルタン);アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例えばエナラプリル及びカプトプリル);カルシウムチャネル遮断薬(例えばニフェジピン及びジルチアゼム);エンドテリンアンタゴニスト;ABC1遺伝子発現を増強する物質;阻害剤とアゴニストの両者を含むFXR及びLXRリガンド;ビスホスホネート化合物(例えばアレンドロン酸ナトリウム);並びにシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(例えばセレコキシブ)が挙げられる。
【0091】
本発明の化合物と併用することができる更に別の物質はコレステロール吸収抑制剤である。コレステロール吸収抑制剤はコレステロールが腸内腔から小腸壁の腸細胞内に移動するのを妨害する。この妨害が血清コレステロール値を低下させるその主要作用モードである。これらの化合物は主にアシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害、トリグリセリド合成阻害、MTP阻害、胆汁酸抑制及び転写調節(例えば核内ホルモンのアゴニスト又はアンタゴニスト)等の作用メカニズムにより血清コレステロール値を低下させる化合物から区別される。コレステロール吸収抑制剤は米国特許第5,846,966号、米国特許第5,631,365号、米国特許第5,767,115号、米国特許第6,133,001号、米国特許第5,886,171号、米国特許第5,856,473号、米国特許第5,756,470号、米国特許第5,739,321号、米国特許第5,919,672号、WO00/63703、WO/0060107、WO00/38725、WO00/34240、WO00/20623、WO97/45406、WO97/16424、WO97/16455及びWO95/08532に記載されている。
【0092】
典型的なコレステロール吸収抑制剤は米国特許第5,767,115号及び5,846,966号に記載されている下式:
【0093】
【化41】

で表される1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンであるエゼチミブ(別称SCH−58235)である。
【0094】
別の典型的なヒドロキシ置換アゼチジノンコレステロール吸収抑制剤は米国特許第5,767,115号、カラム39、第54〜61行及びカラム40、第1〜51行に具体的に記載されており、カラム2、第20〜63行に定義されているような式:
【0095】
【化42】

で表される。上記及び他のコレステロール吸収抑制剤は、米国特許第5,767,115号、カラム19、第47〜65行に記載の高脂血症ハムスターを使用する脂質低下化合物アッセイに従い、ハムスターに低コレステロール食を与え、試験化合物を7日間投与することにより同定することができる。血漿脂質分析を実施し、対照に対する脂質低下率百分率としてデータを報告する。
【0096】
コレステロール吸収抑制剤の治療有効量としては約0.01mg/kg〜約30mg/kg体重/日、好ましくは約0.1mg/kg〜約15mg/kgの用量が挙げられる。従って、平均体重70kgでは、薬剤約0.7mg〜2100mg/日、例えば10、20、40、100又は200mg/日を1日1回又は1日2〜6回に分けて投与するか又は徐放形態で投与することが好ましい。この用量レジメンは本発明の化合物とコレステロール吸収抑制剤の併用時に最適治療応答が得られるように調節することができる。
【0097】
本発明の治療方法では、従来の医薬的に許容可能な非毒性キャリヤー、アジュバント及びビヒクルを含有する単位用量製剤として経口、非経口又は経直腸等の適切な任意投与経路でFLAP阻害剤を投与することができる。本明細書で使用する非経口なる用語は皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は輸液技術を含む。経口製剤が好ましい。
【0098】
経口用では、活性成分を含有する本発明の医薬組成物は錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、エマルション、ハードもしくはソフトカプセル、又はシロップもしくはエリキシル剤等の形態とすることができる。経口用組成物は医薬組成物の製造に当分野で公知の任意方法により製造することができ、このような組成物は医薬的にエレガントで口当たりのよい製剤にするために甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤から構成される群から選択される1種以上の添加剤を添加することができる。錠剤は錠剤の製造に適した医薬的に許容可能な非毒性賦形剤と混合した活性成分を含有する。これらの賦形剤としては例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えばコーンスターチ又はアルギン酸);結合剤(例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアガム)及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)が挙げられる。
【0099】
即放性及び時間制御放出性剤形に加え、腸溶コーティング経口剤形を利用することができる。錠剤はコーティングしなくてもよいし、胃腸管での崩壊と吸収を遅らせて長時間持続作用を提供するために公知技術によりコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を利用することができる。時間制御放出装置の1例は米国特許第5,366,738号に記載されている。製剤は米国特許第4,256,108号;4,166,452号;及び4,265,874号に記載の技術によりコーティングし、制御放出用浸透圧治療用錠剤を形成してもよい。
【0100】
経口用製剤は活性成分を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合したハードゼラチンカプセルの形態でもよいし、活性成分を水もしくは水混和性溶媒(例えばプロピレングリコール、PEG及びエタノール)又は油性媒体(例えば落花生油、液体パラフィン又はオリーブ油)と混合したソトフゼラチンカプセルの形態でもよい。
【0101】
水性懸濁液剤は水性懸濁液剤の製造に適した賦形剤と混合した活性材料を含有する。このような賦形剤としては、懸濁剤として例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアガムが挙げられ;分散剤又は湿潤剤として天然ホスファチド(例えばレシチン)又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又は脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又は脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)が挙げられる。水性懸濁液剤は更に、1種以上の防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤、及び1種以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテーム)を添加することができる。
【0102】
油性懸濁液剤は植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又は椰子油)又は鉱油(例えば液体パラフィン)に活性成分を懸濁することにより製造することができる。油性懸濁液剤は増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルソルコール)を添加することができる。口当たりのよい経口製剤を提供するために上記のような甘味剤や香味剤を添加することができる。これらの組成物はアスコルビン酸等の酸化防止剤の添加により防腐処理することができる。
【0103】
水を加えて水性懸濁液剤を調製するのに適した分散性散剤及び顆粒剤は分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の防腐剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤としては上記のものが例示される。例えば甘味剤、香味剤及び着色剤等の他の賦形剤も添加することができる。
【0104】
本発明の医薬組成物は水中油エマルションの形態でもよい。油相は植物油(例えばオリーブ油又は落花生油)又は鉱油(例えば液体パラフィン)又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤としては天然ホスファチド(例えば大豆レシチン)及び脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。エマルションは更に甘味剤と香味剤を添加することができる。
【0105】
シロップ及びエリキシル剤は甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロース)を添加することができる。このような製剤は更に粘膜保護剤、防腐剤、香味剤及び着色剤を添加することができる。医薬組成物は注射用滅菌水性又は油性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は適切な上記分散剤又は湿潤剤と懸濁剤を使用して公知技術により製造することができる。注射用滅菌製剤は非経口投与に許容可能な非毒性希釈剤又は溶剤の注射用滅菌溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール溶液)でもよい。利用することができる許容可能なビヒクル及び溶剤としては水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。エタノール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等の補助溶媒も使用してもよい。更に、滅菌不揮発性油も従来通りに溶媒又は懸濁媒として利用される。この目的には、合成モノ又はジグリセリド等の任意不揮発性油を利用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸も注射剤の製造に利用される。
【0106】
本発明の治療方法で有用な化合物は薬剤を直腸投与するために座剤形態で投与することもできる。これらの組成物は常温では固体であるが、直腸温度で液体となり、従って直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより製造することができる。このような材料としてはカカオバターやポリエチレングリコールが挙げられる。
【0107】
本発明は式Iの化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを配合することを含む医薬組成物の製造方法も包含する。式Iの化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを配合することにより製造される医薬組成物も包含する。
【0108】
本明細書に記載する用量で本明細書に記載する任意病態を治療又は予防するために有用な医薬を製造するためには、治療有効量の式Iの化合物を使用することができる。例えば、喘息、アレルギー及びアレルギー症状、炎症、COPD又は糜爛性胃炎の治療に有用な医薬を製造するために式Iの化合物を使用することができる。更に、前記医薬はアテローム硬化性疾患の発症の危険を予防又は低減するため、臨床症状が顕在化してからアテローム硬化性疾患の進行を停止又は遅延させるため、更にはアテローム硬化性疾患イベントの初回又は2回目以降の発生の危険を予防又は低減するためにも有用であると思われる。式Iの化合物の化合物から構成される医薬は本明細書に記載するもの等の1種以上の他の活性剤と併用して製造することもできる。
【0109】
本発明の構造式Iの化合物は適当な材料を使用して下記スキーム及び実施例の手順に従って製造することができ、下記特定例により更に例示する。更に、本明細書に記載する手順を利用することにより、当業者は本明細書で請求する本発明の他の化合物も容易に製造することができる。しかし、実施例に具体的に示す化合物が本発明とみなされる唯一の分類を形成すると解釈すべきではない。実施例は本発明の化合物の製造の詳細も例証する。当業者に自明の通り、これらの化合物を製造するために下記製造手順の条件及び工程の公知変形も使用できる。本発明の化合物は一般にその医薬的に許容可能な塩(例えば上記塩)の形態で単離される。単離された塩に対応する遊離アミン塩基は適切な塩基(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム水溶液)で中和し、遊離したアミン遊離塩基を有機溶媒で抽出した後に蒸発させることにより生成することができる。こうして単離された遊離アミン塩基を有機溶媒に溶かした後に適切な酸を加え、更に蒸発、沈殿又は結晶化させることにより別の医薬的に許容可能な塩に更に変換することができる。特に指定しない限り、全温度は摂氏である。質量スペクトル(MS)は電子スプレーイオン化質量分析法により測定した。
【0110】
「標準ペプチドカップリング反応条件」なる用語は不活性溶媒(例えばジクロロメタンやDMF)中で補助求核試薬(例えばHOATやHOBT)の存在下に酸活性化剤(例えばHATU、EDC及びPyBOP)を使用してカルボン酸をアミンとカップリングすることを意味する。望ましい反応を助長し、望ましくない反応を最小限にするためにアミン及びカルボン酸官能基に保護基を使用することも文献に詳細に記載されている。保護基を付加及び除去するために必要な条件はGreene,T,and Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,1999等の標準教科書に記載されている。有機合成ではCBZとBOCが汎用アミノ保護基であり、それらの除去条件は当業者に公知である。例えば、CBZはプロトン性溶媒(例えばMeOHやEtOH)中で活性炭に担持した貴金属又はその酸化物(例えばパラジウム)の存在下に接触水素化により除去することができる。他の潜在的に反応性の官能基の存在により接触水素化が禁忌の場合には、臭化水素の酢酸溶液で処理するか又はTFAと硫化ジメチルの混合物で処理することによりCBZ基を除去することができる。BOC保護基の除去は溶媒(例えばDCM、ジオキサン、MeOH又はEtOAc)中で強酸(例えばTFA、塩酸又は塩化水素ガス)を使用して実施される。
【0111】
本明細書で使用する所定の略語は以下の通りである。
【0112】
Acはアセチルであり;aqは水溶液であり;Arはアリールであり;9−BBNは9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンであり;BOC(Boc)はtert−ブチルオキシカルボニルであり;Bnはベンジルであり;Buはブチルであり;セライトはCelite(登録商標)珪藻土であり;CBZ(Cbz)はベンジルオキシカルボニルであり;DCMはジクロロメタンであり;DEADはアゾジカルボン酸ジエチルであり;デス・マーチン・ペルヨージナンは1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オンであり;DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルであり;DIBAL−Hは水素化ジイソブチルアルミニウムであり;DIPEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンであり;DMAはN,N−ジメチルアセトアミドであり;DMAPは4−ジメチルアミノピリジンであり;DMFはN,N−ジメチルホルムアミドであり;dppfは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり;EDCは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHClであり;equiv.は当量であり;ESは電子スプレーイオン化質量分析であり;Etはエチルであり;EtOAcは酢酸エチルであり;EtOHはエタノールであり;HATUはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩であり;HClは塩化水素であり;HARはヘテロアリールであり;HOAtは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールであり;HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物であり;HPLCは高性能液体クロマトグラフィーであり;iはイソであり;LDAはリチウムジイソプロピルアミドであり;LGは脱離基であり;mはメタであり;Meはメチルであり;MeOHはメタノールであり;m.p.は融点であり;MSは質量スペクトルであり;Msはメタンスルホニルであり;NMMはN−メチルモルホリンであり;NMOはN−メチルモルホリン−N−オキシドであり;NMPはN−メチルピロリジンであり;NMRは核磁気共鳴であり;nOeは核オーバーハウザー効果であり;oはオルトであり;OAcはアセトキシであり;pはパラであり;PCCはクロロクロム酸ピリジニウムであり;Phはフェニルであり;Prはプロピルであり;p−TSAはパラトルエンスルホン酸であり;PyBOPはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジンホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは本発明の式Iの定義を満足するような不特定置換基であり;sat.は飽和であり;SFCは超臨界流体クロマトグラフィーであり;tはtertであり;Buはtert−ブチルであり;Tfはトリフルオロメタンスルホニルであり;TFAはトリフルオロ酢酸であり;THFはテトラヒドロフランであり;TLCは薄層クロマトグラフィーであり;TPAPは過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムである。
【0113】
反応スキームA〜Qは構造式Iの本発明の化合物の合成に利用される方法を示す。特に指定しない限り、全略語は上記に定義した通りである。
【0114】
反応スキームAは構造式4の化合物の好ましい合成方法を示し、出発材料1のフェニル環の一方又は両方は場合によりR1aにより表される置換基で置換されていてもよい。この方法では、アルキル基を転移させることが可能な2型有機金属試薬で1型ベンゾフェノンを処理し、反応生成物は構造式3の化合物である。この変換に好ましい有機金属試薬としては有機マグネシウム(グリニャール)又は有機リチウム化合物が挙げられる。スキームAに示すようにグリニャール試薬を利用する場合には、ジエチルエーテル、THF又はその混合物等の適切なエーテル溶媒中で−78℃〜溶媒の沸点の温度にて反応を実施するのが通例である。有機リチウム試薬の場合には、ジエチルエーテルやヘキサン等の各種溶媒中で−78℃〜室温の温度にて反応を実施することができる。グリニャール試薬と有機リチウム試薬は市販品を利用することが多いが、有機合成で公知の方法に従って合成により製造することもできる。3の第3級ヒドロキシル基の除去はW及びV置換基の種類により異なる。これらの置換基が水素化条件に左右されない場合には、MeOHやEtOH等の溶媒中で水素ガスや水素供与体(例えばギ酸)の存在下に炭素担持パラジウム触媒を使用して水素化分解によりヒドロキシル基を除去することができる。場合により、W及びV置換基の一方又は両方は水素化条件に感受性であるが、これらの場合には、プロトン酸(例えばTFA)又はルイス酸(例えば三弗化ホウ素)の存在下で3をトリエチルシラン等の有機シランと反応させる。DCMや1,2−ジクロロエタン等の不活性有機溶媒中で0℃〜溶媒の沸点の温度にて反応を実施するのが通例である。W及びV置換基の種類によっては、化合物4をその後、本発明の他の化合物に変換してもよい。
【0115】
【化43】

【0116】
反応スキームBは1型ジアリールケトンの好ましい合成方法を示す。この方法では、アリール基を転移させることが可能な6型有機金属試薬で5型安息香酸誘導体を処理する。この変換を実施するのに好ましい有機金属試薬としては有機マグネシウム(6,M=Mg)及び有機亜鉛(6,M=Zn)化合物が挙げられる。有機亜鉛化合物(6)を利用する場合には、塩化ベンゾイル(5,A=Cl)を第2の芳香族カップリングフラグメントとして利用することが好ましく、この反応は根岸型カップリングと呼ばれる。有機亜鉛試薬(6)は通常では有機マグネシウム又は有機リチウム試薬を塩化亜鉛(II)でトランスメタル化することによりin situ生成及び使用される。しかし、有機亜鉛の他の製造方法も有機合成分野の当業者に公知であり、多くの場合には、市販品も利用できる。一般に、根岸型カップリングはジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)又はテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)等の適切なパラジウム触媒と、THF又はDMA等の不活性有機溶媒の存在下で実施される。0℃〜周囲温度で2〜24時間反応を実施するのが通例である。有機マグネシウム試薬(6)を芳香族カップリングフラグメントの一方として使用する場合には、アシルイミダゾール誘導体(5,A=イミダゾール)等の活性化カルボン酸を補助反応成分として利用することが好ましい。アシルイミダゾール誘導体(5)は通常ではDCM又はTHF又はその混合物等の両性非プロトン性溶媒中で0℃〜室温の温度にて夫々の安息香酸前駆体(5,A=OH)をカルボニルジイミダゾールで処理することによりin situ生成及び使用される。中間体アシルイミダゾール種(5)とグリニャール試薬(6)の反応は通常では副反応を避けるように−78℃等の低温で実施され、反応生成物は構造式1のベンゾフェノンである。この方法の更に別の変形では、上記方法を使用して7型安息香酸誘導体と8型有機金属試薬の反応から1を製造することもできる。
【0117】
【化44】

【0118】
反応スキームCは3型ジアリールメタノールの代替合成方法を示す。この方法では、アリール基を転移させることが可能な6型有機金属試薬で9型アルキル−アリールケトンを処理する。この変換を実施するのに好ましい有機金属試薬としては有機マグネシウム(グリニャール)又は有機リチウム化合物が挙げられ、スキームAに記載したと同様に使用される。あるいは、10型アルキル−アリールケトンと8型有機金属試薬の反応から3を製造することもできる。
【0119】
【化45】

【0120】
反応スキームDは3型化合物(W,V=OH)の好ましい生成方法を示す。この方法では、上記グリニャール法とフリーデル・クラフツアリール化ストラテジーを併用して芳香族の片割れを導入する。後者変換の実施条件は上記の通りである。多数の方法(その数例を下記スキームに示す)で3型化合物(W,V=OH)を処理し、本発明の化合物を得ることができる。
【0121】
【化46】

【0122】
反応スキームEは構造式17の合成を示し、先ず15の高反応性ヒドロキシル基(1位)を処理することが望ましい。例えば、16型アルキル化剤を使用して15を直接アルキル化することができる。反応は一般にDMF等の極性非プロトン性溶媒中で炭酸カリウムや炭酸セシウム等の適切な塩基の存在下に実施され、16の置換基LGはハロゲン化物、メシラート又はトリフラート等の良脱離基である。反応の主生成物は構造式17のモノアルキル化物と構造式19のビスアルキル化物であり、フラッシュクロマトグラフィーにより容易に分離することができる。場合により、少量の位置異性体モノアルキル化物18が認められる。
【0123】
【化47】

【0124】
反応スキームFは22型化合物の合成の保護基ストラテジーを示し、15の低反応性ヒドロキシル基(4位)を処理することが望ましい。例えば、15の高反応性ヒドロキシル基(1位)を有機合成で公知の各種基(この場合にはシリコン系保護基アプローチ)で選択的に保護することができる。この方法では、DMF等の溶媒中でイミダゾールの存在下にクロロ−tert−ブチルジフェニルシラン等の適切なシリル化剤で15を処理する。反応は一般に0〜室温の温度で12〜24時間実施される。生成物は20型シリルエーテルであり、スキームEの説明で記載した条件を使用して直接アルキル化し、22型生成物が得られる。シリコン保護基はTHF中でTBAFで処理したり、ピリジン中で弗化水素で処理する等の適切な任意脱シリル化法により除去することができ、この反応の生成物は23型フェノールである。
【0125】
【化48】

【0126】
反応スキームGは17の好ましい処理方法のいくつかを示す。17はトルエン等の非プロトン性溶媒中でピリジンやトリエチルアミン等の適切な塩基の存在下に無水トリフル酸等のトリフラート化剤で処理することができる。反応は−78℃〜室温で1〜24時間実施するのが通例である。反応生成物は構造式24のトリフラートであり、有機合成の当業者に公知の各種合成法により処理することができ、そのうちの3種をスキームH、I及びJに略示する。
【0127】
あるいは、17はトルエン等の不活性溶媒中でトリエチルアミン等の適切な塩基の存在下に25型イソシアネートで処理することもできる(スキームG)。一般に、イソシアネート試薬25は市販品を利用するか又は合成することができ、反応生成物は26型カルバメートである。場合により、25をin situ生成することが好ましい場合もあり、これは一般にアシルアジド等の適切な前駆体から実施される。代替方法では、ホスゲン、トリホスゲン又はカルボニルジイミダゾール等の適切なカルボニル等価物で17を処理することができる。短時間(一般に0.1〜1時間)後、第1級又は第2級アミンを加え、反応生成物は構造式26のカルバメートである。反応シーケンスはDCM等の適切な不活性有機溶媒中で0℃〜室温の温度にて1〜24時間実施される。
【0128】
更に別の例では、スキームDの説明で記載した条件を使用して17を直接アルキル化し、28型誘導体を得ることができる。
【0129】
【化49】

【0130】
反応スキームHは構造式29、30及び31の化合物の好ましい合成方法を示す。この方法では、DMFやNMP等の不活性有機溶媒中で[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)等の適切なパラジウム触媒の存在下に24をアリルトリブチルスタナン又はビニルトリブチルスタナンで処理する。反応は通常では高温、一般に50〜120℃で2〜24時間実施される。場合により、反応を促進するために塩化リチウム等の添加剤を使用することが不可欠な場合もある。多くの場合には、反応をマイクロ波照射下に実施すると、反応時間を著しく短縮することができる。反応生成物は構造式29のアルケンであり、有機合成で公知の各種方法を使用して合成処理することができる。例えば、29を酸化開裂すると、30型アルデヒドが得られ、これを更に酸化すると、構造式31のカルボン酸誘導体が得られる。好ましい酸化開裂反応方法は反応スキームHに示す2段階法である。アセトン−水等の溶媒系中でNMO等の化学量論的再酸化剤の存在下に触媒四酸化オスミウムを使用してまずアルケン29を酸化し、ビシナルジオールとする。形成された中間体ビシナルジオールは一般に単離せず、THF−水等の適切な混合溶媒系中で過ヨウ素酸ナトリウムで開裂し、30を得る。酸化開裂シーケンスの両段階は一般に0℃〜室温の温度で数分間〜数時間で完了する。あるいは、オゾンを使用するか、当業者に公知の他の方法により29の酸化開裂を実施することもできる。その後、緩衝亜塩素酸塩酸化系を使用してアルデヒド30を更に酸化し、31とすることができる。この方法では、2−メチル−2−ブテン等の塩素スカベンジャーの存在下に亜塩素酸ナトリウムと一塩基性リン酸ナトリウムで30を処理する。反応は一般にn−ブタノール−水等の溶媒系中で0℃〜室温の温度にて1〜6時間実施される。場合により、過ヨウ素酸ナトリウム/三塩化ルテニウム試薬系を使用して29を直接31に変換することもできる。30及び31のどちらも有機合成で公知の多数の方法で処理し、本発明の他の化合物とすることができる。
【0131】
【化50】

【0132】
反応スキームIは構造式32、33及び34の化合物の好ましい合成方法を示す。この方法では、DMF等の不活性有機溶媒中で[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)等の適切なパラジウム触媒の存在下に24をMeOHで処理する。反応は通常では一酸化炭素雰囲気下に高温、一般に50〜120℃で6〜24時間実施される。場合により、反応を促進又は加速するために高圧一酸化炭素や塩化リチウム等の添加剤を使用することが推奨される場合もある。特定例では、マイクロ波照射下に反応を実施することが好ましい場合もある。反応生成物は構造式32のエステルであり、有機合成分野の当業者に公知の各種加水分解法を使用して31(n=0)に変換することができる。同様に有機パラジウム法を使用して24型化合物を構造式33の化合物に変換することもできる。例えば、適切なパラジウム触媒/配位子試薬系の存在下にシアン化亜鉛やシアン化カリウム等のシアン化物源で24を処理することができる。反応は不活性有機溶媒、好ましくはDMFやNMP等の両性非プロトン性溶媒中で高い反応温度、一般には50〜140℃にて6〜24時間実施するのが通例である。反応生成物は33型ニトリル誘導体であり、31及び32と同様に本発明の他の化合物に変換することができる。
【0133】
【化51】

【0134】
反応スキームJは構造式35の化合物の好ましい合成方法を示す。この方法(通称鈴木反応)では、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)等の適切なパラジウム(0)触媒と炭酸ナトリウム水溶液の存在下に24を34型アリール−又はヘテロアリール−ボロン酸で処理する。反応は通常ではトルエン−EtOH等の不活性有機溶媒の適切な組み合わせ中で約80℃にて6〜24時間実施され、生成物は構造式35のビアリールである。
【0135】
【化52】

【0136】
反応スキームKは31を36型アミンで処理して37型アミドを得る最も一般的な場合の合成方法を示す。反応スキームKに示すアミド結合カップリング反応はDMF、DCM等の適切な不活性溶媒中で実施され、HATU、EDC又はPyBOP等のアミドカップリング反応に適した各種試薬を使用して実施することができる。反応スキームKに示すアミド結合カップリング反応に好ましい条件は有機合成の当業者に公知である。このような条件としては限定されないが、トリエチルアミン、DIPEA又はNMM等の塩基性試薬の使用や、HOAtやHOBt等の添加剤の添加が挙げられる。あるいは、36を31の活性化エステル又は酸塩化物で処理しても37が得られる。反応スキームKに示すアミド結合カップリングは通常では0℃〜室温の温度、場合によっては高温で実施され、カップリング反応は一般に1〜24時間実施される。
【0137】
【化53】

【0138】
反応スキームLは39型化合物の好ましい合成方法を示す。この方法では、31をクルチウス反応に付し、構造式38のN−Boc保護アミンを得る。反応はトルエン等の溶媒中でトリエチルアミンやDIPEA等の第3級アミンの存在下に31をジフェニルホスホリルアジドと反応させることにより実施される。初期生成物は一般にアシルアジドであるとみなされ、アシルカルベンのウルフ転位と同様の熱工程でイソシアネートに転位させる。転位は一般に溶媒の還流温度、例えば110℃で実施され、転位は通常では1〜5時間で完了する。形成される中間体イソシアネートは一般に単離せず、tert−ブチルアルコール等の適切なアルコールとin situ反応させ、カルバメート38を得る。N−Boc基はEtOAc中で塩化水素で処理したり、DCM中でTFAで処理する等の適切な脱保護法により除去することができる。脱保護は一般に0℃〜室温の温度で実施され、反応は通常では0.5〜3時間で完了する。構造式39の生成物アミンを反応スキームMでカップリングパートナーとして使用するか又は有機合成で公知の各種方法を使用して合成修飾すると、本発明の化合物が得られる。
【0139】
【化54】

【0140】
反応スキームMは42型化合物の好ましい合成方法を示す。例えば、反応スキームMに示す汎用アミドカップリングプロトコールについて記載する試薬及び条件を使用して39を40型カルボン酸とのアミド結合カップリング反応に付し、構造式42のアミドを得ることができる。あるいは、39を41型の活性化エステル又は酸塩化物誘導体で処理しても42が得られる。このような変換を実施するための典型的条件としては、トリエチルアミン等の第3級アミン塩基の存在下に39を酸塩化物41で処理する方法が挙げられる。反応はDMFやDCM等の不活性有機溶媒中で0℃〜溶媒の還流温度、多くの場合には室温で1〜24時間実施するのが通例である。
【0141】
【化55】

【0142】
反応スキームNに示すように、光延反応の福山変法(Fukuyama,T.;Jow,C.−K.;Cheung,M.Tetrahedron Lett.1995,36,6373−74)を使用して39を更に処理することもできる。例えば、DCM等の不活性有機溶媒中で39を塩化2−ニトロベンゼンスルホニル、塩化4−ニトロベンゼンスルホニル又は塩化2,4−ジニトロベンゼンスルホニル等の塩化アリールスルホニル及び2,4,6−コリジンや2,6−ルチジン等の第3級アミン塩基と反応させればよい。あるいは、スキームNに示すように39と塩化アリールスルホニルをアルカリ水溶液中で反応させる伝統的ショッテン・バウマン条件下で反応を実施してもよい。この反応の生成物は43型スルホンアミドであり、トリフェニルホスフィンとDEAD、DIAD等の活性化剤の存在下で44型アルコールと反応させることにより更に修飾することができる。反応はベンゼン、トルエン、THF又はその混合物等の適切な不活性有機溶媒中で一般に室温にて実施され、反応は一般に0.5〜3時間で完了する。この反応の生成物は45型スルホンアミドであり、DCM等の溶媒中でn−プロピルアミン等の求核性アミンの存在下又はDCM中でメルカプト酢酸とトリエチルアミンの共存下に脱スルホニル化することができる。いずれの場合も、反応は一般に室温で5分間〜1時間実施される。2−又は4−ニトロベンゼンスルホニル誘導体を利用する場合には、スルホンアミドの開裂はDMF等の溶媒中でチオフェノールと炭酸カリウムの共存下又はDMF中でメルカプト酢酸と水酸化リチウムの共存下に実施される。いずれの場合も、反応は室温で1〜3時間実施される。有機合成で公知の各種方法を使用して46型第2級アミン生成物を更に修飾すると、本発明の他の化合物が得られる。例えば、46を47型アルデヒド又はケトンとの還元アミド化反応に付すと、49型化合物が得られる。このような還元アミド化を実施するための典型的条件としてはアルデヒド/ケトン47とアミン46から予めイミン48を形成した後に水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム等の炭素−窒素二重結合を還元することが可能な試薬で中間体イミンを還元する方法が挙げられる。中間体イミン48の形成は溶液中で自然に行ってもよいし、チタン(IV)イソプロポキシドや硫酸マグネシウム等のルイス酸型試薬で促進してもよい。イミンの形成は一般に0℃〜溶媒の還流温度、多くの場合には室温で実施される。イミン形成段階は一般に還元段階前の数時間〜1日で完了まで進行させ、一般式47の化合物のケト基の単純還元により形成されるアルコール副生物の形成を最小限にする。中間体イミン48は場合により単離生成してもよいが、一般には還元段階で直接使用することが好ましい。イミン48の還元は一般にMeOHやEtOH等のアルコール系溶媒中で0℃〜室温にて実施され、還元は一般に数時間以下で完了する。
【0143】
【化56】

【0144】
反応スキームOは本発明のX(X−CR−Y)基が炭素原子である構造式54及び55の化合物の好ましい合成方法を示す。この方法では、スキームGに記載した条件又はその変形を使用してまず50をトリフラート51に変換する。適切なパラジウム触媒の存在下の51と52型末端アルキンの交差カップリングは薗頭反応と呼ばれる。この工程では、ヨウ化(I)銅等の銅(I)塩も補助触媒として利用され、反応は一般にトリエチルアミンやジエチルアミン等の過剰のアミン塩基の存在下で実施される。反応はDMF等の不活性有機溶媒中で周囲温度〜約100℃の温度にて6〜24時間実施される。反応生成物は53型アルキンであり、その後、54型アルケン誘導体又は55型飽和アルカン誘導体に変換することができる。54が望ましい場合には、53の部分還元を実施するために好ましい条件としては大気圧又は高圧水素下でリンドラー触媒試薬系の使用が挙げられる。反応は通常ではEtOHやEtOAc等の不活性有機溶媒又はその組み合わせ中で室温にて3〜15時間実施される。55が望ましい場合には、53の還元は大気圧又は高圧水素下で各種炭素担持パラジウム触媒の任意1種を使用して実施される。
【0145】
【化57】

【0146】
スキームPは有機合成で公知の方法を使用して構造式56の化合物を構造式57の各種複素環(HAR)誘導体に変換できることを示す。このような変換の特定例を下記実施例セクションに示す。このような変換を実施するための主要な参考文献としては、以下の文献が挙げられる。
1)Joule,J.A;Mills,K and Smith,G.F.Heterocyclic Chemistry,Chapman & Hall,1995,3rd Edn.とその引用文献;
2)Katrittzky,A.R.;Rees,CW.(Eds),Comprehensive Heterocyclic Chemistry:The Structure,Reactions,Synthesis,and Uses of Heterocyclic Compounds,Pergamon Press,Oxford,1984,8vとその引用文献;及び
3)Comprehensive Heterocyclic Chemistry II:Review of the Literature 1982−1995:The Structure,Reactions,Synthesis and Uses of Heterocyclic Compounds,Pergamon Press,New York,2nd Edn.,1996,11vとその引用文献。
【0147】
【化58】

【0148】
スキームQは星印を付けた炭素がキラル中心である構造式58の化合物の好ましい分離方法を示す。一般に、キラル固定相液体クロマトグラフィー法又は有機合成で公知の他の適切な方法により前記化合物又はその製造中間体を分離し、59と60等の純エナンチオマー化合物とすることができる。例えば、58が酸性又は塩基性官能基を表す場合には、ラセミ混合物の分離は58とキラルカルボン酸(58が塩基性官能基を含む場合)又はキラルアミン(58が酸性官能基を含む場合)から誘導されるジアステレオ異性体塩の結晶化により実施することができる。
【0149】
【化59】

【0150】
以下の実施例は本発明を例証するものであり、いかなる点でも本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0151】
中間体の製造:
2−(ブロモメチル)−5−フルオロキノリン(i−1a)及び2−(ブロモメチル)−6−フルオロキノリン(i−1b)はBioorg.Med.Chem.Lett 1998,8,965−970に記載の手順に従って製造した。
【0152】
【化60】

2−(ブロモメチル)−5,6−ジフルオロキノリン(i−2d)の製造
ステップA:(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェニル)アミン(i−2a)の製造
3,4−ジフルオロアニリン(2.58g,20.0mmol)の室温のDCM(100mL)溶液に撹拌下に炭酸カリウム(2.76g,20.0mmol)を加え、得られた混合物を−15℃まで冷却した。臭素(3.20g,1.02mL,20.0mmol)のDCM(10mL)溶液をシリンジで滴下した。15分後に、反応混合物を氷/水に注ぎ、DCMで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(10−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−2aを得た。m/z(ES)210(MH)
【0153】
ステップB:8−ブロモ−5,6−ジフルオロ−2−メチルキノリン(i−2b)の製造
反応混合物が均質になるまでi−2a(733mg,4.46mmol)の6N HCl(25mL)懸濁液を撹拌下に100℃に加熱した。トルエン(6.0mL)を加えた後、クロトンアルデヒド(740mg,8.92mmol)を滴下した。3時間後に、反応混合物を室温まで冷却し、分離した水層を(氷冷下に)5N水酸化ナトリウム水溶液で注意深く中和した。次に水相をEtOAcで3回抽出し、有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5−10% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−2bを得た。m/z(ES)260(MH)
【0154】
ステップC:5,6−ジフルオロ−2−メチルキノリン(i−2c)の製造
i−2b(520mg,2.00mmol)、2N水酸化ナトリウム(1.25mL,2.50mmol)及び活性炭に担持した水酸化パラジウム(20%,100mg)の混合物をEtOAc/MeOH(25mL,9:1)中で大気圧(バルーン)下に1時間水素化した。反応混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5−25% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−2cを得た。m/z(ES)180(MH)
【0155】
ステップD:2−(ブロモメチル)−5,6−ジフルオロキノリン(i−2d)の製造
i−2c(300mg,1.68mmol)の室温の四塩化炭素(20mL)溶液に撹拌下にN−ブロモスクシンイミド(399mg,2.20mmol)と過酸化ベンゾイル(50.0mg)を順次加えた。得られた混合物を76℃まで加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を濾過し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5−15% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−2dを得た。m/z(ES)260(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 4.71(s,2H),7.60(dd,J=8.1Hz,9.6Hz,1H),7.67(d,J=8.6Hz,1H),7.88(m,1H),8.45(d,J=8.6Hz,1H)。
【0156】
【化61】

(4−フルオロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)メタノール(i−3d)の製造
ステップA:3−フルオロ−2−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロプ−1−イン−1−イル]ピリジン(i−3a)の製造
2−クロロ−3−フルオロピリジン(6.32g,48.1mmol)の室温のジオキサン(100mL)溶液に撹拌下にトリブチル[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロプ−1−イン−1−イル]スタナン(13.8g,32.0mmol,Kylerら,J.Org.Chem.,1987,52,4296−4298に従って製造)と塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(4.92g,6.98mmol)を順次加えた。得られた混合物を温和な窒素流で10分間脱気した後、100℃まで約6時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を飽和弗化カリウム水溶液でクエンチし、EtOAcで希釈した。約15分間激しく撹拌後、沈殿した固形分を濾別した。有機相を濾液から分離し、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:10−60% EtOAc/ヘキサン)により精製し、標記化合物i−3aを得た。m/z(ES)236(MH)
【0157】
ステップB:3−(3−フルオロピリジン−2−イル)プロプ−2−イン−1−オール(i−3b)の製造
i−3a(2.20g,9.35mmol)の酢酸/水(95mL/15mL)溶液を撹拌下に40℃に8時間加熱した。室温まで冷却後、揮発分を減圧除去し、残渣をEtOAcと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。有機相を分離し、水相をEtOAcで3回再抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:10−80% EtOAc/ヘキサン)により精製し、標記化合物i−3bを得た。m/z(ES)134(MH)−HO。
【0158】
ステップC:2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸1−アミノ−3−フルオロ−2−(3−ヒドロキシプロプ−1−イン−1−イル)ピリジニウム(i−3c)の製造
2−[(アミノオキシ)スルホニル]−1,3,5−トリメチルベンゼン(1.15g,5.30mmol,Tamuraら,Synthesis,1977,1−17に従って製造)のDCM(15mL)溶液をi−3b(536mg,3.55mmol)の0℃のDCM(15mL)溶液に撹拌下にシリンジで滴下した。2時間後に、反応混合物を室温まで昇温し、10分間エージングさせた後、エーテル(30mL)で希釈した。沈殿した結晶を濾取し、減圧乾燥し、標記化合物i−9cを得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 2.01(s,3H),2.60(s,6H),4.62(s,2H),6.82(s,2H),7.91(m,1H),8.19(m,1H),8.64(d,J=8.2Hz,1H)。
【0159】
ステップD:(4−フルオロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)メタノール(i−3d)の製造
i−3c(450mg,1.23mmol)の室温のDMF(10mL)溶液に撹拌下に炭酸カリウム(340mg,2.46mmol)を加えた。18時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:20−60% EtOAc/ヘキサン)により精製し、標記化合物i−3dを得た。H NMR(500MHz,CDCl):4.92(s,2H),6.06(m,1H),6.61(s,1H),6.80(dd,J=8.2Hz,8.1Hz,1H),8.64(d,J=8.2Hz,1H);m/z(ES)149(MH)−HO。
【0160】
中間体i−3dについて上述したと同様の手順に従い、夫々2−ブロモ−4−フルオロピリジン、2−ブロモ−5−フルオロピリジン及び2−ブロモ−6−フルオロピリジンから出発して(5−フルオロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)メタノール、(6−フルオロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)メタノール及び(7−フルオロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)メタノールを製造した。
【0161】
【化62】

【0162】
ステップA:2−シアノ−5−メトキシ安息香酸メチル(i−4a)の製造
2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸メチル(1.51g,6.16mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.250mg,0.216mmol)及びシアン化亜鉛(1.51g,12.8mmol)をDMF(3mL)に加えた混合物に180℃のマイクロ波装置(300W)で5分間照射した。室温まで冷却後、反応混合物をCelite(登録商標)のショートカラムで濾過し、濾液をEtOAcとブラインに分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−35% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−4aを得た。m/z(ES)192(MH)
【0163】
ステップB:2−シアノ−5−メトキシ安息香酸(i−4b)の製造
i−4a(9.79g,51.2mmol)の室温のTHF/水(1:1,200mL)溶液に撹拌下に水酸化リチウム(8.60g,358mmol)を加えた。5時間後に、反応混合物を1N HClに注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮し、標記化合物i−4bを得た。m/z(ES)178(MH)
【0164】
ステップC:2−ベンゾイル−4−メトキシベンゾニトリル(i−4c)の製造
i−4b(5.04g,28.5mmol)の室温のTHF/DCM(1:1,60mL)溶液に撹拌下に1,1’−カルボニルジイミダゾール(7.01g,43.2mmol)を加えた。2時間後に、反応混合物を−78℃まで冷却し、臭化フェニルマグネシウム(THF中1M溶液120mL,0.120mmol)をカニューレで滴下した。1.5時間後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−35% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−4cを得た。m/z(ES)238(MH)
【0165】
ステップD:2−(1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−メトキシベンゾニトリル(i−4d)の製造
i−4c(1.89g,7.99mmol)の0℃THF(30mL)溶液に撹拌下に臭化tert−ブチルマグネシウム(THF中1M溶液18.0mL,18.0mmol)を加えた。3時間後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−4dを得た。m/z(ES)296(MH)
【0166】
ステップE:2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−メトキシベンゾニトリル(i−4e)の製造
i−4d(1.02g,3.47mmol)の酢酸(10mL)溶液に撹拌下にギ酸アンモニウム(5.17g,82.1mmol)とパラジウム(活性炭担持10重量%430mg)を順次加えた。反応混合物を110℃まで加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物をCelite(登録商標)のショートカラムで濾過し、減圧濃縮した。残渣をDMF(10mL)に溶かし、塩化シアヌル(0.911g,4.95mmol)を加えた。2時間後に、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−15% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−4e(0.809g)を得た。m/z(ES)280(MH)
【0167】
ステップF:2−(2.2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−ヒドロキシベンゾニトリル(i−4f)の製造
i−4e(0.805g,2.91mmol)の0℃DCM(10mL)溶液に撹拌下に三臭化ホウ素(DCM中1M溶液15.0mL,15.0mmol)を加えた。反応混合物を室温まで昇温し、約12時間エージングさせた。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−4fを得た。
【0168】
ステップG:(+)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−ヒドロキシベンゾニトリル(i−4g)及び(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−ヒドロキシベンゾニトリル(i−4h)の製造
i−4f(1.80g)を分取キラルHPLC(ChiralCel(登録商標)OJカラム,30%イソプロピルアルコール/ヘプタンを溶離液とする)によりそのエナンチオマー成分に分離し、溶出順に以下の成分を得た。
【0169】
i−4g(エナンチオマーA):[α]20=+2.4°(C=1.00,MeOH);保持時間=分析用ChiralCel(登録商標)カラム(4.6×250mm;10ミクロン,流速=0.5mL/min,λ=254nM UV検出)で6.83’;H−NMR(500MHz,CDCl):δ 1.11(s,9H),4.34(s,1H),6.2−6.4(br s,1H),6.77(dd,J=8.5Hz,2.2Hz,1H),7.23−7.27(m,1H),7.29−7.34(m,3H),7.47(m,2H),7.50(d,J=8.5Hz,1H)。
【0170】
i−4h(エナンチオマーB):[α]20=−2.4°(C=0.20,MeOH),保持時間=分析用ChiralCel(登録商標)カラム(4.6×250mm;10ミクロン,流速=0.5mL/min,λ=254nM UV検出)で9.74’;H−NMR(500MHz,CDCl):δ 1.11(s,9H),4.34(s,1H),6.2−6.4(br s,1H),6.77(dd,J=8.5Hz,2.2Hz,1H),7.23−7.27(m,1H),7.29−7.34(m,3H),7.47(m,2H),7.50(d,J=8.5Hz,1H)。
【0171】
ステップH:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)ベンゾニトリル(i−4i)の製造
i−4h(0.584g,2.20mmol)の室温のDMF(10mL)溶液に撹拌下に炭酸セシウム(2.17g,8.21mmol)と塩酸2−(クロロメチル)キノリン(0.711g,3.32mmol)を順次加えた。12時間後に、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−4iを得た。m/z(ES)407(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 1.04(s,9H),4.31(s,1H),5.50(s,2H),6−97(dd,J=8.5Hz,2.5Hz,1H),7.09−7.31(m,5H),7.49(d,J=2.5Hz,1H),7.53(d,J=8.5Hz,1H)37.63−7.65(m,2H),7.82(t,J=7.5Hz,1H),7.90(d,J=8.0Hz,1H),8.17(d,J=8Hz,1H),8.23(d,J=8.5Hz,1H)。
【0172】
中間体i−4iについて上述したと同様の手順に従い、以下の他の中間体を製造することができる。
【0173】
【化63】

【0174】
【表1】


【0175】
【化64】

2−(1−エチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)安息香酸メチル(i−5e)の製造
ステップA:3−フェニルペンタン−3−オール(i−5a)の製造
臭化フェニルマグネシウム(エーテル中3M溶液29.0mL,87.0mmol)の0℃ジエチルエーテル(250mL)溶液に3−ペンタノン(5.00g,58.0mmol)を滴下した。添加の完了後、反応混合物を室温まで昇温し、約12時間エージングさせた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:0−20% EtOAc/ヘキサン)により精製し、標記化合物i−5aを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.8(t,J=7Hz,6H),1.68(s,1H),1.88(m,4H),7.40(m,4H),7.25(m,1H)。
【0176】
ステップB:2−(1−エチル−1−フェニルプロピル)ベンゼン−1,4−ジオール(i−5b)の製造
ディーン・スターク装置を使用して水を共沸除去しながらハイドロキノン(1.35g,12.3mmol)とp−TSA1水和物(116mg,0.61mmol)のトルエン(20mL)溶液を110℃に15分間加熱した。i−5a(1.00g,6.09mmol)のトルエン(4mL)溶液を上記溶液に6時間シリンジポンプ添加により加え、得られた混合物を110℃で更に12時間撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。有機相の蒸発中に、沈殿した過剰のハイドロキノンを濾別した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:0−30% EtOAc/ヘキサン)により精製し、標記化合物i−5bを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.65(t,J=7.5Hz,6H),2.05(dq,J=13.5,7.6Hz,2H),2.24(dq,J=13.5,7.6Hz,2H),4.01(s,1H),4.58(s,1H),6.66(m,2H)7.00(d,J=2.9Hz,1H),7.34(m,5H)。
【0177】
ステップC:2−(1−エチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)フェノール(i−5c)の製造
i−5b(298mg,1.16mmol)の室温のDMF(1.7mL)溶液に撹拌下に2−(クロロメチル)キノリン(268mg,1.51mmol)、ヨウ化カリウム(250mg,1.51mmol)及び炭酸カリウム(321mg,2.32mmol)を順次加えた。12時間後に、反応混合物を水に注ぎ、1N HClの添加により水相をpH7に調整した。水層をEtOAcで3回抽出し、有機抽出層を合わせて乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−5cを得た。m/z(ES)398(MH)
【0178】
ステップD:トリフルオロメタンスルホン酸2−(1−エチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)フェニル(i−5d)の製造
i−5cの0℃THF(2.7mL)溶液に撹拌下に水素化ナトリウム(10.0mg,0.230mmol)を加えた。20分後に、2−[N,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ]−5−クロロピリジン(116mg,0.290mmol)を加え、得られた混合物を室温まで昇温した。1時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物i−5dを得た。m/z 530(MH)
【0179】
ステップE:2−(1−エチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)安息香酸メチル(i−5e)の製造
i−5d(70.0mg,0.130mmol)、酢酸パラジウム(II)(4.70mg,0.02mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(16.0mg,0.030mmol)及びトリエチルアミン(44μL,0.32mmol)をMeOH/DMF(1:1,2.0mL)に加えた混合物を撹拌下に一酸化炭素で10分間パージした後、80℃に約18時間加熱した。反応混合物をEtOAcで洗浄下にCelite(登録商標)のショートカラムで濾過した。濾液を減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:0−30% EtOAc/ヘキサン)により精製し、標記化合物i−5eを得た。m/z 440(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.60(t,J=7.6Hz,6H),2.00(dq,J=13.0Hz,5.8Hz,2H),2.47(dq,J=13.0Hz,,5.8Hz,2H),3.1(s,3H),5.5(s,2H),6.9(dd,J=8.8Hz,2.5Hz,1H),7.1(d,J=7.9Hz,2H),7.15(t,J=6.6Hz,1H),7.24(m,3H),7.34(d,J=2.8Hz,1H),7.61(t,J=7.2Hz,1H),7.74(d,J=7.9Hz,1H),7.79(t,J=7.9Hz,1H),7.89(d,J=1.9Hz,1H),8.14(s,1H),8.26(d,7=7.9Hz,1H)。
【0180】
i−5eについて上述したと同様の手順に従い、以下の他の中間体を製造することができる。
【0181】
【化65】

【0182】
【表2】

【0183】
以下の実施例の表では、質量スペクトルデータをもつ化合物を合成により製造した。
【0184】
(実施例1)
【0185】
【化66】

【0186】
ステップA:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)ベンズアルデヒド(1a)の製造
i−4i(900mg,2.20mmol)の−78℃DCM(20mL)溶液にDIBAL−H(トルエン中1M溶液9.0mL,9.00mmol)を加えた。10分後に湿潤シリカゲル(過剰)を加えて反応をクエンチした。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、濾過し、残渣をEtOAcで洗浄した。濾液を水、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物1aを得た。m/z(ES)410(MH)
【0187】
ステップB:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)安息香酸(1b)の製造
1a(538mg,1.13mmol)の0℃t−BuOH/水(20:8mL)溶液に撹拌下に2,3−ジメチル−2−ブテン(THF中1M溶液1.30mL,13.0mmol)、NaHPO(956mg,7.96mmol)及びNaClO(900mg(80%),7.96mmol)を順次加えた。1.5時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−5% MeOH/DCMを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物1bを得た。m/z(ES)426(MH)
【0188】
ステップC:2−[2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)ベンゾイル]ヒドラジンカルボン酸(−)−tert−ブチル(1c)の製造
1b(501mg,1.18mmol)の室温のDMF(10mL)溶液に撹拌下にHATU(899mg,2.36mmol)、カルバジン酸t−ブチル(784mg,5.93mmol)及びDIPEA(1.05mL,5.93mmol)を順次加えた。12時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物1cを得た。m/z(ES)540(MH)
【0189】
ステップD:(−)−5−[2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(1d)の製造
1c(606mg,1.21mmol)の室温のDCM(10mL)溶液に撹拌下にトリフルオロ酢酸(2.0mL)を加えた。3時間後に、反応混合物を減圧濃縮した。残渣をTHF(15mL)に溶かし、EtN(2.0mL,14.6mmol)と1,1’−カルボニルジイミダゾール(606mg,3.74mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌し、水で希釈した後、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−10% MeOH/DCMを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物1dを得た。m/z(ES)466(MH)。1d.HCl H NMR(500MHz,CDOD):δ 1.03(s,9H),5.02(s,1H),5.83(s,2H),7.13−7.24(m,4H),7.46(d,J=7.5Hz,2H),7.61(d,J=2.5Hz,1H),7.71(d,J=8.5Hz,1H),8.02(t,J=7.5Hz,1H),8.21(d,J=7.5Hz,1H),8.23(t,J=7.5Hz,1H),8.39(t,J=8Hz,2H),9.20(d,J=8.5Hz,1H)。
【0190】
ステップE:(−)−5−[2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(キノリン−2−イルメトキシ)フェニル]−3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(1e)の製造
1d(39.0mg,0.084mmol)の0℃DMF(2.0mL)溶液に撹拌下に水素化ナトリウム(油中60%,7.0mg,0.175mmol)を加えた。10分後に、ヨウ化メチル(34.3mg,15μL,0.242mmol)をシリンジで加え、得られた混合物を約2時間エージングさせた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲル分取TLC(30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする)により精製し、オフホワイトフォームとして1eを得た。m/z(ES)480(MH)。1e.HCl H NMR(500MHz,CDOD):δ 1.14(s,9H),3.53(s,3H),5.01(s,1H),5.84(s,2H),7.15−7.24(m,4H),7.47(d,J=7.5Hz,2H),7.63(d,J=2.5Hz,1H),7.72(d,J=8.5Hz,1H),8.03(t,J=7.5Hz,1H),8.22−8.24(m,2H),8.39−8.41(m,2H),9.21(d,J=8.5Hz,1H)。
【0191】
実施例1eについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0192】
【化67】

【0193】
【表3】

【0194】
(実施例2)
【0195】
【化68】

【0196】
ステップA:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]ベンズアルデヒド(2a)の製造
化合物2aはスキーム1,ステップAに概説した手順に従って中間体i−4Biから製造することができる。化合物2a:m/z(ES)428(MH)
【0197】
ステップB:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]安息香酸(2b)の製造
化合物2bはスキーム1,ステップBに概説した手順に従って中間体2aから製造することができる。化合物2b:m/z(ES)444(MH)
【0198】
ステップC:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンズアミド(2c)の製造
2b(50.0mg,0.113mmol)の室温のDCM(1.5mL)溶液に撹拌下に1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(17.2mg,0.170mmol)、HATU(55.9mg,0.147mmol)、DMAP(2.80mg,0.0230mmol)及びDIPEA(0.087mL,0.509mmol)を順次加えた。24時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて5%炭酸水素ナトリウム水溶液(3回)、水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−5% MeOH/DCMを溶離液とする勾配溶出)と逆相分取HPLC(勾配溶出;40−100% MeCN/HO)により順次精製し、標記化合物2cを得た。m/z(ES)527(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.94(s,9H),4.65(s,1H),5.43(s,2H),6.92(dd,J=9.7Hz,2.3Hz,1H),7.15−7.15(m,3H),7.30−7.38(m,2H),7.44−7.48(m,3H),7.51(dt,J=8.9Hz,2.7Hz,1H),7.59(d,J=8.4Hz,1H),7.64(d,J=8.4Hz,1H),8.09(dt,J=9.1Hz,5.2Hz,1H),8.12(d,J=8.4Hz,1H),8.60(s,1H)。
【0199】
実施例2cについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0200】
【化69】

【0201】
【表4】


【0202】
(実施例3)
【0203】
【化70】

【0204】
ステップA:(−)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]−N’−ヒドロキシベンゼンカルボキシイミドアミド(3a)の製造
肉厚管にi−4Bi(400mg,0.943mmol)の無水EtOH(3.0mL)溶液を仕込んだ。ヒドロキシルアミン(156mg,4.72mmol,50重量%水溶液312μL)を加え、得られた混合物を密閉し、120℃で約12時間撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5−75% EtOAc/DCMを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物3aを得た。m/z(ES)458(MH)
【0205】
ステップB:(−)−(3−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)アセトニトリル(3b)の製造
シアノ酢酸(64.0mg,0.750mmol)とジシクロヘキシルカルボジイミド(77.0mg,0.375mmol)のDCM(0.75mL)溶液を室温で約12時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を無水エーテルに取った。沈殿したジシクロヘキシル尿素を濾別し、濾液を濃縮乾涸した。残渣を無水ピリジン(0.3mL)に溶かし、この溶液に3a(67.0mg,0.146mmol)を加えた。得られた混合物を100℃まで加熱し、約2時間エージングさせた。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/DCMを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物3bを得た。m/z(ES)508(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.95(s,9H),4.13(s,2H),4.97(s,1H),5.48(s,2H),6.99(dd,J=8.7Hz,2.5Hz,1H),7.10−7.15(m,3H),7.34−7.38(m,2H),7.49(dd,,J=8.7Hz,2.8Hz,1H),7.51(d,J=2.6Hz,1H),7.57(dt,J=8.9Hz,2.8Hz,1H),7.69(d,J=8.4Hz,1H),7.76(d,J=8.7Hz,1H),8.13−8.19(m,2H)。
【0206】
実施例3bについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0207】
【化71】

【0208】
【表5】


【0209】
(実施例4)
【0210】
【化72】

【0211】
ステップA:(−)−N−(シアノメチル)−2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]ベンズアミド(4a)の製造
2b(150mg,0.339mmol)の室温のDCM/DMF(9:1,1.0mL)溶液に撹拌下に塩酸アミノアセトニトリル(21.0mg,0.372mmol.)、トリエチルアミン(51.0mg,71μL,0.509mmol)、HATU(41.0mg,0.372mmol)及びDMAP(10.0mg,0.0080mmol)を順次加えた。12時間後(反応は一般に2時間で完了する)に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物4aを得た。m/z(ES)482(MH)
【0212】
ステップB:(−)−2−{[4−(4−クロロ−1H−イミダゾール−2−イル)−3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(4b)の製造
4a(80.0mg,0.167mmol)の室温のアセトニトリル(0.50mL)溶液に撹拌下にトリフェニルホスフィン(109mg,0.42mmol)を加えた。溶解したら、四塩化炭素(64.0mg,0.416mmol)をシリンジで滴下した。得られた混合物を50℃まで加熱し、約12時間エージングさせた。室温まで冷却後、揮発分を減圧除去した。残渣をDCMに取り、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2.0mL)を加え、得られた2相混合物を約15分間室温で激しく撹拌した。有機相を分離し、水相をEtOAcで2回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物4bを得た。m/z(ES)500(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.90(s,9H),4.17(s,1H),5.47(s,2H),6.86−6.92(m,2H),7.10−7.15(m,3H),7.17−7.27(m,3H),7.46−7.58(m,3H),7.71(d,J=8.5Hz,1H),8.12(m,1H),8.17(d,J=8.5Hz,1H)。
【0213】
ステップC:(−)−2−{[4−(4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(4c)及び(−)−2−{[4−(5−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(4d)の製造
新たに粉砕した無水炭酸カリウム(11.0mg,0.082mmol)を4b(24.0mg,0.0480mmol)の室温のDMF(0.20mL)溶液に撹拌下に加えた。10分後に、ヨウ化エチル(9.70mg,0.0624mmol)をシリンジで加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水(3回)、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、溶出順に4c及び4dを得た。
【0214】
4c,m/z(ES)528(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.80−1.05(m,12H),2.80−3.00(br,2H),3.85(s,1H),5.48(s,2H),6.81(s,1H),6.91−6.98(m,3H),7.05−7.12(m,4H),7.50(dd,J=8.6Hz,2.7Hz,1H),7.55(dt,,J=8.9Hz,2.8Hz,1H),7.61(d,J=2.0Hz,1H),7.54−7.58(m,1H),8.12−8.19(m,1H),8.19−8.24(m,1H)。
【0215】
4d,m/z(ES)528(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.82−0.95(m,3H),0.95(s,9H),2.58−2.78(br,.1H),2.98−3.06(br,1H),3.80(s,1H),5.51(s,2H),6.86−6.91(m,2H),6.95(dd,J=8.5Hz,2.5Hz,1H),7.05−7.13(m,4H),7.15(d,J=8.5Hz,1H),7.51(dd,J=8.7Hz,2.8Hz,1H),7.55(dt,,J=8.8Hz,2.8Hz,1H),7.62(d,J=2.3Hz,1H),7.76(d,J=8.7Hz,1H),8.13(dd,J=9.1Hz,5.2Hz,1H),8.21(d,J=8.5Hz,1H)。
【0216】
実施例4b〜dについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0217】
【化73】

【0218】
【表6】

【0219】
【化74】

【0220】
ステップA:(−)−2−({3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(E)−2−ニトロビニル]フェノキシ}メチル)−フルオロキノリン(5a)の製造
マイクロ波管にニトロメタン(0.575g,9.45mmol,0.51mL)、酢酸アンモニウム(38.0mg,0.50mmol)及び2a(0.80g,1.89mmol)を仕込んだ。得られた混合物に100℃のマイクロ波装置(300W)で15分間照射した。室温まで冷却後、反応混合物を濾過し、残渣をEtOAcで十分に洗浄した。濾液を減圧蒸発させ、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、5aを得た。m/z(ES)472(MH)
【0221】
ステップB:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(5b)の製造
5a(200mg,0.423mmol)の室温のDMSO(0.5mL)溶液に撹拌下にナトリウムアジド(82.0mg,1.26mmol)を加え、得られた混合物を50℃で約12時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水(3回)、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物5bを得た。m/z(ES)468(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.89(s,9H),4.03(s,1H),5.67(s,2H),6.90−6.96(m,1H),7.12−7.20(m,5H),7.21−7.27(m,2H),7.56(d,,J=2.3Hz,1H),7.58−7.64(m,,2H),7.66−7.74(m,1H),7.94(d,,J=8.4Hz,1H),8.42(dd,J=9.2Hz,4.8Hz,1H),8.45(d,J=8.4Hz,1H)。
【0222】
ステップC:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(2−メチル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(5c)、(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(5d)、及び(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(5e)の製造
新たに粉砕した無水炭酸カリウム(25.0mg,0.182mmol)を5b(50.0mg,0.107mmol)の室温のDMF(0.5mL)溶液に撹拌下に加えた。約1時間後に、ヨウ化メチル(20.0mg,9μL,0.140mmol)をシリンジで加え、得られた混合物を室温で約12時間エージングさせた。反応混合物を水に注ぎ、クエン酸水溶液でpH5に調整し、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで繰返し洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、溶出順に5c(17mg)及び5d/5e混合物(17mg,4:1)を得た。
【0223】
5c.HCl,m/z(ES)481(MH)H−NMR(500MHz,CDOD):δ 0.90(s,9H),4.25(s,3H),4.39(s,1H),5.72(s,2H),7.08(dd,J=8.5Hz,2.5Hz,1H),7.10−7.18(m,3H),7.28−7.33(m,3H),7.52(s,1H),7.57(d,,J=2.6Hz,1H),7.96(dt,J=8.9Hz,2.7Hz,1H),8.02(dd,J=8.4Hz,2.7Hz,1H),8.12(d,J=8.7Hz,1H),8.38(dd,J=9.2Hz,4.6Hz,1H),8.97(d,J=8.7Hz,1H)。
【0224】
5d(major)/5e(minor).HCl塩,m/z(ES)481(MH)H−NMR(500MHz,CDOD):δ 0.98(s,9H,major),1.03(s,9H,minor),3.64(s,1H,major),4.02(s,1H,minor),4.08(s,3H,minor),4.33(s,1H,major),5.86(s,2H,major),5.92(s,2H,minor),6.90−7.20(br s,1H,major+minor),7.14−7.28(m,4H,major+minor),7.28−7.42(m,2H,major+minor),7.76(d,J=2.5Hz,1H,major),7.77(d,J=2.5Hz,1H,minor),7.93(d,J=2.0Hz,1H,minor),8.05−8.16(m,2H,major+minor),8.18(s,1H,major),8.28(d,J=8.7Hz,1H,major),8.32(d,J=8.7Hz,1H,minor),8.52(dd,J=9.6Hz,4.5Hz,1H,major),8.55(dd,J=9.6Hz,4.5Hz,1H,minor),9.18(d,J=8.7Hz,1H,major),9.20(d,J=8.7Hz,1H,minor)。
【0225】
実施例5cについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0226】
【化75】

【0227】
【表7】

【0228】
(実施例6)
【0229】
【化76】

【0230】
ステップA:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(6a)の製造
i−4Bi(200mg,0.47mmol)の室温のトルエン(10mL)溶液に撹拌下にトリメチル錫アジド(1.54g,7.48mmol)を加えた。得られた混合物を120℃まで加熱し、約3日間エージングさせた。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−10% MeOH/DCMを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物6aを得た。m/z(ES)468(MH)
【0231】
ステップB:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(6b)及び(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(6c)の製造
6a(0.310g,0.688mmol)の室温のDMF(5mL)溶液に撹拌下に炭酸カリウム(150mg,1.09mmol)とヨウ化メチル(0.16mL,11.2mmol)を順次加えた。1.5時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、溶出順に標記化合物6b及び標記化合物6cを得た。
【0232】
6b.HCl,m/z(ES)482(MH)H NMR(500MHz,CDOD):δ 0.94(s,9H),4.48(s,3H),4.88(s,1H),5.75(s,2H),7.10−7.19(m,4H),7.42(d,J=7.5Hz,2H),7.57(d,J=2.5Hz,1H,),7.68(d,7=8.5Hz,1H),7.99−8.06(m,2H),8.16(d,J=8.5Hz,1H),8.41(dd,J=4.5,9.0Hz,1H),9.03(d,J=9.0Hz,1H)。
【0233】
6c.HCl,m/z(ES)482(MH)H NMR(500MHz,CDOD):δ 1.02(s,9H),3.22(s,3H),3.81(s,1H),5.83(s,2H),6.94−6.92(m,2H),7.17(m,3H),7.25(dd,J=2.5Hz,8.5Hz,1H),7.34(m,1H),7.84(d,J=2.5Hz,1H),7.99−8.07(m,2H),8.21(d,J=8.5Hz,1H),8.43(dd,J=5.0,8.5Hz,1H),9.05(d,J=8.5Hz,1H)。
【0234】
実施例6bについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0235】
【化77】

【0236】
【表8】


【0237】
(実施例7)
【0238】
【化78】

【0239】
ステップA:2−(3−フルオロベンゾイル)−4−メトキシベンゾニトリル(7a)の製造
2−シアノ−5−メトキシ安息香酸(4.00g,22.6mmol)の室温のTHF/DCM(3:2,50mL)溶液に撹拌下に1,1’−カルボニルジイミダゾール(5.00g,30.8mmol)を加えた。得られた混合物を約2時間エージングさせた後、−78℃まで冷却した。臭化3−フルオロフェニルマグネシウム(THF中1M溶液100mL,100mmol)をカニューレでゆっくりと加え、添加の完了後、得られた混合物を約1.5時間エージングさせた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−35% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物7aを得た。m/z(ES)256(MH)
【0240】
ステップB:2−(3−フルオロベンゾイル)−4−ヒドロキシベンゾニトリル(7b)の製造
7a(0.514g,2.01mmol)の0℃DCM(10mL)溶液に撹拌下に三臭化ホウ素(DCM中1M溶液10.0mL,10.0mmol)を加えた。室温まで昇温後、反応混合物を約12時間エージングさせた。次に反応混合物を1N炭酸水素ナトリウムに注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物7bを得た。m/z(ES)242(MH)
【0241】
ステップC:2−(3−フルオロベンゾイル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]ベンゾニトリル(7c)の製造
7b(0.388g,1.61mmol)の室温のDMF(10mL)溶液に炭酸セシウム(1.63g,5.00mmol)と2−(ブロモメチル)−6−フルオロキノリン(0.600g,2.50mmol)を順次加えた。12時間後に、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物7cを得た。m/z(ES)401(MH)
【0242】
ステップD:(3−フルオロフェニル)[5−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]−2−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]メタノン(7d)の製造
7c(0.514g,1.28mmol)の室温のトルエン(10mL)溶液に撹拌下にトリメチル錫アジド(2,12g,10.3mmol)を加えた。得られた混合物を110℃まで加熱し、5日間エージングさせた。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−10% MeOH/DCMを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物7dを得た。m/z(ES)444(MH)
【0243】
ステップE:(3−フルオロフェニル)[5−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]−2−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]メタノン(7e)及び(3−フルオロフェニル)[5−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]−2−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]メタノン(7f)の製造
7d(0.523g,1.18mmol)の室温のDMF(10mL)溶液に撹拌下に炭酸カリウム(0.603g,4.36mmol)とヨウ化メチル(0.80ml,12.8mmol)を順次加えた。1.5時間後に、反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、溶出順に標記化合物7e及び標記化合物7fを得た。7e:m/z(ES)458(MH)。7f:m/z(ES)458(MH)
【0244】
ステップF:1−(3−フルオロフェニル)−1−[5−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]−2−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−2,2−ジメチルプロパン−1−オール(7g)の製造
7e(0.193g,0.422mmol)の0℃THF(8.0mL)溶液に撹拌下に臭化tert−ブチルマグネシウム(THF中1M溶液2.0mL,2.00mmol)を加えた。3時間後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物7gを得た。m/z(ES)516(MH)。7g.HCl H NMR(500MHz,CDOD):1.22(bs,9H).4.16(s,3H),5.81(s,2H),6.62−6.59(m,1H),6.69(d,J=8Hz,1H),6.76−6.73(m,1H),6.99−6.94(m,1H),7.23(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),7.43(d,J=8.5Hz,1H),7.96(d,J=2.5Hz,1H),8.06−8.00(m,1H),8.07(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),8.24(d,J=9Hz,1H),8.43(dd,J=4.5,9Hz,1H),9.10(d,J=8.5Hz,1H)。
【0245】
実施例7gについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0246】
【化79】

【0247】
【表9】

【0248】
(実施例8)
【0249】
【化80】

【0250】
ステップA:(−)−1−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}エタノール(8a)の製造
2a(1.23g,2.88mmol)の0℃THF(40mL)溶液に撹拌下に臭化メチルマグネシウム(エーテル中1.4M溶液3.0mL,4.20mmol)を加えた。2時間後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした後、水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(10−35% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、ジアステレオ異性体アルコールの等モル混合物として標記化合物8aを得た。m/z(ES)444(MH)
【0251】
ステップB:(−)−1−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}エタノン(8b)の製造
8a(850mg,1.92mmol)の室温のトルエン(60mL)溶液に撹拌下に酸化マンガン(IV)(1.70g,19.2mmol)とセライト(2.00g)を順次加えた。反応混合物を約110℃まで加熱し、約20時間エージングさせた。室温まで冷却後、反応混合物を濾過し、残渣をEtOAc(30mL)で十分に洗浄した。濾液を減圧濃縮し、粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(10−25% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物8bを得た。m/z(ES)442(MH)
【0252】
ステップC:(−)−(2E)−3−(ジメチルアミノ)−1−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}プロプ−2−エン−1−オン(8c)の製造
肉厚圧力管に8b(250mg,0.569mmol)とN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(3.0mL)を仕込んだ。得られた混合物に140℃のマイクロ波装置(300W)で約12時間照射した。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(40−80% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物8cを得た。m/z(ES)498(MH)
【0253】
ステップD:(−)−4−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}ピリミジン−2−アミン(8d)の製造
8c(62.0mg,0.124mmol)の室温のEtOH(1.0mL)溶液に撹拌下に塩酸グアニジン(23.6mg,0.248mmol)とナトリウムメトキシド(MeOH中0.5M溶液0.60mL,0.300mmol)を順次加えた。得られた混合物を密閉し、78℃まで加熱し、約18時間エージングさせた。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣をEtOAcと水に分配した。有機相を分離し、水層をEtOAcで再抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣を分取TLC(シリカゲル,70% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする)により精製し、標記化合物8dを得た。m/z(ES)493(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.84(s.9H),4.12(s,1H),5.08(bs,N−H,2H),5.48(s,2H),6.54(d,J=5.2Hz,1H),6.95(dd,J=8Hz,2Hz,1H),7.08−7.12(m,3H),7.19−7.23(m,3H),7.48(dd,J=8.7Hz,2.7Hz,1H),7.52(d,J=2.6Hz,1H),7.55(m,1H),7.70(d,J=8.5Hz,1H),8.12(dd,J=6.9Hz,4.8Hz,1H),8.15(d,J=8.9Hz,1H),8.30(d,J=5.1Hz,1H)。
【0254】
実施例8dについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0255】
【化81】

【0256】
【表10】


【0257】
(実施例9)
【0258】
【化82】

【0259】
ステップA:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(1H−ピラゾール−3−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(9a)の製造
8cのEtOH(1.0mL)溶液に撹拌下に無水ヒドラジン(0.020mL,過剰)を加え、得られた混合物を110℃の油浴で約18時間加熱した。室温まで冷却後、揮発分を減圧除去した。粗残渣を分取TLC(シリカゲル,60% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする)により精製し、標記化合物9aを得た。m/z(ES)466(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.91(s.9H),3.99(s,1H),5.49(s,2H),6.29(d,J=1.6Hz,1H),6.94(dd,J=8.5Hz,2.5Hz,1H)),7.09−7.21(m,7H),7.49(dd,J=8.9Hz,2.7Hz,1H),7.55(m,2H),7.64(s,1H),7.73(d,J=8.7Hz,1H),8.14(dd,J=7.1Hz,5.0Hz,1H),8.18(d,J=8.4Hz,1H)。
【0260】
ステップB:(−)−2−({3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[1−(2−フルオロエチル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェノキシ}メチル)−6−フルオロキノリン(9b)及び(−)−2−({3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[1−(2−フルオロエチル)−1H−ピラゾール−5−イル]フェノキシ}メチル)−6−フルオロキノリン(9c)の製造
9a(55.0mg,0.118mmol)の0℃DMF(2mL)溶液に撹拌下に水素化ナトリウム(油中60%,7.00mg,0.162mmol)を加えた。10分後に、1−ブロモ−2−フルオロエタン(18.9mg,0.150mmol)をシリンジで加えた。得られた混合物を室温まで昇温し、約18時間エージングさせた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした後、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣を分取TLC(シリカゲル,30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする)により精製し、標記化合物9b及び9cを得た。
【0261】
9b(TLCで移動速度の遅いほうのバンド),m/z(ES)512(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.91(s.9H),4.40(s,1H),4.48(dt,J=16.9Hz,4.7Hz,2H),4.83(dt,J=37Hz,5.3Hz,2H),5.47(s,2H),6.20(d,J=2.1Hz,1H),6.92(dd,J=8.5Hz,2.5Hz,1H)),7.07−7.29(m,6H),7.49(dd,J=8.9Hz,2.7Hz,1H),7.51(m,2H),7.53(dt,J=8.8Hz,2.7Hz,1H),7.77(d,J=8.4Hz,1H),8.14(m,2H)。
【0262】
9c(TLCで移動速度の速いほうのバンド),m/z(ES)512(MH)。9c(主回転異性体/副回転異性体)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.83(s,9H,minor),0.93(s,9H,major),3.08−3.23(m,2H,major),3.68(s,1H,major),3.71(s,1H,minor),4.23(m,2H,major),4.44−4.56(m,2H,minor),4.79−5.02(m,2H,minor)5.51(s,4H,major+minor),5.88(d,J=1.4Hz,1H,minor),6.23(d,J=1.6Hz,1H,major),6.88(m,2H,major),6.97(m,2H,minor),7.04−7.13(m,10H,major+minor),7.50−7.66(m,8H,major 4−minor),7.75−7.80(m,2H,major+minor),8.15(m,2H,major+minor),8.18(m,2H,major+minor)。
【0263】
実施例9bについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0264】
【化83】

【0265】
【表11】


【0266】
(実施例10)
【0267】
【化84】

【0268】
ステップA:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[1,2,4]トリアゾール[1,5−a]ピリミジン−7−イルフェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(9a)の製造
8c(26.0mg,0.0524mmol)の室温の酢酸(0.50mL)溶液に撹拌下に1H−1,2,4−トリアゾール−5−アミン(8.40mg,0.100mmol)を加えた。得られた混合物を117℃まで加熱し、約16時間撹拌した。室温まで冷却後、揮発分を減圧除去し、残渣をEtOAcと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。有機相を分離し、水相をEtOAcで再抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣を分取TLC(シリカゲル,40% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする)により精製し、9aを得た。m/z(ES)519(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.91(s,9H),3.48(s,1H),5.54(s,2H),6.50(d,J=4.2Hz,1H),6.86(d,J=7.5Hz,2H),7.07(m,3H),7.13−7.27(m,2H),7.52(dd,J=8.7Hz,2.7Hz,1H),7.56(dt,J=8.8Hz,2.8Hz,1H),7.72(bs,1H),7.77(d,J=8.5Hz,1H),8.14(dd,J=9.1Hz,5.2Hz,1H)8.22(d,J=8.5Hz,1H),8.55(bs,1H),8.73(bs,1H)。
【0269】
(実施例11)
【0270】
【化85】

【0271】
ステップA:(−)−2−ブロモ−1−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}エタノン(11a)の製造
8b(216mg,0.470mmol)の室温のTHF(10mL)溶液に撹拌下に三臭化水素酸ピロリジノン(248mg,0.500mmol)を加え、得られた混合物を40℃で約2時間撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(10−20% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする勾配溶出)により精製し、標記化合物11aを得た。m/z(ES)522(MH)
【0272】
ステップB:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(11b)の製造
アセトアミド(100mg,過剰)と11a(35mg,0.0674mmol)の混合物を撹拌下に170℃まで加熱し、約2時間エージングさせた。室温まで冷却後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機抽出層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣を分取TLC(シリカゲル,30% EtOAc/ヘキサンを溶離液とする)により精製し、標記化合物11bを得た。m/z(ES)481(MH)H−NMR(500MHz,CDCl):δ 0.94(s,9H),2.58(s,3H),4.30(s,1H),5.47(s,2H),6.93(dd,J=8.4Hz,2.5Hz,1H),7.10−7.12(m,3H),7.24−7.31(m,3H),7.37 9s,1H),7.48−7.49(m,3H),7.55(dt,J=8.9Hz,3.0Hz,1H),7.72(d,J=8.5Hz,1H),8.13−8.17(m,2H)。
【0273】
実施例11bについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0274】
【化86】

【0275】
【表12】

【0276】
(実施例12)
【0277】
【化87】

【0278】
ステップA:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−6−イルフェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(12a)の製造
11a(45mg,0.096mmol)の室温のEtOH(2mL)溶液に撹拌下に1,3−チアゾール−2−アミン(10mg,0.100mmol)を加えた。反応混合物を密閉し、78℃まで加熱し、約16時間エージングさせた。室温まで冷却後、揮発分を減圧除去し、残渣をEtOAcと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。有機相を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。粗残渣を分取TLC(シリカゲル,5% MeOH/DCMを溶離液とする)により精製し、12aを得た。m/z(ES)522(MH)H NMR(500MHz,CDCl):δ 0.92(s,9H),4.53(s,1H)5.48(s,2H),6.85(d,J=4.6Hz,1H),6.93(d,J=2.7Hz,1H)),7.09−7.12(m,3H),7.26(s,1H),7.27(m,2H),7.35(d,J=8.5Hz,1H),7.45(d,J=4.6Hz,1H),7.48−7.50(m,2H),7.55(dt,J=8.9Hz,3.0Hz,1H),7.74(d,J=8.7Hz,1H),8.13(dd,J=8.8Hz,4.7Hz,1H)8.16(d,J=8.7Hz,1H)。
【0279】
実施例12aについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0280】
【化88】

【0281】
【表13】

【0282】
(実施例13)
【0283】
【化89】

【0284】
ステップA:(−)−2−アジド−1−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}エタノン(13a)の製造
11a(1当量)の0℃DMF(0.1M)溶液に撹拌下にナトリウムアジド(3.3当量)を加える。室温まで昇温後、反応が完了したとみなされるまで反応混合物をエージングさせる。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出する。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮する。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物13aを得る。
【0285】
ステップB:酢酸(−)−(Z)−2−アジド−1−{2−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−[(6−フルオロキノリン−2−イル)メトキシ]フェニル}ビニル(13b)の製造
13a(1当量)の−78℃THF(0.05M)溶液に撹拌下にリチウムジイソプロピルアミド(1.2当量)を加える。5分後に、無水酢酸(1.2当量)を加え、反応が完了したとみなされるまで、得られた混合物を−78℃で撹拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで3回抽出する。有機抽出層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮する。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物13bを得る。
【0286】
ステップC:(−)−2−{[3−(2,2−ジメチル−1−フェニルプロピル)−4−(2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル)フェノキシ]メチル}−6−フルオロキノリン(13c)の製造
13b(1当量)の室温のシクロヘキサン(0.05M)溶液に撹拌下に亜リン酸トリエチル(1.7当量)を滴下する。得られた混合物を80℃まで加熱し、反応が完了したとみなされるまでエージングさせる。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物13cを得る。
【0287】
実施例13cについて上述したと同様の手順に従い、以下の化合物を製造することができる。
【0288】
【化90】

【0289】
【表14】

【0290】
FLAP結合アッセイ
【0291】
【化91】

【0292】
ヒト白血球10,000×g上清に由来する100,000×gペレット(1)をFLAP源とする。100,000×gペレット膜をTris−Tweenアッセイ緩衝液(100mM Tris HCl pH7.4,140mM NaCl,2mM EDTA,0.5mMジチオスレイトール,5%グリセロール,0.05% Tween 20)に再懸濁し、最終蛋白濃度50μg〜150μg/mlとした。Tris−Tweenアッセイ緩衝液100μl、MeOH:アッセイ緩衝液(1:1)5μlに加えた化合物A30,000cpm、及びジメチルスルホキシド2μl又はジメチルスルホキシドに加えた競合剤(即ち試験化合物)を仕込んだ12mm×75mmポリプロピレン管に膜懸濁液のアリコート(100μl)を加えた。化合物B(終濃度10μM)を使用して非特異的結合を測定した。室温で20分間インキュベーション後、管内容物を冷0.1M Tris HCl pH 7.4,0.05% Tween 20洗浄用緩衝液4mlで希釈し、洗浄用緩衝液に予め浸しておいたGFBフィルターで膜を濾取した。管とフィルターを冷洗浄用緩衝液の4mlアリコートで2回リンスした。γシンチレーション計数により放射能を測定するためにフィルターを12mm×3.5mmポリスチレン管に移した。
【0293】
特異的結合量は総結合量から非特異的結合量を引いた値として定義される。総結合量は競合剤の不在下で膜と結合した化合物Aとし、非特異的結合量は10uM化合物Bの存在下で結合した化合物Aとした。化合物Aの製造については下記文献1に記載されている。IC50値は実験データのコンピューター分析(下記文献2参照)により取得した。試験した本発明の代表的化合物はIC50<1uMであり、好ましい化合物はIC50<200nMであった。
【0294】
参考文献:
1.Charleson,S.,Prasti,P.,Leger,S.,Gillard,J.W,Vickers,P.J.,Mancini,J.A.,Charleson,P.,Guay,J.,Ford−Hutchinson,A.W.,and Evans,J.F.(1992)Characterization of a 5−lipoxygenase−activating protein binding assay:correlation of affinity for 5−lipoxygenase−activating protein with leukotriene synthesis inhibition.Mol Pharmacol 41:873−879.
2.Kinetic,EBDA,Ligand,Lowry:A collection of Radioligand Binding Analysis Programs by G.A.McPherson.Elsevier−BIOSOFT.
以上、所定の特定態様について本発明を記載したが、本明細書に記載する教示から多数の代替態様が当業者に想到されよう。本明細書に引用する全特許、特許出願及び公開はその開示内容全体を参照により本明細書に組込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

{式中、各R1aは−H、−F、−Cl、−Br、−C1−6アルキル、−CN、−OH、C1−6アルキル−OH、−OC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルコキシ、−NH、−NHC1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)、−C1−6アルキル−NH、−C1−6アルキル−NHC1−6アルキル、−C1−6アルキル−N(C1−6アルキル)、−NHC(O)C1−6アルキル、−CO1−6アルキル、−C(O)NHC1−6アルキル及び−C(O)N(C1−6アルキル)から構成される群から独立して選択され;
は、
a)Z
b)−CO、−C(O)NR、−N(R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRCO、−OC(O)NR、−OH及び−CN、
c)−C1−6アルキル、−C2−6アルケニル、−C2−6アルキニル、−OC1−6アルキル、−OC2−6アルケニル及び−OC2−6アルキニル[前記基は場合によりRで置換されており、場合によりRで置換されており、Rは−CO、−C(O)NR、−N(R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRCO、−OC(O)NR、−C(O)SONR、−C(O)NRNR、−S(O)NR、−SONRC(O)R、−S(O)、−F、−CF、フェニル、Hetcy及びZから構成される群から選択され;Rは−F及び−OHから構成される群から選択される]、並びに
d)場合により−F、−Cl、−C1−6アルキル、−CN、−OH、−OC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルキル、−フルオロC1−6アルコキシ、−NH、−NHC1−6アルキル、−N(C1−6アルキル)、−C1−6アルキル−NH、−C1−6アルキル−NHC1−6アルキル、−C1−6アルキル−N(C1−6アルキル)、−C1−6アルキル−CN、−NHC(O)C1−6アルキル、−C(O)NHC1−6アルキル及び−C(O)N(C1−6アルキル)から構成される群から選択れる1〜2個のメンバーで置換されたフェニルから構成される群から選択され;
は−Hと、場合により−OH及び−Fから選択される基で置換された−C1−6アルキルから構成される群から選択され;
は−H及び−C1−6アルキルから構成される群から選択され;
は水素、フッ素、ヒドロキシ、場合により1〜5個のフッ素で置換されたC1−3アルキルから構成される群から選択され;
は(a)場合により1〜5個のフッ素で置換されたC1−6アルキル、(b)3−6シクロアルキル、及び(c)
【化2】

(式中、nは0、1、2及び3から選択される整数である)から構成される群から選択され;
各「p」は独立して0、1及び2から選択される整数を表し;
各Rは、
a)−H、
b)−C1−4アルキル、−C2−4アルケニル及び−C2−4アルキニル[前記基は各々場合により−OH、−OC1−4アルキル、−CN、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)、−F及び−CFから構成される群から選択される1〜2個のメンバーで置換されている]、
c)フェニル及びフェニル−C1−4アルキル−[前記フェニル部分は場合により−F、−Cl、−C1−4アルキル、−CN、−OH、−OC1−4アルキル、−フルオロC1−4アルキル、−フルオロC1−4アルコキシ、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)、−C1−4アルキル−NH、−C1−4アルキル−NHC1−4アルキル、−C1−4アルキル−N(C1−4アルキル)、−C1−4アルキル−CN、−NHC(O)C1−4アルキル、−C(O)NHC1−4アルキル及び−C(O)N(C1−4アルキル)から構成される群から選択される1〜2個のメンバーで置換されており、
フェニル−C1−4アルキル−のアルキル部分は場合により−OH、−CN、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)及び1〜3個のフルオロから構成される群から選択されるメンバーで置換されている]、
d)Hetcy及びHetcy−C1−4アルキル−[前記Hetcy部分は場合により−F、−OH、−COH、−C1−4アルキル、−CO1−4アルキル、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)、−NHC(O)C1−4アルキル、オキソ、−C(O)NHC1−4アルキル及び−C(O)N(C1−4アルキル)から構成される群から選択される1〜2個のメンバーで炭素上を置換されており、場合により窒素が存在する場合には−C1−4アルキル及び−C1−4アシルから選択される基で窒素上を置換されており、
Hetcy−C1−4アルキル−のアルキル部分は場合により−OH、−CN、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)及び1〜3個のフルオロから構成される群から選択されるメンバーで置換されている]、並びに
e)Z及びZ−C1−4アルキル−[Z−C1−4アルキル−のアルキル部分は場合により−OH、−CN、−OC1−4アルキル、−NH、−NHC1−4アルキル、−N(C1−4アルキル)及び1〜3個のフルオロから構成される群から選択されるメンバーで置換されている]から構成される群から選択され;
各Rは−Hと、場合によりNH、−OH、−F、−CN及び−CFから構成される群から選択される1〜2個のメンバーで置換された−C1−4アルキルから独立して選択され;
Xは−O−、S(O)、NR及び−CHR−から構成される群から選択され、Rは−H、−OH及び場合により−OHと−Fから選択される基で置換された−C1−6アルキルから構成される群から選択され;
Yは、
a)−N=、−NH−、−N(Me)−、−S−及び−O−から構成される群から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、場合により1〜3個のフルオロで置換された9員不飽和オルト縮合二環系、
b)1〜3個の−N=を含み、場合により1〜3個のフルオロで置換された10員芳香族オルト縮合二環系、並びに
c)−C1−4アルキル、−F、−CFH及びCFから選択される基で置換されており、場合により−C1−4アルキルである第2の置換基をもつピリジニルから構成される群から選択され;
Hetcyはアゼチジル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、β−ラクタミル、δ−ラクタミル及びγ−ラクタミルから構成される群から選択され;
は、
a)2〜4個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
b)1個の酸素又は1個の硫黄と1〜2個の窒素から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、環の1個の窒素が場合によりC1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、=O、=S、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
c)1〜2個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素原子が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された6員不飽和複素環、
d)1個の硫黄と2〜4個の窒素原子から選択される3〜5個のヘテロ原子を含み、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された8員不飽和オルト縮合二環系、並びに
e)3〜4個の窒素原子を含み、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された9員不飽和オルト縮合二環系から構成される群から選択され;
は、
a)2〜4個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、=O、=S、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、
b)1個の酸素又は1個の硫黄と1〜2個の窒素原子から選択される2〜3個のヘテロ原子を含み、環の1個の窒素が場合によりC1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換されたC1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された5員不飽和複素環、並びに
c)1〜2個の窒素原子を含み、環の1個の窒素が場合により−C1−4アルキルと、−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換されており、環の1個の炭素原子が場合により−OH、−SH、−SMe、−NH、−CF、−Cl、−C1−4アルキル、並びに−NH、−OH、−OC1−4アルキル、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択される基で置換された6員不飽和複素環から構成される群から選択される}により表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物。
【請求項2】
構造式Ia:
【化3】

をもつ請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
構造式Ib:
【化4】

(式中、Yは、
【化5】

から構成される群から選択される)をもつ請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が−COOH、−COOR、−C(O)−NR、−OC(O)−NR、−CHC(O)−NR及びZから構成される群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、
【化6】

(式中、Rは−Hと、場合により−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択され;Rは−H、メチル、−NH、OH、−ヒドロキシメチル、フルオロエチル及び1−メチル−1−ヒドロキシエチルから選択される)から構成される群から選択される請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、
【化7】

(式中、Rは−H、メチル、−NH、OH、−ヒドロキシメチル、フルオロエチル及び1−メチル−1−ヒドロキシエチルから選択される)である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がt−ブチルであり、Rが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Yが、
【化8】

である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、
【化9】

(式中、Rは−H、メチル、エチル及び−フルオロエチルから選択される)から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
構造式Id:
【化10】

(式中、Yは、
【化11】

から構成される群から選択され、
は、
【化12】

から構成される群から選択され、
上記式中、Rは−Hと、場合により−NH、−OH、−CN及び1〜3個のフルオロから選択される基で置換された−C1−4アルキルから選択され;Rは−H、メチル、−NH、OH、−ヒドロキシメチル、フルオロエチル及び1−メチル−1−ヒドロキシエチルから選択される)をもつ請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
下式:
【化13】


から構成される群から選択される化合物又はその医薬的に許容可能な塩及び溶媒和物。
【請求項12】
治療有効量の請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項13】
ロイコトリエンに媒介される病態の治療方法であって、このような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項14】
炎症症状の治療方法であって、このような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項15】
アテローム性動脈硬化症の治療方法であって、このような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項16】
アテローム硬化性プラーク進行を停止又は遅延させるための請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アテローム硬化性プラークの退縮を生じるための請求項15に記載の方法。
【請求項18】
アテローム硬化性プラークをもつ患者におけるアテローム硬化性プラーク破裂の危険を予防又は低減するための請求項15に記載の方法。
【請求項19】
アテローム硬化性疾患イベントの危険のある患者に予防有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含むアテローム硬化性疾患イベントの危険の予防又は低減方法。
【請求項20】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、コレステロール吸収抑制剤、CETP阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARαアゴニスト、PPARデュアルα/γアゴニスト及びその組み合わせから構成される群から選択される化合物を患者に投与することを更に含む請求項15に記載のアテローム性動脈硬化症の治療方法。

【公表番号】特表2009−514885(P2009−514885A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539085(P2008−539085)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/043082
【国際公開番号】WO2007/056210
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】