説明

ロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含む飲食品

【課題】植物抽出物中の薬効成分を活用することによって得られる安全かつ効果の高いロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含む飲食品を提供すること。
【解決手段】キク科(Compositae)ハハコグサ属(Gnaphalium)より選択される1種又は2種以上の植物の花を含む部位の抽出物を有効成分とすることを特徴とするロイコトリエン産生抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出物を有効成分とするロイコトリエン産生抑制剤に関し、更に詳細にはロイコトリエン産生抑制剤として生体内におけるロイコトリエンの産生を抑制し、結果として鼻閉、気管支喘息等の症状を治療しあるいは緩和する事を目的とするロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含む飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
花粉やダニ等の抗原がアレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜上に吸引されると、肥満細胞の表面でIgE抗体と結合しヒスタミンやロイコトリエンを主とする化学伝達物質が放出され、アレルギー反応が起こる。これらの化学伝達物質に対する鼻粘膜の知覚神経終末、血管の反応として、くしゃみ、水様性鼻汁(鼻水)、鼻粘膜腫脹(鼻閉)が見られる。これがアレルギー性鼻炎の即時相反応と呼ばれる症状である。
抗原に曝露された後、鼻粘膜内では肥満細胞等で産生されるサイトカインやケモカインにより好酸球を中心とする様々な炎症細胞が集まり、主に好酸球から産生されるシステイニルロイコトリエンの働きにより鼻粘膜腫脹(鼻閉)が起こる。これがアレルギー性鼻炎の遅発相反応と呼ばれる症状であり、抗原が体内に入ってから6〜10時間後にみられる。遅発相反応は夜間の就寝時に発症する事が多く、鼻閉による呼吸困難の為に十分な睡眠を取ることができず、結果としてQOL(クオリティオブライフ)を低下させる大きな要因となっている。
【0003】
近年、このようなアレルギー性鼻炎の遅発相症状は、ケミカルメディエーターとして、ロイコトリエンが関与することにより引き起こされていることが明らかにされており、ロイコトリエンの産生抑制が当該症状の改善に有効な方策であることが分かっている(例えば、非特許文献1参照)。
従来、アレルギー性鼻炎の症状の改善には、抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー薬が汎用されてきた(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、このような抗アレルギー薬では、上記鼻炎症状の内、即時相の症状に対しては一定の効果を示すものの、遅発相の症状に対しては満足できる効果が得られていないのが現状である。又、これらの抗アレルギー薬は化学合成製品である為、眠気やめまいあるいは吐き気を催したり、倦怠感が起こったり、さらには下痢を催したりする副作用があるという問題点も有している(例えば、非特許文献3参照)。
このような背景の下、安全性に問題が少ないという点から天然物である植物からロイコトリエン産生抑制効果を有する抽出物の探索が行われており、フキ(例えば、特許文献1参照)等が開示されているが、十分なロイコトリエン産生抑制効果を有する抽出物は未だ得られていないのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開2005-179308号公報
【非特許文献1】鼻アレルギー診療ガイドライン p14-16,2005年版
【非特許文献2】鼻アレルギー診療ガイドライン p70-78,2005年版
【非特許文献3】ポケット医薬品集(2001年版)、白文社、p454
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、植物抽出物中の薬効成分を活用することによって得られる安全かつ効果の高いロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含む飲食品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者らは、広くロイコトリエン産生抑制活性を示す物質のスクリーニングを行った結果、キク科ハハコグサ属(Compositae Gnaphalium)植物の抽出物がロイコトリエン産生抑制効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明はキク科(Compositae)ハハコグサ属(Gnaphalium)より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を有効成分とするロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含む飲食品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロイコトリエン産生抑制剤は古くから生薬や民間伝承的に用いられている植物の抽出物を使用するものであるから、呈味に優れ、かつ安全性の点で問題はない。
そのため、本発明のロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含む飲食品は、化学合成品からなる抗ヒスタミン剤のような副作用を伴わずに、アレルギー性鼻炎の鼻閉症状、風邪による鼻閉、鼻閉症状が慢性化した慢性副鼻腔炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性結膜炎、春季カタル、慢性結膜炎、リウマチ様関節炎、脊椎関節炎、痛風、アテロ−ム性動脈硬化症、慢性炎症性腸疾患、肺循環昇圧、片頭痛等の疾患を予防することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のロイコトリエン産生抑制剤及びそれを含有する飲食品の製造方法及び効能について述べるが、本発明はこれら記載に限定されるものではない。
【0010】
本発明で使用するキク科ハハコグサ属(Compositae Gnaphalium)植物は、ハハコグサ(オギョウ、ゴギョウ、鼠麹草ともいう)(Gnaphalium affine, Gnaphalium multiceps Wall)、チチコグサ(Gnaphalium japonicum Thunb)、アキノハハコグサ(Gnaphalium hypoleucum)、チチコグサモドキ(Gnaphalium purpureum)、エゾノハハコグサ(Gnaphalium uliginosum)、ウィラウィラ(Gnaphalium viravira)等、本種属に含まれていれば特に植物の種類は限定しない。
また、抽出に供する為の植物部位については花を含む部位であれば、その全体、開花期地上部等を使用することができるが、花を使用する事が好ましい。
【0011】
上記植物はそのまま使用してもよいが、乾燥して破砕することにより粉末として使用したほうが抽出効率がよくなり好適である。また、本発明のロイコトリエン産生抑制剤を得るための抽出に用いる溶剤に関しては特に限定しないが、水(熱水)の他にメタノール、エタノールまたはプロパノール等のアルコール類や、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、グリセリン、プロピレングリコール等の有機溶剤またはこれらを適宜混合した溶剤を、好ましくは親水性の有機溶剤またはこれらを適宜混合した溶剤を用いて抽出することができる。しかし、本発明では、ロイコトリエン産生抑制剤として上記抽出物を経口で摂取することも考慮すると、安全性の面から水、エタノールもしくはその混合液を用いて抽出することが望ましい。
【0012】
上記植物より抽出物を得るための抽出条件としては、特に制限はないが、20〜100℃で1〜5時間程度が好ましい。抽出液はさらに濾過し、抽出溶剤を留去したあと、減圧下において濃縮または凍結乾燥したものを使用することができる。また、これらの抽出物を有機溶剤分画、カラムクロマトグラフィー等により分画精製したものを使用することもできる。
【0013】
本発明のロイコトリエン産生抑制剤は、上記方法によって作製した植物抽出物の1種又は2種以上を有効成分として使用することにより調製することができる。そのままでも使用する事ができるが、必要により適当な液体単体に溶解するか或いは分散させ、または適当な粉末単体と混合するか或いはこれに吸着させ、場合によっては、さらにこれに乳化剤、安定剤、分散剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤、コーティング剤等を添加して、錠剤、液剤、注射剤、軟膏、クリーム、ローション、スプレー剤、エアゾール剤、座剤等の所望の剤型にして、経口剤、外用剤、注射剤、吸入剤、点鼻・点眼剤等として使用してもよい。この場合の添加量は、その形態及び容量等により一概に規定することは困難であるが、剤に対して植物抽出物を0.01〜95重量%使用するのが好適である。
【0014】
また、本発明のロイコトリエン産生抑制剤は、香り、呈味性に優れ、安全性が高いことから、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミゼリー、チョコレート及びビスケット等の菓子、アイスクリーム、シャーベット及び氷菓等の冷菓並びに飲料等に配合して日常的に利用することが可能である。
本発明の飲食品へのロイコトリエン産生抑制剤添加量は特に限定はしないが約0.001重量%以上、好ましくは約0.01〜95重量%とするのが好適である。
【0015】
本発明で使用するキク科ハハコグサ属(Compositae Gnaphalium)植物の抽出物は、生薬、食品素材、ハーブティーとして古くから用いられているものであり、これらの抽出物及びこれを配合した飲食品の安全性について全く問題がない。
【0016】
以下、試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験例1>
本試験は、植物体より植物抽出物を得るために行なった。
【0017】
1) 試験法
以下に述べる方法にて植物抽出物を調製した。
〔試料調製例1〕
乾燥し破砕したチチコグサの花、アキノハハコグサの花、エゾノハハコグサの花それぞれ30gに300mlの50%エタノールを加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。チチコグサ抽出物は4.7g、アキノハハコグサ抽出物は4.2g、エゾノハハコグサ抽出物は5.0g得られた。
〔試料調製例2〕
乾燥し破砕した、ハハコグサの花、ウィラウィラの花それぞれ10gに300mlの50%エタノールを加え、2時間、80℃で還流抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。ハハコグサ抽出物は2.1g、ウィラウィラ抽出物は1.5g得られた。
〔試料調製例3〕
乾燥し破砕したチチコグサの花、アキノハハコグサの花、エゾノハハコグサの花それぞれ30gに300mlの水を加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。チチコグサ抽出物は4.2g、アキノハハコグサ抽出物は4.1g、エゾノハハコグサ抽出物は4.7g得られた。
〔試料調製例4〕
乾燥し破砕したハハコグサの開花期地上部、ウィラウィラの花それぞれ10gに100mlの水を加え、3時間、室温で抽出を行った。得られた抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。ハハコグサ抽出物は1.4g、ウィラウィラ抽出物は1.1g得られた。
〔試料調製例5〕
乾燥し破砕したチチコグサの花、アキノハハコグサの花、エゾノハハコグサの花それぞれ30gに300mlの100%エタノールを加え、1時間、室温で抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。チチコグサ抽出物は1.3g、アキノハハコグサ抽出物は1.7g、エゾノハハコグサ抽出物は1.5g得られた。
〔試料調製例6〕
乾燥し破砕したハハコグサの花、ウィラウィラの花それぞれ10gに300mlの100%エタノールを加え、2時間、70℃で抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。ハハコグサ抽出物は1.4g、ウィラウィラ抽出物は1.1g得られた。
〔試料調製例7〕
乾燥し破砕したハハコグサの花、ウィラウィラの全草それぞれ10gに100mlの100%メタノールを加え、1時間、70℃で抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、減圧乾燥することにより、本発明であるロイコトリエン産生抑制剤を得た。ハハコグサ抽出物は0.9g、ウィラウィラ抽出物は0.7g得られた。
〔比較試料1〕
乾燥し破砕したフキ10gに200mlの70%エタノールを加え、2時間、70℃で還流抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することによりフキ抽出物5.56gを得た。
〔比較試料2〕
乾燥し破砕したハハコグサの葉10gに100mlの50%エタノールを加え、2時間、70℃で還流抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することによりハハコグサ抽出物2.0gを得た。
〔比較試料3〕
乾燥し破砕したウィラウィラの茎10gに100mlの50%エタノールを加え、2時間、70℃で還流抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することによりウィラウィラ抽出物1.5gを得た。
<試験例2>
【0018】
本試験は、試験例1で得られた植物抽出物のロイコトリエン産生抑制効果を調べるために行なった。
【0019】
1)供試試料
試験例1で調製した植物抽出物を用いた。
【0020】
2)試験法
試料調製例1〜7で示した本発明品であるロイコトリエン産生抑制剤及び比較試料1で示した比較抽出物を試料として、ロイコトリエン産生抑制効果を調べた。
本試験は、ラット好塩基性細胞株(RBL−2H3細胞、資源番号JCRB0023)を用いて産生されるシステイニルロイコトリエン量を測定し、植物抽出物がシステイニルロイコトリエンの産生を抑制する効果を確認するものである。なお、ロイコトリエンの中でロイコトリエンC4、D4、E4の三つがシステイニルロイコトリエンと呼ばれる。
RBL−2H3細胞をウシ胎児血清(10%)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)を含有するMinimum Essential Medium Eagle(EMEM培地)中で37℃、5%CO2で継代培養を行った。
試験日の前日にRBL−2H3細胞を24穴平底マイクロプレートに2.0×105個(400μl/well)ずつ播種した。試験当日、プレートを500μlのPIPES 緩衝液(119mM NaCl、5mM KCl、1mM CaCl2 、0.4mM MgCl2、5.6mM glucose、25mM PIPES、40mM NaOH、0.1% BSA、pH7.2)で2回洗浄し、試料を添加したPIPES 緩衝液を200μl加えて37℃で10分間、加温した。次に10μlの刺激剤(カルシウムイオノフォアA23187:終濃度5μM)を加えて15分間反応させた。反応終了後、10分間、氷冷して反応を止めた後に上清180μlを回収、1000rpmで3分間、遠心分離して上清150μlを得た。
得られた上清中に含まれるシステイニルロイコトリエン量(ロイコトリエンC4、D4及びE4各量の合計)をケイマンケミカル社製システイニルロイコトリエンEIAキットにて測定し、各試料のロイコトリエン産生抑制率を以下の式により算出した。
ロイコトリエン産生抑制率(%)=〔(C-B-S)/(C-B)〕×100
但し、S=試料と刺激剤を添加した場合のロイコトリエン産生量、C=刺激剤のみを添加した場合のロイコトリエン産生量、B=試料及び刺激剤を双方共に添加しない場合のロイコトリエン産生量 とする。
【0021】
3)試験結果
それぞれの試料の100μg/ml濃度でのロイコトリエン産生抑制率を表1に示した。
【0022】
【表1】

【0023】
試験例2より、本発明のチチコグサ、アキノハハコグサ、エゾノハハコグサ、ハハコグサ及びウィラウィラの花を含む部位から作製された抽出物は、強いロイコトリエン産生抑制作用を示すことが明らかになった。比較試料に示したフキ抽出物、ハハコグサ抽出物及びウィラウィラ抽出物のロイコトリエン産生抑制活性は弱いものであった。
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明品を更に詳細に説明するが、それらによって本発明品の範囲を制限するものでなない。
【0025】
試料調製例1乃至7で調製した植物抽出物を用いて、錠剤、散剤、吸入剤、点鼻薬、チューインガム、キャンディ、チョコレート、ビスケット、グミゼリー、錠菓、アイスクリーム、シャーベット、飲料を常法にて調製した。以下にその処方を示した。
【実施例1】
【0026】
下記処方にしたがって錠剤を調製した。
D−マンニトール 42.6%
乳糖 42.6
結晶セルロース 8.5
ヒドロキシプロピルセルロース 4.3
試料調製例7のウィラウィラ抽出物 2.0
100.0%
本錠剤は、錠剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0027】
実施例1と同じ配合比率で、試料調製例7のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例7のウィラウィラ抽出物を除く)を配合した錠剤をそれぞれ同様に調製した。これらは錠剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例2】
【0028】
下記処方にしたがって散剤を調製した。
乳糖 62.5%
馬鈴薯でんぷん 12.5
試料調製例5のチチコグサ抽出物 25.0
100.0%
本散剤は、散剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0029】
実施例2と同じ配合比率で、試料調整例5のチチコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調整例5のチチコグサ抽出物を除く)を配合した散剤をそれぞれ同様に調製した。これらは散剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例3】
【0030】
下記処方にしたがって散剤を調製した。
乳糖 2.5%
馬鈴薯でんぷん 2.5
試料調製例2のハハコグサ抽出物 95.0
100.0%
本散剤は、散剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0031】
実施例3と同じ配合比率で、試料調製例2のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例2のハハコグサ抽出物を除く)を配合した散剤をそれぞれ同様に調製した。これらは散剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例4】
【0032】
下記処方にしたがって吸入剤を調製した。
エタノール 5.0%
試料調製例1のエゾノハハコグサ抽出物 1.0
L−メントール 2.0
水 92.0
100.0%
本吸入剤は、吸入剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0033】
実施例4と同じ配合比率で、試料調製例1のエゾノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例1のエゾノハハコグサ抽出物を除く)を配合した吸入剤をそれぞれ同様に調製した。これらは吸入剤としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例5】
【0034】
下記処方にしたがって点鼻薬を調製した。
サリチル酸メチル 0.03g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.3
dl―塩酸メチルエフェドリン 0.3
ポリソルベート80 0.2
塩化ベンザルコニウム 0.01
塩化ナトリウム 0.6
1N水酸化ナトリウム 適量
試料調製例1のアキノハハコグサ抽出物 0.01
水 適量
100.0ml
(pH6.5)
本点鼻薬は、点鼻薬としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0035】
実施例5と同じ配合比率で、試料調製例1のアキノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例1のアキノハハコグサ抽出物を除く)を配合した点鼻薬をそれぞれ同様に調製した。これらは点鼻薬としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例6】
【0036】
下記処方にしたがってチューインガムを調製した。
ガムベース 20.0%
砂糖 54.7
グルコース 15.0
水飴 9.3
香料 0.5
試料調製例2のハハコグサ抽出物 0.5
100.0%
本チューインガムは、チューインガムとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0037】
実施例6と同じ配合比率で、試料調製例2のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例2のハハコグサ抽出物を除く)を配合したチューインガムをそれぞれ同様に調製した。これらはチューインガムとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例7】
【0038】
下記処方にしたがってチューインガムを調製した。
ガムベース 20.0%
砂糖 54.5
グルコース 10.0
水飴 13.0
香料 0.5
試料調製例2のウィラウィラ抽出物 1.0
試料調製例5のエゾノハハコグサ抽出物 1.0
100.0%
本チューインガムは、チューインガムとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0039】
実施例7と同じ配合比率で、試料調製例2のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例2のウィラウィラ抽出物を除く)を配合したチューインガムをそれぞれ同様に調製し、また、試料調製例5のエゾノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例5のウィラウィラ抽出物を除く)を配合したチューインガムをそれぞれ同様に調製した。これらはチューインガムとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例8】
【0040】
下記処方にしたがってチューインガムを調製した。
ガムベース 20.0%
砂糖 50.5
グルコース 14.0
水飴 13.0
香料 0.5
試料調製例3のチチコグサ抽出物 2.0
100.0%
本チューインガムは、チューインガムとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0041】
実施例8と同じ配合比率で、試料調製例3のチチコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例3のチチコグサ抽出物を除く)を配合したチューインガムをそれぞれ同様に調製した。これらはチューインガムとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例9】
【0042】
下記処方にしたがってキャンディを調製した。
砂糖 50.0%
水飴 33.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
L−メントール 1.0
試料調製例7のハハコグサ抽出物 0.4
水 14.4
100.0%
本キャンディは、キャンディとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0043】
実施例9と同じ配合比率で、試料調製例7のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例7のハハコグサ抽出物を除く)を配合したキャンディをそれぞれ同様に調製した。これらはキャンディとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例10】
【0044】
下記処方にしたがってキャンディを調製した。
砂糖 38.0%
水飴 42.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
試料調製例6のウィラウィラ抽出物 0.4
水 18.4
100.0%
本キャンディは、キャンディとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0045】
実施例10と同じ配合比率で、試料調製例6のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例6のウィラウィラ抽出物を除く)を配合したキャンディをそれぞれ同様に調製した。これらはキャンディとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例11】
【0046】
下記処方にしたがってチョコレートを調製した。
カカオビター 20.0%
全脂粉乳 20.0
カカオバター 17.0
粉糖 41.85
レシチン 0.45
香料 0.1
試料調製例3のアキノハハコグサ抽出物 0.6
100.0%
本チョコレートは、チョコレートとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0047】
実施例10と同じ配合比率で、試料調製例3のアキノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例3のアキノハハコグサ抽出物を除く)を配合したチョコレートをそれぞれ同様に調製した。これらはチョコレートとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例12】
【0048】
下記処方にしたがってビスケットを調製した。
砂糖 31.7%
小麦粉 26.8
片栗粉 26.8
バター 3.2
卵 10.2
重曹 0.3
試料調製例2のハハコグサ抽出物 0.5
試料調製例2のウィラウィラ抽出物 0.5
100.0%
本ビスケットは、ビスケットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0049】
実施例12と同じ配合比率で、試料調製例2のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例2のハハコグサ抽出物を除く)を配合したビスケットをそれぞれ同様に調製し、また、試料調製例2のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例2のウィラウィラ抽出物を除く)を配合したビスケットをそれぞれ同様に調製した。これらはビスケットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例13】
【0050】
下記処方にしたがってグミゼリーを調製した。
ポリデキストロース水溶液 40.0%
ソルビトール水溶液 8.0
パラチノース水溶液 9.0
マルトース水溶液 20.0
トレハロース水溶液 11.0
ゼラチン 10.0
酒石酸 1.0
試料調製例4のハハコグサ抽出物 1.0
100.0%
本グミゼリーは、グミゼリーとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0051】
実施例13と同じ配合比率で、試料調製例4のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例4のハハコグサ抽出物を除く)を配合したグミゼリーをそれぞれ同様に調製した。これらはグミゼリーとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例14】
【0052】
下記処方にしたがって錠菓を調製した。
砂糖 76.1%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.15
試料調製例6のハハコグサ抽出物 0.1
水 4.0
100.0%
本錠菓は、錠菓としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0053】
実施例14と同じ配合比率で、試料調製例6のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例6のハハコグサ抽出物を除く)を配合した錠菓をそれぞれ同様に調製した。これらは錠菓としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例15】
【0054】
下記処方にしたがって錠菓を調製した。
砂糖 74.7%
乳糖 18.9
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
試料調製例7のハハコグサ抽出物 2.0
水 4.25
100.0%
本錠菓は、錠菓としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0055】
実施例15と同じ配合比率で、試料調製例7のハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例7のハハコグサ抽出物を除く)を配合した錠菓をそれぞれ同様に調製した。これらは錠菓としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例16】
【0056】
下記処方にしたがって錠菓を調製した。
砂糖 56.7%
乳糖 18.9
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
試料調製例7のウィラウィラ抽出物 20.0
水 4.25
100.0%
本錠菓は、錠菓としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0057】
実施例16と同じ配合比率で、試料調製例7のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例7のウィラウィラ抽出物を除く)を配合した錠菓をそれぞれ同様に調製した。これらは錠菓としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例17】
【0058】
下記処方にしたがってタブレットを調製した。
砂糖 35.85%
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
試料調製例2のウィラウィラ抽出物 60.0
水 4.0
100.0%
本タブレットは、タブレットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0059】
実施例17と同じ配合比率で、試料調製例2のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例2のウィラウィラ抽出物を除く)を配合したタブレットをそれぞれ同様に調製した。これらはタブレットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例18】
【0060】
下記処方にしたがってタブレットを調製した。
砂糖 2.9%
ショ糖脂肪酸エステル 0.1
試料調製例3のアキノハハコグサ抽出物 95.0
水 2.0
100.0%
本タブレットは、タブレットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0061】
実施例18と同じ配合比率で、試料調製例3のアキノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例3のアキノハハコグサ抽出物を除く)を配合したタブレットをそれぞれ同様に調製した。これらはタブレットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例19】
【0062】
下記処方にしたがってアイスクリームを調製した。
卵黄 11.0%
砂糖 14.0
牛乳 37.0
生クリーム 37.0
バニラビーンズ 0.5
試料調製例5のアキノハハコグサ抽出物 0.5
100.0%
本アイスクリームは、アイスクリームとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0063】
実施例19と同じ配合比率で、試料調製例5のアキノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例5のアキノハハコグサ抽出物を除く)を配合したアイスクリームをそれぞれ同様に調製した。これらはアイスクリームとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例20】
【0064】
下記処方にしたがってシャーベットを調製した。
オレンジ果汁 16.0%
砂糖 31.0
試料調製例1のエゾノハハコグサ抽出物 3.0
水 50.0
100.0%
本シャーベットは、シャーベットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0065】
実施例20と同じ配合比率で、試料調製例1のエゾノハハコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例1のエゾノハハコグサ抽出物を除く)を配合したシャーベットをそれぞれ同様に調製した。これらはシャーベットとしての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例21】
【0066】
下記処方にしたがって飲料を調製した。
オレンジ果汁 30.0%
異性化糖 15.33
クエン酸 0.1
ビタミンC 0.04
香料 0.1
試料調製例4のウィラウィラ抽出物 0.01
水 54.42
100.0%
本飲料は、飲料としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0067】
実施例21と同じ配合比率で、試料調製例4のウィラウィラ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例4のウィラウィラ抽出物を除く)を配合した飲料をそれぞれ同様に調製した。これらは飲料としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【実施例22】
【0068】
下記処方にしたがって飲料を調製した。
グレープ果汁 25.0%
異性化糖 15.33
クエン酸 0.1
ビタミンC 0.05
香料 0.1
試料調製例3のチチコグサ抽出物 0.001
水 適量
100.0%
本飲料は、飲料としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。
【0069】
実施例22と同じ配合比率で、試料調製例3のチチコグサ抽出物の代わりに試料調製例1乃至7の各抽出物(試料調製例3のチチコグサ抽出物を除く)を配合した飲料をそれぞれ同様に調製した。これらは飲料としての性質を損なうことなくロイコトリエン産生抑制効果を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キク科(Compositae)ハハコグサ属(Gnaphalium)より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を有効成分とすることを特徴とするロイコトリエン産生抑制剤。
【請求項2】
キク科(Compositae)ハハコグサ属(Gnaphalium)より選択される1種又は2種以上の植物の花を含む部位の抽出物を有効成分とすることを特徴とするロイコトリエン産生抑制剤。
【請求項3】
キク科(Compositae)ハハコグサ属(Gnaphalium)植物がハハコグサ(オギョウ、ゴギョウ、鼠麹草ともいう)(Gnaphalium affine, Gnaphalium multiceps Wall)及び/又はウィラウィラ(Gnaphalium viravira)であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のロイコトリエン産生抑制剤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のロイコトリエン産生抑制剤を含むことを特徴とする飲食品。
【請求項5】
上記ロイコトリエン産生抑制剤を約0.001重量%以上、好ましくは約0.01〜95重量%含むことを特徴とする請求項4記載の飲食品。

【公開番号】特開2008−115138(P2008−115138A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302402(P2006−302402)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】