説明

ロキソプロフェンナトリウムとブロムヘキシンを含有する固形製剤

【課題】ロキソプロフェンナトリウム及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する、変色や含量低下がない安定な固形製剤を提供する。
【解決手段】塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する、均質に混和された固形製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性に優れたロキソプロフェンナトリウムを含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、総合感冒薬や解熱鎮痛薬等においては、複数の薬効成分を配合した医薬製剤が広く使用されている。例えば、総合感冒薬においては、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎薬など多くの成分が配合された一般用医薬品として広く販売されており、予期しない副作用等を防ぐという安全性の観点から、製剤としての安定性に優れている必要がある。
【0003】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物は、非ステロイド系解熱鎮痛薬として臨床で広く使用されている。また、ブロムヘキシン塩酸塩は、去痰薬として知られており、総合感冒薬の有効成分として配合されている。
【0004】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、ブロムヘキシン塩酸塩との併用や、それらを組み合わせた医薬組成物については、すでに報告がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ロキソプロフェン又はその塩に、ブロムヘキシン塩酸塩や同じく去痰薬のアンブロキソールを混和すると色調、性状の変化を起こすこと、その変化を抑制するために、ロキソプロフェン又はその塩、及びブロムヘキシン塩酸塩又はアンブロキソールと、さらに乾燥剤を容器中に加える等の製剤化の工夫が必要であった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−13542号公報
【特許文献2】特開2010−215611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩を含む物理混和物を調製後、保存中に経時的に色調・性状の変化とともにブロムヘキシン塩酸塩の含量低下が発生する問題があることを見出した。一般的に、これらの変化を回避するためには、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩を接触(混和)させないこと、例えば、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩を、各々別顆粒に配合するか、或いは乾燥剤を挿入する必要があり、製造時間や製造操作の煩雑さ、及び製造コストの問題点があった。したがって、本発明の課題は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物及びブロムヘキシン塩酸塩が均質に混和された固形製剤で、乾燥剤の挿入を行わなくとも製剤の色調・性状の変化及びブロムヘキシン塩酸塩の含量低下がない、安定な固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく製剤の研究を重ねた結果、塩基性の医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することにより、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩が均質に配合された組成物であっても、当該組成物の色調・性状の変化がなく、かつブロムヘキシン塩酸塩の含量低下が抑制されるという驚くべき結果を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(12)を提供するものである。
(1):塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する、均質に混和された固形製剤。
(2):塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有し、均質に混和後、湿式造粒された固形製剤。
(3):塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有し、均質に混和、湿式造粒後、圧縮成型された固形製剤。
(4):塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の固形製剤。
(5):ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の固形製剤。
(6):剤形が錠剤である、(3)〜(5)のいずれか1に記載の固形製剤。
(7):乾燥剤を含まないものである(1)〜(6)のいずれか1に記載の固形製剤。
(8):ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含有し、均質に混和後、湿式造粒する工程を含むことを特徴とする、固形製剤の製造方法。
(9):ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含有し、均質に混和後、湿式造粒する工程、さらに圧縮成型する工程を含むことを特徴とする、固形製剤の製造方法。
(10):塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、及びケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上である、(8)又は(9)に記載の方法。
(11):ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、(8)〜(10)のいずれか1に記載の製造方法。
(12):ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する組成物において、
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とする、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩の混和による、配合変化の抑制方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の固形製剤は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩とを含有する組成物に安定剤として機能する塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することにより、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩との共存による変色などの配合変化を回避した安定な固形製剤を提供できることを特徴としている。
【0011】
本発明の「固形製剤」は、第15改正日本薬局方に記載されている顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤、及び丸剤等で、好適には、顆粒剤、散剤、カプセル剤又は錠剤である。
【0012】
また、本発明の顆粒剤又は錠剤の態様として、水溶性の高分子などで製剤をコーティングしたものや、糖で錠剤をコーティングしたものも好適である。すなわち、フィルムコーティング顆粒、フィルムコーティング錠、糖衣錠等が挙げられる。
【0013】
さらに、本発明の固形製剤が錠剤の場合、組成の異なる粉末又は顆粒を2層又は3層以上に積み重ねて圧縮成型した多層錠も好ましい態様として挙げることができる。
【0014】
本発明に用いられる「ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物」としては、例えば、ロキソプロフェンナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム1水和物、ロキソプロフェンナトリウム2水和物を挙げることができるが、本発明においては、ロキソプロフェンナトリウム2水和物が好ましい。ロキソプロフェンナトリウム2水和物は、第15改正日本薬局方に収載されている。
【0015】
本発明に用いられる「ブロムヘキシン塩酸塩」は、第15改正日本薬局方に収載されている。
【0016】
本発明に用いられる「塩基性医薬品添加物」とは、5%懸濁液のpHが7以上の添加物、若しくは第15改正日本薬局方に収載されている制酸力試験法で制酸力を示す添加物を意味する。塩基性医薬品添加物の具体例としては、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウム等を挙げることができ、これらの添加剤は一般用医薬品製造(輸入)承認基準(2000年度版)、2007医薬品添加物事典、及び2007医薬品添加物ハンドブックに収載されている。また、含水二酸化ケイ素は、2007医薬品添加物事典に収載されている。
【0017】
本発明における塩基性医薬品添加物としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0018】
本発明において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩に配合する成分としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び含水二酸化ケイ素から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0019】
本発明における「乾燥剤」としては、特開2010−215611号公開公報に記載されたものを挙げることができ、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム及び酸化マグネシウムから選択される1種又は2種以上を挙げることができ、これらと活性炭を混合したものであってもよい。シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウムから選択される1種又は2種以上がより好ましく;合成ゼオライトがさらに好ましい。
【0020】
本発明の固形製剤における、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物の含有比は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対し、それぞれ0.01〜1.0重量部、及び0.01〜30重量部であり;好ましくは、それぞれ0.01〜0.5重量部、及び0.01〜15重量部である。
【0021】
本発明の固形製剤の製造方法としては、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素が均質に混和する工程が含まれていれば、特に制限はない。
【0022】
ここで、「均質に混和する」とは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を、通常使用される混合機、例えば攪拌型混合機等により混合・混和すればよい。
【0023】
また、本発明に用いられる「混合」、「混和」とは、「混合」は2種以上の成分を、例えば製剤的に通常使用される混合機、例えば攪拌型混合機等を用いて「混ぜ合わせる」ことを意味し、「混和」とは2種以上の成分が均質に混ざり合った状態で、元の成分が外見で区別できなくなる状態を意味する。
【0024】
さらに、本発明の固形製剤の製造方法としては、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含む組成物を造粒するのが好ましい。かかる造粒としては、乾式造粒や湿式造粒を挙げることができるが、本発明においては、湿式造粒が好ましい。本発明の固形製剤を製造する際の湿式造粒としては、攪拌造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、押し出し造粒等の通常に医薬品等の分野で使用されている湿式造粒法であれば、特に限定されない。
【0025】
さらに本発明においては、前記造粒によって得られた造粒物を圧縮成型し、錠剤とするのが好ましい。
【0026】
本発明の固形製剤の調製する際には、必要により他の薬効成分を配合し、さらに必要に応じて、前記に挙げられた塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素以外の製剤添加剤を添加してもよい。本発明の固形製剤の製剤化に使用される製剤添加剤としては、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、発砲剤、防湿剤、界面活性剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、香料、芳香剤、着色剤、基剤、コーティング剤、糖衣剤、可塑剤、分散剤、及び消泡剤等が挙げられ、従来公知の固形製剤に使用しうる製剤添加剤を上記の目的で使用し得る。
【実施例】
【0027】
本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例及び比較例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
試験例:安定化剤の比較試験
1.物理混和物及び固形製剤の製造
(比較例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g及びブロムヘキシン塩酸塩1.0gを、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(20号)にて篩過して物理混和物を得た。
【0029】
(比較例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、ブロムヘキシン塩酸塩1.0g、及びクエン酸10.0gをポリ袋にて混合した後、混合末を篩(20号)にて篩過して物理混和物を得た。
【0030】
(比較例3)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0031】
(実施例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、ブロムヘキシン塩酸塩1.0g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0032】
(実施例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、ブロムヘキシン塩酸塩1.0g、酸化マグネシウム10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0033】
(実施例3)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、ブロムヘキシン塩酸塩1.0g、合成ヒドロタルサイト10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0034】
(実施例4)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、ブロムヘキシン塩酸塩1.0g、ケイ酸カルシウム10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0035】
(実施例5)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0036】
(実施例6)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、合成ヒドロタルサイト14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0037】
(実施例7)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、ケイ酸カルシウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0038】
(実施例8)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧し造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、含水二酸化ケイ素14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0039】
(実施例9)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、合成ヒドロタルサイト27.0g、D−マンニトール310.2g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.3gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム4.8gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0040】
2.試験方法
比較例1、2の物理混和物、及び実施例1−4の錠剤をガラス瓶(4k規格瓶)に充填し、50℃開放の条件で2ヶ月間放置(50℃開放2M)した。保管後に冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を確認した。また、ロキソプロフェンナトリウム2水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩の残存率を測定した。
【0041】
くわえて、比較例3、及び実施例5−9の錠剤をガラス瓶(8k規格瓶)に充填し、60℃密栓の条件で2週間(60℃密栓2W)放置した。保管後に冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を確認した。また、ロキソプロフェンナトリウム2水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩の残存率を測定した。
【0042】
色調変化は;A:変色なし、B:わずかな変色、C:変色あり、D:著しい変色、の4段階で評価した。
【0043】
性状変化は;A:変化なし、B:わずかな変化、C:変化あり、D:著しい変化、の4段階で評価した。
【0044】
3.試験結果
表1〜表4に示すように、ロキソプロフェンナトリウム2水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩が均一に存在してなる組成物に、塩基性の医薬品添加物、又は含水二酸化ケイ素を添加した場合には、色調変化、性状変化、及びブロムヘキシン塩酸塩の含量低下を顕著に抑制できる医薬固形製剤を製造できることがわかった。
【0045】
【表1】

*:○は含有するを意味する。
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明により、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸を含有する固形製剤を、簡便かつ低コストに製造することができる。かかる固形製剤は、感冒等の治療に利用できるので、有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する、均質に混和された固形製剤。
【請求項2】
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有し、均質に混和後、湿式造粒された固形製剤。
【請求項3】
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有し、均質に混和、湿式造粒後、圧縮成型された固形製剤。
【請求項4】
塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項5】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項6】
剤形が錠剤である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項7】
乾燥剤を含まないものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項8】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含有し、均質に混和後、湿式造粒する工程を含むことを特徴とする、固形製剤の製造方法。
【請求項9】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、ブロムヘキシン塩酸塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含有し、均質に混和後、湿式造粒する工程、さらに圧縮成型する工程を含むことを特徴とする、固形製剤の製造方法。
【請求項10】
塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、、酸化マグネシウム、及びケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する組成物において、
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とする、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩の混和による、配合変化の抑制方法。

【公開番号】特開2012−140420(P2012−140420A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273990(P2011−273990)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】