説明

ログ蓄積装置およびログ蓄積プログラム

【課題】 メンテナンス要員や機器管理者が関与する情報漏洩や不正利用等を抑制し、機器のセキュリティを向上させる。
【解決手段】 動作プロセス部1、3は機器を動作させる。入力部15は機器の識別情報の入力を受付ける。許可判別部17は機器に関し予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する。モード制御部9は許可判別部17がその識別情報の存在を判別したとき、その識別情報に応じた処理モードを設定制御する。ログ記憶部11は、動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出する。ログ記憶部11はモード制御部9によって設定制御された処理モードの下において、処理モードに対応し標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報を動作情報から抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はログ蓄積装置およびログ蓄積プログラムに係り、例えば複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の電子機器に搭載して好適するログ蓄積装置およびログ蓄積プログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機その他の電子機器にあっては、情報処理機能の高度化や多機能化に伴って、情報漏洩の防止の観点や不正利用の防止の観点から、機器内部の保持情報を特定のユーザ以外に利用されることが望ましくない場合が増えている。
【0003】
しかも、複合機等にあっては、一般に保守点検が外部のメンテナンス会社から派遣されたメンテナンス要員によってなされる場合も多く、機器内部の保持情報の漏洩や不正利用を防ぐ工夫が求められている。
【0004】
例えば、例えば特開2005−332299号公報(特許文献1)はこの種の提案である。
【0005】
この特許文献1は、情報処理装置の保守を行うサービスパーソンが情報処理装置の保守を行う際に入るためのサービスモードを備える情報処理装置であって、当該情報処理装置の保守を行うサービスパーソンとしてサービスパーソンを登録するための登録画面を提供する登録画面提供手段と、当該情報処理装置の保守を行うサービスパーソンとして前記登録画面で登録されたサービスパーソンが前記サービスモードに入るために必要な認証情報を入力するための入力画面を提供する入力画面提供手段とを備え、情報処理装置の保守を行うサービスパーソンが関与する情報漏洩や不正利用等を抑制して情報処理装置のセキュリティを向上させるものである。
【特許文献1】特開2005−332299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、登録されたサービスマンのみがサービスモードに入れる手段を提供することで、サービスパーソンの関与する情報漏洩や不正利用等を抑制して機器のセキュリティを向上させることが可能であるが、サービスモードに入ったサービスパーソンがどのような操作を実際に行っているのか、ユーザには分らない難点がある。
【0007】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、メンテナンス要員や機器管理者が関与する情報漏洩や不正利用等を抑制し、機器のセキュリティを向上させることが容易なログ蓄積装置およびログ蓄積プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような課題を解決するために本発明に係るログ蓄積装置は、機器を動作させる動作プロセス部と、少なくともその機器を使用する識別情報の入力を受付ける入力部と、その機器の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する許可判別部と、この許可判別部がその識別情報の存在を判別したとき、その識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御部と、その動作プロセス部に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出し、そのモード制御部によって設定制御された処理モードの下においてはその処理モードに対応しその標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報をその動作情報から抽出して記憶するログ抽出部とを具備している。
【0009】
本発明のログ蓄積装置では、上記許可判別部が、内容の異なる詳細ログ情報に対応したその使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別し、上記ログ抽出部は、その使用許可情報に対応した内容の詳細ログ情報を抽出する構成も可能である。
【0010】
本発明のログ蓄積装置では、上記ログ抽出部が、その機器に対する操作に基づき動作プロセス部から出力されたその動作情報から詳細ログ情報を抽出する構成も可能である。
【0011】
本発明のログ蓄積装置では、上記入力部が、その識別情報として保守実施用識別情報の入力を受付ける構成も可能である。
【0012】
本発明に係るログ蓄積プログラムは、機器を動作させる動作プロセス部のログ情報を蓄積制御するコンピュータに対し、その機器を使用する識別情報の入力を受付ける入力受付処理と、その機器の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する許可判別処理と、この許可判別処理でその識別情報の存在を判別したとき、その識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御処理と、その動作プロセス部に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出し、そのモード制御処理によって設定制御された処理モードの下においてはその処理モードに対応し上記標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報をその動作情報から抽出するログ抽出処理と、そのログ情報をログ記憶部に記憶するログ記憶処理とを実行させるものである。
【0013】
本発明のログ蓄積プログラムでは、上記許可判別処理が、内容の異なるその詳細ログ情報に対応した使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別し、上記ログ抽出処理が、その使用許可情報に対応した内容の詳細ログ情報を抽出する構成も可能である。
【0014】
本発明のログ蓄積プログラムでは、上記ログ抽出処理が、その機器に対する操作に基づき上記動作プロセス部から出力された動作情報からその詳細ログ情報を抽出する構成も可能である。
【0015】
本発明のログ蓄積プログラムでは、上記入力部が、その識別情報として保守実施用識別情報の入力を受付ける構成も可能である。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明に係るログ蓄積装置およびログ蓄積プログラムでは、その機器の識別情報の入力を受付け、その機器に関し予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別し、この判別によってその識別情報の存在を判別したとき、その識別情報に応じた処理モードを設定制御し、その動作プロセス部に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出する一方、そのモード制御処理によって設定制御された処理モードの下においてはその処理モードに対応し上記標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報をその動作情報から抽出するから、メンテナンスや機器管理において、情報漏洩や不正利用等を抑制して機器のセキュリティを確保することが容易である。
【0017】
本発明において、内容の異なるその詳細ログ情報に対応した使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別し、その使用許可情報に対応した内容の詳細ログ情報を抽出する構成では、その使用許可情報に対応した内容の詳細ログ情報を取得することが容易となる。
【0018】
本発明において、その機器に対する操作に基づき上記動作プロセス部から出力された動作情報からその詳細ログ情報を抽出する構成では、例えば、機器に対してどのような操作や指示が出されたかの詳細ログ情報を取得することが容易となる。
【0019】
本発明において、その識別情報として保守実施用識別情報の入力を受付ける構成は、機器のメンテナンス時における機器の操作に基づく詳細ログ情報を取得することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明に係るログ蓄積プログラムは本発明に係るログ蓄積装置を説明する過程で説明する。
【0021】
図1は本発明に係るログ蓄積装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【0022】
図1において、動作プロセス部1、3は、例えば後述する複合機19においてソフトウエアプログラム
の動作によって種々の機能、例えば印刷機能、画像読取機能、通信機能等を実行する構成要素であり、各々モジュールAとB、モジュールCとDを有して形成されるとともに、これらを単独又は連結して動作制御している。なお、複合機19における動作プロセス部1、3の具体例は後述する。
【0023】
モジュールA〜Dは、ソフトウエアプログラムを形成するとともに複合機19の動作機能を実現する単位プログラムの集合であり、複合機19の本来の動作機能を実現するものである。
【0024】
動作プロセス部1、3およびモジュールA〜Dは、動作プロセス部又はモジュール自身の識別符号である動作プロセスIDやモジュールID、更に正常動作上の動作情報や異常時のエラー情報を出力する機能を有しており、ログ蓄積部5のログ抽出部7に接続されている。
【0025】
ログ蓄積部5は、ログ抽出部7の他、モード制御部9およびログ記憶部11を有するが、詳細は後述する。
【0026】
許可監視部13は、複合機19を使用する識別情報の入力を受付ける入力部15と、受付けられた識別情報を認証するとともに、複合機19の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する許可判別部17を有している。
【0027】
識別情報の認証は、予め設定された認証リスト中に当該識別情報が存在するか否かによって実施される。
【0028】
使用許可情報は、複合機19の例えば複写機能、ファクシミリ(FAX)機能、標準的ログ表示といった極めて限定された使用権限を許可する権限なしモード、メンテナンスのために必要な使用権限やログ抽出といったメンテナンス使用権限(保守実施)を許可する詳細ログモードA、更に、管理者として全ての使用権限を許可する詳細ログモードBが、後述する記憶部25内にテーブル状に予め設定されたものである。
【0029】
識別情報は、それら使用許可情報の何れかに該当する使用権限IDであり、入力部15は識別情報(パスワード)の入力を受け付けて許可判断部17に出力する機能を有している。
【0030】
許可判別部17は、入力された識別情報(パスワード)について認証の有無を判別するとともに、それら使用許可情報の何れかに該当するか判別し、認証するとともに使用許可情報の何れかに該当すると判別したときには、使権権限に応じた検出情報をモード制御部9に出力する機能を有している。
【0031】
ログ蓄積部5のモード制御部9は、許可判別部17から使権権限に応じた検出情報を入力したとき、当該使用権限に応じたモード、例えば詳細ログモードA(メンテナンスモード)や詳細ログモードB(管理者モード)で動作するよう、ログ抽出部7その他を設定制御する機能を有している。詳細は後述する。
【0032】
ログ抽出部7は、動作プロセス部1、3やモジュールA〜Dからの動作情報に基づき所定の標準ログ情報を抽出し、ログ記憶部11に記憶する機能を有するとともに、特に、モード制御部9によって設定制御された処理モードの下においては、当該処理モードに対応して標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報を動作情報から抽出し、詳細ログ情報をログ記憶部11に記憶制御する機能を有している。
【0033】
すなわち、ログ抽出部7は、通常は動作プロセス部1、3やモジュールA〜Dからの動作情報に基づき標準ログ情報を抽出し、これをログ記憶部11に記憶制御する機能を有する。
【0034】
一方、例えばメンテナンスモードに設定されると、メンテナンスに応じたログ抽出条件に該当するか否か判別し、メンテナンス操作(例えばキー操作や実行コマンド操作)に基づく動作プロセス部1、3やモジュールA〜Dの動作情報から、ログ抽出条件に一致する詳細ログ情報を抽出し、管理者モードに設定されると、全ての動作プロセス部1、3やモジュールA〜Dの動作情報からログ抽出条件に一致する詳細ログ情報を抽出する。
【0035】
なお、主要な一部の情報項目からなる概略的ログ情報を、便宜上、標準ログ情報とし、詳細ログ情報は、識別情報に係るアカウント名、操作時間、キー操作、実行コマンドとともにこれらに関する詳細実行内容を有する。
【0036】
ログ記憶部11は、ログ抽出部7から出力された標準ログ情報および詳細ログ情報を読み書き可能に記憶するメモリである。
【0037】
このような本発明に係るログ蓄積装置は複合機19に搭載可能であるから、複合機19の説明を介してログ蓄積装置を説明する。
【0038】
図2は本発明に係るログ蓄積装置を搭載した複合機19を示すブロック図である。
【0039】
図2において、複合機19は、主制御部21を主体として画像読取部23、記憶部25、入力部27、表示パネル部29、印刷部31および通信部33その他を有して構成されている。なお、主制御部21の機能は後述する。
【0040】
画像読取部23は、主制御部21の制御の下、例えば印刷された複数頁の原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理等をして電子的原稿データを印刷ジョブとして生成する公知のスキャナ等であり、生成した原稿データが原稿の頁毎に記憶部25に順次記憶されるようになっている。
【0041】
記憶部25は、主制御部21の制御の下、画像読取部23で読み取られた原稿データ、通信部33で受けた原稿データ、上述した使用許可情報やログ情報を記憶する他、主制御部21の動作プログラムを格納する例えばハードディスク(HDD)等である。すなわち、記憶部25は上述したログ記憶部11としても機能している。
【0042】
入力部27は、図示しない装置本体ケースの上部に配置された例えばキーボードやタッチパネル入力部であり、印刷機能、画像読取機能、通信機能等を実行するために印刷や読み取り開始指示、印刷枚数、通信相手先等の入力を受付ける他、上述した識別情報や使用許可情報としてのID(パスワード)の入力を受付け、主制御部21に出力する機能を有している。
【0043】
表示パネル部29は、同様に装置本体ケースの上部に配置された例えば液晶タイプの表示部であって入力部27を兼ねる構成もあり、主制御部21の制御の下、複合機19の動作状態を表示するとともに、上述した識別情報や使用許可情報の表示が可能になっている。
【0044】
印刷部31は、主制御部21の制御の下、記憶部25に記憶された原稿データ、ログ情報その他を印刷用紙に印刷して排紙する白黒又はカラー印刷エンジンであるが、公知のものであるから詳細な説明および図示は省略する。
【0045】
通信部33は、主制御部21の制御の下、通知先として公衆通信回線、インターネット又は社内LAN等のネットワーク35に対し、所定のプロトコルに従い画像データその他を外部の電子機器37と送受信する公知のインターフェース部である。
【0046】
主制御部21は、CPU、このCPUの動作プログラムを格納したROM、処理情報の一時的格納部であるRAM、入出力インターフェース(いずれも図示せず。)を有し、画像読取部23、記憶部25、入力部27、表示パネル部29、印刷部31および通信部33を制御し、それらの機能の一部を担って複合機19の主要機能を実行する他、以下の機能を有している。
【0047】
すなわち、主制御部21は、複合機19に関し予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する許可判別部17としての機能を有している。
【0048】
主制御部21は、その許可判別部17が識別情報の存在を判別したとき、識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御部9としての機能を有しているとともに、動作プロセス部動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)に応じて動作情報から標準ログ情報を抽出し、モード制御部9によってモード設定制御され、当該処理モードの下において、処理モードに対応した詳細ログ情報を動作情報から抽出し、それら標準ログ情報や詳細ログ情報を記憶部25に記憶するログ抽出部7としての機能を有している。
【0049】
従って、画像読取部23、入力部27、表示パネル部29、印刷部31および通信部33は、複合機19において主制御部21の制御の下、ソフトウエアプログラムによって動作する状態で、何れも上述した動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)に該当している。
【0050】
次に、上述した本発明に係るログ蓄積装置の動作を図3のフローチャートを参照して簡単に説明する。
【0051】
図3において、メンテナンス用又は管理者用の識別情報が入力部15から入力されてプログラムが開始(ログイン)されると、ステップS1にて許可監視部13が識別情報の認証の可否を判別し、認証されずにステップS1がNOであれば戻ってステップS1を繰り返し、以降、電源が遮断されたり、図示しないステップの処理によって図3のフローチャートから抜けることになる。
【0052】
他方、識別情報が認証されてステップS1がYESであれば、ステップS2にて識別情報が何れの使用許可情報に該当するか許可監視部13が判別する。
【0053】
判別結果が「権限なし」であれば、ステップS3にてモード制御部9がログ抽出部7を標準ログモードに設定してステップS6に移り、判別結果が「メンテナンス権限」であれば、ステップS4にてモード制御部9がログ抽出部7を詳細ログモードAに設定してステップS6に移り、判別結果が「管理者権限」であれば、ステップS5にてモード制御部9がログ抽出部7を詳細ログモードBに設定してステップS6に移る。
【0054】
続く、ステップS6では複合機19の各キー操作やコマンド操作が入力されると、ステップS7にてログ抽出部7がその操作がログ抽出条件に一致するか否か判別し、一致せずにステップS7がNOであれば、ステップS8にてログアウトか否か判別される。
【0055】
ログ抽出条件が一致してステップS7がYESであれば、ステップS9にてログ抽出部7が当該操作に詳細ログ情報が動作情報から抽出されるとともに、その詳細ログ情報の記憶処理を行ってステップS8に移り、ログ抽出部7がログアウトか否か判別する
【0056】
ログアウトではなくてステップS8がNOであれば、ステップS6に戻ってステップS6〜S8を繰り返し、ログアウトになってステップS8がYESであれば、ステップS10にてモード制御部9がログ抽出部7を標準ログモードに切り換え、以降の処理を経て終了する。
【0057】
このような処理手順が本発明に係るログ蓄積プログラムに相当する。
【0058】
このように本発明のログ蓄積装置は、複合機19を動作させる動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)と、その複合機19を使用する識別情報の入力を受付ける入力部15と、その複合機19の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する許可判別部17と、この許可判別部17がその識別情報の存在を判別したとき、その識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御部9と、その動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出し、そのモード制御部9によって設定制御された処理モードの下においてはその処理モードに対応しその標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報をその動作情報から抽出してログ記憶部11に記憶するログ抽出部7を有している。
【0059】
そのため、その複合機19に関する使用状態を監視し、例えばメンテナンス要員や管理者が識別情報を入力してログインすると、それらメンテナンス要員や管理者の操作に応じ、動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)の動作情報から詳細ログ情報を抽出し、記憶蓄積することが可能である。
【0060】
しかも、内容の異なる詳細ログ情報に対応した使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別し、その使用許可情報に対応した内容の詳細ログ情報を抽出するから、使用権限に応じてログ粒度を自動的に可変し、セキュリティを向上しつつ詳細ログ情報を残すことが可能である。
【0061】
しかも、複合機19に対する操作に基づき動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)の動作情報から詳細ログ情報を抽出するから、使用権限が強いほど詳細なログ情報の蓄積が可能で、強い使用権限をもつユーザに対する不正行為の抑止効果を期待可能であるし、メンテナンス要員の操作による詳細ログ情報をメンテナンス作業の作業履歴(証明)に流用可能である。
【0062】
上述した実施の形態では、動作プロセス部1、3とこれを形成するモジュールA〜Dを分けて説明したが、本発明における動作プロセス部1、3はこれ自体およびこれを形成する要素含むものである。
【0063】
また、本発明の入力部15は、少なくともその機器を使用する識別情報の入力を受付ける機能を有するものであれば、本発明の目的達成が可能である。
【0064】
さらに、機器の識別情報の入力を受付ける部分も、複合機19の入力部15に限定されず、例えば、外部の電子機器37からネットワーク35、通信部33を介して入力を受付けてログインする構成も可能であり、これに合わせて通信部33を入力部として形成すれば良い。
【0065】
さらにまた、本発明においては、標準ログ情報および詳細ログ情報を記憶部11に記憶したり印刷部31で印刷する他、図示しない外部メモリ、例えばUSBメモリ等に記憶したり、主制御部21で電子メール等を作成して通信部33からネットワーク35を介して外部の電子機器37に通知する構成も可能である。
【0066】
また、本発明に係るログ蓄積プログラムに付き言及すれば、本発明に係るログ蓄積プログラムは、機器を使用する識別情報の入力を受付ける入力受付処理と、その機器の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別する許可判別処理と、この許可判別処理でその識別情報の存在を判別したとき、その識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御処理と、その動作プロセス部1、3(モジュールA〜D)に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出し、そのモード制御処理によって設定制御された処理モードの下においてはその処理モードに対応し上記標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報をその動作情報から抽出するログ抽出処理と、そのログ情報をログ記憶部11に記憶するログ記憶処理とをコンピュータに実行させることにより、上述したログ蓄積装置と同様の効果を得ることが可能である
【0067】
このような本発明に係るログ蓄積プログラムにおいても、許可判別処理が、内容の異なるその詳細ログ情報に対応した使用許可情報に該当する識別情報の有無を判別し、上記ログ抽出処理がその使用許可情報に対応した内容の詳細ログ情報を抽出する構成、上記ログ抽出処理がその機器に対する操作に基づき上記動作プロセス部から出力された動作情報からその詳細ログ情報を抽出する構成、更に、上記入力処理がその識別情報として保守実施用識別情報の入力を受付ける構成も可能であり、上述したログ蓄積装置と同様の効果を得ることが可能である。
【0068】
また、本発明は、上述した複合機19に限らず、プリンタ、パソコンその他、ソウフトウエアで動作する電子機器において広く応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るログ蓄積装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るログ蓄積装置を実施する複合機を示す外観図である。
【図3】本発明に係るログ蓄積装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1、3 動作プロセス部
5 ログ蓄積部
7 ログ抽出部
9 モード制御部
11 ログ記憶部
13 許可監視部
15 入力部
17 許可判別部
19 複合機(電子機器)
21 主制御部(ログ蓄積部)
23 画像読取部(動作プロセス部)
25 記憶部(ログ記憶部)
27 入力部(動作プロセス部)
29 操作パネル部(動作プロセス部)
31 印刷部(動作プロセス部)
33 通信部(動作プロセス部)
35 ネットワーク
37 電子機器
A、B、C、D モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を動作させる動作プロセス部と、
少なくとも前記機器を使用する識別情報の入力を受付ける入力部と、
前記機器の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する前記識別情報の有無を判別する許可判別部と、
この許可判別部が前記識別情報の存在を判別したとき、前記識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御部と、
前記動作プロセス部に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出し、前記モード制御部によって設定制御された前記処理モードの下においては前記処理モードに対応し前記標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報を前記動作情報から抽出するログ抽出部と、
を具備することを特徴とするログ蓄積装置。
【請求項2】
前記許可判別部は、内容の異なる前記詳細ログ情報に対応した前記使用許可情報に該当する前記識別情報の有無を判別し、前記ログ抽出部は、前記使用許可情報に対応した内容の前記詳細ログ情報を抽出する請求項1記載のログ蓄積装置。
【請求項3】
前記ログ抽出部は、前記機器に対する操作に基づき前記動作プロセス部から出力された前記動作情報から前記詳細ログ情報を抽出する請求項1又は2記載のログ蓄積装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記識別情報として保守実施用識別情報の入力を受付ける請求項1〜3いずれか1記載のログ蓄積装置。
【請求項5】
機器を動作させる動作プロセス部のログ情報を蓄積制御するコンピュータに対し、
前記機器を使用する識別情報の入力を受付ける入力受付処理と、
前記機器の使用を許可するために予め設定された使用許可情報に該当する前記識別情報の有無を判別する許可判別処理と、
この許可判別処理で前記識別情報の存在を判別したとき、前記識別情報に応じた処理モードを設定制御するモード制御処理と、
前記動作プロセス部に応じて動作情報から所定の標準ログ情報を抽出し、前記モード制御処理によって設定制御された前記処理モードの下においては前記処理モードに対応し前記標準ログ情報より詳細な内容を有する詳細ログ情報を前記動作情報から抽出するログ抽出処理と、
前記ログ情報をログ記憶部に記憶するログ記憶処理と、
を実行させることを特徴とするログ蓄積プログラム。
【請求項6】
前記許可判別処理は、内容の異なる前記詳細ログ情報に対応した前記使用許可情報に該当する前記識別情報の有無を判別し、前記ログ抽出処理は、前記使用許可情報に対応した内容の前記詳細ログ情報を抽出する請求項5記載のログ蓄積プログラム。
【請求項7】
前記ログ抽出処理は、前記機器に対する操作に基づき前記動作プロセス部から出力された前記動作情報から前記詳細ログ情報を抽出する請求項5又は6記載のログ蓄積プログラム。
【請求項8】
前記入力処理は、前記識別情報としての保守実施用識別情報の入力を受付ける請求項5〜7いずれか1記載のログ蓄積プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−9469(P2009−9469A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171976(P2007−171976)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】