ロケットの組立海上打上げ方法およびその設備
【課題】 部品やユニットの輸送や組立後の輸送が容易で、しかも打上げ条件の良い場所を選択して海上から打ち上げることができるロケットの組立海上打上げ方法およびその設備を提供すること。
【解決手段】 船体11に設けられた上部が開口した組立・整備格納部12でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、燃料類貯蔵部21にロケットの燃料類を貯蔵し、これを船体ごと推進部28で打上げ海上に移動する。そして、組立・整備格納部12に水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納されたロケットを打上げのために起立させて射台22に取り付け、この射台22の下方に浸水式のフレームデフレクタ部24を設けて両舷側の開口部26からの海水で噴射火炎から船体11を保護するようにする。これにより、船艙内で組立・整備して格納し、これを打上げ海上に移動して起立させて打ち上げることができ、輸送の効率を大幅に向上できるとともに、最適な打上げ場所でロケットを打ち上げることができるようになる。
【解決手段】 船体11に設けられた上部が開口した組立・整備格納部12でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、燃料類貯蔵部21にロケットの燃料類を貯蔵し、これを船体ごと推進部28で打上げ海上に移動する。そして、組立・整備格納部12に水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納されたロケットを打上げのために起立させて射台22に取り付け、この射台22の下方に浸水式のフレームデフレクタ部24を設けて両舷側の開口部26からの海水で噴射火炎から船体11を保護するようにする。これにより、船艙内で組立・整備して格納し、これを打上げ海上に移動して起立させて打ち上げることができ、輸送の効率を大幅に向上できるとともに、最適な打上げ場所でロケットを打ち上げることができるようになる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロケットの組立海上打上げ方法およびその設備に関し、船艙内で組み立てたロケットを燃料類とともに、そのまま打上げ海上に移動して打上げるようにして輸送の効率向上と打上げ場所を最適化しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】衛星打上げ用などのロケットは、各部品が工場で製作されて輸送可能な大きさのユニットに組み立てられた後、発射台から数km程度離れた場所に設置した整備組立棟にユニットを輸送してこれらを組み立て一体化してロケットにする。
【0003】そして、水平、あるいは垂直にした状態でロケットを発射台に移動し、ロケットの最終整備点検や燃料類(燃料と酸化剤)の充填などを行った後、打上げが行われる。
【0004】このようなロケットの発射台などの設備は、通常、打上げのための気象条件や地理的条件などを考慮する必要があり、例えば種が島などに設置している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような発射台の近傍に整備組立棟を設置していることから、整備組立棟にロケットや衛星の多くの部品やユニットを輸送する必要があるとともに、液体水素や液体酸素などの燃料類も輸送する必要があり、工場などからのこれらの輸送が大変である。
【0006】また、発射台の近傍に整備組立棟が設置されているものの、組み立てたロケットを数km程度離れた発射台まで移動する必要があり、このロケット自体の移動も大変である。
【0007】さらに、発射台に移動した後も、打上げ前の点検などが必要であり、ロケットの大きさに対応した巨大な点検用の設備が必要となるとともに、一旦設備を建設すると簡単に移動することができず、ロケットの機種の変更にも簡単に対応することができない。
【0008】この発明はかかる従来技術の有する課題を解決するためになされたもので、部品やユニットの輸送や組立後の輸送が容易で、しかも打上げ条件の良い場所を選択して海上から打ち上げることができるロケットの組立海上打上げ方法およびその設備を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が有する課題を解決するためこの発明の請求項1記載のロケットの組立海上打上げ方法は、船体をドックに固定して船艙内で当該ドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、当該船艙を密閉状態としてロケットを格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載したのち、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納された前記ロケットを射座上に起立させたのち、前記燃料類を当該ロケットに充填して打上げることを特徴とするものである。
【0010】このロケットの組立海上打上げ方法によれば、船体をドックに固定して船艙内でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、この船艙を密閉状態としてロケットを水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載し、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納されたロケットを射座上に起立させるとともに燃料類を充填して打上げるようにしており、組立・格納・輸送が一体化され、組立から打ち上げまでのロケットの移動が僅かで済み、船体を移動することで打ち上げ条件の最も良い場所で打ち上げることができるようになる。
【0011】また、この発明の請求項2記載のロケットの組立海上打上げ方法は、請求項1記載の構成に加え、前記射座に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】このロケットの組立海上打上げ方法によれば、射座に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしており、ロケットの打ち上げに伴う火炎からの船体の保護を海水を浸漬させることで簡単に行うことができるようになる。
【0013】さらに、この発明の請求項3記載のロケットの組立海上打上げ設備は、船艙に設けられ上部が開口しドックの設備を利用してロケットの組立・整備と格納を行う組立・整備格納部と、船艙に設けられロケットの燃料類を貯蔵する燃料類貯蔵部と、前記組立・整備格納部に設けられ格納されたロケットを打上げのために起立させて取り付ける射台と、この射台の下方に設けられ両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護する浸水式のフレームデフレクタ部と、これらが搭載された船体を打上げ海上に移動する推進部とを備えることを特徴とするものである。
【0014】このロケットの組立海上打上げ設備によれば、船艙に設けられた上部が開口した組立・整備格納部でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、船艙に設けた燃料類貯蔵部にロケットの燃料類を貯蔵し、これを船体ごと推進部で打上げ海上に移動するようにし、組立・整備格納部に水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納されたロケットを打上げのために起立させて射台に取り付け、この射台の下方に浸水式のフレームデフレクタ部を設けて両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護するようにしており、船艙内で組立・整備して格納し、これを打上げ海上に移動して起立させて打ち上げることができ、輸送の効率を大幅に向上できるとともに、最適な打上げ場所でロケットを打ち上げることができるようになる。
【0015】また、この発明の請求項4記載のロケットの組立海上打上げ設備は、請求項3記載の構成に加え、前記組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成したことを特徴とするものである。
【0016】このロケットの組立海上打上げ設備によれば、組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成するようにしており、組立後の海上輸送時に外気と遮断した状態でロケットなどを輸送することができるようになる。
【0017】さらに、この発明の請求項5記載のロケットの組立海上打上げ設備は、請求項3または4記載の構成に加え、前記船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けたことを特徴とするものである。
【0018】このロケットの組立海上打上げ設備によれば、船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けるようにしてあり、ロケットの打上げ時の火炎などの影響が及ばないようにしている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】図1〜図5はこの発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかり、図1は概略構造図、図2は2段式のロケットと衛星の組立設備の概略配置図、図3はドックでの作業状態の横断面図、図4はロケットの格納状態の横断面図、図5はフレームデフレクタ部の横断面図である。
【0021】このロケットの組立海上打ち上げ方法では、船艙内で造船所などのドックを利用してロケットの組立を行った後、打ち上げに適した海上に移動してロケットを打ち上げるようにするものである。
【0022】このようなロケットの組立海上打上げに用いられる設備10は、例えば図1に概略構造を示すように、船体11を備えており、単胴あるいは双胴の船体とされる。
【0023】この船体11には、上部が開口した船艙が備えられてロケットRの組立や整備、組立後の格納が可能な大きさの組立・整備格納部12とされ、この組立・整備格納部12の上部開口はデッキカバー13で密閉できるようになっている。そして、組立・整備格納部12内には、例えば図2に2段式のロケットと衛星の組立設備の概略配置を示すように、従来の陸上の整備組立棟と同様に、予備機搭載場所14、組立前準備場所15、組立・整備格納場所16が設けられ、予備機搭載場所14には、ロケットRの1段予備機R1 、2段予備機R2 、衛星Sの衛星予備機S1 などが搭載され、組立前準備場所15には、必要に応じて開梱クリーンブース17、点検クリーンブース18が設置され、組立・整備格納場所16には、組立クリーンブース19などが設けられる。さらに、組立・整備格納部12には、各場所14〜16に空調設備が設けられ、外気と遮断した状態で組立や格納ができるようにしてある。
【0024】また、この組立・整備格納場所16には、ロケットRなどを組み立てるための台座20が転倒・起立可能に設けられ、図示しない昇降用ジャッキを備え、図4に示すように、組立完了後のロケットRを船体11のデッキ上まで上昇させることができるとともに、台座20を起立駆動機構で回動させてロケットRを起立状態にできるようになっている。
【0025】なお、ロケットRの転倒状態とは、水平状態だけでなく傾斜状態も含むものである。
【0026】さらに、このロケットの組立海上打上げ設備10では、船体11の組立・整備格納部12の後方にロケットRの燃料類としての液体推薬と助燃剤としての液体酸素などを搭載する低温貯槽で構成された燃料類貯蔵部21が設けられ、断熱壁で覆われている。この燃料類貯蔵部21には、断熱された配管が接続され、換気されたスペースを通し、しかもロケットの打ち上げに伴う火炎に晒されないようにしてロケットの射台近傍まで配管してある。
【0027】また、予冷や制御用ガスとしての水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス等が貯蔵されるタンク類も船体11に搭載してある。
【0028】このロケットの組立海上打上げ設備10では、船体11の前方のデッキ上に、ロケットRなどの打ち上げを行うための射台22が配置され、この射台22の周囲全体が耐熱コンクリート壁23で囲まれるとともに、射台22の直下が2つの傾斜面で構成されたフレームデフレクタ部24とされ、これら耐熱コンクリート壁23の外側に海水を入れる水張りスペース25が設けてある。そして、耐熱コンクリート壁23の両舷側には、図5に示すように、フレームデフレクタ部24のそれぞれの傾斜面に繋がる開口部26が海水面より下方まで設けられて水密扉27で開閉できるようにしてあり、水密扉27を開けた状態で海水が射台22の下方のフレームデフレクタ部24の傾斜面を覆う位置まで入るようにしてある。
【0029】さらに、この船体11には、通常の船舶と同様に、推進部28として船体11の後部に機関室29が設けられるとともに、船体11の前部にバウスラスタ30が設けられ、海上などを自由に航行できるようになっており、船体11の機関室29の前方には、航行のための船橋部31が配置され、ロケットの打上げ時の火炎などの影響を受けないように、船艙内に収納可能とされ、昇降用ジャッキで昇降できるようにしてある。この船橋部31は、ドックでのロケットの組立や整備など行う場合には、デッキ上に上昇させてオフィスとして利用する。
【0030】さらに、船橋部31の収納される船艙の前方や射台22の前方の船艙部分にそれぞれ機械室32,33が設けられ、ロケットの組立・整備に必要な圧縮空気を供給する機械などや航行に必要な機器が搭載されている。
【0031】次に、このように構成したロケットの組立海上打上げ設備10によるロケットの組立から海上での打上げまでの方法を、図6に示すフロー図にしたがって、詳細に説明する。
【0032】このロケットの組立海上打上げ方法では、ロケットの組立海上打上げ設備10に大型クレーンなどを備えていないことから、船体11を造船所のドックDやロケットの組立専用に用意したドックDに固定し、組立・整備格納部12の上部開口を多くデッキカバー13を折り畳んで開放した状態にする。
【0033】そして、ドックDに付設されたクレーンCなどの重機を利用して工場で製作されて運搬されたロケットRや衛星Sの構成部品を梱包状態のまま組立・整備格納場所16の台座20上に搭載するほか、それぞれの予備機を梱包状態のまま予備機搭載場所14に搭載するとともに、組立・整備に必要な機器類も搭載する。
【0034】この後、組立・整備格納部12の上部開口をデッキカバー13で密閉し、空調設備や換気設備を運転するなどでロケットの組立環境を調整した後、開梱クリーンブース17で開梱し、点検クリーンブース18で点検し、組立クリーンブース19で組み立てる等し、最終的に台座20に水平あるいは傾斜させた転倒状態でロケットRおよび衛星Sを組み立てる。
【0035】こうして、船体11をドックDに固定してロケットRおよび衛星Sを組み立てた後、転倒状態で組立・整備格納部12に格納し、密閉状態とするとともに、格納保管に必要な雰囲気に内部を調整して格納する。
【0036】こうしてロケットの組立・整備・格納が完了した後、ドックDから船体11を出すとともに、船体11の燃料類貯蔵部21にロケットRの推進薬となる液体水素や酸化剤となる液体酸素などの燃料類を搭載する。この燃料類の搭載はドックD内で行っても、ドックDから出した後のいずれでも良く、搭載の都合で決定すれば良い。さらに、予冷や制御用ガスとしての水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス等も船体11のタンク類に搭載する。
【0037】次いで、この船体11を推進部28によって航行して打上げに最適な海上に移動する。この船体の航行の際には、船橋部31を上昇させて通常の船舶と同様に運航し、所定の打上げ海上に航行する。
【0038】打上げ海上に到着した後、必要に応じてロケットRおよび衛星Sの点検・整備を行い、デッキカバー13を開けて水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納してあるロケットRおよび衛星Sを台座20ごと上昇させ、デッキ上に位置させる。
【0039】そして、ロケットRなどを起立させるため、台座20を回動させたのち、射台22に移動して取り付ける。
【0040】こうして射台22に取り付けたロケットRなどの最終点検を行うとともに、燃料を搭載し、ロケット側の打上げ準備を完了する。
【0041】一方、船体11では、射台22の下方の両舷側の開口部26の水密扉27を開けて開口した状態に保持し、フレームデフレクタ部24が海水で浸漬された状態となるようにする。
【0042】また、組立・整備格納部12の開口部をデッキカバー13で覆って密閉するとともに、船橋部31を下降させて船艙内に収納し、デッキ上に何もない状態にする。
【0043】そして、打上げ準備が完了した後、別途配備した管制船に作業者など全員が移動し、管制船からロケットとの交信や制御などを行うようにし、管制船からの打上げ指令でロケットを打上げる。
【0044】すると、射台22の下方に火炎が噴射されるが、海水に浸漬されるとともに、耐熱コンクリート壁23で覆われたフレームデフレクタ部24によって噴射火炎が開口部26に導かれて外部に逃される。そして、フレームデフレクタ部24は海水と耐熱コンクリート壁23によって保護されるとともに、船体11も耐熱コンクリート壁23と水張りスペース25に入れた海水によって保護される。
【0045】なお、船体11の両舷側などにスタビライザなどを装備して打上げに伴う船体の動揺を抑えるようにしても良い。
【0046】このようなロケットの組立海上打上げ方法によれば、造船所などのドックDを利用して組み立て整備ができるので、大型クレーンCなどの重機を備える必要がなく、組立・整備の設備が簡素化できるとともに、空いたドックDを有効利用することもできる。
【0047】また、これまでのような部品ごとに種が島など遠く離れた発射台近傍の組立整備棟に輸送する必要がなく、個々の部品は工場からドックまで輸送すれば良く、打上げのためには、ロケットの燃料類を含む全ての必要なものを同時に船体11に搭載して輸送することができ、輸送の大幅な効率向上となる。
【0048】さらに、組立・整備格納部12で組み立てたロケットなどは、台座20ごとの上昇、回動起立、射台22への移動など最少限の移動で組立から打上げまでを行うことができる。
【0049】また、打上げに伴う噴射火炎からの船体11などの保護を、両舷側の開口部26を開口して海水を浸漬させるフレームデフレクタ部24で有効に行うことができ、噴射ノズルも必要なく構造が簡単である。
【0050】さらに、船体11自体を航行させることで、打上げに最適な気象条件の場所や最適な地理的条件の場所を選ぶことができる。
【0051】
【発明の効果】以上、実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の請求項1記載のロケットの組立海上打上げ方法によれば、船体をドックに固定して船艙内でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、この船艙を密閉状態としてロケットを格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載し、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納されたロケットを射座上に起立させるとともに燃料類を充填して打上げるようにしたので、組立・格納・輸送が一体化され、組立から打ち上げまでのロケットの移動が僅かで済み、船体を移動することで打ち上げ条件の最も良い場所で打ち上げることができる。
【0052】また、この発明の請求項2記載のロケットの組立海上打上げ方法によれば、射座に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしたので、ロケットの打ち上げに伴う火炎からの船体の保護を海水を浸漬させることで簡単に行うことができる。
【0053】さらに、この発明の請求項3記載のロケットの組立海上打上げ設備によれば、船艙に設けられた上部が開口した組立・整備格納部でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、船艙に設けた燃料類貯蔵部にロケットの燃料類を貯蔵し、これを船体ごと推進部で打上げ海上に移動し、組立・整備格納部に格納されたロケットを打上げのために起立させて射台に取り付け、この射台の下方に浸水式のフレームデフレクタ部を設けて両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護するようにしたので、船艙内で組立・整備して格納し、これを打上げ海上に移動して起立させて打ち上げることができ、輸送の効率を大幅に向上できるとともに、最適な打上げ場所でロケットを打ち上げることができる。
【0054】また、この発明の請求項4記載のロケットの組立海上打上げ設備によれば、組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成するようにしたので、組立後の海上輸送時に外気と遮断した状態でロケットなどを格納して輸送することができる。
【0055】さらに、この発明の請求項5記載のロケットの組立海上打上げ設備によれば、船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けるようにしたので、ロケットの打上げ時の火炎などの影響が及ばないようにすることができ、繰り返し使用できるとともに、安全に打上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかる概略構造図である。
【図2】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかる2段式のロケットと衛星の組立設備の概略配置図である。
【図3】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかるドックでの作業状態の横断面図である。
【図4】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかるロケットの格納状態の横断面図である。
【図5】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかるフレームデフレクタ部の横断面図である。
【図6】この発明のロケットの組立海上打上げ方法の一実施の形態にかかる工程を説明するフロー図である。
【符号の説明】
10 ロケットの組立海上打上げ設備
11 船体
12 組立・整備格納部
13 デッキカバー
20 台座
21 燃料貯蔵部
22 射台
23 耐熱コンクリート壁
24 フレームデフレクタ部
25 水張りスペース
26 開口部
27 水密扉
28 推進部
31 船橋部
R ロケット
S 衛星
C クレーン
D ドック
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロケットの組立海上打上げ方法およびその設備に関し、船艙内で組み立てたロケットを燃料類とともに、そのまま打上げ海上に移動して打上げるようにして輸送の効率向上と打上げ場所を最適化しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】衛星打上げ用などのロケットは、各部品が工場で製作されて輸送可能な大きさのユニットに組み立てられた後、発射台から数km程度離れた場所に設置した整備組立棟にユニットを輸送してこれらを組み立て一体化してロケットにする。
【0003】そして、水平、あるいは垂直にした状態でロケットを発射台に移動し、ロケットの最終整備点検や燃料類(燃料と酸化剤)の充填などを行った後、打上げが行われる。
【0004】このようなロケットの発射台などの設備は、通常、打上げのための気象条件や地理的条件などを考慮する必要があり、例えば種が島などに設置している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような発射台の近傍に整備組立棟を設置していることから、整備組立棟にロケットや衛星の多くの部品やユニットを輸送する必要があるとともに、液体水素や液体酸素などの燃料類も輸送する必要があり、工場などからのこれらの輸送が大変である。
【0006】また、発射台の近傍に整備組立棟が設置されているものの、組み立てたロケットを数km程度離れた発射台まで移動する必要があり、このロケット自体の移動も大変である。
【0007】さらに、発射台に移動した後も、打上げ前の点検などが必要であり、ロケットの大きさに対応した巨大な点検用の設備が必要となるとともに、一旦設備を建設すると簡単に移動することができず、ロケットの機種の変更にも簡単に対応することができない。
【0008】この発明はかかる従来技術の有する課題を解決するためになされたもので、部品やユニットの輸送や組立後の輸送が容易で、しかも打上げ条件の良い場所を選択して海上から打ち上げることができるロケットの組立海上打上げ方法およびその設備を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が有する課題を解決するためこの発明の請求項1記載のロケットの組立海上打上げ方法は、船体をドックに固定して船艙内で当該ドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、当該船艙を密閉状態としてロケットを格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載したのち、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納された前記ロケットを射座上に起立させたのち、前記燃料類を当該ロケットに充填して打上げることを特徴とするものである。
【0010】このロケットの組立海上打上げ方法によれば、船体をドックに固定して船艙内でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、この船艙を密閉状態としてロケットを水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載し、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納されたロケットを射座上に起立させるとともに燃料類を充填して打上げるようにしており、組立・格納・輸送が一体化され、組立から打ち上げまでのロケットの移動が僅かで済み、船体を移動することで打ち上げ条件の最も良い場所で打ち上げることができるようになる。
【0011】また、この発明の請求項2記載のロケットの組立海上打上げ方法は、請求項1記載の構成に加え、前記射座に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】このロケットの組立海上打上げ方法によれば、射座に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしており、ロケットの打ち上げに伴う火炎からの船体の保護を海水を浸漬させることで簡単に行うことができるようになる。
【0013】さらに、この発明の請求項3記載のロケットの組立海上打上げ設備は、船艙に設けられ上部が開口しドックの設備を利用してロケットの組立・整備と格納を行う組立・整備格納部と、船艙に設けられロケットの燃料類を貯蔵する燃料類貯蔵部と、前記組立・整備格納部に設けられ格納されたロケットを打上げのために起立させて取り付ける射台と、この射台の下方に設けられ両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護する浸水式のフレームデフレクタ部と、これらが搭載された船体を打上げ海上に移動する推進部とを備えることを特徴とするものである。
【0014】このロケットの組立海上打上げ設備によれば、船艙に設けられた上部が開口した組立・整備格納部でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、船艙に設けた燃料類貯蔵部にロケットの燃料類を貯蔵し、これを船体ごと推進部で打上げ海上に移動するようにし、組立・整備格納部に水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納されたロケットを打上げのために起立させて射台に取り付け、この射台の下方に浸水式のフレームデフレクタ部を設けて両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護するようにしており、船艙内で組立・整備して格納し、これを打上げ海上に移動して起立させて打ち上げることができ、輸送の効率を大幅に向上できるとともに、最適な打上げ場所でロケットを打ち上げることができるようになる。
【0015】また、この発明の請求項4記載のロケットの組立海上打上げ設備は、請求項3記載の構成に加え、前記組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成したことを特徴とするものである。
【0016】このロケットの組立海上打上げ設備によれば、組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成するようにしており、組立後の海上輸送時に外気と遮断した状態でロケットなどを輸送することができるようになる。
【0017】さらに、この発明の請求項5記載のロケットの組立海上打上げ設備は、請求項3または4記載の構成に加え、前記船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けたことを特徴とするものである。
【0018】このロケットの組立海上打上げ設備によれば、船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けるようにしてあり、ロケットの打上げ時の火炎などの影響が及ばないようにしている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】図1〜図5はこの発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかり、図1は概略構造図、図2は2段式のロケットと衛星の組立設備の概略配置図、図3はドックでの作業状態の横断面図、図4はロケットの格納状態の横断面図、図5はフレームデフレクタ部の横断面図である。
【0021】このロケットの組立海上打ち上げ方法では、船艙内で造船所などのドックを利用してロケットの組立を行った後、打ち上げに適した海上に移動してロケットを打ち上げるようにするものである。
【0022】このようなロケットの組立海上打上げに用いられる設備10は、例えば図1に概略構造を示すように、船体11を備えており、単胴あるいは双胴の船体とされる。
【0023】この船体11には、上部が開口した船艙が備えられてロケットRの組立や整備、組立後の格納が可能な大きさの組立・整備格納部12とされ、この組立・整備格納部12の上部開口はデッキカバー13で密閉できるようになっている。そして、組立・整備格納部12内には、例えば図2に2段式のロケットと衛星の組立設備の概略配置を示すように、従来の陸上の整備組立棟と同様に、予備機搭載場所14、組立前準備場所15、組立・整備格納場所16が設けられ、予備機搭載場所14には、ロケットRの1段予備機R1 、2段予備機R2 、衛星Sの衛星予備機S1 などが搭載され、組立前準備場所15には、必要に応じて開梱クリーンブース17、点検クリーンブース18が設置され、組立・整備格納場所16には、組立クリーンブース19などが設けられる。さらに、組立・整備格納部12には、各場所14〜16に空調設備が設けられ、外気と遮断した状態で組立や格納ができるようにしてある。
【0024】また、この組立・整備格納場所16には、ロケットRなどを組み立てるための台座20が転倒・起立可能に設けられ、図示しない昇降用ジャッキを備え、図4に示すように、組立完了後のロケットRを船体11のデッキ上まで上昇させることができるとともに、台座20を起立駆動機構で回動させてロケットRを起立状態にできるようになっている。
【0025】なお、ロケットRの転倒状態とは、水平状態だけでなく傾斜状態も含むものである。
【0026】さらに、このロケットの組立海上打上げ設備10では、船体11の組立・整備格納部12の後方にロケットRの燃料類としての液体推薬と助燃剤としての液体酸素などを搭載する低温貯槽で構成された燃料類貯蔵部21が設けられ、断熱壁で覆われている。この燃料類貯蔵部21には、断熱された配管が接続され、換気されたスペースを通し、しかもロケットの打ち上げに伴う火炎に晒されないようにしてロケットの射台近傍まで配管してある。
【0027】また、予冷や制御用ガスとしての水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス等が貯蔵されるタンク類も船体11に搭載してある。
【0028】このロケットの組立海上打上げ設備10では、船体11の前方のデッキ上に、ロケットRなどの打ち上げを行うための射台22が配置され、この射台22の周囲全体が耐熱コンクリート壁23で囲まれるとともに、射台22の直下が2つの傾斜面で構成されたフレームデフレクタ部24とされ、これら耐熱コンクリート壁23の外側に海水を入れる水張りスペース25が設けてある。そして、耐熱コンクリート壁23の両舷側には、図5に示すように、フレームデフレクタ部24のそれぞれの傾斜面に繋がる開口部26が海水面より下方まで設けられて水密扉27で開閉できるようにしてあり、水密扉27を開けた状態で海水が射台22の下方のフレームデフレクタ部24の傾斜面を覆う位置まで入るようにしてある。
【0029】さらに、この船体11には、通常の船舶と同様に、推進部28として船体11の後部に機関室29が設けられるとともに、船体11の前部にバウスラスタ30が設けられ、海上などを自由に航行できるようになっており、船体11の機関室29の前方には、航行のための船橋部31が配置され、ロケットの打上げ時の火炎などの影響を受けないように、船艙内に収納可能とされ、昇降用ジャッキで昇降できるようにしてある。この船橋部31は、ドックでのロケットの組立や整備など行う場合には、デッキ上に上昇させてオフィスとして利用する。
【0030】さらに、船橋部31の収納される船艙の前方や射台22の前方の船艙部分にそれぞれ機械室32,33が設けられ、ロケットの組立・整備に必要な圧縮空気を供給する機械などや航行に必要な機器が搭載されている。
【0031】次に、このように構成したロケットの組立海上打上げ設備10によるロケットの組立から海上での打上げまでの方法を、図6に示すフロー図にしたがって、詳細に説明する。
【0032】このロケットの組立海上打上げ方法では、ロケットの組立海上打上げ設備10に大型クレーンなどを備えていないことから、船体11を造船所のドックDやロケットの組立専用に用意したドックDに固定し、組立・整備格納部12の上部開口を多くデッキカバー13を折り畳んで開放した状態にする。
【0033】そして、ドックDに付設されたクレーンCなどの重機を利用して工場で製作されて運搬されたロケットRや衛星Sの構成部品を梱包状態のまま組立・整備格納場所16の台座20上に搭載するほか、それぞれの予備機を梱包状態のまま予備機搭載場所14に搭載するとともに、組立・整備に必要な機器類も搭載する。
【0034】この後、組立・整備格納部12の上部開口をデッキカバー13で密閉し、空調設備や換気設備を運転するなどでロケットの組立環境を調整した後、開梱クリーンブース17で開梱し、点検クリーンブース18で点検し、組立クリーンブース19で組み立てる等し、最終的に台座20に水平あるいは傾斜させた転倒状態でロケットRおよび衛星Sを組み立てる。
【0035】こうして、船体11をドックDに固定してロケットRおよび衛星Sを組み立てた後、転倒状態で組立・整備格納部12に格納し、密閉状態とするとともに、格納保管に必要な雰囲気に内部を調整して格納する。
【0036】こうしてロケットの組立・整備・格納が完了した後、ドックDから船体11を出すとともに、船体11の燃料類貯蔵部21にロケットRの推進薬となる液体水素や酸化剤となる液体酸素などの燃料類を搭載する。この燃料類の搭載はドックD内で行っても、ドックDから出した後のいずれでも良く、搭載の都合で決定すれば良い。さらに、予冷や制御用ガスとしての水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス等も船体11のタンク類に搭載する。
【0037】次いで、この船体11を推進部28によって航行して打上げに最適な海上に移動する。この船体の航行の際には、船橋部31を上昇させて通常の船舶と同様に運航し、所定の打上げ海上に航行する。
【0038】打上げ海上に到着した後、必要に応じてロケットRおよび衛星Sの点検・整備を行い、デッキカバー13を開けて水平あるいは傾斜させた転倒状態で格納してあるロケットRおよび衛星Sを台座20ごと上昇させ、デッキ上に位置させる。
【0039】そして、ロケットRなどを起立させるため、台座20を回動させたのち、射台22に移動して取り付ける。
【0040】こうして射台22に取り付けたロケットRなどの最終点検を行うとともに、燃料を搭載し、ロケット側の打上げ準備を完了する。
【0041】一方、船体11では、射台22の下方の両舷側の開口部26の水密扉27を開けて開口した状態に保持し、フレームデフレクタ部24が海水で浸漬された状態となるようにする。
【0042】また、組立・整備格納部12の開口部をデッキカバー13で覆って密閉するとともに、船橋部31を下降させて船艙内に収納し、デッキ上に何もない状態にする。
【0043】そして、打上げ準備が完了した後、別途配備した管制船に作業者など全員が移動し、管制船からロケットとの交信や制御などを行うようにし、管制船からの打上げ指令でロケットを打上げる。
【0044】すると、射台22の下方に火炎が噴射されるが、海水に浸漬されるとともに、耐熱コンクリート壁23で覆われたフレームデフレクタ部24によって噴射火炎が開口部26に導かれて外部に逃される。そして、フレームデフレクタ部24は海水と耐熱コンクリート壁23によって保護されるとともに、船体11も耐熱コンクリート壁23と水張りスペース25に入れた海水によって保護される。
【0045】なお、船体11の両舷側などにスタビライザなどを装備して打上げに伴う船体の動揺を抑えるようにしても良い。
【0046】このようなロケットの組立海上打上げ方法によれば、造船所などのドックDを利用して組み立て整備ができるので、大型クレーンCなどの重機を備える必要がなく、組立・整備の設備が簡素化できるとともに、空いたドックDを有効利用することもできる。
【0047】また、これまでのような部品ごとに種が島など遠く離れた発射台近傍の組立整備棟に輸送する必要がなく、個々の部品は工場からドックまで輸送すれば良く、打上げのためには、ロケットの燃料類を含む全ての必要なものを同時に船体11に搭載して輸送することができ、輸送の大幅な効率向上となる。
【0048】さらに、組立・整備格納部12で組み立てたロケットなどは、台座20ごとの上昇、回動起立、射台22への移動など最少限の移動で組立から打上げまでを行うことができる。
【0049】また、打上げに伴う噴射火炎からの船体11などの保護を、両舷側の開口部26を開口して海水を浸漬させるフレームデフレクタ部24で有効に行うことができ、噴射ノズルも必要なく構造が簡単である。
【0050】さらに、船体11自体を航行させることで、打上げに最適な気象条件の場所や最適な地理的条件の場所を選ぶことができる。
【0051】
【発明の効果】以上、実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の請求項1記載のロケットの組立海上打上げ方法によれば、船体をドックに固定して船艙内でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、この船艙を密閉状態としてロケットを格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載し、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納されたロケットを射座上に起立させるとともに燃料類を充填して打上げるようにしたので、組立・格納・輸送が一体化され、組立から打ち上げまでのロケットの移動が僅かで済み、船体を移動することで打ち上げ条件の最も良い場所で打ち上げることができる。
【0052】また、この発明の請求項2記載のロケットの組立海上打上げ方法によれば、射座に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしたので、ロケットの打ち上げに伴う火炎からの船体の保護を海水を浸漬させることで簡単に行うことができる。
【0053】さらに、この発明の請求項3記載のロケットの組立海上打上げ設備によれば、船艙に設けられた上部が開口した組立・整備格納部でドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、船艙に設けた燃料類貯蔵部にロケットの燃料類を貯蔵し、これを船体ごと推進部で打上げ海上に移動し、組立・整備格納部に格納されたロケットを打上げのために起立させて射台に取り付け、この射台の下方に浸水式のフレームデフレクタ部を設けて両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護するようにしたので、船艙内で組立・整備して格納し、これを打上げ海上に移動して起立させて打ち上げることができ、輸送の効率を大幅に向上できるとともに、最適な打上げ場所でロケットを打ち上げることができる。
【0054】また、この発明の請求項4記載のロケットの組立海上打上げ設備によれば、組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成するようにしたので、組立後の海上輸送時に外気と遮断した状態でロケットなどを格納して輸送することができる。
【0055】さらに、この発明の請求項5記載のロケットの組立海上打上げ設備によれば、船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けるようにしたので、ロケットの打上げ時の火炎などの影響が及ばないようにすることができ、繰り返し使用できるとともに、安全に打上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかる概略構造図である。
【図2】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかる2段式のロケットと衛星の組立設備の概略配置図である。
【図3】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかるドックでの作業状態の横断面図である。
【図4】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかるロケットの格納状態の横断面図である。
【図5】この発明のロケットの組立海上打上げ設備の一実施の形態にかかるフレームデフレクタ部の横断面図である。
【図6】この発明のロケットの組立海上打上げ方法の一実施の形態にかかる工程を説明するフロー図である。
【符号の説明】
10 ロケットの組立海上打上げ設備
11 船体
12 組立・整備格納部
13 デッキカバー
20 台座
21 燃料貯蔵部
22 射台
23 耐熱コンクリート壁
24 フレームデフレクタ部
25 水張りスペース
26 開口部
27 水密扉
28 推進部
31 船橋部
R ロケット
S 衛星
C クレーン
D ドック
【特許請求の範囲】
【請求項1】 船体をドックに固定して船艙内で当該ドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、当該船艙を密閉状態としてロケットを格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載したのち、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納された前記ロケットを射台上に起立させたのち、前記燃料類を当該ロケットに充填して打上げることを特徴とするロケットの組立海上打上げ方法。
【請求項2】 前記射台に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしたことを特徴とする請求項1記載のロケットの組立海上打上げ方法。
【請求項3】 船艙に設けられ上部が開口しドックの設備を利用してロケットの組立・整備と格納を行う組立・整備格納部と、船艙に設けられロケットの燃料類を貯蔵する燃料類貯蔵部と、前記組立・整備格納部に設けられ格納されたロケットを打上げのために起立させて取り付ける射台と、この射台の下方に設けられ両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護する浸水式のフレームデフレクタ部と、これらが搭載された船体を打上げ海上に移動する推進部とを備えることを特徴とするロケットの組立海上打上げ設備。
【請求項4】 前記組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成したことを特徴とする請求項3記載のロケットの組立海上打上げ設備。
【請求項5】 前記船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けたことを特徴とする請求項3または4記載のロケットの組立海上打上げ設備。
【請求項1】 船体をドックに固定して船艙内で当該ドックの設備を利用してロケットの組立・整備を行い、当該船艙を密閉状態としてロケットを格納するとともに、ロケットの燃料類を船体に搭載したのち、船体ごと打ち上げ海上に移動し、格納された前記ロケットを射台上に起立させたのち、前記燃料類を当該ロケットに充填して打上げることを特徴とするロケットの組立海上打上げ方法。
【請求項2】 前記射台に起立させたロケットの下方の両舷側を開口して海水を浸漬させた状態で打ち上げるようにしたことを特徴とする請求項1記載のロケットの組立海上打上げ方法。
【請求項3】 船艙に設けられ上部が開口しドックの設備を利用してロケットの組立・整備と格納を行う組立・整備格納部と、船艙に設けられロケットの燃料類を貯蔵する燃料類貯蔵部と、前記組立・整備格納部に設けられ格納されたロケットを打上げのために起立させて取り付ける射台と、この射台の下方に設けられ両舷側の開口部から浸水させて火炎から船体を保護する浸水式のフレームデフレクタ部と、これらが搭載された船体を打上げ海上に移動する推進部とを備えることを特徴とするロケットの組立海上打上げ設備。
【請求項4】 前記組立・整備格納部を水密かつ外気と遮断可能に構成したことを特徴とする請求項3記載のロケットの組立海上打上げ設備。
【請求項5】 前記船体の船橋部を船艙内に収納可能に設けたことを特徴とする請求項3または4記載のロケットの組立海上打上げ設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2000−318699(P2000−318699A)
【公開日】平成12年11月21日(2000.11.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−127969
【出願日】平成11年5月10日(1999.5.10)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【公開日】平成12年11月21日(2000.11.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年5月10日(1999.5.10)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
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