ロスバスタチンカルシウム含有医薬組成物
本発明は、ロスバスタチン含有医薬組成物またはその薬学的に許容可能な塩、特に、無水炭酸ナトリウムを含むカルシウム塩に関し、約0.5〜約2重量%で存在するように使用することで、0.1N HCl溶媒での溶出挙動に対して効果を発揮する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロスバスタチン含有医薬組成物またはその薬学的に許容可能な塩、特にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を含むカルシウム塩に関し、無水炭酸ナトリウムが、医薬組成物中に約0.5〜約2重量%で存在し、モル比が1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)となるように使用すれば、0.1N HCl溶媒での溶出挙動に対して効果を発揮することに関する。好ましくは、医薬組成物は経口製剤であり、経口製剤は錠剤であり、カプセル剤、粒剤、ミニ錠剤などの経口製剤であってよい。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ロスバスタチンの基礎特許であり、HMG−CoA還元酵素阻害剤としてロスバスタチンを開示している。
【0003】
特許文献2では、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸カルシウムなどのアルカリ性物質を0.1〜60%含むHMG−CoA阻害剤製剤に関して開示している。
しかし、特許文献2は、0.1N HCl環境での溶出挙動に対する効果を示すロスバスタチン製剤中のアルカリ性物質の割合およびモル比を示していない。特許文献2は、安定性および腸管吸収に対して効果があることのみ指摘している。
【0004】
特許文献3では、ロスバスタチン含有医薬組成物で多価カチオンを含有する三塩基性リン酸塩を使用することによって保護作用が明らかである。
実のところ、0.1N HCl環境での多価カチオンの溶出挙動がほかのアルカリ化剤と異なることが、三塩基性リン酸塩を使用する根拠である。このため、生物学的同等性を得るために、同種医薬品に三塩基性リン酸塩のほかに多価カチオンを含有するアルカリ化剤を使用しても、0.1N HCl環境での好ましい溶出挙動に達することができず、生物学的同等性を得ることができていない。DailyMedのウェブサイトの情報によれば、5、10、20および40mgでのクレストール(登録商標)の錠剤製剤では、多価カチオンを含有する三塩基性リン酸塩として、第三リン酸カルシウムが使用される。
【0005】
特許文献4では、炭酸ナトリウムを含有するアルカリ化剤の割合が、組成物の約1〜約50重量%でありうることを開示している。
しかし、溶出挙動に対するアルカリ化剤の効果を開示していず、0.1N HCl環境で臨界溶出を達成する割合やモル比を指摘していない。特許文献4に示されるように、炭酸ナトリウムそれ自体は安定化のために使用できるが、本発明による0.1N HCl環境での溶出挙動に対して重大な影響を及ぼす。
【0006】
特許文献5では、炭酸ナトリウムは、一価カチオンの無機塩としてロスバスタチン製剤に使用される。
しかし、0.1N HCl環境での溶出挙動に対する炭酸ナトリウムの使用効果に関して開示していない。この発明の請求項7は、一価カチオンの無機塩を組成物の0.01〜10重量%で使用することを開示しているが、溶出挙動に対する炭酸ナトリウムの効果を示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第521471号
【特許文献2】欧州特許第0547000号
【特許文献3】欧州特許第1223918号
【特許文献4】欧州特許第1905424号
【特許文献5】国際公開第2008/062476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、FDA(米国食品医薬品局)が、ロスバスタチンカルシウムの溶出環境がインビトロでpH6.6である(医薬品製剤の溶出法)との見解を示しているため、同種医薬品による溶出環境をpH6.6のクエン酸塩溶液で維持して、生物学的同等性を得ている。アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物をロスバスタチン含有医薬組成物中のあらゆる割合や、ロスバスタチンとのあらゆるモル比で使用しても、pH6.6環境では、標準錠剤と試験錠剤の溶出挙動が同じかほぼ同じとなる。換言すれば、pH6.6環境では、ロスバスタチン含有医薬組成物中のあらゆる割合や、ロスバスタチンとのあらゆるモル比でアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を使用しても、溶出挙動に対して何ら影響を及ぼさず、溶出挙動は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩の量に左右されない。ロスバスタチンの錠剤製剤では、標準錠剤が胃に取り込んでから溶解されるため、この結果を保持するのみでは、生物学的等価試験を実施して生物学的同等性を得るのには十分でない。換言すれば、経口投与後、固形製剤は吸収前に胃環境と接触すると放出される。このため、0.1N HCl環境での溶出を考慮することが重要である。胃液は0.1N HClであり、同種医薬品の溶出挙動は0.1N HCl環境での標準製剤の溶出挙動とほぼ同じとする必要がある。このため、pH6.6環境のみでの溶出挙動をほぼ同じにすることは十分でない。
本発明によれば、試験製剤は、標準製剤としたクレストール(登録商標)との生物学的同等性がほぼ確実に得られる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ロスバスタチンとアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物との特殊なモル比によって、0.1N HCl溶出溶媒では、クレストール(登録商標)に比して類似性因子が50超の溶出挙動を示すことを思いのほか予想外に発見した。モル比は、1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)である。アルカリ金属はNaまたはKから選択され、アルカリ土類金属はMgまたはCaから選択されるが、これに限定されない。好ましくは無水炭酸ナトリウムである。
【0010】
本発明の別の態様は、特定の範囲内で使用されたアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物の、0.1N HCl溶媒でのロスバスタチンカルシウムの溶出挙動に対する効果に関する。本発明によれば、0.1N HCl溶媒では、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を含有するロスバスタチンカルシウム錠剤の溶出挙動は、医薬組成物中の特定の範囲の含有量で使用され、クレストール(登録商標)によって市販されている標準錠剤と同じである。0.1N HCl溶媒の標準錠剤と試験錠剤の溶出挙動をほぼ同じにするために、アルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物が錠剤の約0.5〜2重量%、好ましくは約0.6〜1.4重量%で使用される。
【0011】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの薬学的に適切な賦形剤を含む医薬組成物である。賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤もしくは別の適切な賦形剤、またはこれらの混合物でありうる。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を含有するロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であり、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物が医薬組成物の0.5〜2重量%で使用され、活性成分は、0.1N HCl環境では、標準製剤に比して類似性因子(f2)が少なくとも50〜100のインビトロ溶出挙動を示す。
類似性因子f2は、下式1に示すような、逐一比較による類似性を示す測定値である。
【0013】
【数1】
【0014】
ここで、nは、標本抽出時点の数である。
【0015】
Rtは、時間tで標準製剤のバッチから放出された薬剤の量である。
【0016】
Ttは、時間tで試験製剤のバッチから放出された薬剤の量である。
【0017】
一般に、f2値が50超であれば、標準製剤および試験製剤の特性が確実に同じとなる。
【0018】
好ましくは、医薬組成物は錠剤、カプセル剤、粒剤、ミニ錠剤などの経口製剤である。特に好ましい経口製剤は錠剤である。
【0019】
また、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を組成物の約0.5〜約2重量%または約0.1:0.43〜1.75のモル比(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)で使用しても、ラクトンなどの不純物を生成しない。
【0020】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を錠剤の約0.5〜約2重量%、好ましくは約0.6〜約1.4重量%および/またはモル比が1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)を含むロスバスタチンカルシウム含有錠剤製剤を使用すれば、0.1N HCl環境での溶出挙動は、クレストール(登録商標)として知られる標準錠剤とほぼ同じとなることを思いのほか予想外に発見した。ロスバスタチンカルシウム製剤では、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を上記の特定の範囲で使用すると効果を発揮し、0.1N HCl環境での溶出挙動に対するこの効果は予想外の結果である。というのも、従来技術においては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物をロスバスタチンカルシウム製剤に含めて使用すると、ラクトンなどの不純物が生成されなくなる、ということが知られているのみであるからである。
【0021】
溶出挙動を得るために、あらゆる好適な溶解法が使用されうる。本発明ではUSP法I(バスケット)が好ましく、使用される。しかし、USP法I(バスケット)は完全なものではなく、限定しないがUSP法II(パドル)など、他の適格な方法も想定されうる。
【0022】
好ましくは、この医薬組成物は、USP法I(バスケット)を用いて錠剤と溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから30分後にロスバスタチンカルシウムの総量が85%以上で放出される溶出挙動を示す錠剤として調製される。
【0023】
この医薬組成物は、USP法I(バスケット)を用いて溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから5分後に15〜25%、10分後に40〜50%、15分後に60〜70%、20分後に70〜80%、30分後に80〜90%、45分後に85〜95%、60分後に90〜100%のロスバスタチンカルシウムが放出される溶出挙動を示す。
【0024】
好ましくは、アルカリ金属炭酸塩はNa2CO3またはK2CO3であるが、これらに限定されない。本発明では、無水炭酸ナトリウムが好ましく、使用される。好ましくは、アルカリ土類金属炭酸塩はCaCO3またはMgCO3であるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:1.17(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図1および表1)。上記の条件下では、f2値は57.9である。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の1.34重量%である。
【0027】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:1.17)
【0028】
【表1】
【実施例2】
【0029】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:1.75(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図2および表2)。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の2重量%である。上記の条件下では、f2値は59.1である。
【0030】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:1.75)
【0031】
【表2】
【実施例3】
【0032】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:2.35(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図3および表3)。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の2.65重量%である。上記の条件下では、f2値は45.7である。
【0033】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:2.35)
【0034】
【表3】
【実施例4】
【0035】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:4.71(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、これは37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図4および表4)。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の5.16重量%である。上記の条件下では、f2値は22.1である。
【0036】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:4.71)
【0037】
【表4】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロスバスタチン含有医薬組成物またはその薬学的に許容可能な塩、特にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を含むカルシウム塩に関し、無水炭酸ナトリウムが、医薬組成物中に約0.5〜約2重量%で存在し、モル比が1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)となるように使用すれば、0.1N HCl溶媒での溶出挙動に対して効果を発揮することに関する。好ましくは、医薬組成物は経口製剤であり、経口製剤は錠剤であり、カプセル剤、粒剤、ミニ錠剤などの経口製剤であってよい。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ロスバスタチンの基礎特許であり、HMG−CoA還元酵素阻害剤としてロスバスタチンを開示している。
【0003】
特許文献2では、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸カルシウムなどのアルカリ性物質を0.1〜60%含むHMG−CoA阻害剤製剤に関して開示している。
しかし、特許文献2は、0.1N HCl環境での溶出挙動に対する効果を示すロスバスタチン製剤中のアルカリ性物質の割合およびモル比を示していない。特許文献2は、安定性および腸管吸収に対して効果があることのみ指摘している。
【0004】
特許文献3では、ロスバスタチン含有医薬組成物で多価カチオンを含有する三塩基性リン酸塩を使用することによって保護作用が明らかである。
実のところ、0.1N HCl環境での多価カチオンの溶出挙動がほかのアルカリ化剤と異なることが、三塩基性リン酸塩を使用する根拠である。このため、生物学的同等性を得るために、同種医薬品に三塩基性リン酸塩のほかに多価カチオンを含有するアルカリ化剤を使用しても、0.1N HCl環境での好ましい溶出挙動に達することができず、生物学的同等性を得ることができていない。DailyMedのウェブサイトの情報によれば、5、10、20および40mgでのクレストール(登録商標)の錠剤製剤では、多価カチオンを含有する三塩基性リン酸塩として、第三リン酸カルシウムが使用される。
【0005】
特許文献4では、炭酸ナトリウムを含有するアルカリ化剤の割合が、組成物の約1〜約50重量%でありうることを開示している。
しかし、溶出挙動に対するアルカリ化剤の効果を開示していず、0.1N HCl環境で臨界溶出を達成する割合やモル比を指摘していない。特許文献4に示されるように、炭酸ナトリウムそれ自体は安定化のために使用できるが、本発明による0.1N HCl環境での溶出挙動に対して重大な影響を及ぼす。
【0006】
特許文献5では、炭酸ナトリウムは、一価カチオンの無機塩としてロスバスタチン製剤に使用される。
しかし、0.1N HCl環境での溶出挙動に対する炭酸ナトリウムの使用効果に関して開示していない。この発明の請求項7は、一価カチオンの無機塩を組成物の0.01〜10重量%で使用することを開示しているが、溶出挙動に対する炭酸ナトリウムの効果を示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第521471号
【特許文献2】欧州特許第0547000号
【特許文献3】欧州特許第1223918号
【特許文献4】欧州特許第1905424号
【特許文献5】国際公開第2008/062476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、FDA(米国食品医薬品局)が、ロスバスタチンカルシウムの溶出環境がインビトロでpH6.6である(医薬品製剤の溶出法)との見解を示しているため、同種医薬品による溶出環境をpH6.6のクエン酸塩溶液で維持して、生物学的同等性を得ている。アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物をロスバスタチン含有医薬組成物中のあらゆる割合や、ロスバスタチンとのあらゆるモル比で使用しても、pH6.6環境では、標準錠剤と試験錠剤の溶出挙動が同じかほぼ同じとなる。換言すれば、pH6.6環境では、ロスバスタチン含有医薬組成物中のあらゆる割合や、ロスバスタチンとのあらゆるモル比でアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を使用しても、溶出挙動に対して何ら影響を及ぼさず、溶出挙動は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩の量に左右されない。ロスバスタチンの錠剤製剤では、標準錠剤が胃に取り込んでから溶解されるため、この結果を保持するのみでは、生物学的等価試験を実施して生物学的同等性を得るのには十分でない。換言すれば、経口投与後、固形製剤は吸収前に胃環境と接触すると放出される。このため、0.1N HCl環境での溶出を考慮することが重要である。胃液は0.1N HClであり、同種医薬品の溶出挙動は0.1N HCl環境での標準製剤の溶出挙動とほぼ同じとする必要がある。このため、pH6.6環境のみでの溶出挙動をほぼ同じにすることは十分でない。
本発明によれば、試験製剤は、標準製剤としたクレストール(登録商標)との生物学的同等性がほぼ確実に得られる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ロスバスタチンとアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物との特殊なモル比によって、0.1N HCl溶出溶媒では、クレストール(登録商標)に比して類似性因子が50超の溶出挙動を示すことを思いのほか予想外に発見した。モル比は、1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)である。アルカリ金属はNaまたはKから選択され、アルカリ土類金属はMgまたはCaから選択されるが、これに限定されない。好ましくは無水炭酸ナトリウムである。
【0010】
本発明の別の態様は、特定の範囲内で使用されたアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物の、0.1N HCl溶媒でのロスバスタチンカルシウムの溶出挙動に対する効果に関する。本発明によれば、0.1N HCl溶媒では、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を含有するロスバスタチンカルシウム錠剤の溶出挙動は、医薬組成物中の特定の範囲の含有量で使用され、クレストール(登録商標)によって市販されている標準錠剤と同じである。0.1N HCl溶媒の標準錠剤と試験錠剤の溶出挙動をほぼ同じにするために、アルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物が錠剤の約0.5〜2重量%、好ましくは約0.6〜1.4重量%で使用される。
【0011】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの薬学的に適切な賦形剤を含む医薬組成物である。賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤もしくは別の適切な賦形剤、またはこれらの混合物でありうる。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を含有するロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であり、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物が医薬組成物の0.5〜2重量%で使用され、活性成分は、0.1N HCl環境では、標準製剤に比して類似性因子(f2)が少なくとも50〜100のインビトロ溶出挙動を示す。
類似性因子f2は、下式1に示すような、逐一比較による類似性を示す測定値である。
【0013】
【数1】
【0014】
ここで、nは、標本抽出時点の数である。
【0015】
Rtは、時間tで標準製剤のバッチから放出された薬剤の量である。
【0016】
Ttは、時間tで試験製剤のバッチから放出された薬剤の量である。
【0017】
一般に、f2値が50超であれば、標準製剤および試験製剤の特性が確実に同じとなる。
【0018】
好ましくは、医薬組成物は錠剤、カプセル剤、粒剤、ミニ錠剤などの経口製剤である。特に好ましい経口製剤は錠剤である。
【0019】
また、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を組成物の約0.5〜約2重量%または約0.1:0.43〜1.75のモル比(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)で使用しても、ラクトンなどの不純物を生成しない。
【0020】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を錠剤の約0.5〜約2重量%、好ましくは約0.6〜約1.4重量%および/またはモル比が1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)を含むロスバスタチンカルシウム含有錠剤製剤を使用すれば、0.1N HCl環境での溶出挙動は、クレストール(登録商標)として知られる標準錠剤とほぼ同じとなることを思いのほか予想外に発見した。ロスバスタチンカルシウム製剤では、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物を上記の特定の範囲で使用すると効果を発揮し、0.1N HCl環境での溶出挙動に対するこの効果は予想外の結果である。というのも、従来技術においては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物をロスバスタチンカルシウム製剤に含めて使用すると、ラクトンなどの不純物が生成されなくなる、ということが知られているのみであるからである。
【0021】
溶出挙動を得るために、あらゆる好適な溶解法が使用されうる。本発明ではUSP法I(バスケット)が好ましく、使用される。しかし、USP法I(バスケット)は完全なものではなく、限定しないがUSP法II(パドル)など、他の適格な方法も想定されうる。
【0022】
好ましくは、この医薬組成物は、USP法I(バスケット)を用いて錠剤と溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから30分後にロスバスタチンカルシウムの総量が85%以上で放出される溶出挙動を示す錠剤として調製される。
【0023】
この医薬組成物は、USP法I(バスケット)を用いて溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから5分後に15〜25%、10分後に40〜50%、15分後に60〜70%、20分後に70〜80%、30分後に80〜90%、45分後に85〜95%、60分後に90〜100%のロスバスタチンカルシウムが放出される溶出挙動を示す。
【0024】
好ましくは、アルカリ金属炭酸塩はNa2CO3またはK2CO3であるが、これらに限定されない。本発明では、無水炭酸ナトリウムが好ましく、使用される。好ましくは、アルカリ土類金属炭酸塩はCaCO3またはMgCO3であるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:1.17(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図1および表1)。上記の条件下では、f2値は57.9である。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の1.34重量%である。
【0027】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:1.17)
【0028】
【表1】
【実施例2】
【0029】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:1.75(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図2および表2)。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の2重量%である。上記の条件下では、f2値は59.1である。
【0030】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:1.75)
【0031】
【表2】
【実施例3】
【0032】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:2.35(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図3および表3)。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の2.65重量%である。上記の条件下では、f2値は45.7である。
【0033】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:2.35)
【0034】
【表3】
【実施例4】
【0035】
ロスバスタチンカルシウム試験錠剤は、モル比が1:4.71(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウム)の無水炭酸ナトリウムを含有し、これは37±0.5℃の溶出溶媒900ml、USP法I(バスケット)、バスケット速度100rpmの条件下で0.1N HCl環境で放出される溶出挙動を示す(図4および表4)。同時に、無水炭酸ナトリウムは錠剤の5.16重量%である。上記の条件下では、f2値は22.1である。
【0036】
試験錠剤と標準錠剤との比較(ロスバスタチンカルシウム:無水炭酸ナトリウムのモル比は1:4.71)
【0037】
【表4】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物とを含む医薬組成物であって、
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物とロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩のモル比が1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)であり、
0.1N HCl溶出環境では、標準製剤(クレストール(登録商標))の溶出挙動に比して、類似性因子(f2)が少なくとも50〜100の溶出挙動を示す
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
炭酸塩または重炭酸塩のアルカリ金属が、NaまたはKから選択される
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
炭酸塩または重炭酸塩のアルカリ土類金属が、MgまたはCaから選択される
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩が、無水Na2CO3または無水K2CO3またはこれらの混合物である
請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
アルカリ土類金属の炭酸塩が、CaCO3またはMgCO3またはこれらの混合物である
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が経口製剤である
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
経口製剤が錠剤である
請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて錠剤と溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから30分後にロスバスタチンカルシウムの総量が85%以上で放出される溶出挙動を示す
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから5分後に15〜25%、10分後に40〜50%、15分後に60〜70%、20分後に70〜80%、30分後に80〜90%、45分後に85〜95%、60分後に90〜100%のロスバスタチンカルシウムが放出される溶出挙動を示す
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物とを含む医薬組成物であって、
アルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物が、医薬組成物の0.5〜2重量%で使用され、
0.1N HCl溶出環境では、標準製剤(クレストール(登録商標))の溶出挙動に比して、類似性因子(f2)が少なくとも50〜100の溶出挙動を示す
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が経口製剤である
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
経口製剤が錠剤である
請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて錠剤と溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから30分後にロスバスタチンカルシウムの総量が85%以上で放出される溶出挙動を示す
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから5分後に15〜25%、10分後に40〜50%、15分後に60〜70%、20分後に70〜80%、30分後に80〜90%、45分後に85〜95%、60分後に90〜100%のロスバスタチンが放出される溶出挙動を示す
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項1】
ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物とを含む医薬組成物であって、
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物とロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩のモル比が1:0.43〜1.75(ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩:アルカリ金属もしくアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物)であり、
0.1N HCl溶出環境では、標準製剤(クレストール(登録商標))の溶出挙動に比して、類似性因子(f2)が少なくとも50〜100の溶出挙動を示す
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
炭酸塩または重炭酸塩のアルカリ金属が、NaまたはKから選択される
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
炭酸塩または重炭酸塩のアルカリ土類金属が、MgまたはCaから選択される
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩が、無水Na2CO3または無水K2CO3またはこれらの混合物である
請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
アルカリ土類金属の炭酸塩が、CaCO3またはMgCO3またはこれらの混合物である
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が経口製剤である
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
経口製剤が錠剤である
請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて錠剤と溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから30分後にロスバスタチンカルシウムの総量が85%以上で放出される溶出挙動を示す
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから5分後に15〜25%、10分後に40〜50%、15分後に60〜70%、20分後に70〜80%、30分後に80〜90%、45分後に85〜95%、60分後に90〜100%のロスバスタチンカルシウムが放出される溶出挙動を示す
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ロスバスタチンまたはその薬学的に許容可能な塩と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物とを含む医薬組成物であって、
アルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩またはその混合物が、医薬組成物の0.5〜2重量%で使用され、
0.1N HCl溶出環境では、標準製剤(クレストール(登録商標))の溶出挙動に比して、類似性因子(f2)が少なくとも50〜100の溶出挙動を示す
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が経口製剤である
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
経口製剤が錠剤である
請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて錠剤と溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから30分後にロスバスタチンカルシウムの総量が85%以上で放出される溶出挙動を示す
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物が、USP法I(バスケット)を用いて溶出溶媒900mlを37±0.5℃で混合し、バスケット速度が100rpmになってから5分後に15〜25%、10分後に40〜50%、15分後に60〜70%、20分後に70〜80%、30分後に80〜90%、45分後に85〜95%、60分後に90〜100%のロスバスタチンが放出される溶出挙動を示す
請求項10に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公表番号】特表2011−525901(P2011−525901A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515641(P2011−515641)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052595
【国際公開番号】WO2009/156796
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510327390)
【氏名又は名称原語表記】ABDI IBRAHIM ILAC SANAYI VE TICARET ANONIM SIRKETI
【住所又は居所原語表記】Hosdere Mevkii Tunc Cad. No.3, Abdi, Ibrahim Ilac Hadimkoy, Bahcesehir, 34555 Istanbul Republic of Turkey
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052595
【国際公開番号】WO2009/156796
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510327390)
【氏名又は名称原語表記】ABDI IBRAHIM ILAC SANAYI VE TICARET ANONIM SIRKETI
【住所又は居所原語表記】Hosdere Mevkii Tunc Cad. No.3, Abdi, Ibrahim Ilac Hadimkoy, Bahcesehir, 34555 Istanbul Republic of Turkey
【Fターム(参考)】
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