説明

ロスバスタチン中間体及びロスバスタチンの調製方法。

スタチン、好ましくはロスバスタチンの調製のための中間体及び方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、キラル的に純粋なロスバスタチン(rosuvastatin)中間体の調製、及びロスバスタチン及び医薬的に許容できるその塩の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ロスバスタチンカルシウムは、化学名称(7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−(3R, 5S)−ジヒドロキシ−(E)−6−ヘプテン酸カルシウム塩)を有し、そして下記化学式:
【0003】
【化1】

【0004】
を有する。ロスバスタチンカルシウムは、高脂血症の1日1度の経口処理のために、Shionogiにより開発されたHMG−CoAレダクターゼインヒビターである(Ann Rep, Shionogi, 1996: Direct communications, Shionogi, 8 Feb 1999 & 25 Feb 2000)。ロスバスタチンカルシウムは、第1世代スタチン薬剤よりも効果的な、LDL−コレステロール及びトリグリセリドを低めることができるスーパースタチンである。
【0005】
ロスバスタチンカルシウムは、哺乳類、例えばヒトの処理のために、名称CRESTORとして市販されている。CRESTORの製造メーカーによれば、それは約5mg〜約40mgの毎日の用量で投与される。
アメリカ特許第5,260,440号(ここで、‘440特許と称する)及びPCT公開番号WO03/097614号は、後期中間体3(R)−3(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−オキソ−6−トリフェニル−ホスホラニリデンヘキサノエートからのロスバスタチンの合成を開示する。
【0006】
PCT公開番号WO03/087112号は、次のスキームに従って、鏡像異性体的に純粋なグルタル酸誘導体を得るために、微生物による部分的加水分解を通して3−L−ヒドロキシジエチルグルタレートから合成される、異なった中間体(3R)−3−(t−ブチルメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソ−ヘキサノエートからのロスバスタチンの合成を開示する:
【0007】
【化2】

【0008】
TSPH:(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサネート
TBDMS:tert−ブチルメチルシリル
WO03/087112号の方法は、3−ヒドロキシジエチルグルタレートの部分的加水分解の間、高価な微生物、例えばCLS−BC−14011の使用を必要とするので、産業規模上では所望され得ない。さらに、前記方法は、硫酸の存在下でのエチル−(3S)−3−ヒドロキシグルタル酸のエステル化の間、有害な材料、例えばイソブチレンガスを使用する。また、カラムクロマトグラフィーによるTSPHの精製は、産業的に困難である。
【0009】
アメリカ公開番号2005/0070605A1号は、アミド結合を形成するためにフェニルエチルアミンによる3−ヒドロキシ保護された無水グルタル酸の鏡像選択的開放、及びHMG−CoAレダクターゼインヒビターを得るための転換を開示する。前記方法は、セリバスタチンの最終段階において、及びピタバスタチンの合成におけるフェニルエチルアミンの除去においてフェニルエチルアミドの分解段階のために問題がある。
【0010】
PCT公開番号WO2006/021326号は、ラセミメチル3(±)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシ−ホスフィニル−5−オキソヘキサノエートを得るためにメタノールによる3−ヒドロキシ保護された無水グルタル酸の開放、及びラセミメチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシ−ホスフィニル−5−オキソヘキサノエートの調製を開示する。
【0011】
アメリカ特許第5,354,879号は、それぞれ(3R)−3−[(t−ブチルジメチルシリル)オキシ]−グルタル酸1−(R)−(−)−マンデレート及び(3S)−3−[(t−ブチルジメチルシリル)オキシ]−グルタル酸1−(S)−(+)−マンデレートからのメチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシ−ホスフィニル−5−オキソヘキサノエート及び3(R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−オキソ−6−トリフェニル−ホスホホラニリデンヘキサノエートの両者の調製を開示する。この方法は、爆発性で且つ毒性の材料、例えばジアゾメタンを使用する。さらに、この方法は複雑であり、そして報告される収率は低い。
【0012】
J. Org. Chem., 1991, Vol. 56, 3744-3747は、3−ヒドロキシ保護された無水グルタル酸からの(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシ−ホスフィニル−5−オキソヘキサノエートの調製を開示する。環状無水物のこの開環においては、フェニルエチルアミンが、鏡像異性体を得るためのアミド結合を調製するために使用される。この方法は、有害な反応、例えばN2O4酸化、続く分解剤のアミノ基を切断するための水素化反応、及び遊離酸のメチル化のために毒性材料、例えばジアゾメタンの使用を包含する。この方法はまた、パラジウム触媒の使用のために効果である。さらに、重金属が最終生成物に不純物として残存し、そしてその品質を悪化する。
【0013】
PCT公開番号WO00/49014号は、Wittig反応を通して、他の側鎖を有する中間体を用いてのロスバスタチンの合成を開示する。EP850,902号は、混合物におけるトリフェニルホスフィン誘導体の除去を開示する。
費用効率があり、少ない精製段階を融資、産業規模調製のために適切であり、高い収率をもたらし、そして環境的にもやさしい、ロスバスタチンの調製方法についての必要性が当業界において存在する。
【発明の開示】
【0014】
発明の要約
本発明の態様の1つは、下記式(X):
【化3】

【0015】
[式中、塩基はキラル塩基であり;Zはヒドロキシ保護基であり;そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
を有する塩基性カチオンの塩を提供する。
【0016】
本発明の態様の1つは、a)下記構造式:
【化4】

【0017】
[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
を有する式IXの化合物と、キラル塩基とを反応させ、下記構造式:
【0018】
【化5】

【0019】
[式中、塩基はキラル塩基であり、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩を入手することを含んで成る、式Xの化合物の調製方法を提供する。
【0020】
本発明のもう1つの態様は、下記式:
【化6】

【0021】
[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される化合物の調製方法であって、下記式:
【化7】

【0022】
[式中、塩基はキラル塩基であり、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩と、酸とを反応させることを含んで成る方法を提供する。
【0023】
本発明の態様の1つは、下記式:
【化8】

【0024】
[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される化合物の調製方法であって、
a)下記構造式:
【化9】

[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
を有する式IXの化合物と、キラル塩基とを反応させ、下記構造式:
【0025】
【化10】

【0026】
[式中、塩基はキラル塩基であり、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩を入手し;そして
b)前記塩と酸とを反応することを含んで成る方法を提供する。
【0027】
さらに本発明の態様の1つは、下記式:
【化11】

【0028】
で表されるように式(XI)の化合物からの式(XII)の化合物の調製方法であって、式(XI)[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]で表される化合物と、式RfCO−Y[式中、RfはC1-C6アルキル基であり、そしてYはハロゲンである]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめ、式(XII)[式中、XはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基又はC1-C6の炭素原子のアルキル基であり、Z及びR2は上記の通りである]で表される化合物を得ることを含んで成る方法を提供する。
【0029】
本発明の態様の1つは、下記式:
【化12】

【0030】
で表されるように式(XII)の化合物から式(I)の化合物の調製方法であって、式(XII)[式中、XはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基であり、Z及びR2は上記の通りである]で表される化合物と、下記一般式:
【0031】
【化13】

【0032】
[式中、R3は1〜4個の炭素原子のアルキルである]
で表されるジアルキルホスホネートとを、塩基の存在下で反応させ、式(I)[Zはヒドロキシ保護基であり;R2及びR3は1〜4個の炭素原子のアルキルである]で表されるホスホニウムアニオンを得ることを含んで成る方法を提供する。
【0033】
本発明の態様の1つは、a)キラル塩基、すなわちR(+)−フェニルエチルアミンと、式IXの化合物とを反応し、式Xの塩を得:
【化14】

【0034】
b)化合物Xと酸とを反応し、式XIの化合物を得:
【化15】

【0035】
c)式XIの化合物と、塩化ピバロイルとを反応し、式XIIの化合物を得:
【化16】

【0036】
d)式XIIの化合物と、
i)ホスホネートとを反応し、式Iの化合物を得:
【化17】

【0037】
ii)又は他方では、式IIの化合物を得:
【化18】

【0038】
e)式I又はIIの化合物をスタチンに転換する段階を含んで成る、スタチンの調製方法を提供する。
【0039】
本発明は、HMG−CoAレダクターゼインヒビターの調製のために使用され得る、式(I)及び(II)の化合物の調製のためのキラル的に純粋なロスバスタチン中間体の生成方法に関し、ここで前記方法は、
a)約-60℃〜80℃の反応温度で適切な塩と、式(IX)の化合物のキラル塩基とを反応し、式(X)の化合物を得;
b)約0℃〜50℃の反応温度で鉱酸の存在下で段階a)の式(X)の化合物を分解し、式(XI)の化合物を得:そして
c)段階b)の式(XI)の化合物と、アルキルクロロホルメート又は塩化ピバロイルとを、塩基の存在下で及び-50℃〜0℃の反応温度で反応し、式(I)及び(II)の化合物の調製のための中間体である、式(XII)の化合物を得る段階から成る。
【0040】
本発明はまた、式(A)の化合物と、ジアルキルホスホネートとを、アルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物と共に塩基の存在下で反応せしめることを含んで成る、式(I)の化合物の調製方法を提供する:
【0041】
【化19】

【0042】
本発明のさらにもう1つの態様は、式(X)のキラル的に純粋な化合物を提供する。本発明はまた、式(XII)の化合物の調製方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
発明の特定の記載
本明細書において使用される場合、用語“アルキル”とは、炭素及び水素原子から成り、不飽和を含まず、1〜8個の炭素原子を有し、そして単結合により分子の残りに結合される、直鎖又は枝分かれ鎖の炭化水素の基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、及び同様のものを言及する。好ましくは、アルキル基はC1-C4基である。好ましくは、アルキル基はC1-C4基、すなわち低級アルキルである。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語“アルコキシ”とは、分子の残りに酸素結合を通して結合される、上記において定義されるようなアルキル基を示す。それらの基の代表的な例は、OCH3, -OC2H5及び同様のものである。好ましくは、アルコキシ基はC1-C4基である。
【0045】
“置換されたアルキル”又は“置換されたアリール又はフェニル”における置換基は、例えばヒドロキシ、カルボキシ、アルキル(例えば、C1-C4)、アルコキシ(例えば、C6-C12)、アリール(例えば、C6-C12)、アリールアルキル(例えば、C6-C12)、シクロアルキル(例えば、C6-C12)及びアミノから選択され得る。
本発明は、tert−ブチル水素3−ヒドロキシジエチルグルタレートのR(+)又はS(−)フェニルエチルアミン塩中間体、及び高い光学純度のグルタル酸誘導体をもたらす、結晶化によるキラル精製を通して、下記構造式:
【0046】
【化20】

【0047】
で表される式(I)の化合物の調製方法を提供する。本発明の1つの観点は、低い量の排除不純物を伴って、最終化合物をもたらす、式(I)の化合物の調製方法へのアルカリ及びアルカリ土類金属のハロゲン化物の使用である。本発明のもう1つの観点は、下記構造式:
【0048】
【化21】

で表される式(XII)の化合物を用いての、下記構造式:
【化22】

で表される式(I)又は(II)のキラル的に純粋な化合物の調製方法にも関する。
【0049】
本発明は、HMG−CoAレダクターゼインヒビターの調製のために使用され得る。下記式(I)及び(II):
【化23】

【0050】
で表されるキラル的に純粋化化合物の調製方法に関する。式(I)及び(II)の化合物は、式(IV)から出発する方法により製造され得る。一般的に、式(IV)の化合物は、下記に示されるように、塩基の存在下で式(IV)の化合物を加水分解することにより、式(V)の化合物の調製方法のための出発材料として使用され得る:
【0051】
【化24】

【0052】
ここでZはヒドロキシ保護基であり、そしてR1は任意に置換されたC1-C4アルキル基である。前記保護基は好ましくは、シリル基、例えば式Si(A)3(式中、個々のAは、C1-C6線状又は枝分かれ鎖の脂肪族又は芳香族基から独立して選択される)を有するトリアルキルシリル基である。シリル基の例は、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリルを包含する。最も好ましくは、シリル基はtert−ブチルジメチルシリルである。塩基の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩基、例えばアルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩を包含する。好ましい塩基は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム、及び最も好ましくは水酸化ナトリウムである。前記方法はさらに、溶媒を包含する。使用され得る適切な溶媒は、C1-C4アルコールである。好ましくは、加水分解のための溶媒はメタノールである。温度は約30℃〜約120℃の温度である。
【0053】
例示されるように、式IVの化合物は、適切名溶媒、例えばメタノール、水及び塩基、例えば水酸化ナトリウムと共に組合される。好ましい温度範囲は、約30℃〜約130℃である。加水分解反応は、約1〜2時間で完結である。白色の塩が観察される。次に、酸が添加され、化合物Vの塩が化合物Vに転換される。塩酸又は硫酸が使用され得る。次に、反応混合物が、水不混和性有機溶媒、例えばジクロロメタンにより抽出され得る。有機溶媒は、例えば1大気圧以下の圧力下で、又は約25℃の温度で蒸発され、粗生成物が得られる。適切な乾燥温度は約40℃〜約50℃である。粗生成物は、炭化水素、例えばヘキサンにおいてスラリーされ、より純粋な生成物が得られる。次に、その純粋な生成物は、高温、例えば約40℃〜約60℃で乾燥される。
【0054】
式IVの化合物の異性体は、WO2003/087112号(引用により本明細書に組込まれる)に開示される。
式(VI)の化合物は、下記に示されるように、脂肪族無水酸の存在かでの式(V)の化合物の環化により調製され得る:
【0055】
【化25】

【0056】
ここでZは上記に記載されるようにヒドロキシ保護基である。前記脂肪族無水酸は、次の構造式:
【0057】
【化26】

【0058】
[式中、Ra及びRbは、C1-C5アルキル基から独立して選択される]
を有する。無水酸の例は、C3-C9脂肪族無水酸を包含する。そのような無水酸の例は、無水蟻酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸及びそれらの混合物、及び最も好ましくは無水酢酸を包含する。温度は、約40℃〜約60℃の温度であり得る。
【0059】
例示されるように、式IVの化合物は、無水物、例えば無水酢酸と組合され得る。次に、反応混合物が、約100℃〜ほぼ還流温度に加熱され、反応が促進される。反応は一般的に、約1〜3時間後、完結する。残存する無水酢酸は、圧力を1大気圧以下に低め、そして/又は約75〜80℃の温度に加熱することにより除去され得る。粗生成物は、C5-C12炭化水素、例えば環状又は線状へキサンから結晶化され得る。粗生成物は、減圧下で及び/又は約30℃〜約50℃の高められた温度で乾燥され得る。
【0060】
式(VII)(ここで、ぎざぎざの線は、異性体のラセミ混合物を表す)の化合物は、下記に示されるように、アルコールの存在下で、式(VII)の化合物の開環を含んで成ることにより調製され得る:
【0061】
【化27】

【0062】
ここでZは上記の通りであり、そしてR1はC1-C5アルキル基、好ましくはメチルである。使用されるアルコールは、式R1−OH(ここで、R1はC1-C5基である)を有する。アルコールの例は、C1-C5アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、及び最も好ましくはメタノールを包含する。塩基の例は、アルカリ金属の塩基及びアルカリ土類金属の塩基、例えば水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩、より特定には水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム、及び最も好ましくは、水酸化ナトリウムを包含する。メタノールが溶媒として使用される場合、塩基は必要ではない。
【0063】
例示されるように、化合物VIは、C1-C5アルコール、例えばメタノールと共に組合され、そしてその反応混合物が加熱され、反応が促進される。加熱は、約60℃〜約65℃の温度へである。次に、生成物は、水不混和性有機溶媒、例えばジクロロメタンにより抽出され得る。生成物は、溶媒(例えば、ジクロロメタン)を、蒸発により除去することにより回収され得る。
【0064】
式(VII)の化合物のYamaguchiエステル化が、下記に示されるように、式(VIII )の化合物を得るために、塩基及び任意には、カップリング剤と共に、式R2−OHのアルコールの存在下で行われる:
【0065】
【化28】

【0066】
ここでZは上記の通りであり、そしてR1及びR2は1〜4個の炭素原子の任意に置換されたアルキルである。式R2-OHを有するアルコールの例は、R2がC1-C5アルコールであるアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール及び最も好ましくはメタノールを包含する。塩基、例えば有機アミン、アリール及びアルキルアミン、及び任意には、アリール及びアルキル基により置換される窒素複素環式物が使用され得る。塩基の1つの例は、DMAPである。式NR3(ここで基Rは、C1-C6アルキル及びC6-C12アリールから独立して選択される)のアミンが好ましい。R1及びR2は好ましくは、式VIII の化合物の選択的加水分解を可能にするために、お互い異なる。好ましくは、R2はt−ブチル基であり、そしてR1はメチル基である。
【0067】
例示されるように、式(VII)の化合物は、溶媒、例えばジクロロメタンと共に組合され、そして冷却される。次に、カップリング剤、例えばDCC、t−ブタノール又は他のアルコール、及び塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンが反応混合物と共に組合される。次に、反応混合物が撹拌され、式VIII の化合物が得られる。次に、反応混合物が蒸発され、そして残留物が炭化水素、例えばトルエンに溶解される。次にトルエンが蒸発され、残留物が得られる。
【0068】
式(IX)の化合物は、下記に示されるように、塩基の存在下で、式(VIII )の化合物の選択的加水分解により調製される:
【0069】
【化29】

【0070】
ここでZ, R1及びR2は上記の通りである。塩基の例は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、より好ましくは水酸化カリウム又はナトリウム、及び最も好ましくは、水酸化ナトリウムである。反応は、次の溶媒下で行われ得る:C1-C4アルコール。温度は、約35℃〜約120℃の温度である。
【0071】
例示されるように、式(VIII )(式中、R2はt−ブチル基であり、そしてR1はメチル基である)の化合物が、C1-C4アルコール、例えばエタノール及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩基、例えば水酸化ナトリウム又はカリウムと共に組合される。反応混合物は、例えば約35℃〜約120℃、好ましくは40℃〜約60℃の温度に加熱され、反応が促進される。塩基のバッチ様添加(例えば、ゆっくりした添加での1〜1.2モル当量の4%溶液)が使用され、二酸の形成が回避される。出発材料は好ましくは、t−ブチルエステル及びメチルエステルを有し、ここでメチルエステルは加水分解されるが、しかしt−ブチルエステルは加水分解されない。反応の後、水、続いて水不混和製溶媒、例えばトルエンが、反応混合物に添加され得る。水性層が酸性化され、有機化合物がトルエン層に移動され、これから、有機化合物がトルエンの蒸発により回収され得る。
【0072】
本発明はまた、下記式:
【化30】

【0073】
[式中、塩基はキラル塩基であり;Zはヒドロキシ保護基であり;そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩も提供する。好ましくは、キラル塩基はアミンである。好ましくは、R2はt−ブチルである。キラルアミン塩基に関して、その塩は次の構造式:
【0074】
【化31】

【0075】
[式中、Z及びR2は上記の通りであり、R8及びR9は異なっており、そして個々は、C1-C15アルキル及びC6-C12アリールから成る群から独立して選択される]
を有する。好ましくは、R8は、C1-C15アルキル、より好ましくはC1-C4アルキルであり、そしてR9はC6-C12アリール、より好ましくはフェニルである。最も好ましくは、R8はメチルであり、そしてR9はフェニルである。
【0076】
好ましくは、塩基は、フェニルアルキルアミンである。より好ましくは、フェニルアルキルアミンは、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−フェニルイソブチルアミン、1−フェニルブチルアミン及び1−フェニルペンチルアミンから成る群から選択される。より好ましくは、アミンは、R(+)−フェニルエチルアミン又は(S)(−)−フェニルエチルアミンである。R(+)−フェニルエチルアミン塩は、次の構造式を有する:
【0077】
【化32】

【0078】
上記塩は、次のスキーム(一般化合物〜より特定の化合物を示す)に従って、式IXの化合物と、上記のようなキラル塩基とを組合すことにより調製され得る:
【0079】
【化33】

【0080】
(R8及びR9は上記に記載されるような基である)。好ましくは、塩基は、R(+)−フェニルエチルアミン又はS(-)−フェニルエチルアミン、最も好ましくはR(+)−フェニルエチルである。
好ましくは、キラル塩基は、式(IX)の化合物に基づいて1〜2モル当量の量で存在する。
【0081】
反応は、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、及びt−ブチルアルコール、好ましくはイソプロピルアルコール;C6-C10芳香族及び脂肪族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼン、ヘキサン及びシクロへキサン;C2-C8脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、t−ブチルアセテート及びイソプロピルアセテート;C4-C8エーテル、例えばメチルt−ブチルエーテル、及びテトラヒドロフラン;及び塩素化された溶媒(1〜4個の塩素により置換されたC1-C6アルキル)、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム及び四塩化炭素、テトラクロロエチレン及びテトラクロロエタンから成る群から選択された溶媒において行われ得る。好ましくは、溶媒はイソプロパノールである。
【0082】
塩の形成のための反応温度は好ましくは、約−60℃〜80℃、より好ましくは約0℃〜70℃である。温度が約30℃以上に上昇する場合、低い収率がもたらされ;反応の温度が約0℃以下である場合、反応速度が遅くなる。好ましくは、塩形成のための温度は、約0℃〜約30℃である。
【0083】
例示されるように、化合物IXは、適切な溶媒、例えばC1−C5アルコール、好ましくはイソプロパノール、及びキラルアミン塩基、好ましくはR(+)フェニルエチルアミンと組合される。反応混合物は、白色の塩を観察するまで、維持され得る。反応混合物は、塩の観察の後、約60℃〜約70℃の温度に加熱され、溶液が得られ、続いて結晶化される。結晶化は、約10℃約30℃の温度への冷却により行われ得る。次に、生成物は乾燥される。乾燥は、1大気圧以下の圧力で又は高温、例えば約30℃〜約50℃の温度で行われ得る。キラル精製工程は、例7に示されるように、複数回、反復され、ここで第1のキラル精製から得られる油状残留物がアルコールに溶解され、そしてその工程が反復される。
【0084】
母液に残存する化合物IXの異性体はさらに再循環され得る。この異性体は、次の構造式:
【化34】

【0085】
を有する。所望しない異性体は、ラセミ化により、例えば塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウムとの反応により再循環され得る。
【0086】
例示されるように、異性体を含む母液は、特に酸性pHで、溶媒、例えばC6-C12芳香族炭化水素、好ましくはトルエンにより抽出され得る。C1-C4アルコールが好ましくは、乾燥条件下で、トルエンに添加され得る。塩基が添加され、異性体がラセミ化される。温度は、反応を促進するために、約30℃〜約50℃の温度である。次に、ラセミ化された生成物は、酸性化され、塩が遊離酸に転換される。それは、有機溶媒、例えばジクロロメタンにより抽出され得る。次に、生成物は、溶媒の除去により、残留物として回収され得る。
【0087】
本発明の1つの態様は、下記構造式:
【化35】

【0088】
で表される塩と、酸、例えば塩酸とを反応することを含んで成る、式(XI)の化合物の調製方法を包含する。塩は、キラルアミン塩基により形成され得る。下記反応は、酸により塩を処理することによるスキーム(一般化合物(上部)〜より特定の化合物を示す)を示す:
【0089】
【化36】

【0090】
ここでZはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子の任意に置換されたアルキルである。ヒドロキシ保護基Zは好ましくは、シリル基、例えば式−Si(A)3(式中、個々のAは、C1-C6の線状又は枝分かれ鎖の脂肪族又は芳香族基から独立して選択される)を有するトリアルキルシリル基である。シリル基の例は、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリルを包含する。シリル基は最も好ましくは、tert−ブチルジメチルシリルである。
【0091】
反応は好ましくは、反応溶媒の存在下で生じる(他の塩、例えばXa及びXbを包含する)。好ましくは、溶媒は水相溶性溶媒である。水が好ましくは、反応溶媒として使用される。
適切な酸は例えば水溶液における塩酸及び酢酸を包含する。C1-C8脂肪族有機酸、例えば蟻酸がまた使用され得る。希塩酸は、1N〜10N、より好ましくは1N〜2Nの範囲の濃度で使用され、そして希酢酸は、5%〜10%の範囲で使用され得る。好ましくは、希塩酸は、式(X)の化合物に基づいて、約1〜2当量の量で使用される。反応温度は好ましくは約0℃〜50℃、より好ましくは約0℃〜30℃である。
【0092】
例示されるように、化合物Xは、塩、例えば飽和を得るために塩化ナトリウム及び酸、例えば塩酸と共に組合される。反応混合物は撹拌され、そして水不混和性有機溶媒、例えばジクロロメタンにより抽出される。溶媒は、蒸発により除去され、残留物が得られる。
得られる式XIの化合物は、鏡像異性体的に純粋であり、好ましくは少なくとも90%鏡像異性体的に純粋であり、より好ましくは少なくとも95%鏡像異性体的に純粋であり、そして最も好ましくは少なくとも約99%鏡像異性体的に純粋である。
【0093】
本発明はまた、下記式:
【化37】

【0094】
[式中、R2は好ましくは、t−ブチルである]
で表されるキラル純粋R−異性体化合物の調製方法を提供し、ここで前記方法は、所望以下、例えば90%以下のキラル純度を有するラセミ混合物と、次の構造式:
【0095】
【化38】

【0096】
を有する式9aの化合物(R)−(+)−フェニルエチルアミン、又は下記構造式:
【化39】

【0097】
を有する式9bの化合物(S)−(−)−フェニルエチルアミンとを反応することを含んで成る。分解は、約80:20〜約85:15のキラル比を有する、精製される化合物と、式9a又は9bの化合物とを、脂肪族アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール及びt−ブチルアルコール、より好ましくはイソプロピルアルコールから成る群から選択されたC1-C4アルコール下で組合すことを含んで成り、下記構造式:
【0098】
【化40】

【0099】
を有する式8bの塩が得られる。式9aの化合物は、約0℃〜約70℃の温度で、式6aの化合物に対して約1〜約2のモル比で使用される。得られる生成物は結晶化され、下記構造式:
【0100】
【化41】

【0101】
を有する式8cのキラル的に純粋な塩が得られる。式8cの塩は、鉱酸を用いて、水性媒体において加水分解され、キラルHPLCにより測定される場合、約99〜約100%、より好ましくは約99.5〜約99.8%のキラル純度を有する式6の化合物が得られる。鉱酸は、希塩酸又は希硫酸であり得る。好ましくは、希塩酸が使用される。塩酸は、約0℃〜約50℃、好ましくは約0℃〜約30℃の温度で、式8cの化合物に対して、約1〜約2当量の量で添加される。
【0102】
本発明のさらなるもう1つの態様は、下記に示されるように、塩基の存在下で、式(XI)の化合物と、式RfCO-Yの化合物とを反応することを包含する、式(XII)の化合物の調製方法を含んで成り:
【0103】
【化42】

【0104】
ここでZは、上記のようなヒドロキシ保護基であり、そしてR2は上記の通りであり;そしてXはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基又はC1-C5の炭素原子の任意に置換されたアルキル基であり;RfはC1-C6アルキル基であり、そしてYはハロゲンである。アルキルクロロホルメートは、式RcOCOCl(式中、RcはC1-C6アルキル基、好ましくはC1-C2アルキル基を示す)を有する。好ましくは、RfはC1-C6アルキル基、より好ましくはC2-C4アルキル基、及び最も好ましくはt−ブチルであり、そしてYは好ましくはC1である。
好ましくは、式RfCO-Yの化合物、例えばピバロイルクロリドは、式(XI)の化合物に基づいて、約1〜5当量、より好ましくは1〜2当量の量で使用される。
【0105】
反応溶媒は、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、及びt−ブチルアルコール、好ましくはイソプロピルアルコール;C6-C10芳香族及び脂肪族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼン、ヘキサン及びシクロへキサン;C2-C8脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、t−ブチルアセテート及びイソプロピルアセテート;エーテル、例えばメチルt−ブチルエーテル、及びテトラヒドロフラン;及び塩素化された溶媒(1〜4個の塩素により置換されたC1-C6アルキル)、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム及び四塩化炭素、テトラクロロエチレン及びテトラクロロエタンの少なくとも1つであり得る。
【0106】
塩基として、有機アミンが好ましい。特に、アミン、例えば式NRaRbRc(式中、Ra、Rb及びRcはC1-C6アルキル基、より好ましくはC1-C4及び最も好ましくはC2から独立して選択される)のトリアルキルアミンは好ましくは、式(XI)の化合物に基づいて、約1〜4当量、より好ましくは約1〜3当量の量で使用され得る。
反応は、-50℃〜50℃の範囲の温度で行われ得る。温度が約50℃以上に上昇する場合、副生成物が生成され;そしてさらに、反応温度が約−50℃以下である場合、反応速度が遅くなる。反応の好ましい温度範囲は、-50℃〜0℃、より好ましくは約-50℃〜約0℃、及び最も好ましくは-50℃〜20℃である。
【0107】
1つの態様においては、式XIの化合物は、式RfCO-Yの化合物、例えば塩化ピバロイル、及び有機溶媒と共に組合される。C6-C10芳香族又は脂肪族炭化水素、例えばトルエン、又はC1-C6の塩素化された炭化水素、例えばジクロロメタン又はジクロロエタンが適切である。次に、反応は50℃〜-20℃に冷却され、これに、塩基、例えばトリアルキルアミンが添加される。前記トリアルキルアミンは、例えば式NRaRbRc(式中、Ra、Rb及びRcはC1-C6アルキル基、より好ましくはC1-C4及び最も好ましくはC2から独立して選択される)を有する。次に、オンドガ高められ、そして反応が、例えば水の添加により停止される。次に、式XIIの化合物が有機層から回収され得る。有機層が、1大気圧以下の圧力下で、分離され、そして蒸発され、式XIの化合物が残留物として得られる。
【0108】
式(I)の化合物は、下記に示されるように、下記一般式:
【化43】

【0109】
で表されるジアルキルアルキルホスホネートの塩と式(XII)の化合物とを反応することにより調製され得る:
【0110】
【化44】

【0111】
ここでZは上記のように、ヒドロキシ保護基であり;R2及びR3は独立して、1〜4個の炭素原子の任意に置換されたアルキルであり;XはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基又はC1-C5の炭素原子の任意に置換されたアルキル基である。好ましくは、R3及びR3’はメチル基である。Wittig試薬(イリド)を形成するために、上記に示されたホスホネートが、溶媒、例えばジエチルエーテル又はTHF(テトラヒドロフラン)に懸濁され、そして強塩基、好ましくはC1-C8アリール又はアルキル金属の塩基、例えば有機リチウム試薬フェニルリチウム又はn−ブチルリチウムが添加される。リチウム塩は、下記構造式を有する:
【0112】
【化45】

【0113】
前記方法は、a)C1-C8アルキル又はアリール金属、例えばアルキルリチウム、例えばn−ブチルリチウム又はフェニルリチウムを含む第1溶液と、ジアルキルホスホネート及び溶媒、例えばテトラヒドロフランを含む混合物とを組合し、反応混合物を形成し、そしてb)段階a)で得られる反応混合物に、式(XII)の化合物を含む第2溶液を添加する段階を包含することができる。式(XII)の化合物を含む溶液は好ましくは、反応混合物に、約5〜90分間にわたって添加される。反応は、-110℃〜0℃の温度範囲で実施され得る。しかしながら、温度が約-50℃以上に上昇する場合、副生成物が生成され得;そしてさらに、反応の温度が約-110℃以下である場合、反応速度は遅くなる。従って、反応の最適温度範囲は、-110℃〜-50℃である。
【0114】
好ましくは、C1-C4ジアルキルホスホネートが使用され、そしてより好ましくは、ジメチルメチルホスホネートが、式(XII)の化合物に基づいて、約1〜5当量、より好ましくは2〜4当量の量で、本発明の方法に使用される。
【0115】
好ましくは、溶媒は、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、C6-C10芳香族及びC5-C8脂肪族炭化水素、C2-C8脂肪族エステル、C4-C8エーテル(環状化合物を包含する)、及びC1-C6コリン置換されたアルキルから成る群から選択される。そのような溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロへキサン、エーテル、メチルt−ブチルエーテル、及びテトラヒドロフラン、好ましくはテトラヒドロフランを包含する。好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランである。適切な塩基は、式(XII)の化合物に基づいて、1〜5当量、より好ましくは3〜4当量の量でのC1-C8アルキルリチウム塩基、例えばn−ブチルリチウムを包含する。
【0116】
例示されるように、上記のような下記式:
【化46】

【0117】
で表される化合物、好ましくはジメチルメチルホスホネートが、適切な溶媒、例えばC4-C8エーテル、例えばテトラヒドロフランと組合される。次に、その反応混合物は、強塩基、例えば有機リチウム試薬、例えばフェニルリチウム又はn-ブチルリチウムの添加の前、冷却される。反応は、アニオン形成を得るために維持される。次に、式XIIの化合物は、同じ溶媒中、反応混合物に添加される。反応混合物が、反応を完結するために得られる。反応は、塩化アンモニウムの添加により停止され得る。反応は、約-70℃〜約-80℃の好ましい温度で実施され得る。その後、反応混合物は、約25℃に暖められ、そしてpHが、酸、例えばHClにより約5〜約6に調節される。生成物、すなわち式Iの化合物は、水不混和性溶媒、例えばトルエン中に抽出され得る。次にトルエンが蒸発され、生成物が得られる。
【0118】
式(XII)の化合物はまた、式(XII)の化合物と、下記一般式:
【化47】

【0119】
で表されるトリアリールホスホニウムアルキルハロゲン化物とを、下記に示されるように塩基の存在下で反応することにより、式(II)の調製のために使用され得る:
【0120】
【化48】

【0121】
ここでZは、上記のようにヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜4個の炭素原子の任意に置換されたアルキルであり;XはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基又はC1-C5の炭素原子の任意に置換されたアルキル基であり;R4, R5及びR6は独立して、C6-C10アリール基、好ましくはフェニル又は置換されたフェニル基から選択され、そしてRgはC1-C6の基であり、Vはハロゲン化物、例えばCl, Br, I, 好ましくはBrである。好ましくは、トリアリールホスホニウムアルキルハロゲン化物は、トリフェニルホスホニウムメチル臭化物である。好ましくは、トリアリールホスホニウムアルキルハロゲン化物、例えばトリフェニルホスホニウムメチル臭化物は、式(XII)の化合物に基づいて、約1〜5当量、より好ましくは2〜4当量の量で存在する。
【0122】
前記方法は、a)n−ブチルリチウムを含む第1溶液と、ジアルキルホスホネート及びテトラヒドロフランを含む混合物とを組合し、反応混合物を形成し、そしてb)段階a)で得られる反応混合物に、式(XII)の化合物を含む第2溶液を、約-55℃〜-50℃の温度で添加する段階を包含する。式(XII)の化合物を含む溶液は好ましくは、反応混合物に、約30〜120分間にわたって添加される。反応温度は好ましくは、約-55℃〜-50℃で維持される。
【0123】
好ましくは、溶媒は、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、C6-C10芳香族及びC5-C8脂肪族炭化水素、C2-C8脂肪族エステル、C4-C8エーテル(環状化合物を包含する)、及びC1-C6コリン置換されたアルキルから成る群から選択される。そのような溶媒の特定の例は、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、及びシクロへキサン;及びエーテル、例えばメチルt−ブチルエーテル、及びテトラヒドロフラン、好ましくはテトラヒドロフランを包含する。C1-C8アルキルリチウム、例えばN−ブチルリチウム又は他のC1-C8アルキル金属が、式(XII)の化合物に基づいて、1〜5当量、より好ましくは3〜4当量で、塩基として使用され得る。
【0124】
式(I)の化合物はまた、下記のように、式(A)の化合物と、ジアルキルホスホネートとを、アルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物と共に塩基の存在下で反応することにより、式(A)の化合物から調製され得る:
【0125】
【化49】

【0126】
ここでZは上記の通りであり、そしてR2及びR3は独立して、1〜5個の炭素原子、好ましくはC1-C4の任意に置換されたアルキルである。
好ましくは、C1-C4ジアルキルホスホネートが使用され、より好ましくは、ジメチルメチルホスホネートが使用される。好ましくは、ジアルキルホスホネートは、式(A)の化合物に基づいて、1〜5当量、より好ましくは2〜5当量の量で使用される。
【0127】
任意には、反応は溶媒において起こる。好ましくは、溶媒は、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、C6-C10芳香族及びC5-C8脂肪族炭化水素、C2-C8脂肪族エステル、C4-C8エーテル(環状化合物を包含する)、及びC1-C6コリン置換されたアルキルから成る群から選択される。そのような溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロへキサン、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランである。
【0128】
好ましくは、塩基はC1-C8アルキル金属である。好ましくは、塩基はn−ブチルリチウムである。好ましくは、塩基は、式(A)の化合物に基づいて、1〜5当量、より好ましくは3〜4当量で使用される。
【0129】
好ましくは、触媒はアルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物である。好ましくは、アルカリ金属はリチウムである。好ましくは、アルカリ土類金属はマグネシウムである。好ましくは、触媒は、無水塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、触媒は無水塩化リチウムである。好ましくは、触媒は、式(A)の化合物の量に基づいて、0.5〜5当量の量で使用される。
【0130】
任意には、前記方法は、塩基を含んで成る第1溶液を、ジアルキルホスホネート、触媒及び溶媒を含む混合物に添加し、続いて式(A)の化合物を含んで成る第2溶液を添加することを含んで成る。好ましくは、塩基はn−ブチルリチウムである。好ましくは、触媒はアルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物である。好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランである。好ましくは、第1溶液の添加は、約−110℃〜−50℃で行われる。好ましくは、第2溶液の添加は、約-110℃〜約-50℃で行われる。好ましくは、第2溶液の添加は、約5〜約180分間、続く。
【0131】
前記反応は、-110℃〜0℃の温度範囲で行われる。しかしながら、出願人は、温度が約-50℃以上に上昇する場合、副生成物が生成され、そしてさらに反応の温度が約-110℃以下である場合、反応速度が遅くなることを見出した。従って、反応の最適温度範囲は、-110℃〜-50℃である。
【0132】
本発明は、HMG-CoAレダクターゼインヒビターの調製のために使用され得る。キラル的に純粋なロスバスタチン中間体の生成方法に関して、ここで前記方法は、
a適切な塩と、式(IX)の化合物のキラル塩基とを反応し、式(X)の化合物を得;
b)式(X)の化合物を酸により処理し、式(XI)の化合物を得:そして
c)段階b)の式(XI)の化合物と、塩化ピバロイルとを、塩基の存在下で及び-50℃〜0℃の反応温度で反応し、式(XII)の化合物を得る段階から成る。式(XII)の化合物は、第(I)及び(II)の化合物の調製のための有用な中間体である。
【0133】
上記方法及び化合物のいずれかの態様において、基R1は好ましくは、C1-C4基、より好ましくはメチルであり;基R2は好ましくは、C1-C4基、より好ましくはt−ブチルであり、基R8又はR9は好ましくは、C6-C12アリール、C1-C15アルキルであり、より好ましくはR8はメチルであり、そしてR9はフェニルであり、基Zは好ましくは、シリル基、より好ましくはtert−ブチルジメチルシリルである。
【0134】
本発明の方法により調製される式(I)及び(II)の化合物は、高脂血症の処理のためのスタチンを調製するために使用され得る。スタチンは、医薬組成物を調製するために、医薬的に許容できる賦形剤と共に組合され得る。
【0135】
調製され得るスタチンは、次のものを包含する:
【化50】

【0136】
それらのスタチンは、特定のスタチンの主鎖を有するケトン又はアルデヒド中間体と、式I又はIIの化合物とを反応することにより調製され得る。反応は、当業者に良く知られているWittig反応である。例えば、引用により本明細書に組込まれる、Helvetica Chemica Acta, Vol. 90 (2007)は、シリル保護されたホスホネートと反応される、下記構造:
【0137】
【化51】

【0138】
を有するピタバスタチンアルデヒド前駆体を開示する。好ましくは、スタチンはロスバスタチンである。
【0139】
WO2007/041666号及びWO2006/091771号(引用により本明細書に組込まれる)はさらに、Wittig反応を通してロスバスタチンの調製を開示する。Wittig反応の後、保護基(Z)が除去され、続いて還元により、ジオールが得られ、続いてエステルの加水分解により、医薬的に許容できる塩が得られる。
【0140】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明はさらに、本発明の方法及び組成物を詳細に記載する次の非制限的例により定義される。材料及び方法に対する多くの修飾が本発明の範囲内で実施され得ることは、当業者に明らかであろう。
【0141】
式X−TBDMSの化合物についてのNMRデータ
0.12(d, 6H); 0.88 (s, 9H);1.46 (s, 9H);1.62 (d, 3H); 2.33 (dd, 1H); 2.36 (m, 2H); 2.48 (q, 1H); 2.56 (dd, 1H); 4.51 (q, H); 7.38 (m, 1H); 7.42 (m, 4H)。
【0142】
【化52】

【0143】
クロマトグラフィーデータ:
ロスバスタチンCaについて:
緩衝液:0.05%v/v氷酢酸pH3.5, 5%水酸化アンモニウム
溶離剤(A):混合された60%緩衝液、35%アセトニトリル、5%エタノール
溶離剤(B):55%緩衝液、45%エタノール
溶離剤(C):エタノール
カラム:Discovery HS C18, 3μm(150×4.6)mm
流速:0.5ml/分
注入体積:10μl
波長:243nm
カラム温度:20℃、
自動サンプラー温度:-4℃
実施時間:25.0分
平衡化時間:7.0分
グラジエント:
【0144】
【表1】

【0145】
計測器:
火炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフィー
カラム:
DB17, 30m×0.53mm×1.0μmフィルム厚さ、Agilent C/N:125−1732又は同等物
クロマトグラフィー条件:
a)初期オーブン温度:40℃
b)初期保持時間:3.0分
c)初期−1ランプ速度:20℃/分
d)中間−1オーブン温度:160℃
e)中間−1保持時間:10.0分
f)初期−2ランプ速度:10℃/分
【0146】
g)中間−2オーブン温度:210℃
h)中間−2保持時間:10.0分
i)最終ランプ速度:20℃/分
j)最終オーブン温度:270℃
k)最終保持時間:10.0分
l)注入器の温度:180℃
m)検出器の温度:300℃
n)キャリヤーガス:10.0ml/分
o)モード:一定の流れ
p)注入体積:1.0μl
q)スピリット比率:スピリットなし
温度及び流速は、必要とされるシステムの適合性を達成するために変更され得る。
【0147】
希釈剤:
アセトニトリル
システム適合溶液の調製:
約20mgの個々のTBDMS−OH, DMMP, MBSG及び19TBPOを正確に計量し、10mlのメスフラスコに充填し、溶解し、そして希釈剤により一定体積にする。1mlの原液を10mlのメスフラスコに移し、そして希釈剤により一定体積にする。
システム適合性試験:
システム適合溶液を注入した。
【0148】
典型的な保持時間は、TNDMS−OHピークに関して約4分、DMMPピークに関して約6.5分、MBSGピークに関して約14.5分及び19TBPOピークに関して31.5分である。
サンプル溶液の調製:
20mgのサンプルを正確に計量し、10mlのメスフラスコに充填し、溶解し、そして希釈剤により一定体積にした。
【実施例】
【0149】
例1加水分解による3−ヒドロキシジエチルグルタレート(TBDMS保護された)からの3−ヒドロキシ二水素グルタレート(TBDMS保護された)(保護された二酸)の調製(式IVの加水分解からの式V)
5Lの四つ首丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、163gの3−ヒドロキシジエチルグルタレート(TBDMS保護された)及び815mlのメタノールを25〜30℃で添加し、そして45.10gの水酸化ナトリウム及び326mlの水を、反応塊状物に、30〜32℃で1時間にわたって添加した。反応塊状物を30〜32℃で撹拌した。
【0150】
出発材料は、24時間後、TLCにより検出されなかった。白色の二ナトリウム塩が観察された。500gの10%塩酸溶液を添加し、反応塊状物のpHを3.5に調節し、透明な溶液を生成した。275gの塩化ナトリウムを、飽和反応塊状物に添加し、そして4×650mlのジクロロメタンにより生成物を抽出し、真空下で40〜50℃で溶媒を蒸発し、白色の粗生成物を得、これをさらに、600mlのヘキサンと共に撹拌し、そして濾過した。生成物を真空下で50℃で乾燥し、109gの純粋性生物を得た。
収率:81.55%、純度:94.2%(GCによる面積%)。
【0151】
例23−ヒドロキシ二水素グルタレート(TBDMS保護された)からの3−ヒドロキシ無水グルタル酸(TBDMS保護された)の調製(式Vからの式VI)
2Lの四つ首丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、180gの固体3−ヒドロキシ二水素グルタレート(TBDMS保護された)及び630mlの無水酢酸を、25〜30℃で添加し、そして反応塊状物を130〜135℃で2時間、還流した。TLC及びGCによりモニターし、出発材料は2.0時間で見出されなかった。無水酢酸を、75〜80℃で真空下で完全に蒸留し、そして粗生成物を、180mlのヘキサンを通して結晶化し、そして40℃で真空下で乾燥し、純粋な褐色の生成物を得た。171gの純粋な生成物が得られた。
収率:100%、純度:99.5(GCによる面積%)。
【0152】
例33−ヒドロキシ無水グルタル酸(TBDMS保護された)からのラセミ性メチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の調製(式VIからの式VII)
2Lの四つ首丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、20gの3−ヒドロキシ無水グルタル酸(TBDMS保護された)、200mlのメタノールを添加し、そして反応塊状物を60〜65℃で12時間、還流した。GCにより反応の進行をモニターし、出発材料は検出されなかったことが見出された。反応塊状物の温度を室温(“RT”)まで上げ、そして2〜3滴の塩酸及び100mlの水を添加した。塩化ナトリウムを、飽和反応塊状物に室温で添加した。生成物を200mlのジクロロメタンにより抽出した。水性層を20mlのジクロロメタンにより抽出し、そして組合された有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を蒸発し、20.0gの生成物を得た。
収率:88.4%、純度:94.5%(GCによる面積%)。
【0153】
例4エステル化を通してのメチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)からのラセミ性メチルtert−ブチル3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の調製(式VIIのエステル化からの式VIII )
100mlの四つ首丸底フラスコを、窒素雰囲気下で、5.0gのメチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)、35mlのジクロロメタンをRTで添加し、そして反応塊状物を0℃に冷却し、4.1gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、15mlのtert−ブタノール、5.5gのジメチルアミノピリジンを添加した。
【0154】
反応塊状物を40時間、室温で撹拌した。反応の進行をGCによりモニターし、出発材料は、40時間後、検出されなかったことが見出された。DHU(ウレア)である白色固形物を濾過した。溶媒を母液から蒸発し、そして50mlのトルエンに溶解した。トルエン層を、3×25mlの10%塩酸により洗浄し、過剰のジメチルアミノピリジンを室温で除去した。有機層を50mlのブライン溶液により洗浄し、続いて硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を蒸発し、乾燥を完結し、標記化合物4.3gを得た。
収率:71.31%。純度:88.63%(GCによる面積%)。
【0155】
例5ラセミ性メチルtert−ブチル3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)からのラセミ性tert−ブチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の調製(式VIII の加水分解)
窒素雰囲気下での2Lの四つ首丸底フラスコに、100mgのラセミ性メチルtert−ブチル3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)及び500mlの無水エタノールを25〜30℃で添加した。反応塊状物の温度を、48〜52℃まで上げた。4個のロットにおける1Nの水酸化ナトリウム溶液332mlを、48〜52℃で3.0時間にわたって、添加した。ロット様添加は、二酸の形成を回避するために好ましい。
【0156】
反応塊状物を同じ温度で7〜8時間撹拌した。出発材料は、7時間後、GCモニターにより検出されなかった。無水エタノールを、真空下で40〜45℃で蒸発した。400mlの水及び50mlの無水エタノールを反応塊状物にRTで添加した。生成物を含む水性層を、2×300mlのヘキサンによりRTで洗浄した。水性層に300mlのトルエンを添加し、そして25mlの塩酸を用いてpHを約5〜6に調節し、層を分離し、そして水性層を2×300mlのトルエンより抽出した。組合された有機層をブライン溶液により洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を真空下で50〜55℃で完全に蒸発し、所望する生成物85.5gを得た。
収率:92.93%。純度:98.5%(GCによる面積%)。
【0157】
例63−ヒドロキシ無水グルタル酸(TBDMS保護された)からのラセミ性tert−ブチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の調製(式VIの開環からの式IX)
窒素雰囲気下での250mlの四つ首丸底フラスコに、10gの3−ヒドロキシ無水グルタル酸(TBDMS保護された)、100mlのtert−ブタノールをRTで添加した。反応塊状物を20〜22℃に冷却した。20gのジメチルアミノピリジンを2分間にわたって添加した。反応塊状物を30〜32℃で撹拌した。出発材料は、20時間後、GC及びTLCモニターにより検出されなかった。反応塊状物から溶媒を真空下で45〜50℃で蒸発し、固体残留物を得た。残留物を100mlのトルエンに溶解し、そして有機層を2×50mlの塩酸によりRTで洗浄した。水性層を2×50mlのトルエンにより抽出した。組合されたトルエン層を50mlの水及び50mlのブライン溶液により洗浄した。トルエン層を濃縮乾燥し、7.5gの標記化合物を油状物として得た。
収率:57.69%。純度:87.78%(GCによる面積%)。
【0158】
例7ラセミ性tert−ブチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)(一酸)からのtert−ブチル水素3(R)−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の調製(式IXからの式XI)
第1キラル精製
窒素雰囲気下での四つ首丸底フラスコに、5.0gのラセミ性tert−ブチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)及び15mlのイソプロピルアルコールをRTで添加した。2.1gのR(+)フェニルエチルアミンを、25〜30℃で15分間にわたって、30℃以下に温度を維持することにより、ゆっくり添加した。反応塊状物を、25〜30℃で6時間、撹拌した。
【0159】
白色の塩が観察された。反応塊状物の温度を、65〜70°まで高め、透明な溶液を得た。反応塊状物の温度を20℃にし、そして12.0時間、撹拌した。結晶化された固形物を20℃で濾過し、そして40〜45℃で真空下で乾燥し、2.5gの純粋な塩を得た。母液を再循環した。得られる2.5gの一酸のフェニルエチルアミン塩を、新たな100mlの四つ首丸底フラスコに添加し、25mlの水、10gの塩化ナトリウム及び1.3当量の10%塩酸を添加し、反応塊状物を2時間、撹拌し、そして生成物を、3×10mlのジクロロメタンにより室温で抽出した。溶媒を蒸発乾燥し、1.77gの生成物を得た。
収率:35.40%。純度:GCによれば98.5%、HPLCによれば85%。
【0160】
第2キラル精製
得られる1.77gの油状物を、RTで5.0体積のイソプロピルアルコールに溶解し、そして0.74gのR(+)フェニルエチルアミンを5分間にわたって、ゆっくり添加し、そして20〜25℃で6.0時間、反応塊状物を撹拌した。白色の塩形成が観察された。反応塊状物を65〜70℃に加熱し、透明な溶液を得た。反応塊状物の温度を20℃にし、そして12.0時間、撹拌した。結晶化された固形物を20℃で濾過し、そして40〜45℃で真空下で乾燥し、1.94gの純粋な塩を得た。母液を再循環した。得られる2.5gの一酸のフェニルエチルアミン塩を、新たな100mlの四つ首丸底フラスコに添加し、19.4mlの水、5.82gの塩化ナトリウム及び1.3当量の10%塩酸を添加し、反応塊状物を2時間、撹拌し、そして生成物を、3×7mlのジクロロメタンにより室温で抽出した。溶媒を蒸発乾燥し、1.38gの生成物を得た。
収率:78%。純度:99.5%(GCによる%面積)、HPLCによれば99.55%。
【0161】
例8鏡像異性体過剰の決定
4−ブロモベンジル臭化物によるtert−ブチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)(一酸)の誘導体化(誘導体化された式XI):
窒素雰囲気下での50mlの丸底フラスコに、1.0gのtert−ブチル水素3−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)(一酸)、10mlのジメチルホルムアミド、0.86gの4−ブロモベンジル臭化物、0.65gの炭酸カリウムを、25〜30℃で添加した。反応塊状物を6.0時間、撹拌し、そして反応の進行をモニターし、出発材料はTLCによれば検出されなかった。生成物を15mlのジクロロメタンにより抽出し、そして有機層を3×10mlの水により洗浄した。溶媒を蒸発乾燥し、そして1.1gの生成物を得、これを、キラルHPLCにより鏡像異性体過剰について決定した。
収率:78.57%。鏡像異性体過剰純度:99.55%。
【0162】
例9再循環
化合物XI及びtert−ブチル水素3(S)−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)R(+)フェニルエチルアミン塩の混合物を含む、第1キラル精製及び第2キラル精製の間、例7から得られる母液を、四つ首RBFに配置し、そして10%塩酸を添加し、pHを5〜5.5に調節し、生成物を5.0体積のトルエンにより抽出し、そして濃縮乾燥し、一酸の油状物を得た。
【0163】
得られる生成物を、新たな四つ首RBFに窒素雰囲気下で取り、そして5.0体積のエタノールを添加し、そして反応塊状物を50℃まで加熱し、1.2当量の1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し、そして撹拌した。反応の完結の後、反応塊状物のpHを3.5〜4.0に調節し、透明な溶液を得た。飽和反応塊状物に塩化ナトリウムを添加し、生成物をジクロロメタンにより抽出し、そして溶媒を蒸発乾燥し、固体二酸、すなわち3−ヒドロキシ二水素グルタレート(TBDMS保護された)を得、これを、環状無水物の形成、及びさらに、一酸、すなわちtert−ブチル水素(3R)ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)への例3〜8の同じ方法を用いることによる転換にゆだねた。
【0164】
例10メチルtert−ブチル3(R)−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)からのtert−ブチル水素3(R)−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の調製(式XI(式A)のメチルエステルからの式XI)
窒素雰囲気下での2Lの四つ首丸底フラスコに、100gのメチルtert−ブチル3(R)−ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)及び500mlの無水エタノールを25〜30℃で添加した。反応塊状物の温度を、48〜52℃まで上げた。4個のロットにおける1Nの水酸化ナトリウム溶液332mlを、48〜52℃で3.0時間にわたって、添加した。ロット様添加は、二酸の形成を回避するために好ましい。
【0165】
反応塊状物を同じ温度で7〜8時間撹拌した。出発材料は、7時間後、GCにより検出されなかった。無水エタノールを、真空下で40〜45℃で蒸発した。400mlの水及び50mlの無水エタノールを反応塊状物にRTで添加した。生成物を含む水性層を、2×300mlのヘキサンによりRTで洗浄した。水性層に300mlのトルエンを添加し、そして25mlの塩酸を用いてpHを約5〜6に調節し、層を分離し、そして水性層を2×300mlのトルエンより抽出した。組合された有機層をブライン溶液により洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を真空下で50〜55℃で完全に蒸発し、所望する生成物85.5gを得た。
収率:92.93%。純度:98.5%(GCによる面積%)。
【0166】
例11tert−ブチル水素3(R)ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)の混合された無水物の調製(式XIからの式XII)
窒素雰囲気下での四つ首丸底フラスコに、3.84gのメチルクロロホルメート及び180mlのトルエンをRTで添加した。反応塊状物を-40℃に冷却した。10gのtert−ブチル水素3(R)ヒドロキシグルタレート(TBDMS保護された)、20mlのトルエン、5.39gのトリエチルアミンの混合物を40分間にわたって添加した。その温度を1.5時間以内に0℃にゆっくり上げた。反応を、0℃での100mlの水により停止した。層を0℃ですぐに分離した。有機層を、2×50mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、続いて50mlのブライン溶液により洗浄した。洗浄された有機層を45〜50℃で真空下で濃縮し、トルエンを完全に除去し、混合された無水物12.2gを得た。この生成物を、さらに精製しないで、次の段階に使用した。
収率:100%。純度:96.75%(GCによる%面積)。
【0167】
例12混合された無水物からのt−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエート(19TBPO)の調製(式XIIから式I)
窒素雰囲気下での四つ首丸底フラスコに、38.5gのジメチルメチルホスホネート及び377.6mlのテトラヒドロフランをRTで添加した。反応塊状物を-78に冷却した。この反応塊状物に、ヘキサン中、1.6Mのn−ブチルリチウム溶液240mlを-78〜-80℃で1.0時間にわたって添加した。
【0168】
反応塊状物を-78〜-80℃で1.5時間、撹拌し、アニオン形成を可能にした。377.6mlのテトラヒドロフラン中、47.2gの無水物混合物を、45分間にわたって、-78〜-80℃で添加した。添加の完結の後、反応塊状物を2分間、撹拌し、そして200mlの20%塩化アンモニイウム溶液を-70〜-80℃で添加した。反応塊状物をRTに上げ、そして200mlの10%塩酸を用いて、pHを5〜5.5に調節した。236mlのトルエンを撹拌下で添加した。層を分離し、そして有機層を211mlの1N塩酸、続いて211mlのブライン溶液により洗浄した。有機層を濃縮乾燥し、淡褐色の透明な粗生成物52.0gを得た。
【0169】
粗19TBPO(式I)の精製
得られる52.0gの粗生成物を500mlのトルエンに溶解した。トルエン層を2×350mlの2%炭酸ナトリウム溶液及び350mlの水により洗浄した。水性層を2×250mlのトルエンにより抽出した。組合された有機層を500mlブライン溶液により洗浄した。有機層を濃縮乾燥し、40gの純粋生成物を得た。40gの生成物を200mlのアセトニトリルに溶解し、そして3×200mlのヘキサンによりRTで洗浄した。アセトニトリル層を真空下で50℃で蒸発し、27.84gの純粋生成物を得た。
収率:52.42%。GCによる純度:93.47%(GCによる%面積)。
【0170】
例13混合された無水物からの3(R)−3(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−オキソ−6−トリフェニル−ホスホラニリデンヘキサノエートの調製(式XIIから式II)
窒素雰囲気下での四つ首丸底フラスコに32.93gのメチルトリフェニルホスホニウム臭化物及び88mlのテトラヒドロフランをRTで添加した。反応塊状物を-50〜55℃に冷却し、そしてヘキサン中、1.6Mのn−ブチルリチウム溶液57.5mlを、-50〜55℃で0.5時間にわたって添加した。反応温度を0℃に1.5時間にわたって上げ、そして再び-70℃に冷却した。
【0171】
18.0gの混合された無水物及び52.86mlのトルエンを-55〜-65℃で2.0時間にわたって添加した。添加の完結の後、反応を0℃に1.0時間にわたって、ゆっくり上げた。36.0mlの水を0℃で15分間にわたって添加した。有機層を分離し、そして水性層を18.0mlのトルエンにより抽出した。組合された有機層をRTで2×18mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び18.0mlのブライン溶液により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濃縮乾燥し、淡褐色の透明な生成物22.44gを得た。得られる生成物を、さらに精製しないで、次の段階に使用した。
収率:84.0%。
【0172】
例14t−ブチルメチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−グルタレート(MBSG、式XIII )からのt−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエート(19TBPO)の調製(式Aから式I)
【化53】

【0173】
窒素雰囲気下での四つ首丸底フラスコに、7.44gのジメチルメチルホスホネート、50mlのテトラヒドロフラン及び1.91gの無水塩化リチウムをRTで添加した。反応塊状物を-78〜-80℃に冷却し、そして、ヘキサン中、1.6Mのn−ブチルリチウム溶液29mlを-78〜-80℃で30分間にわたって添加した。反応塊状物を-78〜-80℃で2時間、撹拌し、アニオン形成を可能にした。
【0174】
5gの式(XIII)及び50mlのテトラヒドロフランを、120〜135分間にわたって、-78〜-80℃で添加した。添加の完結の後、反応塊状物を45〜60分間、撹拌し、そして15mlの20%塩化アンモニイウム溶液を-65〜-78℃で添加した。反応塊状物温度をRTに上げ、そして25mlの20%塩酸を用いて、pHを1〜2に調節した。25mlのトルエンを添加し、そしてその混合物を60分間、撹拌した。層を分離し、そして有機層を50mlの飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄した。有機層を濃縮乾燥し、淡黄色の透明な粗生成物5.5gを得た。
アッセイ:77.96%、純度:71.5%(GCによる%面積)及び収率:67.52%。
【0175】
例1519TBPHからWittig反応による化合物20TBの調製(WO2007/041666号の例4)
【化54】

【0176】
光から保護され、そしてN2流を供給される100mlのフラスコを、化合物14(3.6g、10.5mモル)、化合物19TBPH(9.05g、15.7mモル)及び無水トルエン(36ml、化合物14に対して10体積)により充填した。反応混合物を約100℃に19.5時間にわたって加熱した。反応混合物のサンプルをHPLCにより分析し、そして1.7%の化合物14を含んだことが見出された。
【0177】
無水MgCl2(2g、化合物19TBPHに対して2当量)を反応混合物に添加し、そして反応混合物を100℃で2時間、撹拌した。反応混合物を0℃に2時間、冷却し、そして固形物を洗浄しないで濾過した。濾液を得、そして水(それぞれ100ml)により2度、洗浄し、そして溶媒を蒸発し、褐色の固形物7.56gを得た。
【0178】
例16Wittig反応による化合物20Mの調製(WO2007/041666号の例5)
【化55】

【0179】
光から保護され、そしてN2流を供給される250mlのフラスコを、化合物14(4.38g、12.5mモル)、化合物19M(10g、18.7mモル)及び無水トルエン(100ml)により充填した。反応混合物を約100℃に15時間にわたって加熱した。反応完結の後、無水MgCl2(4.8g、2.7当量)を反応混合物に添加し、そして反応混合物を約100℃で2時間、加熱した。反応混合物を0℃に約2時間にわたって冷却し、濾過し、そして45mlのトルエンにより洗浄し、12.73gの粘性油状物を得た。
【0180】
例17HCl/THF中、化合物21TBの調製(WO2007/041666号の例7)
HCl(水中、32%、0.57g)、水(2ml)及びTHF(17.5ml)の混合物を調製した。この混合物5.4mlを、THF(8.1ml)中、化合物20TB(2.7g)の溶液に滴下した。反応混合物を周囲温度で一晩、TLCによる反応のモニターが反応の完結を示すまで、撹拌した。
酢酸エチル(20ml)を反応混合物に添加し、そしてその反応混合物を水(20ml)により洗浄した。水性層が形成され、そして酢酸エチル(20ml)により抽出した。有機層を組合わせ、そして約10.5のpHで、Et3N(2×5ml)の水溶液により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去し、化合物21TBの油状物(2.03g)を得た。
【0181】
例18化合物22TB(TBRE)の調製(WO2007/041666号の例16)
【化56】

【0182】
無水THF(26ml)及び無水メタノール(7ml)中、21TB(1g)の溶液に、THF(2ml)中、ジエチルメトキシボラン(1M)の溶液を約-78℃で添加し、反応混合物を形成した。反応混合物を0.5時間、撹拌し、NaBH4を添加し、そして撹拌を3時間、続けた。酢酸(1.2ml)を反応混合物に添加し、そして反応混合物を周囲温度に暖めた。
【0183】
酢酸エチル(150ml)を反応混合物に添加し、そしてpHを、濃NaHCO3水溶液の添加により、8に調節した。層を分離し、そして水を、追加の量の酢酸エチル(50ml)の添加により抽出した。有機層を組合せ、そして硫酸マグネシウム上で乾燥した。次に、溶媒を減圧下で蒸発し、残留物を得た。残留物をメタノールにより処理し、そして次にメタノールを蒸発した。メタノール処理及び蒸発を2度以上行い、粗化合物22TB(TBRE)(0.87g、86%)を得た。
【0184】
例19酢酸エチルにおける抽出による化合物22TBのロスバスタチンCaへの転換(WO2007/041666号例17)
機械撹拌機を備えた1Lの反応器を、EtOH(3L)、水(1800ml)及びTBRE(600g)により充填し、反応混合物を形成した。NaOH(47%、1.2当量、114g)を、RTで反応混合物にゆっくり添加した。反応混合物を、ほぼRTで2時間、撹拌した。反応混合物を、Synter and Hyfloにより減圧下で濾過し、存在する小粒子を排除した。反応混合物を、その体積が半分になるまで、40℃で減圧下で濃縮した。
【0185】
水(2000ml)を反応混合物に添加し、そして反応混合物を、RTで5分間、撹拌した。水性相及び有機相が形成された。相を分離し、そして水性相を、酢酸エチル(3000ml)により洗浄し、そしてRTで30分間、撹拌した。有機相を廃棄した。水性相を、体積が半分になるまで、約40℃で減圧下で濃縮した。水(2800ml)を水性相に添加し、そして水性相をほぼRTで5分間、撹拌した。CaCl2(124g)を、ほぼRTで約10分間、少しずつ水性相に添加した。次に、その水性相を、ほぼRTで約1時間、撹拌し、そして濾過し、そして1200mlの水により洗浄し、粉末上の化合物(491g、88%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(X):
【化1】

[式中、塩基はキラル塩基であり;Zはヒドロキシ保護基であり;そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]を有する塩基性カチオンの塩。
【請求項2】
前記キラル塩基がアミンである請求項1記載の塩。
【請求項3】
前記塩が、下記構造式:
【化2】

[式中、R8及びR9は異なっており、そして個々は、C1-15アルキル及びC6-12アリールから成る群からそれぞれ選択され;そしてZ及びR2は上記の通りである]
を有する請求項1又は2記載の塩。
【請求項4】
R8又はR9の1つが、C6-12アリール又はC1-15アルキルである請求項1〜3のいずれか1項記載の塩。
【請求項5】
R8又はR9の1つが、C1-4アルキルである請求項1〜4のいずれか1項記載の塩。
【請求項6】
R8がメチルであり、そしてR9がフェニルである請求項1〜5のいずれか1項記載の塩。
【請求項7】
前記アミンが、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−フェニルイソブチルアミン、1−フェニルブチルアミン及び1−フェニルペンチルアミンである請求項1〜6のいずれか1項記載の塩。
【請求項8】
前記アミンが、R(+)−フェニルエチルアミンである請求項1〜7のいずれか1項記載の塩。
【請求項9】
前記アミンが、S(−)−フェニルエチルアミンである請求項1〜8のいずれか1項記載の塩。
【請求項10】
前記アルキル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル及びアミノにより置換される請求項1〜9のいずれか1項記載の塩。
【請求項11】
R2がC1-C4基である請求項1記載の塩。
【請求項12】
R2がt−ブチル基である請求項1記載の塩。
【請求項13】
Zがシリル基である請求項1記載の塩。
【請求項14】
Zがトリアルキルシリルである請求項1記載の塩。
【請求項15】
Zがトリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はtert−ブチルジメチルシリルである請求項1記載の塩。
【請求項16】
Zがtert−ブチルジメチルシリルである請求項1記載の塩。
【請求項17】
a)下記構造式:
【化3】

[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
を有する式IXの化合物と、キラル塩基とを反応させ、下記構造式:
【化4】

[式中、塩基はキラル塩基であり、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩を入手することを含んで成る、式Xの化合物の調製方法。
【請求項18】
前記キラル塩基がアミンである請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記塩が、下記構造式:
【化5】

[式中、R8及びR9は異なっており、そしてR8とR9の個々は、C1-15アルキル及びC6-12アリールから成る群からそれぞれ選択され;そしてZ及びR2は上記の通りである]
を有する請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
R8又はR9の1つが、C1-4アルキルである請求項19記載の方法。
【請求項21】
R8がメチルであり、そしてR9がフェニルである請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記アミンが、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−フェニルイソブチルアミン、1−フェニルブチルアミン及び1−フェニルペンチルアミンである請求項17〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記アミンが、R(+)−フェニルエチルアミンである請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記アミンが、S(−)−フェニルエチルアミンである請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記アルキル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル及びアミノにより置換される請求項17〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
R2がC1-C4基である請求項17〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
R2がt−ブチル基である請求項17〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
Zがシリル基である請求項17〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
Zがトリアルキルシリルである請求項17〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
Zがトリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はtert−ブチルジメチルシリルである請求項17〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
Zがtert−ブチルジメチルシリルである請求項17〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記キラル塩基が、式(IX)の化合物に基づいて、1〜2モル当量の量で存在する請求項17〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒が、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、C6-C10芳香族及び脂肪族炭化水素、C2-C8脂肪族エステル、C4-C8エーテル、及びC1-C6クローリン置換されたアルキルから成る群から選択される請求項17〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、シクロへキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、t−ブチルアセテート、イソプロピルアセテート、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン及びテトラクロロエタンから成る群から選択される請求項17〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒が、イソプロパノールである請求項17〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記温度が、約-60℃〜約80℃である請求項17〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記温度が、約0℃〜約70℃である請求項17〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
請求項17〜37のいずれか1項記載の方法により得られる化合物を、スタチンに転換することをさらに含んで成る、スタチンの調製方法。
【請求項39】
下記式:
【化6】

[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される化合物の調製方法であって、下記式:
【化7】

[式中、塩基はキラル塩基であり、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩と、酸とを反応させることを含んで成る方法。
【請求項40】
前記キラル塩基がアミンである請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記塩が、下記構造式:
【化8】

[式中、R8及びR9は異なっており、そして個々は、C1-15アルキル及びC6-12アリールから成る群からそれぞれ選択され;そしてZ及びR2は上記の通りである]
を有する請求項39記載の方法。
【請求項42】
R8又はR9の1つが、C6-12アリール又はC1-15アルキルである請求項41記載の方法。
【請求項43】
R8又はR9の1つが、C1-4アルキルである請求項41記載の方法。
【請求項44】
R8がメチルであり、そしてR9がフェニルである請求項41記載の方法。
【請求項45】
前記アミンが、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−フェニルイソブチルアミン、1−フェニルブチルアミン及び1−フェニルペンチルアミンである請求項40記載の方法。
【請求項46】
前記アミンが、R(+)−フェニルエチルアミンである請求項40記載の方法。
【請求項47】
前記アミンが、S(−)−フェニルエチルアミンである請求項40記載の方法。
【請求項48】
前記アルキル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル及びアミノにより置換される請求項39載の方法。
【請求項49】
R2がC1-C4基である請求項39記載の方法。
【請求項50】
R2がt−ブチル基である請求項39〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
Zがシリル基である請求項39記載の方法。
【請求項52】
Zがトリアルキルシリルである請求項39〜51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
Zがトリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はtert−ブチルジメチルシリルである請求項39〜52のいずれか1項記載の方法。
【請求項54】
Zがtert−ブチルジメチルシリルである請求項39〜53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
前記酸が、鉱酸又はC1-C8有機酸である請求項39記載の方法。
【請求項56】
前記酸が、塩酸又は酢酸である請求項39記載の方法。
【請求項57】
前記反応が水において実施される請求項39記載の方法。
【請求項58】
前記酸が塩酸である請求項39記載の方法。
【請求項59】
塩酸が1N〜10Nの範囲の濃度で使用される請求項39〜57のいずれか1項記載の方法。
【請求項60】
前記反応温度が約0℃〜50℃である請求項39〜59のいずれか1項記載の方法。
【請求項61】
請求項41〜60のいずれか1項記載の方法により得られる化合物を、スタチンに転換することをさらに含んで成る、スタチンの調製方法。
【請求項62】
下記式:
【化9】

[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される化合物の調製方法であって、
a)下記構造式:
【化10】

[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
を有する式IXの化合物と、キラル塩基とを反応させ、下記構造式:
【化11】

[式中、塩基はキラル塩基であり、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]
で表される塩を入手し;そして
b)前記塩と酸とを反応することを含んで成る方法。
【請求項63】
請求項62記載の方法により得られる化合物を、スタチンに転換することをさらに含んで成る、スタチンの調製方法。
【請求項64】
下記式:
【化12】

で表されるように式(XI)の化合物からの式(XII)の化合物の調製方法であって、式(XI)[式中、Zはヒドロキシ保護基であり、そしてR2は1〜5個の炭素原子のアルキル基である]で表される化合物と、式RfCO−Y[式中、RfはC1-C6アルキル基であり、そしてYはハロゲンである]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめ、式(XII)[式中、XはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基又はC1-C6の炭素原子のアルキル基であり、Z及びR2は上記の通りである]で表される化合物を得ることを含んで成る方法。
【請求項65】
RfがC1-C6アルキル基である請求項64記載の方法。
【請求項66】
RfがC2-C4アルキル基である請求項62〜65のいずれか1項記載の方法。
【請求項67】
Rfがt−ブチルであり、そしてYがClである請求項62〜66のいずれか1項記載の方法。
【請求項68】
式RfCO-Yの化合物が塩化ピバロイルである請求項62〜67のいずれか1項記載の方法。
【請求項69】
前記塩基が有機アミンである請求項62〜68のいずれか1項記載の方法。
【請求項70】
前記有機アミンが、式NRaRbRc[式中、Ra, Rb及びRcはC1-6アルキル基から独立して選択される]で表されるトリアルキルアミンである請求項62〜69のいずれか1項記載の方法。
【請求項71】
前記反応が-50℃〜50℃の範囲の温度で行われる請求項62〜70のいずれか1項記載の方法。
【請求項72】
R2がC1-C4基である請求項62〜71のいずれか1項記載の方法。
【請求項73】
R2がt−ブチル基である請求項62〜72のいずれか1項記載の方法。
【請求項74】
Zがシリル基である請求項62〜73のいずれか1項記載の方法。
【請求項75】
Zがトリアルキルシリルである請求項62〜74のいずれか1項記載の方法。
【請求項76】
Zがトリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はtert−ブチルジメチルシリルである請求項62〜75のいずれか1項記載の方法。
【請求項77】
Zがtert−ブチルジメチルシリルである請求項62〜76のいずれか1項記載の方法。
【請求項78】
請求項62〜77のいずれか1項記載の方法により得られる化合物を、スタチンに転換することをさらに含んで成る、スタチンの調製方法。
【請求項79】
下記式:
【化13】

で表されるように式(XII)の化合物から式(I)の化合物の調製方法であって、式(XII)[式中、XはC1-C5の炭素原子のアルコキシ基であり、Z及びR2は上記の通りである]で表される化合物と、下記一般式:
【化14】

[式中、R3は1〜4個の炭素原子のアルキルである]で表されるジアルキルホスホネートとを、塩基の存在下で反応させ、式(I)[Zはヒドロキシ保護基であり;R2及びR3は1〜4個の炭素原子のアルキルである]
で表されるホスホニウムアニオンを得ることを含んで成る方法。
【請求項80】
すべてのR3及びR3’がメチル基である請求項79記載の方法。
【請求項81】
前記塩基が、C1-C8アリール又はアルキル金属の塩基である請求項79又は80記載の方法。
【請求項82】
前記塩基が有機リチウム試薬である請求項79〜81のいずれか1項記載の方法。
【請求項83】
前記塩基がフェニルリチウムである請求項79〜82のいずれか1項記載の方法。
【請求項84】
前記塩基がn−ブチルリチウムである請求項79〜83のいずれか1項記載の方法。
【請求項85】
前記溶媒が、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、C6-C10芳香族及びC5-C8脂肪族炭化水素、C2-C8脂肪族エステル、C4-C8エーテル(環状化合物を包含する)、及び1〜4個のコリン原子により置換されたC1-C6脂肪族溶媒から選択される請求項79〜84のいずれか1項記載の方法。
【請求項86】
前記溶媒が、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロへキサン、エーテル、メチルt−ブチルエーテル、又はテトラヒドロフランである請求項79〜85のいずれか1項記載の方法。
【請求項87】
前記溶媒が、テトラヒドロフランである請求項79〜86のいずれか1項記載の方法。
【請求項88】
a)キラル塩基、すなわちR(+)−フェニルエチルアミンと、式IXの化合物とを反応させて、式Xの塩を得:
【化15】

b)化合物Xと酸とを反応させて、式XIの化合物を得:
【化16】

c)式XIの化合物と、塩化ピバロイルとを反応し、式XIIの化合物を得:
【化17】

d)式XIIの化合物と、
i)ホスホネートとを反応させて、式Iの化合物を得:
【化18】

ii)又は他方では、式IIの化合物を得:
【化19】

e)式I又はIIの化合物をスタチンに転換する段階を含んで成る、スタチンの調製方法。
【請求項89】
下記構造:
【化20】

[式中、TBDMSはtert−ブチルジメチルシリルである]
を有する塩。
【請求項90】
次のNMRデータ:0.12(d, 6H); 0.88 (s, 9H);1.46 (s, 9H);1.62 (d, 3H); 2.33 (dd, 1H); 2.36 (m, 2H); 2.48 (q, 1H); 2.56 (dd, 1H); 4.41 (q, H); 7.38 (m, 1H); 7.42 (m, 4H)により特徴づけられる請求項89記載の式の塩。
【請求項91】
前記スタチンが、ロバスタチン(lovastatin)、シムバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)及びピタバスタチン(pitavastatin)、より好ましくはロスバスタチンである請求項88記載の方法。
【請求項92】
スタチン化合物の製造方法への請求項1〜16、89又は90のいずれか1項記載の化合物の使用であって、前記スタチンが好ましくは、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン及びピタバスタチン、より好ましくはロスバスタチンである使用。

【公表番号】特表2009−538831(P2009−538831A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511273(P2009−511273)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/005097
【国際公開番号】WO2008/130678
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】