ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレート
本発明は、ロッカージョイントチェーン(22)のためのリンクプレート(21)であって、該リンクプレート(21)はリンクプレート開口(23)を取り囲む2つの長手方向辺(26)と2つの高さ方向辺(27)とを有している、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートにおいて、先行技術のリンクプレートに比べてガイドレールにおける磨耗を、少なくとも1つの長手方向辺に少なくとも1つの切欠き(31)が配置されていることにより減じる、ロッカージョイントチェーン(22)のためのリンクプレート(21)に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートであって、リンクプレート開口を取り囲む2つの長手方向辺と2つの高さ方向辺とを有するリンクプレートに関するものである。
【0002】
冒頭で述べた形式のロッカージョイントチェーンは、例えばDE10316441A1において公知であり、ロッカージョイントチェーンの走行方向に対して横方向に並置された複数の列において相前後して配置されたリンクプレートを有している。複数のリンクプレートは走行方向に対して横方向にオーバラップし、走行方向に対して横方向に複数のリンクプレートを貫通するロッカーピンを介して結合されている。各リンクプレートの開口は2つのロッカーピン対によって貫通される。これらのロッカーピン対の、互いに反対側を向いているロッカーピンはリンクプレートの前側若しくは後側の内面に接触し、2つのロッカーピン対の互いに向かい合っているロッカーピンは、隣のリンクプレートのリンクプレート開口の前側若しくは後側の内面に接触する。各ロッカーピン対のロッカーピンの互いに向かい合う面は、ロッカージョイントチェーンの曲がり時に互いに転動する。このようなロッカージョイントチェーンは、例えば円錐形プーリ式巻掛け変速機、いわゆるCVT(continuously variable transmission:無段変速機)のバリエータにおいて使用される。リンクプレートは突出部を有しており、これらの突出部はロッカージョイントチェーンの組付け時に組付け補助として働き、ベルト振動時にCVTのガイドレールに接触する。このようなガイドレールはロッカージョイントチェーンの横方向振動を制限する。トルクが増大するにつれて、CVT内のベルト振動は増大する。突出部は著しい横振動時にはガイドレールにおいてピッチングを引き起こす。
【0003】
ガイドレール磨耗はロッカージョイントチェーンの寿命の短縮にもなる。したがって、本発明の目的は、先行技術のリンクプレートと比べてガイドレールにおける磨耗が減じられているリンクプレートを提供することである。
【0004】
上記目的は、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートであって、リンクプレートは、リンクプレート開口を取り囲む2つの長手方向辺と2つの高さ方向辺とを有し、少なくとも1つの長手方向辺に少なくとも1つの切欠きが配置されている、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートにより達成される。切欠きはこれまで使用されてきた突出部と同じように、ロッカージョイントチェーンの組付け中にリンクプレートの位置決めのために組付け補助として働く。下方に突出している2つの突出部の代わりに、1つ又は複数の切欠きがリンクプレートに配置される。このことは、リンクプレート外側輪郭とガイドレールとの間の明らかに大きな接触面をもたらす。切欠きは、下側及び上側の長手方向湾曲部に設けることもできる。組付け構想に応じて、2つの長手方向辺(上側及び下側)に切欠きを設けることもできる。
【0005】
長手方向辺は切欠きの領域に、有利には底線に対して厚さbを有しており、切欠きは底線に対して深さaを有している。この構成において比率は、0.1≦a/b≦0.5である。さらに有利には、比率はa/b=1/5である。底線は、長手方向辺に設けられている切欠きに置かれた直線である。底線は、例えば凹部を切削加工により設ける場合には、例えば凹部の加工前のリンクプレートの輪郭に対応する。
【0006】
有利には、切欠きはリンクプレートの長手方向輪郭において台形又は方形であるようになっている。この構成において切欠きは、リンクプレートの長手方向輪郭において、有利には丸味付けされたエッジを持った台形状、又は丸味付けされたエッジを持った方形状に形成されている。したがって台形状とは、台形が複数の、少なくとも3つの個所において切欠きの輪郭と接触することができるように台形を挿入することができる切欠きの形状である。丸味付けされたエッジとは、特に種々異なって湾曲された面の間の滑らかな移行部を有する輪郭である。
【0007】
有利には、切欠きは連続した凸状及び凹状の曲線により形成される。曲線は緩やかに互いに移行し、台形状又は方形状の切欠きを形成する。別の構成においては、対称軸線の両側に凹状の曲線が配置されているようになっている。凹状の曲線は、直線部分により互いに結合されている。凸状又は凹状の曲線は、有利には丸みであり、丸みは同じであるようになっていてよい。リンクプレートの長手方向輪郭における切欠きは、択一的に部分円形状又は部分楕円形状であってよい。
【0008】
切欠きは本発明のさらに別の構成においては、リンクプレートの中心線に対してほぼ中心に配置されている。さらに別の構成では、複数の切欠きが長手方向辺に配置されていて、これらの切欠きは有利にはリンクプレートの中心線に対して対称的に配置されている。
【0009】
上記目的は、少なくとも部分的に上記リンクプレートを有するロッカージョイントチェーンによっても達成される。
【0010】
上記目的は、本発明におけるリンクプレートチェーンを備えたバリエータ変速機によっても達成される。リンクプレートの切欠きは、運転中にガイドレールの滑走路を案内されるリンクプレートの面に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】制御装置を備えた自体公知の円錐形プーリ式巻掛け変速機の上記原理図である。
【図2】円錐形プーリ式巻掛け変速機の軸線に対して垂直な中央の断面図である。
【図3】ロッカージョイントチェーンの部分図である。
【図4】リンクプレート及びロッカーピンの拡大図である。
【図5】本発明に係るリンクプレートの第1の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明に係るリンクプレートの第2の実施の形態を示す図である。
【図7】図5に記載の区分Iを示す図である。
【図8】図7に記載の区分IIを示す図である。
【図9】切欠きの輪郭の構造を示す図である。
【図10】切欠きの長さ比率を示す第1の図である。
【図11】切欠きの長さ比率を示す第2の図である。
【図12】切欠きの形状に関する種々異なる実施の形態を示す図である。
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1〜4を参照して、本発明を良好に理解するために及び使用する概念を明確にするために、先行技術のバリエータ変速機とロッカージョイントチェーンとを説明する。バリエータ変速機(円錐形プーリ式巻掛け変速機)は2つの円錐形プーリ対1,4を有している。一方の円錐形プーリ対1の円錐形プーリ3は、例えば内燃機関によって駆動される駆動軸7に不動に結合されている。他方の円錐形プーリ対4の円錐形プーリ5は、車両を駆動する被駆動軸8に不動に結合されている。円錐形プーリ対1の他方の円錐形プーリ2は相対回動不能ではあるが、軸線方向に移動可能に駆動軸7結合されている。円錐形プーリ対4の他方の円錐形プーリ6は相対回動不能でかつ軸線方向移動可能に被駆動軸8に結合されている。2つの円錐形プーリ対1,4の周囲を巻掛け手段9、例えば図3に記載されているようなロッカージョイントチェーンが走行する。巻掛け手段9は円錐形プーリの互いに向かい合う円錐面と摩擦係合している。各円錐形プーリ対の2つの円錐形プーリ間の軸線方向の間隔の反対方向への変位により、2つの円錐形プーリ対の間の回転数比、ひいては変速機の変速比を変更することができる。変速比調整のために例えば圧力室10,11が働く。圧力室10,11は液圧管路12,13を介して制御弁ユニット14に接続されており、制御弁ユニット14により、変速比調整のために液圧媒体圧による圧力室10,11の負荷が制御可能である。制御弁ユニット14の制御のために制御機器15が働く。制御機器15は備え付けのメモリ装置を備えたマイクロプロセッサを内蔵し、制御機器15の入力部は、例えば変速機の操作のためのセレクタレバーユニット、走行ペダル、回転数センサ等に接続されており、制御機器15の出力部は、例えばクラッチ、エンジン(図示せず)の出力作動部材及び制御弁ユニット14に接続されている。円錐形プーリ式巻掛け変速機の構造及び機能はそれ自体公知であるので、以下、説明を省略する。
【0014】
円錐形プーリ式巻掛け変速機の軸7,8の軸線に対して垂直な中央断面図を示す図2によれば、巻掛け手段9の緩み側はガイドレール16により案内される。ガイドレール16は緩み側の揺れを防ぐ。本実施の形態において、プーリ対1,4の回転方向は反時計方向であり、符号7はエンジンによって駆動される駆動軸である。円錐形プーリ式巻掛け変速機若しくは全体的に鎖線で示されている円錐形プーリ式巻掛け変速機の巻掛け手段9は、2つの異なる状態において示されている。一方の状態Aにおいては円錐形プーリ対1の円錐形プーリ間の間隔は最小であり、円錐形プーリ対4の円錐形プーリの間の間隔は最大であり、変速機は可能な限り大きな変速比をもって稼動する。他方の状態Bにおいて変速機は可能な限り小さな変速比をもって稼動する。円錐形プーリ対4において循環する巻掛け手段の曲率半径は最大である。
【0015】
外側の滑走路18と内側の滑走路17との間において巻掛け手段9を案内するガイドレール16は、変速機ケーシング(図示せず)に取り付けられているピン若しくは油管19において、巻掛け手段の運動方向若しくはガイドレールの長手方向に対してほぼ垂直に方向付けられていて相対する側壁を有する、全体的にU字形の収容部20によって支承されている。ガイドレール16は油管19における旋回及び収容部20の相対する壁の、油管20の外面においての移動により、巻掛け手段9の運動経路の変更に追従する。その結果、巻掛け手段9の緩み側は常に確実に案内されていて、振動に対して保護されている。油管19は半径方向の孔を有している。これらの孔及び収容部20の底部に設けられている適切な開口を通じて、ガイドレール16の内部に潤滑媒体が供給され、その結果、巻掛け手段は潤滑されて、ガイドレールに沿って小さな摩擦をもって可動である。
【0016】
図3には、ロッカージョイントチェーン22の一区分が示されている。ロッカージョイントチェーン22はリンクプレート21から構成されている。リンクプレート21はロッカーピン25を介して互いに結合されている。リンクプレート21はロッカージョイントチェーン22の走行方向に対して相並んで配置された複数の列において、相前後して配置されている。図5においてリンクプレート21.1は視線方向において最前の列に設けられている。リンクプレート21.2は最前の列に隣接する列に設けられており、リンクプレート21.3はさらに別の列に設けられている。リンクプレートの結合のために、ロッカーピン25が設けられている。ロッカーピン25はリンクプレート開口23をそれぞれ走行方向に対して横方向に貫通している。各リンクプレート開口は2つのロッカーピン対24.1若しくは24.2によって貫通され、ロッカーピン対24.1にはリンクプレート21.1,21.2が設けられており、ロッカーピン対24.2にはリンクプレート21.1,21.3が設けられている。図面から判るように、ロッカーピン対24.1若しくは24.2の互いに反対側を向いているロッカーピン25.1及び25.4の外面は、ロッカージョイントチェーン22の走行方向に対してリンクプレート開口23の前側若しくは後側の内面において支持される。互いに向かい合っているロッカーピン25.2及び25.3はそれぞれ、隣の列に配置されているリンクプレートのリンクプレート開口の内面において支持される。各ロッカーピン対のロッカーピンの互いに向かい合っている面は転動面を形成する。ロッカージョイントチェーン22の曲げられる各領域の曲率半径が変化する場合、転動面においてロッカーピンは互いに転動する。
【0017】
このようなロッカージョイントチェーン22、及びロッカージョイントチェーン22が循環する2つの円錐形プーリ対を備えた図1及び図2に記載のバリエータは自体公知であり、したがって詳細な説明は省く。
【0018】
図4には、従来のリンクプレート21とロッカーピン25とが拡大されて示されている。ロッカーピン25は2つの長手方向辺26と、2つの高さ方向辺27とを有している。長手方向辺26と高さ方向辺27とは、共同でリンクプレート開口23を取り囲む。符号28を付された転動面を有するロッカーピン25は、図6に記載のリンクプレート開口23の内面の右側に接触している。接触面は互いに合わせられており、長手方向辺26間の高さ方向辺27への移行部の領域においてのみ接触が行われ、高さ方向辺27の中央の領域において接触は行われない。図4記載のリンクプレート21が右側から左側へ移動する場合、ロッカージョイントチェーン22によって伝達される力に応じて、図面においてそれぞれ力方向を示す矢印Fにより示されている力が接触面に伝達される。長手方向辺の中央に対して力作用点がずれている結果、長手方向辺26に引張応力も曲げ応力も作用する。同様に高さ方向辺にも曲げ応力及び引張応力が作用する。
【0019】
リンクプレート21は一方の長手方向辺26の少なくとも外面に突出部29を有している。突出部はこの例では符号29.1及び29.2で示されている。突出部29はロッカージョイントチェーン22のベルト振動時に、内側の滑走路17若しくは外側の滑走路18と接触し、いわゆるピッチング(ドイツ語では「窪み形成(Gruebchenbildung)」)を引き起こす。ピッチングは、滑走路17若しくは18の表面への突出部29の衝突による表面付近の微小剥離形成である。ストッパ突出部30がリンクプレートチェーンの最大の変位、つまり図4の曲率半径RLを制限する。曲率半径RLにおいてストッパ突出部30は隣のリンクプレートに衝突する。
【0020】
図5,6にはそれぞれ、突出部29の代わりに1つ若しくは2つの切欠き31を有する、本発明に係るリンクプレートの一実施の形態が示されている。図5の実施の形態においては、1つの切欠き31がリンクプレート21の真ん中に配置されている。リンクプレート21の中心は中心線36により示されている。図6には、本発明に係るリンクプレートの第2の実施の形態が示されており、2つの切欠きを有している。これらの切欠きには符号31.1及び31.2が付されており、中心線36の両側に配置されている。本発明に係るリンクプレートが1つの滑走路17又は18に触れる場合、接触面は実質的に先行技術のリンクプレートの場合よりも大きい。その理由は、先行技術における小さな接触面を備えた個々の突出部とは異なり、各長手方向辺26の面の大部分が、滑走路17若しくは18に接触しているからである。
【0021】
切欠き31は下側及び上側の長手方向辺26に配置されていてもよく、下側の長手方向辺とは、ロッカージョイントチェーン22の組付け状態における円錐形プーリ対の巻掛け時の内側の面を意味し、対応して上側の長手方向辺26とは、円錐形プーリ対の巻掛け時のロッカージョイントチェーン22の外側の面を意味する。
【0022】
図7には図5に記載の区分Iが示されている。切欠き31の領域が拡大されて示されている。中心線36に一致する対称軸線32に沿って、長手方向辺26は底線33に対して厚さbを有している。底線は長手方向辺26の、切欠き31に渡って延びている外側輪郭である。あたかもリンクプレート21を平坦なプレートに設置したかのように、底線33は最も簡単には長手方向辺26の2つの任意の点に接線方向において接触する直線として表すことができる。底線33に対する切欠き31の深さは、図7においては深さaとして示されている。値a及びbの関係は互いに、0.1≦a/b≦0.5である。有利な実施の形態においては、a:b=1:5である。
【0023】
図8には、図7記載の区分II、つまり切欠き31が拡大されて示されている。図8に記載の切欠きは、切欠きの可能な一実施の形態である。切欠き31の基本形状は台形34である。基本形状は図9においては一点鎖線により記載されている。台形の凹状の角はそれぞれ接線円(Tangentialkreise)により接近され、図9においては、例えば2つの接線円K1,K2が示されている。2つの接線円K1,K2はそれぞれ台形34に2つの点において接線方向に接触する。このことは円K1にとっては点T1,T2であって、円K2にとっては点T2,T3である。このように、円セグメントの並列により台形に近似し、図9においては点T1,T2の間の2つの真っ直ぐな部分は円K1の円セグメントに置き換えられて実線により示されている。相応に点T2,T3の間において相互に鈍角を成してぶつかっている真っ直ぐな部分は、円K2の対応する円セグメントに置き換えられる。円K1,K2の丸みは本実施の形態においては一致し、図8において丸みRは同じ符号で示されている。択一的には、丸みは種々異なっていてもよい。台形34に接する輪郭の構成は対称軸線32に対して対称的である。中心線36の両側に配置された円セグメント(そのうちの1つが図9において円K2に属する円セグメントである)は、真っ直ぐな部分により互いに結合され、図8からこの輪郭は理解される。
【0024】
図10には、図9に記載の台形の個々の区間の長さの幾何学的な比率に関する図が示されている。台形34は、図7において規定した切欠き31の深さに対応する区間aと、区間c及びdの長さと、辺同士の開き角度αとにより表されている。これらのサイズは互いに、
arctg(2・a/d−c)≦α≦90°
の関係にある。
【0025】
図11には、三角形の部分に基づく切欠き31の輪郭の構造の実施の形態が示されている。本実施の形態においても、サイズaは図7に記載の切欠きの深さを示す。三角形の切込み部はサイズa及びd並びに開き角度αにより表されている。これらのサイズは互いに、
arctg(2・a/d)≦α≦90°
0≦c≦d;a/d=1/4.3;0.1≦a/d≦1
の関係にある。
【0026】
図12には、切欠きの構成に関して種々異なる実施の形態が示されている。実施の形態12a)〜12d)には、同じ丸みRの組合せ又は異なる丸みRから成る切欠きの種々異なる構成が示されている。実施の形態12e)には、楕円としての切欠き31の構成が示されている。図12a)には、丸みRを備えた部分円形として形成されている切欠き31の実施の形態が示されている。図12b)には、丸みRを特徴とする前記区分の2つの領域が真っ直ぐな部分35により互いに結合されている切欠き31の実施の形態が示されている。図12c)の実施の形態において、中心線32の領域に配置されている凹状の丸みRVの両側にはそれぞれ凸状の丸みRXが接続している。丸みは、個々の丸み若しくは真っ直ぐな部分の間に緩やかな移行部がもたらされるように互いに並置されている。図12d)の実施の形態には、図12a)の実施の形態から図12bの実施の形態への変更の場合のように、中心線32の領域に真っ直ぐな部分35が設けられている。図12e)では、切欠き31は楕円の一部分の形状を有しており、ひいては部分楕円形状である。図12a)〜12e)において、底線33はそれぞれ一点鎖線により示されている。図面を見やすくするために図12e)においてのみ一点鎖線に符号を付した。
【符号の説明】
【0027】
1 円錐形プーリ対、 2 円錐形プーリ、 3 円錐形プーリ、 4 円錐形プーリ対、 5 円錐形プーリ、 6 円錐形プーリ、 7 駆動軸、 8 被駆動軸、 9 巻掛け手段、 10 圧力室、 11 圧力室、 12 液圧管路、 13 液圧管路、 14 制御弁ユニット、 15 制御機器、 16 ガイドレール、 17 内側の滑走路、 18 外側の滑走路、 19 油管、 20 収容部、 21 リンクプレート、 21.1 リンクプレート、 21.2 リンクプレート、 21.3 リンクプレート、 22 ロッカージョイントチェーン、 23 リンクプレート開口、 24.1 ロッカーピン対、 24.2 ロッカーピン対、 25.1 ロッカーピン、 25.2 ロッカーピン、 25.3 ロッカーピン、 25.4 ロッカーピン、 26 長手方向辺、 27 高さ方向辺、 28 転動面、 29 突出部、 30 ストッパ突出部、 31 切欠き、 31.1 切欠き、 31.2 切欠き、 32 対称軸線、 33 底線、 34 台形、 35 真っ直ぐな部分、 36 中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートであって、リンクプレート開口を取り囲む2つの長手方向辺と2つの高さ方向辺とを有するリンクプレートに関するものである。
【0002】
冒頭で述べた形式のロッカージョイントチェーンは、例えばDE10316441A1において公知であり、ロッカージョイントチェーンの走行方向に対して横方向に並置された複数の列において相前後して配置されたリンクプレートを有している。複数のリンクプレートは走行方向に対して横方向にオーバラップし、走行方向に対して横方向に複数のリンクプレートを貫通するロッカーピンを介して結合されている。各リンクプレートの開口は2つのロッカーピン対によって貫通される。これらのロッカーピン対の、互いに反対側を向いているロッカーピンはリンクプレートの前側若しくは後側の内面に接触し、2つのロッカーピン対の互いに向かい合っているロッカーピンは、隣のリンクプレートのリンクプレート開口の前側若しくは後側の内面に接触する。各ロッカーピン対のロッカーピンの互いに向かい合う面は、ロッカージョイントチェーンの曲がり時に互いに転動する。このようなロッカージョイントチェーンは、例えば円錐形プーリ式巻掛け変速機、いわゆるCVT(continuously variable transmission:無段変速機)のバリエータにおいて使用される。リンクプレートは突出部を有しており、これらの突出部はロッカージョイントチェーンの組付け時に組付け補助として働き、ベルト振動時にCVTのガイドレールに接触する。このようなガイドレールはロッカージョイントチェーンの横方向振動を制限する。トルクが増大するにつれて、CVT内のベルト振動は増大する。突出部は著しい横振動時にはガイドレールにおいてピッチングを引き起こす。
【0003】
ガイドレール磨耗はロッカージョイントチェーンの寿命の短縮にもなる。したがって、本発明の目的は、先行技術のリンクプレートと比べてガイドレールにおける磨耗が減じられているリンクプレートを提供することである。
【0004】
上記目的は、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートであって、リンクプレートは、リンクプレート開口を取り囲む2つの長手方向辺と2つの高さ方向辺とを有し、少なくとも1つの長手方向辺に少なくとも1つの切欠きが配置されている、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートにより達成される。切欠きはこれまで使用されてきた突出部と同じように、ロッカージョイントチェーンの組付け中にリンクプレートの位置決めのために組付け補助として働く。下方に突出している2つの突出部の代わりに、1つ又は複数の切欠きがリンクプレートに配置される。このことは、リンクプレート外側輪郭とガイドレールとの間の明らかに大きな接触面をもたらす。切欠きは、下側及び上側の長手方向湾曲部に設けることもできる。組付け構想に応じて、2つの長手方向辺(上側及び下側)に切欠きを設けることもできる。
【0005】
長手方向辺は切欠きの領域に、有利には底線に対して厚さbを有しており、切欠きは底線に対して深さaを有している。この構成において比率は、0.1≦a/b≦0.5である。さらに有利には、比率はa/b=1/5である。底線は、長手方向辺に設けられている切欠きに置かれた直線である。底線は、例えば凹部を切削加工により設ける場合には、例えば凹部の加工前のリンクプレートの輪郭に対応する。
【0006】
有利には、切欠きはリンクプレートの長手方向輪郭において台形又は方形であるようになっている。この構成において切欠きは、リンクプレートの長手方向輪郭において、有利には丸味付けされたエッジを持った台形状、又は丸味付けされたエッジを持った方形状に形成されている。したがって台形状とは、台形が複数の、少なくとも3つの個所において切欠きの輪郭と接触することができるように台形を挿入することができる切欠きの形状である。丸味付けされたエッジとは、特に種々異なって湾曲された面の間の滑らかな移行部を有する輪郭である。
【0007】
有利には、切欠きは連続した凸状及び凹状の曲線により形成される。曲線は緩やかに互いに移行し、台形状又は方形状の切欠きを形成する。別の構成においては、対称軸線の両側に凹状の曲線が配置されているようになっている。凹状の曲線は、直線部分により互いに結合されている。凸状又は凹状の曲線は、有利には丸みであり、丸みは同じであるようになっていてよい。リンクプレートの長手方向輪郭における切欠きは、択一的に部分円形状又は部分楕円形状であってよい。
【0008】
切欠きは本発明のさらに別の構成においては、リンクプレートの中心線に対してほぼ中心に配置されている。さらに別の構成では、複数の切欠きが長手方向辺に配置されていて、これらの切欠きは有利にはリンクプレートの中心線に対して対称的に配置されている。
【0009】
上記目的は、少なくとも部分的に上記リンクプレートを有するロッカージョイントチェーンによっても達成される。
【0010】
上記目的は、本発明におけるリンクプレートチェーンを備えたバリエータ変速機によっても達成される。リンクプレートの切欠きは、運転中にガイドレールの滑走路を案内されるリンクプレートの面に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】制御装置を備えた自体公知の円錐形プーリ式巻掛け変速機の上記原理図である。
【図2】円錐形プーリ式巻掛け変速機の軸線に対して垂直な中央の断面図である。
【図3】ロッカージョイントチェーンの部分図である。
【図4】リンクプレート及びロッカーピンの拡大図である。
【図5】本発明に係るリンクプレートの第1の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明に係るリンクプレートの第2の実施の形態を示す図である。
【図7】図5に記載の区分Iを示す図である。
【図8】図7に記載の区分IIを示す図である。
【図9】切欠きの輪郭の構造を示す図である。
【図10】切欠きの長さ比率を示す第1の図である。
【図11】切欠きの長さ比率を示す第2の図である。
【図12】切欠きの形状に関する種々異なる実施の形態を示す図である。
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1〜4を参照して、本発明を良好に理解するために及び使用する概念を明確にするために、先行技術のバリエータ変速機とロッカージョイントチェーンとを説明する。バリエータ変速機(円錐形プーリ式巻掛け変速機)は2つの円錐形プーリ対1,4を有している。一方の円錐形プーリ対1の円錐形プーリ3は、例えば内燃機関によって駆動される駆動軸7に不動に結合されている。他方の円錐形プーリ対4の円錐形プーリ5は、車両を駆動する被駆動軸8に不動に結合されている。円錐形プーリ対1の他方の円錐形プーリ2は相対回動不能ではあるが、軸線方向に移動可能に駆動軸7結合されている。円錐形プーリ対4の他方の円錐形プーリ6は相対回動不能でかつ軸線方向移動可能に被駆動軸8に結合されている。2つの円錐形プーリ対1,4の周囲を巻掛け手段9、例えば図3に記載されているようなロッカージョイントチェーンが走行する。巻掛け手段9は円錐形プーリの互いに向かい合う円錐面と摩擦係合している。各円錐形プーリ対の2つの円錐形プーリ間の軸線方向の間隔の反対方向への変位により、2つの円錐形プーリ対の間の回転数比、ひいては変速機の変速比を変更することができる。変速比調整のために例えば圧力室10,11が働く。圧力室10,11は液圧管路12,13を介して制御弁ユニット14に接続されており、制御弁ユニット14により、変速比調整のために液圧媒体圧による圧力室10,11の負荷が制御可能である。制御弁ユニット14の制御のために制御機器15が働く。制御機器15は備え付けのメモリ装置を備えたマイクロプロセッサを内蔵し、制御機器15の入力部は、例えば変速機の操作のためのセレクタレバーユニット、走行ペダル、回転数センサ等に接続されており、制御機器15の出力部は、例えばクラッチ、エンジン(図示せず)の出力作動部材及び制御弁ユニット14に接続されている。円錐形プーリ式巻掛け変速機の構造及び機能はそれ自体公知であるので、以下、説明を省略する。
【0014】
円錐形プーリ式巻掛け変速機の軸7,8の軸線に対して垂直な中央断面図を示す図2によれば、巻掛け手段9の緩み側はガイドレール16により案内される。ガイドレール16は緩み側の揺れを防ぐ。本実施の形態において、プーリ対1,4の回転方向は反時計方向であり、符号7はエンジンによって駆動される駆動軸である。円錐形プーリ式巻掛け変速機若しくは全体的に鎖線で示されている円錐形プーリ式巻掛け変速機の巻掛け手段9は、2つの異なる状態において示されている。一方の状態Aにおいては円錐形プーリ対1の円錐形プーリ間の間隔は最小であり、円錐形プーリ対4の円錐形プーリの間の間隔は最大であり、変速機は可能な限り大きな変速比をもって稼動する。他方の状態Bにおいて変速機は可能な限り小さな変速比をもって稼動する。円錐形プーリ対4において循環する巻掛け手段の曲率半径は最大である。
【0015】
外側の滑走路18と内側の滑走路17との間において巻掛け手段9を案内するガイドレール16は、変速機ケーシング(図示せず)に取り付けられているピン若しくは油管19において、巻掛け手段の運動方向若しくはガイドレールの長手方向に対してほぼ垂直に方向付けられていて相対する側壁を有する、全体的にU字形の収容部20によって支承されている。ガイドレール16は油管19における旋回及び収容部20の相対する壁の、油管20の外面においての移動により、巻掛け手段9の運動経路の変更に追従する。その結果、巻掛け手段9の緩み側は常に確実に案内されていて、振動に対して保護されている。油管19は半径方向の孔を有している。これらの孔及び収容部20の底部に設けられている適切な開口を通じて、ガイドレール16の内部に潤滑媒体が供給され、その結果、巻掛け手段は潤滑されて、ガイドレールに沿って小さな摩擦をもって可動である。
【0016】
図3には、ロッカージョイントチェーン22の一区分が示されている。ロッカージョイントチェーン22はリンクプレート21から構成されている。リンクプレート21はロッカーピン25を介して互いに結合されている。リンクプレート21はロッカージョイントチェーン22の走行方向に対して相並んで配置された複数の列において、相前後して配置されている。図5においてリンクプレート21.1は視線方向において最前の列に設けられている。リンクプレート21.2は最前の列に隣接する列に設けられており、リンクプレート21.3はさらに別の列に設けられている。リンクプレートの結合のために、ロッカーピン25が設けられている。ロッカーピン25はリンクプレート開口23をそれぞれ走行方向に対して横方向に貫通している。各リンクプレート開口は2つのロッカーピン対24.1若しくは24.2によって貫通され、ロッカーピン対24.1にはリンクプレート21.1,21.2が設けられており、ロッカーピン対24.2にはリンクプレート21.1,21.3が設けられている。図面から判るように、ロッカーピン対24.1若しくは24.2の互いに反対側を向いているロッカーピン25.1及び25.4の外面は、ロッカージョイントチェーン22の走行方向に対してリンクプレート開口23の前側若しくは後側の内面において支持される。互いに向かい合っているロッカーピン25.2及び25.3はそれぞれ、隣の列に配置されているリンクプレートのリンクプレート開口の内面において支持される。各ロッカーピン対のロッカーピンの互いに向かい合っている面は転動面を形成する。ロッカージョイントチェーン22の曲げられる各領域の曲率半径が変化する場合、転動面においてロッカーピンは互いに転動する。
【0017】
このようなロッカージョイントチェーン22、及びロッカージョイントチェーン22が循環する2つの円錐形プーリ対を備えた図1及び図2に記載のバリエータは自体公知であり、したがって詳細な説明は省く。
【0018】
図4には、従来のリンクプレート21とロッカーピン25とが拡大されて示されている。ロッカーピン25は2つの長手方向辺26と、2つの高さ方向辺27とを有している。長手方向辺26と高さ方向辺27とは、共同でリンクプレート開口23を取り囲む。符号28を付された転動面を有するロッカーピン25は、図6に記載のリンクプレート開口23の内面の右側に接触している。接触面は互いに合わせられており、長手方向辺26間の高さ方向辺27への移行部の領域においてのみ接触が行われ、高さ方向辺27の中央の領域において接触は行われない。図4記載のリンクプレート21が右側から左側へ移動する場合、ロッカージョイントチェーン22によって伝達される力に応じて、図面においてそれぞれ力方向を示す矢印Fにより示されている力が接触面に伝達される。長手方向辺の中央に対して力作用点がずれている結果、長手方向辺26に引張応力も曲げ応力も作用する。同様に高さ方向辺にも曲げ応力及び引張応力が作用する。
【0019】
リンクプレート21は一方の長手方向辺26の少なくとも外面に突出部29を有している。突出部はこの例では符号29.1及び29.2で示されている。突出部29はロッカージョイントチェーン22のベルト振動時に、内側の滑走路17若しくは外側の滑走路18と接触し、いわゆるピッチング(ドイツ語では「窪み形成(Gruebchenbildung)」)を引き起こす。ピッチングは、滑走路17若しくは18の表面への突出部29の衝突による表面付近の微小剥離形成である。ストッパ突出部30がリンクプレートチェーンの最大の変位、つまり図4の曲率半径RLを制限する。曲率半径RLにおいてストッパ突出部30は隣のリンクプレートに衝突する。
【0020】
図5,6にはそれぞれ、突出部29の代わりに1つ若しくは2つの切欠き31を有する、本発明に係るリンクプレートの一実施の形態が示されている。図5の実施の形態においては、1つの切欠き31がリンクプレート21の真ん中に配置されている。リンクプレート21の中心は中心線36により示されている。図6には、本発明に係るリンクプレートの第2の実施の形態が示されており、2つの切欠きを有している。これらの切欠きには符号31.1及び31.2が付されており、中心線36の両側に配置されている。本発明に係るリンクプレートが1つの滑走路17又は18に触れる場合、接触面は実質的に先行技術のリンクプレートの場合よりも大きい。その理由は、先行技術における小さな接触面を備えた個々の突出部とは異なり、各長手方向辺26の面の大部分が、滑走路17若しくは18に接触しているからである。
【0021】
切欠き31は下側及び上側の長手方向辺26に配置されていてもよく、下側の長手方向辺とは、ロッカージョイントチェーン22の組付け状態における円錐形プーリ対の巻掛け時の内側の面を意味し、対応して上側の長手方向辺26とは、円錐形プーリ対の巻掛け時のロッカージョイントチェーン22の外側の面を意味する。
【0022】
図7には図5に記載の区分Iが示されている。切欠き31の領域が拡大されて示されている。中心線36に一致する対称軸線32に沿って、長手方向辺26は底線33に対して厚さbを有している。底線は長手方向辺26の、切欠き31に渡って延びている外側輪郭である。あたかもリンクプレート21を平坦なプレートに設置したかのように、底線33は最も簡単には長手方向辺26の2つの任意の点に接線方向において接触する直線として表すことができる。底線33に対する切欠き31の深さは、図7においては深さaとして示されている。値a及びbの関係は互いに、0.1≦a/b≦0.5である。有利な実施の形態においては、a:b=1:5である。
【0023】
図8には、図7記載の区分II、つまり切欠き31が拡大されて示されている。図8に記載の切欠きは、切欠きの可能な一実施の形態である。切欠き31の基本形状は台形34である。基本形状は図9においては一点鎖線により記載されている。台形の凹状の角はそれぞれ接線円(Tangentialkreise)により接近され、図9においては、例えば2つの接線円K1,K2が示されている。2つの接線円K1,K2はそれぞれ台形34に2つの点において接線方向に接触する。このことは円K1にとっては点T1,T2であって、円K2にとっては点T2,T3である。このように、円セグメントの並列により台形に近似し、図9においては点T1,T2の間の2つの真っ直ぐな部分は円K1の円セグメントに置き換えられて実線により示されている。相応に点T2,T3の間において相互に鈍角を成してぶつかっている真っ直ぐな部分は、円K2の対応する円セグメントに置き換えられる。円K1,K2の丸みは本実施の形態においては一致し、図8において丸みRは同じ符号で示されている。択一的には、丸みは種々異なっていてもよい。台形34に接する輪郭の構成は対称軸線32に対して対称的である。中心線36の両側に配置された円セグメント(そのうちの1つが図9において円K2に属する円セグメントである)は、真っ直ぐな部分により互いに結合され、図8からこの輪郭は理解される。
【0024】
図10には、図9に記載の台形の個々の区間の長さの幾何学的な比率に関する図が示されている。台形34は、図7において規定した切欠き31の深さに対応する区間aと、区間c及びdの長さと、辺同士の開き角度αとにより表されている。これらのサイズは互いに、
arctg(2・a/d−c)≦α≦90°
の関係にある。
【0025】
図11には、三角形の部分に基づく切欠き31の輪郭の構造の実施の形態が示されている。本実施の形態においても、サイズaは図7に記載の切欠きの深さを示す。三角形の切込み部はサイズa及びd並びに開き角度αにより表されている。これらのサイズは互いに、
arctg(2・a/d)≦α≦90°
0≦c≦d;a/d=1/4.3;0.1≦a/d≦1
の関係にある。
【0026】
図12には、切欠きの構成に関して種々異なる実施の形態が示されている。実施の形態12a)〜12d)には、同じ丸みRの組合せ又は異なる丸みRから成る切欠きの種々異なる構成が示されている。実施の形態12e)には、楕円としての切欠き31の構成が示されている。図12a)には、丸みRを備えた部分円形として形成されている切欠き31の実施の形態が示されている。図12b)には、丸みRを特徴とする前記区分の2つの領域が真っ直ぐな部分35により互いに結合されている切欠き31の実施の形態が示されている。図12c)の実施の形態において、中心線32の領域に配置されている凹状の丸みRVの両側にはそれぞれ凸状の丸みRXが接続している。丸みは、個々の丸み若しくは真っ直ぐな部分の間に緩やかな移行部がもたらされるように互いに並置されている。図12d)の実施の形態には、図12a)の実施の形態から図12bの実施の形態への変更の場合のように、中心線32の領域に真っ直ぐな部分35が設けられている。図12e)では、切欠き31は楕円の一部分の形状を有しており、ひいては部分楕円形状である。図12a)〜12e)において、底線33はそれぞれ一点鎖線により示されている。図面を見やすくするために図12e)においてのみ一点鎖線に符号を付した。
【符号の説明】
【0027】
1 円錐形プーリ対、 2 円錐形プーリ、 3 円錐形プーリ、 4 円錐形プーリ対、 5 円錐形プーリ、 6 円錐形プーリ、 7 駆動軸、 8 被駆動軸、 9 巻掛け手段、 10 圧力室、 11 圧力室、 12 液圧管路、 13 液圧管路、 14 制御弁ユニット、 15 制御機器、 16 ガイドレール、 17 内側の滑走路、 18 外側の滑走路、 19 油管、 20 収容部、 21 リンクプレート、 21.1 リンクプレート、 21.2 リンクプレート、 21.3 リンクプレート、 22 ロッカージョイントチェーン、 23 リンクプレート開口、 24.1 ロッカーピン対、 24.2 ロッカーピン対、 25.1 ロッカーピン、 25.2 ロッカーピン、 25.3 ロッカーピン、 25.4 ロッカーピン、 26 長手方向辺、 27 高さ方向辺、 28 転動面、 29 突出部、 30 ストッパ突出部、 31 切欠き、 31.1 切欠き、 31.2 切欠き、 32 対称軸線、 33 底線、 34 台形、 35 真っ直ぐな部分、 36 中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッカージョイントチェーン(22)のためのリンクプレート(21)であって、該リンクプレート(21)はリンクプレート開口(23)を取り囲む2つの長手方向辺(26)と2つの高さ方向辺(27)とを有している、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートにおいて、
長手方向辺(26)の少なくとも1つに、少なくとも1つの切欠き(31)が配置されていることを特徴とする、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレート。
【請求項2】
前記長手方向辺は切欠き(31)の領域において底線(33)に対して厚さbを有しており、前記切欠きは底線(33)に対して深さaを有しており、比率は0.1≦a/b≦0.5であることを特徴とする、請求項1記載のリンクプレート。
【請求項3】
前記比率はa/b=1/5であることを特徴とする、請求項2記載のリンクプレート。
【請求項4】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において、台形状又は方形状であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載のリンクプレート。
【請求項5】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において、丸味付けされたエッジを持った台形状であるか、又は丸味付けされたエッジを持った方形状であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項6】
切欠き(31)は並列させられた凸状及び凹状の曲線により形成され、該曲線は緩やかに互いに移行し、台形状又は方形状の切欠きを形成することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項7】
対称軸線(32)の両側に凹状の曲線が配置されており、該凹状の曲線は直線部分により互いに結合されていることを特徴とする、請求項6記載のリンクプレート。
【請求項8】
前記凸状又は凹状の曲線は丸み(R)であることを特徴とする、請求項6又は7記載のリンクプレート。
【請求項9】
丸み(R)は同じであることを特徴とする、請求項8記載のリンクプレート。
【請求項10】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において部分円形状であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項11】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において部分楕円形状であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項12】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の中心線(36)に対してほぼ真ん中に配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項13】
複数の切欠き(31.1,31.2)が1つの長手方向辺(26)に配置されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項14】
複数の切欠き(31.1,31.2)は前記リンクプレートの中心線(36)に対して対称的に配置されていることを特徴とする、請求項13記載のリンクプレート。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載のリンクプレート(21)を少なくとも部分的に有することを特徴とする、ロッカージョイントチェーン。
【請求項16】
請求項15記載のロッカージョイントチェーン(22)を備えたバリエータ変速機において、リンクプレート(21)の切欠き(31)は、運転中にガイドレール(16)の滑走路(17,18)を通り過ぎて案内されるリンクプレート(21)の面に配置されていることを特徴とする、請求項15記載のロッカージョイントチェーンを備えたバリエータ変速機。
【請求項1】
ロッカージョイントチェーン(22)のためのリンクプレート(21)であって、該リンクプレート(21)はリンクプレート開口(23)を取り囲む2つの長手方向辺(26)と2つの高さ方向辺(27)とを有している、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレートにおいて、
長手方向辺(26)の少なくとも1つに、少なくとも1つの切欠き(31)が配置されていることを特徴とする、ロッカージョイントチェーンのためのリンクプレート。
【請求項2】
前記長手方向辺は切欠き(31)の領域において底線(33)に対して厚さbを有しており、前記切欠きは底線(33)に対して深さaを有しており、比率は0.1≦a/b≦0.5であることを特徴とする、請求項1記載のリンクプレート。
【請求項3】
前記比率はa/b=1/5であることを特徴とする、請求項2記載のリンクプレート。
【請求項4】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において、台形状又は方形状であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載のリンクプレート。
【請求項5】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において、丸味付けされたエッジを持った台形状であるか、又は丸味付けされたエッジを持った方形状であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項6】
切欠き(31)は並列させられた凸状及び凹状の曲線により形成され、該曲線は緩やかに互いに移行し、台形状又は方形状の切欠きを形成することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項7】
対称軸線(32)の両側に凹状の曲線が配置されており、該凹状の曲線は直線部分により互いに結合されていることを特徴とする、請求項6記載のリンクプレート。
【請求項8】
前記凸状又は凹状の曲線は丸み(R)であることを特徴とする、請求項6又は7記載のリンクプレート。
【請求項9】
丸み(R)は同じであることを特徴とする、請求項8記載のリンクプレート。
【請求項10】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において部分円形状であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項11】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の長手方向輪郭において部分楕円形状であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項12】
切欠き(31)はリンクプレート(21)の中心線(36)に対してほぼ真ん中に配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項13】
複数の切欠き(31.1,31.2)が1つの長手方向辺(26)に配置されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のリンクプレート。
【請求項14】
複数の切欠き(31.1,31.2)は前記リンクプレートの中心線(36)に対して対称的に配置されていることを特徴とする、請求項13記載のリンクプレート。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載のリンクプレート(21)を少なくとも部分的に有することを特徴とする、ロッカージョイントチェーン。
【請求項16】
請求項15記載のロッカージョイントチェーン(22)を備えたバリエータ変速機において、リンクプレート(21)の切欠き(31)は、運転中にガイドレール(16)の滑走路(17,18)を通り過ぎて案内されるリンクプレート(21)の面に配置されていることを特徴とする、請求項15記載のロッカージョイントチェーンを備えたバリエータ変速機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【公表番号】特表2011−506879(P2011−506879A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538319(P2010−538319)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001945
【国際公開番号】WO2009/076924
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001945
【国際公開番号】WO2009/076924
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
【Fターム(参考)】
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