説明

ロッカー管理システム及びロッカー管理プログラム

【課題】ロッカー装置における各収納庫の使用頻度を平均化させる。
【解決手段】施設内の来訪者に携帯させるICカードがカードリーダ42に読み取られることに応じて解錠されるロッカー41それぞれの解錠回数を積算するロッカー使用監視処理部31と、施設へ来訪者に使用させるロッカーを特定する受付処理において、その受付処理時点において未使用であって解錠回数が最も少ないロッカー41を、当該来訪者に使用させるロッカー41として特定する受付処理部21と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカー管理システム及びロッカー管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、データセンタなど機密性の高い情報を取り扱う施設では、来訪者にICカードを渡し、施設内を移動させる際には常時携帯させる場合が少なくない。更に、来訪者が携帯してきた鞄などの私物をロッカーに収容させて、施設内又は特定の室内への私物の持ち込みを禁止している場合もある。このロッカーの使用に関して、従来では、次のように運用している。
【0003】
例えば、施設に到着した顧客が最初に訪れる受付において、受付者は、その来訪者にICカードを渡す。その際、その来訪者に使用させるロッカーを決める。使用させるロッカーは、現在使用されていないロッカーの中から受付者が選択することになる。ロッカー管理システムは、受付者の操作に応じてICカードのIDとロッカー番号とを対応付けてロッカーの使用状態を管理する。
【0004】
ICカードを受け取った来訪者は、私物を収容させるために、ロッカー装置の設置場所まで行く。ロッカー装置には、それぞれの扉に電磁錠が取り付けられている複数の収納庫(上記「ロッカー」に相当)と、カードリーダとが設けられている。来訪者が携帯しているICカードをカードリーダにかざすと、ロッカー管理システムは、ICカードから読み取ったカードIDから特定されるロッカー番号(収納庫の番号)を特定し、その特定した収納庫を解錠する。そして、来訪者は、解錠された収納庫に私物等の荷物をしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−11924号公報
【特許文献2】特開2010−229764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来においては、来訪者に使用させる収納庫を受付者が任意に決めていたので、各収納庫の使用回数に偏りが発生する可能性があった。各収納庫の使用頻度に偏りが発生すると劣化の程度に差異が発生するので、保守の観点からして好ましいものではない。
【0007】
例えば、収納庫を順番に使用するなどの運用によって、各収納庫の使用回数を平均化することは理論的には可能であるかもしれない。しかしながら、来訪者に使用させる収納庫を決めている受付者は、日や時間帯により交代するため、この運用が必ずしも遵守されるとは限らない。
【0008】
本発明は、ロッカー装置における各収納庫の使用頻度を平均化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るロッカー管理システムは、それぞれに錠が付いた複数の収納庫と、ユーザに携帯されている記録媒体を読み取る読取手段と、を備えたロッカー装置の使用を管理するロッカー管理システムにおいて、前記読取手段により前記記録媒体が読み取られると、その読み取られた記録媒体に対応付けられている前記収納庫を解錠する制御手段と、前記記録媒体が前記読取手段に読み取られることに応じて解錠される前記収納庫それぞれの解錠回数を積算する積算手段と、ユーザの収納庫使用開始要求に応じて、収納庫使用開始要求受付時点において未使用であって前記複数の収納庫の中から解錠回数が最も少ない収納庫を、当該ユーザに使用させる前記収納庫として特定する使用開始時処理手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記記録媒体の識別情報に、当該記録媒体が前記読取手段に読み取られたことに応じて解錠される前記収納庫を特定する情報を対応付けして記憶する記録媒体管理情報記憶手段と、前記複数の収納庫それぞれの識別情報に、当該収納庫の解錠回数及び当該収納庫の使用可能状態を示す情報を対応付して記憶する収納庫管理情報記憶手段と、ユーザの収納庫使用終了要求に応じて、ユーザに携帯させていた記録媒体の識別情報に対応付けされた前記収納庫を特定する情報を前記記録媒体管理情報記憶手段から消去する使用終了時処理手段と、を有し、前記使用開始時処理手段は、ユーザの収納庫使用開始要求に応じて当該ユーザに使用させる前記収納庫を特定すると、当該ユーザに携帯させる記録媒体の識別情報に、その特定した前記収納庫を特定する情報を対応付して前記記録媒体管理情報記憶手段に設定し、また、前記収納庫管理情報記憶手段に記憶されている当該特定された収納庫の使用可能状態を示す情報を使用中を表す情報で更新することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るロッカー管理プログラムは、それぞれに錠が付いた複数の収納庫とユーザに携帯されている記録媒体を読み取る読取手段とを備えたロッカー装置の使用を管理するロッカー管理システムであって、前記読取手段により前記記録媒体が読み取られると、その読み取られた記録媒体に対応付けられている前記収納庫を解錠する制御手段を有するロッカー管理システムに含まれるコンピュータを、前記記録媒体が前記読取手段に読み取られることに応じて解錠される前記収納庫それぞれの解錠回数を積算する積算手段、ユーザの収納庫使用開始要求に応じて、収納庫使用開始要求受付時点において未使用であって前記複数の収納庫の中から解錠回数が最も少ない収納庫を、当該ユーザに使用させる前記収納庫として特定する使用開始時処理手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各収納庫の使用頻度を平均化させることによって各収納庫の劣化のばらつきを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るロッカー管理システムの一実施の形態を示したシステム構成及び各コンピュータのブロック構成を示した図である。
【図2】本実施の形態における受付端末装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態におけるロッカー管理情報保持部に設定される情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図4】本実施の形態におけるカード管理情報保持部に設定される情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図5】本実施の形態における受付処理を示したフローチャートである。
【図6】本実施の形態におけるロッカー使用監視処理を示したフローチャートである。
【図7】本実施の形態における退出処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るロッカー管理システムの一実施の形態を示したシステム構成及び各コンピュータのブロック構成を示した図である。本実施の形態におけるロッカー管理システムは、データセンタなどの施設内に設置されている。図1には、受付端末装置20とロッカー管理サーバ30とロッカーコントローラ17とがネットワーク18で接続された構成が示されている。受付端末装置20は、来訪者が最初に訪れる施設の受付に設置されたコンピュータである。ロッカー管理サーバ30は、施設内に設置された1又は複数のロッカー装置の使用状態を管理するサーバコンピュータであり、例えば施設のコンピュータルームなどに設置される。ロッカー管理サーバ30は、単独のサーバコンピュータとして形成してもよいし、入退室管理システム(セキュリティシステム)における入退室管理サーバに兼用させてもよい。すなわち、ロッカー管理サーバ30が実現するロッカー管理機能を入退室管理サーバに持たせて、入退室管理サーバをロッカー管理サーバ30として利用してもよい。ロッカーコントローラ17は、各ロッカー装置40に対応して設けられ、接続されたロッカー装置40の動作制御を行う。
【0016】
ロッカー装置40は、それぞれの扉に電磁錠が付けられている複数の収納庫41と、ユーザに携帯させるICカードを読み取る読取手段としてのカードリーダ42と、を備えている。ICカードは、記録媒体として設けられ、カードの識別情報(以下、「カードID」)を記憶している。ロッカーコントローラ17は、制御手段として設けられており、カードリーダ42によりICカードが読み取られると、ロッカー装置40に設けられた収納庫41のうち、その読み取られたICカードに対応付けられている収納庫41を解錠する。なお、施設内には、複数のロッカー装置40を設置してもよいが、それぞれは同じ構成でよいので、図1には1台のみ図示した。また、以降の説明では、収納庫41のことを「ロッカー」と称することにする。
【0017】
図2は、本実施の形態における受付端末装置20を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において受付端末装置20を形成するコンピュータの基本構成は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU1、ROM2、RAM3、ハードディスクドライブ(HDD)4を接続したHDDコントローラ5、入力手段として設けられたマウス6とキーボード7、及び表示装置として設けられたディスプレイ8をそれぞれ接続する入出力コントローラ10、通信手段として設けられたネットワークコントローラ11を内部バス12に接続して構成される。そして、本実施の形態の場合、入出力コントローラ10には、ICカードに書き込まれているICカードの識別情報としてのカードIDを読み取るカードリーダ9が更に接続されている。
【0018】
ロッカー管理サーバ30は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現でき、また、受付端末装置20と同じくコンピュータであることから、ロッカー管理サーバ30のハードウェア構成は、図2と同様に図示してもよい。ただ、本実施の形態におけるロッカー管理サーバ30には、カードリーダ9は特に必要ない。
【0019】
図1に戻り、受付端末装置20及びロッカー管理サーバ30の機能構成について説明する。受付端末装置20は、受付処理部21、退出処理部22及びカードID取得部23を有している。なお、図1には、本実施の形態の説明に必要な構成要素のみを示す。受付処理部21は、使用開始時処理手段として設けられ、受付において来訪者に渡すICカードと、当該来訪者により使用されるロッカーとを関連付ける。退出処理部22は、使用終了時処理手段として設けられ、来訪者が施設から退出する際に、来訪者に渡したICカードと、当該来訪者により使用されたロッカーとの関連付けを解消する。カードID取得部23は、カードリーダ9によりICカードから読み取られたカードIDを取得する。
【0020】
受付端末装置20における各構成要素21〜23は、受付端末装置20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU1で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0021】
ロッカー管理サーバ30は、ロッカー使用監視処理部31、情報管理部32、ロッカー管理情報保持部33及びカード管理情報保持部34を有している。なお、図1には、本実施の形態の説明に必要な構成要素のみを示す。ロッカー使用監視処理部31は、ロッカー装置40の使用状態を監視する処理機能を実行する。ロッカー使用監視処理部31は、この監視処理機能の一部を実現する積算手段としての機能を有している。情報管理部32は、各保時部33,34に保持されている情報の管理を行う。具体的には、受付端末装置20からの要求に応じて各保時部33,34に保持されている情報の送信、更新等を行う。ロッカー使用監視処理部31及び情報管理部32は、受付端末装置20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU1で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0022】
ロッカー管理情報保持部33は、収納庫管理情報記憶手段として設けられ、ロッカー装置40に含まれるロッカー41に関する情報を記憶する。ロッカー管理情報保持部33に設定される情報のデータ構成の一例を図3に示す。ロッカー管理情報保持部33には、複数のロッカー41それぞれの識別情報(「ロッカー番号」)に、当該ロッカーが解錠されたことで開閉される扉の「開閉回数」、当該ロッカーの使用可能状態を示す情報(「使用中」)及び当該ロッカーの使用が予約された「予約日」が対応付けられて記憶される。各ロッカー41は、扉の開閉が劣化につながるので、本実施の形態では、ロッカーの扉の開閉回数を積算することにした。なお、扉を開くためにはロッカーを解錠する必要があるので、解錠回数と開回数は同義である。また、扉を開いた後は必ず閉めるので、本実施の形態では、解錠回数と開閉回数とを同義語として用いる。ロッカー管理情報において、来訪者に使用が許可されたロッカーの「使用中」には、フラグ情報として“1”が設定される。 図3に示した空白のように“1”以外は未使用を示す。本実施の形態では、来訪してくる顧客がロッカーを使用することが事前にわかっている場合にはロッカーの予約を認めているので、予約されたロッカーの「予約日」には、予約情報として来訪者の応対者若しくは受付者によりその予約された日付が設定される。
【0023】
カード管理情報保持部34は、記録媒体管理情報記憶手段として設けられ、記録媒体の一形態であるICカードに関する情報を記憶する。カード管理情報保持部34に設定される情報のデータ構成の一例を図4に示す。カード管理情報保持部34には、ICカードの識別情報(「カードID」)に、権限設定情報が対応付けられて記憶される。権限設定情報には、当該ICカード(を携帯する来訪者)に付与される権限が設定され、具体的には当該ICカードをカードリーダに読み取らせることに応じて解錠される扉やロッカーを特定する情報が設定される。図4に示した設定例によると、カードID“0001”には、扉1とロッカー番号2に許可を示すフラグ情報として“1”が設定されているので、カードID“0001”のICカードが手渡された来訪者は、ロッカー番号2のロッカー41の使用が許可されたことになる。なお、扉1というのは、来訪者がICカードが手渡される受付からロッカー装置40が設置されている場所に移動する間に通過する扉である。つまり、ロッカー41の使用が許可されると同時に、そのロッカー装置40が設置されている場所に移動するまでに通過する扉も合わせて通過が許可される。
【0024】
ロッカー管理情報保持部33及びカード管理情報保持部34は、ロッカー管理サーバ30に搭載されたHDD4又はRAM4で実現される。あるいは、ネットワーク18を介してアクセス可能な別の装置にて実現してもよい。
【0025】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0026】
次に、本実施の形態における動作について説明する。本実施の形態において実施する処理としては、顧客の訪問があったときに実施する受付処理、来訪者が退出するときに実施する退出処理、及び常時動作してロッカー装置40の使用を監視する監視処理がある。まず、顧客の訪問があったときに実施する受付処理について図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0027】
本実施の形態におけるロッカー管理システムが導入された施設の受付に顧客が立ち寄ると、受付者は、受付処理を実施するために、受付端末装置20のディスプレイ8に表示されているメニュー画面(図示せず)から受付ボタンを選択する。この選択操作によりロッカーの使用開始要求が発せられて受付処理部21が起動される。受付処理部21は、起動されると、ICカードの読取指示をディスプレイ8に表示する。受付者は、この画面表示された読取指示に従い来訪者に手渡す予定のICカードを受付端末装置20に接続されているカードリーダ9にかざす。受付端末装置20におけるカードID取得部23がカードリーダ9により読み取られたICカードのカードIDを取得すると(ステップ101)、受付処理部21は、来訪者に使用させるロッカーを次のようにして決定する(ステップ102)。
【0028】
すなわち、受付処理部21は、ロッカー管理サーバ30の情報管理部32に要求することでロッカー管理情報を取得すると、取得したロッカー管理情報の「使用中」を参照して現時点、すなわち使用開始要求受付時点において未使用であるロッカー、具体的には「使用中」が“1”でないロッカー番号を選出する。更に、その選出したロッカーの中から「開閉回数」が最も少ないロッカー番号を特定する。図3に例示したロッカー管理情報であれば、未使用であって開閉回数が最も少ないのは、ロッカー番号が3のロッカーである。
【0029】
このようにして、来訪者に使用させるロッカー41を特定すると、受付処理部21は、情報管理部32に、そのロッカー41、この例ではロッカー番号3のロッカーの「使用中」に1をセットすることでロッカー番号3の使用状態を使用中と設定変更させる(ステップ103)。更に、受付処理部21は、来訪者に使用させるICカードのカードIDを情報管理部32に送信して、カード管理情報における当該ICカードについて権限設定情報を設定させる(ステップ104)。具体的には、来訪者はカードID“0003”のICカードを手渡す場合、図4に例示したように、 カードID“0003”においてロッカー番号3の項目に“1”のフラグ45をセットすると共に、ロッカー装置40の設置場所へ移動する際に通過する必要のある扉1の項目にも“1”のフラグ46をセットする。このようにして、カードID“0003”を携帯する来訪者に通過可能な扉と使用可能なロッカーの権限を付与する。
【0030】
なお、本実施の形態では、ステップ102〜104において、受付端末装置20が来訪者に使用させるロッカーを決定し、また、各管理情報の更新をロッカー管理サーバ30の情報管理部32に要求するようにした。つまり、受付処理を受付端末装置20主導で行うようにしたが、ステップ102〜104における各処理をロッカー管理サーバ30が実施するようにしてもよい。例えば、受付端末装置20は、カードIDを含むロッカー使用開始要求をロッカー管理サーバ30に送信するだけにする。そして、ロッカー管理サーバ30は、この要求に応じて来訪者に使用させるロッカーを特定し、各管理情報を更新し、そして、来訪者に使用させるロッカー番号を受付端末装置20へ知らせるように処理してもよい。
【0031】
以上のようにして、来訪者に使用させるロッカー41が特定されると、受付処理部21は、その使用させるロッカー番号をディスプレイ8に表示する(ステップ105)。受付者は、ICカードを来訪者に手渡す際にディスプレイ8に表示されたロッカー番号を告げる。本実施の形態における受付処理は上記の通りである。
【0032】
ICカードを手渡された来訪者は、私物をしまうためにロッカー装置40の設置場所まで移動する。このとき、施錠されている扉を通過する際には、携帯しているICカードを扉に対応付けされているカードリーダ(図示せず)にかざす。カードリーダがICカードを読み取ると、ICカードに記録されているカードIDと自己のカードリーダIDとをロッカー管理サーバ30に送信する。ロッカー管理サーバ30は、カードリーダからカードIDとカードリーダIDとを組にした認証要求情報が送られてくると、カードリーダIDから来訪者が通過しようとした扉を特定する。そして、カード管理情報を参照し、ICカードを携帯する来訪者がその特定した扉の通過を許可されている場合には、その扉を解錠する。
【0033】
なお、本実施の形態では、説明の簡略化するために扉の解錠をロッカー管理システムが行うように説明したが、扉の解錠等は、本来、施設に設置された入退室管理システムと連携して行うものである。また、カードリーダIDに対応した扉は、入退室管理システムと連携して特定しうる。
【0034】
来訪者は、通過が許可された扉を通り抜け、ロッカー装置40の設置場所にたどり着くと、携帯しているICカードをカードリーダ42にかざす。カードリーダ42がICカードからカードIDを読み取ると、ロッカーコントローラ17は、その読み取られたカードIDをロッカー管理サーバ30に送信する。なお、複数のロッカー装置40が存在する場合には、ロッカー装置40の識別情報をカードIDと共に送信すればよい。
【0035】
カードIDが送られてくると、ロッカー管理サーバ30は、カード管理情報を参照することにより、送られてきたカードIDに対応付けられたロッカー番号を特定する。ロッカー番号が特定されると、ロッカー管理サーバ30は、そのロッカー番号のロッカーの解錠をロッカーコントローラ17を指示する。ロッカーコントローラ17は、この解錠指示に応じて該当するロッカーの解錠を行う。このように、来訪者は、携帯しているICカードをカードリーダ42にかざすことで、使用が許可されているロッカーを使用できるようになる。来訪者は、扉を開けて私物等お荷物を収納した後、扉を閉じる。これにより、ロッカーは施錠される。
【0036】
ここで、ロッカー管理サーバ30のロッカー使用監視処理部31におけるロッカー使用監視処理について図6に示したフローチャートを用いて説明する。ロッカー使用監視処理部31を実現するプログラムは、起動されるとRAM3に常駐してロッカーの使用を常時監視する。
【0037】
ロッカー管理サーバ30がカードリーダ42により読み取られたカードIDを取得すると(ステップ111)、該当するロッカーを解錠することは前述したとおりである。ロッカー使用監視処理部31は、解錠を検出すると、ロッカー管理情報において、解錠されたロッカー番号に対応する「開閉回数」を1カウントアップする(ステップ112)。来訪者がICカードをカードリーダ42にかざして解錠するということは、来訪者が私物等の荷物をロッカーにしまったり取り出すために扉を開閉動作することに等しい。この扉の開閉がロッカー41の劣化に直結する。来訪者による扉の開閉は、来訪者が訪問時に荷物を収納するための1回と、退出時に荷物を取り出すための1回の計2回とは限らず、1回の訪問中に何回か開閉する可能性はあるので、本実施の形態では、ICカードの発行回数ではなくロッカー使用監視処理部31を設けて解錠回数を積算するようにした。
【0038】
次に、来訪者が退出するときに実施する退出処理について図7に示したフローチャートを用いて説明する。
【0039】
来訪者が退出する際、使用したロッカーから荷物を取り出し、通過が許可されている扉を通って受付まで戻る。受付者は、退出処理を実施するために、受付端末装置20のディスプレイ8に表示されているメニュー画面から退出ボタンを選択する。この選択操作によりロッカーの使用終了要求が発せられて退出処理部22が起動される。退出処理部22は、起動されると、ICカードの読取指示をディスプレイ8に表示する。受付者は、この画面表示された読取指示に従い来訪者から戻されたICカードを受付端末装置20に接続されているカードリーダ9にかざす。受付端末装置20におけるカードID取得部23がカードリーダ9により読み取られたICカードのカードIDを取得すると(ステップ121)、退出処理部22は、ロッカー管理サーバ30の情報管理部32に要求することで、カード管理情報に設定されている当該カードIDに対応付けされた権限設定情報の設定内容を削除させる(ステップ122)。つまり、当該ICカードに設定された権限を初期化する。なお、退出処理部22は、権限設定情報の設定内容を削除させる前に、使用が許可されていたロッカー番号を取得しているので、このロッカー番号に対応したロッカー管理情報の「使用中」のフラグ情報をクリアして未使用の状態に設定変更させる(ステップ123)。このようにして、来訪者が使用していたICカード及びロッカーを未使用の状態にする。
【0040】
本実施の形態は、以上のように動作することによって使用頻度の少ないロッカーを優先的に使用させることができるが、ロッカー管理の内容として以下の付加的なサービスを提供する。
【0041】
まず、一つに、グループで訪問された場合、そのグループに対して1ブロックを形成する位置のロッカーを割り当てるようにする。例えば、1グループ4名での訪問があった場合、図1においてロッカー番号6,7,8,9、ロッカー番号6,7,11,12、あるいはロッカー番号2,7,8,12のように、そのグループに対して隣接した位置のロッカーから成る1ブロックを割り当てる。この場合、1ブロックを構成するロッカーは、次のように決めてもよい。
【0042】
例えば、未使用中であって「開閉回数」が最も少ないロッカーを含む1ブロックを特定する。仮に、1ブロック(4名分の隣接した位置のロッカー)を形成できなければ、次に「開閉回数」が少ないロッカーを含む1ブロックを特定する。
【0043】
あるいは、1ブロックを形成できるロッカー群を1又は複数特定し、それぞれのロッカー群に含まれるロッカーの「開閉回数」の総和の最も少ない1ブロックを特定する。
【0044】
他の一つに、予約を行えるようにしたことである。すなわち、ロッカーの使用を伴う訪問がある場合、その訪問日をロッカー管理情報の「予約日」に設定する。「予約日」に日付が設定されると、そのロッカーは、予約日における受付処理において使用中扱いとされて選択されない。そして、予約日において、予約した顧客が来訪すると、受付者は、所定の操作を行うことで、ロッカー管理情報の「予約日」の設定内容を削除すると共に、「使用中」に“1”をセットする。なお、本実施の形態では、日単位に予約を受け付けるようにしたが、時間毎に細かく区切って予約を受け付けるようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施の形態では、ロッカー41とカードリーダ42とが一体形成されたロッカー装置40を示したが、必ずしも一体に形成されている必要はない。
【0046】
また、本実施の形態では、カード管理情報を用いることで、ICカードとロッカー41とをその都度対応付けるようにしたが、ロッカー41毎にICカードを設けるようにしてもよい。また、記録媒体としてICカードを例にしたが、これに限定する必要はない。更に、本実施の形態では、記録媒体を用いてロッカー41を解錠するようにしたが、開閉回数の最も少ないロッカーを使用させることは、記録媒体を用いなくても、例えば指紋等の生体情報を用いたロッカー管理システムにも応用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 CPU、2 ROM、3 RAM、4 ハードディスクドライブ(HDD)、5 HDDコントローラ、6 マウス、7 キーボード、8 ディスプレイ、9 カードリーダ、10 入出力コントローラ、11 ネットワークコントローラ、12 内部バス、17 ロッカーコントローラ、18 ネットワーク、20 受付端末装置、21 受付処理部、22 退出処理部、23 カードID取得部、30 ロッカー管理サーバ、31 ロッカー使用監視処理部、32 情報管理部、33 ロッカー管理情報保持部、34 カード管理情報保持部、40 ロッカー装置、41 ロッカー(収納庫)、42 カードリーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに錠が付いた複数の収納庫と、ユーザに携帯されている記録媒体を読み取る読取手段と、を備えたロッカー装置の使用を管理するロッカー管理システムにおいて、
前記読取手段により前記記録媒体が読み取られると、その読み取られた記録媒体に対応付けられている前記収納庫を解錠する制御手段と、
前記記録媒体が前記読取手段に読み取られることに応じて解錠される前記収納庫それぞれの解錠回数を積算する積算手段と、
ユーザの収納庫使用開始要求に応じて、収納庫使用開始要求受付時点において未使用であって前記複数の収納庫の中から解錠回数が最も少ない収納庫を、当該ユーザに使用させる前記収納庫として特定する使用開始時処理手段と、
を有することを特徴とするロッカー管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のロッカー管理システムにおいて、
前記記録媒体の識別情報に、当該記録媒体が前記読取手段に読み取られたことに応じて解錠される前記収納庫を特定する情報を対応付けして記憶する記録媒体管理情報記憶手段と、
前記複数の収納庫それぞれの識別情報に、当該収納庫の解錠回数及び当該収納庫の使用可能状態を示す情報を対応付して記憶する収納庫管理情報記憶手段と、
ユーザの収納庫使用終了要求に応じて、ユーザに携帯させていた記録媒体の識別情報に対応付けされた前記収納庫を特定する情報を前記記録媒体管理情報記憶手段から消去する使用終了時処理手段と、
を有し、
前記使用開始時処理手段は、ユーザの収納庫使用開始要求に応じて当該ユーザに使用させる前記収納庫を特定すると、当該ユーザに携帯させる記録媒体の識別情報に、その特定した前記収納庫を特定する情報を対応付して前記記録媒体管理情報記憶手段に設定し、また、前記収納庫管理情報記憶手段に記憶されている当該特定された収納庫の使用可能状態を示す情報を使用中を表す情報で更新することを特徴とするロッカー管理システム。
【請求項3】
それぞれに錠が付いた複数の収納庫とユーザに携帯されている記録媒体を読み取る読取手段とを備えたロッカー装置の使用を管理するロッカー管理システムであって、前記読取手段により前記記録媒体が読み取られると、その読み取られた記録媒体に対応付けられている前記収納庫を解錠する制御手段を有するロッカー管理システムに含まれるコンピュータを、
前記記録媒体が前記読取手段に読み取られることに応じて解錠される前記収納庫それぞれの解錠回数を積算する積算手段、
ユーザの収納庫使用開始要求に応じて、収納庫使用開始要求受付時点において未使用であって前記複数の収納庫の中から解錠回数が最も少ない収納庫を、当該ユーザに使用させる前記収納庫として特定する使用開始時処理手段、
として機能させるためのロッカー管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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