説明

ロッカー

【課題】 従来のロッカーはズボンを履き替えるときに、足を乗せるプレートをしゃがんで掴み、出し入れしなければならず、操作がめんどうである。また扉の開閉に連動して、プレートを出し入れする従来のロッカーは、足を乗せるのに十分の長さを確保できなかった。
【解決手段】 ロッカー本体2の前面パネル7に形成された切欠き18と、前記切欠き18からロッカー本体2の下方に出し入れ自在なプレート23と、前記プレート23を動力伝達手段を介して、前後方向に移動するモータ36と、前記モータ36を正転させる第1スイッチ16aと、前記モータ36を逆転させる第2スイッチ17aとを設けた。これにより、スイッチ16a,17aを押圧する簡単な操作で、プレート23を出し入れでき、しかもプレート23を引き出せる長さは、足を乗せるのに十分な長さを確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会社の更衣室等に置かれ、衣服や小物等を収納するロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッカーは更衣室等に置かれており、私服や仕事着に着替えたとき、扉を開閉して内部に、脱いだ衣服を収納でき便利である。ところで、更衣室の床は、道路やトイレを歩いた履物で歩かれているため、汚れており、不衛生である。上着の着替えは履物を履いたまま着替えを行うことができるが、ズボンやスカート(以下、単にズボンという)を履き替えるときには、ロッカーが置かれた扉前方の床(以下、単に着替えスペースという)で履物を脱いで立ち履き替えを行うので、足が汚れたりして、不衛生である。このため、着替えスペースすのこ等を置き、これらに履物を脱いだ足を乗せ、床に触れないようにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、着替えスペースにすのこを配置すると、更衣室を清掃するときには、すのこが邪魔になり、床掃除がしにくいという問題がある。また更衣室の形状及び広さ、そこに配置されるロッカーの数により、着替えスペースが形状がまちまちとなる。このため、着替えスペースに置かれるすのこのサイズは、更衣室毎に異なる場合が多く、すのこは既製ではなく、特注ものとなりコストがかかるという問題も派生する。これらの問題を解決するために、
【0004】
実開昭50−31023号公報記載のロッカーでは、扉の下方に扉と同等巾の足場板を引き出し自在に、かつ足場板の前面に把手を設け、ズボンを履き替えるときに、引き出した足場板に履物を脱いだ足を乗せるようにしている。しかしながら、このロッカーでは着替えをするときに、しゃがんで把手を掴み、足場板を出し入れしなければならず、また入れ戻すのを忘れると、足場板が邪魔になるという問題がある。この問題を解決するために、
【0005】
特開平8−150033号公報記載のロッカーでは、スノコの前端部に係 合溝を形成し、この係合溝に扉から垂下した推動部材を設け、扉の開閉に連動してスノコを出し入れするようにしている。しかしながら、このロッカーでは、スノコが引き出される長さが、扉の巾とほぼ同じであるため、足を乗せるための長さが確保できないという問題がある。
【特許文献1】実開昭50−31023号公報
【特許文献2】特開平8−150033号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明では、前面に開閉自在な扉が設けられ,内部に物を収納するロッカー本体と、ロッカー本体の下端部に設けられ、ロッカー本体の底板を載地面から浮かせる支持部と、前記扉の下方の支持部に形成された横長の切欠きと、この切欠きから前記底板の下方に挿通され、前記支持部に設けられたガイド部と、このガイド部にガイドされ、第1の位置と第2の位置との間で前後方向に移動自在なプレートと、このプレートを動力伝達手段を介して、正転時に第1の位置方向に移動するとともに逆転時に第2の位置方向に移動するモータと、前記モータを正転させる第1スイッチと、前記モータを逆転させる第2スイッチとで構成した。
【0007】
また請求項2記載の発明では、請求項1記載の構成に、第1スイッチによる正転及び第2スイッチによる逆転を一定時間継続して停止する制御部を加えて構成した。更に請求項3記載の発明では、請求項1記載の構成に、第1の位置のプレートを検出する第1センサと、第2の位置のプレートを検出する第2センサと、前記正転を継続させ、プレートが第1の位置に移動したときに正転を停止するとともに、前記逆転を継続させ、プレートが第2の位置に移動したときに逆転を停止する制御部とを加えて構成した。
【0008】
また請求項4記載の発明では、前記第1スイッチを、ロッカー本体の内部に設けたものである。また請求項5記載の発明では、前記第2スイッチを、扉の開閉に連動してOFF,ONするようにしたものである。更に請求項6記載の発明では 前記プレートに抗菌加工を施したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のロッカーによれば、第1の位置と第2の位置との間で移動自在なプレートを、モータで移動させるようにし、第1スイッチを押したときにプレートをロッカー本体前面に移動するとともに、第2スイッチを押したときにプレートをロッカー本体の下方に移動して収納できるようにしたから、しゃがんでプレートを掴んで引き出したり、押し込んだりせずに、スイッチを押す簡単な操作でプレートを出し入れすることができる。
【0010】
このため、ズボンを履き替えるときに、履物を脱いだ足をプレートに乗せることができるから、足が汚れることがない。その際に、足で踏まれたプレートに手を触れることがないので、衛生的である。またプレートの移動距離は、スイッチの操作時間に準じるので、ロッカー前に着替える人が少ないときには足を乗せるのに十分の長さを確保できる長さ、例えばロッカー本体の奥行きの2/3を引き出し、また着替える人が多いときには、足が乗せられる最小限の長さを引き出して、プレートに足を乗せてズボンやスカートを履き替えることができる。
【0011】
請求項2記載のロッカーによれば、第1スイッチが押されると、モータが予め設定された回転数を正転し、第2スイッチが押されると、予め設定された回転数を逆転して、プレートを一定の長さ出し入れするオープンループ制御を行うから、移動しているプレートを目視せずに、しかもワンタッチ操作で、プレートを出し入れすることができる。請求項3記載のロッカーによれば、第1、第2の位置でプレートの検出を行い、これをフィードバックしてモータの正転及び逆転を停止するクローズドループ制御を行うようにしたから、プレートを確実に決められた位置に停止することができる。
【0012】
請求項4記載のロッカーによれば、第1スイッチをロッカー本体の内部に設けたから、第3者のいたずらでプレートを引き出されることを防止することができる。請求項5記載のロッカーよれば、第2スイッチを扉の開閉に連動してOFF,ONするようにするとともに、扉を閉じたときにONするようにしたから、プレートが引き出されている場合には、扉を閉めると、ロッカー本体の下方に確実に収納されるので、引き出された状態で放置されることがなく、ロッカーの前を歩くときも、ロッカー前面の床を清掃するときにも、プレートが邪魔になることがない。
【0013】
請求項6記載のロッカーでは、プレートに抗菌加工を施したから、足に付着した雑菌や、空中に浮遊している雑菌がプレート表面で繁殖するのを抑え込むことができるので、汗等が腐敗して悪臭が発生するのを防止することができる。また他人とプレートを共用しても、これを介して、雑菌が感染するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明を実施した四人用ロッカーの第1実施例を示す。ロッカー本体2は、矩形の天板3と、この天板3の両側端部と後端部に固着された側板4と、この側板4の内側に、下端から離れた位置で前記天板3と面並行になるように、後縁及び両側縁をそれぞれ固着された底板5と、前記側板4の前端の上,下端部に桟としてそれぞれ固着された前面パネル6,7と、これら前面パネル6,7に開閉自在に軸支された4個の扉8a〜8dとからなる。なお、この実施例では、前記側板4の下端部と前面パネル7とが支持部を構成しており、前記底板5を載地面、例えば床から浮かせている。このため,底板5の前縁は、前面パネル7の上端に固着される。また、扉8a〜8dには取手9、鍵10がそれぞれ取り付けられている。
【0016】
扉8aと扉8b,扉8bと扉8c,扉8cと扉8dの間には、仕切板11がそれぞれ設けられている。これら仕切板11の前端部と両側板4の前端部はそれぞれ折り返されている。これら折返部12は上端が前面パネル6に、下端が前面パネル7にそれぞれ係止し、天板3を支えている。仕切板11の各折返部12は、扉8a〜8cが閉められたときに、その裏面に当接して、回動を阻止する。なお、扉8dは閉められたときに、左側の側板4の折返部12に当接し、回動が阻止される。また折返部12の側面には、縦長な開口13が形成されており、鍵10がかけられたときに、前記開口13には、扉8に設けられたフック(図示省略)が嵌入する。これにより施錠がなされる。
【0017】
前記開口13の上方には切欠き14が形成されている。この切欠き14に隣接する折返部12の前面には、開口15が形成されており、この開口15からは後述するモータを逆転させる第2スイッチとしてのマイクロスイッチ(以下、単にMSという)16aの一部が臨出している。前記MS16aは扉8aの開閉に連動して、OFF,ONされ、扉8aが閉められたときにONする。このMS16aに隣接して、前記仕切板11にはモータを正転させる第1スイッチとしてのスイッチ(以下、単にSWという)17aが取り付けられている。
【0018】
扉8bと扉8c,扉8cと扉8dの間にある仕切板11と、左側の側板4には、前記開口13、切欠き14、開口15、MS16b〜16dとSW17b〜17dがそれぞれ設けられている。なお、前記MS16a〜16dは扉8a〜8dの開閉に連動して、OFF,ONされ、扉8a〜8dが閉められたときにONする。SW17a〜17dは復帰形スイッチで、押圧操作時にONする。なお、この実施例では第2スイッチとして用い、扉の開閉に連動してOFF,ONさせたが、第1スイッチのような復帰形スイッチを用いて、SW17a〜SW17dと同様に仕切板11に取り付けてもよい。この場合には第1スイッチと同じようにサイリスタやタイマ回路を用いて、電流供給を自己保持させる必要がある。
【0019】
前記前面パネル7には、下端から切り欠かれた一対の切欠き18が形成されている。これら各切欠き18は横方向の長さが扉8の巾より長い、横長な矩形の形状をしている。各切欠き18を挟む前面パネル7の各端部には、折曲片21がビス止めされている。この折曲片21は図5に示すように、ガイド部22の前端部に設けられている。このガイド部22は断面がコの字型をしており、その内面がガイド面になっている。前記ガイド部22は図1に示すように前記切欠き18から底板5の下方に挿入されている。これら一対のガイド部22の間には、前記ガイド面に両端部下面が摺接して前後方向にスライドされるプレート23が挿入されている。
【0020】
このプレート23は抗菌剤、例えば銀、銅の金属をイオン化させた状態で、担体にイオン交換または担持させたものが混練された、可撓性を有するプラスチックで成形されている。その形状は図3に示すように矩形をしており、後端部上面にマウント状の凸部24が設けられている。プレート23のサイズは奥行き方向の長さがロッカー本体2の奥行きとほぼ同じで、横方向の長さが扉の巾より長く、また対向するガイド面間の長さより若干短い。なお、プレート23の上面に抗菌加工をした布製のマット25を、図4に示すように4隅をビス26で止め、交換可能に固定してもよい。また、この実施例ではプレート23をプラスチックで成形したが、合成ゴムで成形してもよい。
【0021】
右側のガイド部22の前側側面には、図5に示すように開口30が形成されている。この開口30の上縁側ガイド部22には、ころがり軸受31を固定した支持板32が固着されている。前記ころがり軸受31には駆動軸33が挿通された状態で固定されている。この駆動軸33の下端部にはゴム製の駆動ローラ34が固定され、また上端部にはウオームホイール35が形成されている。前記駆動ローラ34は、図6に示すように外周部が前記開口30からガイド面側に臨出し、プレート23の側面に当接する。またウオームホイール35はモータ36のシャフトに固定されたウオーム37と歯合している。なお、この実施例では、モータ36の回転を直にウオームホイール35に伝達したが、変速機を介して、ウオームホイール35に伝達してもよい。
【0022】
左側のガイド部22の側面には、3個の開口38が形成されている。これら開口38に対応して、ガイド部22の上面に長穴39が形成された支持板40がそれぞれ固着されている。この支持板40の上面には、ころがり軸受41を固定したスライド板42がスライド自在に載置されている。ころがり軸受41には、長穴39及び支持板40の穴(図示省略)に挿通されたシャフト43が固定されており、このシャフト43の下端部には、前記開口38からガイド面に臨出するゴム製のガイドローラ44が固定されている。
【0023】
前記スライド板42は支持板40に取り付けたバネ45で内側に付勢されている。これにより、ガイドローラ44はプレート23の側面を押圧し、プレート23を駆動ローラ34に圧接する。なお、この実施例では、動力伝達手段をウオーム37、ウオームホイール35、駆動軸33、及び駆動ローラ34で構成し、モータ36の回転をプレート23に伝達したが、プレート23の側面に設けたラックとモータ36のシャフトに固定したピニオンとを歯合させて、モータ36の回転をプレート23に伝達してもよい。
【0024】
前記ガイド部22の前側上面と後側上面には、L字型の支持片46がそれぞれ固着されている。この前側の支持片46には第1センサとしてのMS47がビス止めされている。このMS47はプレート23が前方に最大送り出された図1に示す位置で位置検出を行い、このタイミングでOFFされる。また後側の支持片46には、第2センサとしてのMS48がビス止めされており、このMS48はプレート23が底板5下方に押し込まれた図2に示す位置で位置検出を行い、このタイミングでOFFされる。なお、MS47,MS48のビス止めは、長穴を介して行われており、前後方向に移動させる調整ができ、第1の位置及び第2の位置をずらすことが可能である。
【0025】
図7は第1実施例の電気的構成を示す。この実施例では四人用ロッカーに2個のプレート23を設け、各プレート23をそれぞれ独立して動かすようにしたのであるから、ロッカー本体の右半分の構成について、以下説明する。電源安定化ユニット50は、メインスイッチ51、ヒューズ52を介して電源に接続されている。電源安定化ユニット50のプラス側出力端子には前記MS47が、またマイナス側出力端子には前記MS48がそれぞれ接続されている。
【0026】
MS47はトランジスタ(以下、単にTRという)1のコレクタ、抵抗を介してTR1のベースに、またサイリスタ53のアノードに、それぞれ接続されている。更にMS47には並列に接続されたSW17a,SW17bを介して、サイリスタ53のトリガに、また抵抗を介してアースにそれぞれ接続されている。なお、SW17a,SW17bは上述したように、操作時に接点が閉じる復帰形スイッチで押圧操作でONする。なお、前記サイリスタ53の代わり、自己保持回路と組み合わせたTRを用いてもよい。
【0027】
前記MS48はTR2のコレクタに、抵抗を介してTR2のベースに、更に直列に接続されたMS16a,Ms16bを介してサイリスタ53のカソードにそれぞれ接続されている。また前記TR1のベースとTR2のベースと間には、2個のダイオードが直列に接続されている。これら各のダイオードの中間点は、サイリスタ53のカソードに接続されている。なお、前記MS16a,Ms16bは、上述したように扉8a,扉8bの開閉に連動して、OFF,ONされ、扉8a,扉8bが閉じられたときにONする。前記モータ36の一端は前記TR1,TR2の各エミッタに、また他端はアースに接続されている。
【0028】
なお、TR,サイリスタ,抵抗等を実装したプリント基板は、天板上部の電装ボックス55に収納している。この電装ボックス55にはソケット,プラグ、メインSW等が設けられている。ソケットやプラグを天板上部に設けると、ロッカー本体を並べて配置するときに、各ロッカー本体間に隙間を空けずに並べることができ、またコードに足を絡めることがない。またモータが回転していることを示すパイロットランプをロッカー本体の前面に取り付けてもよい。更にまたモータに熱電対を取り付け、モータに大きな負荷がかかり、規定以上に発熱したときに、モータへの電流供給を遮断する電流遮断器を設けてもよい。この遮断器が作動したときに異常を知らせる警告ランプを点灯させたり、もしくは警告ブザーを鳴らしたりしてもよい。
【0029】
このように構成された本発明のロッカーは、上着のみを着替える場合には、扉8aを開き、着替えを行う。このとき、MS16aがOFFするが、モータ36に電流が流れることがないので、プレート23は動くことはない。この後、扉8aを閉めて、終了する。扉8aが閉められると、MS16aはONするが、MS48がOFFしているので、モータ36に電流が流れることはないから、プレート23が動くことはない。
【0030】
ズボンを履き替える場合には、扉8aを開き、SW17aを押圧操作する。図1に示す状態では、MS47はONしており、SW17aがONされると、サイリスタ53のトリガがハイ(以下、単にHという)になり、サイリスタ53がONする。これにより、TR1を介してモータ36に電流が流れ、モータ36が回転する。このときの回転を正転とする。
【0031】
この正転はウオーム37,ウオームホイール35を介して駆動ローラ34に伝達され、駆動ローラ34が回転する。この駆動ローラ34には、バネ45で付勢されたガイドローラ44で押圧されたプレート23が押し付けられている。これにより、プレート23は駆動ローラ34に従動して、ロッカー本体の前方に送り出される。このタイミングでMS48がONする。前記送り出しは、プレート23の両端部下面がガイド部22のガイド面をスライドするのでスムーズに行われる。プレート23が図1に示す第1の位置に送り出されると、MS47がOFFしてモータ36への電流の供給が断たれ、モータ36の回転が停止する。このため、プレート23は図示の位置で停止する。このとき、切欠き18から外に出たプレート23の大きさは、奥行き方向の長さがロッカー本体2の奥行きの2/3以上確保でき、その巾が1.5倍以上である。
【0032】
この状態でズボンの履き替えを行う。まず履物を脱いだ両足をプレート23に乗せるが、足だけでなく、ズボンの裾も床に触れることがないから、これらが汚れることがない。またプレート23は両側端部がガイド部22に載り、中央部の後側が床から若干浮いているが、足を乗せたときに、その重さでプレート23が撓んで底が床に当接するから、ロッカー本体2が前に傾いたり、倒れたりすることがない。
【0033】
着替えが終わり、プレート23から降りて履物を履いた後、扉8aを閉めると、MS16aがONする。このとき、扉8bが閉じていると、MS16bがONしているので、TR2のベースがHになり、エミッタからベースに電流が流れ、モータ36が回転する。今モータ36に流れる電流の向きは、上述したTR1がONしたときにモータ36に流れた電流の向きと逆になるので、モータ36の回転は逆転となる。この逆転は駆動ローラ34に伝達され、プレート23を奥側に向けて移動する。このタイミングで、MS47がONする。そして、図2に示す第2の位置までプレート23が移動すると、MS48がOFFされる。MS48がOFFすると、モータ36への電流の供給が断たれ、モータ36の回転が停止して、プレート23の動きも停止する。
【0034】
ところで、隣の人が着替えをしていて扉8bが開いていると、扉8aを閉めても、MS16bがOFFしているので、TR2のベースはHにならず、モータ36は逆転しない。モータ36が逆転しないので、プレート23は図1に示す位置に留まる。ズボンの履き替えを行うときは、履物を脱いで足をのせればよい。履き替えが終わり、履物を履いた後、扉8bを閉めると、MS16bがONして、TR2のエミッタからベースに電流が流れてモータ36が逆転する。以後同様であるから、説明は省略する。
【0035】
なお、この実施例では四人用のロッカーに2個のプレート23を配して、1個のプレート23を二人で共用したが、4個のプレート23を配して、各自専用のプレート23を使用できるようにしてもよい。この場合の電気的構成は、各プレート23を駆動するモータ36をそれぞれ設け、第1,第2スイッチをそれぞれ1個とすればよい。また、図3に示すサイズのプレート23を四人で共用してもよい。この場合には、プレート23の収納する位置をロッカー本体2正面の中央にしたり、また左寄り、もしくは右寄りにすることができる。このとき、第1,2スイッチはそれぞれ4個となる。
【実施例2】
【0036】
図8は本発明の第2実施例を示す。この実施例では、予めモータ36の回転方向及び回転量を決めておき、オープン制御で、プレート60を出し入れするようにしている。なお、この実施例は、四人用ロッカーに4個のプレート60を設け、各自専用のプレート60を使用するようにしたものである。構成については図8から図10を参照して説明する。3個の仕切板11、及び左側の側面4には、第1スイッチとしてのSW17a〜SW17dに隣接して、第2スイッチとしてのSW16a〜SW16dが取り付けられている。これらSW16a〜SW16dは復帰形スイッチで、押圧操作時にONする。
【0037】
前記プレート60は図9に示すように、上面が平らであり、この上面後端部にL字型のストッパ板61がビスで固定されている。このストッパ板61は前面パネル7に当接し、プレート60がロッカー本体2の前方へ送り出され過ぎたときに、抜け出すのを防止する。
【0038】
図10は第2実施例の電気的構成を示す。電源安定化ユニット50のプラス側出力端子には、TR1のコレクタに、抵抗を介してTR1のベースに、また他端が抵抗を介してアースに繋がっているSW17aに、自己保持時間を可変できるタイマ回路65に、及びTR3のコレクタにそれぞれ接続されている。前記SW17aの抵抗側端子にはタイマ回路65の入力端子に接続されている。このタイマ回路の出力端子はTR3のベースに接続されている。
【0039】
更に電源安定化ユニット50のマイナス側出力端子には、TR2のコレクタに、抵抗を介してTR2のベースに、また他端が抵抗を介してアースに繋がっているSW16aに、自己保持時間を可変できるタイマ回路66に、及びTR4のエミッタにそれぞれ接続されている。前記SW17aの抵抗側端子にはタイマ回路66の入力端子に接続されている。このタイマ回路66の出力端子はTR4のベースに接続されている。またTR1,TR2のベースには、2個のダイオードが直列に接続されている。これら各ダイオードの中間点には、TR3のエミッタ,TR4のコレクタがそれぞれ接続されている。
【0040】
このように構成された本発明のロッカーで、ズボンを履き替える場合には、扉8aを開き、SW17aを押圧すると、SW17aがONして、タイマ回路65が作動する。これにより、TR3のベース電流が流れ、TR3がONして、モータ36にTR1を介してモータ36に電流が流れ、モータ36が回転する。このときの回転を正転とする。この正転はスイッチ17aの押圧が解除されても、タイマ回路65の自己保持により、TR3がONしているので、継続される。前記自己保持の時間は、プレート60が図10に示す位置に送り出されるまでの時間と略同じに調整されている。
【0041】
着替えが終わり、SW16aを押圧すると、SW16aがONして、タイマ回路66が作動する。するとTR4のベース電流が流れてTR4がONし、TR2がONしてモータ36に逆向きの電流が流れ、モータ36が逆転する。SW16aの押圧が解除されても、タイマ回路66が自己保持するから、逆転が継続される。この継続はプレート60がロッカー本体2の下方に収納されるまで行われる。なお、この実施例では、モータ36の正転電流、及び逆転電流を一定時間供給して、プレート60の移動量を制御したが、直流モータをステップモータに代え、マイコンのドライブパルスデータ、及び回転方向データに基づいて、ステップモータの制御を行い、プレートの移動量を制御してもよい。
【実施例3】
【0042】
図11は本発明の第3実施例を示す。この実施例では、モータ36の回転方向及び回転量を手動制御して、プレート70を出し入れするようにしている。なお、この実施例は、第1実施例と同様に四人用ロッカーに2個のプレート70を設け、1個のプレート70を二人で共用したものであるから、第1実施例と異なる構成について、以下、図11から図13を参照して説明する。3個の仕切板11、及び左側の側面4には、第1スイッチとしてのSW17a〜SW17dに隣接して、第2スイッチとしてのSW16a〜SW16dが取り付けられている。これらSW16a〜SW16dは復帰形スイッチで、押圧操作時にONする。
【0043】
前記プレート70は図12に示すように、上面が平らであり、この上面後端部にL字型のストッパ板61がビスで固定されている。このストッパ板61は前面パネル7に当接し、プレート70がロッカー本体2の前方へ送り出され過ぎたときに、抜け出すのを防止する。
【0044】
図13は第3実施例の電気的構成を示す。電源安定化ユニット50のプラス側出力端子には、TR1のコレクタに、抵抗プレートを介してTR1のベースに、またSW17,SW17bにそれぞれ接続されている。更に電源安定化ユニット50のマイナス側出力端子には、TR2のコレクタに、抵抗を介してTR2のベースに、またSW16a,SW16bにそれぞれ接続されている。TR1,TR2のベースには、2個のダイオードが直列に接続されている。これら各のダイオードの中間点には、SW16a,SW16b,SW17a,及びSW17bがそれぞれ接続されている。
【0045】
このように構成された本発明のロッカーにおいて、上着のみを着替える場合には、扉8aを開き、着替えを行う。この後、扉8aを閉めて、終了する。ズボンを履き替える場合には、扉8aを開き、SW17aを押圧操作する。これにより、TR1のベースがHになり、TR1を介してモータ36に電流が流れ、モータ36が回転する。この回転はウオーム37、ウオームホイール35を介して駆動ローラ34に伝達され、駆動ローラ34が回転する。この駆動ローラ34には、バネ45で付勢されたガイドローラ44で押圧されたプレート70が押し付けられている。このため、プレート70は駆動ローラ34に従動して、ロッカー本体2の前方に送り出される。プレート70が図11に示す位置まで送り出されたときに、SW17aの押圧操作を解除すると、TR1がOFFになり、モータ36の回転が停止する。これにより、駆動ローラ34の回転が停止し、プレート70の送り出しが停止する。
【0046】
ズボンの履き替えが終わり、SW16aを押圧操作すると、TR2がONし、モータ36に電流が流れる。このときの電流の向きは、SW17aが押圧されたときと逆になり、モータ36の回転方向が逆になる。これにより、駆動ローラ34の回転が逆となり、プレート70がロッカー本体2の奥側に向けて移動する。プレート70がロッカー本体2の輪郭内に収納されたときに、SW16aの押圧操作を解除すると、モータ36の回転が停止し、プレート70の動きが停止する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施したロッカーの第1実施例で、プレートを引き出した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明のロッカーでプレートを収納した状態を示す斜視図である。
【図3】プレートを拡大して示す斜視図である。
【図4】プレートの変形例を示す斜視図である。
【図5】カイド部を拡大して示す斜視図である。
【図6】ガイド部とローラの位置関係を示す斜視図である。
【図7】第1実施例の電気的構成を示す図である。
【図8】本発明を実施したロッカーの第2実施例で、プレートを引き出した状態を示す斜視図である。
【図9】第2実施例で用いられるプレートを拡大して示す斜視図である。
【図10】第1実施例の電気的構成を示す図である。
【図11】本発明を実施したロッカーの第2実施例で、プレートを引き出した状態を示す斜視図である。
【図12】第3実施例で用いられるプレートを拡大して示す斜視図である。
【図13】第3実施例の電気的構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
2 ロッカー本体
6,7 前面パネル
18 切欠き
23 プレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開閉自在な扉が設けられ、内部に物を収納するロッカー本体と、ロッカー本体の下端部に設けられ、ロッカー本体の底板を載地面から浮かせる支持部と、前記扉の下方の支持部に形成された横長の切欠きと、この切欠きから前記底板の下方に挿通され、前記支持部に設けられたガイド部と、このガイド部にガイドされ、第1の位置と第2の位置との間で前後方向に移動自在なプレートと、このプレートを動力伝達手段を介して、正転時に第1の位置方向に移動するとともに逆転時に第2の位置方向に移動するモータと、前記モータを正転させる第1スイッチと、前記モータを逆転させる第2スイッチとからなることを特徴とするロッカー。
【請求項2】
前面に開閉自在な扉が設けられ、内部に物を収納するロッカー本体と、ロッカー本体の下端部に設けられ、ロッカー本体の底板を載地面から浮かせる支持部と、前記扉の下方の支持部に形成された横長の切欠きと、この切欠きから前記底板の下方に挿通され、前記支持部に設けられたガイド部と、このガイド部にガイドされ、第1の位置と第2の位置との間で前後方向に移動自在なプレートと、このプレートを動力伝達手段を介して、正転時に第1の位置方向に移動するとともに逆転時に第2の位置方向に移動するモータと、前記モータを正転させる第1スイッチと、前記モータを逆転させる第2スイッチと、第1スイッチによる正転及び第2スイッチによる逆転を一定時間継続して停止する制御部とからなることを特徴とする請求項1記載ロッカー。
【請求項3】
前面に開閉自在な扉が設けられ、内部に物を収納するロッカー本体と、ロッカー本体の下端部に設けられ、ロッカー本体の底板を載地面から浮かせる支持部と、前記扉の下方の支持部に形成された横長の切欠きと、この切欠きから前記底板の下方に挿通され、前記支持部に設けられたガイド部と、このガイド部にガイドされ、第1の位置と第2の位置との間で前後方向に移動自在なプレートと、このプレートを動力伝達手段を介して、正転時に第1の位置方向に移動するとともに逆転時に第2の位置方向に移動するモータと、前記モータを正転させる第1スイッチと、前記モータを逆転させる第2スイッチと、第1の位置のプレートを検出する第1センサと、第2の位置のプレートを検出する第2センサと、前記正転を継続させ、プレートが第1の位置に移動したときに正転を停止するとともに、前記逆転を継続させ、プレートが第2の位置に移動したときに逆転を停止する制御部とからなることを特徴とする請求項1記載のロッカー。
【請求項4】
前記第1スイッチは、ロッカー本体の内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3記載のロッカー。
【請求項5】
前記第2スイッチは扉の開閉に連動してOFF,ONされることを特徴とする請求項2ないし3記載のロッカー。
【請求項6】
前記プレートは、抗菌加工が施されていることを特徴とする請求項1〜5記載のロッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−252471(P2007−252471A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78468(P2006−78468)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(306012352)
【Fターム(参考)】