説明

ロッカー

【目的】内部構造に自由度をもたせることにより、ユーザー側において生じる使用形態の変更の要望に容易に応え得るようにする。
【構成】ロッカー本体Aの内部空間に中仕切板を着脱できるようにする。そのために、ロッカー本体Aに、中仕切板着脱用のレール部材21 、22 、23 、24 、25 を予め設けておき、何れか又は複数のレール部材21 、22 、23 、24 又は25 に所要枚数の中仕切板を選択的に係合させ得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフィス等において好適に使用されるロッカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロッカーは、オフィスなどにおいて最も頻繁に利用される収納家具の一つである。このようにロッカーは使用頻度が高く、ユーザーのニーズも多種多様であることから、従来より種々の規格品が作られ利用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来のロッカーは、規格ごとに、本体内部に全く中仕切板を有しないかまたは所定枚数の中仕切板を予め決められた箇所に不離一体に固設してなるのが通例である。このため、一旦ロッカーを購入したユーザーは、使用形態がそのロッカーに固有の内部構造に縛られ、事後的に生じる収納物品の大きさや種類の変更、人員数の変更等に弾力的に対応できない不便さがある。
【0004】本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、内部構造に自由度をもたせることにより、ユーザー側において生じる使用形態の変更の要望に容易に応え得るようにしたロッカーを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を達成するために、次のような構成を採用したものである。
【0006】すなわち、本発明に係るロッカーは、本体の内部空間を中仕切板によって仕切るようにしたものであって、前記本体に、中仕切板着脱用の取付部を予め複数箇所設けておき、何れか又は複数の取付部に中仕切板を選択的に係合させ得るようにしたことを特徴とする。
【0007】取付部の具体的な態様としては、該取付部が、本体の頂板または底板に一体的に固設したレール部材であるものや、本体の頂板または底板に穿設したフック孔であるものが挙げられる。フック孔の場合、爪を有したレール部材を介して中仕切板を係合させるようにし、そのフック孔は、爪を密接に係合させるために後方に向かって漸次開口幅の狭いものにしておくことが有効となる。
【0008】また、他の取付部の態様としては、該取付部が頂板に設けた孔または突没子であり、中仕切板の上端に設けた突没子または孔を介して中仕切板を前記取付部に係合させるようにしたものも挙げられる。その場合、頂板に、漸次後下方に向かって傾斜する斜面を形成し、中仕切板の上端にその斜面の傾斜に対応する斜面を形成しておくことが便利である。
【0009】中仕切板のレール部材内における滑動を容易にし、また中仕切板自体の補強をも図るためには、中仕切板の上端または下端に樹脂ガイドを装着しておくことが望ましい。
【0010】
【作用】このような構成のものであれば、ロッカー本体が内容積の一定したものであっても、複数の取付部に対する中仕切板の係合位置または使用枚数を選択することにより、内部の分割数や広さを自由に設定することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明のいくつかの実施例を、図面を参照して説明する。
【0012】<第1実施例>図1〜図5に示すロッカーは、頂板1の下面1aに取付部たる複数のレール部材21 、22 、23 、24 、25 を予め固設してなるものである。すなわち、ロッカー本体Aは、板金素材でつくった頂板1、底板3、側板4および背面板5をボックス状に組み合わせ、前面側に扉の役割をなす前面板6を装着するようにしたもので、全体の寸法は、例えば、幅900mm、奥行515mm、高さ1800mm程度に設定されている。そして、その頂板1の下面1aに、逆台形状をなす突条2aを有したレール部材21 〜25 を溶接などにより取り付けている。この場合、レール部材23 はロッカー本体A内を幅方向に2等分する位置にあり、レール部材22 、24 はそれを3等分する位置にあり、レール部材21 、23 、25 はそれを4等分する位置にある。
【0013】一方、中仕切板7は、上端に前記レール部材21 〜25 の突条2aに係合する溝7aを有したもので、背丈がロッカー本体Aの頂板1の下面1aから底板3の上面3aまでの寸法に略対応している。そして、その下端に、必要に応じて樹脂ガイドやローラなどの滑動部材を取り付けている。
【0014】このように構成されるロッカーにおいては、ユーザーの意図に応じて、例えば図3に示すように取付部23 のみに中仕切板7を装着して二人用のロッカーとしたり、図4に示すように取付部22 、24 にそれぞれ中仕切板7を装着して三人用のロッカーとしたり、あるいは図5に示すように取付部21 、23 、25 にそれぞれ中仕切板7を装着して四人用のロッカーとする等の形態を選択することができる。勿論、中仕切板7を図1R>1に示すように全て撤去して使用することもでき、そのほか、図示しないが、取付部21 、22 、24 または25 のみに中仕切板7を装着して特殊な形態の収納空間を形成すること等も可能である。このように、ユーザーは中仕切板7の係合位置および使用枚数を選択することで、ロッカー本体Aの内部に自由な収納空間を形成することができる。このため、事後的に生じる収納物品の大きさや種類の変更、人員数の変更等に弾力的に対応することが可能になり、買替えの無駄のない効率的な利用が可能になる。
【0015】なお、この実施例ではレール部材21 〜25 を頂板1の下面1aにのみ固設したが、邪魔にならなければ対応する底板3の上面3aにも固設しておくことができる。
【0016】<第2実施例>図6〜図9に示すロッカーは、ロッカー本体Bの頂板101および底板103に取付部たるフック孔102aを穿設し、それらのフック孔102aに、爪102bを有したレール部材102を介して中仕切板107を係合させるようにしている。フック孔102aは、後方に向かって漸次開口幅wが狭くなる平面視三角形状のもので、このフック孔102aに爪102bを挿入して図7および図8に示すように相対的に後方にスライド移動させることにより、爪102bをフック孔102aに密接に係合させ得るようになっている。
【0017】このような構成のものであれば、所望の位置のフック孔102aに選択的にレール部材102を係合させれば、その後は前記実施例と同様にしてレール部材102に中仕切板107を取り付けることができる。このため、中仕切板107の係合位置および係合枚数を自由に選択することができ、この点で前記実施例と同様に使用上の自由度が得られる。その上、このものは不要なレール部材102については撤去しておくことができるので、前記実施例に比べてレール部材102を使用しないときのロッカー本体B内の容積効率が向上し、より使い勝手の良好なものとなる。
【0018】なお、図10は、前記第2実施例で用いたレール部材102の変形例を示すものである。すなわち、このレール部材202はコ字形の開口形状をなすもので、爪202bをフック孔202aに係合させることにより、該レール部材202を頂板201や図示しない底板に取り付け、その側壁202c間に中仕切板207を挿入するようにしたものである。この場合、中仕切板207は、例えば図11〜図13に示す断面形状とすることができる。このものは、中仕切板207の素材となる鋼板207aをプレス加工して前縁部および後縁部にそれぞれ折曲縁部207bを形成し、その鋼板207aの上縁および図示しない下縁に樹脂ガイド208を装着しておく。樹脂ガイド208はコ字部208aを有するもので、そのコ字部208aを鋼板207aの上縁または下縁に冠着し、そのコ字部208aの背面と、コ字部208aから斜め方向に突出する傾斜鍔部208bの先端とをレール部材202に摺接させるようにしている。また、樹脂ガイド208を装着する際には、長手方向の両端近傍部に形成した係止突片208cを前述した鋼板207aの折曲縁部207bに開口する三角柱状の空洞内に挿入して、樹脂ガイド208が鋼板207aに対して相対的な位置ずれを起こすことを防止している。このため、図示のような構造の中仕切板207であれば、製作を簡単に行うことが可能になる。
【0019】同様な趣旨から、中仕切板は図14や図15R>5に示すものであってもよい。図14に示す中仕切板307は、樹脂ガイド308全体が幅広なコ字形をなすものであり、鋼板307aはその樹脂ガイド308の開口形状に厚みを対応させるために波板状にプレス加工したものである。また、図15に示す中仕切板407は、樹脂ガイド408の一部に幅狭なコ字部が形成してあり、鋼板407aはその面板部の前縁に抜止め用の折曲部407bを形成してなるものである。
【0020】<第3実施例>図16および図17に示すロッカーは、中仕切板507の挿脱を容易ならしめるために、ロッカー本体Cの頂板501に漸次後下方に向かって傾斜する斜面501aを形成し、中仕切板507の上端にその斜面501aの傾斜に対応する斜面507aを形成したものである。そして、その頂板501の2箇所に取付部たる孔501bを穿設し、それらの孔501bに、中仕切板507の上端にバネ507cを介して突没自在に取り付けた突没子507bを当該中仕切板507の配設位置において係合させるようにしている。なお、突没子を頂板に設け、孔を中仕切板の上端に設けるようにしてもよいのは勿論である。
【0021】以上、本発明のいくつかの実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例えば、本発明のロッカーを特願平3−192365号に係る折畳み式ロッカーに適用し、一層の使い勝手の向上を図ってもよい。同号のロッカーは、背面板と、この背面板の上縁部に蝶着した頂板と、前記背面板の左右両側縁部にそれぞれ蝶着した側板と、これら両側板を背面板に直交させ且つ前記頂板を前記両側板の内側面上縁部間に介在させた位置でこれら両側板と頂板とを結合する結合手段とを具備してなるものである。その他の具体的な構成等も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0022】
【発明の効果】本発明のロッカーは、以上説明したように、ロッカー本体に複数の中仕切板着脱用の取付部を設けておき、何れか又は複数の取付部に選択的に中仕切板を係合させ得るようにした構成であるから、中仕切板の着脱に関する選択の自由度の範囲内においてロッカー本体内に自由な収納空間を形成することができ、ユーザー側の使い勝手を向上させるとともに、その経済的な利用価値を高める効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、一部省略したロッカー本体の正面図。
【図2】同実施例のロッカーを示す一部省略した分解斜視図。
【図3】同実施例のロッカーを一使用態様において示す模式図。
【図4】同実施例のロッカーを他の使用態様において示す模式図。
【図5】同実施例のロッカーを更に他の使用態様において示す模式図。
【図6】本発明の第2実施例を示し、一部省略した分解斜視図。
【図7】同実施例の爪とフック孔の係合部分を示す部分拡大平面図。
【図8】図7におけるVIII-VIII 線断面図。
【図9】同実施例のロッカーを一使用態様において示す一部省略した正面図。
【図10】同実施例の変形例を示し、図9に対応した部分拡大正断面図。
【図11】図10で用いられた中仕切板の芯材である鋼板の形状を示す斜視図。
【図12】図10の中仕切板の正断面図。
【図13】図12におけるXIII-XIII 線断面図。
【図14】第2実施例の他の変形例を示す図11に対応した図。
【図15】第2実施例のさらに他の変形例を示す図11に対応した図。
【図16】本発明の第3実施例を示す模式的な側断面図。
【図17】図16の要部拡大図。
【符号の説明】
A、B、C…ロッカー本体
w…開口幅
1、101、201、501…頂板
1 、22 、23 、24 、25 …取付部(レール部材)
3、103…底板
7、107、207、307、407、507…中仕切板
102…レール部材
102a、202a…取付部(フック孔)
102b…爪
208、308、408、…樹脂ガイド
501a…斜面
501b…孔
507a…斜面
507b…突没子

【特許請求の範囲】
【請求項1】本体の内部空間を中仕切板によって仕切るようにしたロッカーであって、前記本体に、中仕切板着脱用の取付部を予め複数箇所設けておき、何れか又は複数の取付部に中仕切板を選択的に係合させ得るようにしたことを特徴とするロッカー。
【請求項2】取付部が、本体の頂板または底板に一体的に固設したレール部材であることを特徴とする請求項1記載のロッカー。
【請求項3】取付部が、本体の頂板または底板に穿設したフック孔であり、そのフック孔に、爪を有したレール部材を介して中仕切板を係合させるようにしていることを特徴とする請求項1記載のロッカー。
【請求項4】フック孔を、後方に向かって漸次開口幅の狭いものにしていることを特徴とする請求項3記載のロッカー。
【請求項5】取付部が、頂板に設けた孔または突没子であり、中仕切板の上端に設けた突没子または孔を介して該中仕切板を前記取付部に係合させるようにしていることを特徴とする請求項1記載のロッカー。
【請求項6】頂板に、漸次後下方に向かって傾斜する斜面を形成し、中仕切板の上端に、その斜面の傾斜に対応する斜面を形成したことを特徴とする請求項5記載のロッカー。
【請求項7】中仕切板が、上端または下端に樹脂ガイドを装着してなることを特徴とする請求項1記載のロッカー。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図16】
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