説明

ロックアセンブリを備えた経腸栄養アセンブリ

【課題】経腸栄養チューブの交換が容易な経腸栄養アセンブリ及びコネクタを提供する。
【解決手段】ベース部及びコネクタを有する経腸栄養アセンブリを提供する。ベース部は、体内腔と連通させるためのルーメンを備えたカテーテルを有する。ベース部はまた、近位側部に所定形状を有する開口を有し、該開口はまた、カテーテルルーメンと連通している。コネクタは、ベース部の所定形状の開口と(望ましくは1つの位置でのみ)相補的であるように構成されたキーを有し、それによりコネクタとベース部とを結合することができる。コネクタは、交換可能な栄養バッグから栄養溶液を供給する栄養用チューブにも接続される。コネクタがベース部内の適所に配置された時点で、液体がバッグから体内腔へ流れ得る。適所に配置されると、コネクタは、再び取付け/取外し位置に戻る前に、ベース部に対して360°回転し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年1月22日出願の米国仮出願第61/146,577号(特許文献1)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、経腸栄養を必要とする患者のための医療ケアの向上に関し、詳細には、経腸栄養アセンブリのカテーテルへのアクセスの閉鎖またはロック及び開放またはロック解除を使用者または医療提供者が行えるようにした新規なロッキングアセンブリを有する経腸栄養アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
医療上望ましい目標を達成するために体腔のカテーテル処理が必要になる状況は数多く存在する。1つの比較的よくある状況は、栄養溶液や栄養剤を胃や腸に直接投与することである。胃または腸壁にストーマ(瘻孔)が造設され、ストーマを通してカテーテルが留置される。栄養溶液をカテーテルを通して注入し、胃や腸に栄養物を直接投与することができる(経腸栄養として知られている)。様々な異なる経腸栄養用カテーテルが長年にわたって開発されてきたが、その中には、患者の皮膚の上に置かれるカテーテル部分に関して「ロープロファイル(小径)」を有するものや、従来型の、すなわち非ロープロファイル構造を有するものが含まれる。そのような医療器具の例が、米国特許第6,019,746号明細書(特許文献2)に示されている。
【0004】
上記したように、カテーテルを用いる必要が生じ得る事例は様々あるが、そのうちの1つは、大手術の後によく見られるような、或る期間にわたって患者の胃の機能が損なわれる反応である。手術後に体に一定レベルの栄養物などを供給または補充する必要があること、さらにまた他の例において胃の機能が損なわれるかまたは制限されることに加えて、さらなる問題は、栄養を与えられていない腸が、血流中に入り込む細菌の源になり得ることである。この種の問題は、適切に挿入された経腸栄養器具チューブにより、栄養物を、患者の腹壁、胃壁、幽門、十二指腸を通してかつ/またはトライツ靱帯の先の空腸内へ導入することによって、解決することができる。
【0005】
ロープロファイル及び非ロープロファイルの経腸栄養器具または経腸栄養アセンブリに共通する問題は、栄養用チューブをベースアセンブリに接続したりベースアセンブリから外したりすることが困難なことである。多くの先行技術の経腸栄養ベースアセンブリ「EFA」は、例えば図1の断面図に示すEFAなどのように、ロープロファイル(薄型)ベース部Bと、ベース部を貫通してかつベース部から或る距離延在するカテーテルCとを有する。そのような器具/アセンブリのカテーテルの遠位端には、多くの場合、バルーンが含まれており、バルーンを膨張させることによりカテーテルを胃内腔などの体内腔内の適所に保持することができる。そのような経腸栄養器具/アセンブリはまた、多くの場合、テザー部「T」によってロープロファイルまたは非ロープロファイルの器具に取り付けられているプラグ「P」を有する。
【0006】
栄養用チューブを交換するには、以前に使ったチューブを外すかまたはベース部からプラグPを取り外し、代わりに新しいチューブを接続する必要がある。これは、場合によっては驚くほど困難な作業である。特に、患者が体重過多であれば、患者自身からのベース部に対する視界が制限されてしまい、あるいは患者が若ければ、多くの場合、患者が睡眠中にアセンブリを交換することが必要であるかまたは望ましい場合が多いからである。夜間に電気をつけると、患者を起こしてしまうかもしれない。さらに、新しいチューブが確実に正しく接続されていなければ、患者の皮膚表面や衣服などへの胃内容物の漏れが生じる可能性がある。同様に、栄養溶液の漏れが生じる可能性もある。さらに、コネクタがベース部内にきつく嵌っていると、取外しが困難になり、それによって、大きな引張力、コネクタ及びベース部の変位、そしてさらにベース部の無用な置き換えが必要になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮出願第61/146,577号明細書
【特許文献2】米国特許第6,019,746号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、使用者または医療提供者が経腸栄養チューブを容易に交換できるような経腸栄養アセンブリ及びコネクタが必要とされている。そのようなシステムがあれば、使用者または医療提供者は、望ましくはベース部を見るまでもなく、前に使った使用済みの栄養コネクタを容易かつ確実に外して新しい栄養コネクタを接続することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した困難及び問題を踏まえて、経腸栄養アセンブリが提供される。経腸栄養アセンブリは、ベース部を含み、開口を形成するベース部を貫通するカテーテルを有する。カテーテルの一部は、ベース部から延出している。経腸栄養アセンブリは、キーを備えたコネクタをさらに含み、該キーは、ベース部の少なくとも一部に係合し得るように構成されており、経腸栄養アセンブリを開位置及び閉位置にそれぞれ変位させ得る。
【0010】
別の態様では、ベース部と、栄養セット用コネクタとを有し、ロックアセンブリを備えた経腸栄養アセンブリが提供される。ベース部は近位側部及び遠位側部を有し、ベース部に貫通するルーメンを画定するカテーテルを含む。カテーテルは、遠位側部においてベース部から延出する部分を有する。ベース部は、近位側部に開口を有している。コネクタは、コネクタとベース部とが接続された時点でカテーテルルーメンへ栄養溶液を供給するためのチューブを有する。コネクタはキーを有し、キーは、ベース部の開口に係合し得るようにかつベース部内に挿入されるように構成されており、それにより、チューブ及びルーメンが流体連通するようにベース部と栄養セットとを接続させさせることができる。
【0011】
ベース部は、患者の皮膚表面上に配置されるように構成された薄型のベース部であることが望ましい。
【0012】
コネクタのキーまたはフランジには、数多くの様々な形状を用いることができる。一部の実施形態では、キーは、例えば矢尻のように、1つの対称軸を有する。あるいは、キーは、対称軸を有していなくてもよい。
【0013】
コネクタには、通常、栄養溶液を交換可能な栄養バッグから患者へと流すためにベース部内の弁を開くように構成されたカフ部が含まれる。弁は、コネクタ及びカフ部を抜去したときに閉じるので、ベース部からの漏れはない。コネクタは、ベース部に接続された後、最大で360°回転し得る。
【0014】
経腸栄養アセンブリはまた、ベース部内に少なくとも1つのディテントを含む。ディテントは、ベース部内のキーの位置が触覚により検知されるようにキーと接触または相互作用し、かつキーの動作を妨害するように配置されている。コネクタは、ベース部に接続された後、ディテントに接触する前に、いずれかの方向に300°ないし345°回転することができる。コネクタはまた、ベース部に接続された後、ディテントの抑制力に打ち克つ力を加えることによって、最大360°回転することができる。
【0015】
経腸栄養アセンブリを備えたロックアセンブリの使用方法も提供される。本方法は、患者の皮膚表面上に置かれるように構成されたベース部を含む経腸栄養アセンブリを提供するステップを含む。ベース部には、皮膚表面に隣接して配置されるように構成された遠位側部と、開口を有する近位側部とが含まれる。ベース部は、ベース部の開口と連通する貫通形成されたルーメンと、ベース部の遠位側部から遠位方向に延出する部分と、少なくとも一部が体内腔内に配置されるように構成された遠位端とを有する。本方法は、所定形状を有するフランジ及び該フランジから延出するカフ部を備えた栄養セット用コネクタを提供するステップをさらに含む。栄養セット用コネクタに、フランジ及びカフ部を貫通する開口が形成される。フランジは、所定形状を有する開口に貫通配置される。フランジは、フランジの少なくとも一部がベース部の近位側部の下の空間内の位置にくるように変位させられる。栄養セット用コネクタと液体連通している液体栄養剤が栄養セット用コネクタ及びカテーテルルーメンを経て体内腔へ供給されるように、フランジは、ベース部の開口を貫通して延在しかつカテーテルのルーメンと液体連通しているカフ部により、ベース部に対して所定位置にロックされる。本方法は、フランジのロックを解除し、栄養セット用コネクタをベース部から取り外すステップを含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】先行技術の経腸栄養アセンブリの側面図であって、ベース部及びそこに取り付けられたカテーテルと、テザー部によってベース部に結合された、カテーテルへのアクセスを提供する開口を閉鎖するために用いられるプラグとを示す図。
【図2】本発明に従う経腸栄養アセンブリであって、薄型のベース部及びベース部から延出するように配置されたカテーテルと、ベース部の近位側部に設けられたキー開口を含むロックアセンブリと、ぴったり合うキーを有する栄養セット用コネクタとを有する経腸栄養アセンブリの斜視図。
【図3】図2の経腸栄養アセンブリのベース部及びコネクタの分解斜視図。
【図4】図2と類似であるが、ベース部のキー開口内に配置された栄養セット用コネクタのフランジすなわちキーを示している斜視図。
【図5】図4の上面平面図。
【図6】キーを提供するフランジを示す図2〜図5の栄養セット用コネクタの上側斜視図。
【図7】キーを提供するフランジを示す図2〜図5の栄養セット用コネクタの下側斜視図。
【図8】図3〜図7のフランジの平面図。
【図9】別の実施形態のフランジの平面図。
【図10】別の実施形態のフランジの平面図。
【図11】ベース部及び栄養セット用コネクタとともに、1つの対称軸を有するフランジを示す図。
【図12】図11の経腸栄養アセンブリのベース部及びコネクタの分解斜視図。
【図13】図12のマウントカバーを逆さにした図。
【図14】ベース部に取り付られたコネクタの図であって、ベース部の内側が見えるようにロッキングマウントに切り取り部分を有する。
【図15】図9の矢尻フランジを開口内に挿入して回転させたときに見られるような図であって、それよりも近位の部品は図示していない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、1若しくは複数の実施形態を詳細に見てみる。そのような実施形態の例は、図面に示されている。当然のことながら、一実施形態の一部として図示または記載されている構成要素を別の実施形態とともに用いることにより、さらなる実施形態を生み出すことができる。特許請求の範囲には、これら及び他の変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨内のものとして含まれるものとする。
【0018】
ここで、図面を参照すると、図1に先行技術が示されており、これについては上述した。本発明に従うロックアセンブリを備えた経腸栄養アセンブリ110の一実施形態を図2及び図5〜図7に示す。他の実施形態についても以下で説明する。
【0019】
図2〜図7に示すように、経腸栄養アセンブリ110が提供される。図2及び図3に最も良く示されているように、経腸栄養アセンブリ110には、ベース部114と、ベース部114によって保持されているカテーテル116とが含まれる。ベース部114は、近位側部118及び遠位側部120を有している。以下に詳細に説明するように、経腸栄養のために経腸栄養アセンブリ110を配置するとき、遠位側部120は、患者の皮膚に接触または隣接して配置される。ベース部114には、プラグ123が取り付けられたテザー部124を有する外周部122が含まれている。ベース部114には、側部アクセスポート126も含まれており、側部アクセスポート126は、バリア(図示せず)及び/または閉鎖プラグ128を含んでいてもよい。
【0020】
カテーテル116は、開口近位端(図示せず)及び開口遠位端132を有し、開口近位端がベース部114の内部に配置され、開口遠位端132がベース部114の遠位側部120から或る距離離間した位置に配置されるように、カテーテル116をベース部114に部分的に貫通するように配置させることができる。図3に示されているように、カテーテル116は、望ましくは、カテーテル116を貫通して形成された少なくとも1つのルーメンすなわち第1ルーメン134(栄養ルーメン)を有し、第1ルーメン134の一部の範囲内に形成され得る第2ルーメン136(膨張ルーメン)を含んでいてもよい。
【0021】
第2ルーメン136は、遠位端(図示せず)において、例えばバルーンのスリーブ(図示せず)などのリテーナと連通していることが望ましい。近位端138においては、第2ルーメン136はバリア(図示せず)及び/または側部アクセスポート126と連通し、それによって、空気または液体が、バリアまたは側部アクセスポート126を通って第2ルーメン136に導入され、さらに、リテーナ(図示せず)を提供し得るスリーブまたはバルーン内へ導入されることが望ましい。あるいは、また一方で、カテーテル116は、非膨張性リテーナ(図示せず)を含み得る。この代替形態では、第2ルーメン及び/または側部アクセスポートはおそらく不要であり、そのような実施形態(図示せず)に含まれなくてもよい。
【0022】
図3に示されているように、ベース部114は、ベース部114内に配置される内部マウント140をさらに含む。内部マウント140には陥凹部を有するプレート(以下、「陥凹プレート」と呼ぶ)142が含まれ、陥凹プレート142は貫通開口144を有する。開口144は、カテーテル116の近位端(図示せず)と連通している。取付カラー部148を有する弁146(ダックビル弁が望ましい)が設けられ、カラー部148は、弁146が開口144を貫通してカテーテル116の開口近位端(図示せず)内まで延在するように、内部マウント140の陥凹プレート142上に近位に配置される。当然のことながら、弁146は、開放を促されるまで閉位置に配置される。さらに、スリット152を少なくとも1つ、望ましくは複数有するようなダイヤフラム150が、取付カラー部148の上に近位に、弁146と整合して配置されることが望ましい。
【0023】
弁146、ダイヤフラム150及び内部マウント140よりも近位に、ロッキングマウント154が配置される。ロッキングマウント154は、貫通形成された開口158を有する陥凹ロッキングプレート156を含み、開口158は、内部マウント140の開口144と整合している。
【0024】
内部マウント140は、1対のピン160を含んでもよく、各ピンは、内部マウント140の互いに反対側に設けられた端部164に設けられた開孔162をそれぞれ貫通して延在する。ピン160は、ロッキングマウント154の互いに反対側に設けられた端部166まで延在しかつそこに結合し得ることが望ましい。
【0025】
ロッキングマウント154の各端部166の上に、1対のマウントカバー170が設けられる。各マウントカバー170に1本のピン160が結合するように、ピン160はロッキングマウント154を貫通して延在し得る。あるいは、1対のマウントカバー170をロッキングマウント154に接着結合することもできる。ロッキングマウント154及びマウントカバー170は、協働してベース部114の近位側部118を提供する。マウントカバー170の縁部172の一部は協働して、或る構成または所定形状を提供し得る「キー孔」または開口174を形成する。この実施形態では、1対のマウントカバー170の縁部172は、協働して略楕円形状の開口174を形成する。実施形態によっては、1対のマウントカバー170は、例えば後述する図13の如き一体成形のものであってよい。
【0026】
栄養セット(図示せず)は、栄養溶液を保持する交換可能なバッグを有し、バッグは、図6及び図7に最も良く示されているような栄養セット用コネクタ176に、チューブによって接続される。栄養セット用コネクタ176は、貫通形成された開口またはポート178を有することが望ましい。栄養セット用コネクタ176は、カフ部179または同様の装置(例えば、カテーテル、カニューレなどの一部)を含むことが望ましい。ポート178はまた、カフ部179または類似の装置を貫通して延在することが望ましく、カフ部179は、カテーテル116(図3)の開口近位端(図示せず)においてカテーテル116のルーメン134と連通するように、望ましくは、マウントカバー170の開口174、ロッキングマウント154の開口158、ダイヤフラム150のスリット153、内部マウント140の開口144、及び弁146を通って延在するように構成される。栄養セット用コネクタ176には、所定形状を有するフランジ180も含まれ、フランジ180は、所定形状を有する開口174内に収まるように適合されていることが望ましい。コネクタ176がベース部114上の適所に配置されると、栄養セットのチューブは、栄養物が患者に送達され得るように、カテーテルルーメンと液体連通している状態になる。
【0027】
図2〜図7の実施形態に示すように、フランジは、1対のマウントカバー170によって形成される楕円形状の開口174に通すことができる楕円形状のフランジ180である。栄養セット用コネクタ176は、望ましくはフランジ180に結合されるかまたはフランジ180と一体形成され、フランジ180の近位側部181上に配置される。カフ部179は、フランジ180の遠位側部182から延出するように配置されることが望ましく、開口またはポート178は、栄養セット用コネクタ176、フランジ180及びカフ部179を貫通して延在する。楕円形状のフランジ180は、1対のマウントカバー170の外周縁部172間で貫通開口174を形成するマウントカバー170に収まる。
【0028】
使用するために、フランジ180は、ロッキングマウント154の陥凹ロッキングプレート156によって形成される、開口174の下の空間に配置されることが望ましい。陥凹ロッキングプレート156は、ベース部114の1対のマウントカバー170によって形成される近位側部118の下の空間を提供することが理解されるであろう。空間を提供する陥凹ロッキングプレート156の直径は、1対のマウントカバー174によって提供される開口174の直径よりも、陥凹ロッキングプレート156内に形成される開口158の直径よりも、大きくすることが望ましい。その後、フランジ180を、フランジ180の各端部186が1対のマウントカバー170のうちの一方の下に配置されるまで、時計回り及び/または反時計回りに、例えば望ましくは約90°の角度まで回転させる。この位置において、フランジ180は、ロッキングプレート156上で固定位置に解除可能にロックすることが望ましい。
【0029】
図4及び図5に示されるように、陥凹ロッキングプレート156によって形成される空間内にフランジ180を挿入すると、カフ部179は、カフ部179と栄養セット用コネクタ176と栄養セット(図示せず)とが経腸栄養アセンブリ110のカテーテル116のルーメン134と流体連通するように、上記した構造体に貫通配置される。栄養セット用コネクタ176は、栄養セット用コネクタ176の一部が可動であるように、軸線188(図3)を中心に回転または枢動するように構成されることが望ましい。この動きは、ベース部114に対する栄養セット用コネクタ176のロック位置に影響せず、さらには、チューブから経腸栄養アセンブリ110及び/または栄養セット(図示せず)への圧力を軽減する。
【0030】
栄養セット用コネクタ176は、図6及び図7に示すように、上部に親指置き部192を有するベース部190を含み得る。栄養セット用コネクタ176には、栄養用カテーテルの少なくとも一部194が取り付けられており、それはポート178と連通していることが望ましい。栄養用カテーテルの一部194は、栄養バッグ(図示せず)に結合できる所定長さのカテーテル(図示せず)を含み得る。あるいは、栄養用カテーテルの一部194は、栄養バッグに結合するかまたは結合するように適合された栄養用カテーテルに結合し得るコネクタ(図示せず)を端部に有することができる。
【0031】
使用方法においては、図2〜図7に概略的に示すように、カテーテル116が患者のストーマを通って配置され、カテーテルの一部が胃内腔(図示せず)などの患者の体内腔内まで延在するように、経腸栄養アセンブリ110を提供する。カテーテル116及び経腸栄養栄養アセンブリ110は、カテーテル116の遠位端110に配置されたリテーナ(図示せず)によって胃内腔内に保持されることが望ましい。経腸栄養アセンブリ110の遠位側部120を、患者の腹皮に接触または隣接して配置する。テザー部124上に設けられたプラグ123を、ロッキングマウント154の開口158内の所定位置から外す(それによって、そこからの胃液の放出を阻止する)ことが望ましい。フランジ180及びカフ部179を備えかつポート178が貫通形成されている栄養セット用コネクタ176を、楕円形状のフランジ180と、1対のマウントカバー170によって形成された楕円形開口174とが整合するように、配置する。その後、フランジ180を、開口174を通って変位させ、望ましくは時計回りまたは反時計回りのいずれかに約90°回転させ、それによって、フランジ180の各端部186をそれぞれマウントカバー170の下に配置する。フランジ180を回転させると、フランジ180の端部186はベース部の近位側部の下面と接触する。この位置で、フランジ180は、患者または医療提供者によって能動的に解除されるまで、本明細書において「ロック」と呼ばれる位置にとどまることが望ましい。
【0032】
フランジ180を、1対のマウントカバー170間に設けられた開口174を通って変位させるとき、カフ部179は同時に、ロッキングマウント154の開口158、ダイヤフラム150のスリット152、内部マウント140の開口142、及び弁146を通って変位し、それによって弁146を開くので、カフ部179及びその内部のポート178は、カテーテル116の開口近位端(図示せず)と連通する。このようにして、栄養セット(図示せず)に結合されているかまたはチューブを介して提供されている栄養バッグ(図示せず)からの液体栄養剤を、栄養バッグ、栄養セット用コネクタ176及びカテーテル116のルーメン134を経て、患者の胃内腔内へ供給することができる。
【0033】
例えば栄養バッグ及びコネクタを交換するために、栄養セット用コネクタ176をベース部から取り外すことが望ましいときには、フランジ180を、1対のマウントカバー170によって形成される開口174と整合するように回転させる。コネクタ176をベース部114から徐々に持ち上げ、開口174からフランジ180を抜去する。同時に、フランジ180が設けられたカフ部179を、カテーテル116の開口近位端(図示せず)及び弁146から、ロッキングマウント140の開口144及びダイヤフラム150のスリット152を通って外に出し、それによって弁146を閉じることができる。ダイヤフラム150及び弁146は、患者の胃内腔に供給される栄養物が内部にとどまるようにカテーテル116を閉鎖する。カフ部179を、引き続き、ロッキングマウント154の開口158及び1対のマウントカバー170間に形成された開口174を通って変位させる。この時点で、栄養セット用コネクタ176と経腸栄養アセンブリ110との接続を外し終わる。
【0034】
1対のマウントカバー172間に形成された開口174は、ロッキングマウント156の開口158、内部マウント140の開口144、ダイヤフラムのスリット152(開のとき)及び弁146(開のとき)を経て、カテーテル116の少なくとも第1ルーメン134と連通させることが望ましい。
【0035】
ロッキングマウント154、マウントカバー170及び他の装置の構成並びに栄養セット用コネクタ176のフランジ180の組合せは、経腸栄養アセンブリ110のためのロッキングアセンブリを提供する。具体的には、開口174が所定形状の「キー孔」を提供し、陥凹ロッキングプレート156によって形成された空間が「キー」を保持することが望ましい。フランジ180は、所定の形状を有し、かつ対応する「キー」であることが望ましい。キー及びキー孔は協働してロックアセンブリを提供する。キーをキー孔内に挿入して回転させた時点で、フランジ180はもはや開口174と整合しておらず、コネクタはベース部に「ロック」されている。
【0036】
この実施形態の楕円形フランジ180は、図8に示されているようにフランジだけを上から見るたときに、XY平面上に2つの対称軸を有している。この結果、フランジ180は、互いから180°離れた2つの位置において、開口174内に挿入可能かつ開口174から取り外し可能になっている。このことは、2つの対称軸を有する任意のフランジ180に当てはまる。こうすることにより、従来技術の器具に比べて、開口174からフランジ180が偶発的に外れる可能性が低くなり、接続がよりしっかりとしたものになるが、患者が例えば睡眠中に動くことにより栄養用チューブが外れる危険性が尚も僅かにある。この危険性をさらにもっと減らす代替実施形態を以下に示す。
【0037】
図9は、1つの位置でのみ挿入可能なフランジ180aを示している。図9の場合、フランジ180aは、1つの対称軸を有している。この図9では、フランジ180aは矢尻または三角形形状のものであるが、1つの対称軸を有する任意の他のフランジを用いても同様に機能するであろう。従って、XY平面上に1つの対称軸を有する卵形、五角形、七角形または他の形状のフランジも、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0038】
しかしながら、フランジを1つの位置でのみ挿入可能であるようにするために、1つの対称軸は必須ではない。図10は、図9のフランジ180aと類似のフランジ180bを示している。しかし、フランジ180bの下側ローブ部(丸い突出部)200、201は、互いに大きさが異なるので、このフランジ180bはXY平面上に対称軸を有していない。そのような非対称フランジに対する他の構造も、同様に好適である。
【0039】
コネクタの挿入のための位置が1つであることにより、フランジが所定位置で抜去される前に、栄養セットヘッドは、広い範囲で(例えば360°)回転することになる。こうすることにより、使用者は、偶発的に接続が外れること及び付随するマイナスの結果に関して、あまり気にしなくてもよくなる。後述するディテントの配置次第であるが、コネクタは、ディテントに接触する前に300°以上の角度、例えば310°、330°及び345°回転し得る。
【0040】
図11は、1つの対称軸を有するフランジ180aを、それぞれの開口174a、ベース部114a及びカテーテル116aとともに示している。このフランジは、1つの位置でのみ挿入可能であることがはっきりと分かるであろう。図11に示したコネクタはまた、フランジの位置を触知的に示すのに役立つ矢印形状の親指置き部192aを有する。
【0041】
上記したように、ベース部、ロッキングマウント及びマウントカバーは、当然のことながら、フランジの形状にぴったり合うように形作られなければならない。その一方、ロッキングマウントよりも遠位の部品は、どのようなフランジ構造に対しても実質的に同じであってよい。すなわち、図3の、ロッキングマウント154より下の部品は、どのようなフランジ構造に対しても実質的に同じであってよい。図12は、図11の経腸栄養アセンブリのベース部及びコネクタの斜視図である。ロッキングマウント154aよりも遠位の部品は、図3に示したものと同じである。この実施形態のロッキングマウント154aは、弁148及びダイヤフラム150を収容できるように、その中心部が僅かに高くなっている。これは、図3に示されているロッキングマウント154の形状とは僅かに異なる形状であるが、機能は図3に示されているロッキングマウント154と同等である。マウントカバー170a(図13にマウントカバーだけを示す)は、フランジ180aを補完するように形作られており、フランジ180aのために適切に形作られた開口174aを有する。
【0042】
本発明の別の態様は、任意の実施形態またはフランジの構造とともに用いることができる或る構成要素である。その構成要素とは、「ディテント」である。ディテントは、回転に対する抵抗を与えるので、フランジが取外し位置に近付いていることを使用者に触覚により知らせる。図13は、下から見たマウントカバー170の図を示している。ディテント202は、開口170aと同様に、この図においてはっきりと見える。図14は、ベース部114aに取り付けられたコネクタ180aの図であって、マウントカバー170aに設けられたディテント202を示すために、ベース部114aの内側が見えるように切り取り部分を有する。マウントカバー170aは、挿入時または取外しのために矢尻形状フランジ180aの先端がくる位置の両側に、突起部またはディテント202を有するが、ディテントは、フランジ180aの、先端以外の他の部品に接触するように配置されてもよい。使用者は、コネクタを回転させるとき、コネクタが取外し位置に到達する前に、いずれかの方向から抵抗を感じることができる。上記したように、これにより、ベース部に対して300°以上の回転運動をコネクタに与えることができる。さらに、「キー孔」に対する「キー」の位置を使用者の手によって触覚により感知するかまたは判定することができる場合には、患者が経腸栄養アセンブリベース部に栄養セット用コネクタをロック及びロック解除することは、より容易である。これは、暗いとき及び使用者が明かりをつけたくないときにも当てはまる。さらに、患者の体の上に置かれる経腸栄養アセンブリの位置のせいで、患者にとって経腸栄養アセンブリのベース部の近位側部を見ることは難しいであろう。鏡、光または別の人の助けなしに触知的に行われ得る接続及び接続解除は、非常に望ましい。
【0043】
ディテント202を通過するようにフランジ180を変位させるために加えられるべき力またはトルクは、25oz−in(17.65N−cm)以下の正の値が望ましいことが分かった。より特定すると、力は、10oz−in(7.06N−cm)以下の正の値であるようにすべきであり、より特定すると、5oz−in(3.5N−cm)以下の正の値、さらに特定すると、3〜5oz−in(2〜3.5N−cm)とすべきである。これらの力の量は、使用者に十分な抵抗を与えて使用者がディテントに打ち克ったことが分かるようにするが、ディテントの抵抗に打ち克つことを不可能または非常に困難にするほど大きくはない。ディテントに打ち克つのに必要な力の量の調整は、ディテントをより長い距離突き出させることによって、またはディテント及び/またはフランジをより硬い材料から製造することによってなされることができ、そのような調整は、当業者が発揮する能力の範囲内である。
【0044】
フランジのさらに別の態様では、フランジを挿入して回転させた時点で、フランジがマウントカバー170(すなわちベース部の近位側部)の下面と常に接触する少なくとも2つの点を有することが望ましい。図15は、矢尻フランジ180aを開口174a内に挿入して回転させたときに見られるような図を示しており、それよりも近位の部品は図示していない。図のように、フランジ180aの少なくとも2つのローブ部は、マウントカバー170aの遠位側部と接触している。このことは、コネクタを安定にかつベース部内に適切に整合されるように維持するのに役立つ。
【0045】
当然のことながら、幾つかの部品を、1つの部品として、または示されているより多くの部品として、形成することができる。さらに、より多数か、より少数か、または異なる弁を用いることもできる。他の変更、改変、組合せなどは、本明細書に図示及び/または記載されている例示的な実施形態によって可能にされるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックアセンブリを備えた経腸栄養アセンブリであって、ベース部と、栄養セット用コネクタとを含み、
前記ベース部が、近位側部及び遠位側部を有し、前記ベース部に貫通するルーメンを画定しかつ前記遠位側部において前記ベース部から延出する部分を有するカテーテル、前記ベース部の前記近位側部に形成された開口及び該開口の下に形成された空間を含み、
前記コネクタが、前記カテーテルの前記ルーメンに栄養溶液を供給するためのチューブを有し、前記コネクタがキーを有し、該キーが、前記開口と相補形状を有し、さらに前記開口に係合し得るようにかつ前記ベース部の前記近位側部の前記開口の下に形成された前記空間内に挿入されるように構成されており、それにより、前記チューブ及び前記ルーメンが互いに液体連通するように前記ベース部と栄養セットとを接続させることができ、
前記経腸栄養アセンブリがさらに、前記キーを回転させたときに前記ベース部内における前記キーの位置が触覚により検知されるようにするために、前記ベース部内に前記キーと接触するように配置された少なくとも1つのディテントを含むことを特徴とする経腸栄養アセンブリ。
【請求項2】
前記ベース部が、患者の皮膚表面上に配置されるように構成された薄型のベース部であることを特徴とする請求項1に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項3】
前記キーが、XY平面上に1つの対称軸を有することを特徴とする請求項1に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項4】
前記キーが、矢尻のような形をしていることを特徴とする請求項3に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項5】
前記キーが、XY平面上に対称軸を有していないことを特徴とする請求項2に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項6】
前記キーを前記開口の下の前記空間内に挿入して回転させた後、前記キーが、前記ベース部の前記近位側部の下面と常に接触する少なくとも2つの点を有することを特徴とする請求項1に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項7】
前記コネクタが、前記ベース部に接続された後、最大360°回転し得ることを特徴とする請求項1に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのディテントに打ち克つために、7N−cm以下の正の値の力が必要であることを特徴とする請求項1に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項9】
前記コネクタが、前記ベース部に接続された後、前記少なくとも1つのディテントと接触する前に、300°ないし345°回転し得ることを特徴とする請求項8に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項10】
ロックアセンブリを備えた経腸栄養アセンブリであって、ベース部と、カテーテルと、栄養セット用コネクタとを含み、
前記ベース部が、患者の皮膚表面上に置かれるように構成されており、皮膚表面に隣接して配置されるように構成された遠位側部、開口が形成された近位側部及び該近位側部の下に形成された空間を含み、
前記カテーテルが、前記ベース部よって保持され、該ベース部の前記近位開口と連通する貫通形成されたルーメン、前記ベース部の前記遠位側部から遠位方向に延出する部分、及び少なくとも一部が体内腔内に配置されるように構成された遠位端を有し、
前記栄養セット用コネクタが、所定形状を有するフランジ及び該フランジから延出するカフ部を備え、かつ前記栄養セット用コネクタに、前記フランジ及び前記カフ部を貫通する開口が形成されており、
前記所定形状の前記フランジが、前記ベース部の前記近位側部に形成された前記所定形状の前記開口と協働するように構成されており、それにより、前記栄養セット用コネクタを前記ベース部に突き当てたとき、前記フランジが、前記開口を通って前記ベース部の前記近位側部の下の前記空間内へ変位し、さらに前記ベース部と協働して前記ベース部に対してロック位置及びロック解除位置にそれぞれ変位し得るようにし、
前記フランジを前記ベース部内に配置するとき、前記カフ部が、前記ベース部の前記開口を貫通して延在しかつ前記カテーテルの前記ルーメンと液体連通し、それにより、液体栄養剤が、前記栄養セット用コネクタ及び前記カテーテルルーメンを経て前記体内腔へ供給されるようにしたことを特徴とする経腸栄養アセンブリ。
【請求項11】
前記ベース部内における前記キーの位置が触覚により検知されるようにするために、前記ベース部内に前記フランジと接触するように配置された少なくとも1つのディテントをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項12】
前記ディテントの抵抗に打ち克ち、前記ディテントを通過するように前記フランジを回転させるために、3.5N−cm以下の正の値の力が必要とされることを特徴とする請求項11に記載の経腸栄養アセンブリ。
【請求項13】
ロックアセンブリを備えた経腸栄養アセンブリの使用方法であって、
経腸栄養アセンブリを提供するステップを含み、該経腸栄養アセンブリが、
患者の皮膚表面上に置かれるように構成されており、皮膚表面に隣接して配置されるように構成された遠位側部及び開口が形成された近位側部を含むベース部と、
前記ベース部よって保持され、該ベース部の前記開口と連通する貫通形成されたルーメン、前記ベース部の前記遠位側部から遠位方向に延出する部分、及び少なくとも一部が体内腔内に配置されるように構成された遠位端を有するカテーテルと、
前記ベース部の前記近位側部に形成された前記開口が、前記カテーテルの前記ルーメンと連通しかつ前記近位側部の一部を貫通するように形成され、前記一部が前記開口を所定形状に画定し、前記ベース部が、前記近位側部の下に形成された空間を含み、
前記方法がさらに、
所定形状を有するフランジ及び該フランジから延出するカフ部を備え、前記フランジ及びカフ部を貫通する開口が形成されている栄養セット用コネクタを提供するステップと、
前記所定形状を有する前記開口に前記栄養セット用コネクタの前記フランジを貫通配置させるステップと、
前記フランジの少なくとも一部が前記ベース部の前記近位側部の下の前記空間に配置されるように前記フランジを変位させるステップと、
前記コネクタを回転させることによって、前記ベース部に対して所定位置に前記フランジをロックするステップとを含み、
前記カフ部が、前記ベース部の前記開口を貫通して延在しかつ前記カテーテルの前記ルーメンと液体連通し、それにより、前記栄養セット用コネクタと液体連通している液体栄養剤が、前記栄養セット用コネクタ及び前記カテーテルルーメンを経て前記体内腔へ供給されるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記フランジのロックを解除し、前記栄養セット用コネクタを前記ベース部から取り外すステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2012−515596(P2012−515596A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547009(P2011−547009)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050116
【国際公開番号】WO2010/084434
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】