説明

ロックシステム

【課題】発行直後のICカードがロック装置に対して使用された場合でも当該ロック装置により電気錠をほぼ確実に解錠動作させると共に、ロック装置の消費電力を削減する。
【解決手段】ゲストがホテルにチェックインしたとき、ICカード2を発行すると共に、ICカード2のカードIDを含むゲスト情報を生成し、これを管理PC3から管理側無線通信機8に送信する。各部屋の扉に取り付けられたロック装置12に設けられた部屋側無線通信機31は管理側無線通信機8に問い合わせ要求を送信し、これに応じ、管理側無線通信機8は当該部屋側無線通信機31にゲスト情報を送信する。部屋側無線通信機31は、例えば多くのゲストがチェックインする時間帯では問い合わせ要求の送信間隔を短くすることでゲスト情報を迅速に取得し、深夜等の時間帯では問い合わせ要求の送信間隔を長くすることで通信頻度を下げ、消費電力を削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばICカード、RFID(Radio Frequency Identification)カードまたは磁気カード等を用いて電気錠を制御するロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード、RFIDカードまたは磁気カード等を用いて電気錠を制御するロックシステムは、例えばホテル等の施設において利用されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、建物に設けられた扉を解錠するためのカードキーシステムであって、ユーザを識別するための識別情報が記載されたカードキーと、前記建物に設けられ、前記カードキーが所定通信範囲内に入ると非接触式の通信により前記カードキーから識別情報を取り出してユーザを識別する読取装置と、前記建物に設けられ、前記読取装置でユーザを識別できた場合にのみ扉の施錠解錠を切り換える施錠装置とを備えたカードキーシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−68483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、管理の対象となる部屋を多数有する施設、例えばホテルに適用されるロックシステムは例えば次のような構成を有する。
【0006】
まず、ホテルのフロントには、管理用のパーソナルコンピュータが設けられ、このパーソナルコンピュータにはICカード発行機および無線通信機が接続されている。以下、管理用のパーソナルコンピュータを「管理PC」といい、管理PCに接続された無線通信機を「管理側無線通信機」という。
【0007】
また、ホテルの各部屋の扉にはロック装置が設けられ、ロック装置には、管理側無線通信機と通信を行う無線通信機、ICカードからカードIDを読み取るカードリーダ、カードIDの照合を行う照合回路、部屋の扉の電気錠の施錠動作および解錠動作を制御する電気錠制御回路等が設けられている。以下、ロック装置に設けられた無線通信機を「部屋側無線通信機」という。また、ロック装置は電池から供給される電力により駆動する。
【0008】
例えば、フロント・スタッフは、ゲスト(宿泊客)がチェックインするとき、管理PCおよびICカード発行機を操作してICカードを発行し、このICカードをゲストに手渡す。ICカードが有する記憶素子には固有のカードIDが記憶されている。また、管理PCは、ICカードの発行に伴い、当該発行したICカードのカードIDおよび当該ゲストが利用する部屋の番号等を含むゲスト情報を生成し、このゲスト情報を管理側無線通信機に送信する。管理側無線通信機は、管理PCから送信されたゲスト情報を記憶する。
【0009】
各部屋の部屋側無線通信機は、常時、予め定められた一定の送信間隔で、管理側無線通信機へ問い合わせ要求を送信している。管理側無線通信機は、ゲストが利用する部屋についてのゲスト情報を管理PCから受信した後、当該部屋のロック装置に設けられた部屋側無線通信機からの問い合わせ要求を受信したとき、当該ゲスト情報を当該部屋側無線通信機に送信する。そして、当該ゲスト情報は、当該部屋側無線通信機により受信され、当該ロック装置内に記憶される。
【0010】
一方、フロント・スタッフからICカードを手渡されたゲストは、利用が許可された部屋のロック装置に設けられたカードリーダにICカードをかざすことにより、当該部屋の扉に設けられた電気錠を動かし、当該部屋の扉を解錠させることができる。すなわち、ゲストが当該ロック装置のカードリーダにICカードをかざすと、当該ロック装置のカードリーダによりICカードからカードIDが読み取られ、ロック装置の照合回路により、当該読み取られたカードIDと管理側無線通信機から送信されたゲスト情報との照合処理が行われ、照合処理の結果、当該ICカードが正しいICカードであると判断されたときに、電気錠制御回路により当該部屋の扉の電気錠が制御され、当該部屋の扉が解錠される。
【0011】
また、このロックシステムにおいては、1つの部屋につき、チェックインが行われる度に、以前とは異なる新たなICカードが発行される。この新たなICカードのカードIDは、以前に利用されたいずれのICカードのカードIDとも異なる。また、新たなICカードの発行に伴い、ゲスト情報も、以前のゲスト情報とは異なる新たなゲスト情報に変更される。このため、1つの部屋につきチェックインが行われるたびに、新たなゲスト情報が、管理PCから管理側無線通信機に送信され、管理側無線通信機から当該部屋のロック装置に設けられた部屋側無線通信機に送信され、当該ロック装置内に記憶される。この結果、最後にチェックインしたゲストに手渡されたICカードでなければ、当該部屋の扉を解錠させることができない。
【0012】
また、上述したように、各部屋の部屋側無線通信機は、常時、予め定められた一定の送信間隔で、管理側無線通信機へ問い合わせ要求を送信している。これによりチェックインのたびに変更されるゲスト情報は確実に当該部屋側無線通信機を介してロック装置内に取り込まれ、記憶される。部屋側無線通信機が問い合わせ要求を送信する間隔は、部屋側無線通信機を含むロック装置に電力を供給する電池の寿命が短くなるのを防ぐために、例えば120秒程度に設定されている。
【0013】
ここで、このロックシステムには、次のような問題が生じ得る。すなわち、部屋側無線通信機が問い合わせ要求を送信する間隔が120秒程度といった長い時間であるため、管理PCがゲスト情報を送信してから、このゲスト情報が管理側無線通信機を介して部屋側無線通信機に受信され、ロック装置内に記憶されるまでにかかる時間よりも、ゲストがフロントでICカードを受け取ってから当該ICカードをロック装置のカードリーダにかざすまでにかかる時間の方が短い場合があり得る。この場合、当該ゲストは正しいICカードをカードリーダにかざしているにもかかわらず、扉を解錠させることができない。この結果、当該ゲストを困惑させてしまうおそれがある。また、このような事情をゲストに説明して、ICカード発行直後は扉の解錠をしばらく待つようにゲストに要求することは、ホテルのサービスの低下を招きかねない。また、チェックインを済ませたにもかかわらず直ちに部屋に入ることができないので、ゲストにとって不便である。
【0014】
一方、部屋側無線通信機が問い合わせ要求を送信する間隔を短くすれば、管理PCがゲスト情報を送信してからこのゲスト情報がロック装置に記憶されるまでにかかる時間を短くすることができ、上記不都合を解消することができる。しかしながら、この場合、問い合わせ要求の送信頻度が増加するため、ロック装置の電力消費量が増し、ロック装置の電池の寿命が短くなってしまう。
【0015】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、発行直後のICカード等の携帯型鍵機能装置がロック装置に対して使用された場合でも当該ロック装置により電気錠をほぼ確実に解錠動作させることができると共に、ロック装置の消費電力を削減することができるロックシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1のロックシステムは、携帯型鍵機能装置、管理装置およびロック装置を備え、電気錠を制御するロックシステムであって、前記携帯型鍵機能装置は鍵として機能する携帯可能な装置であって、記憶素子を有し、当該記憶素子には第1の識別情報が記憶され、前記管理装置は、前記第1の識別情報と同一または対応する第2の識別情報を生成する識別情報生成手段と、前記識別情報生成手段により生成された第2の識別情報を問い合わせ要求に応じて前記ロック装置に送信する識別情報送信手段とを備え、前記ロック装置は、前記識別情報送信手段に対して前記問い合わせ要求を送信する問い合わせ要求送信手段と、前記識別情報送信手段により送信された第2の識別情報を受信する識別情報受信手段と、前記識別情報受信手段により受信された第2の識別情報を記憶する記憶手段と、前記携帯型鍵機能装置の記憶素子に記憶された第1の識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた第1の識別情報と前記記憶手段に記憶された第2の識別情報とを比較し、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とが一致するか否かまたは前記第1の識別情報と前記第2の識別情報との間に対応関係が認められるか否かを判断する比較判断手段と、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とが一致し、または前記第1の識別情報と前記第2の識別情報との間に対応関係が認められる場合に前記電気錠を解錠動作させる電気錠制御手段とを備え、前記問い合わせ要求送信手段は、互いに異なる2以上の時間帯ごとに前記問い合わせ要求の送信間隔を変更する送信間隔変更手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1のロックシステムによれば、例えば、一の時間帯においては問い合わせ要求の送信間隔を短くし、他の時間帯においては問い合わせ要求の送信間隔を長くすることができる。したがって、当該一の時間帯においては、管理装置がロック装置に第2の識別情報を送信してから、ロック装置がこの第2の識別情報を受信してその内部に記憶するまでにかかる時間を短くすることができ、これにより、例えばホテルのフロントで携帯型鍵機能装置としてのICカードを受け取ったゲストが、その直後に当該ICカードをロック装置に対して使用した場合でも、当該ロック装置により電気錠を確実に解錠動作させることができる。その一方で、上記他の時間帯においては、ロック装置が問い合わせ要求を送信する頻度を低くすることができ、ロック装置の消費電力を削減することができ、ロック装置が電池駆動である場合には、電池の寿命を長くすることができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第2のロックシステムは、上述した本発明の第1のロックシステムにおいて、前記送信間隔変更手段は、前記識別情報生成手段による前記第2の識別情報の生成頻度が高い時間帯においては前記問い合わせ要求の送信間隔を短くし、前記識別情報生成手段による前記第2の識別情報の生成頻度が低い時間帯においては前記問い合わせ要求の送信間隔を長くすることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2のロックシステムにおいて、ゲストがチェックインするたびに管理装置の識別情報生成手段により第2の識別情報が生成されることとした場合、ホテルにチェックインするゲストが多い時間帯では、管理装置の識別情報生成手段による第2の識別情報の生成頻度が高くなる。本発明の第2のロックシステムによれば、ホテルにチェックインするゲストが多い時間帯において問い合わせ要求の送信間隔を短くし、管理装置の識別情報生成手段により生成された第2の識別情報がロック装置に受信されて当該ロック装置内に記憶されるまでにかかる時間を短くすることができる。したがって、ゲストがホテルにチェックインした直後にロック装置に対して携帯型鍵機能装置としてのICカードを使用した場合であっても、ロック装置による電気錠の解錠動作をほぼ確実に実現することができる。一方、例えば深夜等、ホテルにおけるゲストの動きがあまりない時間帯では、管理装置の識別情報生成手段による第2の識別情報の生成頻度が低くなる。本発明の第2のロックシステムによれば、このようなゲストの動きがあまりない時間帯においては問い合わせ要求の送信間隔を長くし、ロック装置の消費電力を削減することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第3のロックシステムは、上述した本発明の第1または第2のロックシステムにおいて、前記ロック装置は、当該ロック装置の外殻を形成する筐体と、前記筐体内に収容された電池とを備え、前記ロック装置は前記電池から供給される電力により動作することを特徴とする。
【0021】
本発明の第3のロックシステムによれば、例えばゲストがホテルにチェックインした直後にロック装置に対して携帯型鍵機能装置としてのICカードを使用した場合であっても、ロック装置による電気錠の解錠動作をほぼ確実に実現することができると共に、ロック装置の電池の寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、発行直後のICカード等の携帯型鍵機能装置がロック装置に対して使用された場合でも当該ロック装置により電気錠をほぼ確実に解錠動作させることができると共に、ロック装置の消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態によるロックシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態によるロックシステムにおけるICカード、ロック装置および電気錠を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態によるロックシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態によるロックシステムを示している。図1において、本発明の実施形態によるロックシステム1は、施錠が必要な多数の対象を一元的に管理することができるシステムである。本実施形態によるロックシステム1は、例えばホテルにおける多数の部屋のセキュリティ管理を一元的に行うシステムとして用いられている。ロックシステム1が用いられたホテルにおいて、チェックインしたゲスト(宿泊客)は、携帯型鍵機能装置の具体例に当たるICカード2をホテル1階のフロントでフロント・スタッフから受け取り、利用が許可された部屋の扉の前に行き、当該扉に取り付けられたロック装置12のカードリーダ36にICカード2をかざすことにより、電気錠51を動作させて当該部屋の扉を解錠させ、当該部屋に入ることができる。
【0025】
ロックシステム1は、管理PC3、ICカード発行機7、管理側無線通信機8、ハブ9、中継機10およびロック装置12を備えている。
【0026】
管理PC3は、ホテル管理用のパーソナルコンピュータである。管理PC3は、コンピュータ本体4、ディスプレイ5等、一般的なコンピュータハードウェア資源を備えている。管理PC3は例えばホテル1階のフロントに設置されており、主にフロント・スタッフまたはフロント・マネージャーが操作する。
【0027】
ICカード発行機7は、主にゲストがチェックインするときにICカード2を発行する装置であり、管理PC3にケーブルを介して接続されている。
【0028】
ゲストがホテルにチェックインするとき、管理PC3はICカード発行機7を制御してICカード2を発行すると共に、当該ICカード2のカードID、当該ゲストが利用する部屋の番号、並びに当該ゲストについてのチェックイン時刻およびチェックアウト時刻等を含むゲスト情報を生成する。なお、ICカード発行機7は管理PC3と共に識別情報生成手段の具体例であり、カードIDは第1の識別情報の具体例であり、ゲスト情報は第2の識別情報の具体例である。
【0029】
管理側無線通信機8は、管理PC3により生成されたゲスト情報を、ホテルの各部屋の扉に取り付けられたロック装置12に設けられた部屋側無線通信機31に無線送信する装置であり、例えばホテルのそれぞれのフロアに1台ずつ設置されている。各管理側無線通信機8は管理PC3とハブ9を介して接続されている。各管理側無線通信機8と管理PC3との間は有線であり、管理PC3と各ハブ9との間および各フロアにおけるハブ9と管理側無線通信機8との間はケーブル等を介してそれぞれ接続されている。なお、管理側無線通信機8は識別情報送信手段の具体例である。
【0030】
中継機10は、各フロアにおいて、管理側無線通信機8と各ロック装置12に設けられた部屋側無線通信機31との間の無線通信を中継する装置である。中継機10は必要に応じて設置すればよく、例えば各フロアにおいて管理側無線通信機8と各部屋側無線通信機31との間で良好に直接通信することができる場合には、中継機10を設置しなくてもよい。
【0031】
ロック装置12は、ホテルの部屋の個数に応じて複数設けられており、ホテルの各フロアの各部屋の扉に取り付けられている。各ロック装置12は、正しいICカード2が使用された場合に限り、当該ロック装置12が取り付けられた扉の電気錠51を制御し、当該扉の施錠、解錠を行う装置である。各ロック装置12は、当該ロック装置12の外殻を形成する筐体13(廊下側に向いた面のみ図示)を備え、筐体13の廊下側の面には、扉を開け閉めするときに操作するレバー14が設けられている。また、筐体13内には、後述するカードリーダ36、コントローラ37、電池41が収容され、さらに、筐体13内または筐体13の近傍には部屋側無線通信機31が設けられている。
【0032】
図2はICカード2、ロック装置12および電気錠51を示している。図2において、ICカード2は、非接触型のICカードであり、例えば、カードリーダ36から発せられる磁界により電磁誘導を生じさせ、これにより電力を得る電磁誘導方式を採用している。ICカード2は、記憶素子21、演算処理部22およびアンテナ(図示せず)を有し、記憶素子21には固有のカードIDが記憶されている。ICカード2は、それをロック装置12のカードリーダ36にかざすことにより電気錠40を動作させる点で、鍵として機能する。また、ICカード2は利用者が例えば衣服のポケットに入れ、または小さな鞄に収容して手軽に携帯することができる。このような点から、ICカード2は上述したように携帯型鍵機能装置の具体例に当たる。
【0033】
各ロック装置12は、部屋側無線通信機31、カードリーダ36、コントローラ37および電源部40を備えている。部屋側無線通信機31、カードリーダ36およびコントローラ37はバスを介して相互にそれぞれ接続されている。また、コントローラ37は電気錠51にケーブルを介して接続されている。また、電源部40は、電源ケーブルを介して、部屋側無線通信機31、カードリーダ36、コントローラ37および電気錠51にそれぞれ接続されている。
【0034】
部屋側無線通信機31は、同一フロアに設置された管理側無線通信機8から送信されたゲスト情報を受信し、このゲスト情報を記憶する装置である。部屋側無線通信機31は、アンテナ32、通信制御部33、記憶部34および時計35を備えている。通信制御部33は、部屋側無線通信機31と管理側無線通信機8との間の通信を制御する回路である。記憶部34は不揮発性の書換可能な半導体記憶素子である。時計35は現在時刻を提供し、また計時手段として用いることもできる。なお、部屋側無線通信機31は、問い合わせ要求手段、識別情報受信手段、送信間隔変更手段、記憶手段の具体例である。
【0035】
部屋側無線通信機31は、通信制御部33の制御のもと、管理側無線通信機8から次のような方法でゲスト情報を取得する。すなわち、各ロック装置12の部屋側無線通信機31は、同一フロアに設置された管理側無線通信機8に対し、問い合わせ要求を、後述する規則に従って設定された送信間隔で常時送信している。そして、当該管理側無線通信機8は、各ロック装置12の部屋側無線通信機31から送信された問い合わせ要求を常時受信している。当該管理側無線通信機8が管理PC3から送信されたゲスト情報を受信した後に、部屋側無線通信機31から送信された問い合わせ要求を受信したときには、当該管理側無線通信機8は、当該ゲスト情報に含まれている部屋番号に基づいて、当該ゲスト情報を送信すべき部屋側無線通信機31を特定し、当該特定した部屋側無線通信機31と、受信した問い合わせ要求の送信元である部屋側無線通信機31とが一致した場合には、当該ゲスト情報を当該部屋側無線通信機31に送信する。そして、当該部屋側無線通信機31は当該ゲスト情報を受信し、このゲスト情報を記憶部34に記憶する。
【0036】
ここで、通信制御部33は、問い合わせ要求の送信間隔の設定を例えば次のような規則に従って時間帯ごとに変更する。
【0037】
午前9時0分0秒〜午前11時59分59秒:30秒間隔
午後0時0分0秒〜午後2時59分59秒:120秒間隔
午後3時0分0秒〜午後7時59分59秒:30秒間隔
午後8時0分0秒〜午前8時59分59秒:300秒間隔
すなわち、通信制御部33は、午前9時0分0秒から午前11時59分59秒までの時間帯、すなわち、ゲストがチェックアウトする頻度が高い時間帯において、問い合わせ要求の送信間隔を30秒に設定する。また、通信制御部33は、午後0時0分0秒から午後2時59分59秒までの時間帯、すなわち、ゲストがチェックインする頻度もチェックアウトする頻度も低いが、ハウスキーピングのためにホテルの従業員が部屋に出入りすることがある時間帯において、問い合わせ要求の送信間隔を120秒に設定する。また、通信制御部33は、午後3時0分0秒から午後7時59分59秒までの時間帯、すなわち、ゲストがチェックインする頻度が高い時間帯において、問い合わせ要求の送信間隔を30秒に設定する。また、通信制御部33は、午後8時0分0秒から午前8時59分59秒までの時間帯、すなわち、夜間であり、ゲストがチェックインする頻度もチェックアウトする頻度も低く、ハウスキーピングのためにホテルの従業員が部屋に出入りすることもほとんどない時間帯において、問い合わせ要求の送信間隔を300秒に設定する。例えば、上記各時間帯の開始時刻および終了時刻、並びに各時間帯についての送信間隔が記憶部34に記憶されており、通信制御部33は、記憶部34に記憶されたこれらの情報および時計35が示す現在時刻を読み取り、これら読み取った情報に基づいて問い合わせ要求の送信間隔を設定ないし変更する。
【0038】
カードリーダ36は、ICカード2からカードIDを読み取る装置である。カードリーダ36はアンテナ(図示せず)を備え、ゲストがICカード2をかざすことにより、ICカード2がカードリーダ36の通信可能範囲に入ったときに、ICカード2と無線通信を行い、ICカード2から送信されたカードIDを受信する。そして、カードリーダ36に受信されたカードIDはコントローラ37に出力される。なお、カードリーダ36は読取手段の具体例である。
【0039】
コントローラ37は、CPU(Central Processing Unit)および記憶素子を備え、記憶素子に記憶されたプログラムをCPUにより実行することにより、カード判断部38および電気錠制御部39として機能する。カード判断部38は、ゲストが使用したICカード2、すなわちゲストがカードリーダ36にかざしたICカード2が、部屋の扉の施錠または解錠を許可してもよい正しいICカード2であるか否かを判断する。具体的には、カード判断部38は、カードリーダ36によりICカード2から読み取られたカードIDと、部屋側無線通信機31により管理側無線通信機8から受信され、記憶部34に記憶されたゲスト情報とを比較し、ゲストが使用したICカード2が正しいICカード2であるか否かを判断する。電気錠制御部39は、電気錠51に制御信号を出力し、カード判断部38の判断結果に基づいて電気錠51の施錠動作および解錠動作を制御する。なお、カード判断部38が比較判断手段の具体例であり、電気錠制御部39が電気錠制御手段の具体例である。
【0040】
電源部40には電池41が装着されており、電池41からの電力を部屋側無線通信機31、カードリーダ36、コントローラ37および電気錠51にそれぞれ供給する。
【0041】
電気錠51は、コントローラ37の電気錠制御部39から出力される制御信号に従って、内蔵されたアクチュエータを駆動し、例えばデッドボルトを移動させて扉の施錠、解錠を行う。
【0042】
図3は、以上のような構成を有するロックシステム1の動作を示している。図3において、ゲストがホテルにチェックインをするとき、ホテルのフロント・スタッフは管理PC3およびICカード発行機7を操作してICカード2を発行し、発行されたICカード2をゲストに手渡す。
【0043】
このとき、管理PC3は次のようなゲスト情報送信処理を行う。すなわち、まず、管理PC3は、フロント・スタッフの操作に従い、ICカード発行機7を制御し、ICカード2を発行する。管理PC3はICカード2を発行する際に、ICカード発行機7を介して当該ICカード2の記憶素子21に予め記憶されているカードIDを読み取る。そして、管理PC3は、読み取ったカードID、当該ゲストが利用する部屋の番号、並びに当該ゲストについてのチェックイン時刻およびチェックアウト時刻等を含むゲスト情報を生成する(ステップS1)。なお、管理PC3は、カードID、部屋番号、チェックイン時刻およびチェックアウト時刻等を暗号化し、あるいは特殊な演算を施して解読困難な符号列に変換してゲスト情報を生成する。
【0044】
続いて、管理PC3は、ステップS1で生成したゲスト情報を、当該ゲストが利用する部屋があるフロアに設置された管理側無線通信機8に送信する(ステップS2)。
【0045】
続いて、当該ゲストが利用する部屋があるフロアに設置された管理側無線通信機8は、ステップS2で管理PC3から送信されたゲスト情報を受信し、当該管理側無線通信機8内に設けられた記憶素子に一時的に記憶する(ステップS3)。
【0046】
当該管理側無線通信機8は、同一フロアに設置された各ロック装置12に設けられた部屋側無線通信機31から、上述した規則に従って設定された送信間隔で送信される問い合わせ要求を受信している。問い合わせ要求には、当該問い合わせ要求の送信元である部屋側無線通信機31のアドレス情報が含まれている。一方、管理側無線通信機8の記憶素子には、同一フロアにある各部屋の番号と、当該フロアにある各部屋の扉に取り付けられたロック装置12に設けられた部屋側無線通信機31のアドレス情報とが互いに関連付けられて予め記憶されている。上記管理側無線通信機8は、問い合わせ要求を受信するたびに、当該問い合わせ要求に含まれているアドレス情報と、ステップS3で記憶したゲスト情報に含まれている部屋番号に関連付けられたアドレス情報とを比較し、両者が一致するか否かを判断する。そして、両者が一致した場合には(ステップS4:YES)、当該管理側無線通信機8は、ステップS3で記憶したゲスト情報を、当該問い合わせ要求の送信元である部屋側無線通信機31に送信する(ステップS5)。
【0047】
一方、各ロック装置12は、ロックシステム1の稼働中は常時、次のようなゲスト情報受信処理を行っている。すなわち、まず、各ロック装置12の部屋側無線通信機31の通信制御部33は、時計35が示す現在時刻を読み取る(ステップS11)。
【0048】
続いて、通信制御部33は、ステップS11で読み取った現在時刻に基づいて、問い合わせ要求の送信間隔の設定を変更する必要があるか否かを判断し(ステップS12)、この必要がある場合には問い合わせ要求の送信間隔の設定を変更する(ステップS13)。すなわち、上述したように、記憶部34には、上述した4通りの時間帯の開始時刻および終了時刻、並びにそれぞれの時間帯についての問い合わせ要求の送信間隔が記憶されている。通信制御部33は、記憶部34からこれらの情報を読み取る。続いて、通信制御部33は、記憶部34から読み取ったこれらの情報と、ステップS11で時計35から読み取った現在時刻とに基づいて、現在の時間帯と、当該時間帯についての問い合わせ要求の送信間隔を特定する。続いて、通信制御部33は、特定した問い合わせ要求の送信間隔と、現時点においてすでに設定されている問い合わせ要求の送信間隔とを比較し、両者が異なる場合には、現時点において設定されている問い合わせ要求の送信間隔を、上記特定した問い合わせ要求の送信間隔に変更する。
【0049】
続いて、通信制御部33は、処理がステップS14に移行した時点における問い合わせ要求の送信間隔(ステップS13で送信間隔が変更された場合には、変更後の送信間隔)の設定に基づく待機時間が経過したか否かを判断し(ステップS14)、当該待機時間が経過したとき(ステップS14:YES)、問い合わせ要求を同一フロアに設置された管理側無線通信機8に送信する(ステップS15)。例えば、ステップS14の時点における問い合わせ要求の送信間隔の設定が30秒間隔である場合には、通信制御部33は、処理がステップS14に移行した時点から30秒が経過したか否かを判断し、30秒が経過したとき、問い合わせ要求を同一フロアに設置された管理側無線通信機8に送信する。
【0050】
続いて、通信制御部33は、問い合わせ要求を送信してから所定期間内に同一フロアに設置された管理側無線通信機8からゲスト情報を受信した否かを判断し(ステップS16)、所定期間内に当該ゲスト情報を受信した場合には(ステップS16:YES)、当該ゲスト情報を記憶部34に記憶する(ステップS17)。
【0051】
このように、ゲストがチェックインしたときに管理PC3により生成されたゲスト情報は、管理側無線通信機8から部屋側無線通信機31に送信され、部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶される。上述したように、管理側無線通信機8は、ゲスト情報に含まれる部屋番号に関連付けられたアドレス情報と一致するアドレス情報を含む問い合わせ要求の送信元である部屋側無線通信機31に当該ゲスト情報を送信するので、部屋側無線通信機31の記憶部34には、当該部屋側無線通信機31が設けられたロック装置12が取り付けられた部屋についてのゲスト情報が記憶される。
【0052】
他方、ロック装置12は、ロックシステム1の稼働中は常時、上述したゲスト情報受信処理と並行して、次のようなカードID読取比較処理を行っている。すなわち、まず、各ロック装置12におけるコントローラ37のカード判断部38は、カードリーダ36によりICカード2からカードIDが読み取られたか否かを判断する(ステップS21)。ゲストがICカード2をカードリーダ36にかざし、カードリーダ36がICカード2からカードIDを読み取って当該カードIDをコントローラ37に出力し、コントローラ37が当該カードIDを受け取ったとき、カード判断部38は、カードIDが読み取られたと判断する(ステップS21:YES)。
【0053】
カードIDが読み取られた場合には、続いて、カード判断部38は、ステップS17で部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶されたゲスト情報を読み取り、このゲスト情報と、ステップS21でICカード2から読み取られたカードIDとを比較し(ステップS22)、ゲストが使用したICカード2が正しいICカードであるか否かを判断する(ステップS23)。例えば、カード判断部38は、当該ゲスト情報に含まれるカードIDと、ステップS21でICカード2から読み取られたカードIDとが一致するか否かを判断し、両者が一致する場合には、ゲストが使用したICカード2が正しいICカードであると判断する。
【0054】
ゲストが使用したICカード2が正しいICカードである場合には(ステップS23:YES)、電気錠制御部39は、電気錠51を施錠動作または解錠動作させるための制御信号を電気錠51に出力する。これにより、現時点において扉が解錠状態にある場合には電気錠51が施錠動作し、扉が施錠され、一方、現時点において扉が施錠状態にある場合には電気錠51が解錠動作し、扉が解錠される(ステップS24)。
【0055】
以上説明した通り、本発明の実施形態によるロックシステム1によれば、ホテルのフロントでICカード2を受け取ったゲストが、利用が許可された部屋の扉の前に直ちに移動し、当該ICカード2をロック装置12に対して直ちに使用した場合でも、当該ロック装置12により電気錠51を確実に解錠動作させることができ、これと同時に、ロック装置12の消費電力を削減し、ロック装置12の電池41の寿命を長くすることができる。
【0056】
具体的に説明すると、多くのゲストがチェックインする時間帯、すなわち、午後3時0分0秒から午後7時59分59秒までの時間帯では、問い合わせ要求の送信間隔が30秒といった比較的短い間隔に設定される。この時間帯においては、管理PC3がゲスト情報を管理側無線通信機8に送信してから、このゲスト情報が管理側無線通信機8から部屋側無線通信機31に送信されて当該部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶されるまでにかかる時間は30秒以下である。一方、通常、ゲストがフロントでICカード2を受け取り、利用が許可された部屋の扉の前に移動し、当該ICカード2をロック装置12に対して使用するまでには最短でも30秒以上はかかると考えられる。したがって、午後3時0分0秒から午後7時59分59秒までの時間帯において、ゲストは、ICカード2を使用して確実に電気錠51を解錠動作させ、扉を解錠させることができる。これにより、ゲストの困惑をなくし、ゲストにとっての利便性を高め、また、ホテルのサービスを向上させことができる。
【0057】
また、多くのゲストがチェックアウトする時間帯、すなわち、午前9時0分0秒から午前11時59分59秒までの時間帯では、問い合わせ要求の送信間隔が30秒といった比較的短い間隔に設定される。この時間帯においても、管理PC3がゲスト情報を管理側無線通信機8に送信してから、このゲスト情報が管理側無線通信機8から部屋側無線通信機31に送信されて当該部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶されるまでにかかる時間は30秒以下である。ゲストがチェックアウトしたときには、今まで当該ゲストに使用を許していたICカード2をチェックアウト以後直ちに使用不能にする必要がある。そこで、ロックシステム1では、これを実現するために、ゲストがチェックアウトしたときに新たな仮のゲスト情報(ICカード2を使用不能にするための情報であって、ICカード2と一致しまたは対応するカードIDを含まないもの)を生成し、この仮のゲスト情報を、当該ゲストに今まで利用が許可されていた部屋の扉に取り付けられたロック装置12の部屋側無線通信機31に送信し、当該部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶されたゲスト情報を上記仮のゲスト情報に書き替える。この結果、チェックアウトしたゲストに今まで使用を許していたICカード2のカードIDと、上記仮のゲスト情報に含まれるカードIDとが一致しなくなるので、今まで使用を許していたICカード2を何人も使用することができなくなる。これにより、チェックアウト後に当該ICカード2を使用して部屋に侵入するといった行為を直ちに封ずることができる。したがって、例えば、チェックアウト時にICカード2をホテル側に返却しなくてもよいといったサービスを運用する場合に、チェックアウト直後にICカード2が不正に使用され、部屋への無断入室を許してしまうといった事態を極力少なくすることができる。
【0058】
その一方で、ゲストの部屋への出入りが少ない時間帯、すなわち午後0時0分0秒から午後2時59分59秒まで、および午後8時0分0秒から午前8時59分59秒までの時間帯では、問い合わせ要求の送信間隔が120秒間隔、300秒間隔といった比較的長い間隔に設定されるので、問い合わせ要求の送信間隔の1日の平均が165.2秒となる。したがって、1日を通して見た場合に、部屋側無線通信機31が問い合わせ要求を送信する頻度を低くすることができ、部屋側無線通信機31の消費電力を削減し、ロック装置12の電池41の寿命を長くすることができる。
【0059】
なお、ゲストがチェックインする頻度が高いときにはゲスト情報を生成する頻度が高くなる。また、ゲストがチェックアウトする頻度が高いときには仮のゲスト情報を生成する頻度が高くなる。一方、ゲストがチェックインする頻度およびゲストがチェックアウトする頻度のいずれも低いときにはゲスト情報を生成する頻度も仮のゲスト情報を生成する頻度も低くなる。本発明の実施形態によるロックシステム1では、ゲスト情報または仮のゲスト情報を生成する頻度が高いときには、問い合わせ要求の送信間隔を比較的短く設定し、ゲスト情報および仮のゲスト情報のいずれも生成する頻度が低いときには、問い合わせ要求の送信間隔を比較的長く設定している。
【0060】
また、上述した問い合わせ要求の送信間隔に関する規則の内容、例えば、1日をいくつの時間帯に分けるか、各時間帯の開始時刻と終了時刻をいつに設定するか、各時間帯について問い合わせ要求の送信間隔をどのような長さに設定するか、毎日同じ規則を適用するか、それとも日(例えば曜日)によって異なる規則を適用するか等は、ホテルの利用状況等に応じて適宜定めることができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、ゲストによりICカード2が使用されたときには、ロック装置12において、ICカード2の記憶素子21に記憶されたカードIDと、部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶されたゲスト情報に含まれるカードIDとを比較することにより、ICカード2が正しいICカードであるか否かを判断する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、ICカード2の発行時に、ICカード発行機7によりICカード2の記憶素子21にゲスト情報を記憶し、ゲストによりICカード2が使用されたときには、ロック装置12において、ICカード2の記憶素子21に記憶されたゲスト情報と、部屋側無線通信機31の記憶部34に記憶されたゲスト情報とを比較することにより、ICカード2が正しいICカードであるか否かを判断してもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、ロック装置12において、ゲスト情報の記憶および問い合わせ要求の送信間隔の変更を部屋側無線通信機31により行う場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。ゲスト情報をコントローラ37内の記憶素子に記憶し、問い合わせ要求の送信間隔の変更をコントローラ37により行ってもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、非接触型のICカード2を用いる場合を例にあげたが、これに代えて接触型のICカードを用いる構成としてもよく、ICカードに代えてRFIDカードや磁気カードを用いる構成としてもよい。また、ICカード2と同様に、鍵として機能し、かつ手軽に携帯することができる携帯型鍵機能装置として、携帯電話機やスマートホン等も考えられる。本発明のロックシステムにおいて、ICカード2に代えて携帯電話機やスマートホン等を用いる構成としてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、ゲスト情報を、ホテルのフロントに設置された管理PC3から、各フロアに設置された管理側無線通信機8のいずれかに送信し、当該管理側無線通信機8から同一フロアの部屋側無線通信機31に送信する場合を例にあげたが、管理PC3および管理側無線通信機8の設置場所や、ゲスト情報の送信経路は、ロックシステム1を用いる施設の構造やサービスの内容等に応じて適宜選択、変更することができる。また、本発明は、ホテル以外の施設の管理等にも適用することができる。
【0065】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うロックシステムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 ロックシステム
2 ICカード(携帯型鍵機能装置)
3 管理PC(識別情報生成手段)
7 ICカード発行機(識別情報生成手段)
8 管理側無線通信機(識別情報送信手段)
12 ロック装置
31 部屋側無線通信機(問い合わせ要求手段、識別情報受信手段、送信間隔変更手段、記憶手段)
35 時計
36 カードリーダ(読取手段)
37 コントローラ
38 カード判断部(比較判断手段)
39 電気錠制御部(電気錠制御手段)
41 電池
51 電気錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型鍵機能装置、管理装置およびロック装置を備え、電気錠を制御するロックシステムであって、
前記携帯型鍵機能装置は鍵として機能する携帯可能な装置であって、記憶素子を有し、当該記憶素子には第1の識別情報が記憶され、
前記管理装置は、前記第1の識別情報と同一または対応する第2の識別情報を生成する識別情報生成手段と、前記識別情報生成手段により生成された第2の識別情報を問い合わせ要求に応じて前記ロック装置に送信する識別情報送信手段とを備え、
前記ロック装置は、前記識別情報送信手段に対して前記問い合わせ要求を送信する問い合わせ要求送信手段と、前記識別情報送信手段により送信された第2の識別情報を受信する識別情報受信手段と、前記識別情報受信手段により受信された第2の識別情報を記憶する記憶手段と、前記携帯型鍵機能装置の記憶素子に記憶された第1の識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた第1の識別情報と前記記憶手段に記憶された第2の識別情報とを比較し、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とが一致するか否かまたは前記第1の識別情報と前記第2の識別情報との間に対応関係が認められるか否かを判断する比較判断手段と、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とが一致し、または前記第1の識別情報と前記第2の識別情報との間に対応関係が認められる場合に前記電気錠を解錠動作させる電気錠制御手段とを備え、
前記問い合わせ要求送信手段は、互いに異なる2以上の時間帯ごとに前記問い合わせ要求の送信間隔を変更する送信間隔変更手段を備えていることを特徴とするロックシステム。
【請求項2】
前記送信間隔変更手段は、前記識別情報生成手段による前記第2の識別情報の生成頻度が高い時間帯においては前記問い合わせ要求の送信間隔を短くし、前記識別情報生成手段による前記第2の識別情報の生成頻度が低い時間帯においては前記問い合わせ要求の送信間隔を長くすることを特徴とする請求項1に記載のロックシステム。
【請求項3】
前記ロック装置は、当該ロック装置の外殻を形成する筐体と、前記筐体内に収容された電池とを備え、前記ロック装置は前記電池から供給される電力により動作することを特徴とする請求項1または2に記載のロックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−23882(P2013−23882A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158908(P2011−158908)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】