説明

ロック構造

【課題】第1の部材と第2の部材とを互いに結合してロックするロック構造において、第1の部材と第2の部材とが結合されてロックされた後に両者が分離してしまう事態を回避する。
【解決手段】第1の部材2は、第1の縦壁24と、第1の縦壁24の端面から離れた位置で第1の縦壁24に交差する方向に延びる弾性ロック片25とを有し、弾性ロック片25には係止部25aが形成されている。第2の部材3は、第1の縦壁24に沿う第2の縦壁32と、第2の縦壁32から第1の縦壁24側に突出し、第1の縦壁24の端面と弾性ロック片25との間に挿入される係止爪33とを有し、係止爪33には被係止部33aが形成されている。係止爪33が第1の縦壁24の端面と弾性ロック片25との間に挿入された状態では、係止爪33が第1の縦壁24の端面に当たって係止されるとともに、係止部25aと被係止部33aとが係合して係止爪33の抜去動作が拘束される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、空調用配管、冷媒管、ドレン管、給水・給湯用の配管、ガス配管など各種の配管を覆って保護する化粧カバーに適用するに好適なロック構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のロック構造としては、第1の部材に形成された係止孔に対して、第2の部材に形成された係止爪が嵌着されて係止されるものが多用されている(例えば、特許文献1参照)。こうしたロック構造では、第1の部材と第2の部材とを互いに結合する際に、第2の部材の弾性力を利用して係止爪を係止孔に嵌着することにより、第1の部材と第2の部材とを互いにロックしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−265090号公報(段落〔0002〕の欄、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなロック構造では、第1の部材と第2の部材とが結合されてロックされた状態でも、第1の部材や第2の部材に外力(外側からの力や、内包材による内側からの力など)が作用した場合には、係止爪が係止孔から外れて第1の部材と第2の部材とが分離する恐れがある。また、こうした外力が作用しなくても、時間の経過とともに第2の部材の弾性力が低下する場合があり、この場合も、係止爪が係止孔から外れて第1の部材と第2の部材とが分離する恐れがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、第1の部材と第2の部材とが結合されてロックされた後に両者が分離してしまう事態の発生を回避することが可能なロック構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1の部材と第2の部材とを互いに結合してロックするロック構造であって、前記第1の部材は、第1の縦壁と、この第1の縦壁の端面から離れた位置で当該第1の縦壁に交差する方向に延びる弾性ロック片とを有し、前記弾性ロック片には係止部が形成され、前記第2の部材は、前記第1の縦壁に沿う第2の縦壁と、この第2の縦壁から前記第1の縦壁側に突出し、前記第1の縦壁の端面と前記弾性ロック片との間に挿入される係止爪とを有し、前記係止爪には被係止部が形成され、前記係止爪が前記第1の縦壁の端面と前記弾性ロック片との間に挿入された状態では、前記係止爪が前記第1の縦壁の端面に当たって係止されるとともに、前記係止部と前記被係止部とが係合して前記係止爪の抜去動作が拘束されるように構成されているロック構造としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記弾性ロック片を前記係止爪から離れる方向に押し下げることにより、前記係止部と前記被係止部との係合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記第1の部材は、底板と、この底板の両側から上方へほぼ垂直に立設された一対の前記第1の縦壁とを有し、前記第2の部材は、天板と、この天板の両側から下方へほぼ垂直に垂設された一対の前記第2の縦壁とを有し、これら第1の部材および第2の部材を互いに結合してロックすることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、第1の部材と第2の部材とを互いに結合してロックするロック構造であって、前記第1の部材は、第1の縦壁と、この第1の縦壁に設けられた被係合部と、前記第1の縦壁から離れた位置で当該第1の縦壁に交差する方向に延びる弾性ロック片とを有し、前記第2の部材は、前記第1の縦壁に沿う第2の縦壁と、この第2の縦壁から前記第1の縦壁側に突出し、前記被係合部に係合する係合凸部と、前記第2の縦壁から前記弾性ロック片側に突出し、前記係合凸部と異なる位置で前記弾性ロック片に係止される係止爪とを有し、前記係合凸部が前記被係合部に係合して前記第1の縦壁に沿う方向の移動を規制するとともに、前記係止爪が前記弾性ロック片に係止されて前記第1の縦壁に交差する方向の移動を規制するように構成されているロック構造としたことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記第1の部材は、底板と、この底板の両側から上方へほぼ垂直に立設された一対の前記第1の縦壁と、前記一対の第1の縦壁の幅方向のほぼ中央部に設けられた一対の前記被係合部と、前記一対の第1の縦壁の幅方向の両端部近傍にそれぞれ設けられた二対の前記弾性ロック片とを有し、前記第2の部材は、天板と、この天板の両側から下方へほぼ垂直に垂設された一対の前記第2の縦壁と、前記一対の第2の縦壁の幅方向のほぼ中央部に設けられ、前記一対の被係合部に係合する一対の前記係合凸部と、前記一対の第2の縦壁の幅方向の両端部近傍にそれぞれ設けられ、前記二対の弾性ロック片に係止される二対の前記係止爪とを有し、これら第1の部材および第2の部材を互いに結合してロックすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、係止爪が第1の縦壁の端面と弾性ロック片との間に挿入されると、係止爪が第1の縦壁の端面に当たって係止されるとともに、係止部が被係止部に係合して係止爪の抜去動作が拘束される。その結果、第1の部材や第2の部材に外力が作用した場合や、第2の部材の弾性力が低下した場合であっても、第1の部材と第2の部材とが結合されてロックされた後に両者が分離してしまう事態の発生を回避することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、弾性ロック片を押し下げると、係止部と被係止部との係合状態が解除されて、係止爪の抜去動作が可能となる。そのため、第1の部材と第2の部材とを結合してロックした後に両者を分離させる必要が生じた場合でも、容易に対処できるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第1の部材が、底板と、この底板の両側から上方へほぼ垂直に立設された一対の第1の縦壁とを有するとともに、第2の部材が、天板と、この天板の両側から下方へほぼ垂直に垂設された一対の第2の縦壁とを有する場合において、上述した効果を奏することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、係合凸部が被係合部に係合して第1の縦壁に沿う方向の移動が規制されるとともに、係止爪が弾性ロック片に係止されて第1の縦壁に交差する方向の移動が規制される。その結果、第1の部材や第2の部材に外力が作用した場合や、第2の部材の弾性力が低下した場合であっても、第1の部材と第2の部材とが結合されてロックされた後に両者が分離してしまう事態の発生を回避することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、第1の部材が、底板と、この底板の両側から上方へほぼ垂直に立設された一対の第1の縦壁と、一対の第1の縦壁の幅方向のほぼ中央部に設けられた一対の被係合部と、一対の第1の縦壁の幅方向の両端部近傍にそれぞれ設けられた二対の弾性ロック片とを有するとともに、第2の部材が、天板と、この天板の両側から下方へほぼ垂直に垂設された一対の第2の縦壁と、一対の第2の縦壁の幅方向のほぼ中央部に設けられ、一対の被係合部に係合する一対の係合凸部と、一対の第2の縦壁の幅方向の両端部近傍にそれぞれ設けられ、二対の弾性ロック片に係止される二対の係止爪とを有する場合において、上述した効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係るロック構造を備えた化粧カバーを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその正面図、(c)はその平面図、(d)はその底面図、(e)は(c)のE−E線による断面図である。
【図2】同実施の形態1に係る化粧カバーの取付ベースを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその正面図、(c)はその平面図、(d)はその底面図、(e)はその右側面図、(f)は(e)のF−F線による断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る化粧カバーのカバー片を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその正面図、(c)はその平面図、(d)はその底面図、(e)は(c)のE−E線による断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るロック構造を備えた化粧カバーを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその正面図、(c)はその底面図、(d)は(c)のD−D線による拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0018】
図1乃至図3には、本発明の実施の形態1を示す。
【0019】
実施の形態1に係るロック構造を備えた化粧カバー1は、図1に示すように、第1の部材としての合成樹脂からなる取付ベース2と、第2の部材としての合成樹脂からなるカバー片3とから構成されている。
【0020】
この取付ベース2は、図2に示すように、ほぼ長方形平板状の底板21を有しており、底板21の中央部には、ねじ止め部22が形成されている。また、底板21の短辺方向(図2(c)の上下方向)の両側には、一対の位置決め片23が形成されており、これらの位置決め片23は、ねじ止め部22を挟んで互いに対向している。なお、各位置決め片23はそれぞれ、その底面が底板21の底面と面一になっている。さらに、底板21の長辺方向(図2(b)の左右方向)の両側には、一対の第1の縦壁24が上方へ垂直に立設されており、これらの第1の縦壁24は互いに平行になっている。また、底板21の長辺方向(図2(f)の左右方向)の両側近傍には、一対の弾性ロック片25が形成されており、各弾性ロック片25はそれぞれ、第1の縦壁24の端面24aの下方で水平方向、つまり第1の縦壁24に直交する方向に延びている。各弾性ロック片25の先端部近傍にはそれぞれ、凹状の係止部25aが形成されている。なお、各弾性ロック片25はそれぞれ、底板21より薄く形成されており、その基部25bを中心として矢印M、N方向に弾性的にたわむことができる。
【0021】
一方、カバー片3は、図3に示すように、所定の曲率で断面円弧状に湾曲した長方形平板状の天板31を有している。天板31の長辺方向(図3(b)の左右方向)の両側には、一対の第2の縦壁32が下方へ垂直に垂設されており、これらの第2の縦壁32は互いに平行になっている。各第2の縦壁32の下端部近傍にはそれぞれ、係止爪33がカバー片3の内側へ向けて水平に突出するように形成されており、これらの係止爪33は互いに対向している。さらに、各係止爪33の先端部にはそれぞれ、図3(e)に示すように、凸状の被係止部33aが下向きに形成されている。
【0022】
化粧カバー1は以上のような構成を有するので、図1(b)に示すように、この化粧カバー1を壁面W1に施工する際には、次の手順による。
【0023】
まず、ベース取付工程で、図2(b)に示すように、壁面W1上の所定の位置に取付ベース2をねじ止めする。それには、取付ベース2の底板21を壁面W1に宛い、この状態で、取付ベース2のねじ止め部22に、ねじ(図示せず)を挿通して壁面W1にねじ込む。
【0024】
次に、配管工程に移行し、図1(b)に示すように、この取付ベース2上に配管4を配設する。
【0025】
このとき、底板21の短辺方向の両側には、上述したとおり、一対の位置決め片23が形成されているため、これらの位置決め片23に沿わせて2本の直管ダクト(図示せず)を所定の位置に配設することができる。
【0026】
最後に、カバー取付工程に移行し、図1に示すように、この配管4を覆うように、取付ベース2にカバー片3を取り付ける。
【0027】
それには、取付ベース2の上方にカバー片3を位置決めした後、このカバー片3を取付ベース2側に移動させる。すると、カバー片3は、一対の第2の縦壁32が取付ベース2の一対の第1の縦壁24に沿って下降し、一対の係止爪33が取付ベース2の一対の第1の縦壁24に当たった後、これらの第1の縦壁24から反力を受けて一対の第2の縦壁32が外向きに少し開きながら下降していく。そして、図1(e)の拡大部分に二点鎖線で示すように、一対の係止爪33が一対の第1の縦壁24の端面24aの少し上側の位置まで達した後、さらに下降すると、一対の第2の縦壁32が一対の第1の縦壁24によって外向きに押圧された状態が解除されるため、図1(e)の拡大部分に実線で示すように、一対の第2の縦壁32が弾性的に内側へ移動して、各係止爪33が各第1の縦壁24の端面24aと各弾性ロック片25との間に挿入される。各係止爪33の挿入に伴って、各弾性ロック片25は、図1(e)の拡大部分に二点鎖線および実線で示すように、一旦、矢印N方向に弾性的にたわんだ後、矢印M方向に弾性的にたわんで元の状態に戻る。その結果、各係止爪33が各第1の縦壁24の端面24aに当たって係止されるとともに、各弾性ロック片25の係止部25aと各係止爪33の被係止部33aとが係合して、各係止爪33の図1(e)右方への抜去動作が拘束された状態で、カバー片3が取付ベース2に取り付けられてロックされる。
【0028】
したがって、取付ベース2やカバー片3に外力が作用した場合や、時間の経過とともにカバー片3の弾性力が低下した場合であっても、取付ベース2とカバー片3とが結合されてロックされた後に両者が分離してしまう事態の発生を回避することが可能となる。
【0029】
また、取付ベース2は、上述したとおり、ねじ止めによって壁面W1上に安定して支持されているので、カバー片3を取り付けるときに取付ベース2がぐらつく事態は生じず、取付ベース2に対するカバー片3の取付作業を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0030】
以上の工程を経て、化粧カバー1が配管4を覆う形で壁面W1に配置された状態となり、ここで化粧カバー1の施工が終了する。
【0031】
また、配管4を配設していない状態で取付ベース2にカバー片3を取り付けてしまった場合には、カバー片3を取付ベース2から取り外して分離させる必要がある。
【0032】
この場合、図1(e)に示すように、一対の弾性ロック片25を下方、つまり係止爪33から離れる方向(矢印P方向)に押し下げる。すると、各弾性ロック片25の係止部25aと各係止爪33の被係止部33aとの係合状態が解除されて、係止爪33の抜去動作が可能となる。そのため、一対の第2の縦壁32を外向きに少し開きながらカバー片3を上方へ引き抜くことにより、カバー片3を取付ベース2から容易に取り外して分離させることができる。
【0033】
さらに、この化粧カバー1は、ロック機構として弾性ロック片25が追加されただけの簡単な構造であるため、製造コストが安価で済むと同時に、長期にわたって使用しても壊れにくいという利点がある。
[発明の実施の形態2]
【0034】
図4には、本発明の実施の形態2を示す。
【0035】
実施の形態2に係るロック構造を備えた化粧カバー1は、図4に示すように、第1の部材としての合成樹脂からなる取付ベース2と、第2の部材としての合成樹脂からなるカバー片3とから構成されている。
【0036】
この取付ベース2は、図4に示すように、ほぼ長方形平板状の底板21を有しており、底板21の中央部には、ねじ止め部22が形成されている。また、底板21の長辺方向(図4(b)の左右方向)の両側には、一対の第1の縦壁24が上方へ垂直に立設されており、これらの第1の縦壁24は互いに平行になっている。また、底板21の長辺方向(図4(c)の左右方向)の両側には、図4(d)に示すように、その幅方向(図4(c)の上下方向)のほぼ中央部に一対の被係合部26が形成されているとともに、図4(a)(b)に示すように、その幅方向の両端部近傍に二対の弾性ロック片25が、第1の縦壁24から離れた位置で第1の縦壁24に直交する方向に延びるように形成されている。なお、各弾性ロック片25はそれぞれ、底板21より薄く形成されており、その基部25bを中心として矢印M、N方向に弾性的にたわむことができる。
【0037】
一方、カバー片3は、図4に示すように、所定の曲率で断面円弧状に湾曲した長方形平板状の天板31を有している。天板31の長辺方向(図4(b)の左右方向)の両側には、一対の第2の縦壁32が下方へ垂直に垂設されており、これらの第2の縦壁32は互いに平行になっている。これらの第2の縦壁32の下端部近傍にはそれぞれ、図4(d)に示すように、その幅方向(図4(c)の上下方向)のほぼ中央部に、一対の被係合部26に係合する一対の係合凸部34が形成されているとともに、図4(a)(b)に示すように、その幅方向の両端部近傍に、弾性ロック片25側に突出し、二対の弾性ロック片25に係止される二対の係止爪33が形成されている。
【0038】
化粧カバー1は以上のような構成を有するので、図4(b)に示すように、この化粧カバー1を壁面W1に施工する際には、次の手順による。
【0039】
まず、ベース取付工程で、図4(b)に示すように、壁面W1上の所定の位置に取付ベース2をねじ止めする。それには、取付ベース2の底板21を壁面W1に宛い、この状態で、取付ベース2のねじ止め部22に、ねじ(図示せず)を挿通して壁面W1にねじ込む。
【0040】
次に、配管工程に移行し、図4(b)に示すように、この取付ベース2上に配管4を配設する。
【0041】
最後に、カバー取付工程に移行し、図4(b)に示すように、この配管4を覆うように、取付ベース2にカバー片3を取り付ける。
【0042】
それには、取付ベース2の上方にカバー片3を位置決めした後、このカバー片3を取付ベース2側に移動させる。すると、カバー片3は、一対の第2の縦壁32が取付ベース2の一対の第1の縦壁24に沿って下降し、一対の係合凸部34が取付ベース2の一対の第1の縦壁24に当たった後、これらの第1の縦壁24から反力を受けて一対の第2の縦壁32が外向きに少し開きながら下降していく。そして、図4(d)に二点鎖線で示すように、一対の係合凸部34が一対の第1の縦壁24の被係合部26の少し上側の位置まで達した後、さらに下降すると、一対の第2の縦壁32が一対の第1の縦壁24によって外向きに押圧された状態が解除される。そのため、図4(d)に実線で示すように、一対の第2の縦壁32が弾性的に内側へ移動して、各係合凸部34が各第1の縦壁24の各被係合部26に係合する。それと同時に、図4(b)の拡大部分に示すように、カバー片3の各係止爪33が取付ベース2の各弾性ロック片25に係止される。その結果、カバー片3は、各係合凸部34が取付ベース2の各被係合部26に係合して上方、つまり第1の縦壁24に沿う方向の移動が規制されると同時に、各係止爪33が取付ベース2の各弾性ロック片25に係止されて水平方向外向き、つまり第1の縦壁24に直交する方向の移動が規制された形で、取付ベース2にロックされた状態となる。
【0043】
したがって、取付ベース2やカバー片3に外力が作用した場合や、時間の経過とともにカバー片3の弾性力が低下した場合であっても、取付ベース2とカバー片3とが結合されてロックされた後に両者が分離してしまう事態の発生を回避することが可能となる。
【0044】
また、取付ベース2は、上述したとおり、ねじ止めによって壁面W1上に安定して支持されているので、カバー片3を取り付けるときに取付ベース2がぐらつく事態は生じず、取付ベース2に対するカバー片3の取付作業を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0045】
以上の工程を経て、化粧カバー1が配管4を覆う形で壁面W1に配置された状態となり、ここで化粧カバー1の施工が終了する。
【0046】
また、配管4を配設していない状態で取付ベース2にカバー片3を取り付けてしまった場合には、カバー片3を取付ベース2から取り外して分離させる必要がある。
【0047】
この場合、図4(b)に示すように、二対の弾性ロック片25を下方、つまり係止爪33から離れる方向(矢印P方向)に押し下げる。すると、各弾性ロック片25と各係止爪33との係合状態が解除されて、係止爪33の抜去動作が可能となる。そのため、一対の第2の縦壁32を外向きに少し開きながらカバー片3を上方へ引き抜くことにより、カバー片3を取付ベース2から容易に取り外して分離させることができる。
【0048】
さらに、この化粧カバー1は、ロック機構として弾性ロック片25が追加されただけの簡単な構造であるため、製造コストが安価で済むと同時に、長期にわたって使用しても壊れにくいという利点がある。
[発明のその他の実施の形態]
【0049】
なお、上述した実施の形態1では、弾性ロック片25の係止部25aが凹状を呈しているとともに、係止爪33の被係止部33aが凸状を呈している場合について説明した。しかし、係止爪33が各第1の縦壁24の端面24aと各弾性ロック片25との間に挿入された状態で、係止部25aと被係止部33aとが係合して係止爪33の抜去動作を拘束することができる限り、係止部25aおよび被係止部33aの形状は特に限定されない。例えば、係止部25aを凸状に形成するとともに、被係止部33aを凹状に形成しても構わない。
【0050】
また、上述した実施の形態1では、一対の係止爪33が一対の第1の縦壁24に当たって係止される化粧カバー1について説明した。しかし、係止爪33および第1の縦壁24の個数は、何個でも構わない。例えば、1つの係止爪33が1つの第1の縦壁24に当たって係止される化粧カバー1に対しても、3つの係止爪33が3つの第1の縦壁24に当たって係止される化粧カバー1に対しても、本発明を同様に適用することができる。
【0051】
また、上述した実施の形態1、2では、取付ベース2およびカバー片3がいずれも合成樹脂からなる化粧カバー1について説明した。しかし、取付ベース2やカバー片3の材料は合成樹脂に限るわけではなく、取付ベース2とカバー片3の双方または一方が合成樹脂以外の材料からなる化粧カバー1に本発明を同様に適用することも可能である。
【0052】
さらに、上述した実施の形態2では、一対の第1の縦壁24の幅方向のほぼ中央部に一対の被係合部26が設けられているとともに、一対の第1の縦壁24の幅方向の両端部近傍にそれぞれ二対の弾性ロック片25が設けられている化粧カバー1について説明した。しかし、被係合部26および弾性ロック片25の位置や個数は、これらに限定されるわけではない。例えば、一対の第1の縦壁24の幅方向のほぼ中央部に一対の弾性ロック片25を設けるとともに、一対の第1の縦壁24の幅方向の両端部近傍にそれぞれ二対の被係合部26を設けるようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、空調用配管、冷媒管、ドレン管、給水・給湯用の配管、ガス配管、排水管など各種の配管を覆って保護する化粧カバーに限らず、ワイヤハーネス(自動車や航空機などの内部配線)を保護するプロテクタ、電気・電子部品を収納する筐体その他の様々な製品、とりわけ合成樹脂製の工業製品に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1……化粧カバー
2……取付ベース(第1の部材)
3……カバー片(第2の部材)
21……底板
24……第1の縦壁
24a……端面
25……弾性ロック片
25a……係止部
26……被係合部
31……天板
32……第2の縦壁
33……係止爪
33a……被係止部
34……係合凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と第2の部材とを互いに結合してロックするロック構造であって、
前記第1の部材は、第1の縦壁と、この第1の縦壁の端面から離れた位置で当該第1の縦壁に交差する方向に延びる弾性ロック片とを有し、前記弾性ロック片には係止部が形成され、
前記第2の部材は、前記第1の縦壁に沿う第2の縦壁と、この第2の縦壁から前記第1の縦壁側に突出し、前記第1の縦壁の端面と前記弾性ロック片との間に挿入される係止爪とを有し、前記係止爪には被係止部が形成され、
前記係止爪が前記第1の縦壁の端面と前記弾性ロック片との間に挿入された状態では、前記係止爪が前記第1の縦壁の端面に当たって係止されるとともに、前記係止部と前記被係止部とが係合して前記係止爪の抜去動作が拘束されるように構成されていることを特徴とするロック構造。
【請求項2】
前記弾性ロック片を前記係止爪から離れる方向に押し下げることにより、前記係止部と前記被係止部との係合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロック構造。
【請求項3】
前記第1の部材は、底板と、この底板の両側から上方へほぼ垂直に立設された一対の前記第1の縦壁とを有し、
前記第2の部材は、天板と、この天板の両側から下方へほぼ垂直に垂設された一対の前記第2の縦壁とを有し、
これら第1の部材および第2の部材を互いに結合してロックすることを特徴とする請求項1または2に記載のロック構造。
【請求項4】
第1の部材と第2の部材とを互いに結合してロックするロック構造であって、
前記第1の部材は、第1の縦壁と、この第1の縦壁に設けられた被係合部と、前記第1の縦壁から離れた位置で当該第1の縦壁に交差する方向に延びる弾性ロック片とを有し、
前記第2の部材は、前記第1の縦壁に沿う第2の縦壁と、この第2の縦壁から前記第1の縦壁側に突出し、前記被係合部に係合する係合凸部と、前記第2の縦壁から前記弾性ロック片側に突出し、前記係合凸部と異なる位置で前記弾性ロック片に係止される係止爪とを有し、
前記係合凸部が前記被係合部に係合して前記第1の縦壁に沿う方向の移動を規制するとともに、前記係止爪が前記弾性ロック片に係止されて前記第1の縦壁に交差する方向の移動を規制するように構成されていることを特徴とするロック構造。
【請求項5】
前記第1の部材は、底板と、この底板の両側から上方へほぼ垂直に立設された一対の前記第1の縦壁と、前記一対の第1の縦壁の幅方向のほぼ中央部に設けられた一対の前記被係合部と、前記一対の第1の縦壁の幅方向の両端部近傍にそれぞれ設けられた二対の前記弾性ロック片とを有し、
前記第2の部材は、天板と、この天板の両側から下方へほぼ垂直に垂設された一対の前記第2の縦壁と、前記一対の第2の縦壁の幅方向のほぼ中央部に設けられ、前記一対の被係合部に係合する一対の前記係合凸部と、前記一対の第2の縦壁の幅方向の両端部近傍にそれぞれ設けられ、前記二対の弾性ロック片に係止される二対の前記係止爪とを有し、
これら第1の部材および第2の部材を互いに結合してロックすることを特徴とする請求項4に記載のロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92182(P2013−92182A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233745(P2011−233745)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(302044708)宏和工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】