説明

ロック装置及び現金自動取引装置

【課題】本発明は、装填位置に対して装填対象を的確にロックする。
【解決手段】本発明は、装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象を装填位置にロックするためのロックレバーのロックレバー先端部を、装填位置に装填された装填対象に差し込んでロックするためのロック位置と、装填対象から抜き出してロックを解除する解除位置とに変位させると共に、ロック位置に変位させたロックレバー先端部に外部から直接外力が加えられたときには、当該ロックレバー先端部をロック位置から退避させるようにロックレバーを支持することにより、ロックレバーのロックレバー先端部がロック位置に変位した状態で装填位置に装填対象が差し入れられても、ロックレバー先端部を装填対象の押し付けに応じてロック位置から退避させてロックレバーの破損を防止することができ、装填位置に対して装填対象を的確にロックすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロック装置及び現金自動取引装置に関し、例えば、現金の預け入れ及び払い出しを行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現金自動取引装置には、紙幣入出金装置が内部の装填位置まで押し込むようにして装填され、また当該内部の装填位置から引き出すことができるように設けられている。
【0003】
この場合、紙幣入出金装置は、本体部と、その本体部に離接自在に設けられたカセット収納部とを有している。またカセット収納部には、現金自動取引装置で取引される紙幣を補給及び回収用に収納するための紙幣収納カセットが着脱可能に装着されている。
【0004】
さらにカセット収納部には、錠及びロックレバーを有するロック部が設けられている。ロック部の錠には、鍵穴に差し込まれる鍵の回転操作に連動して回転する偏芯カムが設けられている。
【0005】
またロック部のロックレバーは、カセット収納部の側面に植設された軸に回動自在に支持され、一端部には現金自動取引装置の筐体に設けられた棒状のストッパと係合する爪が形成され、他端部には偏芯カムの周側面の一部に当接する当接板が設けられている。
【0006】
そして現金自動取引装置は、内部の装填位置に紙幣入出金装置を装填する際、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が一方向へ回転操作されると、その回転操作に連動した偏芯カムの回転により当接板を引き下げ、かつ爪を上げるようにロックレバーを回転させる。
【0007】
これにより現金自動取引装置は、ロックレバーを爪がストッパとは係合しない第1姿勢にし、この状態で紙幣入出金装置を内部の装填位置まで押し込ませていた。
【0008】
また現金自動取引装置は、紙幣入出金装置が内部の装填位置まで押し込まれた状態で、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が他方向へ回転操作されると、その回転操作に連動した偏芯カムの回転により当接板を押し上げ、かつ爪を下げるようにロックレバーを回転させる。
【0009】
これにより現金自動取引装置は、ロックレバーを第2姿勢にして爪をストッパに係合させることで、内部の装填位置に紙幣入出金装置をロックして(すなわち、内部の装填位置に紙幣入出金装置を、当該装填位置から引き出せないように止めて)いた。
【0010】
さらに現金自動取引装置は、内部の装填位置から紙幣入出金装置を引き出す際、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が一方向へ回転操作されると、その回転操作に連動した偏芯カムの回転により当接板を引き下げ、かつ爪を上げるようにロックレバーを回転させる。
【0011】
これにより現金自動取引装置は、ロックレバーを第1姿勢にして爪をストッパから離間させることで、内部の装填位置に対する紙幣入出金装置のロックを解除し、この状態で当該内部の装填位置から紙幣入出金装置を引き出させるようにしていた。
【0012】
このようにして現金自動取引装置は、内部の装填位置に紙幣入出金装置を装填させて紙幣収納カセットにより紙幣を補給させ、また内部の装填位置から紙幣入出金装置を引き出させて紙幣収納カセット内の紙幣を回収させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−115031号公報(第2頁、第3頁、図1、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、従来の現金自動取引装置は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作でのみ、ロックレバーの姿勢を第1姿勢及び第2姿勢に切り換えていた。
【0015】
このため、現金自動取引装置は、紙幣の補給の際、誤ってロックレバーを第2姿勢にしたまま、内部の装填位置に紙幣入出金装置が押し込まれた場合、ロックレバーの爪がストッパに衝突することになる。
【0016】
そして現金自動取引装置では、この際、紙幣入出金装置が比較的強い力をかけて押し込まれていると、例えば、ロックレバーが破損して、当該装填位置に紙幣入出金装置をロックし得なくなるおそれがあるという問題があった。
【0017】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、装填位置に対して装填対象を的確にロックし得るロック装置及び現金自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
かかる課題を解決するため本発明においては、装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象を装填位置にロックするためのロックレバーと、当該ロックレバーのロックレバー先端部を、装填位置に装填された装填対象に差し込んで当該装填対象を装填位置にロックするためのロック位置と、装填対象から抜き出して装填位置に対する装填対象のロックを解除する解除位置とに変位させると共に、ロック位置に変位させたロックレバー先端部に外部から直接外力が加えられたときには、当該ロックレバー先端部をロック位置から退避させるようにロックレバーを支持する支持部とを設けるようにした。
【0019】
従って本発明では、ロックレバーのロックレバー先端部がロック位置に変位した状態で装填位置に装填対象が差し入れられても、ロックレバー先端部を装填対象の押し付けに応じてロック位置から退避させて、ロックレバーの破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象を装填位置にロックするためのロックレバーと、当該ロックレバーのロックレバー先端部を、装填位置に装填された装填対象に差し込んで当該装填対象を装填位置にロックするためのロック位置と、装填対象から抜き出して装填位置に対する装填対象のロックを解除する解除位置とに変位させると共に、ロック位置に変位させたロックレバー先端部に外部から直接外力が加えられたときには、当該ロックレバー先端部をロック位置から退避させるようにロックレバーを支持する支持部とを設けるようにしたことにより、ロックレバーのロックレバー先端部がロック位置に変位した状態で装填位置に装填対象が差し入れられても、ロックレバー先端部を装填対象の押し付けに応じてロック位置から退避させて、ロックレバーの破損を防止することができ、かくして装填位置に対して装填対象を的確にロックし得るロック装置及び現金自動取引装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による現金自動預払機の外観構成の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】現金自動預払機の内部構成を示す略線図である。
【図3】現金収納部の構成を示す略線図である。
【図4】現金自動預払機からのカセット収納フレームの引き出しの説明に供する略線図である。
【図5】カセット収納フレームに対するカセットの出し入れの説明に供する略線図である。
【図6】第1の実施の形態によるロック部の構成を示す略線的断面図である。
【図7】ロック部によるカセット収納フレーム内へのカセットのロックの説明に供する略線的断面図である。
【図8】ロックレバーの退避の説明に供する略線的断面図である。
【図9】第2の実施の形態によるロック部の構成を示す略線的断面図である。
【図10】差込物によってカセットのロックを解除しようとしたときのロックレバーによる解除の阻止の説明に供する略線的断面図である。
【図11】第3の実施の形態によるロック支援部の構成を示す略線的断面図である。
【図12】差込物によってカセットのロックを解除しようとしたときのロックレバー及びロック支援レバーによる解除の阻止の説明に供する略線的断面図である。
【図13】他の実施の形態によるロック部の構成を示す略線的断面図である。
【図14】他の実施の形態によるカセットのカセット長孔の構成示す略線的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)第1の実施の形態
(2)第2の実施の形態
(3)第3の実施の形態
(4)他の実施の形態
【0023】
(1)第1の実施の形態
(1−1)現金自動預払機の外観構成
図1において、1は全体として本発明を適用した現金自動預払機の外観構成を示す。かかる現金自動預払機1は、略箱型の装置筐体2を有している。
【0024】
そして装置筐体2の前側上端部には、当該装置筐体2の前面2Aよりも後面2B側に凹むように略L字状に形成されたフロントパネル3が設けられている。
【0025】
因みに、以下の説明では、装置筐体2の前面2Aを、装置前面2Aとも呼び、当該装置筐体2の後面2Bを、装置後面2Bとも呼ぶ。
【0026】
そして、以下の説明では、装置前面2A及び装置後面2B間を装置奥行とも呼び、当該装置前面2Aから装置後面2Bへ向かう方向(すなわち、後方向)を、適宜、装置奥行方向とも呼ぶ。
【0027】
また、以下の説明では、装置筐体2の上面2Cを、装置上面2Cとも呼び、装置筐体2の下面及び装置上面2C間を装置高さとも呼ぶ。
【0028】
そして、以下の説明では、装置筐体2の下面から装置上面2Cへ向かう方向(すなわち、上方向)を、適宜、装置高さ方向とも呼ぶ。
【0029】
さらに、以下の説明では、装置筐体2をフロントパネル3と対峙して見た場合の左の側面2Dを、装置左側面2Dとも呼び、右の側面2Eを、装置右側面2Eとも呼び、装置左側面2D及び装置右側面2E間を装置幅とも呼ぶ。
【0030】
そして、以下の説明では、装置左側面2Dから装置右側面2Eへ向かう方向を、右方向とも呼び、装置右側面2Eから装置左側面2Dへ向かう方向を、左方向とも呼び、これら左方向及び右方向を特には区別する必要のない場合、まとめて装置幅方向とも呼ぶ。
【0031】
この場合、フロントパネル3において上側に向くほぼ水平な(すなわち、装置上面2Cとほぼ平行な)上向パネル3Aには、例えば、中央部にタッチスクリーン4が設けられている。
【0032】
またフロントパネル3の上向パネル3Aには、例えば、装置左側面2D寄りに、硬貨を投入及び排出するための凹部でなる硬貨投入排出部5が設けられている。
【0033】
さらにフロントパネル3の上向パネル3Aには、例えば、装置右側面2E寄りに、長方形の紙幣を投入及び排出するための凹部でなる紙幣投入排出部6が設けられている。
【0034】
因みに、タッチスクリーン4は、種々の操作画像を表示するための液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような表示部の表示面上に、操作入力用の透明なタッチパネルが貼着されて形成されている。
【0035】
また硬貨投入排出部5及び紙幣投入排出部6の開口には、それぞれ取引内容に応じて当該開口を開放及び閉塞するためのシャッタが開閉自在に設けられている。
【0036】
一方、フロントパネル3において前側に向くほぼ垂直な(すなわち、装置前面2Aとほぼ平行な)前向パネル3Bには、例えば、装置左側面2D寄りに、通帳を挿入し、また当該通帳や取引明細書を排出するための通帳挿入排出口7が設けられている。
【0037】
またフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、装置右側面2E寄りに、キャッシュカードやクレジットカード等の種々のカードを挿入及び排出するためのカード挿入排出口8も設けられている。
【0038】
因みに、装置筐体2の内部には、通帳挿入排出口7の奥側に、通帳に記録されている口座番号のような顧客情報等を読み取り、また取引内容等を通帳や取引明細書に印刷するための読取印刷処理部(図示せず)が設けられている。
【0039】
また装置筐体2の内部には、カード挿入排出口8の奥側に、種々のカードに記録されている口座番号のような顧客情報等を読み取るためのカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0040】
現金自動預払機1は、係る構成のもと、タッチスクリーン4に操作画像を表示すると共に、顧客によるタッチスクリーン4の表面へのタッチ操作に応じて操作画像を適宜切り換えて表示する。
【0041】
これにより現金自動預払機1は、顧客に操作画面を介して、現金の預け入れや引き出し等の所望の取り引きの手順を案内する。
【0042】
そして現金自動預払機1は、顧客に、その案内に従って通帳挿入排出口7やカード挿入排出口8に通帳やカードを投入させ、また硬貨投入排出部5内や紙幣投入排出部6内に硬貨や紙幣を投入させる。
【0043】
また現金自動預払機1は、顧客に、その案内に従って通帳挿入排出口7やカード挿入排出口8から排出した通帳や取引明細書、カードを受け取らせ、また硬貨投入排出部5や紙幣投入排出部6を介して硬貨や紙幣を受け取らせる。
【0044】
このようにして現金自動預払機1は、顧客が所望する現金の預け入れや引き出し等の取り引きを行うことができる。
【0045】
(1−2)現金自動預払機の内部構成
次いで、図2を用いて現金自動預払機1の内部構成について説明する。現金自動預払機1において装置筐体2の内部には、制御部10が設けられ、当該制御部10が装置全体を統括制御する。
【0046】
これにより制御部10は、例えば、顧客によりタッチスクリーン4の表面がタッチ操作され、所望の取り引きとして紙幣の預け入れが選択されると、タッチスクリーンに表示する操作画像を介して、通帳又はカードの挿入を案内する。
【0047】
その結果、制御部10は、通帳挿入排出口7又はカード挿入排出口8に通帳又はカードが挿入されると、読取印刷処理部又はカード処理部により通帳又はカードに記録されている顧客情報等を読み取るようにして例えば、顧客の口座番号を特定する。
【0048】
そして制御部10は、このように顧客の口座番号を特定すると、紙幣投入排出部6のシャッタを開いて、当該紙幣投入排出部6の開口を開放すると共に、タッチスクリーンに表示する操作画像を介して、紙幣投入排出部6内への紙幣の投入を案内する。
【0049】
その結果、制御部10は、紙幣投入排出部6内に預け入れ用に1又は複数の紙幣が挿入されると、その紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路11を介して鑑別部12に搬送して、当該鑑別部12において紙幣の金種及び状態を鑑別させる。
【0050】
この際、制御部10は、鑑別部12において正常であると鑑別された紙幣については、紙幣搬送路11を介して一時保留部13に搬送して一時的に保持して預け入れを保留する。
【0051】
また制御部10は、鑑別部12において、破損等により異常であると鑑別された紙幣については、紙幣搬送路11を介して紙幣投入排出部6に搬送して顧客に返却する。
【0052】
このようにして制御部10は、鑑別部12において、紙幣投入排出部6内に投入された紙幣が全て鑑別されると、正常であると鑑別された紙幣の金種から、預け入れを保留している紙幣の総額を計数する。
【0053】
そして制御部10は、タッチスクリーン4に表示した操作画像を介して顧客に、その計数した総額を提示する。その結果、制御部10は、操作画像を介して預け入れの金額を確認した顧客により、タッチスクリーン4の表面がタッチ操作され、預け入れが指示されると、一時保留部13に一時的に保持していた紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路11を介して鑑別部12に戻す。
【0054】
そして制御部10は、鑑別部12において再び紙幣の金種を鑑別させた後、当該金種が鑑別された紙幣を、収納取出用搬送路14を介して現金収納部15に搬送する。
【0055】
これにより制御部10は、現金収納部15において所定の収納機構(図示せず)により、紙幣を、例えば、金種毎のカセット16乃至18のうち、鑑別された金種に応じたカセット16乃至18に収納する。
【0056】
この際、制御部10は、読取印刷処理部において通帳又は取引明細書に預け入れの金額を印刷して、当該金額を印刷した通帳又は取引明細書を通帳挿入排出口7から排出することにより、顧客に通帳を返却し、又は取引明細書を受け取らせる。
【0057】
また制御部10は、カード処理部に取り込んでいたカードをカード挿入排出口8から排出して顧客に返却する。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の預け入れを行うことができる。
【0058】
因みに、制御部10は、顧客により預け入れ用の現金として硬貨が硬貨投入排出部5に投入された場合には、その硬貨を図示しない硬貨搬送路を介して搬送しながら、上述した紙幣の場合と基本的には同様に処理する。
【0059】
これにより制御部10は、その硬貨を最終的には収納取出用搬送路14を介して現金収納部15に搬送する。これにより制御部10は、現金収納部15において収納機構により、硬貨を、その金種に応じたカセット16乃至18に収納する。
【0060】
また制御部10は、例えば、顧客によりタッチスクリーン4の表面がタッチ操作され、所望の取り引きとして現金の引き出しが選択されると、タッチスクリーンに表示する操作画像を介して、通帳及びカードの挿入を案内する。
【0061】
その結果、制御部10は、少なくともカードがカード挿入排出口8に挿入されると、カード処理部によりカードに記録されている顧客情報等を読み取るようにして例えば、顧客の口座番号を特定すると共に、預金残高を確認する。
【0062】
そのうえで制御部10は、顧客によりタッチスクリーン4の表面がタッチ操作され引出金額が指定されると、その指定された引出金額を預金残高と比較して、当該指定された引出金額分の現金の引き出しが可能であるか否かを判別する。
【0063】
その結果、制御部10は、預金残高が不足しており、指定された引出金額分の現金を引き出すことができない場合には、タッチスクリーン4に表示した操作画像を介して顧客に、預金残高を提示すると共に、引出金額分の現金の引き出しができないことを通知する。
【0064】
これに対し制御部10は、引出金額が預金金額内であると、現金収納部15のカセット16乃至17から、指定された引出金額分の紙幣や硬貨を所定の取出機構(図示せず)を介して取り出す。
【0065】
また制御部10は、現金収納部15のカセット16乃至18から取り出した紙幣や硬貨を、収納取出用搬送路14と、紙幣搬送路11や硬貨搬送路等とを順次介して紙幣投入排出部6や硬貨投入排出部5に搬送する。
【0066】
そして制御部10は、紙幣投入排出部6や硬貨投入排出部5のシャッタを開いて開口を開放することにより、当該紙幣投入排出部6や硬貨投入排出部5を介して顧客に、指定された引出金額分の紙幣や硬貨を受け取らせる。
【0067】
この際、制御部10は、カード処理部に取り込んでいたカードをカード挿入排出口8から排出して顧客に返却する。
【0068】
また制御部10は、このとき通帳挿入排出口7に通帳が挿入されていると、読取印刷処理部において当該通帳に引出金額、及び現金引出後の預金残高を印刷する。
【0069】
これにより制御部10は、引出金額、及び現金引出後の預金残高を印刷した通帳を通帳挿入排出口7から排出して顧客に返却する。
【0070】
因みに、制御部10は、このとき通帳挿入排出口7に通帳が挿入されていないと、読取印刷処理部において取引明細処理に引出金額、及び現金引出後の預金残高を印刷する。
【0071】
これにより制御部10は、引出金額、及び現金引出後の預金残高を印刷した取引明細書を通帳挿入排出口7から排出して顧客に受け取らせる。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての現金の引き出しを行うことができる。
【0072】
(1−3)現金収納部の構成
次いで、現金自動預払機1の内部に設けられた現金収納部15の構成について説明する。図2及び図3並びに図4に示すように、現金収納部15は、例えば、装置筐体2の内部の下側に固定された箱形の収納部筐体20を有している。
【0073】
また現金収納部15は、複数のカセット16乃至17を収納するためのカセット収納フレーム21も有している。
【0074】
この場合、収納部筐体20の左側内面中央部には、装置筐体2の奥行よりも僅かに短い例えば、断面略コ字状の左側レールガイド22が、溝部を右側に向け、かつ左側レールガイド22の長手方向を装置奥行方向と平行にして配置されている。
【0075】
また収納部筐体20の右側内面中央部には、左側レールガイド22と等しい長さ及び形状を有する右側レールガイド23が、溝部を左側に向けて左側レールガイド22と対向させ、かつ右側レールガイド23の長手方向を装置奥行方向と平行にして配置されている。
【0076】
一方、カセット収納フレーム21は、箱型に組まれた枠部に対し例えば、少なくとも底を閉塞するように板が取り付けられると共に、左右の開口部をそれぞれ閉塞するように壁部が設けられ、上端に開口部を有するように形成されている。
【0077】
因みに、以下の説明では、カセット収納フレーム21において底の開口部を閉塞するように設けられた板を、底板とも呼ぶ。
【0078】
また、以下の説明では、カセット収納フレーム21において左の開口部を閉塞するように設けられた壁部を、フレーム左側壁とも呼び、右の開口部を閉塞するように設けられた壁部を、フレーム右側壁とも呼ぶ。
【0079】
カセット収納フレーム21は、幅(すなわち、装置幅方向の長さ)が、収納部筐体20の幅よりも狭いものの、カセット16乃至18の幅(すなわち、装置幅方向の長さ)よりも僅かに広く選定されている。
【0080】
またカセット収納フレーム21は、奥行(すなわち、装置奥行方向の長さ)が、収納部筐体20の奥行よりも僅かに短いものの、カセット16乃至18の奥行(すなわち、装置奥行方向の長さ)数個分よりも僅かに長く選定されている。
【0081】
さらにカセット収納フレーム21は、高さ(すなわち、装置高さ方向の長さ)が、収納部筐体20の高さよりも低いものの、カセット16乃至18の高さ(すなわち、装置高さ方向の長さ)よりも僅かに高く選定されている。
【0082】
これによりカセット収納フレーム21は、上端の開口部から複数のカセット16乃至18を例えば、置奥行方向に沿って1列に並べるようにして内部に収納させる。
【0083】
またカセット収納フレーム21の左側面(すなわち、フレーム左側壁の外面であり、以下、これをフレーム左側面とも呼ぶ)21Aには、底面から所定の高さ位置に左側可動レール24が、当該左側可動レー24の長手方向を装置奥行方向と平行にして配置されている。
【0084】
またカセット収納フレーム21の右側面(すなわち、フレーム右側壁の外面であり、以下、これをフレーム右側面とも呼ぶ)21Bには、底面から左側可動レール24と同様の高さ位置に右側可動レール25が、当該右側可動レール25の長手方向を装置奥行方向と平行にして配置されている。
【0085】
さらにカセット収納フレーム21は、左側レールガイド22の溝部に左側可動レール24が挿入されると共に、右側レールガイド23に右側可動レール25が挿入されている。
【0086】
これにより現金収納部15は、収納部筐体20に左側レールガイド22及び左側可動レール24と、右側レールガイド23及び右側可動レール25とを介してカセット収納フレーム21を後方向及び前方向にスライド自在に保持している。
【0087】
ところで、左側可動レール24は、左側レールガイド22とほぼ等しい長さを有する1本のレールとして形成され、又は少なくとも2本以上のレールを伸縮可能に組み合わせて伸長時には左側レールガイド22よりも長くなるように形成されている。
【0088】
また右側可動レール25についても、左側可動レール24と同様に、1本のレールとして、又は少なくとも2本以上のレールを伸縮可能に組み合わせて、当該左側可動レール24と等しい長さを有するように形成されている。
【0089】
よって現金自動預払機1は、当該現金自動預払機1に対する種々の作業が許可された作業者により、装置筐体2に設けられた図示しない後扉が開かれた場合、当該作業者に収納部筐体20の内部からカセット収納フレーム21全体を装置筐体2の外部(すなわち、装置筐体2の後側)に引き出させることができる。
【0090】
これにより図5(A)及び(B)に示すように、現金自動預払機1は、作業者に装置筐体2の外部においてカセット収納フレーム21の上端の開口部から複数のカセット16乃至18を下方向に差し入れさせるようにして内部に装填させることができる。
【0091】
また現金自動預払機1は、作業者に装置筐体2の外部においてカセット収納フレーム21の内部から複数のカセット16乃至18を上方向に持ち上げさせるようにして上端の開口部を介して外部に取り出させることができる。
【0092】
そして現金自動預払機1は、作業者により装置筐体2の後側からカセット収納フレーム21が収納部筐体20の内部に差し入れられると、当該収納部筐体20の内部にカセット収納フレーム21全体を収納する。この状態で現金自動預払機1は、作業者に装置筐体2の後扉を閉じさせる。
【0093】
これにより現金自動預払機1は、内部の現金収納部15において、カセット収納フレーム21に装填されたカセット16乃至18と共に、当該カセット16乃至18内の現金を保護することができる。
【0094】
このようにして現金自動預払機1は、現金収納部15に対するカセット収納フレーム21の差入及び引出に応じてカセット16乃至18を用いて現金の補給及び回収を行わせることができると共に、当該現金収納部15内では現金を保護することができる。
【0095】
ところで、カセット16乃至18(図2乃至図5)は、上端部に略コ字状のハンドル26乃至28が折り畳み可能に設けられている。
【0096】
これによりカセット16乃至18は、ハンドル26乃至28が上端部から上側に引き起こされた場合、そのハンドル26乃至28を持たせてカセット収納フレーム21に対して容易に出し入れさせることができる。
【0097】
またカセット16乃至18は、上端部にハンドル26乃至28の形状に応じた切欠部が形成されている。よってカセット16乃至18は、ハンドル26乃至28が折り畳まれた場合に、当該ハンドル26乃至28を切欠部内に収納して全体が略直方体状になるようにハンドル26乃至28と一体化する。
【0098】
これによりカセット16乃至18は、カセット収納フレーム21内における当該カセット16乃至18の収納空間を極力小さくして、当該カセット収納フレーム21と共に現金自動預払機1が大型化することを回避している。
【0099】
(1−4)ロック部の構成
係る構成に加えて、カセット収納フレーム21(図3乃至図5)の例えば、フレーム右側面21B下寄りには、当該カセット収納フレーム21の前端近傍から後端近傍に亘り複数のロック部を一括して保護するための細長い箱型の保護カバー30が配置されている。
【0100】
この場合、複数のロック部は、カセット収納フレーム21内に1列に並ぶ複数のカセット16乃至18の例えば、右側面(以下、これをカセット右側面とも呼ぶ)後寄りと対向する位置に設けられている。
【0101】
そして複数のロック部は、それぞれ同様に構成されている。またカセット収納フレーム21内に1列に並ぶ複数のカセット16乃至18も同様に構成されている。
【0102】
よって以下には、1つのロック部の構成を、1つのカセット16の対応する構成と共に説明し、他のロック部の構成、及び他のカセット17及び18の対応する構成については説明を省略する。
【0103】
図6(A)及び(B)に示すように、ロック部31は、保護カバー30内に、ロックレバー32支持用のレバー支持面33Aを後側に向けて、当該保護カバー30の内部空間を区切るように設けられたレバー支持板33を有している。
【0104】
レバー支持板33のレバー支持面33Aには、上側所定位置に、ロックレバー32の回動用のレバー回動軸34が後方向と平行に植設されている。
【0105】
ロックレバー32は、カセット16をカセット収納フレーム21内の装填位置にロックする(すなわち、カセット収納フレーム21内の装填位置にカセット16を、当該装填位置から引き出せないように止める)ためのものである。
【0106】
そしてロックレバー32は、根元部32Aに対し先端部32Bを鈍角(すなわち、くの字状)に屈曲させたような平板状に形成されている。
【0107】
因みに、以下の説明では、平板でなるロックレバー32において曲がりの内側の側面を、内側面とも呼び、当該内側面において根元部32Aの部分を特に根元部内側面32AWとも呼び、先端部32Bの部分を特に先端部内側面32BWとも呼ぶ。
【0108】
また、以下の説明では、平板でなるロックレバー32において曲がりの外側の側面を、外側面とも呼び、当該外側面において根元部32Aの部分を特に根元部外側面32AXとも呼び、先端部32Bの部分を特に先端部外側面32BXとも呼ぶ。
【0109】
ロックレバー32は、根元部32Aにおいて端面32AY寄りに一面から他面に貫通する円形の孔32AZが穿設されている。
【0110】
そしてロックレバー32は、内側面を左側に向けるようにして孔32AZに他面側からレバー回動軸34が挿入されている。
【0111】
これによりレバー支持板33は、ロックレバー32を、レバー回動軸34を中心にして一方向(図面上では反時計回り方向)及び他方向(図面上では時計回り方向)に回動可能に支持している。
【0112】
ところで、ロックレバー32は、例えば、図示しないコイルばねや板ばね等のような弾性体により一方向に回転する(すなわち、先端部32Bをカセット収納フレーム21のフレーム右側面21B側に変位させる)ように付勢されている。
【0113】
ただし、ロックレバー32において根元部32Aと先端部32Bとの境界部分には、当該ロックレバー32の一方向への回転角度を規制するための略四角形状の回転規制部32Cが、その境界部分から先端部32B側に張り出すように設けられている。
【0114】
そしてロックレバー32の内側面において回転規制部32Bの部分は、一部が例えば、根元部内側面32AWと平行に形成されている。
【0115】
因みに、以下の説明では、内側面において回転規制部32Bの部分の、根元部内側面32AWと平行に形成されている一部を、特に規制部内側面32CWとも呼ぶ。
【0116】
これによりロックレバー32は、弾性体の付勢によって一方向へ回転しても、根元部内側面32AWがフレーム右側面21Bと平行になった時点で回転規制部32Cの規制部内側面32CWを当該フレーム右側面21Bに付き当てて回転を停止させる。
【0117】
このようにしてロックレバー32において回転規制部32Cは、当該ロックレバー32の一方向への回転を、根元部内側面32AWがフレーム右側面21Bと平行になった姿勢よりも、さらに一方向へは回転させないように規制している。
【0118】
またロックレバー32は、規制部内側面32CWをフレーム右側面21Bに付き当てた状態で、当該規制部内側面32CWよりも先端部32Bの端面32BY部分が左斜下側に突出するように先端部32Bの長さが適宜選定されている。
【0119】
さらにカセット収納フレーム21のフレーム右側壁には、ロックレバー32が回動した際の先端部32Bの変位の軌跡に対応させて長孔21BXが、当該長孔21BXの長手方向を上方向と平行にしてフレーム右側壁を貫通するように穿設されている。
【0120】
さらにまたカセット16の右側壁16Aにも、ロックレバー32が回動した際の先端部32Bの変位の軌跡に対応させて長孔16AXが、当該長孔16AXの長手方向を上方向と平行にして右側壁16Aを貫通するように穿設されている。
【0121】
因みに、以下の説明では、カセット収納フレーム21の長孔21BXを、フレーム長孔21BXとも呼び、カセット16の長孔16AXを、カセット長孔16AXとも呼ぶ。また、以下の説明では、カセット16の右側壁16Aを、カセット右側壁16Aとも呼ぶ。
【0122】
これによりロックレバー32は、一方向への回転に伴い先端部32Bをカセット収納フレーム21のフレーム右側面21B側に変位させて規制部内側面32CWをフレーム右側面21Bに付き当てた場合、先端部32Bをフレーム長孔21BX及びカセット長孔16AXに順次通してカセット16の内部に差し込むことができる。
【0123】
またレバー支持板33のレバー支持面33Aには、ロックレバー32の規制部内側面32CWがフレーム右側面21Bに付き当てられた場合に、フレーム右側面21Bよりも根元部内側面32AWに近接するような所定位置に、偏芯カム35の回動用のカム回動軸36が後方向と平行に植設されている。
【0124】
さらに偏芯カム35は、円板状に形成されると共に、一面の中心からずれた位置に当該一面から他面に貫通する孔35Aが穿設されている。そして偏芯カム35は、孔35Aに他面側からカム回動軸36が挿入されている。
【0125】
これによりレバー支持板33は、偏芯カム35を、カム回動軸36を中心にして一方向及び他方向に回動可能に支持している。
【0126】
ただし、例えば、保護カバー30には、図示しない錠と、当該錠の鍵穴に鍵が差し込まれて回転操作された場合に、鍵の回転に連動させてカム回動軸36と共に偏芯カム35を回動させる図示しないカム回動機構とが設けられている。
【0127】
因みに、保護カバー30には、複数のロック部31に対し1組の錠及びカム回動機構、又はロック部31毎に1組の錠及びカム回動機構が設けられている。
【0128】
そして複数のロック部31に対し1組の錠及びカム回動機構が設けられている場合、作業者により錠の鍵穴に鍵が差し込まれて回転操作されると、これに応じてカム回動機構が複数のロック部31においてカム回動軸36と共に偏芯カム35を一括して回転させる。
【0129】
またロック部31毎に1組の錠及びカム回動機構が設けられている場合、作業者により何れかの錠の鍵穴に鍵が差し込まれて回転操作されると、これに応じてカム回動機構が対応するロック部31でのみカム回動軸36と共に偏芯カム35を回転させる。
【0130】
実際に錠については、作業者により鍵穴に鍵が差し込まれた場合、当該鍵を例えば、180度の鍵回動範囲で時計回り方向及び反時計回り方向に回転させることができる。
【0131】
そしてカム回動機構は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が鍵回動範囲において例えば、時計回り方向に目一杯回転した場合、カム回動軸36と共に偏芯カム35を例えば、180度のカム回動範囲で他方向へ目一杯回転させる。
【0132】
これにより偏芯カム35は、一周に亘る周側面の中でカム回動軸36との距離が最も長い部分(以下、これを周側面軸離隔部分とも呼ぶ)35AYを右方向(すなわち、ロックレバー32の根元部内側面32AW側)に向ける。
【0133】
またカム回動機構は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が鍵回動範囲において例えば、反時計回り方向に目一杯回転した場合、カム回動軸36と共に偏芯カム35をカム回動範囲で一方向へ目一杯回転させる。
【0134】
これにより偏芯カム35は、一周に亘る周側面の中でカム回動軸36との距離が最も短い部分(以下、これを周側面軸近接部分とも呼ぶ)35AXを右方向(すなわち、ロックレバー32の根元部内側面32AW側)に向ける。
【0135】
そして偏芯カム35は、周側面軸近接部分35AXを右方向へ向けた場合にロックレバー32の根元部内側面32AWに近接又は当接させて、当該ロックレバー32の規制部内側面32CWをフレーム右側面21Bに付き当てさせるように、直径と孔35Aの穿設位置とが適宜選定されている。
【0136】
よってロック部31は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作に連動して偏芯カム35が他方向に回転すると、当該偏芯カム35の周側面においてロックレバー32の根元部内側面32AWとの接触部分を、周側面軸近接部分35AXから周側面軸離隔部分35AY側へ徐々に変位させる。
【0137】
これによりロック部31は、偏芯カム35の他方向への回転に応じて、弾性体により付勢されているロックレバー32を他方向へ押し戻すように回転させて、当該ロックレバー32の先端部32Bをカセット16の内部から徐々に退出させるように変位させる。
【0138】
そしてロック部31は、偏芯カム35がカム回動範囲で他方向へ目一杯回転して周側面軸離隔部分35AYを右方向へ向けた場合、ロックレバー32の先端部32Bを、カセット16の内部、カセット長孔16AX及びフレーム長孔21BXの全てから抜き出す。
【0139】
すなわち、ロック部31は、偏芯カム35の周側面軸離隔部分35AYを右方向へ向けた場合、ロックレバー32の先端部32Bを、カセット収納フレーム21内から抜き出して、当該カセット収納フレーム21内へのカセット16のロックを解除するための解除位置に変位させる。
【0140】
因みに、以下の説明では、ロックレバー32を他方向に回転させて、先端部32Bをカセット収納フレーム21内から抜き出すようにして解除位置に変位させたときの当該ロックレバー32の姿勢を、ロック解除姿勢とも呼ぶ。
【0141】
このようにしてロック部31は、ロックレバー32をロック解除姿勢にした状態では、カセット収納フレーム21に対し上端の開口部からカセット16を、ロックレバー32に何ら接触させることなく下方向に差し入れさせるように装填させることができる。
【0142】
またロック部31は、ロックレバー32をロック解除姿勢にした状態では、カセット収納フレーム21内からカセット16をロックレバー32に何ら接触させることなく上方向に持ち上げさせるようにして外部に引き出させることができる。
【0143】
一方、ロック部31は、ロックレバー32をロック解除姿勢にしてカセット収納フレーム21内にカセット16が装填された状態で、錠の鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作に連動して偏芯カム35が一方向に回転すると、当該偏芯カム35の周側面においてロックレバー32の根元部内側面32AWとの接触部分を、周側面軸離隔部分35AYから周側面軸近接部分35AX側へ徐々に変位させる。
【0144】
よってロック部31は、偏芯カム35の一方向への回転に応じて、弾性体の付勢に従いロックレバー32をロック解除姿勢から一方向に回転させて、先端部32Bをフレーム長孔21BX及びカセット長孔16AXに順次通すように変位させる。
【0145】
そしてロック部31は、偏芯カム35がカム回動範囲で一方向へ目一杯回転して周側面軸近接部分35AXを右方向へ向けた場合には、ロックレバー32の規制部内側面32CWをフレーム右側面21Bに付き当てさせる。
【0146】
これによりロック部31は、ロックレバー32の先端部32Bを、フレーム長孔21BX及びカセット長孔16AXに順次通してカセット16の内部に差し込む。
【0147】
すなわち、ロック部31は、偏芯カム35の周側面軸近接部分35AXを右方向へ向けた場合、ロックレバー32の先端部32Bを、カセット収納フレーム21内のカセット16の内部に差し込んで当該カセット収納フレーム21内にカセット16をロックするためのロック位置に変位させる。
【0148】
因みに、以下の説明では、ロックレバー32を一方向に回転させて、先端部32Bをカセット収納フレーム21内のカセット16の内部に差し込むようにしてロック位置に変位させたときの当該ロックレバー32の姿勢を、ロック可能姿勢とも呼ぶ。
【0149】
そして図7に示すように、ロック部31は、ロックレバー32をロック可能姿勢にした状態で、カセット収納フレーム21内のカセット16が上方向に持ち上げられると、当該ロックレバー32の先端部外側面32BXにおいて端面32BY寄りの部分に、カセット長孔16AXの下内面を付き当てるように引っ掛けさせることができる。
【0150】
これによりロック部31は、ロック可能姿勢のロックレバー32により、カセット16をカセット収納フレーム21内の装填位置にロックする(すなわち、カセット収納フレーム21内の装填位置にカセット16を、当該装填位置から上方向には引き出せないように止める)ことができる。
【0151】
ここで、ロック部31は、ロックレバー32をロック可能姿勢にした場合、当該ロックレバー32の先端部32Bを、当該先端部32Bの長手方向が左斜下方向と平行となるように傾斜させている。
【0152】
よってロック部31は、ロックレバー32をロック可能姿勢にした状態で、カセット収納フレーム21内のカセット16が上方向に持ち上げられた場合、当該ロックレバー32の先端部外側面32BXに、カセット長孔16AXの下内面を容易に、かつ確実に引っ掛けさせることができる。
【0153】
そしてロック部31は、係る状態では、ロックレバー32の先端部外側面32BXにおいて端面32BY寄りの部分を、カセット16の内部においてカセット長孔16AXの下内面よりもカセット16内の左斜下側に突出させている。
【0154】
これによりロック部31は、係る状態からカセット16に、さらに上方向に持ち上げるような外力が加えられても、ロックレバー32に対するカセット16の引っ掛かりが外れないようにして、当該カセット16をカセット収納フレーム21内の装填位置に確実にロックし続けることができる。
【0155】
因みに、ロックレバー32は、先端部32Bの端面32BYが保持部内側面32AWと平行(すなわち、先端部32Bがロック位置に変位したときにカセット右側壁16Aの内面と平行)となるように形成されている。
【0156】
このためロックレバー32は、先端部32Bがカセット16の内部に差し込まれても、その差込部分の長さを極力短くして、当該カセット16の内部を現金の収納スペースとして有効に活用させることができる。
【0157】
またカセット16においてカセット長孔16AXは、長さが極力短く選定されると共に、下内面がロックレバー32のロック可能姿勢での先端部外側面32BXと極力近接するように、穿設位置が選定されている。
【0158】
これによりカセット16は、カセット収納フレーム21内から僅かに持ち上げられただけで、カセット長孔16AXの下内面をロックレバー32の先端部外側面32BXに付き当てさせることができる。
【0159】
すなわち、カセット16は、上に持ち上げるような外力が持ち上げ距離の増加に伴い増大する前に、カセット長孔16AXの下内面をロックレバー32の先端部外側面32BXに付き当てさせることができる。
【0160】
よってカセット16は、上方向に持ち上げるような外力が持ち上げ距離の増加に伴い増大して、カセット長孔16AXの下内面がロックレバー32の先端部外側面32BXに勢い良く付き当てられることを回避して、当該ロックレバー32の破損を防止することができる。
【0161】
ところで、図8に示すように、ロック部31は、ロックレバー32の一方向への回転に、弾性体の付勢を利用している。
【0162】
そしてロック部31は、ロックレバー32をロック可能姿勢にした場合、弾性体の付勢以外に、偏芯カム35等により当該ロックレバー32をロック可能姿勢に止めるような機構は何ら設けられていない。
【0163】
このため、ロック部31は、ロックレバー32をロック可能姿勢にした場合、偏芯カム35の他方向への回転を利用しなくても、ロックレバー32の先端部32Bに弾性体の付勢力を上回るような外力が直接加えられると、当該ロックレバー32を他方向へ押し戻すように回転させることができる。
【0164】
従ってロック部31は、ロックレバー32を誤ってロック可能姿勢にした状態でカセット収納フレーム21内にカセット16が差し入れられても、当該ロックレバー32の先端部内側面32BWにおいて端面32BY寄りの部分に、カセット16の右下端部16Xが押し付けられると、その押し付けに応じてロックレバー32を他方向へ押し戻すように回転させることができる。因みに、以下の説明では、カセット16の右下端部16Xを、カセット右下端部16Xとも呼ぶ。
【0165】
これによりロック部31は、ロックレバー32の先端部32Bをロック位置から、少なくとも端面32BY部分がカセット16のカセット右側面に接触する位置まで退避させる。
【0166】
そしてロック部31は、このようにロックレバー32の先端部32Bをロック位置から退避させても、カセット収納フレーム21内でカセット16が下方向にさらに移動して当該先端部32Bとの対向位置にカセット長孔16AXが到達すると、ロックレバー32を弾性体の付勢に従い一方向に回転させる。
【0167】
これによりロック部31は、ロックレバー32の先端部32Bを、フレーム長孔21BX及びカセット長孔16AXに順次通してカセット16の内部に差し込むようにして、カセット収納フレーム21内にカセット16をロックする。
【0168】
このようにしてロック部31は、ロックレバー32を誤ってロック可能姿勢にした状態でカセット収納フレーム21内にカセット16が差し入れられても、ロックレバー32の先端部32Bをカセット16の押し付けに応じて一旦はロック位置から退避させて、当該ロックレバー32の破損を防止することができる。
【0169】
その上でロック部31は、カセット16がカセット収納フレーム21内の装填位置まで差し込まれたときには、ロックレバー32を一方向に回転させて再びロック可能姿勢に戻すことにより、カセット収納フレーム21内にカセット16をロックすることができる。
【0170】
ところで、カセット16においてカセット右下端部16Xは、カセット右側壁16Aの下端部から下板16Bの右端部にかけて円弧状に形成されている。
【0171】
よってカセット16は、カセット収納フレーム21内に例えば、誤って落下させられる等してカセット右下端部16Xがロックレバー32の先端部内側面32BWに衝突しても、当該先端部内側面32BWに対して円弧状のカセット右下端部16Xを滑らせるようにして、衝突時の力が先端部内側面32BWの一点に集中することを防止している。
【0172】
これによりカセット16は、カセット収納フレーム21内への装填時に、カセット右下端部16Xがロックレバー32の先端部内側面32BWに勢い良く衝突しても、当該ロックレバー32が破損(変形や傷付くこと)を確実に防止することができる。
【0173】
(1−5)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32を一方向及び他方向に回動可能に支持する。
【0174】
そして現金自動預払機1は、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が装填された状態で作業者により鍵が回転操作されると、その回転操作に応じてロックレバー32を一方向に回転させる。
【0175】
これにより現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bをカセット16乃至18内に差し込んでロック位置に変位させる。
【0176】
このようにして現金自動預払機1は、カセット16乃至18内に差し込んだロックレバー32によって、当該カセット16乃至18をカセット収納フレーム21内の装填位置に、当該装填位置から外部には引き出せないようにロック(止めるように)する。
【0177】
また現金自動預払機1は、カセット収納フレーム21に対しカセット16乃至18をロックした状態で作業者により鍵が回転操作されると、その回転操作に連動してロックレバー32を一方向に回転させる。
【0178】
これにより現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bをカセット16乃至18内、及びカセット収納フレーム21内から順次引き抜いて解除位置に変位させる。
【0179】
このようにして現金自動預払機1は、カセット収納フレーム21に対するカセット16乃至18のロックを解除して、カセット収納フレーム21内からカセット16乃至18を引き出させ、またカセット収納フレーム21内に新たなカセット16乃至18を差し入れるように装填させる。
【0180】
ただし、現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態で、当該先端部32Bにロックレバー32を他方向へ回転させるような外力が直接加えられたときには、当該ロックレバー32を他方向へ回転させるように支持している。
【0181】
従って、現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられると、ロックレバー32の先端部32Bに対するカセット16乃至18のカセット右下端部の押し付けによりロックレバー32を他方向へ押し戻すように回転させる。
【0182】
これにより現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32の先端部32Bをロック位置から少なくともカセット16乃至18のカセット右側面に接触する位置まで退避させて、ロックレバー32の破損を防止することができる。
【0183】
以上の構成によれば、現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32の先端部32Bを、カセット収納フレーム21内に差し込んでロック位置に変位させ、またカセット収納フレーム21内から引き抜いて解除位置に変位させると共に、ロック位置に変位させた先端部32Bにロックレバー32を他方向へ回転させるような外力が直接加えられたときには、当該ロックレバー32を他方向へ回転させて先端部32Bをロック位置から退避させるようにロックレバー32を回動可能に支持するようにした。
【0184】
これにより現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられても、先端部32Bをカセット16乃至18の押し付けに応じてロック位置から退避させて、ロックレバー32の破損を防止することができる。
【0185】
従って現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内の装填位置にカセット16乃至18が装填されても、ロックレバー32により当該装填位置にカセット16乃至18を的確にロックすることができる。
【0186】
これに加えて現金自動預払機1は、このようにロック部31においてロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられた場合に、先端部32Bをカセット16乃至18の押し付けに応じてロック位置から退避させることで、カセット16乃至18の右下端部の破損も合わせて防止することができる。
【0187】
また現金自動預払機1では、ロックレバー32を根元部32Aに対し先端部32Bを鈍角(すなわち、くの字状)に屈曲させたような平板状に形成するようにした。
【0188】
すなわち、現金自動預払機1では、ロックレバー32の先端部32Bにおいて、ロック位置に変位させたときにカセット収納フレーム21の上端の開口部(すなわち、カセット16乃至18の差込側)と対向する先端部内側面32BWを、当該カセット収納フレーム21の底に向かって傾斜するように形成した。
【0189】
そして現金自動預払機1は、そのロックレバー32を一方向に回転させて、根元部32Aの下側となる先端部32Bをカセット収納フレーム21内に左斜下側に向けて差し込むようにしてロック位置に変位させるようにした。
【0190】
さらに現金自動預払機1は、カセット収納フレーム21に対し上端の開口部からカセット16乃至18を内部に差し入れさせて装填させるようにした。
【0191】
従って現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられた場合、先端部内側面32BWに押し付けられたカセット右下端部を、当該カセット16乃至18の進行に応じて先端部内側面32BWに対して滑らせるようにして、カセット右下端部によりロックレバー32を他方向へ押し戻すように回転させることができる。
【0192】
これにより現金自動預払機1は、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が落下させられるように差し入れられて先端部内側面32BWにカセット右下端部が衝突しても、衝突時の力が先端部内側面32BWの一点に集中することを回避して、ロックレバー32の破損をほぼ確実に防止することができる。
【0193】
現金自動預払機1は、係る効果に加え、ロックレバー32の先端部内側面32BWに押し付けられたカセット右下端部を、カセット16乃至18の進行に応じて先端部内側面32BWに対して滑らせることで、カセット右下端部に対し先端部内側面32BWへの衝突時に加わる力を分散させて、カセット16乃至18のカセット右下端部の破損もほぼ確実に防止することができる。
【0194】
これに加えて現金自動預払機1では、カセット16乃至18においてカセット右下端部をカセット右側壁の下端部から下板の右端部にかけて円弧状に形成するようにした。
【0195】
よって現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられた場合、先端部内側面32BWに押し付けられたカセット右下端部を、当該カセット16乃至18の進行に応じて先端部内側面32BWに対して、より滑らせ易くすることができる。
【0196】
従って現金自動預払機1は、カセット収納フレーム21内に誤って落下させられる等してロックレバー32の先端部内側面32BWにカセット右下端部が衝突しても、衝突時の力が先端部内側面32BWの一点に集中することを、さらに確実に回避して、ロックレバー32の破損を確実に防止することができる。
【0197】
そして現金自動預払機1は、係る構成によりカセット16乃至18のカセット右下端部に先端部内側面32BWへの衝突によって加わる力を、さらに分散させて、当該カセット16乃至18のカセット右下端部の破損も確実に防止することができる。
【0198】
さらに現金自動預払機1は、ロック部31においてロックレバー32を弾性体により一方向に回転させるように付勢するようにした。
【0199】
従って現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bを、カセット収納フレーム21内に差し入れられたカセット16乃至18のカセット右下端部の押し付けにより一旦はロック位置から退避させても、カセット16がカセット収納フレーム21内の装填位置まで差し込まれたときには、弾性体の付勢に従いロックレバー32を一方向に回転させてカセット収納フレーム21内にカセット16をロックすることができる。
【0200】
すなわち、現金自動預払機1は、ロックレバー32の先端部32Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられた場合、作業者に鍵を特には回転操作させなくても、ロックレバー32によりカセット収納フレーム21内にカセット16を自動的にロックすることができる。
【0201】
(2)第2の実施の形態
次いで、第2の実施の形態による現金自動預払機について説明する。係る現金自動預払機は、複数のロック部に設けられるロックレバーの構成を除いて上述した第1の実施の形態による現金自動預払機と同様に構成されている。
【0202】
よって以下には、第2の実施の形態による現金自動預払機の外観構成及び内部構成と、当該現金自動預払機内部の現金収納部の構成とについては説明を省略し、ロック部の特にロックレバーの構成について説明する。
【0203】
またロック部については、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、カセット収納フレーム21(図3乃至図5)のフレーム右側面21B下寄りに配置された保護カバー30内に複数設けられている。
【0204】
そして複数のロック部は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、それぞれ同一に構成されている。よって以下には、1つのロック部内のロックレバーの構成について説明し、他のロック部内のロックレバーの構成については説明を省略する。
【0205】
(2−1)ロック部の構成
図6(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図9に示すように、ロック部40においてロックレバー41は、根元部41Aに対し先端部41Bを鈍角(すなわち、くの字状)に屈曲させたような平板状に形成されている。
【0206】
ロックレバー41は、根元部41Aにおいて端面41AY寄りに一面から他面に貫通する円形の孔41AZが穿設されている。
【0207】
そしてロックレバー41は、内側面を左側に向けるようにして孔41AZに他面側からレバー回動軸34が挿入されている。
【0208】
これによりレバー支持板33は、ロックレバー41を、レバー回動軸34を中心にして一方向及び他方向に回動可能に支持している。
【0209】
さらにロックレバー41は、図示しない弾性体により一方向に回転する(すなわち、先端部41Bをカセット収納フレーム21のフレーム右側面21B側に変位させる)ように付勢されている。
【0210】
ただし、係るロックレバー41にも、根元部41Aと先端部41Bとの境界部分に、当該ロックレバー41の一方向への回転角度を規制するための略四角形状の回転規制部41Cが、その境界部分から先端部41B側に張り出すように設けられている。
【0211】
そしてロックレバー41の内側面において回転規制部41Bの部分は、一部が規制部内側面41CWとして根元部内側面41AWと平行に形成されている。
【0212】
よってロックレバー41は、弾性体の付勢によって一方向へ回転しても、根元部内側面41AWがフレーム右側面21Bと平行になった時点で回転規制部41Cの規制部内側面41CWを当該フレーム右側面21Bに付き当てて回転を停止させる。
【0213】
すなわち、ロックレバー41において回転規制部41Cは、当該ロックレバー41の一方向への回転を、根元部内側面41AWがフレーム右側面21Bと平行になった姿勢よりも、さらに一方向へは回転させないように規制している。
【0214】
そしてロック部40は、カセット収納フレーム21内にカセット16が装填された状態で偏芯カム35が一方向へ回転すると、上述した第1の実施の形態の場合と同様に弾性体の付勢に従いロックレバー41を一方向に回転させる。
【0215】
これによりロック部40は、ロックレバー41の先端部41Bをフレーム長孔21BX及びカセット長孔16AXに順次通すように変位させる。
【0216】
またロック部40は、偏芯カム35がカム回動範囲で一方向へ目一杯回転すると、ロックレバー41の規制部内側面41CWをフレーム右側面21Bに付き当てて、当該ロックレバー41の一方向への回転を規制する。
【0217】
ただし、ロック部40は、この際、ロックレバー41の先端部41Bを、フレーム長孔21BX及びカセット長孔16AXに順次通してカセット16の内部に差し込んでロック位置に変位させる。
【0218】
すなわち、ロック部40は、偏芯カム35がカム回動範囲で一方向へ目一杯回転すると、ロックレバー41をロック可能姿勢にする。
【0219】
そしてロック部40は、ロックレバー41をロック可能姿勢にした場合、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、ロックレバー41の先端部外側面41BXを、当該先端部41Bの長手方向が左斜下方向と平行となるように傾斜させている。
【0220】
よってロック部40でも、ロックレバー41をロック可能姿勢にした状態でカセット収納フレーム21内のカセット16が上方向に持ち上げられた場合、当該ロックレバー41の先端部外側面41BXに、カセット長孔16AXの下内面を容易に、かつ確実に引っ掛けさせることができる。
【0221】
またロック部40は、係る状態では、ロックレバー41の先端部外側面41BXにおいて端面41BY寄りの部分がカセット長孔16AXの下内面よりもカセット16内の左斜下側に突出している。
【0222】
これによりロック部40は、係る状態からカセット16に、さらに上方向に持ち上げるような外力が加えられても、ロックレバー41に対するカセット16の引っ掛かりが外れないようにして、カセット収納フレーム21内の装填位置にカセット16を確実にロックし続けることができる。
【0223】
さらにロックレバー41は、先端部41Bの端面41BYが保持部内側面41AWと平行(すなわち、先端部41Bがロック位置に変位したときにカセット右側壁16Aの内面と平行)となるように形成されている。
【0224】
このためロックレバー41は、先端部41Bがカセット16の内部に差し込まれても、その差込部分の長さを極力短くして、当該カセット16の内部を現金の収納スペースとして有効に活用させることができる。
【0225】
一方、ロック部40は、カセット収納フレーム21内にカセット16が装填された状態で偏芯カム35が他方向へ回転すると、上述した第1の実施の形態の場合と同様にロックレバー41を他方向へ押し戻すように回転させる。
【0226】
これによりロック部40は、ロックレバー41の先端部41Bをカセット16の内部から退出させるように変位させる。
【0227】
そしてロック部40は、偏芯カム35がカム回動範囲で他方向へ目一杯回転すると、ロックレバー41の先端部41Bを、カセット16の内部、カセット長孔16AX及びフレーム長孔21BXの全てから抜き出して解除位置に変位させる。
【0228】
すなわち、ロック部40は、偏芯カム35がカム回動範囲で他方向へ目一杯回転すると、ロックレバー41をロック解除姿勢にする。
【0229】
これによりロック部40は、カセット収納フレーム21内からカセット16をロックレバー41に何ら接触させることなく上方向に持ち上げさせるようにして外部に引き出させることができる。
【0230】
またロック部40は、カセット収納フレーム21に上端の開口部からカセット16をロックレバー41に何ら接触させることなく下方向に差し入れさせるようにして装填させることができる。
【0231】
係る構成に加えて、ロックレバー41の先端部41Bには、先端部内側面の中央部に例えば、略V字状の切欠部41BWが形成されている。
【0232】
またロックレバー41は、先端部41Bの端面41BYと切欠部41BWとの間に、根元部41Aの端面41AYの中心と、当該先端部41Bの端面41AYの中心とを結ぶ仮想線とほぼ平行な傾斜面41BZが形成されている。
【0233】
そしてロックレバー41において切欠部41BWは、カセット収納フレーム21内にカセット16が装填された状態で先端部41Bがロック位置に変位したときに、フレーム右側壁の内面とカセット右側面との隙間に位置して上方向を向くように形成位置が選定されている。
【0234】
因みに、以下の説明では、カセット収納フレーム21内にカセット16が装填された状態で形成される、フレーム右側壁の内面とカセット右側面との隙間を、両面隙間とも呼ぶ。
【0235】
よってロックレバー41において傾斜面41BZは、先端部41Bがロック位置に変位した(すなわち、ロックレバー41がロック可能姿勢になった)とき、カセット収納フレーム21内で切欠部41BWよりも僅かに奥側に位置して左斜下方向とほぼ平行になる。
【0236】
さらにロック部40にも、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、ロックレバー41をロック可能姿勢にした場合、弾性体の付勢以外に、偏芯カム35等によりロックレバー41をロック可能姿勢に止めるような機構は何ら設けられていない。
【0237】
従ってロック部40は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、ロックレバー41を誤ってロック可能姿勢にした状態でカセット収納フレーム21内にカセット16が差し入れられると、先端部41Bの傾斜面41BZに対するカセット右下端部16Xの押し付けによりロックレバー41を、他方向へ押し戻すように回転させる。
【0238】
これによりロック部40は、ロックレバー41の先端部41Bをロック位置から、少なくとも端面41BY部分がカセット16のカセット右側面に接触する位置まで退避させて、当該ロックレバー41の破損を防止することができる。
【0239】
そしてロック部40は、このようにロックレバー41の先端部41Bをロック位置から退避させても、カセット収納フレーム21内でカセット16が下方向にさらに移動して先端部41Bとの対向位置にカセット長孔16AXが到達すると、ロックレバー41を弾性体の付勢に従い一方向に回転させる。
【0240】
よってロック部40は、ロックレバー41の先端部41Bを、カセット長孔16AXに通してカセット16の内部に差し込み、かくしてカセット収納フレーム21内にカセット16をロックすることができる。
【0241】
ところで、図10(A)及び(B)に示すように、ロック部40は、上述のようにロックレバー41によりカセット収納フレーム21内にカセット16をロックしている場合、当該ロックレバー41の切欠部41BWを上方向に向けて両面隙間に位置させている。
【0242】
このため、ロック部40は、カセット収納フレーム21の上端の開口部から、両面隙間に例えば、板や針金のような差込物45が差し込まれると、当該差込物45の先端をロックレバー41の切欠部41BWで受ける。
【0243】
この際、ロックレバー41は、切欠部41BWに差込物45の先端が押し付けられると、当該差込物45の先端を、切欠部41BWの斜面を滑らせるようにして底(すなわち、切欠きの最も深い部分)に導く。
【0244】
そしてロック部40は、両面隙間に差し込まれた差込物45の先端によってロックレバー41の切欠部41BWが下方向に押されると、当該差込物45の先端を切欠部41BWの底に引っ掛けたままロックレバー41を、レバー回動軸34を中心にして他方向へ回転させる。
【0245】
よってロック部40は、両面隙間への差込物45の差し込みによりロックレバー41を他方向へ回転させると、その回転に応じて差込物45全体を右方向(すなわち、フレーム右側壁の内面側)に移動させる。
【0246】
言い換えると、ロック部40は、両面隙間内に差込物45が差し込まれた場合、その差込物45全体を下方向へ移動させながら右方向へも移動させないと、ロックレバー41を他方向へは回転させ得ないようにしている。
【0247】
そしてロック部40は、両面隙間への差込物45の差し込みによりロックレバー41が他方向へ回転しても、先端部41Bがカセット16内に未だ差し込まれている状態で、差込物45をフレーム右側壁の内面に付き当てる。
【0248】
これによりロック部40は、引き続きロックレバー41を他方向へ回転させようとして、差込物45を下方向へ移動させようとしても、ロックレバー41の他方向への回転に伴う差込物45の右方向への移動をフレーム右側壁の内面で規制して、当該差込物45を右方向と共に下方向へも移動させないようにすることができる。
【0249】
すなわち、ロック部40は、両面隙間に差込物45が差し込まれてロックレバー41を他方向へ回転させようとしても、差込物45をフレーム右側壁の内面に付き当てることで、当該差込物45自体を、ロックレバー41の他方向への回転を規制する規制手段として機能させることができる。
【0250】
このようにしてロック部40は、例えば、第三者によりカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを強制的に解除する目的で、両面隙間に差込物45が差し込まれてロックレバー41が他方向に回転させられても、当該ロックレバー41を他方向へ僅かに回転させただけで、その回転を停止させる。
【0251】
これによりロック部40は、カセット16内にロックレバー41の先端部41Bを差し込んだままにして、第三者にカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを解除させないようにすることができる。
【0252】
これに加えて、ロックレバー41は、両面隙間に差し込まれた差込物45により他方向へ回転しても、当該差込物45がフレーム右側壁の内面に付き当てられたときに、先端部外側面41BXにおいて端面41BY寄りの部分がカセット長孔16AX内からカセット16内に亘って位置するように、先端部41Bの長さが適宜選定されている。
【0253】
これによりロック部40は、両面隙間に差し込まれた差込物45によりロックレバー41の先端部41Bが下方向に押された状態で、第三者によりカセット収納フレーム21内からカセット16が持ち上げられても、ロックレバー41の先端部外側面41BXに、カセット長孔16AXの下内面を容易に、かつ確実に引っ掛けさせることができる。
【0254】
このようにしてロック部40は、第三者がカセット収納フレーム21内からカセット16を不当に取り出そうとしても、その取り出しを阻止して、カセット16内の現金を保護することができる。
【0255】
(2−2)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機は、ロック部40においてロックレバー41を一方向及び他方向に回動可能に支持する。
【0256】
そして現金自動預払機は、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が装填された状態で作業者により鍵が回転操作されると、その回転操作に応じてロックレバー41を一方向に回転させる。
【0257】
これにより現金自動預払機は、ロックレバー41の先端部41Bをカセット16乃至18内に差し込んでロック位置に変位させる。
【0258】
このようにして現金自動預払機は、カセット16乃至18内に差し込んだロックレバー41により、当該カセット16乃至18をカセット収納フレーム21内の装填位置に、外部へは引き出せないようにロック(止めるように)する。
【0259】
また現金自動預払機は、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18をロックした状態で作業者により鍵が回転操作されると、その回転操作に連動してロックレバー41を一方向に回転させる。
【0260】
これにより現金自動預払機は、ロックレバー41の先端部41Bをカセット16乃至18内、及びカセット収納フレーム21内から順次引き抜くようにして解除位置に変位させる。
【0261】
このようにして現金自動預払機は、カセット収納フレーム21に対するカセット16乃至18のロックを解除して、カセット収納フレーム21内からカセット16乃至18を引き出させ、またカセット収納フレーム21内に新たなカセット16乃至18を差し入れるように装填させる。
【0262】
ただし、現金自動預払機は、ロック部40において、ロックレバー41の先端部41Bをロック位置に変位させた状態で、当該先端部41Bにロックレバー41を他方向へ回転させるような外力が直接加えられたときには、ロックレバー41を他方向へ回転させて先端部41Bをロック位置から退避させるように、当該ロックレバー41を支持している。
【0263】
従って、現金自動預払機は、ロック部40においてロックレバー41の先端部41Bをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が差し入れられると、先端部41Bに対するカセット16乃至18のカセット右下端部の押し付けに応じてロックレバー41を他方向へ押し戻すように回転させることができる。
【0264】
これにより現金自動預払機は、ロック部40においてロックレバー41の先端部41Bを、ロック位置から少なくともカセット16乃至18のカセット右側面に接触する位置まで退避させて、ロックレバー41の破損を防止することができる。
【0265】
これに加えて、現金自動預払機は、ロックレバー41によりカセット収納フレーム21内にカセット16乃至18をロックしている状態で両面隙間に差込物45が差し込まれると、当該差込物45の先端をロックレバー41の切欠部41BWで受ける。
【0266】
そして現金自動預払機は、両面隙間に差し込まれた差込物45の先端によってロックレバー41の先端部41Bが下方向に押されると、当該ロックレバー41を他方向へ回転させながら、差込物45全体を右方向に移動させる。
【0267】
これにより現金自動預払機は、ロックレバー41の先端部41Bがカセット16乃至18内に未だ差し込まれている状態で、差込物45をフレーム右側壁の内面に付き当てて、当該差込物45を右方向と共に下方向へ移動させないようにする。
【0268】
従って現金自動預払機は、第三者が両面隙間に差込物45を差し込んでロックレバー41を他方向に回転させてカセット収納フレーム21に対するカセット16乃至18のロックを解除しようとしても、当該カセット16乃至18のロックの解除を阻止することができる。
【0269】
以上の構成によれば、現金自動預払機は、ロック部40においてロックレバー41の先端部41Bを、カセット収納フレーム21内に差し込んでロック位置に変位させ、またカセット収納フレーム21内から引き引き抜いて解除位置に変位させると共に、ロック位置に変位させた先端部41Bにロックレバー41を他方向へ回転させるような外力が直接加えられたときには、当該ロックレバー41を他方向へ回転させて先端部41Bをロック位置から退避させるようにロックレバー41を回動可能に支持する一方、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18をロックしている状態で両面隙間に差込物45が差し込まれてロックレバー41の先端部41Bが下方向に押された場合には、ロックレバー41を他方向へ回転させながら、差込物45全体を右方向に移動させて、当該ロックレバー41の先端部41Bがカセット16乃至18内に差し込まれている状態で、差込物45をフレーム右側壁の内面に付き当てるようにした。
【0270】
これにより現金自動預払機は、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができると共に、これに加えて、第三者が両面隙間に差込物45を差し込んでロックレバー41を他方向に回転させてカセット収納フレーム21に対するカセット16乃至18のロックを解除しようとしても、当該カセット16乃至18のロックの解除を阻止することができる。
【0271】
従って現金自動預払機は、第三者によりカセット収納フレーム21内からカセット16乃至18が不当に取り出されることを防止して、当該カセット16乃至18内の現金を保護することができる。
【0272】
また現金自動預払機では、両面隙間に差し込まれた差込物45をロックレバー41の他方向への回転に応じてフレーム右側壁の内面に付き当てたとき、先端部外側面41BXにおいて端面41BY寄りの部分を、カセット長孔内からカセット16乃至18内に亘って位置させるようにした。
【0273】
従って現金自動預払機は、両面隙間に差し込まれた差込物45によりロックレバー41の先端部41Bが下方向に押された状態で、第三者によりカセット収納フレーム21内からカセット16乃至18が持ち上げられても、ロックレバー41の先端部外側面41BXに、カセット長孔の下内面を容易に、かつ確実に引っ掛けさせることができる。
【0274】
よって現金自動預払機は、第三者がカセット収納フレーム21内からカセット16を不当に取り出そうとしても、その取り出しを確実に阻止して、カセット16乃至18内の現金を確実に保護することができる。
【0275】
(3)第3の実施の形態
次いで、第3の実施の形態による現金自動預払機について説明する。係る現金自動預払機は、カセット収納フレーム21に設けられた複数のロック部に対応させて、複数のカセットにそれぞれロック支援部が設けられた構成を除いて上述した第2の実施の形態による現金自動預払機と同様に構成されている。
【0276】
よって以下には、第3の実施の形態による現金自動預払機の外観構成及び内部構成と、当該現金自動預払機内部の現金収納部の構成とについては説明を省略し、複数のカセットにそれぞれ設けられたロック支援部の構成について説明する。
【0277】
ただし、複数のカセットにそれぞれ設けられロック支援部は、同一に構成されている。よって以下には、1つのカセットに設けられたロック支援部の構成について説明し、他のカセットに設けられたロック支援部の構成については説明を省略する。
【0278】
(3−1)ロック支援部の構成
図9との対応部分に同一符号を付した図11に示すように、カセット収納フレーム21のフレーム右側面21Bに配置された保護カバー30内には、上述した第2の実施の形態の場合と同様構成のロック部40が設けられている。
【0279】
またカセット16内のカセット右側壁16A側には、当該カセット16がカセット収納フレーム21内に装填された状態で、ロック部40と対向するようにロック支援部50が設けられている。
【0280】
ロック支援部50は、ロック支援レバー51支持用のレバー支持面52Aを後側に向けてカセット右側壁16Aの内面に設けられたレバー支持板52を有している。
【0281】
レバー支持板52のレバー支持面52Aには、ロック部40のレバー回動軸34の植設位置と、両面隙間に位置する右方向と垂直な仮想平面IPに関して面対称となる位置に、ロック支援レバー51の回動用のレバー回動軸53が後方向と平行に植設されている。
【0282】
またロック支援レバー51は、根元部51Aに対し先端部51Bを鈍角(すなわち、くの字状)に屈曲させたような平板状に形成されている。
【0283】
ロック支援レバー51は、根元部51Aにおいて端面51AY寄りに一面から他面に貫通する円形の孔51AZが穿設されている。
【0284】
そしてロック支援レバー51は、内側面を右側に向けるようにして孔51AZに他面側からレバー回動軸53が挿入されている。
【0285】
これによりレバー支持板52は、ロック支援レバー51を、レバー回動軸53を中心にして一方向及び他方向に回動可能に支持している。
【0286】
ところで、ロック支援レバー51は、例えば、図示しないコイルばねや板ばね等のような弾性体により他方向に回転する(すなわち、先端部51Bをカセット16のカセット右側壁16A側に変位させる)ように付勢されている。
【0287】
ただし、ロック支援レバー51において根元部51Aと先端部51Bとの境界部分には、当該ロック支援レバー51の他方向への回転角度を規制するための略四角形状の回転規制部51Cが、その境界部分から先端部51B側に張り出すように設けられている。
【0288】
そしてロック支援レバー51の内側面において回転規制部51Bの部分は、一部が規制部内側面51CWとして根元部内側面51AWと平行に形成されている。
【0289】
これによりロック支援レバー51は、弾性体の付勢によって他方向へ回転しても、根元部内側面51AWがカセット右側壁16Aの内面と平行になった時点で回転規制部51Cの規制部内側面51CWを当該カセット右側壁16Aの内面に付き当てて回転を停止させる。
【0290】
このようにしてロック支援レバー51において回転規制部51Cは、当該ロック支援レバー51の他方向への回転を、根元部内側面51AWがカセット右側壁16Aの内面と平行になった姿勢よりも、さらに他方向へは回転させないように規制している。
【0291】
そしてロック支援レバー51は、規制部内側面51CWをカセット右側壁16Aの内面に付き当てたとき、先端部51Bをカセット長孔16AXに通してフレーム長孔21BXに挿入するものの、当該先端部51Bの端面51BY部分が保護カバー30内には進入しないように、先端部51Bの長さが適宜選定されている。
【0292】
因みに、ロック支援レバー51の先端部51Bは、先端部外側面51BXにおいて端面51BY寄りの部分が先端部内側面の方向に切り込むように切り欠かれている。
【0293】
よってロック支援レバー51は、他方向に回転した場合、先端部外側面51BXにおいて端面51BY寄りの部分をカセット長孔16AXの下内面に引っ掛けることなく、先端部51Bを当該カセット長孔16AXに通してフレーム長孔21BXに挿入させることができる。
【0294】
ところで、レバー支持板52のレバー支持面52Aには、ロック部40のカム回動軸36の植設位置と、上述の仮想平面IPに関して面対称となる位置に、偏芯カム54の回動用のカム回動軸55が後方向と平行に植設されている。
【0295】
そして偏芯カム54は、円板状に形成されると共に、一面の中心からずれた位置に当該一面から他面に貫通する孔54Aが穿設されており、孔54Aに他面側からカム回動軸55が挿入されている。
【0296】
これによりレバー支持板52は、偏芯カム54を、カム回動軸55を中心にして一方向及び他方向に回動可能に支持している。
【0297】
またカセット16には、図示しない錠と、当該錠の鍵穴に鍵が差し込まれて回転操作された場合に、鍵の回転に連動させてカム回動軸55と共に偏芯カム54を回動させる図示しないカム回動機構とが設けられている。
【0298】
この場合、カセット16に設けられた錠についても、作業者により鍵穴に差し込まれた鍵を例えば、180度の鍵回動範囲で時計回り方向及び反時計回り方向に回転させることができる。
【0299】
そしてカム回動機構は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が鍵回動範囲において例えば、時計回り方向に目一杯回転した場合、カム回動軸55と共に偏芯カム54を例えば、180度のカム回動範囲で他方向へ目一杯回転させる。
【0300】
これにより偏芯カム54は、一周に亘る周側面の中で周側面軸離隔部分を左方向(すなわち、ロック支援レバー51の根元部内側面51AW側)に向ける。
【0301】
またカム回動機構は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵が鍵回動範囲において例えば、反時計回り方向に目一杯回転した場合、カム回動軸55と共に偏芯カム54をカム回動範囲で一方向へ目一杯回転させる。
【0302】
これにより偏芯カム54は、一周に亘る周側面の中で周側面軸近接部分を左方向(すなわち、ロック支援レバー51の根元部内側面51AW側)に向ける。
【0303】
そして偏芯カム54は、周側面軸近接部分を左方向へ向けた場合にロック支援レバー51の根元部内側面51AWに近接又は当接させて、当該ロック支援レバー51の規制部内側面51CWをカセット右側壁16Aの内面に付き当てさせるように、直径と孔54Aの穿設位置とが適宜選定されている。
【0304】
よってロック支援部50は、錠の鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作に連動して偏芯カム54が他方向に回転すると、当該偏芯カム54の周側面においてロック支援レバー51の根元部内側面51AWとの接触部分を、周側面軸近接部分から周側面軸離隔部分側へ徐々に変位させる。
【0305】
これによりロック支援部50は、偏芯カム54の他方向への回転に連動して、弾性体により付勢されているロック支援レバー51を一方向へ押し戻すように回転させる。
【0306】
そしてロック支援部50は、偏芯カム54がカム回動範囲で他方向へ目一杯回転して周側面軸離隔部分を左方向へ向けた場合、ロック支援レバー51全体をカセット16内に収納する。
【0307】
因みに、以下の説明では、ロック支援レバー51全体をカセット16内に収納したときの当該ロック支援レバー51の姿勢を、カセット収納フレーム21に対するカセット16のロックの支援を解除するための支援解除姿勢とも呼ぶ。
【0308】
このようにしてロック支援部50は、ロック支援レバー51を支援解除姿勢にした状態で、ロックレバー41がロック解除姿勢にされていると、カセット収納フレーム21に上端の開口部からカセット16を差し入れさせるようにして装填させることができる。
【0309】
またロック支援部50は、ロック支援レバー51を支援解除姿勢にした状態で、ロックレバー41がロック解除姿勢にされていると、カセット収納フレーム21内からカセット16を上方向に持ち上げさせるようにして外部に引き出させることができる。
【0310】
一方、ロック支援部50は、カセット収納フレーム21内に装填されたカセット16内にロック支援レバー51を収納した状態で、錠の鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作に応じて偏芯カム54が一方向に回転すると、当該偏芯カム54の周側面においてロック支援レバー51の根元部内側面51AWとの接触部分を、周側面軸離隔部分から周側面軸近接部分側へ徐々に変位させる。
【0311】
よってロック支援部50は、偏芯カム54の一方向への回転に応じて、弾性体の付勢に従いロック支援レバー51を他方向に回転させる。
【0312】
そしてロック支援部50は、偏芯カム54がカム回動範囲で一方向へ目一杯回転して周側面軸近接部分を左方向へ向けた場合には、ロック支援レバー51の規制部内側面51CWをカセット右側壁16Aの内面に付き当てさせる。
【0313】
これによりロック支援部50は、ロック支援レバー51の先端部51Bを、カセット長孔50AXに通してフレーム長孔21BXに挿入させる。
【0314】
因みに、以下の説明では、ロック支援レバー51の先端部51Bをカセット長孔50AXに通してフレーム長孔21BXに挿入した(すなわち、規制部内側面51CWをカセット右側壁16Aの内面に付き当てた)ときの当該ロック支援レバー51の姿勢を、カセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを支援するためのロック支援姿勢とも呼ぶ。
【0315】
ここで、ロック支援レバー51の先端部内側面には、ロックレバー41の切欠部41BWとほぼ同一形状の切欠部51BWが、ロック支援姿勢において両面隙間に位置して上方向を向くように形成されている。
【0316】
またロック支援レバー51は、レバー回動軸53から切欠部51BWの底までの距離が、ロックレバー41におけるレバー回動軸34から切欠部41BWの底までの距離と等しく選定されている。
【0317】
よってロック支援レバー51は、ロック支援姿勢のときにロックレバー41がロック可能姿勢であると、切欠部51BWを、ロックレバー41の切欠部41BWと、互いの斜面をほぼ面一にして重ねるようにしている。
【0318】
そして図12に示すように、ロック部40及びロック支援部50は、カセット収納フレーム21内にカセット16が装填された状態でロックレバー41をロック可能姿勢にし、ロック支援レバー51をロック支援姿勢にした場合に両面隙間に差込物45が差し込まれると、当該差込物45の先端を少なくとも一方の切欠部41BW及び51BWで受ける。
【0319】
この際、両面隙間に差込物45として、例えば、針金が差し込まれて、当該針金の先端がロックレバー41の切欠部41BWのみに押し付けられると、ロック部40は、第2の実施の形態で上述した場合と同様に動作して当該ロックレバー41の他方向への回転を規制する。
【0320】
また両面隙間に差込物45として差し込まれた針金の先端がロック支援レバー51の切欠部51BWのみに押し付けられると、ロック支援部50は、当該針金の先端を切欠部51BWの斜面を滑らせるようにして底に導く。
【0321】
そしてロック支援部50は、両面隙間に差し込まれた差込物45としての針金の先端によってロック支援レバー51の切欠部51BWが下方向に押されると、当該針金の先端を切欠部51BWの底に引っ掛けたままロック支援レバー51を、レバー回動軸53を中心にして一方向へ回転させる。
【0322】
よってロック支援部50は、両面隙間への針金の差し込みによりロック支援レバー51を一方向へ回転させると、その回転に応じて針金全体を左方向(すなわち、カセット右側壁16A側)に移動させる。
【0323】
言い換えると、ロック支援部50は、両面隙間内に針金が差し込まれた場合、その針金全体を下方向へ移動させながら左方向へも移動させないと、ロック支援レバー51を一方向へは回転させ得ないようにしている。
【0324】
そしてロック支援部50は、両面隙間への針金の差し込みによりロック支援レバー51が一方向へ回転しても、先端部51Bがフレーム長孔21BXに未だ挿入されている状態で、針金をカセット右側面に付き当てる。
【0325】
これによりロック支援部50は、引き続きロック支援レバー51を一方向へ回転させようとして、針金を下方向へ移動させようとしても、ロック支援レバー51の一方向への回転に伴う針金の左方向への移動をカセット右側面で規制して、当該針金を左方向と共に下方向へも移動させないようにする。
【0326】
すなわち、ロック支援部50は、両面隙間に差込物45としての針金が差し込まれてロック支援レバー51を一方向へ回転させようとしても、針金をカセット右側面に付き当てることで、当該針金自体を、ロック支援レバー51の一方向への回転を規制する規制手段として機能させる。
【0327】
このようにしてロック支援部50は、例えば、第三者によりカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを強制的に解除する目的で、両面隙間に差込物45としての針金が差し込まれてロック支援レバー51が一方向に回転させられても、当該ロック支援レバー51を一方向へ僅かに回転させただけで、その針金を動かなくする。
【0328】
これによりロック支援部50は、第三者が針金を下方向に押し込もうとして動かそうとしても、その針金が直ぐに動かなくなることで、当該第三者にカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを解除し得ないと判断させて、そのロックの解除をあきらめさせることができる。
【0329】
また、この際に第三者が仮にロックの解除をあきらめずに、両面隙間に差込物45としての針金を差し込んだままカセット収納フレーム21内からカセット16を持ち上げようとしても、ロック部40がロックレバー41をロック可能姿勢にしている。
【0330】
このため、係る状況では、ロック支援部50に引き続きロック部40が、カセット収納フレーム21内から持ち上げられようとしたカセット16をロックレバー41に引っ掛けさせて、第三者にカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを解除し得ないと改めて認識させて、ロックの解除をあきらめさせることができる。
【0331】
ところで、両面隙間に差込物45として例えば、板が差し込まれて、当該板の先端がロックレバー41及びロック支援レバー51の両方の切欠部41BW及び51BWに押し付けられると、ロック部40及びロック支援部50は、板の先端を、互いの切欠部41BW及び51BWの斜面を滑らせるようにして双方の底に導く。
【0332】
そしてロック部40は、この際、両面隙間に差し込まれた板の先端によってロックレバー41の切欠部41BWが下方向に押されると、当該板の先端を切欠部41BWの底に引っ掛けたままロックレバー41を、レバー回動軸34を中心にして他方向へ回転させようとして、その板に右方向へ移動させるような力をかける。
【0333】
これとは逆にロック支援部50は、この際、両面隙間に差し込まれた板の先端によってロック支援レバー51の切欠部51BWが下方向に押されると、当該板の先端を切欠部51BWの底に引っ掛けたままロック支援レバー51を、レバー回動軸53を中心にして一方向へ回転させようとして、その板に左方向へ移動させるような力をかける。
【0334】
これによりロック部40及びロック支援部50は、この際、板が互いの切欠部41BW及び51BWに押し付けられている間、その板にかけた右方向へ移動させるような力と、左方向へ移動させるような力とを均衡させる。
【0335】
よってロック部40及びロック支援部50は、板が互いの切欠部41BW及び51BWに押し付けられている間、当該板を下方向、左方向及び右方向の何れにも動かないようにすることができる。
【0336】
このようにしてロック部40及びロック支援部50は、第三者によりカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを強制的に解除する目的で、両面隙間に差込物45としての板が差し込まれても、その板をロックレバー41及びロック支援レバー51の切欠部41BW及び51BWの底に押し付けた時点で全く動かなくする。
【0337】
これによりロック部40及びロック支援部50は、カセット16内にロックレバー41の先端部41Bを差し込んだままにして、第三者にカセット収納フレーム21に対するカセット16のロックを解除させないようにすることができる。
【0338】
従ってロック部40及びロック支援部50は、第三者がカセット収納フレーム21内からカセット16を不当に取り出そうとしても、その取り出しを阻止して、カセット16内の現金を保護することができる。
【0339】
(3−2)第3の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機は、カセット収納フレーム21に上述した第2の実施の形態と同様構成のロック部40を設けると共に、そのロック部40に対応させてカセット16乃至18にロック支援部50を設ける。
【0340】
そして現金自動預払機は、ロック支援部50においてロック支援レバー51を一方向及び他方向に回動可能に支持する。
【0341】
そして現金自動預払機は、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が装填された状態で作業者によりカセット収納フレーム21側の鍵が回転操作されると、その回転操作に応じてロックレバー41を一方向に回転させる。
【0342】
これにより現金自動預払機は、ロックレバー41の先端部41Bをカセット16乃至18内に差し込んでロック位置に変位させる。
【0343】
また現金自動預払機は、この際、作業者によりカセット16乃至18側の鍵が回転操作されると、その回転操作に応じてロック支援レバー51を他方向に回転させる。
【0344】
これにより現金自動預払機は、両面隙間においてロックレバー41の切欠部41BWにロック支援レバー51の切欠部51BWを前後に重ねるように配置する。
【0345】
従って現金自動預払機は、この状態で第三者により両面隙間に差込物45が差し込まれてロックレバー41及びロック支援レバー51の互いの切欠部41BWに押し付けられると、当該差込物45の先端を互いの切欠部41BW及び51BWの底に導き動かないようにすることができる。
【0346】
以上の構成によれば、現金自動預払機は、カセット収納フレーム21に上述した第2の実施の形態と同様構成のロック部40を設けると共に、そのロック部40に対応させてカセット16乃至18にロック支援部50を設け、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が装填されロックレバー41をロック可能姿勢にした状態でロック支援部50においてロック支援レバー51を他方向に回転させると、両面隙間においてロックレバー41の切欠部41BWにロック支援レバー51の切欠部51BWを前後に重ねるようにした。
【0347】
これにより現金自動預払機は、上述した第1及び第2の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができると共に、これに加えて、カセット収納フレーム21内にカセット16乃至18が装填された状態で第三者により両面隙間に差込物45が差し込まれてロックレバー41及びロック支援レバー51の互いの切欠部41BWに押し付けられたときには、当該差込物45の先端を互いの切欠部41BW及び51BWの底に導き動かないようにすることができる。
【0348】
従って現金自動預払機は、第三者によりカセット収納フレーム21内からカセット16乃至18が、ロックを強制的に解除して不当に取り出されることを防止して、当該カセット16乃至18内の現金を確実に保護することができる。
【0349】
(4)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、ロック部31に略くの字状のロックレバー32を回動可能に設けるようにした場合について述べた。
【0350】
しかしながら本発明は、これに限らず、図13に示すように、ロック部60に例えば、棒状のロックレバー61を、その先端部61Aをカセット収納フレーム62の壁部62Aに向けて例えば、水平方向と平行にスライド可能に設けるようにしても良い。
【0351】
本発明は、係る構成の場合、ロックレバー61の先端部61Aに、上面61Bから当該先端部61Aの端面61AXにかけてに徐々に下面61C側に傾斜するような(すなわち、斜下方向と平行な)傾斜面61AYを形成する。
【0352】
また本発明は、ロックレバー61を図示しない弾性体によりカセット収納フレーム62の壁部62Aに押すように付勢する。
【0353】
そして本発明は、カセット収納フレーム62内にカセット63が装填された状態では、弾性体の付勢によりロックレバー61の先端部61Aをロック位置に変位させることにより、カセット収納フレーム62に壁部62Aに穿設された孔62AX及びカセット63の壁部63Aに穿設された孔63AXに順次通して当該カセット63内に差し込む。
【0354】
これにより本発明は、ロックレバー61によりカセット収納フレーム62内にカセット63を、当該カセット63を装填位置から引き出せないようにロックする。
【0355】
また本発明は、ロックレバー61の先端部61Aをロック位置に変位させた状態でカセット収納フレーム62内にカセット63が差し入れられたときには、先端部61Aの傾斜面61AYに対するカセット63の下端部63Bの押し付けに応じて、当該先端部61Aをロック位置から少なくともカセット62の壁部63Aと接触する位置まで退避させる。本願発明は、係る構成によっても、上述した第1の実施の形態と同様の構成を得ることができる。
【0356】
また上述した第1乃至第3の実施の形態においては、カセット16乃至18のカセット右側壁に、右方向と平行な下内面を有するカセット長孔を穿設するようにした場合について述べた。
【0357】
しかしながら本発明は、これに限らず、図14に示すように、カセット16のカセット右側壁16Aに、右斜下に傾斜する(すなわち、右斜下方向と平行な)下内面16DXを有するカセット長孔16Dを穿設するようにしても良い。
【0358】
本発明は、係る構成によれば、ロックレバー32、41によりカセット収納フレーム21内にカセット16をロックした状態で、当該カセット16が持ち上げられた場合、ロックレバー32、41の先端部外側面32BX、41BXに、カセット長孔16Dの下内面16DXを、より引っ掛け易くすることができる。
【0359】
特に本発明は、係る構成を上述した第2及び第3の実施の形態に適用した場合、両面隙間に差込物45が差し込まれてロックレバー41が他方向に僅かに回転した状態で、カセット16が持ち上げられたときでも、当該ロックレバー41の先端部外側面41BXに、カセット長孔16Dの下内面16DXを、より確実に引っ掛けさせることができる。
【0360】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、ロックレバー32、41を偏芯カム35により他方向に回転させてカセット収納フレーム21に対するカセット16乃至18のロックを解除するようにした場合について述べた。
【0361】
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、鍵の回転操作に連動して回転するピニオンギアにラックを歯合させて、当該ラックによりロックレバー32、41を押す、又は引くことで他方向に回転させてカセット収納フレーム21に対するカセット16乃至18のロックを解除するようにしても良い。
【0362】
すなわち、本発明は、ロックレバー32、41の先端部32B、41Bをロック位置に変位させてロック可能姿勢にした状態で、当該先端部32B、41Bに外力が直接加えられたときに、先端部32B、41Bをロック位置から退避させることができれば、ロックレバー32、41の先端部32B、41Bを解除位置に変位させてロック解除姿勢にするための可動部として、偏芯カム35や、ピニオンギア及びラックの他にも、種々の構成の可動部を用いることができる。
【0363】
また本発明は、上述した第3の実施の形態の場合、ロック部40の偏芯カム35と、ロック支援部50の偏芯カム53とをそれぞれ個別の鍵の回転操作に連動させて回転させるようにしたが、当該ロック部40の偏芯カム35と、ロック支援部50の偏芯カム53とを1つの鍵の回転操作に連動させて回転させるようにしても良い。
【0364】
さらに上述した第2及び第3の実施の形態においては、ロックレバー41及びロック支援レバー51に略V字状の切欠部41BW、51BWを形成するようにした場合について述べた。
【0365】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロックレバー41及びロック支援レバー51に、U字状や半円状、コ字状等の切欠部を形成するようにしても良い。
【0366】
すなわち、本発明は、ロックレバー41及びロック支援レバー51を回転させても、当該ロックレバー41及びロック支援レバー51の切欠部に差込物45の先端を止めることができれば、この他種々の形状の切欠部を形成するようにしても良い。
【0367】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、ロック部31、40によりカセット収納フレーム21に差入及び引出可能に装填される複数のカセット16乃至18をロックするようにした場合について述べた。
【0368】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロック部により現金自動預払機1に差入及び引出可能に装填されるカセット収納フレーム21をロックするようにしても良い。
【0369】
すなわち、本発明は、上述のロック部の構成を、装置や収納部に差入及び引出可能に装填される、現金や金券、チケット等を収納するカセットや、アセンブリ交換可能な機械部品や電子部品等のような種々の装填対象に対するロックに適用することができる。
【0370】
ところで、本発明は、例えば、ロック部を、ロックレバーの先端部を上側から下側のロック位置に変位させるようにして装填対象に差し込むように構成するようにしても良い。
【0371】
そして本発明は、係る構成によれば、ロックレバーの先端部を自重によって上側からロック位置に変位させることができ、ロック部を弾性体を除いて構成して、当該ロック部の構成を簡易化することができる。
【0372】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、本発明のロック装置を、図1乃至図14について上述した現金自動預払機1に設けられたロック部31、40に適用するようにした場合について述べた。
【0373】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)や両替機、飲料やタバコ等の自動販売機、電車の切符や観劇のチケットを販売する券売機、精算機、パチンコ台やスロット台のような遊戯機等のような、この他種々の装置に設けられるロック部に広く適用することができる。
【0374】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、本発明の現金自動取引装置を、図1乃至図14について上述した現金自動預払機1に適用するようにした場合について述べた。
【0375】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機や両替機、飲料やタバコ等の自動販売機、電車の切符や観劇のチケットを販売する券売機、精算機、パチンコ台やスロット台のような遊戯機等のように、この他種々の現金自動取引装置に広く適用することができる。
【0376】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、装填対象が差入及び引出可能に装填される装填位置として、図1乃至図14について上述したカセット収納フレーム21内の装填位置を適用するようにした場合について述べた。
【0377】
しかしながら本発明は、これに限らず、装填対象の種類や構成に応じて、現金自動預払機1等の装置内部や、装置から引出可能な引出部の内部等のように、この他種々の装填位置を広く適用することができる。
【0378】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象として、図1乃至図14について上述した、カセット右側壁にカセット長孔が穿設されたカセット16乃至18を適用するようにした場合について述べた。
【0379】
しかしながら本発明は、これに限らず、側壁にロックレバーの先端部を差し込むための凹部や溝部が形成されたカセット等のように、この他種々の構成の装填対象を広く適用することができる。
【0380】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象を装填位置にロックするためのロックレバーとして、図1乃至図14について上述した略くの字状のロックレバー32、41や棒状のロックレバー61を適用するようにした場合について述べた。
【0381】
しかしながら本発明は、これに限らず、L字状や弓形状、円弧状等の種々の形状のロックレバー等のように、この他種々の構成のロックレバーを広く適用することができる。
【0382】
ところで、本発明は、ロックレバー32、41を回転させて先端部32B、41Bをカセット16乃至18のカセット長孔に差し込み、またロックレバー61を水平方向に移動させてカセット63のカセット長孔63AXに差し込むようにした。
【0383】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロックレバーを装填対象の壁部に対して斜めに移動させて先端部を当該装填対象に差し込むように、ロックレバーを装填対象に対して、この他種々の方向や動き方で移動させて先端部を装填対象に差し込むようにしても良い。
【0384】
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態においては、ロックレバーのロックレバー先端部を、装填位置に装填された装填対象に差し込んで当該装填対象を装填位置にロックするためのロック位置と、装填対象から抜き出して装填位置に対する装填対象のロックを解除する解除位置とに変位させると共に、ロック位置に変位させたロックレバー先端部に外部から直接外力が加えられたときには、当該ロックレバー先端部をロック位置から退避させるようにロックレバーを支持する支持部として、図1乃至図14について上述したレバー支持板33を適用するようにした場合について述べた。
【0385】
しかしながら本発明は、これに限らず、カセット収納フレーム21の側壁や、現金自動預払機1の筐体等のように、この他種々の支持部を広く適用することができる。
【0386】
さらに上述した第3の実施の形態においては、装填対象に回動可能に支持されるロック支援レバーとして、図1乃至図14について上述した略くの字状のロック支持レバー51を適用するようにした場合について述べた。
【0387】
しかしながら本発明は、これに限らず、L字状や弓形状、円弧状等の種々の形状のロック支持レバー等のように、この他種々の構成のロック支持レバーを広く適用することができる。
【0388】
ところで、本発明は、ロック支持レバー51を回転させて先端部51Bをカセット16乃至18の外部に突出させるようにした。
【0389】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロック支持レバーをこの他種々の方向や動き方で移動させて先端部を装填対象から突出させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0390】
本発明は、現金自動預払機や現金自動支払機に設けられたロック部等のロック装置と、現金自動預払機や現金自動支払機等の現金自動取引装置とに利用することができる。
【符号の説明】
【0391】
1……現金自動預払機、16乃至18、63……カセット、16AX……カセット長孔、21、62……カセット収納フレーム、21AX……フレーム長孔、31、40、60……ロック部、32、41、61……ロックレバー、32A、41A……根元部、32B、41B……先端部、32BX、41BX……先端部外側面、32BW……先端部内側面、33……レバー支持板、34……レバー回動軸、41BW、51BW……切欠部、41BZ……傾斜面、50……ロック支援部、51……ロック支援レバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象を上記装填位置にロックするためのロックレバーと、
上記ロックレバーのロックレバー先端部を、上記装填位置に装填された上記装填対象に差し込んで当該装填対象を上記装填位置にロックするためのロック位置と、上記装填対象から抜き出して上記装填位置に対する上記装填対象のロックを解除する解除位置とに変位させると共に、上記ロック位置に変位させた上記ロックレバー先端部に外部から直接外力が加えられたときには、当該ロックレバー先端部を上記ロック位置から退避させるように上記ロックレバーを支持する支持部と
を具えるロック装置。
【請求項2】
上記ロックレバーは、
上記ロックレバー先端部が上記ロック位置に変位したときに、当該ロックレバー先端部の少なくとも上記装填位置に対する上記装填対象の差入側と対向する側が、上記装填位置の底に向かって傾斜するように形成された
請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
上記装填対象は、
上記ロックレバー先端部が差し込まれる側の壁部の、上記装填位置の上記底と対向する端部が円弧状に形成された
請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
上記支持部は、
上記ロックレバーを一方向に回転させて上記ロックレバー先端部を上記ロック位置に変位させると共に、上記一方向とは逆の他方向に回転させて上記ロックレバー先端部を上記解除位置に変位させるように上記ロックレバーを回動可能に支持する
請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
上記ロックレバーを、上記ロックレバー先端部を上記ロック位置に変位させるように付勢する弾性体
を具える請求項4に記載のロック装置。
【請求項6】
上記装填対象は、
上記壁部を、上記装填位置に設けられた壁部と対向させて当該装填位置に装填され、
上記ロックレバーは、
上記ロックレバー先端部に所定形状のロックレバー切欠部が、当該ロックレバー先端部が上記ロック位置に変位したときに上記装填位置の上記壁部と、当該装填位置に装填された上記装填対象の上記壁部との隙間に位置させて上記差入側に向けるように形成された
請求項5に記載のロック装置。
【請求項7】
上記装填対象は、
上記装填位置へのロックを支援するためのロック支援レバーを上記一方向に回転させて内部に収納すると共に、上記他方向に回転させて、上記ロックレバー切欠部と同様形状のロック支援レバー切欠部が形成されたロック支援レバー先端部を上記壁部から突出させて上記差入側に向けるように上記ロック支援レバーを回動可能に支持し、
上記ロックレバーは、
上記装填位置に装填された上記装填対象の上記壁部から上記ロック支援レバー先端部が突出された状態で、上記ロックレバー先端部が上記ロック位置に変位すると、上記ロックレバー切欠部を、上記ロック支援レバー切欠部に重ねる
請求項6に記載のロック装置。
【請求項8】
本装置の装填位置に差入及び引出可能に装填される装填対象を上記装填位置にロックするためのロックレバーと、
上記ロックレバーのロックレバー先端部を、上記装填位置に装填された上記装填対象に差し込んで当該装填対象を上記装填位置にロックするためのロック位置と、上記装填対象から抜き出して上記装填位置に対する上記装填対象のロックを解除する解除位置とに変位させると共に、上記ロック位置に変位させた上記ロックレバー先端部に外部から直接外力が加えられたときには、当該ロックレバー先端部を上記ロック位置から退避させるように上記ロックレバーを支持する支持部と
を具える現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−25768(P2013−25768A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163298(P2011−163298)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】