説明

ロット搬送制御装置及びロット搬送制御方法

【課題】ポートである中継棚を特定ロット用と通常ロット用に分けて設定することで、製造装置にロスなく確実にロットを供給する。
【解決手段】工程内の特定の製造装置のみで処理を行う特定ロットと、工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインのロット搬送制御装置であって、搬送装置の仕様情報と製造装置の仕様情報とロットの種類及び位置の情報とを更新しながら管理記憶している基本情報記憶部11と、基本情報記憶部11に記憶されている情報に基づいて、複数のポート70を、通常ロットの専用ポートと特定ロットの専用ポートのいずれかに設定するポート設定決定部12と、バッファ55からの通常ロット及び特定ロットを、ポート設定決定部12によって設定された対応する各専用ポートに搬送先として割り付けるロット搬送先決定部12と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一工程の処理を行う複数の製造装置と、搬送物であるロットを前工程またはバッファから搬入しまたは後工程に搬出する複数の中継棚と、前記複数の中継棚と前記複数の製造装置との間で前記ロットを搬送する搬送装置とを備え、前記ロットとして、前記工程内の特定の製造装置のみで処理を行う特定ロットと、前記工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインにおいて、中継棚を特定ロット用と通常ロット用に分けて設定することで、製造装置にロスなく確実にロットを供給するロット搬送制御装置及びロット搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な生産ラインでは、同一工程の処理を行う複数の製造装置をまとめて設置し、中継棚(以下、ポートともいう。)を経由して、搬送装置が走行する搬送経路と接続されている。以降、まとめて設置された複数の製造装置群、ポート、ポートと製造装置間でロットを搬送する搬送装置を含むエリアを系と呼ぶ。
【0003】
上流工程で処理されたロットは、搬送装置によって直接あるいはバッファを経由して対象とする系のポートへ自動で搬送される。そして、系内の製造装置より要求があると、ポートから製造装置へ搬送装置によってロットが搬送される。この場合、製造装置が要求を出したときに、搬送するロットがポートに存在しない場合には、製造装置が仕掛り切れとなり、生産能力が低下してしまう。従って、このような生産能力の低下を防ぐために、製造装置が要求を出した際に確実に搬送できるロットを常にポートに設置しておくことが求められている。
【0004】
また、生産ライン中の搬送物であるロットの中には、特定の製造装置で処理を行わねばならない特定ロットと、同一工程であればいずれの製造装置でも処理が可能な通常ロットとが混在しており、特定ロットを処理できる製造装置では、仕掛り切れが発生しない範囲で、特定ロットの処理を行うことも求められている。
【0005】
このような要望から、系内の製造装置毎に対応した仕掛りをポートに確保する方法が従来から一般的に利用されている。
【0006】
また、別の従来技術として、生産ラインの稼働率の低下を最小限に抑え、特急ロットを待たせずに最小時間で製造する技術が特許件文献1に開示されている。特許文献1の技術では、特急ロットの作業開始予定時刻の一定時間前になった時点で、特急ロットを処理する製造装置を予約し、特急ロットに待ち時間を発生させることなく搬送することができる。
【0007】
さらに、別の従来技術として、在庫を最小にし、かつ効率よく生産ラインを動かす生産順序計画を作成し得る技術が開示されている。特許文献2の技術では、機種毎に異なる複数の装置(冶具)を有するメインラインに部品を投入する投入予定時刻と、サブラインがメインラインへ供給する部品を完成させる完成予定時刻とに基づいて、メインラインへの供給不足を発生させないタイミングでサブラインの生産順序計画を作成することで、サブラインとメインライン間の部品の在庫を最小化するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−325013号公報
【特許文献2】特開平9−216147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
系内の製造装置毎に対応した仕掛をポートに確保する従来技術では、製造装置数以上のポート数が必要となり、少ないポート数で系内の製造装置毎に対応した仕掛りを確保することができないといった問題があった。
【0010】
また、特許文献1の技術では、特急ロットを優先する余り、特急ロットが予約をした製造装置が要求を出した際に、特急ロットがポートに到着していないと、処理可能な仕掛ロットがポートに存在しても、製造装置へ供給することが出来ないといった問題があった。特に、対象としている工程が生産ラインの中でボトルネックの工程であれば、生産ラインの能力が低下することになる。
【0011】
また、特許文献2の技術では、対象工程の製造装置について完成予定時刻が判らなければ、使用することが出来ない。また、装置の処理時間にバラツキがあった場合には、完成予定時刻と実際の完成時刻とに差が発生し、対象としている工程が生産ラインの中でボトルネックの工程であれば、生産ラインの能力が低下するといった問題があった。
【0012】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたものであり、その目的は、ポートである中継棚を特定ロット用と通常ロット用に分けて設定することで、製造装置にロスなく確実にロットを供給することのできるロット搬送制御装置及びロット搬送制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のロット搬送制御装置は、同一工程の処理を行う複数の製造装置と、搬送物であるロットを前工程またはバッファから搬入しまたは後工程に搬出する複数の中継棚と、前記複数の中継棚と前記複数の製造装置との間で前記ロットを搬送する搬送装置とを備え、前記ロットとして、前記工程内の特定の製造装置である特定製造装置のみで処理を行う特定ロットと、前記工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインのロット搬送制御装置であって、前記搬送装置の仕様情報と前記特定製造装置及び前記通常ロットの処理が可能な通常製造装置の仕様情報と前記ロットの種類及び位置の情報とを更新しながら管理記憶している基本情報記憶手段と、前記基本情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、前記複数の中継棚を、前記通常ロットの専用棚または前記特定ロットの専用棚のいずれかに設定する中継棚設定手段と、前記前工程から搬送されてきた、または、前記バッファに格納されている通常ロット及び特定ロットを、前記中継棚設定手段によって設定された対応する各専用棚に搬送先として割り付け、前記中継棚から前記製造装置へは、前記中継棚に存在する前記特定ロットを優先的に割り付けるロット搬送先決定手段と、を備えたことを特徴ととしている。
【0014】
このような特徴を有する本発明のロット搬送制御装置によれば、中継棚(以下、ポートともいう。)の数が系内の製造装置の台数よりも少なく、かつ、対象とする系内の製造装置の処理情報がなくても、製造装置に生産ロスなくロットを供給することができる。
【0015】
また、本発明のロット搬送制御装置によれば、前記中継棚設定手段は、前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記複数の製造装置の全てが前記特定ロットを処理可能な特定製造装置である場合には、前記複数の中継棚の1つを前記通常ロットの専用棚として設定するとともに、残りの中継棚の全てを前記特定ロットの専用棚として設定し、前記複数の製造装置の全てが前記通常ロットを処理可能な通常製造装置のみである場合には、全ての中継棚を前記通常ロットの専用棚として設定する構成としている。
【0016】
このような構成によれば、複数の製造装置の全てが特定ロットを処理可能な特定製造装置である場合には、複数の中継棚の1つを通常ロットの専用棚として設定するとともに、残りの中継棚を全て特定ロットの専用棚として設定するので、特定ロットについては優先的にロットの処理を行うことができる。また、少なくとも1つは通常ロットの専用棚としているので、通常ロットについても生産ロスなくロットを製造装置に供給することができる。
【0017】
また、本発明のロット搬送制御装置によれば、前記中継棚設定手段は、前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記複数の製造装置として前記特定製造装置と前記通常製造装置の両方が存在する場合には、前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保し、残りの未設定の中継棚については、前記特定製造装置及び前記通常製造装置の各台数と各装置の設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期をそれぞれ計算し、その逆数比となるように前記特定ロットの専用棚と前記通常ロットの専用棚との設定数を決定する構成としている。
【0018】
このような構成とすれば、系内での通常ロットと特定ロットの実際の処理時間を考慮して、ポートを、特定ロットの専用ポートと通常ロットの専用ポートのいずれかに設定できるので、ポートから各製造装置へのロットの供給を、生産ロスなく行うことができる。
【0019】
また、本発明のロット搬送制御装置によれば、前記中継棚設定手段は、前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記複数の製造装置として前記特定製造装置と前記通常製造装置の両方が存在する場合において、前記基本情報記憶手段に格納されている前記前工程または前記バッファ内の種類別のロット仕掛り数の情報に基づき、前記前工程または前記バッファに仕掛りは存在するが、その仕掛りに特定ロットがない場合には、前記複数の中継棚の中から前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保した後、残りの中継棚を全て通常ロットの専用棚として設定し、前記前工程または前記バッファに仕掛りは存在するが、その仕掛りに通常ロットがない場合には、前記複数の中継棚の全てを特定ロットの専用棚として設定する構成としている。
【0020】
このような構成とすれば、生産ラインの状況にあわせて、ポートを、通常ロットの専用ポートと特定ロットの専用ポートのいずれかに設定できるので、ポートから各製造装置へのロットの供給を、生産ロスなく行うことができる。
【0021】
また、本発明のロット搬送制御装置によれば、前記中継棚設定手段は、前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記前工程または前記バッファに通常ロットと特定ロットの両方が存在する場合において、前記前工程または前記バッファに存在する全ロット数に対する特定ロット数の比率が、全製造装置の数に対する特定製造装置の数の比率以上である場合には、前記複数の中継棚の中から前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保し、残りの中継棚については、前記特定製造装置及び前記通常製造装置の各台数と各装置の設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期をそれぞれ計算し、その逆数比となるように前記特定ロットの専用棚と前記通常ロットの専用棚との設定数を決定する構成としている。
【0022】
このような構成とすれば、生産ラインでの通常ロットと特定ロットの存在状況と、系内の製造装置の状況(特定製造装置の比率)の両方を考慮して、各ポートを、通常ロットの専用ポートと特定ロットの専用ポートのいずれかに設定できるので、ポートから各製造装置へのロットの供給を、より効率的かつ生産ロスなく行うことができる。
【0023】
また、本発明のロット搬送制御装置によれば、前記ロット搬送先決定手段は、特定製造装置が複数種類存在している場合において、前記基本情報記憶装置に格納されている特定製造装置の種類数の情報に基づき、前記特定製造装置の種類数が前記特定ロットの専用棚数より多い場合には、前記特定製造装置の種類毎にその台数と設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期を計算し、その逆数比で決定したサイクル順に前記特定ロットを前記特定ロットの専用棚に割り付け、前記特定製造装置の種類数が前記特定ロットの専用棚数以内の場合には、前記特定製造装置の種類分は前記特定ロットの専用棚に存在するように前記特定ロットを前記特定ロットの専用棚に割り付ける構成としている。
【0024】
このような構成とすれば、特定ロットが複数種類存在した場合でも、系内のポートから各製造装置へのロットの供給を、生産ロスなく、すなわち供給不足を起こすことなく行うことができる。
【0025】
また、本発明のロット搬送制御装置によれば、前記ロット搬送先決定手段は、前記特定製造装置より搬送要求があった場合において、前記専用棚に該当する特定ロットが存在している場合には、前記特定ロットを前記特定製造装置へ割り付け、前記専用棚に該当する特定ロットが存在しない場合には、前記専用棚に存在している通常ロットを前記特定製造装置に割り付ける構成としている。
【0026】
このような構成とすれば、ロットの種類に応じて、系内の製造装置にロットを確実に供給することが可能となる。
【0027】
また、本発明のロット搬送制御方法は、同一工程の処理を行う複数の製造装置と、搬送物であるロットを前工程またはバッファから搬入しまたは後工程に搬出する複数の中継棚と、前記複数の中継棚と前記複数の製造装置との間で前記ロットを搬送する搬送装置とを備え、前記ロットとして、前記工程内の特定の製造装置のみで処理を行う特定ロットと、前記工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインにおけるロット搬送制御方法であって、前記搬送装置の仕様情報と前記製造装置の仕様情報と前記ロットの種類及び位置の情報とを更新しながら管理記憶している基本情報記憶手段の記憶情報に基づいて、前記複数の中継棚を、前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚のいずれかに設定する中継棚設定手順と、前記前工程または前記バッファからの通常ロット及び特定ロットを、前記中継棚設定手段によって設定された対応する各専用棚に搬送先として割り付けるロット搬送先決定手順と、を含み、前記中継棚設定手順は、前記基本情報記憶手段の記憶情報に基づき、前記複数の製造装置の全てが前記特定ロットを処理可能な特定製造装置である場合には、前記複数の中継棚の1つを前記通常ロットの専用棚として設定するとともに、残りの中継棚の全てを前記特定ロットの専用棚として設定し、前記複数の製造装置の全てが前記通常ロットを処理可能な通常製造装置のみである場合には、全ての中継棚を前記通常ロットの専用棚として設定し、前記複数の製造装置として前記特定製造装置と前記通常製造装置の両方が存在する場合には、前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保し、残りの未設定の中継棚については、前記特定製造装置及び前記通常製造装置の各台数と各装置の設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期をそれぞれ計算し、その逆数比となるように前記特定ロットの専用棚と前記通常ロットの専用棚との設定数を決定する、ことを特徴としている。
【0028】
このような特徴を有する本発明のロット搬送制御方法によれば、ポートの数が系内の製造装置の台数よりも少なく、かつ、系内の製造装置の処理情報がなくても、製造装置に生産ロスなくロットを供給することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、工程内の特定の製造装置のみで処理を行う特定ロットと、工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインにおいて、中継棚を特定ロット用と通常ロット用に分けて設定することで、中継棚の数が工程内の製造装置の台数よりも少なく、かつ、工程内の製造装置の処理情報がない状況であっても、各製造装置に供給不足を起こすことなく、ロットを確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係るロット搬送制御装置のシステム構成図である。
【図2】本発明のロット搬送制御装置を適応した生産ラインの概略工程図である。
【図3】ポート設定決定部において複数のポートを通常ロットの専用ポートまたは特定ロットの専用ポートのいずれかに設定する処理動作を示すフローチャートである。
【図4】ポート設定決定部において、バッファの仕掛ロットの変動を考慮して、複数のポートを通常ロット専用ポートまたは特定ロット専用ポートのいずれかに設定する処理動作を示すフローチャートである。
【図5】ロット搬送先決定部において、ポートへの搬送要求に対して、バッファからポートに割り付けるロットを決定する処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係るロット搬送制御装置のシステム構成図、図2は、図1に示すロット搬送制御装置を適応した生産ラインの一つの工程を概略的に示した説明図である。
【0033】
まず、図2を参照して、本実施形態のロット搬送制御装置が適用される生産ラインの一つの工程について説明する。
【0034】
前工程で処理された各ロット40は、上流工程搬出口51から搬出されて次の工程(図2に示す本工程)に搬入され、生産ラインの各工程間を走行する第1搬送装置52によって、仮置き用のバッファ55へ搬送される。
【0035】
この工程には、上記したバッファ55及び第1搬送装置52の他に、同工程内での処理を行う複数の製造装置60と、複数のポート70と、これらポート70と製造装置60との間でロット40を搬送する第2搬送装置53とが備えられている。バッファ55に格納されているロット40は、第1搬送装置52によってポート70へ搬送される。
【0036】
ポート70に搬送されたロット40は、製造装置60からの搬送要求を受けると、第2搬送装置53によって、搬送要求を出した製造装置60へ搬送される。そして、製造装置60で処理を完了したロット40は、第2搬送装置53によって再び空いているポート70に搬送され、当該ポート70から第1搬送装置52によって次工程(下流側の工程)に搬出されるようになっている。
【0037】
本実施形態では、製造装置60は、系100内に6台設置されており、ポート70は、系100内に5つ設けられている。すなわち、ポート70には常に5つのロット40を置くことができるようになっている。また、バッファ55には、6つのロット40が格納されるようになっている。
【0038】
ここで、ロット40には、系100内のいずれの製造装置60においても処理を行うことができる通常ロット40aと、系100内の特定の製造装置60でしか処理を行うことができない特定ロット40bとがあり、本実施形態の生産ラインでは、これらのロットが混在して製造されるものとする。また、本実施形態では、通常ロット40aを処理できる製造装置を、以後、通常製造装置60aという。また、通常ロット40aに加え、特定ロット40bも処理可能な製造装置、または、特定ロット40bのみを処理可能な製造装置を、以後、特定製造装置60bという。すなわち、通常製造装置40aというときには、特定製造装置40bも含まれる場合がある。
【0039】
なお、通常ロット40aと特定ロット40b、及び通常製造装置60aと特定製造装置60bがイメージし易いように、図2では一例として、5つのポート70に3つの通常ロット40aと2つの特定ロット40bとが配置されており、6台の製造装置60のうち3台が通常製造装置60a、2台が特定製造装置60bである場合を例示している。また、ポート70についても、図2では、5つのポート70のうちの2つのポートが特定ロットの専用ポート70b、残る3つのポートが通常ロットの専用ポート70aに設定されている場合を例示しているが、ポート70については、後述するポート設定決定部12での処理によって適宜設定変更されることになる。
【0040】
なお、以下の説明において、ロット40、製造装置60、及びポート70をそれぞれ分けて説明する必要があるときには、その横にa,bの添え字を付して区別するものとする。
【0041】
次に、図1を参照して、本実施形態のロット搬送制御装置のシステム構成を説明する。
【0042】
本実施形態のロット搬送制御装置1は、ロット搬送制御ユニット10、ネットワーク20、及びラインシステム制御ユニット30からなり、ロット搬送制御ユニット10とラインシステム制御ユニット30とがそれぞれネットワーク20に接続された構成となっている。
【0043】
ロット搬送制御ユニット10は、大別すると、基本情報記憶部(基本情報記憶手段)11、ポート設定決定部(中継棚設定手段)12、ロット搬送先決定部(ロット搬送先決定手段)13を備えている。
【0044】
基本情報記憶部11は、ラインシステム制御ユニット30が制御を行う各搬送装置52,53や各製造装置60の仕様情報、及び、各ロット40の種類情報と搬送位置情報などを実際の生産状況に合わせて随時更新しながら管理記憶する機能を備えている。すなわち、基本情報記憶部11は、製造装置60の仕様情報として、製造装置が処理可能な製造工程、設定タクト、特定ロット40bの処理が可能な特定製造装置であるのか、あるいは通常ロット40aしか処理できない通常製造装置であるのかの情報を、製造装置60毎に記憶する機能を備えている。また、基本情報記憶部11は、処理対象のロットの現在の位置情報、処理対象のロットが通常ロットであるのか特定ロットであるのかの情報、次の行き先へ搬出可能状態になってから搬送が開始されるまでの搬送待ち時間の情報などを、ロット毎に更新しながら記憶する機能を備えている。
【0045】
ロット設定決定部12は、基本情報記憶部11に記憶されている情報に基づいて、複数のポート70を、通常ロットの専用ポート70aと、特定ロットの専用ポート70bのいずれかに設定する機能を備えている。このポート70の設定方法については後述する。
【0046】
ロット搬送先決定部13は、バッファ55(または、前工程)からの通常ロット40a及び特定ロット40bを、ロット設定決定部12によって設定された各専用ポート40a,40bに搬送先として割り付ける処理を行う機能を備えている。
【0047】
すなわち、ロット搬送先決定部13は、バッファ55からポート70への搬送要求がラインシステム制御ユニット30から出されると、その搬送要求に対して、後述する図5に示す処理を実行して、ポート70に搬送するロット40を決定する。
【0048】
また、ロット搬送先決定部13は、ポート70から製造装置60への搬送要求がラインシステム制御ユニット30から出されると、その搬送先が通常製造装置60aである場合には、ポート70に存在する通常ロット40aの中で、最も搬送待ち時間の長いロットを通常製造装置60aへの搬送ロットに決定し、搬送先が特定製造装置60bである場合には、該当する特定ロット40bを特定製造装置60bへの搬送ロットに決定し、ポート70に該当する特定ロット40bが不在の場合には、ポート70にある通常ロット40を特定製造装置60bへの搬送ロットに決定し、その他の搬送要求の場合には、搬送先が該当する最も搬送待ち時間の長いロットを搬送ロットに決定する。
【0049】
ラインシステム制御ユニット30は、生産ラインの全工程を制御するものであるが、本実施形態で言えば、バッファ55を制御するバッファ制御部31と、各搬送装置52,53を制御する搬送制御部32と、複数の製造装置60を制御する製造装置制御部33と、複数のポート70を制御するポート制御部34とを備えている。
【0050】
これらバッファ制御部31、搬送制御部32、製造装置制御部33、及びポート制御部34での動向(処理状況)は、基本情報記憶部11に更新されながら記憶される。また、バッファ制御部31、製造装置制御部33、及びポート制御部34から出されるロットの搬送要求は、ラインシステム制御ユニット30からロット搬送制御ユニット10に出力される。
【0051】
また、ロット搬送先決定部13からの搬送指示は、ラインシステム制御ユニット30内の搬送制御部32が受け取り、該当する搬送装置52または53が対象のロット40を搬送する。
【0052】
次に、ポート設定決定部12の処理動作、すなわち、複数のポート70を通常ロットの専用ポート70aまたは特定ロットの専用ポート70bのいずれかに設定する処理動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0053】
ステップS001では、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、対象としている系100内の製造装置60に、特定ロット40bを処理することが可能な特定製造装置60bが存在するかどうかを調べる。
【0054】
その結果、特定製造装置60bが存在する場合にはステップS002へ進み、存在しない場合にはステップS008へ進む。
【0055】
ステップS002では、ステップS001と同様に、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、対象としている系100内の製造装置60に、通常ロット40aしか処理することができない通常製造装置60aが存在するかどうかを調べる。
【0056】
その結果、通常製造装置60aが存在する場合にはステップS003へ進み、存在しない場合にはステップS007へ進む。
【0057】
ステップS003では、対象としている系100内のポート70の数をPnとした場合、ポート数Pnが3ポート以上あるかどうかを調べる。
【0058】
その結果、ポート数Pnが3ポート以上ある場合には、ステップS004へ進み、ポート数Pnが3ポート未満であった場合には、ステップS007へ進む。
【0059】
ステップS004では、対象としている系100内のポート70のうち、1つのポート70を特定ロットの専用ポート70bに設定し、別の1つのポート70を通常ロットの専用ポート70aに設定して、各専用ポートを1つずつ確保した後、ステップS005へ進む。
【0060】
ステップS005では、残ったポート70の数Pn−2を未設定ポート数として、ステップS006へ進む。
【0061】
ステップS006では、未設定ポート数Pn−2を、特定ロットの専用ポート70bまたは通常ロットの専用ポート70aのいずれかに分類して設定し、処理を終了する。
【0062】
ステップS006の処理を具体的に説明すると、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、対象としている系100内の製造装置60について、特定製造装置60b群の平均設定タクトとその台数、及び、通常製造装置60a群の平均設定タクトとその台数から、特定ロット40bと通常ロット40aの各処理に必要な平均周期をそれぞれ算出する。算出した特定ロット60bの平均周期をT1、通常ロット60aの平均周期をT2とする。そして、未設定ポート数Pn−2を、平均周期T1とT2の逆数比で分割して、特定ロットの専用ポート70bと通常ロットの専用ポート70aの数を設定する。
【0063】
例えば、平均設定タクトが、特定製造装置60b及び通常製造装置60a共に60分であり、系100内の通常製造装置60aの台数が4台、特定製造装置60bの台数が2台であったとすると、T1は30分、T2は15分となる。ここで、ポート数Pnを5とすると、
特定ロットの専用ポート70bは2ポート(=1+(5−2)×[15/(30+15)]=2)
通常ロットの専用ポート70aは3ポート(=1+(5−2)×[30/(30+15)]=3)となる。
【0064】
上記計算例では、計算を簡単にするためにポート数Pnを割り切れる数字としたが、計算したポート数が少数値を含む場合には、通常ロットの専用ポート70aのポート数を切り上げ、特定ロットの専用ポート70bのポート数を切り捨てる。また、上記の計算例は、図2に示したポート70の設定状態と合致している。
【0065】
一方、ステップS007では、通常ロットの専用ポート70aを1つ確保した後、残りのポート数Pn−1の全てを特定ロットの専用ポート70bとして設定し、処理を終了する。
【0066】
さらに、ステップS008では、全てのポート70(ポート数Pn)を通常ロットの専用ポート70aに設定して、処理を終了する。
【0067】
図3に示した処理は、生産ラインの運用により、対象とする系100内の特定製造装置60bと通常製造装置60aの設定が変更された場合、及び、特定ロット40の生産ラインへの投入計画が変更される度に呼び出されて実行される。すなわち、その都度、ポートの設定を変更する。
【0068】
次に、ポート設定決定部12の他の処理動作、すなわち、バッファ55の仕掛りロット40の変動を考慮して、複数のポート70を通常ロットの専用ポート70aまたは特定ロット専用ポート70bのいずれかに設定する処理動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、図3に示すフローの処理とは異なり、ポート70から製造装置60で処理が完了したロット40が搬出される度に呼び出されて実施される。
【0069】
ステップS101では、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、対象としている系100の仕掛りロット40がバッファ55内に格納されているかどうかを調べる。
【0070】
その結果、仕掛りロット40がバッファ55に格納されている場合には、ステップS102へ進み、格納されていない場合には、ステップS108へ進む。
【0071】
ステップS102では、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、バッファ55に格納されている仕掛りロット40が特定ロット40bのみかどうかを調べる。
【0072】
その結果、格納されている仕掛りロット40が特定ロット40bのみの場合には、ステップS103へ進み、特定ロット40bのみでない場合には、ステップS104へ進む。
【0073】
ステップS103では、ポート70の未設定ポート分を全て特定ロットの専用ポート70bに設定する。つまり、この場合には、1つのポート70を通常ロットの専用ポート70aとし、残り(Pn−1)の全てのポート70を特定ロットの専用ポート70bに設定して、処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS104では、ステップS102と同様に、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、バッファ55に格納されている仕掛りロット40が通常ロット40aのみかどうかを調べる。
【0075】
その結果、通常ロット40aのみの場合には、ステップS105へ進み、通常ロット40aのみでない場合には、ステップS106へ進む。
【0076】
ステップS105では、ステップS103と同様に、ポート70の未設定ポート分を全て通常ロットの専用ポート40aに設定する。つまり、この場合には、1つのポート70を特定ロットの専用ポート70bとし、残り(Pn−1)の全てのポート70を通常ロットの専用ポート70aに設定して、処理を終了する。
【0077】
一方、ステップS106では、バッファ55に格納されている仕掛りロット40の数と、対象としている系100内の製造装置60の台数とを比較する。これを比較条件1とする。
【0078】
その結果、バッファ55に格納されている仕掛りロット40の数が、対象としている系100内の製造装置60の台数以上である場合には、ステップS107へ進み、仕掛りロット40の数が製造装置60の台数未満である場合には、ステップS109へ進む。
【0079】
ステップS108では、バッファ55に格納されている仕掛りロット40について、特定ロット40bの仕掛りロット数がバッファ55内の総仕掛りロット数に占める割合と、対象としている系100内の特定製造装置60bが系100内の全製造装置60に占める割合とを比較する。これを、比較条件2とする。
【0080】
その結果、特定ロット40bの仕掛りロット数がバッファ55内の総仕掛りロット数に占める割合が、対象としている系100内の特定製造装置60bが系100内の全製造装置60に占める割合より大きい場合には、ステップS108へ進み、小さい場合には、ステップS109へ進む。すなわち、比較条件1,2の両方を満たす場合にステップS108へ進む。
【0081】
ステップS108では、図3の処理フローを呼び出して実行し、複数のポート70を通常ロットの専用ポート70aまたは特定ロットの専用ポート70bのいずれかに設定して、処理を終了する。ただし、ステップS108で呼び出した場合に実行される図3の処理フローでは、ステップS006での処理において計算したポート数の少数値については、特定ロットの専用ポート70bのポート数を切り上げ、通常ロットの専用ポート70aのポート数を切り捨てる。すなわち、この場合には、より特定ロットの専用ポート70bを重視したポート設定とする。
【0082】
一方、ステップS109では、現状のポート設定を維持する。すなわち、図3の処理フローに従ってすでに設定されている通常ロットの専用ポート70aのポート数と特定ロットの専用ポート70bのポート数とを設定値として終了する。
【0083】
次に、ロット搬送先決定部13の処理動作のうち、主に、ポートへの搬送要求に対して、バッファ55からポート70に割りつけるロットを決定する処理動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0084】
ステップS201では、ポートへの搬送要求があった場合に、搬送先のポート70に設定されている条件を満たすロットの仕掛りがバッファ55に存在するかどうかを調べる。
【0085】
その結果、該当する仕掛りロットがバッファ55に存在する場合には、ステップS202へ進む。
【0086】
一方、該当する仕掛りロットがバッファ55に存在しない場合には、搬送要求を出したまま、該当する仕掛りロットがバッファ55に見つかるまで、ステップS201の処理を繰り返し行う。すなわち、上流工程搬出口50から該当する仕掛りロットが搬出され、第1搬送装置52によってバッファ55に格納されるまで、ステップS201の処理を繰り返し行う。
【0087】
ステップS202では、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、バッファ55に格納された仕掛りロットが通常ロット40aであるかどうかを調べる。
【0088】
その結果、通常ロット40aである場合には、ステップS203へ進み、通常ロット40aでない場合には、ステップS204へ進む。
【0089】
ステップS203では、該当する通常ロット40aが複数存在する場合には、その中で搬送待ち時間の最も長い仕掛りロットを選択し、ポート70へ搬送するロットとして割り付けて、処理を終了する。
【0090】
ステップS204では、基本情報記憶部11に格納されている情報に基づき、対象としている系100内に複数種類の特定製造装置60bが存在するかどうかを調べる。
【0091】
その結果、複数種類の特定製造装置60bが存在する場合には、ステップS205へ進み、存在しない場合には、ステップS208へ進む。
【0092】
ステップS205では、対象としている系100内の特定ロットの専用ポート70bの数と、特定製造装置60bの台数とを比較する。
【0093】
その結果、特定ロットの専用ポート70bの数が系100内の特定製造装置60bの台数以上であれば、ステップS206へ進み、特定ロットの専用ポート70bの数が系100内の特定製造装置60bの台数未満の場合には、ステップS207へ進む。
【0094】
ステップS206では、系100内の全ての種類の特定製造装置60bへ仕掛りロットが割り当てられるように、特定製造装置60の種類毎に、専用ポート70bへ特定ロット40bを割り付けて、処理を終了する。
【0095】
具体的に説明すると、例えば、系100内にAという機種の特定製造装置60baと、Bという機種の特定製造装置60bbとが存在している場合には、図3の処理フローを機種Aと機種Bに分けて行う。すなわち、機種Aまたは機種Bのいずれかで特定ロットの専用ポート70bが埋め尽くされることがないように、ロットを割り付ける。
【0096】
ステップS207では、特定製造装置60bの種類毎の周期を算出し、前もって決めた順番にロットを割り付ける。
【0097】
具体的に説明すると、例えば、特定ロットの専用ポート70bとして2つのポートが設定されており、系100内に機種Aの特定製造装置60baが2台、機種Bの特定製造装置60bbが1台存在する場合を想定すると、機種Aの特定製造装置60baと機種Bの特定製造装置60bbの設定タクトが同じ場合には、機種A,機種B,機種A,機種A,機種B,機種A,・・・の順に、該当する仕掛りロットを割り付けて終了する。すなわち、「機種A,機種B,機種A」の繰り返しで該当する仕掛りロットを割り付けていく。
【0098】
ステップS208では、ステップS203と同様に、仕掛りロットの中で最も待ち時間の長いロットを割り付けて終了する。
【0099】
なお、系100内の第2搬送装置53が、各製造装置60からの搬送要求に応じる場合、搬送先が通常製造装置60aであれば、ポート70に存在する通常ロット40aの中で、最も搬送待ち時間の長いロットを搬送ロットとして割り付ける。また、搬送先が特定製造装置60bであれば、該当する特定ロット40bを搬送ロットとして割り付ける一方、ポート70に該当する特定ロット40bが不在の場合には、ポート70にある通常ロット40aを搬送ロットとして割り付ける。
【0100】
本実施形態によれば、特定ロットと通常ロットとが混在する生産ラインにおいて、生産ライン上を流れるロットの状況に応じて、複数のポートを特定ロット用と通常ロット用に適宜分けて設定することで、系内の各製造装置にロスなく確実にロットを供給することが可能となるものである。
【0101】
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 ロット搬送制御装置
10 ロット搬送制御ユニット
11 基本情報記憶部(基本情報記憶手段)
12 ポート設定決定部(中継棚設定手段)
13 ロット搬送先決定部(ロット搬送先決定手段)
20 ネットワーク
30 ラインシステム制御ユニット
31 バッファ制御部
32 搬送制御部
33 製造装置制御部
34 ポート制御部
40 ロット
40a 通常ロット
40b 特定ロット
51 上流工程搬出口
52 第1搬送装置
53 第2搬送装置
55 バッファ
60 製造装置
60a 通常製造装置
60b 特定製造装置
60aa 機種Aの特定製造装置
60ab 機種Bの特定製造装置
70 ポート
70a 通常ロットの専用ポート
70b 特定ロットの専用ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一工程の処理を行う複数の製造装置と、搬送物であるロットを前工程またはバッファから搬入しまたは後工程に搬出する複数の中継棚と、前記複数の中継棚と前記複数の製造装置との間で前記ロットを搬送する搬送装置とを備え、前記ロットとして、前記工程内の特定の製造装置である特定製造装置のみで処理を行う特定ロットと、前記工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインのロット搬送制御装置であって、
前記搬送装置の仕様情報と前記特定製造装置及び前記通常ロットの処理が可能な通常製造装置の仕様情報と前記ロットの種類及び位置の情報とを更新しながら管理記憶している基本情報記憶手段と、
前記基本情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、前記複数の中継棚を、前記通常ロットの専用棚または前記特定ロットの専用棚のいずれかに設定する中継棚設定手段と、
前記前工程から搬送されてきた、または、前記バッファに格納されている通常ロット及び特定ロットを、前記中継棚設定手段によって設定された対応する各専用棚に搬送先として割り付け、前記中継棚から前記製造装置へは、前記中継棚に存在する前記特定ロットを優先的に割り付けるロット搬送先決定手段と、を備えたことを特徴とするロット搬送制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロット搬送制御装置であって、
前記中継棚設定手段は、
前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記複数の製造装置の全てが前記特定製造装置である場合には、前記複数の中継棚の1つを前記通常ロットの専用棚として設定するとともに、残りの中継棚の全てを前記特定ロットの専用棚として設定し、
前記複数の製造装置の全てが前記通常製造装置のみである場合には、全ての中継棚を前記通常ロットの専用棚として設定することを特徴とするロット搬送制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のロット搬送制御装置であって、
前記中継棚設定手段は、
前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記複数の製造装置として前記特定製造装置と前記通常製造装置の両方が存在する場合には、前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保し、残りの未設定の中継棚については、前記特定製造装置及び前記通常製造装置の各台数と各装置の設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期をそれぞれ計算し、その逆数比となるように前記特定ロットの専用棚と前記通常ロットの専用棚との設定数を決定することを特徴とするロット搬送制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のロット搬送制御装置であって、
前記中継棚設定手段は、
前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記複数の製造装置として前記特定製造装置と前記通常製造装置の両方が存在する場合において、前記基本情報記憶手段に格納されている前記前工程または前記バッファ内の種類別のロット仕掛り数の情報に基づき、
前記前工程または前記バッファに仕掛りは存在するが、その仕掛りに特定ロットがない場合には、前記複数の中継棚の中から前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保した後、残りの中継棚を全て通常ロットの専用棚として設定し、
前記前工程または前記バッファに仕掛りは存在するが、その仕掛に通常ロットがない場合には、前記複数の中継棚の全てを特定ロットの専用棚として設定することを特徴とするロット搬送制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のロット搬送制御装置であって、
前記中継棚設定手段は、
前記基本情報記憶手段の情報に基づき、前記前工程または前記バッファに通常ロットと特定ロットの両方が存在する場合において、前記前工程または前記バッファに存在する全ロット数に対する特定ロット数の比率が、全製造装置の数に対する特定製造装置の数の比率以上である場合には、前記複数の中継棚の中から前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保し、残りの中継棚については、前記特定製造装置及び前記通常製造装置の各台数と各装置の設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期をそれぞれ計算し、その逆数比となるように前記特定ロットの専用棚と前記通常ロットの専用棚との設定数を決定することを特徴とするロット搬送制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のロット搬送制御装置であって、
前記ロット搬送先決定手段は、
特定製造装置が複数種類存在している場合において、前記基本情報記憶装置に格納されている特定製造装置の種類数の情報に基づき、
前記特定製造装置の種類数が前記特定ロットの専用棚数より多い場合には、前記特定製造装置の種類毎にその台数と設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期を計算し、その逆数比で決定したサイクル順に前記特定ロットを前記特定ロットの専用棚に割り付け、前記特定製造装置の種類数が前記特定ロットの専用棚数以内の場合には、前記特定製造装置の種類分は前記特定ロットの専用棚に存在するように前記特定ロットを前記特定ロットの専用棚に割り付けることを特徴とするロット搬送制御装置
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のロット搬送制御装置であって、
前記ロット搬送先決定手段は、
前記特定製造装置より搬送要求があった場合において、
前記専用棚に該当する特定ロットが存在している場合には、前記特定ロットを前記特定製造装置へ割り付け、
前記専用棚に該当する特定ロットが存在しない場合には、前記専用棚に存在している通常ロットを前記特定製造装置に割り付けることを特徴とするロット搬送制御装置。
【請求項8】
同一工程の処理を行う複数の製造装置と、搬送物であるロットを前工程またはバッファから搬入しまたは後工程に搬出する複数の中継棚と、前記複数の中継棚と前記複数の製造装置との間で前記ロットを搬送する搬送装置とを備え、前記ロットとして、前記工程内の特定の製造装置のみで処理を行う特定ロットと、前記工程内のいずれの製造装置においても処理を行うことができる通常ロットとが混在する生産ラインにおけるロット搬送制御方法であって、
前記搬送装置の仕様情報と前記製造装置の仕様情報と前記ロットの種類及び位置の情報とを更新しながら管理記憶している基本情報記憶手段の記憶情報に基づいて、前記複数の中継棚を、前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚のいずれかに設定する中継棚設定手順と、
前記前工程または前記バッファからの通常ロット及び特定ロットを、前記中継棚設定手段によって設定された対応する各専用棚に搬送先として割り付けるロット搬送先決定手順と、を含み、
前記中継棚設定手順は、
前記基本情報記憶手段の記憶情報に基づき、前記複数の製造装置の全てが前記特定ロットを処理可能な特定製造装置である場合には、前記複数の中継棚の1つを前記通常ロットの専用棚として設定するとともに、残りの中継棚を全て前記特定ロットの専用棚として設定し、
前記複数の製造装置の全てが前記通常ロットを処理可能な通常製造装置のみの場合には、全ての中継棚を前記通常ロットの専用棚として設定し、
前記複数の製造装置として前記特定製造装置と前記通常製造装置の両方が存在する場合には、前記通常ロットの専用棚と前記特定ロットの専用棚とを1つずつ確保し、残りの未設定の中継棚については、前記特定製造装置及び前記通常製造装置の各台数と各装置の設計タクトとに基づいて各ロットの処理に必要な周期をそれぞれ計算し、その逆数比となるように前記特定ロットの専用棚と前記通常ロットの専用棚との設定数を決定する、ことを特徴とするロット搬送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−14350(P2012−14350A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149304(P2010−149304)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】