説明

ロッドサブアッシーパーキングロック

【課題】ストッパー外周面の凹凸によるパーキングロックポールの作動不良、カムカラーが脱落する危険性ある。
【解決手段】ストッパー5を、アプセット成形により、外側面6が滑らかなテーパー面となる様に成形することで、パーキングロックポール20の摺接面であるストッパー5の外側面6を凹凸なく形成可能で、而もストッパー5のロッド本体1からの脱落を完全に防止出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレバーをパーキングレンジに操作した時に駆動輪をロックするオートマチックトランスミッションのロック装置におけるロッドサブアッシーパーキングロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロッドサブアッシーパーキングロックにあっては、ロッド本体と、該ロッド本体に対しスライド可能な金属製のカムカラーとで構成され、上記ロッド本体に圧縮状態のコイルスプリングを外嵌して、該コイルスプリングの両端部をカムカラー及びロッド本体に形成したバネ受け部に当接させ、圧縮状態のコイルスプリングで付勢されたカムカラーの飛び出しを防止するストッパーがロッド本体に設られている。
そして、上記ストッパーにあっては、ロッド本体に金属製のリングを溶接したものが見受けられる(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−24805号公報(〔従来の技術〕の段落番号〔0002〕、〔0004〕、図2)
【特許文献2】特開平9−286311号公報(段落番号〔0015〕、図1(b) )
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、ロッドサブアッシーパーキングロックとは別部品であるリングを、カムカラーとは反対側で溶接することから、この溶接部位が滑らかでなく凹凸面になってしまうため、「パーキング」へのシフトチェンジ途中で上記溶接部位に摺接するパーキングロックポールのパーキングロックギアへの噛み合い動作に支障を来す可能性が大きく、而も溶接不良があれば、カムカラーが脱落してロック装置が機能しなくなる危険性が非常に高いなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、パーキングロックポールの作動不良、カムカラーの脱落危険性などの課題に鑑み、ストッパーを、アプセット成形により、外側面が滑らかなテーパー面となる様に成形することによって、パーキングロックポールの摺接面であるストッパーの外側面を凹凸なく形成可能で、而もストッパーのロッド本体からの脱落を完全に防止可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、ストッパーを、アプセット成形により成形したので、ロッド本体とストッパーは同じロッド素材から構成されているため、ロッド本体からのストッパー脱落を完全に防止することか出来、而もストッパーを、外側面が滑らかなテーパー面となる様に成形したので、パーキングロックポールをカムカラーのテーパー面へ円滑に誘導することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係るロッドサブアッシーパーキングロックの一実施例を図面に基づき説明する。
本発明に係るロッドサブアッシーパーキングロックにあっては、図1、2に示す様に、主に金属製のロッド本体1と、該ロッド本体1に対しスライド可能な金属製のカムカラー2とで構成され、上記ロッド本体1におけるカムカラー2より一端側部位に圧縮状態のコイルスプリング3を外嵌して、該コイルスプリング3の両端部をカムカラー2及びロッド本体1に形成したバネ受け部4に当接させ、上記ロッド本体1におけるカムカラー2より一端側部位に、圧縮状態のコイルスプリング3で付勢されたカムカラー2の飛び出しを防止するストッパー5を設けている。
【0008】
上記ストッパー5の外周面6は、ロッド本体1の他端側より一端側へ徐々に拡径する滑らかなテーパー面とし、かかるストッパー5はロッド素材Wの中間部を加熱しながら圧縮し型内で膨出させて成形している。
【0009】
尚、図1におけるバネ受け部4は、ストッパー5と同様に、ロッド素材Wを加熱しながら圧縮し型内で膨出させて成形したものであるが、かかる形態に限定せず、例えばコイニングなどのプレス加工により成形しても良い。
【0010】
具体的には、左右のチャック電極10、11を接近・離反可能とした、ロッド素材Wの長手方向に進退動可能な第1チャック12と、該第1チャック12と同様に、左右のチャック電極13、14を接近・離反可能とした、ロッド素材Wの長手方向に進退動可能な第2チャック15とを備え、第1チャック12におけるチャック電極10、11には、上記ストッパー5を成形するためのキャビティ形成凹部16、16a が形成されている。
そして、ロッド素材Wの中間部を第1、2チャック12、15で把持し、第1チャック12のチャック電極10、11と第1、2チャック15のチャック電極13、14により、定電流の交流が素材Mの中間部に通電し加熱され、続いてロッド素材Wの据込が開始されて、ロッド素材Wの中間部が徐々に膨らみ、その膨らみが第1チャック12のキャビティ形成凹部16、16a 内で膨出成長して、カムカラー2のストッパー5が成形される。
【0011】
よって、上記ロッドサブアッシーパーキングロックによれば、ストッパー5におけるパーキングロックポール20との摺接面となる外側面6が、滑らかなテーパー面であるため、パーキングロックポール20の先端がスムーズに持ち上げられてカムカラー2側へ誘導され、パーキングロックギア21にスムーズに噛合する。
【0012】
尚、上記実施例にあっては、ロッド本体1の端部にバネ受け部4が、中間部にストッパー5が夫々形成されているが、かかる形態のものに限定せず、図3に示す様に、ロッド本体1の端部側にストッパー5が、中間部にバネ受け部4が夫々形成されたものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るロッドサブアッシーパーキングロックの使用状態を示す側面図である。
【図2】図1の一部断面正面図である。
【図3】他の実施例のロッドサブアッシーパーキングロックの使用状態を示す側面図である。
【図4】カムカラーのストッパーの成形過程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 ロッド本体
2 カムカラー
3 コイルスプリング
4 バネ受け部
5 ストッパー
6 外側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド本体と、該ロッド本体に対しスライド可能な金属製のカムカラーとで構成され、上記ロッド本体に圧縮状態のコイルスプリングを外嵌して、該コイルスプリングの両端部をカムカラー及びロッド本体に形成したバネ受け部に当接させ、圧縮状態のコイルスプリングで付勢されたカムカラーの飛び出しを防止するストッパーをロッド本体に設けたロッドサブアッシーパーキングロックにおいて、
上記ストッパーを、アプセット成形により、外側面が滑らかなテーパー面となる様に成形したことを特徴とするロッドサブアッシーパーキングロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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